JP2002336989A - 海浜耐候性鋼用溶接材料 - Google Patents
海浜耐候性鋼用溶接材料Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】海浜耐候性に優れた鋼材の溶接部が高飛来性塩
分環境下で優れた耐候性を有する溶接材料を提供する。 【解決手段】飛来性塩分の多い環境下で使用される耐候
性鋼を溶接する溶接材料であって、溶着金属の化学組成
が質量%でCuを0.05〜1.00%、Niを0.20〜5.00%、Crを
0.10〜1.50%、Moを0.05〜1.00%を含み、かつ下記式
で求められるPeqが1.5〜4.0%、式で求められるCeqが
0.30〜0.55%である溶接材料。 Peq=Cu(%)+Ni(%)+Cr(%)+Mo(%) ・・・・・・・・・・・・・・・・ Ceq=C(%)+Mn(%)/6+Si(%)/24+Ni(%)/40+Cr(%)/5+Mo(%)/4 ・・・
分環境下で優れた耐候性を有する溶接材料を提供する。 【解決手段】飛来性塩分の多い環境下で使用される耐候
性鋼を溶接する溶接材料であって、溶着金属の化学組成
が質量%でCuを0.05〜1.00%、Niを0.20〜5.00%、Crを
0.10〜1.50%、Moを0.05〜1.00%を含み、かつ下記式
で求められるPeqが1.5〜4.0%、式で求められるCeqが
0.30〜0.55%である溶接材料。 Peq=Cu(%)+Ni(%)+Cr(%)+Mo(%) ・・・・・・・・・・・・・・・・ Ceq=C(%)+Mn(%)/6+Si(%)/24+Ni(%)/40+Cr(%)/5+Mo(%)/4 ・・・
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐候性鋼材用溶接
材料に関し、特に海浜などの飛来性塩分の多い環境に建
造された構造物であっても溶接部の耐候性を損なわない
溶接材料に関する。
材料に関し、特に海浜などの飛来性塩分の多い環境に建
造された構造物であっても溶接部の耐候性を損なわない
溶接材料に関する。
【0002】
【従来の技術】耐候性鋼材は、大気中で表面に保護性の
皮膜(さび層)を生成し、腐食の進行を著しく抑制する
ように化学組成が調整されている(日本工業規格、JIS
Z 3114参照)。その為、無塗装で使用できるメンテナン
スフリー鋼材として橋梁などの構造物に用いられてい
る。しかし、海浜地域あるいは融雪塩を散布する地域な
どのように飛来性塩分の多い環境では、保護性の皮膜
(さび層)が生成せず、腐食の抑制効果が見られなくな
る。
皮膜(さび層)を生成し、腐食の進行を著しく抑制する
ように化学組成が調整されている(日本工業規格、JIS
Z 3114参照)。その為、無塗装で使用できるメンテナン
スフリー鋼材として橋梁などの構造物に用いられてい
る。しかし、海浜地域あるいは融雪塩を散布する地域な
どのように飛来性塩分の多い環境では、保護性の皮膜
(さび層)が生成せず、腐食の抑制効果が見られなくな
る。
【0003】このように飛来性塩分の多い環境(以下、
これを「高飛来性塩分環境」という)で使用される耐候
性鋼材として、Cr含有量を高めた材料(特開平6-99372
号公報、同9-176790号公報、参照)、Ni含有量を高めた
材料(特開平5-51668号公報、参照)、P含有量を高めた
材料(特開平10-251797号公報、参照)などが提案され
ている。また、本出願人の一人は、Cu、Cr、Niの含有量
の和を1.5〜6.0%および溶接割れ感受性指数Pcmを0.2%
以下とする海浜耐候性に優れた鋼材を提案した(特開20
00-297343号公報、参照)。
これを「高飛来性塩分環境」という)で使用される耐候
性鋼材として、Cr含有量を高めた材料(特開平6-99372
号公報、同9-176790号公報、参照)、Ni含有量を高めた
材料(特開平5-51668号公報、参照)、P含有量を高めた
材料(特開平10-251797号公報、参照)などが提案され
ている。また、本出願人の一人は、Cu、Cr、Niの含有量
の和を1.5〜6.0%および溶接割れ感受性指数Pcmを0.2%
以下とする海浜耐候性に優れた鋼材を提案した(特開20
00-297343号公報、参照)。
【0004】これらの耐候性鋼材は、それに類似した耐
候性鋼用溶接材料(JIS Z 3214、同3315、同3320参照)
を用いて溶接されていたが、高飛来性塩分環境では鋼材
および溶接材料ともに十分な耐食性を得ることができ
ず、上記の海浜耐候性鋼材およびそれに適する溶接材料
が必要とされていた。
候性鋼用溶接材料(JIS Z 3214、同3315、同3320参照)
を用いて溶接されていたが、高飛来性塩分環境では鋼材
および溶接材料ともに十分な耐食性を得ることができ
ず、上記の海浜耐候性鋼材およびそれに適する溶接材料
が必要とされていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】高飛来性塩分環境で耐
候性を発揮する鋼材であっても、上記のように従来の耐
候性鋼用溶接材料または耐海水性鋼用溶接材料で溶接さ
れた溶接部は、高飛来性塩分環境下では耐食性が劣り、
塗装が必要である。
候性を発揮する鋼材であっても、上記のように従来の耐
候性鋼用溶接材料または耐海水性鋼用溶接材料で溶接さ
れた溶接部は、高飛来性塩分環境下では耐食性が劣り、
塗装が必要である。
【0006】本発明の目的は、海浜耐候性に優れた鋼材
の溶接部が高飛来性塩分環境下であっても優れた耐候性
を持つことのできる溶接材料を提供することにある。
の溶接部が高飛来性塩分環境下であっても優れた耐候性
を持つことのできる溶接材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、海浜耐候
性鋼材を種々の溶接材料で溶接した腐食試験片を高飛来
性塩分環境下で暴露試験に供し、少なくとも母材の耐食
性に優る溶接金属が得られる溶接材料を見いだし、本発
明を完成した。
性鋼材を種々の溶接材料で溶接した腐食試験片を高飛来
性塩分環境下で暴露試験に供し、少なくとも母材の耐食
性に優る溶接金属が得られる溶接材料を見いだし、本発
明を完成した。
【0008】本発明の要旨は、下記の海浜耐候性鋼用溶
接材料にある。
接材料にある。
【0009】飛来性塩分の多い環境下で使用される耐候
性鋼を溶接する溶接材料であって、溶着金属の化学組成
が質量%でC:0.10%以下、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.40
〜2.00%、P:0.040%以下、S:0.015%以下、Cu:0.05
〜1.00%、Ni:0.20〜5.00%、Cr:0.10〜1.50%、Mo:
0.05〜1.00%、B:0.0050%以下およびAl:0.02%以下
を含み、さらに、V:0.05%以下およびTi:0.10%以下
のうち1種または2種を含み、残部Feおよび不純物から
なり、かつ下記式で求められるPeqが1.5〜4.0%、
式で求められるCeqが0.30〜0.55%である海浜耐候性鋼
用溶接材料。 Peq=Cu(%)+Ni(%)+Cr(%)+Mo(%) ・・・・・・・・・・・・・・・・ Ceq=C(%)+Mn(%)/6+Si(%)/24+Ni(%)/40+Cr(%)/5+Mo(%)/4 ・・・ 上記の溶接材料は、被覆アーク溶接棒、ガスシールドア
ーク溶接フラックス入りワイヤ、ガスシールドアーク溶
接ソリッドワイヤまたはサブマージアーク溶接材料とし
て使用できるものである。
性鋼を溶接する溶接材料であって、溶着金属の化学組成
が質量%でC:0.10%以下、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.40
〜2.00%、P:0.040%以下、S:0.015%以下、Cu:0.05
〜1.00%、Ni:0.20〜5.00%、Cr:0.10〜1.50%、Mo:
0.05〜1.00%、B:0.0050%以下およびAl:0.02%以下
を含み、さらに、V:0.05%以下およびTi:0.10%以下
のうち1種または2種を含み、残部Feおよび不純物から
なり、かつ下記式で求められるPeqが1.5〜4.0%、
式で求められるCeqが0.30〜0.55%である海浜耐候性鋼
用溶接材料。 Peq=Cu(%)+Ni(%)+Cr(%)+Mo(%) ・・・・・・・・・・・・・・・・ Ceq=C(%)+Mn(%)/6+Si(%)/24+Ni(%)/40+Cr(%)/5+Mo(%)/4 ・・・ 上記の溶接材料は、被覆アーク溶接棒、ガスシールドア
ーク溶接フラックス入りワイヤ、ガスシールドアーク溶
接ソリッドワイヤまたはサブマージアーク溶接材料とし
て使用できるものである。
【0010】本発明の溶接材料は、上記のような組成の
溶着金属を生成する溶接材料である。従って、各溶接法
ごとにシールドガスや、ワイヤとフラックスの組み合わ
せにより溶着金属の化学組成が上記のとおりになるよう
にすればよい。
溶着金属を生成する溶接材料である。従って、各溶接法
ごとにシールドガスや、ワイヤとフラックスの組み合わ
せにより溶着金属の化学組成が上記のとおりになるよう
にすればよい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の溶接材料を用いて溶接す
る母材は、従来の耐候性鋼材よりもNi、Cr、Cuの含有量
を増量した海浜耐候性鋼材である。たとえば、質量%で
C:0.15%以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、P:0.
040%以下、Cu:0.05〜1.00%、Ni:0.2〜6.5%、Cr:
0.10〜2.0%を含有し、かつ、W:0.01〜1.0%、Mo:0.0
1〜1.0%、V:0.01〜1.0%のうち1種または2種以上の
化学組成を含む鋼材を用いる。このため、母材と溶接金
属との間で耐候性、強度、靱性などのバランスをとる必
要がある。
る母材は、従来の耐候性鋼材よりもNi、Cr、Cuの含有量
を増量した海浜耐候性鋼材である。たとえば、質量%で
C:0.15%以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、P:0.
040%以下、Cu:0.05〜1.00%、Ni:0.2〜6.5%、Cr:
0.10〜2.0%を含有し、かつ、W:0.01〜1.0%、Mo:0.0
1〜1.0%、V:0.01〜1.0%のうち1種または2種以上の
化学組成を含む鋼材を用いる。このため、母材と溶接金
属との間で耐候性、強度、靱性などのバランスをとる必
要がある。
【0012】これを解決するため、本発明者らは、海浜
耐候性鋼材を種々の化学組成を有する溶接材料で溶接
し、その溶接金属を含む腐食試験片を用いて高飛来性塩
分環境下で暴露試験を行った。そして、耐食性と溶接金
属の化学組成との関係を整理し、母材の耐食性に劣らな
い溶接金属が得られる溶接材料の化学組成を求め、それ
を溶着金属の化学組成で定義した。
耐候性鋼材を種々の化学組成を有する溶接材料で溶接
し、その溶接金属を含む腐食試験片を用いて高飛来性塩
分環境下で暴露試験を行った。そして、耐食性と溶接金
属の化学組成との関係を整理し、母材の耐食性に劣らな
い溶接金属が得られる溶接材料の化学組成を求め、それ
を溶着金属の化学組成で定義した。
【0013】本明細書において「溶接金属の化学組成」
とは、溶接ビードの幅中心の表層部の分析値(実際に
は、腐食試験片の溶接ビードの幅の大きい表面をカント
バック分析法によって得た値であり、母材成分の影響が
殆どない)である。また、「溶着金属の化学組成」と
は、分析試料をJIS G3184に基づき製作し、カントバッ
ク分析法によって得た値である。さらに、「溶接部」と
は、母材と溶接材料とが溶融凝固した部分および母材の
熱影響部(いわゆるHAZ)を含む部分をいう。
とは、溶接ビードの幅中心の表層部の分析値(実際に
は、腐食試験片の溶接ビードの幅の大きい表面をカント
バック分析法によって得た値であり、母材成分の影響が
殆どない)である。また、「溶着金属の化学組成」と
は、分析試料をJIS G3184に基づき製作し、カントバッ
ク分析法によって得た値である。さらに、「溶接部」と
は、母材と溶接材料とが溶融凝固した部分および母材の
熱影響部(いわゆるHAZ)を含む部分をいう。
【0014】本発明では溶接材料の化学組成を溶着金属
の化学組成で規定したが、上記のとおり、溶接金属の分
析値は母材成分の影響を殆ど受けない。従って、溶接金
属の化学組成の作用効果と、溶着金属の各成分の作用効
果は実質的に同じとみてよい。以上の理由から、以下の
溶着金属の組成の限定理由は、溶接金属中の各成分の作
用効果と関連づけて説明する。なお、その中で「溶接材
料」とあるのは前記の溶接金属を生成させる溶接材料の
ことである。 C:0.10%以下 Cは、溶接金属の強度を高める元素であるが、その含有
量が0.10%を超えると、高温割れを発生させ、フェライ
ト・パーライト組織ではCr炭化物を形成してカソードと
して作用し、耐候性を劣化させる。したがって、溶接材
料のC含有量は、0.10%以下とした。しかし、所定強度
(引張強度490MPa以上)の溶接金属を得るためには、C
含有量は0.02%以上とするのが望ましい。 Si:0.1〜1.0% Siは、被覆アーク溶接棒、ガスシールドアーク溶接用ソ
リッドワイヤ、炭酸ガスシールドアーク溶接用フラック
ス入りワイヤを用いる溶接方法では溶接中に溶融金属の
脱酸元素として働き、溶接金属のブローホールなどの欠
陥の発生を防止する。このためには、Si含有量が0.1%
未満ではそれらの効果を得ることができない。また、1.
0%を超えると、溶接金属の靱性が低下する。したがっ
て、溶接材料のSi含有量は、0.1〜1.0%とした。 Mn:0.40〜2.00% Mnは、溶接金属の強度を確保し、さらにSiと同様に脱酸
効果を有している。しかし、溶接金属のMn含有量が0.40
%未満では、それらの効果を得ることができない。ま
た、2.0%を超えて含有すると、Sと結合してMnSを生成
し、腐食の起点となり耐候性を劣化させる。したがっ
て、溶接材料のMnの含有量は、0.40〜2.0%とした。 P:0.040%以下 Pは、耐候性を向上させる元素であるが、溶接金属に高
温割れを発生させることがあるので許容できる含有量の
上限は0.040%である。したがって、溶接材料のP含有量
は、0.040%以下とした。 S:0.015%以下 Sは、Mnと結合してMnSを生成し、耐候性を劣化させる元
素であり、極力少なくすることが望ましい。しかし、溶
接材料を溶製する段階で不可避的に含有される元素であ
り、その許容上限は0.015%である。したがって、溶接
材料のS含有量は、0.015%以下とした。 Cu:0.05〜1.00% Cuは、耐候性を向上させる元素であり、0.05%以上含有
させることによりその効果が得られる。しかし、溶接金
属のCu含有量が1.00%を超えると靱性を低下させるとと
もに、高温割れが発生することがある。したがって、溶
接材料のCuの含有量は、0.05〜1.00%とした。 Ni:0.20〜5.00% Niを含有するさびは、塩化物イオンの侵入を抑制するた
め、Niは飛来性塩分の多い環境における耐候性の改善に
は有効な元素である。しかし、溶接金属のNiの含有量が
0.20%未満では、その効果が得られない。一方、溶接金
属のNiの含有量が5.00%を超えると強度が高くなりすぎ
る。したがって、溶接材料のNiの含有量は、0.20〜5.00
%とした。 Cr:0.10〜1.50% Crは、さび中のα−FeOOHのFeの一部をCrで置換し、微
細化して緻密な保護性さびを形成して、塩化物イオンの
侵入を抑制する。しかし、溶接金属のCr含有量が0.10%
未満では、その効果が得られず、高飛来性塩分環境にお
ける耐候性を確保できない。また、溶接金属のCr含有量
が1.50%を超えると、塩分が堆積するような環境におい
ては孔食が発生することがある。したがって、溶接材料
のCr含有量は、0.10〜1.50%とした。 Mo:0.05〜1.00% Moは、さび中に酸素酸イオンMoO4 2−の形で存在し、
そのためにさび層がカチオン選択性を有するため、塩化
物イオンの侵入を抑制する効果がある。しかし、溶接金
属のMo含有量が0.05%未満では、その効果が得られな
い。また、溶接金属のMo含有量が1.00%を超えるとその
効果が飽和するだけでなく、溶接金属の強度が高くなり
すぎ、割れ感受性が高くなる。したがって、溶接材料の
Mo含有量は、0.05〜1.00%とした。 V:0.05%以下 Vは、Moと同様の効果があり、さび中に酸素酸イオンVO
4 −を形成して塩化物イオンの侵入を抑制し、耐候性を
改善する効果がある。しかし、溶接金属のVの含有量が
0.003%未満ではその効果が小さいので0.003%以上の含
有が望ましい。また、0.05%を超えてもその効果が飽和
する。したがって、溶接材料のV含有量は0.05%以下と
した。 Ti:0.10%以下 Tiは、溶融金属中でCと結合してTiCを生成し、Cr炭化物
の生成を抑制するとともに、Sとも結合してTiSを生成
し、腐食の起点となるMnSの生成を抑制し、耐候性を改
善する効果がある。しかし、溶接金属のTi含有量が0.00
4%未満ではその効果が小さいので0.004%以上の含有が
望ましい。また、溶接金属のTi含有量が0.10%を超える
とその効果が飽和するばかりではなく、溶接部の強度が
高くなりすぎる。したがって、溶接材料のTi含有量は、
0.10%以下とした。 Al:0.02%以下 Alは、溶接材料を溶製する際の脱酸材として添加され、
また溶接材料に脱酸剤として添加される場合がある。し
かし、その含有量が0.02%を超えると、溶接金属の靱性
が低下する。なお、溶接金属中にはAlは実質的に含有さ
れていなくとも良い。 B:0.0050%以下 Bは、溶接金属の靱性を改善する効果があるので必要に
応じて添加する。しかし、溶接金属のB含有量が0.0050
%を超えると逆に靱性を低下させて、溶接金属に割れを
発生させる。したがって、溶接材料のB含有量は、0.0050
%以下とした。 Peq:1.5〜4.0% Peqは、溶着金属の化学組成から次の式によって計算
した値である。 Peq=Cu(%)+Ni(%)+Cr(%)+Mo(%) ・・・・・ 海浜地区において鋼材の耐候性を高めるためには、上述
したようにさびの中に塩化物イオンの侵入を抑制する皮
膜を生成する元素であるCu、Cr、NiおよびMoに注目し、
実験結果から、これらの含有量の和を規定することとし
た。溶接金属の耐食性を母材のそれに劣らない範囲とす
るには、Cu、Cr、NiおよびMoの含有量の和Peqが1.5%以
上必要であることがわかった。しかし、Peqが4.0%を超
えると溶接部の強度が高くなりすぎ、割れ感受性が高く
なる。したがって、溶接材料のCu、Cr、NiおよびMoの含
有量の和Peqは、1.5〜4.0%とした。 Ceq:0.30〜0.55% Ceqは、溶着金属の化学組成から次の式によって計算
した値である。 Ceq=C(%)+Mn(%)/6+Si(%)/24+Ni(%)/40+Cr(%)/5+Mo(%)/4 ・・・ 溶接金属は、腐食のほかに強度や耐溶接割れ性などを備
えていることが必要である。溶接金属のCeqが、0.30%
未満では引張り強さが490MPa未満となり、母材と同等の
強度を得ることができない。また、Ceqが0.55%を超え
ると溶接金属の引張り強さが750MPa以上となり、母材の
強度を超え、耐割れ性も低下する。したがって、溶接材
料のCeqは、0.30〜0.55%とした。
の化学組成で規定したが、上記のとおり、溶接金属の分
析値は母材成分の影響を殆ど受けない。従って、溶接金
属の化学組成の作用効果と、溶着金属の各成分の作用効
果は実質的に同じとみてよい。以上の理由から、以下の
溶着金属の組成の限定理由は、溶接金属中の各成分の作
用効果と関連づけて説明する。なお、その中で「溶接材
料」とあるのは前記の溶接金属を生成させる溶接材料の
ことである。 C:0.10%以下 Cは、溶接金属の強度を高める元素であるが、その含有
量が0.10%を超えると、高温割れを発生させ、フェライ
ト・パーライト組織ではCr炭化物を形成してカソードと
して作用し、耐候性を劣化させる。したがって、溶接材
料のC含有量は、0.10%以下とした。しかし、所定強度
(引張強度490MPa以上)の溶接金属を得るためには、C
含有量は0.02%以上とするのが望ましい。 Si:0.1〜1.0% Siは、被覆アーク溶接棒、ガスシールドアーク溶接用ソ
リッドワイヤ、炭酸ガスシールドアーク溶接用フラック
ス入りワイヤを用いる溶接方法では溶接中に溶融金属の
脱酸元素として働き、溶接金属のブローホールなどの欠
陥の発生を防止する。このためには、Si含有量が0.1%
未満ではそれらの効果を得ることができない。また、1.
0%を超えると、溶接金属の靱性が低下する。したがっ
て、溶接材料のSi含有量は、0.1〜1.0%とした。 Mn:0.40〜2.00% Mnは、溶接金属の強度を確保し、さらにSiと同様に脱酸
効果を有している。しかし、溶接金属のMn含有量が0.40
%未満では、それらの効果を得ることができない。ま
た、2.0%を超えて含有すると、Sと結合してMnSを生成
し、腐食の起点となり耐候性を劣化させる。したがっ
て、溶接材料のMnの含有量は、0.40〜2.0%とした。 P:0.040%以下 Pは、耐候性を向上させる元素であるが、溶接金属に高
温割れを発生させることがあるので許容できる含有量の
上限は0.040%である。したがって、溶接材料のP含有量
は、0.040%以下とした。 S:0.015%以下 Sは、Mnと結合してMnSを生成し、耐候性を劣化させる元
素であり、極力少なくすることが望ましい。しかし、溶
接材料を溶製する段階で不可避的に含有される元素であ
り、その許容上限は0.015%である。したがって、溶接
材料のS含有量は、0.015%以下とした。 Cu:0.05〜1.00% Cuは、耐候性を向上させる元素であり、0.05%以上含有
させることによりその効果が得られる。しかし、溶接金
属のCu含有量が1.00%を超えると靱性を低下させるとと
もに、高温割れが発生することがある。したがって、溶
接材料のCuの含有量は、0.05〜1.00%とした。 Ni:0.20〜5.00% Niを含有するさびは、塩化物イオンの侵入を抑制するた
め、Niは飛来性塩分の多い環境における耐候性の改善に
は有効な元素である。しかし、溶接金属のNiの含有量が
0.20%未満では、その効果が得られない。一方、溶接金
属のNiの含有量が5.00%を超えると強度が高くなりすぎ
る。したがって、溶接材料のNiの含有量は、0.20〜5.00
%とした。 Cr:0.10〜1.50% Crは、さび中のα−FeOOHのFeの一部をCrで置換し、微
細化して緻密な保護性さびを形成して、塩化物イオンの
侵入を抑制する。しかし、溶接金属のCr含有量が0.10%
未満では、その効果が得られず、高飛来性塩分環境にお
ける耐候性を確保できない。また、溶接金属のCr含有量
が1.50%を超えると、塩分が堆積するような環境におい
ては孔食が発生することがある。したがって、溶接材料
のCr含有量は、0.10〜1.50%とした。 Mo:0.05〜1.00% Moは、さび中に酸素酸イオンMoO4 2−の形で存在し、
そのためにさび層がカチオン選択性を有するため、塩化
物イオンの侵入を抑制する効果がある。しかし、溶接金
属のMo含有量が0.05%未満では、その効果が得られな
い。また、溶接金属のMo含有量が1.00%を超えるとその
効果が飽和するだけでなく、溶接金属の強度が高くなり
すぎ、割れ感受性が高くなる。したがって、溶接材料の
Mo含有量は、0.05〜1.00%とした。 V:0.05%以下 Vは、Moと同様の効果があり、さび中に酸素酸イオンVO
4 −を形成して塩化物イオンの侵入を抑制し、耐候性を
改善する効果がある。しかし、溶接金属のVの含有量が
0.003%未満ではその効果が小さいので0.003%以上の含
有が望ましい。また、0.05%を超えてもその効果が飽和
する。したがって、溶接材料のV含有量は0.05%以下と
した。 Ti:0.10%以下 Tiは、溶融金属中でCと結合してTiCを生成し、Cr炭化物
の生成を抑制するとともに、Sとも結合してTiSを生成
し、腐食の起点となるMnSの生成を抑制し、耐候性を改
善する効果がある。しかし、溶接金属のTi含有量が0.00
4%未満ではその効果が小さいので0.004%以上の含有が
望ましい。また、溶接金属のTi含有量が0.10%を超える
とその効果が飽和するばかりではなく、溶接部の強度が
高くなりすぎる。したがって、溶接材料のTi含有量は、
0.10%以下とした。 Al:0.02%以下 Alは、溶接材料を溶製する際の脱酸材として添加され、
また溶接材料に脱酸剤として添加される場合がある。し
かし、その含有量が0.02%を超えると、溶接金属の靱性
が低下する。なお、溶接金属中にはAlは実質的に含有さ
れていなくとも良い。 B:0.0050%以下 Bは、溶接金属の靱性を改善する効果があるので必要に
応じて添加する。しかし、溶接金属のB含有量が0.0050
%を超えると逆に靱性を低下させて、溶接金属に割れを
発生させる。したがって、溶接材料のB含有量は、0.0050
%以下とした。 Peq:1.5〜4.0% Peqは、溶着金属の化学組成から次の式によって計算
した値である。 Peq=Cu(%)+Ni(%)+Cr(%)+Mo(%) ・・・・・ 海浜地区において鋼材の耐候性を高めるためには、上述
したようにさびの中に塩化物イオンの侵入を抑制する皮
膜を生成する元素であるCu、Cr、NiおよびMoに注目し、
実験結果から、これらの含有量の和を規定することとし
た。溶接金属の耐食性を母材のそれに劣らない範囲とす
るには、Cu、Cr、NiおよびMoの含有量の和Peqが1.5%以
上必要であることがわかった。しかし、Peqが4.0%を超
えると溶接部の強度が高くなりすぎ、割れ感受性が高く
なる。したがって、溶接材料のCu、Cr、NiおよびMoの含
有量の和Peqは、1.5〜4.0%とした。 Ceq:0.30〜0.55% Ceqは、溶着金属の化学組成から次の式によって計算
した値である。 Ceq=C(%)+Mn(%)/6+Si(%)/24+Ni(%)/40+Cr(%)/5+Mo(%)/4 ・・・ 溶接金属は、腐食のほかに強度や耐溶接割れ性などを備
えていることが必要である。溶接金属のCeqが、0.30%
未満では引張り強さが490MPa未満となり、母材と同等の
強度を得ることができない。また、Ceqが0.55%を超え
ると溶接金属の引張り強さが750MPa以上となり、母材の
強度を超え、耐割れ性も低下する。したがって、溶接材
料のCeqは、0.30〜0.55%とした。
【0015】
【実施例】海浜耐候性鋼板(0.06%C−0.20%Si−0.74%Mn
−0.32%Cu−2.12%Ni−0.47%Cr−0.25Mo、厚さ12mm)か
ら図1(a)に示す溶接試験材1を採取し、板幅の中央にX
開先を設け、溶着金属の化学組成が表1の上段に示す溶
接材料を用い、図1(b)および(c)に示すように溶接金属
2を広くした溶接(片面あたり3層盛り)を行った。こ
れは、溶接金属の化学組成に母材成分の影響をできるだ
け小さくするためである。
−0.32%Cu−2.12%Ni−0.47%Cr−0.25Mo、厚さ12mm)か
ら図1(a)に示す溶接試験材1を採取し、板幅の中央にX
開先を設け、溶着金属の化学組成が表1の上段に示す溶
接材料を用い、図1(b)および(c)に示すように溶接金属
2を広くした溶接(片面あたり3層盛り)を行った。こ
れは、溶接金属の化学組成に母材成分の影響をできるだ
け小さくするためである。
【0016】
【表1】
【0017】溶接試験には、SMAW(被覆アーク溶接棒に
よる溶接)、FCAW(ガスシールドアーク溶接用フラック
ス入りワイヤによる溶接)、SAW(サブマージアーク溶
接)、GMAW(ガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤ
による溶接)の4とおりの溶接方法を用いた。入熱量
は、SMAWでは17〜23kJ/cm、FCAWおよびGMAWでは16〜18k
J/cm、SAWでは22〜60kJ/cmとした。
よる溶接)、FCAW(ガスシールドアーク溶接用フラック
ス入りワイヤによる溶接)、SAW(サブマージアーク溶
接)、GMAW(ガスシールドアーク溶接用ソリッドワイヤ
による溶接)の4とおりの溶接方法を用いた。入熱量
は、SMAWでは17〜23kJ/cm、FCAWおよびGMAWでは16〜18k
J/cm、SAWでは22〜60kJ/cmとした。
【0018】図1(b)に示す溶接試験材から図1(c)に示
す位置で腐食試験片4および引張試験片3(JIS Z 3111に
規定されたA2号試験片)を採取した。腐食試験片は、図
1(d)に示すように溶接金属を含めた表面から平板状の
試験片を採取した。
す位置で腐食試験片4および引張試験片3(JIS Z 3111に
規定されたA2号試験片)を採取した。腐食試験片は、図
1(d)に示すように溶接金属を含めた表面から平板状の
試験片を採取した。
【0019】表1に示す化学組成は、上段には溶接材料
の溶着金属の分析値を、下段には上段の成分を含有する
溶接材料を用いて溶接した部分の溶接金属の分析値を示
した。溶着金属の分析試料はJIS G3184に基づき製作
し、カントバック分析法によって分析した。溶接金属の
分析値は、腐食試験片の溶接部中央の表面をカントバッ
ク分析法によって分析した値である。
の溶着金属の分析値を、下段には上段の成分を含有する
溶接材料を用いて溶接した部分の溶接金属の分析値を示
した。溶着金属の分析試料はJIS G3184に基づき製作
し、カントバック分析法によって分析した。溶接金属の
分析値は、腐食試験片の溶接部中央の表面をカントバッ
ク分析法によって分析した値である。
【0020】腐食試験は、海浜地帯(沖縄県)で行い、
図1(d)に示す腐食試験片を水平にして2年間暴露し
た。腐食量は、表面のさびを除去し、重量測定結果から
全面腐食として溶接金属の厚さ方向の減量を計算した。
なお、母材の平均腐食量は、4.8μmであった。飛来塩
分量は、ガーゼ法(JIS Z 2381に規定される方法)を用
いて測定した結果、NaClに換算して、0.5 mg/(dm2・da
y)であり、厳しい腐食環境であった。
図1(d)に示す腐食試験片を水平にして2年間暴露し
た。腐食量は、表面のさびを除去し、重量測定結果から
全面腐食として溶接金属の厚さ方向の減量を計算した。
なお、母材の平均腐食量は、4.8μmであった。飛来塩
分量は、ガーゼ法(JIS Z 2381に規定される方法)を用
いて測定した結果、NaClに換算して、0.5 mg/(dm2・da
y)であり、厳しい腐食環境であった。
【0021】それらの試験結果を表1に示す。腐食減量
は、10点の測定値の平均値である。
は、10点の測定値の平均値である。
【0022】これらの試験結果の中で腐食減量が10点平
均値で15μm以下、引張強さが490〜750MPaの範囲のも
のを本発明の目的に適うものとした。
均値で15μm以下、引張強さが490〜750MPaの範囲のも
のを本発明の目的に適うものとした。
【0023】表1の結果から明らかなように、本発明例
の試験番号1〜9の溶接材料(溶着金属のPeqが1.64〜3.5
5%、Ceqが0.332〜0.451%の範囲)を用いて溶接した試
験材は、溶接金属のPeqが1.63〜3.57%の範囲にあり、
溶接金属の腐食減量は3.87〜10.84μmと少ない。ま
た、溶接金属のCeqが0.336〜0.461%の範囲にあり、溶
接部の引張強さは661〜723MPaの範囲にあり、いずれも
良好である。
の試験番号1〜9の溶接材料(溶着金属のPeqが1.64〜3.5
5%、Ceqが0.332〜0.451%の範囲)を用いて溶接した試
験材は、溶接金属のPeqが1.63〜3.57%の範囲にあり、
溶接金属の腐食減量は3.87〜10.84μmと少ない。ま
た、溶接金属のCeqが0.336〜0.461%の範囲にあり、溶
接部の引張強さは661〜723MPaの範囲にあり、いずれも
良好である。
【0024】比較例の番号10の溶接試験材は、溶着金属
がNiおよびBを含有せず、Crが2.21%およびMoが1.01%
と本発明で定める範囲よりも多く含有し、Ceqが0.854%
と高い溶接材料を用いてSAW溶接法で溶接したものであ
る。その溶接金属は、NiおよびBを含有せず、CrとMoを
多く含有するので、Ceqが0.822%と高くなり、引張強さ
が970MPaと高くなった。
がNiおよびBを含有せず、Crが2.21%およびMoが1.01%
と本発明で定める範囲よりも多く含有し、Ceqが0.854%
と高い溶接材料を用いてSAW溶接法で溶接したものであ
る。その溶接金属は、NiおよびBを含有せず、CrとMoを
多く含有するので、Ceqが0.822%と高くなり、引張強さ
が970MPaと高くなった。
【0025】番号11の溶接試験材は、溶着金属がCuを含
有せず、Ceqが0.674%と高い溶接材料を用いてSMAW溶接
法で溶接したものである。その溶接金属は、Cuを含有せ
ず、Ceqが0.658%と高いため、引張強さが845MPaと高く
なった。
有せず、Ceqが0.674%と高い溶接材料を用いてSMAW溶接
法で溶接したものである。その溶接金属は、Cuを含有せ
ず、Ceqが0.658%と高いため、引張強さが845MPaと高く
なった。
【0026】番号12の溶接試験材は、溶着金属のC含有
量が0.11%と高く、Ni含有量が0.12%と低く、Moを含有
せず、Peqが1.15%と低い溶接材料を用いてFCAW溶接法
で溶接したものである。この溶接金属は、C、Niの含有
量が低く、Moを含有せず、かつPeqが1.20%と低いた
め、腐食減量は31.33μmと多くなった。また、Ceqが0.
628%と高いため、引張強さが800MPaと高くなった。
量が0.11%と高く、Ni含有量が0.12%と低く、Moを含有
せず、Peqが1.15%と低い溶接材料を用いてFCAW溶接法
で溶接したものである。この溶接金属は、C、Niの含有
量が低く、Moを含有せず、かつPeqが1.20%と低いた
め、腐食減量は31.33μmと多くなった。また、Ceqが0.
628%と高いため、引張強さが800MPaと高くなった。
【0027】番号13の溶接試験材は、溶着金属がBを含
有せず、C含有量が0.12%、Moの含有量が1.02%、Ceqが
0.719%といずれも高い溶接材料を用いてFCAW溶接法で
溶接したものである。この溶接金属は、Bを含有せず、C
含有量が0.13%、Moの含有量が1.12%、Ceqが0.765%と
いずれも高くなり、引張強さが928MPaと高くなった。
有せず、C含有量が0.12%、Moの含有量が1.02%、Ceqが
0.719%といずれも高い溶接材料を用いてFCAW溶接法で
溶接したものである。この溶接金属は、Bを含有せず、C
含有量が0.13%、Moの含有量が1.12%、Ceqが0.765%と
いずれも高くなり、引張強さが928MPaと高くなった。
【0028】番号14の溶接試験材は、溶着金属がNi、Cr
およびBを含有しないため、Peqが0.67%と低い溶接材料
を用いてGMAW溶接法で溶接したものである。この溶接金
属は、Ni、CrおよびBを含有せず、Peqが0.63%と低いた
め、腐食減量は72.64μmと多い。
およびBを含有しないため、Peqが0.67%と低い溶接材料
を用いてGMAW溶接法で溶接したものである。この溶接金
属は、Ni、CrおよびBを含有せず、Peqが0.63%と低いた
め、腐食減量は72.64μmと多い。
【0029】番号15の溶接試験材は、溶着金属のNiの含
有量が0.18%と低く、MoおよびBを含有せず、Peqが1.08
%と低い溶接材料を用いてSMAW溶接法で溶接したもので
ある。この溶接金属は、Niの含有量が少なく、Moおよび
Bを含有しないため、Peqが1.06%と低く、腐食減量は3
2.17μmと多い。
有量が0.18%と低く、MoおよびBを含有せず、Peqが1.08
%と低い溶接材料を用いてSMAW溶接法で溶接したもので
ある。この溶接金属は、Niの含有量が少なく、Moおよび
Bを含有しないため、Peqが1.06%と低く、腐食減量は3
2.17μmと多い。
【0030】番号16の溶接試験材は、溶着金属がMoおよ
びBを含有せず、Peqが1.32%と低い溶接材料を用いてSM
AW溶接法で溶接したものである。この溶接金属は、Moお
よびBを含有せず、Peqが1.29%と低いため、腐食減量は
25.12μmと多い。
びBを含有せず、Peqが1.32%と低い溶接材料を用いてSM
AW溶接法で溶接したものである。この溶接金属は、Moお
よびBを含有せず、Peqが1.29%と低いため、腐食減量は
25.12μmと多い。
【0031】
【発明の効果】本発明の溶接材料は、溶着金属としてC
u、Ni、CrおよびMoを含有させ、かつ前記成分の和Peqお
よび炭素当量Ceqを規定して耐候性を改善したものであ
る。この溶接材料で溶接した溶接部は、飛来性塩分量の
多い環境においても十分な耐候性を有しており、海浜や
融雪塩を散布されるような地域などに建造される構造物
の溶接に使用することができる。特に、Niなどを含有す
る海浜耐候性鋼材を本発明の溶接材料で溶接施工する
と、海浜地域においても塗装を必要としない、いわゆる
メンテナンスフリーの構造物とすることができる。
u、Ni、CrおよびMoを含有させ、かつ前記成分の和Peqお
よび炭素当量Ceqを規定して耐候性を改善したものであ
る。この溶接材料で溶接した溶接部は、飛来性塩分量の
多い環境においても十分な耐候性を有しており、海浜や
融雪塩を散布されるような地域などに建造される構造物
の溶接に使用することができる。特に、Niなどを含有す
る海浜耐候性鋼材を本発明の溶接材料で溶接施工する
と、海浜地域においても塗装を必要としない、いわゆる
メンテナンスフリーの構造物とすることができる。
【図1】溶接金属から腐食試験片および引張試験片を採
取する方法を示す図である。
取する方法を示す図である。
1.溶接試験材 2.溶接金属 3.引張試験片 4.腐食試験片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 波多野 勲 千葉県柏市新十余二7番地1号住金溶接工 業株式会社内 (72)発明者 西村 悟 千葉県柏市新十余二7番地1号住金溶接工 業株式会社内 (72)発明者 小山 耕一 千葉県柏市新十余二7番地1号住金溶接工 業株式会社内 (72)発明者 松本 茂 兵庫県尼崎市扶桑町17番1号住金溶接工業 株式会社内 (72)発明者 鹿島 和幸 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内 (72)発明者 幸 英昭 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内
Claims (2)
- 【請求項1】飛来性塩分の多い環境下で使用される耐候
性鋼を溶接する溶接材料であって、溶着金属の化学組成
が質量%でC:0.10%以下、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.40
〜2.00%、P:0.040%以下、S:0.015%以下、Cu:0.05
〜1.00%、Ni:0.20〜5.00%、Cr:0.10〜1.50%、Mo:
0.05〜1.00%、B:0.0050%以下およびAl:0.02%以下
を含み、さらに、V:0.05%以下およびTi:0.10%以下
のうち1種または2種を含み、残部Feおよび不純物から
なり、かつ下記式で求められるPeqが1.5〜4.0%、
式で求められるCeqが0.30〜0.55%であることを特徴と
する海浜耐候性鋼用溶接材料。 Peq=Cu(%)+Ni(%)+Cr(%)+Mo(%) ・・・・・・・・・・・・・・・・ Ceq=C(%)+Mn(%)/6+Si(%)/24+Ni(%)/40+Cr(%)/5+Mo(%)/4 ・・・ - 【請求項2】溶接材料が被覆アーク溶接棒、ガスシール
ドアーク溶接フラックス入りワイヤ、ガスシールアーク
溶接ソリッドワイヤまたはサブマージアーク溶接材料で
ある請求項1の海浜耐候性鋼用溶接材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001146543A JP2002336989A (ja) | 2001-05-16 | 2001-05-16 | 海浜耐候性鋼用溶接材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001146543A JP2002336989A (ja) | 2001-05-16 | 2001-05-16 | 海浜耐候性鋼用溶接材料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002336989A true JP2002336989A (ja) | 2002-11-26 |
Family
ID=18992176
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001146543A Withdrawn JP2002336989A (ja) | 2001-05-16 | 2001-05-16 | 海浜耐候性鋼用溶接材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002336989A (ja) |
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100395072C (zh) * | 2006-03-28 | 2008-06-18 | 安泰科技股份有限公司 | 一种用于焊接高强度高韧性结构钢的焊条 |
JP2009274132A (ja) * | 2008-05-19 | 2009-11-26 | Nippon Steel Corp | 亜鉛めっき鋼板用被覆アーク溶接棒 |
CN102728966A (zh) * | 2012-06-21 | 2012-10-17 | 中国船舶重工集团公司第七二五研究所 | 一种含铜的高强度高韧性焊条熔敷金属 |
CN103170763A (zh) * | 2013-01-23 | 2013-06-26 | 中广核工程有限公司 | 核电20控铬钢专用焊条 |
KR20140117617A (ko) | 2012-02-28 | 2014-10-07 | 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 | 내이종 금속 접촉 부식성이 우수한 강재 및 용접 조인트 |
CN105108374A (zh) * | 2015-06-09 | 2015-12-02 | 中广核工程有限公司 | 核电站主蒸汽管道自动焊接专用焊丝 |
CN105108373A (zh) * | 2015-06-09 | 2015-12-02 | 中广核工程有限公司 | 核电站主蒸汽管道现场焊接专用焊条 |
CN105583549A (zh) * | 2016-03-09 | 2016-05-18 | 苏州新普新材料科技有限公司 | 一种核电20控铬钢专用焊条 |
CN105618956A (zh) * | 2016-03-09 | 2016-06-01 | 苏州新普新材料科技有限公司 | 一种核电20控铬钢专用焊条的生产方法 |
CN107322193A (zh) * | 2017-08-30 | 2017-11-07 | 苏州新普新材料科技有限公司 | 一种焊条的制备方法 |
EP4026652A4 (en) * | 2019-10-21 | 2022-12-14 | Baoshan Iron & Steel Co., Ltd. | WIRE ROD FOR GAS PROTECTION WELDING WIRE, AND WELDING WIRE |
EP4129563A4 (en) * | 2020-05-18 | 2023-09-27 | Baoshan Iron & Steel Co., Ltd. | WIRE ROD FOR GAS SHIELDED WELDING WIRE AND GAS SHIELDED WELDING WIRE |
-
2001
- 2001-05-16 JP JP2001146543A patent/JP2002336989A/ja not_active Withdrawn
Cited By (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100395072C (zh) * | 2006-03-28 | 2008-06-18 | 安泰科技股份有限公司 | 一种用于焊接高强度高韧性结构钢的焊条 |
JP2009274132A (ja) * | 2008-05-19 | 2009-11-26 | Nippon Steel Corp | 亜鉛めっき鋼板用被覆アーク溶接棒 |
KR20140117617A (ko) | 2012-02-28 | 2014-10-07 | 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 | 내이종 금속 접촉 부식성이 우수한 강재 및 용접 조인트 |
CN102728966A (zh) * | 2012-06-21 | 2012-10-17 | 中国船舶重工集团公司第七二五研究所 | 一种含铜的高强度高韧性焊条熔敷金属 |
CN103170763A (zh) * | 2013-01-23 | 2013-06-26 | 中广核工程有限公司 | 核电20控铬钢专用焊条 |
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CN105108374B (zh) * | 2015-06-09 | 2017-10-31 | 中广核工程有限公司 | 核电站主蒸汽管道自动焊接专用焊丝 |
CN105583549A (zh) * | 2016-03-09 | 2016-05-18 | 苏州新普新材料科技有限公司 | 一种核电20控铬钢专用焊条 |
CN105618956A (zh) * | 2016-03-09 | 2016-06-01 | 苏州新普新材料科技有限公司 | 一种核电20控铬钢专用焊条的生产方法 |
CN107322193A (zh) * | 2017-08-30 | 2017-11-07 | 苏州新普新材料科技有限公司 | 一种焊条的制备方法 |
EP4026652A4 (en) * | 2019-10-21 | 2022-12-14 | Baoshan Iron & Steel Co., Ltd. | WIRE ROD FOR GAS PROTECTION WELDING WIRE, AND WELDING WIRE |
EP4129563A4 (en) * | 2020-05-18 | 2023-09-27 | Baoshan Iron & Steel Co., Ltd. | WIRE ROD FOR GAS SHIELDED WELDING WIRE AND GAS SHIELDED WELDING WIRE |
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