JP5601916B2 - 二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルム及びその製造方法 - Google Patents

二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルム及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルム(以下、ポリビニルアルコールをPVAと略記することがある。)に関し、更に詳しくは、延伸性に優れ、膜厚均一性に優れた二軸延伸PVA系フィルムに関するものである。
PVA系樹脂を原料として製造されるフィルムはその優れた特性と品質の多様性とが相まって多方面で応用されており、更に、二軸延伸を施したPVA系フィルムはガスバリヤー性や機械的強度、透明性、光沢性等に優れ、食品包装や医療用輸液バッグ、農薬包材等の非食品分野等に利用されている。
かかる二軸延伸PVA系フィルムを製造するに当たっては、生産速度が大きいこと等の利点を期待して、含水PVA系樹脂を押出機にて流延製膜を行い、更に二軸延伸処理を行うことが多い。
二軸延伸PVA系フィルムを製造するに際しては、例えば、ケン化度98〜100モル%、平均重合度700〜2200といったPVA系樹脂を用いて、含水率35〜65重量%に調整し押出機に供給して溶融混練した後、Tダイより押出製膜し、二軸延伸することが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2001−253956号公報
しかしながら、上記特許文献1の開示技術では、流延製膜時のレベリングに改善は見られ、フィルム表面でのダイラインの発生は抑制されているが、そのフィルム全体の膜厚精度の点ではまだまだ改善の余地もあり、さらに含水樹脂の膜のもつ弾性が高く、含水を保持してもなおその延伸では非常に大きな応力が局所的にフィルムに発生し、延伸時の破断につながったり、その生産性を低下させたりするということもあり、更なる改良が求められている。
そこで、本発明ではこのような背景下において、延伸性に優れ、膜厚均一性に優れた二軸延伸PVA系フィルムを提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、PVA系樹脂よりなる二軸延伸PVA系フィルムにおいて、PVA系樹脂として、側鎖に1,2−ジオール結合を含有するPVA系樹脂をブレンドすることにより、延伸性に優れる上、膜厚均一性に優れることを見出し、本発明を完成した。
本発明においては、側鎖に1,2−ジオール結合を含有するPVA系樹脂をブレンドすることにより、含水樹脂系の弾性率が適度に低下し、流延時のレベリングが速くなり、冷却製膜におけるレベリング精度が向上すると共に、延伸時の局所的な応力の集中が分散され、均一な延伸が得られると考えられる。
即ち、本発明の要旨は、側鎖に1,2−ジオール結合を含有するPVA系樹脂(A)及び前記PVA系樹脂(A)以外のPVA系樹脂(B)を含有してなる樹脂組成物[I]からなり、かつ、縦方向の延伸倍率が2〜6倍、横方向の延伸倍率が2.5〜5倍であることを特徴とする二軸延伸PVA系フィルムに関するものである。
更に、本発明では、前記二軸延伸PVA系フィルムの製造方法も提供するものである。
本発明の二軸延伸PVA系フィルムは、側鎖に1,2−ジオール結合を含有するPVA系樹脂(A)及び前記PVA系樹脂(A)以外のPVA系樹脂(B)を含有してなる樹脂組成物[I]からなるため、延伸性に優れ、膜厚均一性に優れた効果を有するものであり、特に大面積でのラミネート材料、また、印刷基材あるいは蒸着等の化学的コーティングをするためのコーティング用基材として非常に有用なフィルムとなるものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の二軸延伸PVA系フィルムは、側鎖に1,2−ジオール結合を含有するPVA系樹脂(A)及び前記PVA系樹脂(A)以外のPVA系樹脂(B)を含有してなる樹脂組成物[I]からなるものである。
上記側鎖に1,2−ジオール結合を含有するPVA系樹脂(A)としては、下記一般式(1)で表される構造単位を有するPVA系樹脂であることが可塑性の向上および延伸性の均質化の点で好ましい。

(ここで、R1は水素または有機基を表し、Xは結合鎖を表し、nは0または1を表し、R2〜R4はそれぞれ水素または有機基を表す。)
上記一般式(1)で表される構造単位のR1は水素または有機基を表わし、Xは結合鎖を表わし、nは0または1を表し、R2〜R4はそれぞれ水素または有機基を表わす。
なお、かかるPVA系樹脂(A)における一般式(1)で表される構造単位は、主鎖の置換基であるR1、及び側鎖の置換基であるR2〜R4がすべて水素原子であり、結合鎖(X)nのnが0、即ち、単結合であるものが望ましく、その水素原子が樹脂特性を大幅に損なわない程度の有機基で置換されたものでもよい。
また、一般式(1)で表される構造単位の結合鎖(X)nのnが1の場合、エーテル結合を除くいずれの結合鎖を適用することも可能で、アルキレン、アルケニレン、アルキニレンの他、フェニレン、ナフチレン等の炭化水素(これらの炭化水素はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換されていても良い)や、−CO−、−COCO−、−CO(CH2mCO−、−CO(C64)CO−、−S−、−CS−、−SO−、−SO2−、−NR−、−CONR−、−NRCO−、−CSNR−、−NRCS−、−NRNR−、−HPO4−、−Si(OR)2−、−OSi(OR)2−、−OSi(OR)2O−、−Ti(OR)2−、−OTi(OR)2−、−OTi(OR)2O−、−Al(OR)−、−OAl(OR)−、−OAl(OR)O−、等が挙げられ、Rは各々独立して任意の置換基であり、水素原子、アルキル基が好ましく、またmは自然数である。その中でも熱安定性の点でアルキレンが好ましく、中でも炭素数6以下のものが好適に用いられる。
なお、結合鎖Xがエーテル結合であるものは、フィルム製造時、延伸時、あるいは熱固定時にエーテル結合部分が熱分解しやすく、熱安定性が不十分であるため好ましくない。
また、一般式(1)で表される構造単位のR1およびR2〜R4が有機基である場合、その有機基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、必要に応じて、ハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよい。
本発明で用いられるPVA系樹脂(A)は、従来公知の方法により製造することができる。最も好ましい構造である結合鎖が単結合((X)nにおけるnが0)である構造単位を含有するPVA系樹脂(A)を例にとって説明する。
共重合モノマー成分としては、例えば、3,4−ジオール−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、3−アシロキシ−4−オール−1−ブテン、4−アシロキシ−3−オール−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン、2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン等が挙げられ、これらとビニルエステル系モノマーとを共重合して得られた共重合体をケン化する方法が挙げられる。
中でも、3,4−ジアシロキシ−1−ブテンが、ビニルエステル系モノマーとの共重合反応性に優れる点で好ましく、さらにはケン化反応による副生成物が酢酸ビニルと共通する3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを用いることが好ましい。また、モノマー中に少量の不純物として3,4−ジアセトキシ−1−ブタンや1,4−ジアセトキシ−1−ブテン、1,4−ジアセトキシ−1−ブタン等を含んでいても良い。
また、結合鎖Xがアルキレンであるものとしては、例えば、4,5−ジオール−1−ペンテンや4,5−ジアシロキシ−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、4,5−ジオール−3−メチル−1−ペンテン、5,6−ジオール−1−ヘキセン、5,6−ジアシロキシ−1−ヘキセン等が挙げられ、これらとビニルエステル系モノマーとを共重合して得られた共重合体をケン化する方法が挙げられる。
なお、ビニルエステル系モノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、経済的にみて中でも酢酸ビニルが好ましく用いられる。
また、本発明で用いられるPVA系樹脂(A)は、本発明の目的を阻害しない範囲、例えば0.5〜10モル%の範囲内で各種不飽和モノマーを共重合したものでもよい。かかる不飽和モノマーの導入量が多すぎると熱安定性が損なわれたり、ガスバリアー性が低下したりする傾向がある。
かかる不飽和モノマーとしては、例えば、エチレンやプロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類、その塩、モノエステル、あるいはジアルキルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸類あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル等のビニル化合物、酢酸イソプロペニル、1−メトキシビニルアセテート等の置換酢酸ビニル類、塩化ビニリデン、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、、ビニルエチレンカーボネート、グリセリンモノアリルエーテル、ビニレンカーボネート、アセトアセチル基含有モノマー等が挙げられる。
更に、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等のポリオキシアルキレン基含有モノマー、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−アクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、メタアリルトリメチルアンモニウムクロライド、3−ブテントリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライド等のカチオン基含有モノマー等も挙げられる。
上記のビニルエステル系モノマーと一般式(1)で表される構造単位を形成しうるモノマー(さらには他のモノマー)を共重合するに当たっては、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、またはエマルジョン重合等の公知の方法を採用することができるが、通常は溶液重合が行われる。
共重合時のモノマー成分の仕込み方法としては、例えば、一括仕込み、分割仕込み、連続仕込み等任意の方法が採用されるが、一般式(1)で表される構造単位がポリビニルエステル系ポリマーの分子鎖中に均一に分布させられる点や、重合物中の未反応モノマーの残存を極力低減する意味から滴下重合が好ましく、特にはHANNA法に基づく重合方法が好ましい。
かくして側鎖に1,2−ジオール結合を含有するPVA系樹脂(A)が得られるわけであるが、本発明においては、かかるPVA系樹脂(A)中の1,2−ジオール結合量は、PVA系樹脂(A)の全ビニル構造単位に対して0.01〜20モル%、さらには0.1 〜15モル%、特には0.5〜10モル%であることが好ましい。かかる1,2−ジオール構造の含有量が少なすぎると所定の可塑効果が得られずレベリング性が低下して膜厚の改善が見られない傾向があったり、延伸性の均一性も落ちてしまう傾向があり、逆に多すぎるとフィルムの吸湿性が高くなり高温多湿での使用時のフィルム全体の耐水性が著しく低下する傾向がある。なお、PVA系樹脂(A)中の全ビニル構造単位とは、ビニルエステル単位、一般式(1)で表される構造単位、その他の共重合モノマーに由来する構造単位の合計である。
また、かかるPVA系樹脂(A)のケン化度は90モル%以上、さらには95モル%以上、特には98モル%以上であることが好ましく、かかるケン化度が低すぎるとやはりフィルムの耐水性が低下する傾向がある。なお、ケン化度の上限は100モル%であり、好ましくは99.9モル%である。
ここで、本発明におけるケン化度(モル%)とは、ビニルエステルモノマーのエステル部分と一般式(1)で表される構造単位中のアシロキシ部分との総量の水酸基への変化率(モル%)で表示される。
また、本発明においては、かかるPVA系樹脂(A)の20℃にける4重量%水溶液粘度として、通常1〜400mPa・s、特には2.5〜150mPa・s、更には5〜100mPa・sが好ましく、かかる4重量%水溶液粘度が小さすぎるとフィルム作成時における延伸性が不足する傾向があり、大きすぎるとフィルムの平面平滑性や透過率が低下する傾向がある。
なお、20℃における4重量%水溶液粘度は、JIS K 6726に準じて測定される。
なお、PVA系樹脂に1,2−ジオール構造を導入する手段としては、本発明のような共重合によるものと、前述のように重合を高温で行い、頭−頭結合の割合を増やすことで主鎖に導入する方法が挙げられるが、後者の方法ではその導入量に限界があり、3モル%以上の導入は事実上不可能であるが、本発明で用いるPVA系樹脂(A)は1,2−ジオール結合の含有量を上述の範囲内で任意に制御することが可能である。
また、本発明においては、PVA系樹脂(A)の他に、PVA系樹脂(B)(前記PVA系樹脂(A)を除く。)を含有してなるものである。
本発明で用いるPVA系樹脂(B)としては、通常ケン化度が90モル%以上であることが好ましく、特に好ましくは95〜99.9モル%、更に好ましくは98〜99.8モル%である。かかるケン化度が低すぎると得られるフィルムの耐水性が低下する傾向がある。
更に、かかるPVA系樹脂(B)の20℃における4重量%水溶液粘度は2.5〜500mPa・sであることが好ましく、3〜200mPa・sであることがより好ましく、5〜100mPa・sであることが特に好ましい。かかる粘度が小さすぎるとフィルムの機械的強度が低下する傾向があり、逆に大きすぎるとフィルムへの製膜性が低下する傾向がある。
なお、かかるPVA系樹脂(B)は、PVA系樹脂(A)以外のPVA系樹脂であれば特に限定されず、未変性のPVA系樹脂や、少量の不飽和カルボン酸(塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等、酢酸ビニルと共重合可能な成分と共重合されたPVA系樹脂であってもよい。
本発明において、PVA系樹脂(A)とPVA系樹脂(B)を含有するに際しては、その含有割合(A/B)が0.001〜1000(重量比)であることが好ましく、特には0.005〜500(重量比)、更に好ましくは0.01〜100(重量比)である。更に、実用的な耐水性および機械強度を得ることを考慮すると0.01〜10(重量比)、特には0.02〜1(重量比)、更には0.02〜0.5(重量比)、殊には0.03〜0.2(重量比)であることが好ましい。である。かかる含有割合が小さすぎるとフィルムの耐水性が低下する傾向があり、大きすぎると含水樹脂の流延時のレベリング性および延伸時の延伸性が得難く、フィルム均一性が損なわれる傾向がある。
また、本発明においては、樹脂組成物[I]として、上記PVA系樹脂(A)及びPVA系樹脂(B)の他に、更に必要に応じて、例えば、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパンや重合度が300以下のポリエチレングリコール等の多価アルコール類の可塑剤や、フェノール系、アミン系等の抗酸化剤、リン酸エステル類等の安定剤、潤滑剤、着色料、香料、増量剤、消包剤、剥離剤、紫外線吸収剤、無機粉体、界面活性剤等の通常の添加剤や澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等の他の水溶性樹脂、等を適宜添加してもよい。
かくして、上記PVA系樹脂(A)及びPVA系樹脂(B)を含有してなる樹脂組成物[I]が得られる。
次に、本発明の二軸延伸PVA系フィルムについて説明する。
本発明の二軸延伸PVA系フィルムの延伸前のフィルム製膜法については、特に限定されないが、上記樹脂組成物[I]を押出機に供給して混練した後、Tダイ法、インフレーション法により押出し製膜し、乾燥する方法が好ましい。
中でも、上記樹脂組成物[I]を水に溶解して樹脂濃度10〜60重量%、好ましくは20〜60重量%、特に好ましくは30〜59重量%とし、押出機に供給して混練した後、Tダイより押出し、流延製膜することが、後工程において均質な二軸延伸を施す点で好ましい。
なお、本発明においては、樹脂組成物[I]を水に溶解するという意味は、一旦樹脂組成物[I]を調製してこれを水に溶解する場合のみならず、例えば、PVA系樹脂(A)のみを水に溶解したものに更にPVA系樹脂(B)やその他の添加剤を配合し水に溶解する場合、PVA系樹脂(B)のみを水に溶解したものに更にPVA系樹脂(A)やその他の添加剤を配合し水に溶解する場合等も含む意味である。
PVA系樹脂は粉末又はペレットの形態で用いられる。そして、上記樹脂組成物[I]は水と混合され所定の樹脂濃度に調整し、Tダイを備えた押出機に供給される。予め粉末ペレットに一部の水を含浸させておくことも可能である。かかる樹脂濃度が高すぎると樹脂の溶融不良となりフィルム肌が荒れたり、その後の延伸により得られる二軸延伸フィルムの物性が低下する傾向があり、樹脂濃度が低すぎると膜強度が低下し安定した製膜が難しくなる傾向がある。
押出機内での溶融混練温度は50〜140℃が好ましく、更には55〜130℃が好ましい。かかる温度が低すぎるとフィルム肌の不良を招く傾向があり、高すぎると発泡現象を招く傾向がある。
溶融混練された樹脂は、Tダイより押し出され、流延製膜され、乾燥することにより延伸前のPVA系フィルムが得られる。
かかる乾燥については、70〜110℃、特には80〜90℃で行うことが好ましい。
次に、上記延伸前のPVA系フィルムを更に二軸延伸、特には逐次二軸延伸を施して本発明の二軸延伸PVA系フィルムとする。
かかる延伸については、縦方向の延伸倍率が2〜6倍、横方向の延伸倍率が2.5〜5倍であ、より好ましくは縦方向の延伸倍率が3〜5倍、横方向の延伸倍率が2.5〜4倍である。該縦方向の延伸倍率が小さすぎると延伸による物性向上が得難い傾向があり、大きすぎるとフィルムが縦方向へ裂けやすくなる傾向がある。また、横方向の延伸倍率が小さすぎると延伸による物性向上が得難い傾向があり、大きすぎるとフィルムが破断する傾向がある。
逐次二軸延伸を行うに当たっては、上記延伸前のPVA系フィルムの含水率を5〜30重量%、特には20〜30重量%に調整しておくことが好ましく、上記で得られた乾燥前のPVA系フィルムを引き続き乾燥して含水率を調整したり、含水率5重量%未満のPVA系フィルムを水に浸漬あるいは調湿等を施して含水率を調整したりする方法等がある。
かかる含水率が小さすぎると延伸倍率を充分に高めることができない傾向があり、大きすぎると同様に延伸工程で縦横の延伸倍率を高めることができない傾向がある。
更に、逐次二軸延伸を施した後は、熱固定を行うことが好ましく、かかる熱固定の温度は、PVA系樹脂の融点ないし融点より40℃低い温度までの範囲から選択することが好ましい。具体的には、例えば150〜250℃、特には180〜230℃が好ましい。熱固定温度が低すぎると寸法安定性が悪く、収縮率が大きくなる傾向があり、一方高すぎるとフィルムの厚み変動が大きくなる傾向がある。また、熱固定時間は1〜30秒間であることが好ましく、より好ましくは5〜10秒間である。
かくして本発明の二軸延伸PVA系フィルムが得られるが、その厚みは5〜100μmであることが工業的生産の点で好ましく、好ましくは10〜50μm、更に好ましくは10〜50μmである。
また、本発明の二軸延伸PVA系フィルムの透過率は、80%以上であることが好ましく、好ましくは85〜99%、更に好ましくは90〜96%である。
かくして得られる本発明の二軸延伸PVA系フィルムは、延伸性に優れ、膜厚均一性に優れた二軸延伸PVA系フィルムとなり、食品包装、医薬包装、農薬包装等の包装用途や、膜厚均一性に優れることから、精密印刷用途に好適であり、また、インモールド転写、真空熱転写等の転写印刷基材用途、ハードコート等の精密塗工ベースフィルム用途としても好適である。中でも、本発明の二軸延伸PVA系フィルムそのままで、あるいは表面に他の樹脂をコーティングし、あるいは他の樹脂とラミネートして、食品包装用途に有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
実施例1
表1に示す通り、側鎖1,2−ジオール結合を含有するPVA系樹脂(A)、及び、未変性PVA系樹脂(B)を配合して樹脂組成物[I]を調製した後、樹脂組成物[I]を水95部に溶解し、樹脂濃度52%の樹脂溶液を調製した。かかる樹脂溶液を単軸押出機へ供給し、122℃で溶融混練を行った後、フィルター(チューブ型フィルター、60μ、日本精線社製)を通過して、Tダイよりキャストロールにて流延製膜し、熱風乾燥機にて90℃で30秒間乾燥し、含水率25%の延伸前PVA系フィルム(I)(厚み120μm)を作製した。引き続き、かかる延伸前フィルム(I)を縦方向に4.2倍延伸した後、テンターで横方向に3.8倍延伸し、次いで220℃で8秒間熱固定し、二軸延伸PVA系フィルム(II)(厚み12μm)を得た。
上記で得られた二軸延伸PVA系フィルムについて、以下の評価を行った。
〔膜厚均一性〕
得られたフィルムから幅5cmのサンプルを全幅に切り出し、このサンプルをアンリツ社製接触式膜厚測定器(FILM THICKNESS TESTER KG601B)にて5cm幅の中心部の膜厚を測定し、その偏差を算出した。
〔延伸性〕
得られたフィルムから長さ5mのサンプルを全幅に切り出し、このサンプルをフィルムの縦(流れ)方向に幅5cmに割いて、このサンプルをアンリツ社製接触式膜厚測定器(FILM THICKNESS TESTER KG601B)にて5cm幅の中心部の膜厚を縦方向に測定し、この測定結果を平面方向にマッピングして、その面内偏差を求めた。
実施例2及び3
実施例1において、PVA系樹脂(A)と未変性PVA系樹脂(B)を表1に示す通りとした以外は同様に行い、延伸前PVA系フィルム(I)を得、更に、同様に行い二軸延伸PVA系フィルム(II)を得た。
得られた二軸延伸PVA系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。
比較例1
実施例1において、PVA系樹脂(A)を用いず未変性PVA系樹脂(B)のみを100部用いた以外は同様に行い、延伸前PVA系フィルム(I)を得、更に、同様に行い二軸延伸PVA系フィルム(II)を得た。
得られた二軸延伸PVA系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
上記結果の通り、PVA系樹脂(B)のみを用いて得られた比較例1の二軸延伸PVA系フィルムでは良好な延伸性が得られず、膜厚均一性の点でも不充分であったのに対して、側鎖1,2−ジオール結合を含有するPVA系樹脂(A)を併用して得られた実施例1〜3の二軸延伸PVA系フィルムでは延伸性にも優れ、膜厚均一性にも優れたフィルムであった。
本発明の二軸延伸PVA系フィルムは、延伸性に優れ、膜厚均一性に優れた効果を有するものであり、食品包装、医薬包装、農薬包装等の包装用途や、膜厚均一性に優れることから、精密印刷用途に好適であり、また、インモールド転写、真空熱転写等の転写印刷基材用途、ハードコート等の精密塗工ベースフィルム用途としても好適である。中でも、本発明の二軸延伸PVA系フィルムそのままで、あるいは表面に他の樹脂をコーティングし、あるいは他の樹脂とラミネートして、食品包装用途に有用である。

Claims (8)

  1. 側鎖に1,2−ジオール結合を含有するポリビニルアルコール系樹脂(A)及び前記ポリビニルアルコール系樹脂(A)以外のポリビニルアルコール系樹脂(B)を含有してなる樹脂組成物[I]からなり、かつ、縦方向の延伸倍率が2〜6倍、横方向の延伸倍率が2.5〜5倍であることを特徴とする二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルム。
  2. ポリビニルアルコール系樹脂(A)とポリビニルアルコール系樹脂(B)の含有割合(A/B)が0.001〜1000(重量比)であることを特徴とする請求項1記載の二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルム。
  3. ポリビニルアルコール系樹脂(A)の側鎖の1,2−ジオール結合量が0.01〜20モル%であることを特徴とする請求項1または2記載の二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルム。
  4. ポリビニルアルコール系樹脂(A)のケン化度が90モル%以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルム。
  5. ポリビニルアルコール系樹脂(A)の粘度が、4重量%水溶液粘度として8〜400mPa・sであることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルム。
  6. ポリビニルアルコール系樹脂(B)のケン化度が90モル%以上であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルム。
  7. ポリビニルアルコール系樹脂(B)の粘度が、4重量%水溶液粘度として8〜500mPa・sであることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルム。
  8. 側鎖に1,2−ジオール結合を含有するポリビニルアルコール系樹脂(A)及び前記ポリビニルアルコール系樹脂(A)以外のポリビニルアルコール系樹脂(B)を含有してなる樹脂組成物[I]を水に溶解して樹脂濃度10〜60重量%とし流延製膜した後、二軸延伸してなり、かつ、縦方向の延伸倍率が2〜6倍、横方向の延伸倍率が2.5〜5倍であることを特徴とする二軸延伸ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法。
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