JP3817087B2 - 耐候性に優れた溶接鋼管の製造法 - Google Patents

耐候性に優れた溶接鋼管の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、海浜地区や融雪塩を散布する地区など、高飛来海塩粒子環境で塩害が懸念される大気環境における橋梁、鉄塔などの鋼構造物に使用される優れた耐候性を有する溶接鋼管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、海岸地帯などの塩害が発生する場所で使用する鋼構造部材の防食として、普通鋼材の塗装使用、めっき鋼板、溶射やモルタルライニングなどの表面被覆、ステンレスやチタンなどの高合金高耐食材料が使用されている。さらに、鋼構造物の維持管理費を低減する技術として、耐候性鋼材(JIS G3141溶接構造用耐候性鋼)の無塗装使用がある。
塗装の場合、塗り替えが必要となるので、維持管理費が高くなる。また、めっきの場合、構造体の溶融めっきでは熱応力による変形やめっきの剥離がある。溶射やモルタルライニングの場合も、防食皮膜の剥離や劣化などの問題がある。さらに、高合金の耐食材料の場合、材料コストが高く、主要構造部材として、広く使えないという問題がある。
【0003】
耐候性鋼材は、無塗装使用の場合、使用後数年から10年で鋼材表面に防食性に優れた緻密な安定さびが形成し、この安定さびがその後の鋼材の腐食の進行を防ぐ鋼材である。鋼構造物には、溶接性を考慮した耐候性溶接構造用鋼が、橋梁や建築物を中心にこれまで多く使用されてきた。しかしながら、「無塗装耐候性橋梁の設計・施工要領(改訂案):建設省土木研究所、鋼材倶楽部、日本橋梁建設協会、平成5年3月」に示されるように、海浜地区や融雪塩を散布する地区など飛来海塩粒子が多い地域では、鋼材表面に付着した塩分によって保護性に優れた安定さびの形成が阻害されるために、無塗装使用に適さないといった問題点があった。
【0004】
耐候性鋼の海浜地区での鋼材の耐候性向上について、例えば特公昭56−9356号公報では、Pを0.03〜0.20%含有し、溶接性に優れ、かつ海水が関与した腐食環境や一般大気環境で優れた耐候性を有する鋼材が開示されている。また、特開平2−125839号公報には低Si−P−Cu−Niの複合添加にCaとAlの複合酸化物の添加が有効であることが記載されている。また、特開平5−51668号公報では、酸化物を鋼材中に微細分散させて、鋼材表面のpHの低下を抑制することが有効であることが開示されている。このように、従来の耐候性鋼の欠点である海浜地区での耐候性に優れた鋼材が開発されている。
【0005】
近年、橋梁の建設コストに大きな比重を占める部材の溶接を省略するために、鋼管を橋梁桁に使用することが提案されている。橋梁桁として使用される鋼管は、主としてUOEやBR(ベンディングロール)にて製造される大径の溶接鋼管である。これらの鋼管はサブマージドアーク溶接(SAW)により製造されるが、溶接入熱量が大きくなるため、Niを多く含む場合、溶接時に高温割れ(凝固割れ)が発生する。このため、海浜地区での耐候性に優れた溶接鋼管が強く望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、海浜地区での耐候性に優れた溶接鋼管の製造法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、重量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.6%以下、Mn:0.3〜2.0%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Cu:0.3〜1.0%、Ni:1.0〜5.5%、Cr:0.1%以下、Ti:0.005〜0.03%、Al:0.09%以下、N:0.001〜0.006%、O:0.006%以下に必要に応じて、さらにMo:0.1〜1.0%、Nb:0.005〜0.1%、V:0.01〜0.1%、B:0.003〜0.002%、Ca:0.001〜0.005%のうち一種または二種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼を連続鋳造法によって鋳片とし、鋼板のエッジ部が鋳のエッジ部に一致するように圧延を行い、その後
C:0.01〜0.10%、Si:0.6%以下、Mn:0.3〜2.0%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Cu:0.1〜1.0%、Ni:1.0〜3.5%、Cr:0.1%以下、Ti:0.005〜0.03%、Al:0.09%以下、N:0.001〜0.006%、O:0.02〜0.06%に必要に応じて、さらにMo:0.1〜1.0%、Nb:0.005〜0.1%、V:0.01〜0.1%、B:0.0003〜0.002%、Ca:0.001〜0.005%のうち一種または二種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、さらにNi量が前記母材の2.0%少ない領域から0.2%少ない領域の範囲にある溶接金属部を有するように鋼板エッジ部を突き合わせ溶接することである。
【0008】
以下に本発明の海浜地区での耐候性に優れた溶接鋼管の製造法について詳細に説明する。
従来、飛来海塩粒子の少ない内陸部において、耐候性の向上にはCrが有効であることが知られている。しかしながら、海浜地区や融雪塩を散布する地区などの高飛来塩粒子環境では、Crは耐候性に対して悪影響をおよぼすことが判明した。また、種々の合金元素について耐候性を向上させるための検討を行った結果、Cu−1%以上のNiの複合添加が海浜地区での安定さび生成に有効であることが明らかとなった。さらに、Cu−Ni系の適用限界(安定さびが十分に形成する上限の年平均飛来海塩粒子量)はNi添加量でほぼ整理できることが判明した。
【0009】
一方、溶接鋼管において、海浜地区において優れた耐候性を有し、かつ溶接部品質に優れた溶接金属成分や圧延・溶接方法について鋭意検討した。その結果、溶接金属のNi量が母材の少なくとも2.0%少ない領域以上であれば、良好な耐候性が得られることを見出した。つぎに、溶接金属のNi量が母材の0.2%以下で、かつ3.5%以下であること、および溶接金属中のC、P、S量を限定することにより、多量のNiを含有する場合でも高温割れが発生しないことを見出した。さらに、溶接熱影響部(HAZ)において粗大なアルミナ系介在物を原因とする割れや介在物自身が溶接部の非破壊検査において欠陥として認識され、この欠陥の発生を防止するためには鋳片のエッジ部に相当する鋼板エッジ部を突き合わせ溶接することが極めて有効であることを見出し、本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明の特徴は、鋼管母材として、Ni−Cu系成分を適用し、溶接金属として、海浜地区での耐候性および高温割れ防止の観点からC量、P量、S量およびNi量を適正な範囲に限定し、鋼板を溶接するに際し、鋼板エッジ部を突き合わせ溶接する耐候性に優れた溶接鋼管の製造法を提供するものである。
【0011】
まず、鋼管母材の成分限定理由について説明する。
Cは母材および溶接部の強度を確保するために必要な元素であり、その下限は0.01%である。しかしながら、C量が多すぎると低温靱性、溶接性が劣化するので、その上限の値を0.10%とした。 Siは脱酸や強度向上のため添加する元素であるが、多く添加すると溶接熱影響部(HAZ)靱性を劣化させるので、上限を0.6%とした。鋼の脱酸はAlやTiのみでも十分であり、Siは必ずしも添加する必要はない。
【0012】
Mnは強度、低温靱性を確保する上で不可欠な元素であり、その下限は0.3%である。しかしMnが多過ぎると鋼の焼入性が増加して溶接性を劣化させるだけでなく、連続鋳造鋼片の中心偏析を助長し、低温靱性も劣化させるので上限を2.0%とした。
Pは耐候性を向上させる元素であるが、0.03%を超えると低温靱性、溶接性が劣化するので、その上限の値を0.03%とした。とくに溶接部の高温割れを防止するためには、0.015%以下が好ましい。
【0013】
Sは鋼管の靱性や耐候性を劣化させる不可避的不純物であるので、少ないほど好ましい。とくに、0.01%を超えると、低温靱性が劣化するので、0.005%以下が好ましい。
Cuはさび層の形成時にさび粒子の結晶・粗大化を抑制し、さびの緻密さを保持するため、飛来海塩粒子の多い環境での耐候性を向上させる元素であり、この効果を発揮させるためには0.3%以上の添加が必要である。しかし、1.0%を超えると析出硬化により母材、HAZの靱性劣化や熱間圧延時にCu−クラックが発生するために、その上限の値を1.0%とした。
【0014】
Niはさび層表面に飛来海塩粒子として付着したClイオンのさび層/地鉄界面への浸透を抑制し、さび層内部を低Cl環境として、さび粒子の結晶化・粗大成長を抑制することにより、さび層の緻密さを保持する効果を有する。この効果を発揮させるためには、1.0%以上の添加が必要である。しかし5.5%以上の添加は鋼板表面にひび割れが発生するためにその上限の値を5.5%とした。
【0015】
Crは鉄よりも卑な金属であるため、数%の添加では海塩粒子の多い環境中での耐候性や溶接性を阻害するため、少なければ少ないほど好ましい。とくに、0.1%を超えると、耐候性が劣化するので、その上限の値を0.1%とした。
Tiは微細なTiNを形成し、スラブ再加熱時およびHAZのγ粒の粗大化を抑制して、ミクロ組織を微細化して、母材およびHAZの低温靱性を改善し、本発明において必須の元素である。この効果を発揮させるためには0.005%以上の添加が必要である。また多すぎるとTiNの粗大化やTiCによる析出硬化が生じ、低温靱性を劣化させるので、その上限の値を0.03%に限定した。
【0016】
Alは通常脱酸元素として効果を有する。しかし、Al量が0.09%を超えるとAl系非金属介在物が増加して、鋼の清浄度を劣化させるので、上限を0.09%とした。鋼の脱酸はTiのみでも十分であり、Alは必ずしも添加する必要はない。
NはTiNを形成し、スラブ再加熱時およびHAZのγ粒の粗大化を抑制して母材、HAZの低温靱性を向上させる。このために必要な最小量は0.001%である。しかし、N量が多すぎるとスラブ表面きずや固溶NによるHAZ靱性の劣化の原因となるので、その上限の値は0.006%に抑える必要がある。
【0017】
Oは鋼管の靱性を劣化させる不可避的不純物であるので、少ないほど好ましい。とくに0.006%を超えると鋼中に粗大な酸化物が多量に生成するため、靱性が劣化するので、その上限の値を0.006%とした。
つぎにMo、Nb、V、Ca、Bを添加する理由について説明する。基本成分にさらにこれらの元素を添加する主たる目的は本発明鋼の特徴を損なうことなく、強度・低温靱性などの特性の向上を図るためである。したがってその添加量は自ら制限されるべき性質のものである。
【0018】
Moは母材および溶接部の強度を上昇させる元素であるが、1.0%を超えると母材、HAZの靱性および溶接性を劣化させる。また0.1%以下の添加ではその効果が薄い。
Nbは制御圧延時にγの再結晶を抑制して結晶粒を微細化するだけでなく、析出硬化や焼入れ性の増大にも寄与し、鋼を強靱化する作用を有する。この効果を得るためには最低0.005%のNbが必要である。しかしながら、Nb量が多すぎるとHAZ靱性が劣化するので、その上限の値を0.1%に限定した。
【0019】
VはほぼNbと同様の効果を有するが、その効果はNbに比較して格段に弱い。その効果を発揮させるためには0.01%以上の添加が必要である。また上限は現地溶接性、HAZ靱性の点から0.1%まで許容できる。
Bは極微量で鋼の焼入れ性を飛躍的に高め、良好な強度と靱性が得られる。この効果を発揮させるためには0.0003%以上の添加が必要である。また多すぎるとHAZ靱性を劣化させるので、その上限の値を0.002%に限定した。
【0020】
Caは硫化物(MnS)の形態を制御し、低温靱性を向上(シャルピ−試験における吸収エネルギ−の増加など)させる。0.001%以下ではその効果が少なく、また0.005%を超えて添加するとCaO−CaSが大量に生成してクラスタ−、大型介在物となり、鋼の清浄度を害するだけでなく現地溶接性にも悪影響をおよぼす。このためCa添加量を0.001〜0.005%に制限した。
【0021】
つぎに溶接金属の成分限定理由について説明する。
良好な耐候性を有する、Niを多量に含有する鋼を大入熱で溶接する場合、高温割れが発生する。そこで、溶接金属の高温割れ防止および良好な耐候性確保のためには、C:0.01〜0.10%、P:0.01以下、S:0.005以下、Ni:1.0〜3.5%、かつNi量が母材の2.0%少ない領域から0.2%多い領域の範囲に限定する必要がある。C、P、SおよびNi量を限定することにより、高温割れを防止することができる。このため、C、P、S量の上限をそれぞれ0.10%、0.01%および0.005%に限定した。さらに、溶接金属のNi量が母材の0.2%以下で、かつ3.5%以下であれば高温割れを防止できる。なお、溶接金属のNi量が母材の少なくとも2.0%少ない領域以上であれば、良好な耐候性が得られるので、下限の値を1.0%かつ母材の少なくとも2.0%少ない量とした。また、Cは溶接部の強度を確保するために必要な元素であり、その効果を発揮させるために、下限の値を0.01%に限定した。
【0022】
Siは脱酸や強度向上のため添加する元素であるが、多く添加すると低温靱性を劣化させるので、上限を0.6%とした。
Mnは強度、低温靱性を確保する上で不可欠な元素であり、その下限は0.3%である。しかし、Mnが多すぎると鋼の焼入れ性が増加して低温靱性を劣化させるので、上限を2.0%とした。
Cuはさび層の形成時にさび粒子の結晶・粗大化を抑制し、さびの緻密さを保持するため、飛来海塩粒子の多い環境での耐候性を向上させる元素であり、溶接金属において、この効果を発揮させるためには0.1%以上の添加が必要である。しかし、1.0%を超えると析出硬化により、靱性が劣化するため、その上限の値を1.0%とした。
【0023】
Crは鉄よりも卑な金属であるため、数%の添加では海塩粒子の多い環境中での耐候性を阻害するため、少なければ少ないほど好ましい。とくに、0.1%を超えると、耐候性が劣化するので、その上限の値を0.1%とした。
Tiは微細なTiNやTiOを形成し、ミクロ組織を微細化して、溶接金属の低温靱性を改善する。この効果を発揮させるためには0.005%以上の添加が必要である。また多すぎるとTiCによる析出硬化が生じ、低温靱性を劣化させるので、その上限の値を0.03%に限定した。
【0024】
Alは通常脱酸元素として効果を有する。しかし、Al量が0.09%を超えるとAl系非金属介在物が増加して、鋼の清浄度を劣化させるので、上限を0.09%とした。鋼の脱酸はTiのみでも十分であり、Alは必ずしも添加する必要はない。
NはTiNを形成し、ミクロ組織を微細化して、低温靱性を向上させる。このために必要な最小量は0.001%である。しかし、N量が多すぎると固溶Nによる靱性の劣化の原因となるので、その上限の値は0.006%に抑える必要がある。
【0025】
Oは溶接金属中において酸化物を形成し、粒内変態フェライトの核として作用し、組織の微細化に効果がある。しかし、多すぎると溶接金属の低温靱性が劣化するとともに、スラグ巻き込みなどの溶接欠陥を起こす。このためO量の下限を0.02%、上限を0.06%とした。
つぎに、Mo、Nb、V、B、Caを添加する理由について説明する。
基本となる成分にさらに、必要に応じてこれらの元素を添加する主たる目的は本発明鋼の優れた特徴を損なうことなく、溶接金属の強度・低温靱性などの特性の向上をはかるためである。したがって、その添加量は自ら制限されるべき性質のものである。
【0026】
Moは溶接部の強度を上昇させる元素であるが、1.0%を超えると低温靱性を劣化させる。また0.1%以下の添加ではその効果が薄い。
Nbは結晶粒を微細化するだけでなく、析出硬化や焼入れ性の増大にも寄与し、鋼を強靱化する作用を有する。この効果を得るためには最低0.005%のNbが必要である。しかしながら、Nb量が多すぎるとHAZ靱性が劣化するので、その上限の値を0.1%に限定した。
VはほぼNbと同様の効果を有するが、その効果はNbに比較して格段に弱い。その効果を発揮させるためには0.01%以上の添加が必要である。また上限は低温靱性の点から0.1%まで許容できる。
【0027】
Bは極微量で鋼の焼入れ性を飛躍的に高め、良好な強度と靱性が得られる。この効果を発揮させるためには0.0003%以上の添加が必要である。また多すぎると低温靱性を劣化させるので、その上限の値を0.002%に限定した。
Caは硫化物(MnS)の形態を制御し、低温靱性を向上(シャルピ−試験における吸収エネルギ−の増加など)させる。0.001%以下ではその効果が少なく、また0.005%を超えて添加するとCaO−CaSが大量に生成してクラスタ−、大型介在物となり、鋼の清浄度を害する。このためCa添加量を0.001〜0.005%に制限した。
【0028】
つぎに圧延方法および鋼管の溶接方法について述べる。高Ni−Cu系鋼を連続鋳造法によって鋳片とし、鋼板のエッジ部が鋳のエッジ部に一致するように圧延を行い、その後鋼板エッジ部を突き合わせ溶接する必要がある。Niを多量に含有する鋼を大入熱溶接する場合、HAZにおいても粗大なアルミナ系介在物などを原因とする割れや欠陥が発生しやすい。Niを多量に含有する連続鋳造鋳片内におけるアルミナ系粗大介在物の量は鋳片エッジ部において極めて少ないことが判明した。ここで、鋳片エッジ部とは、連続鋳造時、鋳造方向と平行な側面部、すなわち、連続鋳造時の切断面とは垂直方向の側面部を指す。
【0029】
そこで、鋼板のエッジ部が鋳のエッジ部に一致するように圧延を行う必要がある。この時、鋳片の鋳造方向と同じ方向に圧延する必要がある。すなわち、鋼管を製造する際に、鋼板をUOやベンディングロールによって円筒形に成形し、その突合せ部分を溶接するが、この突合せ部分が前記鋳片エッジ部に一致するように、鋼板の突合せ溶接部、すなわち、鋼板エッジ部が鋳片エッジ部と一致するように鋼板のサイズ設計を行う。鋼板エッジ部の開先加工はエッジ部から100mm以内で実施することが望ましい。このようにエッジ部を突き合わせ溶接した高Ni−Cu系鋼管のHAZは大入熱溶接時においても介在物等を起因とする割れの発生が抑制される。
【0030】
【実施例】
本発明の実施例について述べる。種々の鋼成分の鋼板を用いて、鋼管を製造し、諸性質を調査した。鋼管溶接部の品質(溶接欠陥の有無)は内外面1層のSAW(サブマ−ジドア−ク溶接)を実施した後、超音波探勝傷装置を用いて評価した。試作鋼管は離岸距離(平均飛来海塩粒子量)がそれぞれ、5m(1.3mdd)、50m(0.8mdd)、200m(0.5mdd)、800m(0.2mdd)の地点で暴露試験に供した。高海塩粒子環境での耐候性は、さびのイオン透過抵抗および腐食量から求めた平均板厚減少量から評価した。さびのイオン透過抵抗測定では、交流インピーダンス法によるさびのイオン透過抵抗値を測定し、3kΩ以上のものを緻密な安定さび形成と判断した。平均板厚減少量は4カ所での腐食−時間曲線から50年後の推定板厚減少量を求め、無塗装橋梁使用の基準である腐食量0.4mm/50年を無塗装使用可否の目安とした。
実施例を表1〜表3に示す。本発明の溶接鋼管は母材および溶接部において優れた耐候性を有する。これに対して比較鋼は化学成分が適切でなく、いずれかの特性が劣る。
【0031】
【表1】
Figure 0003817087
【0032】
【表2】
Figure 0003817087
【0033】
【表3】
Figure 0003817087
【0034】
10は母材のC量が多すぎるため、母材の低温靱性が劣る。鋼11は母材のP量が多すぎるため、母材の低温靱性が劣る。鋼12は母材のS量が多すぎるため、母材の低温靱性が劣る。鋼13は母材のCu量が少ないため、母材の耐候性が劣る。鋼14は母材のNi量が少ないため、母材の耐候性が劣る。鋼15は母材のNi量が多すぎるため、母材にひび割れが発生する。鋼16は母材のCr量が多すぎるため、母材の耐候性が劣る。鋼17は溶接金属のC量が多すぎるため、溶接金属において高温割れが発生する。鋼18は溶接金属のP量が多すぎるため、溶接金属において高温割れが発生する。鋼19は溶接金属のS量が多すぎるため、溶接金属において高温割れが発生する。
【0035】
20は溶接金属のNi量が少ないため、溶接金属の耐候性が劣る。鋼21は溶接金属のNi量が多すぎるため、溶接金属において高温割れが発生する。鋼22は溶接金属のCr量が多すぎるため、溶接金属の耐候性が劣る。鋼23は溶接金属のNi量が母材のNi量よりも2.0%を超えて少なすぎるため、溶接金属の耐候性が劣る。鋼24は溶接金属のNi量が母材のNi量よりも0.2%を超えて多すぎるため、溶接金属において高温割れが発生する。鋼25は鋳片エッジ部が鋼板エッジ部と一致しないため、HAZで割れが発生する。鋼26は鋳片エッジ部が鋼板エッジ部と一致しているが、鋼板を幅方向に2分割して、鋼板エッジ部と鋼板幅中央部を突き合わせ溶接したためHAZで割れが発生する。
【0036】
【発明の効果】
本発明による海浜地区での優れた耐候性を有する溶接鋼管を橋梁などの鋼構造物の部材として採用することにより、鋼構造物の製造コストが低減されるとともに、保守管理の簡略化、管理費用の大幅な低減が可能となった。

Claims (4)

  1. 重量%で、
    C :0.01〜0.10%、
    Si:0.6%以下、
    Mn:0.3〜2.0%、
    P :0.03%以下、
    S :0.005%以下、
    Cu:0.3〜1.0%、
    Ni:1.0〜5.5%、
    Cr:0.1%以下、
    Ti:0.005〜0.03%、
    Al:0.09%以下、
    N :0.001〜0.006%、
    O :0.006%以下
    を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼を連続鋳造法によって鋳片とし、鋼板のエッジ部が鋳のエッジ部に一致するように圧延を行い、その後
    C :0.01〜0.10%、
    Si:0.6%以下、
    Mn:0.3〜2.0%、
    P :0.01%以下、
    S :0.005%以下、
    Cu:0.1〜1.0%、
    Ni:1.0〜3.5%、
    Cr:0.1%以下、
    Ti:0.005〜0.03%、
    Al:0.09%以下、
    N :0.001〜0.006%、
    O :0.02〜0.06%、
    を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、さらにNi量が前記母材の2.0%少ない領域から0.2%少ない領域の範囲にある溶接金属部を有するように鋼板エッジ部を突き合わせ溶接することを特徴とするUOあるいはベンディングロールで成形される耐候性に優れた溶接鋼管の製造法。
  2. 重量%で、
    C :0.01〜0.10%、
    Si:0.6%以下、
    Mn:0.3〜2.0%、
    P :0.03%以下、
    S :0.005%以下、
    Cu:0.3〜1.0%、
    Ni:1.0〜5.5%、
    Cr:0.1%以下、
    Ti:0.005〜0.03%、
    Al:0.09%以下、
    N :0.001〜0.006%、
    O :0.006%以下
    さらにMo:0.1〜1.0、Nb:0.005〜0.1、V:0.01〜0.1、B:0.0003〜0.002、Ca:0.001〜0.005のうち一種または二種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼を連続鋳造法によって鋳片とし、鋼板のエッジ部が鋳のエッジ部に一致するように圧延を行い、その後
    C :0.01〜0.10%、
    Si:0.6%以下、
    Mn:0.3〜2.0%、
    P :0.01%以下、
    S :0.005%以下、
    Cu:0.1〜1.0%、
    Ni:1.0〜3.5%、
    Cr:0.1%以下、
    Ti:0.005〜0.03%、
    Al:0.09%以下、
    N :0.001〜0.006%、
    O :0.02〜0.06%
    に、残部が鉄および不可避的不純物からなり、さらにNi量が前記母材の2.0%少ない領域から0.2%少ない領域の範囲にある溶接金属部を有するように鋼板エッジ部を突き合わせ溶接することを特徴とするUOあるいはベンディングロールで成形される耐候性に優れた溶接鋼管の製造法。
  3. 重量%で、
    C :0.01〜0.10%、
    Si:0.6%以下、
    Mn:0.3〜2.0%、
    P :0.03%以下、
    S :0.005%以下、
    Cu:0.3〜1.0%、
    Ni:1.0〜5.5%、
    Cr:0.1%以下、
    Ti:0.005〜0.03%、
    Al:0.09%以下、
    N :0.001〜0.006%、
    O :0.006%以下
    を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼を連続鋳造法によって鋳片とし、鋼板のエッジ部が鋳のエッジ部に一致するように圧延を行い、その後
    C :0.01〜0.10%、
    Si:0.6%以下、
    Mn:0.3〜2.0%、
    P :0.01%以下、
    S :0.005%以下、
    Cu:0.1〜1.0%、
    Ni:1.0〜3.5%、
    Cr:0.1%以下、
    Ti:0.005〜0.03%、
    Al:0.09%以下、
    N :0.001〜0.006%、
    O :0.02〜0.06%
    さらにMo:0.1〜1.0、Nb:0.005〜0.1、V:0.01〜0.1、B:0.0003〜0.002、Ca:0.001〜0.005のうち一種または二種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、さらにNi量が前記母材の2.0%少ない領域から0.2%少ない領域の範囲にある溶接金属部を有するように鋼板エッジ部を突き合わせ溶接することを特徴とするUOあるいはベンディングロールで成形される耐候性に優れた溶接鋼管の製造法。
  4. 重量%で、
    C :0.01〜0.10%、
    Si:0.6%以下、
    Mn:0.3〜2.0%、
    P :0.03%以下、
    S :0.005%以下、
    Cu:0.3〜1.0%、
    Ni:1.0〜5.5%、
    Cr:0.1%以下、
    Ti:0.005〜0.03%、
    Al:0.09%以下、
    N :0.001〜0.006%、
    O :0.006%以下
    さらにMo:0.1〜1.0%、Nb:0.005〜0.1%、V:0.01〜0.1%、B:0.0003〜0.002%、Ca:0.001〜0.005%のうち一種または二種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼を連続鋳造法によって鋳片とし、鋼板のエッジ部が鋳のエッジ部に一致するように圧延を行い、その後
    C :0.01〜0.10%、
    Si:0.6%以下、
    Mn:0.3〜2.0%、
    P :0.01%以下、
    S :0.005%以下、
    Cu:0.1〜1.0%、
    Ni:1.0〜3.5%、
    Cr:0.1%以下、
    Ti:0.005〜0.03%、
    Al:0.09%以下、
    N :0.001〜0.006%、
    O :0.02〜0.06%
    さらにMo:0.1〜1.0%、Nb:0.005〜0.1%、V:0.01〜0.1%、B:0.0003〜0.002%、Ca:0.001〜0.005%のうち一種または二種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、さらにNi量が前記母材の2.0%少ない領域から0.2%少ない領域の範囲にある溶接金属部を有するように鋼板エッジ部を突き合わせ溶接することを特徴とするUOあるいはベンディングロールで成形される耐候性に優れた溶接鋼管の製造法。
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