JP6790837B2 - エチレン−ビニルアルコール系共重合体及び該エチレン−ビニルアルコール系共重合体の製造方法 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール系共重合体及び該エチレン−ビニルアルコール系共重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規なエチレン−ビニルアルコール系共重合体及び該エチレン−ビニルアルコール系共重合体の製造方法に関する。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体(以下、「EVOH樹脂」と称することがある。)は、構造的に配列しやすく、高分子側鎖に存在する水酸基同士の水素結合のため、非常に強い分子間力を有することから、結晶性が高く、さらに非晶部分においても分子間力が高いため、酸素等の気体分子はEVOH樹脂を通過しにくい。よって、EVOH樹脂を用いたフィルム等は優れたガスバリア性を示す。
EVOH樹脂は、その優れたガスバリア性を利用して、食品包装材料、医薬品包装材料、工業薬品包装材料、農薬包装材料等のフィルムやシート、或いはボトル等の容器等に成形されて利用されている。
EVOH樹脂は、通常、エチレンと酢酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステルとの共重合によって得られるエチレン−ビニルエステル系共重合体を、アルカリ触媒の存在下、メタノールなどのアルコールを溶媒として、高温高圧下でケン化して製造される。
EVOH樹脂の成形に当たっては、通常、EVOH樹脂ペレットを押出成形機等に投入して溶融成形によりフィルム状やシート状等に成形されるが、かかるEVOH樹脂の性状によっては、成形物の外観性が損なわれることがある。例えば、EVOH樹脂が高温下(例えば、200℃以上)に曝されると、熱劣化物や架橋物が形成されやすくなるため、これに由来する異物が混入したり、フィッシュアイ(樹脂の微小粒)が発生する場合がある。特に、押出成形機内でEVOH樹脂が滞留した場合にその影響を受けやすく、その滞留部に留まったEVOH樹脂が熱を受け続けると熱劣化して、異物やフィッシュアイの原因となる。
成形時における熱劣化物や架橋物の形成を抑制するために、EVOH樹脂をできるだけ低温で溶融成形することが考えられるが、EVOH樹脂を低温で溶融成形するためにEVOH樹脂の融点を低下させる必要がある。EVOH樹脂の融点を低下させる方法としては、例えば、エチレン含有量を増やす、ケン化度を下げる、可塑剤を添加する等の方法がある。
例えば、非特許文献1にはEVOH樹脂のエチレン含有量と融点との関係、ケン化度と融点との関係が記載されており、エチレン含有量が多いものほど、あるいはケン化度が低いものほど低融点であることが示されている。
また、EVOH樹脂の熱安定性を改良した技術も提案されており、例えば特許文献1には、エチレン単位(III)、ビニルアルコール単位(IV)およびビニルエステル単位(V)を含むエチレン−ビニルアルコール系共重合体において、前記単位の合計(III+IV+V)に対するエチレン単位(III)の比率が20〜60モル%であり、前記単位の合計(III+IV+V)に対する共重合体の重合体末端におけるカルボン酸類単位(I)およびラクトン環単位(II)の合計(I+II)の比率が0.12モル%以下であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体が提案されている。特許文献1によれば、熱処理、成形加工の際にフィッシュアイやブツが生じにくく、溶融成形時のロングラン性に優れたEVOH樹脂が得られることが記載されている。
国際公開第2004/092234号
T.Okaya and K.Ikari「POLYVINYLALCOHOL」Ed by C.A.Finch,John Wiley&Sons,1973,p204−206
しかしながら、非特許文献1の、EVOH樹脂の融点を低下させるためにエチレン含有量を増やしたもの、およびケン化度を下げたものは、いずれもガスバリア性が低下する傾向がある。EVOH樹脂中のエチレン含有量を増やした場合は、エチレンの部分に水素結合が無くなり、分子間の結合力が低下するため、その部分を気体分子等が通過しやすくなってしまう。ケン化度を下げた場合はEVOH樹脂中にアセチル基が残ってしまうため結晶化され難い部分が残ってしまい、また、可塑剤を添加する場合は、結晶中に可塑剤が入り込むため同様に結晶化され難い部分が残ってしまう。よっていずれの技術もガスバリア性が低下してしまう。
そして、特許文献1は、重合体末端の構造を調整することにより熱安定性を改善する技術であり、EVOH樹脂の融点を低下させることは想定されていない。
したがって、従来よりも低い温度で溶融成形が可能であり、これにより成形物の不要な着色やフィッシュアイの発生を抑制し、しかも優れたガスバリア性を有する成形物を得ることのできるエチレン−ビニルアルコール系共重合体が望まれている。
本発明者は上記実情に鑑み鋭意検討した結果、重合体末端に特定の有機基を有するエチレン−ビニルアルコール系共重合体が、本発明の所望の効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(6)の構成をとる。
(1)重合体末端にカルボン酸エステル基を有するエチレン−ビニルアルコール系共重合体。
(2)前記カルボン酸エステル基の含有量が、共重合体におけるモノマーユニットの合計量に対して、0.01〜0.2モル%である、前記(1)に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体。
(3) 前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体が、重合体末端にカルボン酸基、カルボン酸塩基またはラクトン環基を有し、前記カルボン酸エステル基、前記カルボン酸基、前記カルボン酸塩基及び前記ラクトン環基の合計量に対する前記カルボン酸エステル基の含有量が、5〜45モル%である、前記(1)又は(2)に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体。
(4)前記カルボン酸エステル基が、カルボン酸アルキルエステル基である、前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか1つに記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体の製造方法であって、エチレンとビニルエステル系モノマーを共重合して共重合体を得る工程、及び前記共重合体にケン化触媒を用いて非水系でケン化反応を行う工程、を含み、前記ケン化反応を行う工程が、ケン化触媒としてアルカリ金属アルコキシドを用いるエチレン−ビニルアルコール系共重合体の製造方法。
(6)前記ケン化反応を行う工程が、水分を含まないアルコール系溶媒の存在下で行う、前記(5)に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体の製造方法。
本発明によれば、融点の低いエチレン−ビニルアルコール系共重合体を提供することができる。よって、本発明のエチレン−ビニルアルコール系共重合体を用いることにより低温での溶融成形が可能となり、これにより溶融成形時の熱劣化を抑制して着色を防ぎ、かつガスバリア性に優れた成形物を得ることができる。
図1は、実施例1で得られたEVOH樹脂のH−NMRチャート(溶媒:重ジメチルスルホキシド(DMSO−D6))を示す図である。 図2は、実施例1で得られたEVOH樹脂のH−13C HSQCチャート(溶媒:重ジメチルホルムアミド(DMF)/重水=70/30)を示す図である。 図3は、実施例1で得られたEVOH樹脂のH−NMRチャート(溶媒:重ジメチルホルムアミド(DMF)/重水=70/30)を示す図である。 図4は、比較例1で得られたEVOH樹脂のH−13C HSQCチャート(溶媒:重ジメチルホルムアミド(DMF)/重水=70/30)を示す図である。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものであり、これらの内容に特定されるものではない。
本発明のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(EVOH樹脂)は、重合体末端にカルボン酸エステル基を有するものである。
なお、本発明において「重合体末端」とは、モノマー単位の繰り返し構造(以下、モノマーユニットと称することがある。)が途切れる主鎖の終端部を指す。
EVOH樹脂の重合体末端は、通常、メチル基、水酸基、カルボン酸基類(カルボン酸基、カルボン酸塩基、およびラクトン環基)のいずれかである。本発明では、EVOH樹脂の重合体末端におけるカルボン酸基類において、カルボン酸エステル基を有することで、EVOH樹脂の融点が低下し、低温での溶融成形が可能になることを見出したものである。
また、重合体末端をカルボン酸エステル基とすることで、EVOH樹脂の結晶化への影響も極めて小さく、得られる成形物のガスバリア性を損なうことがないものと推定される。
カルボン酸エステル基としては特に制限はなく、例えば、カルボン酸メチルエステル基、カルボン酸エチルエステル基、カルボン酸ブチルエステル基、カルボン酸エチルヘキシルエステル基等のカルボン酸アルキルエステル基が挙げられる。ただし、ラクトン環基の様な環状エステル基を含まない。中でもEVOH樹脂の結晶性を阻害しない立体障害が小さいものが好ましいという観点から、アルコキシ基の炭素数が1〜3のカルボン酸アルキルエステル基が好ましく、カルボン酸メチルエステル基がより好ましい。
重合体末端のカルボン酸エステル基の含有量は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体におけるモノマーユニットの合計量に対して、0.01〜0.2モル%であることが好ましい。カルボン酸エステル基の含有量が多すぎるとEVOH樹脂のガスバリア性が低下する傾向があり、またカルボン酸エステル基の含有量が少なすぎると融点の低下が不十分となる傾向がある。上記カルボン酸エステル基の含有量は、0.02〜0.15モル%であることがより好ましく、0.03〜0.1モル%であることが更に好ましい。
ここで、エチレン−ビニルアルコール系共重合体におけるモノマーユニットとは、エチレンユニット、ビニルアルコールユニット、場合によってケン化されず残存したビニルエステル系モノマー由来のビニルエステルユニット、その他共重合されたモノマーのユニットを指す。また、上記モノマーユニットの合計量とは、各々のユニットのモル数の合計量を意味する。
本発明においては、EVOH樹脂中における重合体末端のカルボン酸エステル基、カルボン酸基、カルボン酸塩基及びラクトン環基の合計量に対するカルボン酸エステル基の含有量が、5〜45モル%であることが好ましい。カルボン酸エステル基、カルボン酸基、カルボン酸塩基及びラクトン環基の合計量に対するカルボン酸エステル基の含有量が多すぎるとEVOH樹脂のガスバリア性が低下する傾向があり、逆に少なすぎると融点の低下が不十分となる傾向がある。カルボン酸エステル基の含有量は、10〜40モル%であることがより好ましく、15〜30モル%であることが更に好ましい。特に好ましくは15〜20モル%である。
本発明における上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体におけるモノマーユニットの合計量に対する重合体末端のカルボン酸エステル基の含有量、および、上記重合体末端のカルボン酸エステル基、カルボン酸基、カルボン酸塩基及びラクトン環基の合計量に対するカルボン酸エステル基の含有量は、通常、エチレン−ビニルアルコール系共重合体を核磁気共鳴分光法(NMR)を用いて各種含有量を分析し、定量し、または算出することで得られる。
<解析方法>
(1−1)末端メチル基量の測定
EVOH樹脂を、「400MHz NMR」(ブルカー・バイオスピン株式会社製)を用いてH−NMR測定(溶媒:重ジメチルスルホキシド(DMSO−D6)、50℃で測定)して得られたチャートを用いて算出する。
すなわち、図1に例示されるようなNMRチャートにおける、0.7〜0.95ppmの末端メチル基の積分値(IMe−1)、0.95〜1.85ppmの末端基以外のメチレン(エチレンユニット、ビニルアルコールユニット、酢酸ビニルユニットのメチレンの合計)の積分値(ICH2)、1.9〜2ppmの酢酸ビニルユニット中の末端メチル基の積分値(IOAc)、3.1〜4.3ppmのビニルアルコールユニット中のメチンの積分値(ICH)を用いて、下記の式1により末端メチル基量を算出する。
(式1)
末端メチル基量(モル%)
=(IMe−1/3)/[(IMe−1/3)+(IOAc/3)+ICH+{ICH2−2×ICH−2×(IOAc/3)−2×(IMe−1/3)}/4]
(1−2)カルボン酸エステル基含有量(Y)の測定
EVOH樹脂を、測定装置「400MHz NMR」(ブルカー・バイオスピン株式会社製)を用いてH−13C HSQC測定(溶媒:重DMF/重水=70/30(重量比))して得られたチャートを用いる。すなわち、図2に例示されるような二次元NMRチャートにおいて、<1>および<2>は末端ラクトン環基由来の相関ピークであり、<3>および<4>は末端カルボン酸エステル由来の相関ピークであり、<5>は末端カルボン酸基由来の相関ピークであり、<6>は末端カルボン酸塩基由来の相関ピークである。かかる<3>および<4>の相関ピークの存在を確認することで、末端カルボン酸エステル基の存在を確認する。
EVOH樹脂を、測定装置「400MHz NMR」(ブルカー・バイオスピン株式会社製)を用いてH−NMR測定(溶媒:重DMF/重水=70/30(重量比)、80℃で測定)して得られたチャート、および上記(1−1)にて得られた末端メチル基量を用いてカルボン酸エステル基の含有量(Y)を算出する。化学シフト値はTMSのピーク0ppmを基準とする。
即ち、図3に例示されるようなNMRチャートにおいて、0.7〜1ppmの末端メチル基の積分値(IMe−2)、2.30〜2.48ppmのピーク積分値(I)、2.48〜2.65ppmのピーク積分値(I)を用いて、下記の式2によりカルボン酸エステル基の含有量(Y)(モル%)を算出する。
(式2)
カルボン酸エステル基の含有量(Y)(モル%)
=末端メチル基量(モル%)×[(I−I/2)/2]/(IMe−2/3)
(1−3)カルボン酸エステル基の含有量(Y)とカルボン酸基の含有量(Z)とカルボン酸塩基の含有量(W)とラクトン環基の含有量(X)の合計(P)に対するカルボン酸エステル基の含有量(Q)の測定
EVOH樹脂を、測定装置「400MHz NMR」(ブルカー・バイオスピン株式会社製)を用いてH−NMR測定(溶媒:重DMF/重水=70/30(重量比)、80℃で測定)して得られたチャートを用いて、合計(P)に対するカルボン酸エステル基の含有量(Q)を算出する。化学シフト値はTMSのピーク0ppmを基準とする。
即ち、図3に例示されるようなNMRチャートにおいて、2.30〜2.48ppmのピーク積分値(I)、2.22〜2.30ppmのピーク積分値(I)、2.1〜2.22ppmのピーク積分値(I)、2.48〜2.65ppmのピーク積分値(I)を用いて、下記の式3によりカルボン酸エステル基(Y)の、カルボン酸エステル基(Y)とカルボン酸基(Z)とカルボン酸塩基(W)とラクトン環基(X)の合計(P)に対するカルボン酸エステル基の含有量(Q)(モル%)を算出する。
(式3)
合計(P)に対するカルボン酸エステル基の含有量(Q)(モル%)
=[(I−I/2)/2]/[I/2+(I−I/2)/2+I/2+I/2]
なお、上記(1−3)において得られた各ピーク値を用いることで、上記合計(P)に対するカルボン酸基の含有量(Z)、上記合計(P)に対するカルボン酸塩基の含有量(W)、上記合計(P)に対するラクトン環基の含有量(X)、をそれぞれ求めることができる。
上記合計(P)に対するカルボン酸基の含有量(Z)は通常5〜20モル%であり、好ましくは10〜20モル%である。
上記合計(P)に対するカルボン酸塩基の含有量(W)は通常5〜20モル%であり、好ましくは15〜20モル%である。
上記合計(P)に対するラクトン環基の含有量(X)は通常30モル%以上55モル%未満であり、好ましくは40〜50モル%である。
かかる量が上記範囲内である場合、本発明の効果がより効率的に得られる傾向がある。
本発明のEVOH樹脂中のエチレン単位の含有量(エチレン含有量)としては、エチレン−ビニルアルコール系共重合体におけるモノマーユニットの合計量モル数に対して、20〜60モル%であることが好ましい。エチレン含有量が少なすぎると、融点が高くなるため熱分解温度近傍、あるいはそれ以上の温度で溶融成形する必要が生じ、成形中の熱劣化等により得られた成形物の外観が損なわれる傾向がある。また、エチレン含有量が多すぎると、ガスバリア性が低下する傾向がある。エチレン含有量は、25〜50モル%であることがより好ましく、25〜45モル%であることが更に好ましい。
かかるエチレン含有量は、例えば、ISO14663−1(1999)に準じて計測することができる。
本発明のEVOH樹脂の製造方法としては、例えば、エチレン−ビニルエステル系共重合体をケン化してEVOH樹脂とする際に重合体末端のカルボン酸エステル基を残存させる方法、EVOH樹脂における重合体末端に形成されたカルボン酸基及び/又はカルボン酸塩基をエステル化する方法などが挙げられる。
中でも、エチレンとビニルエステル系モノマーを共重合させ、得られたエチレン−ビニルエステル系共重合体をケン化してEVOH樹脂とする際に、実質的に水分を含まず、アルコール系溶媒の存在下、ケン化触媒としてナトリウムアルコキシドを用い、ケン化反応後に系中に残存するナトリウムアルコキシドを酸で中和してケン化反応を停止させることで、重合体末端のカルボン酸エステル基を残す方法が好ましい。なお、「実質的に水分を含まない」とは、溶媒中の水の含有率が0重量%であること、又は溶媒が0.1重量%以下の水を不可避的に含むことを意味する。
[エチレン−ビニルエステル系共重合体]
本発明のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(EVOH樹脂)の製造では、まず、エチレンとビニルエステル系モノマーを、重合溶媒及び重合触媒(重合開始剤)等とともに重合(反応)させてエチレン−ビニルエステル系共重合体を得る。
重合方法は公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合、バルク重合のいずれであってもよく、一般的には溶液重合が用いられる。また、連続式、回分式のいずれであってもよい。
<ビニルエステル系モノマー>
ビニルエステル系モノマーとしては、市場入手性や製造時の不純物処理効率が良い点から、代表的には酢酸ビニルが用いられる。この他、例えば、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等が挙げられ、通常炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜10、特に好ましくは炭素数4〜7の脂肪族ビニルエステルである。これらは通常単独で用いるが、必要に応じて複数種を同時に用いてもよい。
<重合溶媒>
重合溶媒としては、通常、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールやアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等が挙げられ、1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。重合溶媒は、工業的には、メタノールが好適に使用される。
重合溶媒の使用量は、目的とする共重合体の重合度に合わせて、重合溶媒の連鎖移動定数を考慮して適宜選択すればよく、例えば、重合溶媒がメタノールの時は、S(重合溶媒)/M(モノマー)=0.01〜10(重量比)、好ましくは0.05〜7(重量比)程度の範囲から選択される。
<重合触媒>
重合触媒としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル等の公知のラジカル重合触媒や低温活性ラジカル重合触媒が挙げられる。低温活性ラジカル重合触媒としては例えばt−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート等のパーオキシエステル類、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−iso−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、ジイソブチリルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類等の有機過酸化物、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。なお、かかる低温活性ラジカル重合触媒とは、60℃での半減期が10〜300分である有機化合物を意味する。これらの重合触媒は、1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合触媒の使用量は、触媒の種類により異なり一概には決められないが、重合速度に応じて任意に選択される。例えば、アゾビスイソブチロニトリルや過酸化アセチルを用いる場合、ビニルエステル系モノマー100重量部に対して0.001〜0.2重量部が好ましく、0.005〜0.1重量部がより好ましい。
共重合体中にエチレンを導入する方法としては通常のエチレン加圧重合を行えばよく、その導入量はエチレンの圧力によって制御することが可能であり、目的とするエチレン含有量により一概にはいえないが、通常は2.0〜8.0MPaの範囲から選択される。
共重合反応の反応温度は、使用する重合溶媒や圧力により一概にはいえないが、通常は重合溶媒の沸点以下で行われ、通常は40〜80℃が好ましく、特には55〜80℃が好ましい。かかる温度が低すぎると重合に長時間を要し、重合時間を短縮しようとすると触媒量が多量に必要となり、逆に高すぎると重合制御が困難となり好ましくない。
また、重合時間は、回分式の場合、4〜10時間、更には6〜9時間が好ましい。該重合時間が短すぎると重合温度を高くしたり、触媒量を多く設定しなければならず、逆に重合時間が長すぎると生産性の面で問題があり好ましくない。連続式の場合、重合缶内での平均滞留時間は2〜8時間、更には2〜6時間が好ましい。該滞留時間が短すぎると重合温度を高くしたり、触媒量を多く設定しなければならず、逆に重合時間が長すぎると生産性の面で問題があり好ましくない。
ビニルエステル系モノマーの重合率は生産性の面から重合制御が可能な範囲でできるだけ高く設定され、好ましくは30〜60%である。該重合率が低すぎると、生産性の面や未重合のビニルエステル系モノマーが多量に存在する等の問題があり、逆に高すぎると、重合制御が困難となり好ましくない。
[エチレン−ビニルアルコール系共重合体]
このようにして得られたエチレン−ビニルエステル系共重合体は、ケン化され、本発明のエチレン−ビニルアルコール系共重合体が得られる。かかるエチレン−ビニルアルコール系共重合体は、エチレン−ビニルエステル系共重合体のケン化物であり、通常、エチレン構造単位とビニルアルコール構造単位を主とし、場合によってはケン化されずに残存した若干量のビニルエステル構造単位を含むものである。
<ケン化触媒>
ケン化反応に使用されるケン化触媒としてはアルカリ金属アルコキシドが使用され、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のナトリウムアルコキシド、カリウム−t−ブトキシド等が挙げられ、1種を単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、ケン化効率の点でナトリウムアルコキシドが好ましく、特に、通常、ケン化溶媒として重合溶媒と共通してメタノールが使われることからナトリウムメトキシドを使用することが好ましい。
かかるケン化触媒の使用量については、ケン化方法、目標とするケン化度等により適宜選択されるが、ナトリウムメトキシドを使用する場合は通常、ビニルエステル系モノマー等のモノマーの合計量に対して0.001〜100当量、好ましくは0.003〜50当量が適当である。
本発明のエチレン−ビニルアルコール系共重合体の製造方法では、ケン化反応を非水系で行うことを特徴とする。非水系で行うために、上記で得られたエチレン−ビニルエステル系共重合体が実質的に水を含まないアルコール系溶媒に溶解された状態でケン化反応を行う。なお、「実質的に水分を含まない」とは、上記したように、溶媒中の水の含有率が0重量%であること、又は溶媒が0.1重量%以下の水を不可避的に含むことを意味する。
実質的に水を含まないアルコール系溶媒の存在下でケン化反応を行うことで、重合体末端のカルボン酸が効率的にエステル化され、また、存在するカルボン酸エステル基が加水分解することがなく、重合体末端にカルボン酸エステル基を有したエチレン−ビニルアルコール系共重合体を得ることができる。
ケン化反応に使用する前記アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等が挙げられ、中でも副生成物のエステルが低沸点のメタノールエステルである場合に留去しやすいことから、メタノールを用いることが好ましい。
かかるケン化方法に関しては目標とするケン化度等に応じて、バッチケン化、ベルト上の連続ケン化、塔式の連続ケン化の何れも可能で、ケン化時の触媒量を低減できることやケン化反応が高効率で進み易い等の理由により、好ましくは、一定加圧下での塔式ケン化が用いられる。
また、ケン化時の圧力は目的とするエチレン含有量により一概に言えないが、常圧〜1.0MPaの範囲から選択され、ケン化温度は50〜180℃、好ましくは70〜150℃であり、ケン化時間は1〜5時間から選択される。
かくして、本発明のエチレン−ビニルアルコール系共重合体(EVOH樹脂)が得られるのであるが、本発明においては、得られたEVOH樹脂のケン化度、およびメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2,160g)は特に限定されない。
EVOH樹脂におけるビニルエステル成分のケン化度は、通常90モル%以上、好ましくは93〜99.99モル%、特に好ましくは98〜99.99モル%である。かかるケン化度が低すぎる場合にEVOH樹脂のガスバリア性や溶融成形性が低下する傾向にあり好ましくない。
かかるビニルエステル成分のケン化度は、例えば、JIS K6726(1994)(ただし、EVOH樹脂は水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)に準じて計測することができる。
EVOH樹脂のメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2,160g)は、通常1〜100g/10分であり、好ましくは2〜50g/10分、特に好ましくは3〜30g/10分である。MFRが大きすぎる場合には、成形物の機械強度が悪化する傾向があり、小さすぎる場合には成形時の押出加工性が悪化する傾向がある。
本発明のエチレン−ビニルアルコール系共重合体は、その重合体末端にカルボン酸エステル基を有するものであり、その含有量は上記したとおりである。
また、本発明のエチレン−ビニルアルコール系共重合体は、その重合体末端にカルボン酸基、カルボン酸ナトリウム等のカルボン酸塩基、ラクトン環基を有していてもよい。
また、本発明のエチレン−ビニルアルコール系共重合体には、以下に示すコモノマーに由来する構造単位が、さらに含まれていてもよい。前記コモノマーは、プロピレン、イソブテン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のα−オレフィン、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、3−ブテン−1,2−ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物などのヒドロキシ基含有α−オレフィン誘導体、2−メチレンプロパン−1,3−ジオール、3−メチレンペンタン−1,5−ジオール等のヒドロキシアルキルビニリデン類、1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジプロピオニルオキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジブチロニルオキシ−2−メチレンプロパン等のヒドロキシアルキルビニリデンジアセテート類、不飽和カルボン酸又はその塩・部分アルキルエステル・完全アルキルエステル・ニトリル・アミド・無水物、不飽和スルホン酸又はその塩、ビニルシラン化合物、塩化ビニル、スチレン等のコモノマーである。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
本発明のエチレン−ビニルアルコール系共重合体は、そのままで用いることもできるが、さらに、本発明の効果を阻害しない範囲において、一般にEVOH樹脂に配合する配合剤、例えば、熱安定剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、酸素吸収剤などが含有されていてもよい。
上記熱安定剤としては、溶融成形時の熱安定性等の各種物性を向上させる目的で、添加剤を添加してもよい。
特に、酢酸、ホウ酸およびその塩を含むホウ素化合物、酢酸塩、リン酸塩を添加することが好ましい。上記塩は、アルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)、亜鉛塩などの塩が挙げられる。
酢酸を添加する場合、その添加量は、EVOH樹脂100重量部に対して通常0.001〜1重量部、好ましくは0.005〜0.2重量部、特に好ましくは0.010〜0.1重量部である。酢酸の添加量が少なすぎると、酢酸の含有効果が十分に得られない傾向があり、逆に多すぎると均一なフィルムを得ることが難しくなる傾向がある。
また、ホウ素化合物を添加する場合、その添加量は、EVOH樹脂100重量部に対してホウ素換算(灰化後、ICP発光分析法にて分析)で通常0.001〜1重量部であり、好ましくは0.002〜0.2重量部であり、特に好ましくは0.005〜0.1重量部である。ホウ素化合物の添加量が少なすぎると、ホウ素化合物の添加効果が十分に得られないことがあり、逆に多すぎると均一なフィルムを得るのが困難となる傾向がある。
また、酢酸塩、リン酸塩(リン酸水素塩を含む)の添加量としては、EVOH樹脂100重量部に対して金属換算(灰化後、ICP発光分析法にて分析)で通常0.0005〜0.1重量部、好ましくは0.001〜0.05重量部、特に好ましくは0.002〜0.03重量部である。かかる添加量が少なすぎるとその含有効果が十分に得られないことがあり、逆に多すぎると均一なフィルムを得るのが困難となる傾向がある。尚、EVOH樹脂に2種以上の塩を添加する場合は、その総量が上記の添加量の範囲にあることが好ましい。
EVOH樹脂に酢酸、ホウ素化合物、酢酸塩、リン酸塩等の熱安定剤を添加する方法については、特に限定されず、i)含水率20〜80重量%のEVOH樹脂の多孔性析出物を、添加物の水溶液と接触させて、前記多孔性EVOH樹脂に添加物を含有させてから乾燥する方法;ii)EVOH樹脂の均一溶液(水/アルコール溶液等)に添加物を含有させた後、凝固液中にストランド状に押し出し、次いで得られたストランドを切断してペレットとして、さらに乾燥処理をする方法;iii)EVOH樹脂と添加物を一括して混合してから押出機等で溶融混練する方法;iv)EVOH樹脂の製造時において、ケン化工程で使用したアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を酢酸等の有機酸類で中和して、残存する酢酸等の有機酸類や副生成する塩の量を水洗処理により調整したりする方法等を挙げることができる。
本発明の効果をより顕著に得るためには、添加物の分散性に優れるi)、ii)の方法、有機酸およびその塩を含有させる場合はiv)の方法が好ましい。
<EVOH樹脂の用途>
かくして得られた本発明のEVOH樹脂は、溶融成形により例えばフィルム、シート、カップやボトルなどに成形することができる。かかる溶融成形方法としては、押出成形法(T−ダイ押出、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、異型押出等)、射出成形法が主として採用される。溶融成形温度は、通常150〜300℃の範囲から選ぶことが多い。
成形物はそのまま各種用途に用いてもよいが、通常はさらに強度を上げたり他の機能を付与したりするために他の基材と積層して積層体とする。
かかる他の基材としては熱可塑性樹脂が有用である。熱可塑性樹脂としては例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン類、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のポリオレフィン類、これらポリオレフィン類を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したグラフト化ポリオレフィン類、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂(共重合ポリアミドも含む)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のハロゲン化ポリオレフィン、芳香族または脂肪族ポリケトン、更にこれらを還元して得られるポリアルコール類等が挙げられるが、積層体の物性(特に強度)等の実用性の点から、ポリオレフィン系樹脂やポリアミド系樹脂が好ましく、特にはポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく用いられる。
これら基材樹脂には、本発明の趣旨を阻害しない範囲において、従来知られているような酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、核材、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、ワックス等を含んでいてもよい。
本発明のEVOH樹脂を他の基材と積層するときの積層方法は公知の方法にて行うことができる。例えば、本発明のEVOH樹脂のフィルム、シート等に他の基材を溶融押出ラミネートする方法、逆に他の基材に該樹脂を溶融押出ラミネートする方法、該樹脂と他の基材とを共押出する方法、該樹脂(層)と他の基材(層)とを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法、他の基材上に該樹脂の溶液を塗工してから溶媒を除去する方法等が挙げられる。
これらの中でも、コストや環境の観点から考慮して共押出しする方法が好ましい。
積層体の層構成は、本発明のEVOH樹脂含有層をa(a1、a2、・・・)、熱可塑性樹脂含有層をb(b1、b2、・・・)とするとき、a/bの二層構造のみならず、b/a/b、a/b/a、a1/a2/b、a/b1/b2、b2/b1/a/b1/b2、b2/b1/a/b1/a/b1/b2等任意の組み合わせが可能である。また、該積層体を製造する過程で発生する端部や不良品当等を再溶融成形して得られる、該EVOH樹脂と熱可塑性樹脂の混合物を含むリサイクル層をRとするとき、b/R/a、b/R/a/b、b/R/a/R/b、b/a/R/a/b、b/R/a/R/a/R/b等とすることも可能である。
なお、上記の層構成において、それぞれの層間には、必要に応じて接着性樹脂層を設けることができ、かかる接着性樹脂としては、公知ものを使用すればよい。かかる接着性樹脂はb層の樹脂の種類によって異なるため、適宜選択すればよいが、代表的には不飽和カルボン酸またはその無水物をポリオレフィン系樹脂に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体を挙げることができる。例えば、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体等であり、これらから選ばれた1種または2種以上の混合物が好ましい。またこれらの接着性樹脂には、EVOH組成物や他のEVOH樹脂、ポリイソブチレン、エチレン−プロピレンゴム等のゴム・エラストマー成分、さらにはb層の樹脂等をブレンドすることも可能である。特に、接着性樹脂の母体のポリオレフィン系樹脂と異なるポリオレフィン系樹脂をブレンドすることにより、接着性が向上することがあり有用である。
上記の如き積層体は、次いで必要に応じて(加熱)延伸処理が施されるわけであるが、かかる(加熱)延伸処理とは熱的に均一に加熱されたフィルム、シート状の積層体をチャック、プラグ、真空力、圧空力、ブローなどにより、チューブ、フィルム状に均一に成形する操作を意味する。前記延伸は、一軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよく、二軸延伸の場合は同時延伸であっても逐次延伸であってもよい。
延伸方法としてはロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法、真空圧空成形等のうち延伸倍率の高いものも採用できる。二軸延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式のいずれの方式も採用できる。延伸温度は通常40〜170℃、好ましくは60〜160℃程度の範囲から選ばれる。延伸温度が低すぎた場合は延伸性が不良となり、高すぎた場合は安定した延伸状態を維持することが困難となる。
なお、延伸後に寸法安定性を付与することを目的として、次いで熱固定を行ってもよい。熱固定は周知の手段で実施可能であり、例えば上記延伸フィルムを、緊張状態を保ちながら通常80〜180℃、好ましくは100〜165℃で通常2〜600秒間程度熱処理を行う。
また、本発明のEVOH樹脂から得られた多層延伸フィルムをシュリンク用フィルムとして用いる場合には、熱収縮性を付与するために、上記の熱固定を行わず、例えば延伸後のフィルムに冷風を当てて冷却固定するなどの処理を行う。
積層体の熱可塑性樹脂層および接着性樹脂層の厚みは、層構成、熱可塑性樹脂の種類、接着性樹脂の種類、用途や包装形態、要求される物性などにより一概に言えないが、熱可塑性樹脂層は通常10〜1000μm、好ましくは50〜500μm、接着性樹脂層は5〜500μm、好ましくは10〜250μm程度の範囲から選択される。
また、本発明のEVOH樹脂含有層の厚みは要求されるガスバリア性などによって異なるが、通常は1〜500μmであり、好ましくは2〜250μm、特に好ましくは3〜100μmである。かかる厚みが薄すぎると十分なガスバリア性が得られない傾向があり、逆に厚すぎるとフィルムの柔軟性が不足する傾向にある。
得られた積層体に、さらに他の基材を押出コートしたり、他の基材のフィルム、シート等を接着剤を用いてラミネートする場合、かかる基材としては前記の熱可塑性樹脂以外にも任意の基材(紙、金属箔、一軸又は二軸延伸プラスチックフィルム又はシートおよびその無機化合物蒸着物、織布、不織布、金属綿状、木質等)が使用可能である。
上記の如く得られたフィルム、シート、延伸フィルムからなる袋およびカップ、トレイ、チューブ、ボトル等からなる容器や蓋材は、一般的な食品の他、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、飲料、化粧品、医薬品等の各種の包装材料容器として有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、実施例の記載に限定されるものではない。
尚、例中「部」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
(実施例1)
[エチレン−酢酸ビニル共重合体の製造]
撹拌機付き重合缶を用いて以下の条件でエチレンと酢酸ビニルとを反応させて共重合体を連続重合した。
(重合条件)
・酸素濃度を1ppmに調整した酢酸ビニル供給量 100部/hr
・メタノール供給量 14部/hr
・パーオキシエステル供給量(重合触媒) 0.008部/hr
・重合温度 67℃
・エチレン圧 3.6MPa
・平均滞留時間 4hr
この時得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体のエチレン含有量は29モル%で、酢酸ビニルの重合率は38%であった。
[EVOH樹脂の製造]
以下の製造で用いたメタノールは、濃度100%メタノールである。
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体を50%含むメタノール溶液100部をジャケットを有する反応缶に投入した。この反応缶にメタノール150部および該共重合体中の酢酸ビニル基に対して25当量のナトリウムメトキシドを含有するメタノール溶液10部を供給し、常圧で、かつジャケット温度を80〜90℃に保持し、反応缶上部から酢酸メチルを含有するメタノール蒸気を留去しながら、30分間ケン化反応を行った。その後、反応缶にメタノール150部を追加し、反応缶上部からメタノール蒸気と共に残存酢酸メチルを留去した。
次いで、メタノール150部および該共重合体の酢酸ビニルに対して25当量のナトリウムメトキシドを含有するメタノール溶液10部を再度供給し、同様に30分間のケン化反応を行った。その後、さらにメタノール150部を追加、反応缶上部からメタノール蒸気とともに残存酢酸メチルを留去した後、酢酸1.3部を投入し、ケン化反応を停止した。得られたエチレン−ビニルアルコール系共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ケン化度99.2モル%)のメタノール溶液の樹脂分濃度は20%であった。次に、エチレン−ビニルアルコール系共重合体のメタノール/水溶液中の樹脂分濃度が35%になるまで水蒸気を吹き込みながらメタノールを留出させ、完全透明なメタノール/水均一溶液を得た。
続いて得られたエチレン−ビニルアルコール系共重合体のメタノール/水溶液を、冷水中に、ストランド状に押し出し、得られたストランド状物(含水多孔質体)をカッターで切断し、直径3.8mm、長さ4mmの樹脂分35%のEVOH樹脂の多孔性ペレットを得た。
得られた多孔性ペレットを、多孔性ペレット100部に対し酢酸ナトリウム0.08部/酢酸0.05部を含有する処理水250部にて1時間洗浄した。処理水を入れ替えて再度洗浄を合計7回行った。次いで、得られた多孔性ペレットを、酸素濃度0.5%以下の窒素気流下で120℃で8時間乾燥を行い、EVOH樹脂100部に対し揮発分0.17部を含有するEVOH樹脂組成物ペレットを得た。かかるEVOH樹脂のMFRは3.8g/10分(210℃、荷重2,160g)であった。
<EVOH樹脂の融点の測定>
得られたEVOH樹脂の融点を示差走査量計(パーキンエルマー社製「Pyris1」、商品名)を用いて、昇温速度10℃/minで測定した。結果を表1に示す。
<EVOH樹脂の構造の確認>
(1−1)末端メチル基量の測定
得られたEVOH樹脂について、測定装置「400MHz NMR」(ブルカー・バイオスピン株式会社製)を用いてH−NMR測定(溶媒:重ジメチルスルホキシド(DMSO−D6)、50℃で測定)した。得られたH−NMRチャートを図1に示す。
図1中、0.7〜0.95ppmの末端メチル基の積分値(IMe−1)、0.95〜1.85ppmの末端基以外のメチレン(エチレンユニット、ビニルアルコールユニット、酢酸ビニルユニットのメチレンの合計)の積分値(ICH2)、1.9〜2ppmの酢酸ビニルユニット中の末端メチル基の積分値(IOAc)、3.1〜4.3ppmのビニルアルコールユニット中のメチンの積分値(ICH)を用いて、下記の式1により末端メチル基量を算出した。
ここで積分値(IMe−1)、(ICH2)、(IOAc)、(ICH)はそれぞれ、末端メチル、末端基以外のメチレン、酢酸ビニルユニット中の末端メチル、ビニルアルコールユニット中のメチン由来のピークに関するものである。
(式1)
末端メチル基量(モル%)
=(IMe−1/3)/[(IMe−1/3)+(IOAc/3)+ICH+{ICH2−2×ICH−2×(IOAc/3)−2×(IMe−1/3)}/4]
(1−2)カルボン酸メチルエステル基含有量(Y)の測定
得られたEVOH樹脂について、測定装置「400MHz NMR」(ブルカー・バイオスピン株式会社製)を用いてH−13C HSQC測定(溶媒:重DMF/重水=70/30(重量比))を行った。得られた二次元NMRチャートを図2に示す。
図2において、<1>および<2>は末端ラクトン環基由来の相関ピークであり、<3>および<4>は末端カルボン酸メチル由来の相関ピークであり、<5>は末端カルボン酸基由来の相関ピークであり、<6>は末端カルボン酸ナトリウム基由来の相関ピークである。図2より、末端カルボン酸メチルエステル基の存在を確認した。
次に、上記(1−1)で得られた末端メチル基量(モル%)をもとに、H−NMR測定(溶媒:重DMF/重水=70/30(重量比)、80℃で測定)によって得られたH−NMRチャート(図3参照)を用いて、カルボン酸メチルエステル基の含有量(Y)を算出した(化学シフト値はTMSのピーク0ppmを基準にした。)。
即ち、0.7〜1ppmの末端メチル基の積分値(IMe−2)、2.30〜2.48ppmのピーク積分値(I)、2.48〜2.65ppmのピーク積分値(I)を用いて、下記の式2によりカルボン酸メチルエステル基の含有量(Y)(モル%)を算出した。
ここで、積分値(IMe−2)、(I)、(I)はそれぞれ末端メチル、ラクトン環基、ラクトン環基およびカルボン酸メチルエステル基由来のピークに関するものである。
(式2)
カルボン酸メチルエステル基の含有量(Y)(モル%)
=末端メチル基量(モル%)×[(I−I/2)/2]/(IMe−2/3)
(1−3)カルボン酸メチルエステル基の含有量(Y)とカルボン酸基の含有量(Z)とカルボン酸ナトリウム基の含有量(W)とラクトン環基の含有量(X)の合計(P)に対するカルボン酸メチルエステル基の含有量(Q)の測定
得られたEVOH樹脂について、測定装置「400MHz NMR」(ブルカー・バイオスピン株式会社製)を用いてH−NMR測定(溶媒:重DMF/重水=70/30(重量比)、80℃で測定)して得られたH−NMRチャート(図3参照)を用いて、合計(P)に対するカルボン酸メチルエステル基の含有量(Q)を算出した(化学シフト値はTMSのピーク0ppmを基準にした。)。即ち、2.30〜2.48ppmのピーク積分値(I)、2.22〜2.30ppmのピーク積分値(I)、2.1〜2.22ppmのピーク積分値(I)、2.48〜2.65ppmのピーク積分値(I)を用いて、下記の式3によりカルボン酸メチルエステル基(Y)の、カルボン酸メチルエステル基(Y)とカルボン酸基(Z)とカルボン酸ナトリウム基(W)とラクトン環基(X)の合計(P)に対するカルボン酸メチルエステル基の含有量(Q)(モル%)を算出した。
ここで、積分値(I)、(I)、(I)、(I)はそれぞれカルボン酸メチルエステル基およびラクトン環基、カルボン酸、カルボン酸ナトリウム、ラクトン環基由来のピークに関するものである。
(式3)
合計(P)に対するカルボン酸メチルエステル基の含有量(Q)(モル%)
=[(I−I/2)/2]/[I/2+(I−I/2)/2+I/2+I/2]
なお、上記(1−3)において得られた各ピーク値を用い、上記合計(P)に対するカルボン酸基の含有量(Z)、上記合計(P)に対するカルボン酸ナトリウム基の含有量(W)、上記合計(P)に対するラクトン環基の含有量(X)、をそれぞれ求めた。
上記(1−1)〜(1−3)により得られた結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、ケン化反応において投入するナトリウムメトキシドの量を50当量、再供給するナトリウムメトキシドの量を50当量、ケン化反応停止に用いる酢酸の量を2.5部とした以外は実施例1と同様にエチレン−酢酸ビニル共重合体を作製した。
実施例1と同様に、EVOH樹脂の融点、末端メチルエステル基量、カルボン酸メチルエステル基含有量、およびカルボン酸メチルエステル基とカルボン酸ナトリウム基とラクトン環基の含有量の合計に対するカルボン酸メチルエステル基の含有量を測定し、結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、ケン化反応において供給するナトリウムメトキシドを水酸化ナトリウムとし、再供給するナトリウムメトキシドを水酸化ナトリウムとし、酢酸の添加でケン化反応を停止しなかった以外は実施例1と同様にエチレン−酢酸ビニル共重合体を作製した。
実施例1と同様に、EVOH樹脂の融点を測定した。
また、上記(1−2)と同様に、得られたEVOH樹脂について、測定装置「400MHz NMR」(商品名、ブルカー・バイオスピン株式会社製)を用いてH−13C HSQC測定(溶媒:重DMF/重水=70/30(重量比))を行った。得られた二次元NMRチャートを図4に示す。図4を比較し、実施例1における<3>および<4>に相当する箇所に相関ピークが認められなかったことから、末端カルボン酸メチルエステル基が存在しないことを確認した。この結果より、カルボン酸メチルエステル基含有量(Y)を0モル%とした。
これらの結果を表1に示す。
Figure 0006790837
表1の結果より、実施例1、2は、比較例1に比べて示差走査量分析による融点(Tm)が2℃以上低かった。これにより、従来よりも低温での溶融成形が可能となり、これにより溶融成形時の熱劣化を抑制して着色を抑制することができる。また、重合体末端がカルボン酸エステル基を含むので、EVOH樹脂の結晶化への影響も極めて小さく、得られる成形物のガスバリア性を損なうことがないものと推定される。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は、2015年12月25日出願の日本特許出願(特願2015−254698)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明のエチレン−ビニルアルコール系共重合体を用いたフィルムは、溶融成形性に優れており、工業的に極めて有用である。

Claims (5)

  1. 重合体末端にカルボン酸エステル基を有するエチレン−ビニルアルコール系共重合体であって、
    前記カルボン酸エステル基の含有量が、共重合体におけるモノマーユニットの合計量に対して、0.01〜0.2モル%であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体。
  2. 重合体末端にカルボン酸エステル基を有するエチレン−ビニルアルコール系共重合体であって、
    前記エチレン−ビニルアルコール系共重合体が、重合体末端にカルボン酸基、カルボン酸塩基またはラクトン環基を有し、
    前記カルボン酸エステル基、前記カルボン酸基、前記カルボン酸塩基及び前記ラクトン環基の合計量に対する前記カルボン酸エステル基の含有量が、5〜45モル%であるエチレン−ビニルアルコール系共重合体。
  3. 前記カルボン酸エステル基が、カルボン酸アルキルエステル基である、請求項1又は2に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体の製造方法であって、
    エチレンとビニルエステル系モノマーを共重合して共重合体を得る工程、及び
    前記共重合体にケン化触媒を用いて非水系でケン化反応を行う工程、を含み、
    前記ケン化反応を行う工程が、ケン化触媒としてアルカリ金属アルコキシドを用いる、エチレン−ビニルアルコール系共重合体の製造方法。
  5. 前記ケン化反応を行う工程が、水分を含まないアルコール系溶媒の存在下で行う、請求項に記載のエチレン−ビニルアルコール系共重合体の製造方法。
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