JP2018178067A - Evohペレットおよび成形物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造ロスが少なく、品質の良い成形物を安定的に得ること【解決手段】含水率が0.4〜1重量%のエチレン−ビニルアルコール系共重合体ペレットを用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物(以下、EVOHと略記することもある)を含有するペレットに関する。また本発明は、EVOHを用いた成形物の製造方法に関する。
一般に、EVOHは水酸基を豊富に有する熱可塑性樹脂であり、かかる水酸基が水素結合を形成することにより、優れたガスバリア性を有する。また、透明性、保香性、耐溶剤性、耐油性などにも優れ、かつ溶融成形可能である。これらの特性を生かして、食品包装材料、医薬品包装材料、工業薬品包装材料、農薬包装材料等のフィルムやシート、或いはボトル等の容器等(成形物)に成形されて利用されている。
EVOH樹脂は水酸基を豊富に有するために、水分子を樹脂内にとりこみやすいため、EVOHは乾燥状態であっても微量の水を含有している。しかし、EVOHのガスバリア性は、水分子の存在により水酸基間の水素結合が乱れることで低下する傾向がある。また、水分の存在により、成形物に気泡が混入する恐れがある。したがって、品質の良い成形物を得るために、溶融成形用EVOHペレットが有する水分は、可能な限り低減することが好ましいと考えられる。
一方で、成形物の生産性の観点では、長期間の連続成形時にも一定の寸法安定性を有する成形物が得られることが望まれている。かかる課題に対し、例えば、押出機投入時のモータートルクおよびトルク変動幅が小さく、押出安定性が良好なEVOH樹脂ペレットとして、樹脂ペレットの切断面を偏光顕微鏡(ただし、倍率600)で観察したとき、中心部において、球晶が観察されないエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂ペレットを用いる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−96529号公報
近年、成形品の製造効率化要求が高まり、製造ロスが少なく、品質の良い成形物を安定的に得ることが求められている。一方で包装体技術が進化し、EVOH層を含む多層構造体の層構成が複雑化したり、EVOH層の薄膜化要求が起こるなど、製膜技術が高度複雑化しており、このような状況においては製造ロスがさらに発生しやすく、品質の良い成形物を安定的に得ることが困難であった。そこで、このような状況においても、品質の良い成形物を安定的に得ることが可能となる技術が求められていた。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意研究した結果、成形物の寸法安定性と押出機内における樹脂圧の安定性に着目した。
そして、意外にも、含水率が特定の高い範囲にあるペレットを用いることにより、上記目的が達成されることを見出した。すなわち本発明の第一の要旨は、含水率が0.4〜1重量%の溶融成形用エチレン−ビニルアルコール系共重合体ペレットに存する。
また、EVOHペレットの含水率と押出機スクリュ供給部におけるバレルの設定温度の積が、特定の高い範囲として成形物を製造する場合に、上記目的が達成されることを見出した。
すなわち本発明の第二の要旨は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体ペレットを、押出機を用いて下記式を満たす条件で溶融成形することを特徴とする成形物の製造方法に存する。
60≦XY
(但し、Xはペレットの含水率(重量%)、Yは押出機のスクリュの供給部におけるバレルの設定温度(℃)を意味する。)
本発明の溶融成形用エチレン−ビニルアルコール系共重合体ペレットを用いることで、得られる成形物の寸法安定性が優れるため、品質の高い成形品を効率よく製造することができる。
また、本発明の製造方法を採用することにより、得られる成形物の寸法安定性が優れるため、品質の高い成形品を効率よく製造することができる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されるものではない。
以下、本発明について詳細に説明する。
<エチレン−ビニルアルコール系共重合体(EVOH)ペレット>
本発明において用いられるエチレン−ビニルアルコール系共重合体とは、エチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物とも称される、非水溶性の熱可塑性樹脂である。一般的に、エチレンとビニルエステル系モノマーを共重合させた後にケン化させることにより得られる。したがって、エチレン構造単位とビニルアルコール構造単位を主とし、ケン化されずに残存した若干量のビニルエステル構造単位を含むものである。エチレン−ビニルエステル共重合体は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより製造され、エチレン−ビニルエステル共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。
通常、上記ビニルエステル系モノマーは、経済的な面から、一般的には酢酸ビニルが用いられる。この他、例えば、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等が挙げられ、通常、炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜10、特に好ましくは4〜7の脂肪族ビニルエステルである。これらは通常単独で用いられるが、必要に応じて、2種以上混合して用いてもよい
EVOHのエチレン構造単位の含有量(以下、エチレン含有量と略記することがある)は、ISO14663に基づいて測定したエチレン構造単位の含有量が20〜60モル%である。そして、好ましくは25〜55モル%、さらに好ましくは35〜50モル%、特に好ましくは38〜48モル%である。エチレン含有量が低すぎると、成形性が低下する傾向があり、高すぎるとガスバリア性が低下する傾向がある。
EVOHにおけるビニルエステル成分のケン化度は、JIS K6726(ただし、EVOH樹脂は水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)に基づいて測定した値で、通常95モル%以上であり、より好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは98〜100モル%である。ケン化度が低くなると、ガスバリア性が低下する傾向がある。かかるケン化度が低すぎると、ガスバリア性が低下する傾向がある。
EVOHのメルトフローレート(以下、MFRと略記することがある)(210℃、荷重2160g)は、1〜100g/10分が好ましく、特に好ましくは2〜50g/10分であり、更に好ましくは3〜30g/10分である。MFRが大きすぎると、成形品の機械強度が悪化する傾向があり、小さすぎると、成形時の押出加工性が悪化する傾向がある。
EVOHには、発明の効果を阻害しない範囲(例えば10モル%以下)にて下記に示すモノマーに由来する構造単位が、さらに含まれていてもよい。前記モノマーとしては、プロピレン、イソブテン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のα−オレフィン、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、3―ブテン―1,2―ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類やそのエステル化物である、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、2,3−ジアセトキシ−1−アリルオキシプロパン、2−アセトキシ−1−アリルオキシ−3−ヒドロキシプロパン、3−アセトキシ−1−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジプロピオニルオキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジブチリルオキシ−2−メチレンプロパン等のヒドロキシメチルビニリデンジアセテート類、グリセリンモノアリルエーテル、グリセリンモノビニルエーテル、グリセリンモノイソプロペニルエーテル等のグリセリンモノ不飽和アルキルエーテル類、不飽和カルボン酸又はその塩・部分アルキルエステル・完全アルキルエステル・ニトリル・アミド・無水物、不飽和スルホン酸又はその塩、ビニルシラン化合物、塩化ビニル、スチレン等のコモノマーを共重合したものであっても差し支えない。さらに、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化、エポキシ化等「後変性」されていても差し支えない。
特にヒドロキシ基含有α−オレフィン類を共重合したEVOHは、成形性や延伸性が良好になる点で好ましい。が挙げられる。
以上のような変性物の中でも、共重合によって一級水酸基が側鎖に導入されたEVOH樹脂は、延伸処理や真空・圧空成形などの二次成形性が良好になる点で好ましい。
本発明で用いられるEVOHには、本発明の効果を阻害しない範囲において、あらかじめ一般にEVOHに配合する配合剤、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、酸素吸収剤などが含有されていてもよい。
上記熱安定剤としては、溶融成形時の熱安定性等の各種物性を向上させる目的で、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の有機酸類またはこれらのアルカリ土類金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)、周期律表第4周期dブロックに属する金属塩(亜鉛、銅等)などの塩;または、硫酸、亜硫酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸類、またはこれらのアルカリ土類金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)、周期律表第4周期dブロックに属する金属塩(亜鉛、銅等)などの塩等の添加剤を添加してもよい。これらのうち、特に、酢酸、リン酸、ホウ酸およびその塩を含むホウ素化合物、酢酸塩、リン酸塩を添加することが好ましい。
酢酸を添加する場合、その添加量は、EVOH100重量部に対して通常0.001〜1重量部、好ましくは0.005〜0.2重量部、特に好ましくは0.01〜0.1重量部である。酢酸の添加量が少なすぎると、酢酸の含有効果が十分に得られない傾向があり、逆に多すぎると厚みや外観が均一なフィルムを得ることが難しくなる傾向がある。
リン酸を添加する場合、その添加量は、EVOH100重量部に対して(硫酸と硝酸で加熱分解してリン酸根を原子吸光度法にて分析)通常0.0005〜0.1重量部、好ましくは0.001〜0.05重量部、特に好ましくは0.002〜0.03重量部である。リン酸の添加量が少なすぎると、リン酸の含有効果が十分に得られない傾向があり、逆に多すぎると厚みや外観が均一なフィルムを得ることが難しくなる傾向がある。
また、ホウ素化合物を添加する場合、その添加量は、EVOH100重量部に対してホウ素換算(灰化後、ICP発光分析法にて分析)で通常0.001〜1重量部であり、好ましくは0.002〜0.2重量部であり、特に好ましくは0.005〜0.1重量部である。ホウ素化合物の添加量が少なすぎると、ホウ素化合物の添加効果が十分に得られないことがあり、逆に多すぎると厚みや外観が均一なフィルムを得るのが困難となる傾向がある。
また、酢酸塩、リン酸塩(リン酸水素塩を含む)の添加量としては、EVOH100重量部に対して金属換算(灰化後、ICP発光分析法にて分析)で通常0.0005〜0.1重量部、好ましくは0.001〜0.05重量部、特に好ましくは0.002〜0.03重量部である。かかる添加量が少なすぎるとその含有効果が十分に得られないことがあり、逆に多すぎると得られるフィルムが着色したり臭気が発生したりする傾向がある。尚、EVOHに2種以上の塩を添加する場合は、その総量が上記の添加量の範囲にあることが好ましい。
本発明で用いるペレットは、EVOHの他に、他の熱可塑性樹脂を、本発明の効果を阻害しない範囲(たとえばペレットの通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下)にて含有することができる。
他の熱可塑性樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。例えば、具体的には、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル系樹脂、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。
<含水率>
本発明に用いるEVOHペレットは、含水率が通常0.4〜1重量%であり、好ましくは0.4〜0.8重量%であり、特に好ましくは0.4〜0.6重量%、更に好ましくは0.4〜0.5重量%である。かかる含水率が高すぎる場合、成型品が発泡する傾向があり、含水率が低すぎる場合、溶融成形時の寸法安定性が低下する傾向がある。
EVOHは水酸基を豊富に有するため、乾燥状態でも水分を微量含有するが、かかる水分は溶融成形時に気泡となり成形物に混入するなどし、成形物の品質低下問題を引き起こす恐れがあるため、通常、水分を可能な限り低減させたEVOHペレットを溶融成形に用いる。
しかしながら本発明では、溶融成形時にEVOHがあえて水分を特定の高い範囲に含む場合、予想外にも上記課題を解決できることを見出した。これは、空気と比較し熱伝導率の高い水が、ペレット溶融時に多く介在することにより、ペレットにバレルからの熱が伝わりやすくなり、結果として、ペレットの溶融押出挙動を安定化させるという働きをするためと推測される。
EVOHペレットの含水率は、以下の方法で測定される。
まず、アルミカップにペレットを10gとり、アルミカップ単体(重量:C1)、ペレット(重量:P1)を入れたアルミカップの重量(C1+P1)をそれぞれ測定する。そして、ペレットを入れたアルミカップを窒素置換、真空引きがなされていない市販の乾燥機(タバイエスペック株式会社製『SAFETY OVEN SPH−100』)にて150℃、5時間加熱処理を行なう。加熱処理後に乾燥機よりペレットを入れたアルミカップを取り出し、乾燥剤の入ったデシケーター内にて30分間静置してペレットの温度を室温まで戻し、加熱処理後のペレット(重量:P2)を入れたアルミカップの重量(C1+P2)を測定し、下記数式(2)により、含水率(重量%)を算出する。
含水率(重量%)=〔{(C1+P1)−(C1+P2)}/{(C1+P1)−C1}〕×100
={(P1−P2)/P1}×100 ・・・(2)
本発明に用いられるEVOHペレットは、水以外に低級アルコール(例えば炭素数1〜4の低級アルコール)等の水と混合可能な有機溶媒を微量含有していてもよく、本発明における上記「含水率」はかかる有機溶媒含有率も含む値である。
EVOHペレットの含水率を調整する方法としては特に限定しないが、含水率を上げるためには、例えばEVOHペレットに水をスプレーする方法、EVOHペレットを水中に浸漬させる方法、EVOHペレットを水蒸気と接触させる方法などを採用できる。また、EVOHの製造工程における、エチレン−ビニルエステル系共重合体を重合後、ケン化し、固液分離して得られたEVOHペレットを洗浄後、乾燥する工程において、乾燥温度を低下したり、乾燥時間を短縮したりすることにより、高含水率のEVOHペレットを得る方法も採用可能である。
また、含水率を下げるためには、例えばEVOHペレットを静置乾燥や流動乾燥、真空乾燥など公知の乾燥方法に供する方法が採用可能である。
<成形物の製造方法>
本発明のEVOHペレットは、溶融成形時の寸法安定性に優れるので、EVOH成形物を製造するための溶融成形用材料として好ましく用いられる。
かかる成形物としては、例えばフィルム、シート、繊維、ボトル、トレイ、パイプ、異型断面押出物などの任意の形状が採用可能である。これら成形物は、EVOH単層であってもよいが、ガスバリア性が保持されるためEVOH層を含む多層構造体が好ましい。
また、溶融成形方法としては、押出成形法(T−ダイ押出、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、異型押出等)、射出成形法が主として採用される。
使用する成形機の条件、種類は特に限定しないが、通常は押出機を用いる。押出機の溶融可塑化部は、スクリュ式、プランジャ式のいずれを用いることもできるが、好ましくはスクリュ式である。押出機は縦型、横型のいずれでもよく、シングルスクリュタイプ、ツインスクリュタイプのいずれでもよい。また、スクリュのL/D(スクリュ長さ/スクリュ径)、圧縮比(C)も特に限定しないが、L/Dは20〜35が好ましく、特に好ましくは25〜30であり、Cは1.5〜8が好ましく、特に好ましくは2〜5の範囲内から選択される。
溶融成形温度は、通常150〜300℃の範囲から選択される。
特に本発明の製造方法は、EVOHペレットの含水率と押出機において下記式を満たす条件で溶融成形するものである。
60≦XY
(但し、Xはペレットの含水率(重量%)、Yは押出機のスクリュの供給部におけるバレルの設定温度(℃)を意味する。)
上記60≦XYを満たす場合、寸法安定性に優れた成形物が得られる。好ましくは65≦XYであり、特に好ましくは70≦XYである。また、上限値としては通常XY≦90であり、好ましくはXY≦85であり、特に好ましくはXY≦80である。XY値が小さすぎる場合、得られる成形物の寸法安定性が低下する傾向がある。大きすぎる場合、成型品が発泡する傾向がある。
上記押出機のスクリュの供給部におけるバレルの設定温度は、130℃以上であることが好ましく、特に好ましくは150〜200℃であり、更に好ましくは170〜190℃である。また、スクリュの供給部に対応するバレルが複数ある場合は、スクリュ供給部に対応する複数のバレルの設定温度の最大値が上記温度であればよい。
押出機のスクリュ回転数は、10〜100rpmが好ましく、特に好ましくは15〜90rpmであり、更に好ましくは20〜80rpmである。かかる回転数が上記範囲である場合、生産性を保ちながら寸法安定性の良い成形物が得られる傾向がある
<多層構造体>
得られるフィルム、シートは、そのまま各種用途に用いることもできるが、通常はさらに強度を上げたり他の機能を付与したりするために他の基材と積層した多層構造体として用いることが好ましい。
多層構造体に用いられる他の基材としては、EVOH以外の熱可塑性樹脂が有用である。EVOH以外の熱可塑性樹脂としては例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン類、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のポリオレフィン類、これらポリオレフィン類を不飽和カルボン酸またはそのエステルでグラフト変性したグラフト化ポリオレフィン類、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂(共重合ポリアミドも含む)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のハロゲン化ポリオレフィン、芳香族または脂肪族ポリケトン、更にこれらを還元して得られるポリアルコール類等が挙げられる。多層構造体の物性(特に強度)等の実用性の点から、ポリオレフィン系樹脂やポリアミド系樹脂が好ましく、特にはポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく用いられる。
これらEVOH以外の熱可塑性樹脂には、本発明の趣旨を阻害しない範囲において、従来知られているような酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、核材、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、ワックス等を含んでいても良い。
EVOH層、及びEVOH以外の熱可塑性樹脂層を有する多層構造体の製造方法は公知の方法にて行うことができる。例えば、EVOHのフィルム、シート等にEVOH以外の熱可塑性樹脂を溶融押出ラミネートする方法、逆にEVOH以外の熱可塑性樹脂にEVOHを溶融押出ラミネートする方法、EVOHとEVOH以外の熱可塑性樹脂とを共押出する方法、EVOH(層)とEVOH以外の熱可塑性樹脂(層)とを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法、EVOH以外の熱可塑性樹脂上にEVOHの溶液を塗工してから溶媒を除去する方法等が挙げられる。
これらの中でも、本発明の効果がより効果的に得られる点でEVOHとEVOH以外の熱可塑性樹脂とを共押出する方法が好ましい。本発明により得られる成形物は寸法安定性に優れるため、例えばフィルム幅の変動等が抑制され、EVOH以外の熱可塑性樹脂との多層構造体の製造を行う際に製品の取得率が向上する傾向がある。
なお、かかる共押出により得られた多層構造体を、さらにEVOH以外の熱可塑性樹脂層に対してドライラミネートしたり、金属蒸着処理を行うことも可能である。
多層構造体の層構成は、EVOH層をa(a1、a2、…)、EVOH以外の熱可塑性樹脂層をb(b1、b2、…)とするとき、a/bの二層構造のみならず、b/a/b、a/b/a、a1/a2/b、a/b1/b2、b2/b1/a/b1/b2、b2/b1/a/b1/a/b1/b2等任意の組み合わせが可能である。また、該多層構造体を製造する過程で発生する端部や不良品当等を再溶融成形して得られる、該EVOHとEVOH以外の熱可塑性樹脂の混合物を含むリサイクル層をRとするとき、b/R/a、b/R/a/b、b/R/a/R/b、b/a/R/a/b、b/R/a/R/a/R/b等とすることも可能である。
上記の如き多層構造体は、更なる物性改善のために、加熱延伸処理を施してもよい。加熱延伸処理等については、公知の延伸方法を採用することができる。
延伸方法としては、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法等の他、深絞成形、真空成形等のうち延伸倍率の高いものも採用できる。二軸延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式のいずれの方式も採用できる。延伸温度は80〜170℃が好ましく、特に好ましくは100〜160℃程度の範囲から選ばれる。
延伸処理後、熱固定を行ってもよい。熱固定は周知の手段で実施可能であり、上記延伸フィルムを、緊張状態を保ちながら通常80〜170℃、好ましくは100〜160℃で、通常2〜600秒間程度熱処理を行う。
多層構造体を、生肉、加工肉、チーズ等を熱収縮包装する用途に用いる場合は、延伸後の熱固定は行わず製品フィルムとし、上記生肉、加工肉、チーズ等を該フィルムに収納して、通常50〜130℃、好ましくは70〜120℃で、通常2〜300秒程度の熱処理を行って、該フィルムを熱収縮させて密着包装する。
本発明を用いて得られた成形物は、優れたガスバリア性に基づいて、食品包装材料、工業薬品包装材料、農薬包装材料などの包装材料として有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下「%」「部」とあるのは、特に断りのない限り、重量基準を意味する。
<評価方法>
(寸法安定性)
フィルム成形開始15分後に得られたフィルムについて、10cmごとに計10点のフィルム幅を計測し、その計測データにおける、最大値と最小値との差を算出した。かかる差が大きいほど、フィルム幅のばらつきが大きく、寸法安定性が不安定であることを意味する。
(押出機内樹脂圧)
フィルム成形開始15分後から18分後までの押出機内各部の樹脂圧を1秒間隔で、後述する第1〜第10測定位置10か所において計測した。各測定位置における計測データの標準偏差を算出し、足し合わせた。かかる和が大きいほど、樹脂圧の振れが大きく、溶融成形作業が不安定であることを意味する。
押出機内の樹脂圧は、スクリュ端部から進行方向に向かって、距離L1〜L10進んだ第1〜第10測定位置10か所でそれぞれ測定した。
第1測定位置:距離L1=10×D(スクリュ径)
第2測定位置:距離L2=12×D
第3測定位置:距離L3=14×D
第4測定位置:距離L4=16×D
第5測定位置:距離L5=18×D
第6測定位置:距離L6=20×D
第7測定位置:距離L7=22×D
第8測定位置:距離L8=24×D
第9測定位置:距離L9=26×D
第10測定位置:距離L10=28×D
[実施例1]
エチレン構造単位の含有量29モル%、ケン化度99.7モル%、MFR3.6g/10分(210℃、荷重2160g)、含水率0.16重量%のEVOHペレットに、霧吹きで水を吹き付けることで本発明のEVOHペレットを得た。
EVOHペレットを押出機に投入し、下記条件で製膜し、厚み50μmのEVOHフィルムを成形し、評価した。結果を表1に示す。
[押出機条件]
スクリュ内径:40mm
L/D:28
スクリュ圧縮比:3.1
Tダイ:コートハンガータイプ
ダイ巾:450mm
押出機のスクリュ回転数:20、40、80rpm
押出温度(℃):C1/C2/C3/C4/H(ヘッド)/AD(アダプタ)/D(ダイス)=180℃/190℃/220℃/220℃/220℃/220℃/220℃における設定温度
かかる成形方法において、スクリュの供給部におけるバレルはC1である。
<評価結果>
(寸法安定性)
Figure 2018178067
従来のEVOHペレットを用いた比較例1〜3においては、寸法安定性評価の値が大きかった。かかる結果より、溶融成形時のロス品が発生する可能性が高いことがわかる。また、この時の押出機内樹脂圧は高いものであった。
一方、実施例においては、含水率が0.4重量%以上のEVOHペレットを用いることにより、寸法安定性が良好となり、安定した溶融成形ができていることが分かる。このときの押出機内樹脂圧は低いものであった。
また、含水率Xと押出機のスクリュの供給部におけるバレルの設定温度Yの積XYが60以上の場合に、寸法安定性が良好となり、安定した溶融成形ができていることが分かる。このときの押出機内樹脂圧は低いものであった。
本発明によれば、EVOHを溶融押出成形する際の寸法安定性に優れるので、品質の高い成形品を効率よく製造することが可能となる。特に、EVOH以外の熱可塑性樹脂との多層構造体を製造する際に有効である。本発明を用いて得られた成形物は、優れたガスバリア性に基づいて、食品包装材料、工業薬品包装材料、農薬包装材料などの包装材料として有用である。

Claims (2)

  1. 含水率が0.4〜1重量%のエチレン−ビニルアルコール系共重合体ペレット。
  2. エチレン−ビニルアルコール系共重合体ペレットを、押出機を用いて下記式を満たす条件で溶融成形することを特徴とする成形物の製造方法。
    60≦XY
    (但し、Xはペレットの含水率 (重量%)、Yは押出機のスクリュの供給部におけるバレルの設定温度 (℃)を意味する。)
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