JP6787171B2 - 耐食鋼のガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、耐食鋼の溶接に適したガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤに関する。
大気腐食環境中に長時間暴露されている耐候性鋼材は、一般的には、保護性のあるさび層が表面に形成される。このさび層が外界からの腐食性物質を遮蔽することで、それ以降の鋼材腐食が抑制されて耐候性を発揮する。そのため、耐候性鋼材は塗装せずに裸のまま使用可能な鋼材として、橋梁等の構造物に用いられている。
しかしながら、海浜地域に加えて、内陸部でも融雪剤が散布される地域のように飛来塩分量が多い環境下では、耐候性鋼材の表面に保護性のあるさび層が形成されにくく、腐食を抑制する効果が発揮されにくい。そのため、これらの地域では、裸のまま耐候性鋼材を用いることができず、塗装して用いる必要がある。
さらに、前述の飛来塩分量が多い環境下では、塗膜劣化によって塗膜傷が生じ、塗膜傷部直下の鋼材が直接的に腐食環境にさらされるため、傷部を中心としてコブ状に塗膜が膨れ上がる腐食形態を示す。このような腐食形態の進行によってさらに塗膜傷部が累進的に拡大することで構造物の腐食が進展し続けるため、構造物の寿命延長を目的として約10年ごとに再塗装を実施することが多い。
しかし、再塗装は多大な工数がかかることから、塗装寿命を延長し、補修塗装間隔を大きく延ばすことで維持管理費用の低減を可能とする新しい耐食鋼が開発されており、この耐食鋼に対応した溶接材料として、溶接の高能率化の観点から、溶着効率の高いソリッドワイヤの開発が要望されている。
従来、耐食性及び耐候性に優れたソリッドワイヤに関しては、例えば、次のようなワイヤが開示されている。
特許文献1には、ワイヤ中にCrを添加せずにBまたはAlの1種又は2種、Cu及びNiを適当量含有させることで、良好な溶接作業性を維持しつつ、優れた溶接金属の耐候性が得られるソリッドワイヤが開示されている。
特許文献2には、ワイヤ中のC、Si及びAlを規定することで溶接作業性を改善するとともに、Ni、Cr及びCuを適量含有してPを限定することで優れた溶接金属の耐候性が得られるソリッドワイヤが開示されている。
特許文献3には、ワイヤ中にS及びBiを適量添加することで、溶接作業性、特にスラグ剥離性を改善するとともに、Crを低く抑えつつNi及びCuを適量含有することで、優れた溶接金属の耐候性が得られるソリッドワイヤが開示されている。
さらに、特許文献4には、ワイヤ中にCrを添加しないでTi及びNiを適量添加し、Cu、Ni及びTiを規定することで、優れた溶接金属の耐候性が得られるソリッドワイヤが開示されている。
しかし、特許文献1〜4に記載の技術は、通常用途向けソリッドワイヤ由来の溶接金属に比べると優れた耐候性及び耐食性を示すものであるが、上述した飛来塩分量が多い環境下で塗装して用いられる新しい耐食鋼の溶接材料として用いた場合、溶接金属の耐食性は十分ではない。溶接継手の最終層である余盛部は、鋼板表面と比べて凸状で複雑な形状であるため、塗膜が薄手になる傾向がある。また、余盛部の塗膜は、使用環境において、例えば、積載物との接触や衝突が多いことから塗装の剥離が誘発されやすい。上記の理由から、飛来塩分量が多い環境下では、特に余盛部である溶接金属が、鋼構造物の大規模な腐食の進行の起点となりやすいという問題があった。
特開平5−200582号公報 特開2007−296541号公報 特開2003―311471号公報 特開2000―141081号公報
本発明は、海浜地域など飛来塩分量が多い環境下でも耐食性及び耐塗装剥離性に優れた特性を示す耐食鋼の溶接において、溶接作業性に優れ、かつ、耐食性及び耐塗装剥離性に優れるとともに、十分な機械的性質を示す溶接金属を得ることができる耐食鋼のガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤを提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の要旨は、以下の耐食鋼のガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤにある。
(1)ワイヤ全質量に対する質量%で、C:0.03〜0.15%、Si:0.4〜1.5%、Mn:1.3〜2.5%、Sn:0.05〜0.40%、Cu:0.05〜0.60%、Ti:0.1〜0.4%を含有し、Al:0.03%以下で、残部はFe及び不純物からなることを特徴とする耐食鋼のガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤ。
(2)ワイヤ全質量に対する質量%で、Mo:0.6%以下をさらに含有することを特徴とする耐食鋼のガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤ。
(3)ワイヤ全質量に対する質量%で、B:0.0150%以下をさらに含有することを特徴とする耐食鋼のガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤ。
本発明のガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤを、海浜地域など飛来塩分量が多い環境下でも耐食性及び耐塗装剥離性に優れた特性を示す耐食鋼の溶接に用いることにより、耐食性及び耐塗装剥離性に優れ、十分な機械的性質を示す溶接金属を、優れた溶接作業性の下で得ることができる。
溶接部の耐食性評価のための腐食試験片の採取位置を示した図である。 溶接部の塗装腐食性評価のための腐食試験片の形状及びクロスカットの概略を示した図である。 腐食試験方法(SAE J2334試験、1サイクルあたりの実施条件)の概略を示した図である。
本発明者らは、上記目的を達成できる耐食鋼のガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤを得るために、海浜地域などの飛来塩分量の多い環境下でも耐食性及び耐塗装剥離性に優れたTS490〜590MPa級の耐食鋼の溶接を、ソリッドワイヤの化学組成を様々に変化させて実施することで、溶接作業性及び得られた溶接金属の機械的性質や、耐食性と耐塗装剥離性を調査した。
その結果、ワイヤ中にスズ(Sn)及び銅(Cu)を適量含有させることによって飛来塩分の多い環境下における溶接金属の耐食性を向上できることを見出した。
Snが溶接金属の耐食性を向上させる理由は、溶接金属中の金属Snがスズイオン(II)(Sn2+)として溶出し、暴露されている部位、すなわち、酸性塩化物溶液中でインヒビター作用を示し、pHが低下したアノードでの腐食を抑制するためであること、さらに、腐食促進作用をもつ鉄(III)イオン(Fe3+)の濃度を低減させて、飛来塩分の多い環境における耐食性を向上させる作用があることを見出した。
Cuが溶接金属の耐食性を向上させる理由は、Cuが溶接金属そのものの溶解反応(腐食反応)の反応速度を低減すること、及び、Cuを含有する溶接金属では、表面(余盛部)に生成する腐食生成物(さび)が特徴的な微細かつ緻密な構造を呈することにより、水、酸素、塩化物イオン等の透過を抑制する防食性の高いさび層を形成するためであることを見出した。さらに、CuはSnと共存することにより、Snの耐食性の効果を増強させる作用があることを見出した。
また、溶接金属の機械的性質は、ワイヤ中にC、Mn、Si、Tiを適量含有することによって良好になることを見出した。
さらに、ワイヤ中にMo及びBを適量添加することにより、溶接金属の機械的性質をさらに向上できることを見出した。
溶接作業性については、ワイヤ中にSi及びTiを適量添加することで、アークを安定させてスパッタ発生量を低減できるとともに、融合不良等の溶接欠陥を防止できることを見出した。さらに、ワイヤ中のTi、Al量を規定することで、スラグ剥離性も改善できることを見出した。
以下に本発明の耐食鋼のガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤの化学組成の限定理由について説明する。なお、化学組成の含有量についての%は、ソリッドワイヤ全質量に対する質量%を示す。
[C:0.03〜0.15%]
Cは、溶接金属の焼入れ性を高め、強度及び靭性を確保する上で重要な元素である。Cが0.03%未満であると、溶接金属の強度及び靭性が低下する。一方、Cが0.15%を超えると、溶接金属中にCが過剰に歩留まり、溶接金属の強度が高くなって靭性が低下する。また、溶接金属の割れ感受性が高くなり、高温割れが発生しやすくなる。したがって、Cは0.03〜0.15%とする。好ましくは、0.04〜0.10%である。
[Si:0.4〜1.5%]
Siは、主要な脱酸元素であり、溶接金属中の酸素量を低下させて溶接金属の靭性を向上させるとともに、溶接時のアークの安定性を改善するのに重要な元素である。Siが0.4%未満では、それらの効果が得られず、溶接金属の靭性が低下する。また、アークが不安定となってスパッタ発生量が多くなるとともに、融合不良等の溶接欠陥が発生しやすくなる。一方、Siが1.5%を超えると、溶接金属中にSiが過剰に歩留まり、靭性が低下する。したがって、Siは0.4〜1.5%とする。好ましくは、0.4〜1.2%である。
[Mn:1.3〜2.5%]
Mnは、Siと同様に主要な脱酸元素であり、溶接金属の靭性を向上させるとともに、強度の向上にも有効な元素である。Mnが1.3%未満では、それらの効果が得られず、溶接金属の強度及び靱性が低下する。一方、Mnが2.5%を超えると、溶接金属中にMnが過剰に歩留まり、溶接金属の強度が高くなって靭性が低下する。したがって、Mnは1.3〜2.5%とする。好ましくは、1.3〜2.3%である。
[Sn:0.05〜0.40%]
Snは、溶接金属の耐食性及び耐塗装剥離性を向上させる重要な元素である。Snが0.05%未満では、耐食性及び耐塗装剥離性向上の効果は得られない。一方、Snが0.40%を超えると、溶接金属の割れ感受性が高くなり、高温割れが発生しやすくなる。また、溶接金属の粒界にSnが偏析して靭性が低下する。したがって、Snは0.05〜0.40%とする。好ましくは、0.05〜0.30%である。
[Cu:0.05〜0.60%]
Cuは、Snと同様に溶接金属の耐食性及び耐塗装剥離性を向上させる元素である。Cuが0.05%未満では、耐食性及び耐塗装剥離性向上の効果は得られない。一方、Cuが0.60%を超えると、溶接金属中にCuが過剰に歩留まり、溶接金属の靭性が低下する。また、溶接金属の割れ感受性が高くなり、高温割れが発生しやすくなる。したがって、Cuは0.05〜0.60%とする。好ましくは、0.05〜0.50%である。なお、ワイヤ送給性の改善の観点から、ワイヤ表面にCuめっきを施してもよく、ワイヤ全質量に対するCu量には、このめっき由来のCu量も含まれることになる。
[Ti:0.1〜0.4%]
Tiは、脱酸元素であり、溶接金属の靭性を向上させるとともに、溶接時のアークの安定性及びスラグ剥離性を改善する効果がある。Tiが0.1%未満では、溶接金属の靭性が低下する。また、アークが不安定になってスパッタ発生量が多くなるとともに、融合不良等の溶接欠陥が発生しやすくなる。さらに、スラグ剥離性も不良になる。一方、Tiが0.4%を超えると、溶接金属中にTiが過剰に歩留まり、溶接金属の靭性が低下する。また、スラグ生成量が多くなって、スラグ剥離性が不良になる。したがって、Tiは0.1〜0.4%とする。好ましくは、0.1〜0.3%である。
[Al:0.03%以下]
Alは、スラグの軟化温度を低下させてスラグと溶接金属表面の密着性を高くし、スラグ剥離性を低下させるため、Alは0.03%以下とする。
[Mo:0.6%以下]
Moは、溶接金属の焼入れ性を高めて溶接金属の強度を向上させる効果があり、必要に応じて含有される。しかし、Moが0.6%を超えると、溶接金属中に過剰に歩留まり、溶接金属の強度が高くなって靭性が低下する。したがって、Moを含有させる場合は0.6%以下とする。なお、溶接金属の強度を向上する効果を得るためには、Moを0.1%以上とすることが好ましい。
[B:0.0150%以下]
Bは、Tiとの相乗効果により溶接金属の組織を微細化して溶接金属の靭性の向上に効果があり、必要に応じて含有される。しかし、Bが0.0150%を超えると、溶接金属の強度が高くなって靭性が低下するとともに、溶接金属の割れ感受性が高くなって高温割れが発生しやすくなる。また、スラグの軟化温度を低下させてスラグと溶接金属表面との密着性を高めるため、スラグ剥離性が不良になる。したがって、Bを含有させる場合は0.0150%以下とする。なお、溶接金属の靭性を向上する効果を得るためには、Bを0.0020%以上とすることが好ましい。
以上の各化学組成のその他は、Fe及び不純物である。このようなソリッドワイヤは、通常の方法で製造できる。すなわち、所望の化学組成に調整した溶鋼を凝固させ、圧延により原線をつくり、縮径、焼鈍をして素線をつくる。さらに、素線を伸線していくことで、所望の直径のワイヤとする。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
表1に示す各種化学組成のソリッドワイヤを試作した。なお、ワイヤ径は1.2mmとした。
表1に示す試作ワイヤを用いてガスシールドアーク溶接を行い、溶接作業性、溶接欠陥の有無、溶接金属の機械的性質および耐食性について調査した。
Figure 0006787171
溶接金属の強度及び靱性の評価は、JIS Z 3111に準じて表2に示す溶接条件で溶着金属試験を行い、X線透過試験を行った後、引張試験、衝撃試験及び耐食性評価試験を実施して行った。母材には、質量%で、C:0.15%、Si:0.27%、Mn:1.15%、P:0.008%、S:0.001%、Sn:0.13%、Cu:0.012%、残部Feおよび不純物からなる板厚20mmの耐食鋼の鋼板を用いた。
Figure 0006787171
溶接作業性は、溶接時のアークの安定性、スパッタ発生量、スラグ剥離性の良否及び割れの有無を目視確認で評価した。
溶接金属の機械的性質は、溶接試験体の板厚中央から引張試験片(JIS Z 2241 A0号)及び衝撃試験片(JIS Z 2242 Vノッチ試験片)を採取することで評価した。引張試験の評価は、引張強さが490〜670MPaを良好とした。衝撃試験の評価は、0℃におけるシャルピー衝撃試験を行い、繰り返し3本の吸収エネルギーの平均値が80J以上を良好とした。
溶接欠陥の評価は、溶接試験体を、JIS Z 3106に準じてX線透過試験を実施し、融合不良等の溶接欠陥の有無を調査した。
耐食性の評価は次のように腐食試験片を作製して行った。図1に示す腐食試験片作製用の試料(厚さ3mm×幅60mm×長さ150mm)を溶接金属2が平面板の中央に位置するように母材1表面から深さ1mmの腐食試験片採取位置3から採取し、ショットブラスト処理後、炉内温度80℃で加熱乾燥させて腐食試験片素材とした。
腐食試験片素材の両面に、塗料A(中国塗料(株)製バンノー♯200)または塗料B(神東塗料(株)ネオゴーセイプライマーHB)いずれかの塗料を鋼材表面に塗装し、膜厚200〜350μmの腐食試験片を作製した。
上記腐食試験片に、図2に示すように溶接金属を跨ぐようにクロスカット4を施すことで塗膜傷を模擬した腐食試験片5を作製した。クロスカット4は、塗膜の上から下地の鋼表面まで達するスクラッチ疵をカッターナイフで施した。
その後、得られた腐食試験片5をSAE(Society of Automotive Engineers) J2334試験に準拠し、耐食性を評価した。
ここで、SAE J2334試験とは、湿潤過程:50℃、100%RHにて6時間、塩分付着過程:0.5質量%NaCl、0.1質量%CaCl、0.075質量%NaHCO水溶液浸漬にて0.25時間、乾燥過程:60℃、50%RHにて17.75時間、上記3過程を1サイクル(合計24時間)とした乾湿繰り返しの環境下で行う加速試験である。1サイクルの概略を図3に示す。飛来塩分量が1mddを超えるような厳しい腐食環境を模擬する試験である。この腐食形態が大気暴露試験に類似しているとされている(長野博夫、山下正人、内田仁著:環境材料学、共立出版(2004)、p.74参照)。
SAE J2334試験80サイクル後に、各試験片の塗膜剥離・膨れ面積率を算出した。その後、表面の残存塗膜と生成した錆層を除去し、塗装被膜疵部の腐食深さを測定後、塗膜傷部平均腐食深さを算出した。
耐食性・耐塗装剥離性の評価は、塗膜剥離・膨れ面積率が50%未満、かつ、塗膜傷部平均腐食深さが0.50mm未満を合格とした。
表3にこれらの試験結果をまとめて示す。
Figure 0006787171
表1及び表3中、ワイヤ記号1〜10が本発明例、ワイヤ記号11〜25は比較例である。
本発明例であるワイヤ記号1〜10は、各ワイヤの化学組成が適正であるので、アーク状態が良好でスパッタ発生量が少なく、スラグ剥離性が良好、クレータ割れ及び溶接欠陥がない。溶接金属の引張強さ及び吸収エネルギーは良好であり、塗装剥離・膨れ面積率及び塗膜傷部平均腐食深さが小さく、極めて良好な結果であった。
なお、ワイヤ記号4、6、8〜10はMoが適正量添加されているので、引張強さが600MPa以上で、ワイヤ記号5、7〜9はBが適正量添加されているので、吸収エネルギーが120J以上であった。
比較例中、ワイヤ記号11は、Cが少ないので、溶接金属の引張強さが低く、吸収エネルギーも低かった。
ワイヤ記号12は、Cが多いので、溶接金属の引張強さが高く、吸収エネルギーが低かった。また、クレータ割れが発生した。
ワイヤ記号13は、Siが少ないので、溶接金属の吸収エネルギーが低かった。また、アークが不安定でスパッタ発生量も多く、溶接部に融合不良が発生した。
ワイヤ記号14は、Siが多いので、溶接金属の吸収エネルギーが低かった。
ワイヤ記号15は、Mnが少ないので、溶接金属の引張強さ及び吸収エネルギーが低かった。
ワイヤ記号16は、Mnが多いので、溶接金属の引張強さが高く、吸収エネルギーが低かった。
ワイヤ記号17は、Snが少ないので、塗装剥離・膨れ面積率が大きく、塗膜傷部平均腐食深さが大きい。
ワイヤ記号18は、Snが多いので、溶接金属の吸収エネルギーが低かった。また、クレータ割れが発生した。
ワイヤ記号19は、Cuが少ないので、塗装剥離・膨れ面積率が大きく、塗膜傷部平均腐食深さが大きい。
ワイヤ記号20は、Cuが多いので、溶接金属の吸収エネルギーが低かった。また、クレータ割れが発生した。
ワイヤ記号21は、Tiが少ないので、溶接金属の吸収エネルギーが低かった。また、アークが不安定でスパッタ発生量が多く、スラグ剥離性が不良であった。さらに、溶接部に融合不良が発生した。
ワイヤ記号22は、Tiが多いので、溶接金属の吸収エネルギーが低かった。また、スラグ剥離性も不良であった。
ワイヤ記号23は、Alが多いので、スラグ剥離性が不良であった。
ワイヤ記号24は、Moが多いので、溶接金属の引張強さが高く、吸収エネルギーが低かった。
ワイヤ記号25は、Bが多いので、溶接金属の引張強さが高く、吸収エネルギーが低かった。また、高温割れが発生し、スラグ剥離性が不良であった。
1 母材
2 溶接金属
3 腐食試験片の採取位置
4 クロスカット
5 腐食試験片

Claims (3)

  1. ワイヤ全質量に対する質量%で、
    C:0.03〜0.15%、
    Si:0.4〜1.5%、
    Mn:1.3〜2.5%、
    Sn:0.05〜0.40%、
    Cu:0.05〜0.60%、
    Ti:0.1〜0.4%を含有し、
    Al:0.03%以下で、
    残部はFe及び不純物からなることを特徴とする耐食鋼のガスシールド溶接用ソリッドワイヤ。
  2. ワイヤ全質量に対する質量%で、Mo:0.6%以下をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の耐食鋼のガスシールド溶接用ソリッドワイヤ。
  3. ワイヤ全質量に対する質量%で、B:0.0150%以下をさらに含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐食鋼のガスシールド溶接用ソリッドワイヤ。
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