JP6785671B2 - 作業車 - Google Patents

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Description

本発明は、左右のサイドメンバを有する車体フレームに支持された車輪支持部材と、前記車輪支持部材に操舵可能に支持された左右の操舵輪と、パワーステアリングユニットを有して前記左右の操舵輪を操舵するステアリング機構とを備えた作業車に関する。
作業車の一例であるトラクタにおいては、例えば、車体前側に配置されたボンネットと車体後側に配置されたキャビンとの間に、ボンネットが形成する原動機室とキャビンが形成する運転室とを仕切る遮音パネル(仕切り部材)を備え、この遮音パネルの支持部材に、全油圧式のパワーステアリングユニットが防振部材を介して取り付けられることにより、パワーステアリングユニットが、原動機室側における運転室に近い箇所に配置されたものがある(例えば特許文献1参照)。
特開2013−60154号公報(段落番号0013〜0014、0017〜0018、0032〜0042、図1〜5)
上記の構成によると、パワーステアリングユニットが運転室側に配置される場合に比べて、パワーステアリングユニットの油圧脈動音がキャビン内の運転部に及び難くなることから、運転部の静寂性を高めることができる。
しかしながら、パワーステアリングユニットが運転部の近くに配置されていることから、運転部の静寂性を高める上において改善の余地がある。又、重量の大きいパワーステアリングユニットが、車体の上部側に形成された原動機室と運転室との間の比較的高い位置に配置されていることから、車体の安定性を高める上においても改善の余地がある。
つまり、運転部の静寂性及び車体の安定性を高められるようにすることが望まれている。
上記の課題を解決するための手段として、
本発明に係る作業車は、左右のサイドメンバ及び前記左右のサイドメンバに亘って取り付けられたクロスメンバを有する車体フレームと、前記クロスメンバに支持されることにより前記車体フレームに支持された車輪支持部材と、前記車輪支持部材に操舵可能に支持された左右の操舵輪と、パワーステアリングユニットを有して前記左右の操舵輪を操舵するステアリング機構とを備え、
前記パワーステアリングユニットは、前記左右の操舵輪に連係された油圧式のステアリングシリンダと、前記ステアリングシリンダに作用する油圧を制御する油圧制御ユニットとを備え、
前記油圧制御ユニットは、平面視で前記車輪支持部材に対して前側の前記クロスメンバと重複するように前記前側のクロスメンバの上方に配置され、且つ、前記左右のサイドメンバの間に配置された状態で、前記車体フレームに支持されている。
この手段によると、トラクタなどの作業車においては、運転部が車体の上部側に配置され、車輪支持部材が車体の下部側に配置されていることから、パワーステアリングユニットは、運転部から離れた車体の下部側に配置されることになる。
これにより、例えば、パワーステアリングユニットが油圧式である場合は、パワーステアリングユニットの油圧脈動音が運転部に及び難くなる。又、パワーステアリングユニットがアシストモータを備えた電動式である場合は、パワーステアリングユニットのモータ音が運転部に及び難くなる。その結果、運転部の静寂性を高めることができる。
そして、重量の大きいパワーステアリングユニットが、車体の下部側に配置されることにより、車体の重心位置が低くなる。その結果、車体の安定性を高めることができる。
しかも、左右のサイドメンバが、それらの間に位置するパワーステアリングユニットの一部を保護するようになることから、パワーステアリングユニットを車体の下部側に配置しながらも、パワーステアリングユニットに他物が接触する虞を抑制することができる。
この手段によると、パワーステアリングユニットのうち、各種のバルブなどを備える油圧制御ユニットが左右のサイドメンバによって保護されることから、油圧制御ユニットが他物に接触して破損する虞を抑制することができる。
又、油圧制御ユニットは、高い強度を有する車体フレームによって高い支持強度で安定的に支持されることから、油圧制御ユニットが油圧の脈動に起因して振動することを、支持構造の複雑化を招くことなく防止することができる。
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記ステアリングシリンダが、平面視で前記車輪支持部材に対して前側に配置された状態で、前記前側のクロスメンバの下方に配置されている。
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
手動操舵用のステアリングホイールと、車体を自動で運転する自動運転用の電子制御システムとを備え、
前記油圧制御ユニットは、前記ステアリングシリンダに対するオイルの流れを制御するパイロット式のステアリングバルブと、前記ステアリングホイールの回動操作量に応じて前記ステアリングバルブに対するパイロット流量を制御する手動式の第1パイロットバルブと、前記電子制御システムからの制御指令に基づいて前記ステアリングバルブに対するパイロット流量を制御する電動式の第2パイロットバルブとを備えている。
この手段によると、作業車を搭乗者が手動で運転する場合は、搭乗者がステアリングホイールを回動操作することにより、左右の操舵輪を、パワーステアリングユニットを介した軽い操作力で操舵することができる。又、作業車を自動運転用の電子制御システムによって自動で運転させる場合は、電子制御システムからの制御指令に基づいてパワーステアリングユニットが作動することにより、左右の操舵輪が自動的に適正に操舵される。
つまり、自動操舵専用のステアリングユニットを備えることなく、左右の操舵輪を自動で操舵することができる。又、パワーステアリングユニットの電気系に不具合が生じた場合は、搭乗者による手動操舵に簡単に切り換えることができ、作業車の運転を継続することができる。
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記油圧制御ユニットを上方から覆う位置に配置された仕切板と、前記仕切板の上面との間に冷却風路を形成するボンネットと、前記仕切板における冷却方向下手側の端部に連接されたラジエータとを備え、
前記仕切板には、前記第2パイロットバルブに備えたハーネス接続用のカプラを上方に臨ませる開口が形成され、かつ、前記開口と前記カプラとの間に形成された隙間を塞ぐ遮蔽部材が取り付けられている。
この手段によると、第2パイロットバルブのカプラに接続されるワイヤハーネスを仕切板の上側に通すことができる。これにより、例えば、ワイヤハーネスを仕切板の下側に通す場合に比較して、操舵輪によって跳ね上げられた小石などの他物がワイヤハーネスに接触して、ワイヤハーネスが傷付く虞を回避することができる。
そして、ワイヤハーネスを仕切板の上側に通すようにしながらも、操舵輪などによって舞い上げられた塵埃が、外気とともに仕切板の開口とカプラとの隙間から冷却風路内に流入することを、遮蔽部材によって阻止することができる。これにより、塵埃が、仕切板の開口とカプラとの隙間から冷却風路内に流入することに起因して、ラジエータが目詰まりするなどの不都合の発生を防止することができる。
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記油圧制御ユニットに備えられた複数の接続ポートにねじ込み接続されるL字型の複数の管継手を備え、
複数の前記管継手のうち、近接する前記接続ポートに接続される管継手は、前記接続ポートに接続されたときに、隣接する一方の管継手が他方の管継手の内側に位置するように、前記油圧制御ユニットからの延出長さが異なる長さに設定されている。
この手段によると、油圧制御ユニットの各接続ポートにL字型の管継手をねじ込み接続するときは、油圧制御ユニットからの延出長さが短くなる管継手から順に、接続ポートにねじ込み接続することにより、油圧制御ユニットからの延出長さが長くなる管継手を接続ポートにねじ込み接続するときに、先に接続した管継手が邪魔になることを回避することができる。
その結果、油圧制御ユニットが左右のサイドメンバの間の狭い空間に配置されていても、油圧制御ユニットの各接続ポートに対する管継手のねじ込み接続を効率良く行うことができる。
トラクタの左側面図である。 トラクタの平面図である。 トラクタの斜視図である。 パワーステアリングユニットの構成及び配置を示すトラクタ前端部の縦断左側面図である。 トラクタ前端部の防塵構造を示す斜視図である。 パワーステアリングユニットの構成及び配置を示す要部の平面図である。 パワーステアリングユニットの構成及び配置を示す要部の縦断正面図である。 油圧制御ユニットの配置などを示す要部の斜視図である。 運転部の構成を示す要部の横断平面図である。 制御系の概略構成を示すブロック図である。 アンテナユニット及び監視カメラなどの配置を示すキャビン上部の正面図である。 アンテナユニット及び監視カメラなどの配置を示すキャビン上部の背面図である。 アンテナユニット及び監視カメラなどの配置を示すキャビン上部の左側面図である。
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明が、作業車の一例であるトラクタに適用された実施形態を図面に基づいて説明する。
尚、図1に記載された符号Fの矢印が指し示す方向がトラクタの前側であり、符号Uの矢印が指し示す方向がトラクタの上側である。
又、図2に記載された符号Fの矢印が指し示す方向がトラクタの前側であり、符号Rの矢印が指し示す方向がトラクタの右側である。
図1〜3に示すように、本実施形態に例示されたトラクタは、車体の前後両端にわたる車体フレーム1、車体フレーム1の左右に配置された左右の走行装置2、車体フレーム1の前部側に配置された原動部3、車体フレーム1の後部側に配置されたキャビン4、及び、車体フレーム1の後端部に昇降揺動可能に取り付けられた作業装置連結用の3点リンク機構5、などを備えている。
図1〜7に示すように、車体フレーム1は、原動部3に配置されたエンジン6の下部から車体前側に延出する前部フレーム7、及び、エンジン6の後端下部から車体後側に延出する後部フレーム兼用のケースユニット8、などを備えている。図示は省略するが、ケースユニット8の内部には、エンジン6からの動力を断続するペダル操作式の主クラッチ、主クラッチを経由した動力を走行用と作業用とに分岐して変速する変速伝動ユニット、及び、左右の走行装置2に作用する左右のサイドブレーキ、などが備えられている。
左右の走行装置2は、駆動可能な操舵輪として機能する左右の前輪9と、駆動輪として機能する左右の後輪10とを備えている。左右の前輪9は、前部フレーム7にローリング可能に支持された車輪支持部材11の左右両端部に操舵可能な状態で駆動可能に支持されている。車輪支持部材11は、前輪駆動用の伝動軸11Aなどを内部に備えた前車軸ケースである。左右の後輪10は、ケースユニット8に駆動可能に支持されるとともに、各後輪10の上部側が、車体の後部側に配置された左右のリアフェンダ12によって覆われている。
原動部3は、原動部3の冷却方向下手側となる原動部3の車体後部側に配置された水冷式のエンジン6、エンジン6よりも冷却方向上手側となる車体前側に配置された冷却ファン13、冷却ファン13よりも車体前側に配置されたラジエータ14、ラジエータ14よりも車体前側に配置されたバッテリ15、エンジン6の後部上方に配置された排気処理装置(図示せず)、エンジン6の前部上方に配置されたエアクリーナ(図示せず)、及び、エンジン6やラジエータ14などを上方から覆う揺動開閉式のボンネット16、などを備えている。エンジン6には、コモンレールシステムを備えた電子制御式のディーゼルエンジンが採用されている。排気処理装置は、DOC(Diesel Oxidation Catalyst)とDPF(Diesel particulate filter)とを内部に備えている。
図1〜4、図6〜9に示すように、キャビン4は、車体の後部側に運転部17と搭乗空間とを形成している。運転部17には、主クラッチの操作を可能にするクラッチペダル18、左右のサイドブレーキの操作を可能にする左右のブレーキペダル49、左右の前輪9の手動操舵を可能にする手動操舵用のステアリングホイール19、前後進切り換え用のシャトルレバー20、右腕用のアームレスト21を有する運転座席22、及び、タッチ操作可能な液晶パネル23Aなどを有する表示ユニット23、などが備えられている。ステアリングホイール19は、全油圧式のパワーステアリングユニット(以下、PSユニットと称する)24を有するステアリング機構25を介して左右の前輪9に連係されている。アームレスト21には、主変速レバー26、作業装置の高さ位置を設定する昇降レバー27、及び、作業装置の昇降を指令する昇降スイッチ28が備えられている。
図10に示すように、3点リンク機構5は、車体に備えられた電子油圧制御式の昇降駆動ユニット29の作動によって上下方向に揺動駆動される。図示は省略するが、3点リンク機構5には、ロータリ耕耘装置、プラウ、ディスクハロー、カルチベータ、サブソイラ、播種装置、及び、散布装置、などの作業装置を連結することができる。そして、3点リンク機構5に連結される作業装置が、車体からの動力によって駆動されるロータリ耕耘装置などである場合は、変速ユニットから取り出された作業用の動力が外部伝動軸を介して伝達される。
車体には、車体の走行に関する制御を行う走行制御部30A、及び、作業装置に関する制御を行う作業制御部30B、などを備えたメインの電子制御ユニット(以下、メインECUと称する)30が搭載されている。メインECU30は、前述した電子油圧制御式の昇降駆動ユニット29、エンジン用の電子制御ユニット(以下、エンジンECUと称する)31、変速伝動ユニットに備えられた電子制御式の主変速装置32と前後進切換装置33とPTOクラッチ34、左右のサイドブレーキの自動操作を可能にする電子油圧式のブレーキ操作ユニット35、及び、車速を含む車内情報を取得する車内情報取得ユニット36、などに、CAN(Controller Area Network)などの車内LAN又は通信線を介して通信可能に接続されている。メインECU30及びエンジンECU31は、CPU及びEEPROMなどを有するマイクロプロセッサを備えている。走行制御部30Aは、車体の走行に関する制御を可能にする各種の制御プログラムなどを有している。作業制御部30Bは、作業装置に関する制御を可能にする各種の制御プログラムなどを有している。
主変速装置32には、走行用の動力を無段階で変速する静油圧式の無段変速装置が採用されている。前後進切換装置33は、走行用の動力を断続する走行クラッチを兼ねている。図示は省略するが、変速伝動ユニットには、主変速装置32などとともに、走行用の動力を有段階で変速する副変速装置、及び、作業用の動力を有段階で変速するPTO変速装置、などが備えられている。
車内情報取得ユニット36には、エンジン6の出力回転数を検出する回転センサ37、副変速装置の出力回転数を車速として検出する車速センサ38、主変速レバー26の操作位置を検出する第1レバーセンサ39、運転部17に備えられた副変速レバー40の操作位置を検出する第2レバーセンサ41、シャトルレバー20の操作位置を検出する第3レバーセンサ42、昇降レバー27の操作位置を検出する第4レバーセンサ43、前述した昇降スイッチ28、運転部17に備えられた旋回上昇スイッチ44と後進上昇スイッチ45とPTOスイッチ46、昇降駆動ユニット29における左右のリフトアーム(図示せず)の上下揺動角度を作業装置の高さ位置として検出する高さセンサ47、及び、前輪9の舵角を検出する舵角センサ48、などの各種センサ及びスイッチ類が含まれている。
走行制御部30Aは、回転センサ37の出力と車速センサ38の出力と第1レバーセンサ39の出力と第2レバーセンサ41の出力とに基づいて、車速が、エンジン回転数と主変速レバー26の操作位置と副変速レバー40の操作位置とから求めた制御目標車速に達するように、主変速装置32のトラニオン軸(図示せず)を操作する車速制御を行う。これにより、運転者は、主変速レバー26を任意の操作位置に操作することにより、車速を任意の速度に変更することができる。
走行制御部30Aは、第3レバーセンサ42の出力に基づいて、シャトルレバー20の操作位置に応じた伝動状態に前後進切換装置33を切り換える前後進切り換え制御を行う。これにより、運転者は、シャトルレバー20を前進位置に操作することにより、車体の進行方向を前進方向に設定することができる。運転者は、シャトルレバー20を後進位置に操作することにより、車体の進行方向を後進方向に設定することができる。
作業制御部30Bは、第4レバーセンサ43の出力と高さセンサ47の出力とに基づいて、昇降レバー27の操作位置に応じた高さ位置に作業装置が位置するように昇降駆動ユニット29の作動を制御するポジション制御を行う。これにより、運転者は、昇降レバー27を任意の操作位置に操作することにより、作業装置の高さ位置を任意の高さ位置に変更することができる。
作業制御部30Bは、昇降スイッチ28の手動操作によって昇降スイッチ28が上昇指令状態に切り換えられると、昇降スイッチ28からの上昇指令と高さセンサ47の出力とに基づいて、作業装置が予め設定された上限位置まで上昇するように昇降駆動ユニット29の作動を制御する上昇制御を行う。これにより、運転者は、昇降スイッチ28を上昇指令状態に切り換えることにより、作業装置を上限位置まで自動的に上昇させることができる。
作業制御部30Bは、昇降スイッチ28の手動操作によって昇降スイッチ28が下降指令状態に切り換えられると、昇降スイッチ28からの下降指令と第4レバーセンサ43の出力と高さセンサ47の出力とに基づいて、作業装置が昇降レバー27によって設定された作業高さ位置まで下降するように昇降駆動ユニット29の作動を制御する下降制御を行う。これにより、運転者は、昇降スイッチ28を下降指令状態に切り換えることにより、作業装置を作業高さ位置まで自動的に下降させることができる。
作業制御部30Bは、旋回上昇スイッチ44の手動操作によって旋回連動上昇制御の実行が選択された場合は、前輪9の舵角を検出する舵角センサ48の出力に基づいて、前輪9の舵角が畦際旋回用の設定角度に達したことを検知したときに、前述した上昇制御を自動的に行う。これにより、運転者は、旋回連動上昇制御の実行を選択しておくことにより、畦際旋回の開始に連動して、作業装置を上限位置まで自動的に上昇させることができる。
作業制御部30Bは、後進上昇スイッチ45の手動操作によって後進連動上昇制御の実行が選択された場合は、第3レバーセンサ42の出力に基づいて、シャトルレバー20の後進位置への手動操作を検知したときに、前述した上昇制御を自動的に行う。これにより、運転者は、後進連動上昇制御の実行を選択しておくことにより、後進走行への切り換えに連動して、作業装置を上限位置まで自動的に上昇させることができる。
作業制御部30Bは、PTOスイッチ46の手動操作によってPTOスイッチ46の操作位置が入り位置に切り換えられると、入り位置への切り換えに基づいて、作業用の動力が作業装置に伝達されるようにPTOクラッチ34を入り状態に切り換えるクラッチ入り制御を行う。これにより、運転者は、PTOスイッチ46を入り位置に操作することによって作業装置を作動させることができる。
作業制御部30Bは、PTOスイッチ46の手動操作によってPTOスイッチ46の操作位置が切り位置に切り換えられると、切り位置への切り換えに基づいて、作業用の動力が作業装置に伝達されないようにPTOクラッチ34を切り状態に切り換えるクラッチ切り制御を行う。これにより、運転者は、PTOスイッチ46を切り位置に操作することによって作業装置を停止させることができる。
作業制御部30Bは、PTOスイッチ46の手動操作によってPTOスイッチ46の操作位置が自動位置に切り換えられると、前述した上昇制御の実行に連動して前述したクラッチ切り制御を自動的に行い、又、前述した下降制御の実行に連動して前述したクラッチ入り制御を自動的に行う。これにより、運転者は、PTOスイッチ46を自動位置に操作しておくことにより、作業装置の上限位置への自動上昇に連動して作業装置を停止させることができ、又、作業装置の作業高さ位置への自動下降に連動して作業装置を作動させることができる。
図1〜8、図10に示すように、このトラクタは、運転モードの手動運転モード及び自動運転モードなどの選択を可能にする選択イッチ50と、自動運転モードが選択された場合に車体を自動で運転する自動運転用の電子制御システム51とを備えている。電子制御システム51は、前述したメインECU30、左右の前輪9の自動操舵を可能にする自動操舵ユニット52、車体の位置及び方位を測定する測位ユニット53、及び、車体の周囲を監視する監視ユニット54、などを備えている。
図2〜4、図6〜8、図10に示すように、自動操舵ユニット52は、前述したPSユニット24によって構成されている。PSユニット24は、左右の前輪9に連係された油圧式で複動型のステアリングシリンダ55と、ステアリングシリンダ55に作用する油圧を制御する油圧制御ユニット56とを備えている。油圧制御ユニット56は、ステアリングシリンダ55に対するオイルの流れを制御するパイロット式のステアリングバルブ57、ステアリングホイール19の回動操作量に応じてステアリングバルブ57に対するパイロット流量を制御する手動式の第1パイロットバルブ58、及び、メインECU30からの制御指令に基づいてステアリングバルブ57に対するパイロット流量を制御する電動式の第2パイロットバルブ59を備えている。
上記の構成により、手動運転モードが選択された場合は、搭乗者がステアリングホイール19を回動操作することにより、左右の前輪9を、PSユニット24を介した軽い操作力で操舵することができる。又、自動運転モードが選択された場合は、メインECU30からの制御指令に基づいてPSユニット24が作動することにより、左右の前輪9が自動的に適正に操舵される。
つまり、自動操舵専用のステアリングユニットを備えることなく、左右の前輪9を自動で操舵することができる。又、PSユニット24の電気系に不具合が生じた場合は、搭乗者による手動操舵に簡単に切り換えることができ、車体の運転を継続することができる。
図1〜3、図10〜13に示すように、測位ユニット53は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の一例である周知のGPS(lobal Positioning System)を利用して車体の位置及び方位を測定する衛星航法装置60を備えている。GPSを利用した測位方法には、DGPS(Differential GPS)やRTK−GPS(Real Time Kinematic GPS)などがあるが、本実施形態においては、移動体の測位に適したRTK−GPSが採用されている。
衛星航法装置60は、GPS衛星(図示せず)から送信された電波と、既知位置に設置された基準局(図示せず)から送信された測位データとを受信する衛星航法用のアンテナユニット61を備えている。基準局は、GPS衛星からの電波を受信して得た測位データを衛星航法装置60に送信する。衛星航法装置60は、GPS衛星からの電波を受信して得た測位データと、基準局からの測位データとに基づいて、車体の位置及び方位を求める。
アンテナユニット61は、GPS衛星からの電波の受信感度が高くなるように、車体の最上部に位置するキャビン4のルーフ62に取り付けられている。そのため、GPSを利用して測定した車体の位置及び方位には、車体のヨーイング、ピッチング、又は、ローリングに伴うアンテナユニット61の位置ズレに起因した測位誤差が含まれている。
そこで、車体には、上記の測位誤差を取り除く補正を可能にするために、3軸のジャイロスコープ(図示せず)と3方向の加速度センサ(図示せず)とを有して車体のヨー角、ピッチ角、ロール角、などを計測する慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)63が備えられている。慣性計測装置63は、前述したアンテナユニット61の位置ズレ量を求め易くするために、アンテナユニット61の内部に備えられている。アンテナユニット61は、平面視において車体におけるトレッドTの中央部でホイールベースLの中央部に位置するように、キャビン4のルーフ62における前部上面の左右中央箇所に取り付けられている(図2参照)。
上記の構成により、少なくとも、平面視においては慣性計測装置63の取り付け位置が車体の重心位置に近くなる。これにより、慣性計測装置63が計測したヨー角などを、車体の重心位置からの慣性計測装置63の位置ズレ量に基づいて補正するための演算が簡単になり、よって、慣性計測装置63の計測結果を迅速に正しく補正することができる。つまり、慣性計測装置63による車体のヨー角などの計測を迅速に精度良く行うことができる。
これにより、衛星航法装置60が車体の位置及び方位を測定する場合において、車体のヨーイング、ピッチング、又は、ローリングに起因して、アンテナユニット61に位置ズレが生じたときは、このときのアンテナユニット61の位置ズレ量を、慣性計測装置63が計測する車体のヨー角、ピッチ角、ロール角、などから迅速に精度良く求めることができる。そして、衛星航法装置60が計測した車体の位置及び方位に含まれるアンテナユニット61の位置ズレに起因した測位誤差を、慣性計測装置63の計測結果から求められるアンテナユニット61の位置ズレ量に基づいて迅速に精度良く求めることができ、この測位誤差を衛星航法装置60の測定結果から取り除く補正を迅速かつ適正に行える。
その結果、全地球航法衛星システムを利用した車体の位置及び方位の測定を、より簡単かつ迅速に精度良く行うことができる。
図10に示すように、メインECU30は、車体の自動運転を可能にする各種の制御プログラムなどを有する自動運転制御部30Cを備えている。自動運転制御部30Cは、車体が予め設定された圃場の目標走行経路を設定速度で適正に作業を行いながら自動走行するように、目標走行経路及び測位ユニット53の測位結果などに基づいて、走行制御部30A及び作業制御部30Bなどに各種の制御指令を適切なタイミングで送信する。走行制御部30Aは、自動運転制御部30Cからの各種の制御指令及び車内情報取得ユニット36の各種取得情報などに基づいて、主変速装置32及び前後進切換装置33などに各種の制御指令を適切なタイミングで送信して主変速装置32及び前後進切換装置33などの作動を制御する。作業制御部30Bは、自動運転制御部30Cからの各種の制御指令及び車内情報取得ユニット36の各種取得情報などに基づいて、昇降駆動ユニット29及びPTOクラッチ34などに各種の制御指令を適切なタイミングで送信して昇降駆動ユニット29及びPTOクラッチ34などの作動を制御する。
目標走行経路は、圃場での手動運転による作業走行時に走行した走行経路、及び、畦際旋回開始地点などが、測位ユニット53の測位結果などに基づいてデータ化されたものであってよい。又、目標走行経路は、圃場での手動運転によるティーチング走行時に走行した走行経路、及び、畦際旋回開始地点などが、測位ユニット53の測位結果などに基づいてデータ化されたものであってよい。
図1〜5、図10〜13に示すように、監視ユニット54は、車体に対する至近距離内(例えば1m以内)での障害物の有無を検出する障害物検出モジュール64、車体に対する近距離(例えば10m以内)での障害物の接近を検出する前後の障害物探知器65、障害物との接触を回避する接触回避制御を行う接触回避制御部30D、車体の周囲を撮影する6台の監視カメラ66、監視カメラ66が撮影した画像を処理する画像処理装置67、などを備えている。
障害物検出モジュール64は、車体に対する至近距離内において障害物を探査する8個の障害物探査器68と、各障害物探査器68からの探査情報に基づいて車体に対する至近距離内に障害物が接近したか否かの判別処理を行う2台の探査情報処理装置69とを備えている。
各障害物探査器68には、測距センサの一例として測距に超音波を使用するソナー68が採用されている。8個のソナー68は、車体の前方と左右両側方とが探査対象領域になるように、車体の前端部と左右両端部とに分散して配置されている。各ソナー68は、それらの探査で得た探査情報を対応する探査情報処理装置69に送信する。
各探査情報処理装置69は、対応する各ソナー68における超音波の発信から受信までの時間に基づいて、車体に対する至近距離内に障害物が接近したか否かの判別処理を行い、この判別結果を接触回避制御部30Dに出力する。
これにより、自動運転中の車体の前方又は左右の横側方において障害物が車体に対する至近距離内に異常接近した場合は、この障害物の接近が障害物検出モジュール64によって検出される。又、車体の後端部にはソナー68が備えられていないことにより、障害物検出モジュール64が、車体の後部に昇降可能に取り付けられた作業装置を障害物として誤検出することが回避されている。
ちなみに、障害物検出モジュール64は、例えば、車体が自動運転によって畦に向かって走行しているとき、又は、車体が自動運転によって畦際で畦に沿って走行しているときに、畦が車体に対する至近距離内に異常接近した場合は、この畦を障害物として検出する。又、移動体が車体に対する至近距離内に異常接近した場合は、この移動体を障害物として検出する。
各障害物探知器65には、約270度程度の検出角度を有するレーザスキャナ65が採用されている。各レーザスキャナ65は、障害物の探知を行う探知部65Aと、探知部65Aからの探知情報を処理する処理部65Bとを備えている。探知部65Aは、探知対象領域にレーザ光線を照射して反射光を受け取る。処理部65Bは、レーザ光線の照射から受光までの時間に基づいて、車体に対する近距離において障害物が接近しているか否かなどを判別し、判別結果を接触回避制御部30Dに出力する。前側のレーザスキャナ65は、車体前側の領域が探知対象領域に設定されている。後側のレーザスキャナ65は、車体後側の領域が探知対象領域に設定されている。
接触回避制御部30Dは、接触回避制御の実行を可能にする制御プログラムなどを有してメインECU30に備えられている。接触回避制御部30Dは、各レーザスキャナ65の判別結果に基づいて、車体に対する近距離での障害物の接近を確認したときに、自動運転制御部30Cの制御作動に基づく自動運転に優先して接触回避制御を開始する。そして、接触回避制御部30Dは、各レーザスキャナ65及び各探査情報処理装置69の判別結果に基づいて接触回避制御を行う。
接触回避制御において、接触回避制御部30Dは、接触回避制御の開始とともに走行制御部30Aに減速指令を出力する。これにより、接触回避制御部30Dは、走行制御部30Aの制御作動によって主変速装置32を減速作動させて、車速を通常走行用の設定速度から接触回避用の設定速度まで低下させる。接触回避制御部30Dは、この低速走行状態において、いずれかの探査情報処理装置69の判別結果に基づいて、車体に対する至近距離内への障害物の接近を確認したときに、走行制御部30A及び作業制御部30Bに緊急停止指令を出力する。これにより、接触回避制御部30Dは、走行制御部30Aの制御作動によって前後進切換装置33を中立状態に切り換えるとともに、ブレーキ操作ユニット35の作動によって左右のブレーキを作動させて左右の前輪9と左右の後輪10とを制動させる。又、接触回避制御部30Dは、作業制御部30Bの作動によってPTOクラッチ34を切り状態に切り換えて作業装置の作動を停止させる。その結果、車体に対する至近距離内への障害物の接近に基づいて、車体の走行停止と作業装置の作動停止とを迅速に行うことができ、車体が障害物に接触する虞を回避することができる。接触回避制御部30Dは、この低速走行状態において、各レーザスキャナ65の判別結果に基づいて、車体に対する近距離内において障害物が存在しないことを確認したときに、走行制御部30Aに増速指令を出力し、その後、接触回避制御を終了する。これにより、接触回避制御部30Dは、走行制御部30Aの制御作動によって主変速装置32を増速作動させて、車速を接触回避用の設定速度から通常走行用の設定速度まで上昇させた後、自動運転制御部30Cの制御作動に基づく自動運転を再開させる。
図1〜3、図10〜13に示すように、各監視カメラ66には、広角の可視光用CCDカメラが採用されている。6台の監視カメラ66のうちの1台は、車体の前方撮影用であり、この監視カメラ66は、撮影方向が前下方向きになる傾斜姿勢で、キャビン4の上端部における前端の左右中央箇所に設置されている。6台の監視カメラ66のうちの2台は、車体の右方撮影用であり、これらの監視カメラ66は、撮影方向が右下方向きになる傾斜姿勢で、キャビン4の上端部における右端箇所に前後に所定間隔をあけて設置されている。6台の監視カメラ66のうちの2台は、車体の左方撮影用であり、これらの監視カメラ66は、撮影方向が左下方向きになる傾斜姿勢で、キャビン4の上端部における左端箇所に前後に所定間隔をあけて設置されている。6台の監視カメラ66のうちの1台は、車体の後方撮影用であり、この監視カメラ66は、撮影方向が後下方向きになる傾斜姿勢で、キャビン4の上端部における後端の左右中央箇所に設置されている。これにより、車体の周囲を漏れなく撮影することができる。
尚、右監視カメラ66と左監視カメラ66とを1台ずつにして、キャビン4の上端部における左右両端の適正箇所に設置するようにしてもよい。
画像処理装置67は、各監視カメラ66からの映像信号を処理して、車体前方画像、車体右側方画像、車体左側方画像、車体後方画像、及び、車体の真上から見下ろしたような俯瞰画像、などを生成して表示ユニット23などに送信する。表示ユニット23は、液晶パネル23Aに表示される各種の操作スイッチ(図示せず)の人為操作などに基づいて、液晶パネル23Aに表示される画像を切り換える制御部23B、などを有している。
上記の構成により、手動運転時においては、運転者は、画像処理装置67からの画像を液晶パネル23Aに表示させることにより、運転中の車体の周辺状況や作業状況を容易に視認することができる。これにより、運転者は、作業の種類などに応じた良好な車体の運転を容易に行うことができる。又、自動運転時に管理者が車体に搭乗する場合においては、管理者は、画像処理装置67からの画像を液晶パネル23Aに表示させることにより、自動運転中の車体の周辺状況や作業状況を容易に視認することができる。そして、管理者は、自動運転中の車体周辺又は作業状況などにおける異常を視認した場合は、その異常の種類や程度などに応じた適切な処置を速やかに行うことができる。
図10に示すように、電子制御システム51は、選択イッチ50の人為操作によって協調運転モードが選択された場合に、車体を同じ仕様の他車と協調して自動走行させる協調制御ユニット70を備えている。協調制御ユニット70は、車体の位置情報を含む他車との協調走行に関する情報を他車との間で無線通信する通信モジュール71と、他車からの情報に基づいて協調運転制御を行う協調運転制御部30Eとを備えている。協調運転制御部30Eは、協調運転制御の実行を可能にする制御プログラムなどを有してメインECU30に備えられている。
協調運転モードにおいて、自動運転制御部30Cは、車体が予め設定された併走用の目標走行経路を設定速度で適正に作業を行いながら自動走行するように、併走用の目標走行経路及び測位ユニット53の測位結果などに基づいて、走行制御部30A及び作業制御部30Bなどに各種の制御指令を適切なタイミングで送信する。協調運転制御部30Eは、自車の併走用の目標走行経路、測位ユニット53の測位結果、他車の併走用の目標走行経路、及び、他車の位置情報、などに基づいて、先行する他車と自車との進行方向での車間距離、及び、先行する他車と自車との併走方向での車間距離、などが適正であるか否かを判別する。そして、いずれかの車間距離が適正でない場合は、その車間距離が適正になるように、自動運転制御部30Cの制御作動に基づく自動運転に優先して協調運転制御を開始する。
協調運転制御において、協調運転制御部30Eは、進行方向での車間距離が適正距離よりも短い場合は、走行制御部30Aに減速指令を出力する。これにより、協調運転制御部30Eは、走行制御部30Aの制御作動によって主変速装置32を減速作動させて、進行方向での車間距離を適正距離に復帰させる。そして、協調運転制御部30Eは、進行方向での車間距離が適正距離に復帰するのに伴って、自動運転制御部30Cの制御作動に基づく自動運転を再開させることにより、車速を通常走行用の設定速度まで上昇させて進行方向での車間距離を適正距離に維持する。
協調運転制御部30Eは、進行方向での車間距離が適正距離よりも長い場合は、走行制御部30Aに増速指令を出力する。これにより、協調運転制御部30Eは、走行制御部30Aの制御作動によって主変速装置32を増速作動させて、進行方向での車間距離を適正距離に復帰させる。そして、協調運転制御部30Eは、進行方向での車間距離が適正距離に復帰するのに伴って、自動運転制御部30Cの制御作動に基づく自動運転を再開させることにより、車速を通常走行用の設定速度まで低下させて進行方向での車間距離を適正距離に維持する。
協調運転制御部30Eは、併走方向での車間距離が適正距離よりも長い場合は、走行制御部30Aに他車側への操舵指令を出力する。これにより、協調運転制御部30Eは、走行制御部30Aの制御作動によって左右の前輪9を他車側に操舵させて、併走方向での車間距離を適正距離に復帰させる。そして、協調運転制御部30Eは、併走方向での車間距離が適正距離に復帰するのに伴って、自動運転制御部30Cの制御作動に基づく自動運転を再開させることにより、車体の進行方向を通常走行用の進行方向に戻して併走方向での車間距離を適正距離に維持する。
協調運転制御部30Eは、併走方向での車間距離が適正距離よりも短い場合は、走行制御部30Aに他車から離れる側への操舵指令を出力する。これにより、協調運転制御部30Eは、走行制御部30Aの制御作動によって左右の前輪9を他車から離れる側に操舵させて、併走方向での車間距離を適正距離に復帰させる。そして、協調運転制御部30Eは、併走方向での車間距離が適正距離に復帰するのに伴って、自動運転制御部30Cの制御作動に基づく自動運転を再開させることにより、車体の進行方向を通常走行用の進行方向に戻して併走方向での車間距離を適正距離に維持する。
これにより、自車を、先行する他車に対して、進行方向での車間距離と併走方向での車間距離とを訂正に維持しながら自動で適正に併走させることができる。
図4〜8に示すように、前部フレーム7は、前後に長い鋼板製の左右のサイドメンバ80、及び、左右のサイドメンバ80にわたる鋼板製のフロントエンドメンバ81と前後のクロスメンバ82、などを有している。前後のクロスメンバ82には、車輪支持部材11をローリング可能に支持するブラケット83が取り付けられている。
ステアリング機構25は、ステアリングホイール19の回動操作量をPSユニット24の第1パイロットバルブ58に伝える連動ユニット84、及び、ステアリングシリンダ55におけるピストンロッド55Aの左右方向へのスライド運動を左右方向の揺動に変換して左右の前輪9に伝える左右のステアリングナックル85、などを有している。
PSユニット24は、その一部である油圧制御ユニット56が、左右のサイドメンバ80の間に位置する状態で車輪支持部材11の近くに配置されている。そして、油圧制御ユニット56は、その連結部56Aが右側のサイドメンバ80にボルト連結されることにより、前部フレーム7に支持されている。
上記の構成により、PSユニット24は、運転部17から離れた車体の下部側に配置されることになる。これにより、PSユニット24の油圧脈動音が運転部17に及び難くなることから、運転部17の静寂性を高めることができる。
そして、重量の大きいPSユニット24が、車体前側の下部側に配置されることにより、車体の重心位置が低くなるとともに、後部に作業装置が取り付けられた状態での車体の前後バランスを向上させることができる。その結果、車体の安定性を高めることができる。
又、前部フレーム7における左右のサイドメンバ80及びクロスメンバ82などが、複数のバルブ57〜59などを備える油圧制御ユニット56を保護するようになることから、PSユニット24を車体の下部側に配置しながらも、油圧制御ユニット56が他物に接触して破損する虞を抑制することができる。
その上、油圧制御ユニット56は、高い強度を有する前部フレーム7によって高い支持強度で安定的に支持されることから、油圧制御ユニット56が油圧の脈動に起因して振動することを、支持構造の複雑化を招くことなく防止することができる。
図4〜8に示すように、前部フレーム7は、油圧制御ユニット56を上方から覆う位置に、左右のサイドメンバ80にわたるように配置された鋼板製の仕切板86を有している。そして、仕切板86の上面とボンネット16との間に形成された冷却風路に、バッテリ15などが配置されている。又、仕切板86における冷却方向下手側の端部に、ラジエータ14が連接されている。
仕切板86には、PSユニット24の第2パイロットバルブ59に備えたハーネス接続用のカプラ59Aを上方に臨ませる開口86Aが形成され、かつ、開口86Aとカプラ59Aとの間に形成された隙間を塞ぐゴムシート製の遮蔽部材87が取り付けられている。
上記の構成により、第2パイロットバルブ59のカプラ59Aに接続されるワイヤハーネス88を仕切板86の上側に通すことができる。これにより、例えば、ワイヤハーネス88を仕切板86の下側に通す場合に比較して、左右の前輪9によって跳ね上げられた小石などの他物がワイヤハーネス88に接触して、ワイヤハーネス88が傷付く虞を回避することができる。
そして、ワイヤハーネス88を仕切板86の上側に通すようにしながらも、左右の前輪9などによって舞い上げられた塵埃が、外気とともに仕切板86の開口86Aとカプラ59Aとの隙間から冷却風路内に流入することを、遮蔽部材87によって阻止することができる。これにより、塵埃が、仕切板86の開口86Aとカプラ59Aとの隙間から冷却風路内に流入することに起因して、ラジエータ14が目詰まりするなどの不都合の発生を防止することができる。
図4、図6、図8に示すように、油圧制御ユニット56は、油圧配管用の5つの接続ポート(図示せず)有している。各接続ポートには、L字型の管継手89がねじ込み接続されている。そして、各管継手89のうち、前後方向で近接する接続ポートに接続される第1管継手89Aと第2管継手89B及び第3管継手89Cと第4管継手89Dは、対応する接続ポートに接続されたときに、隣接する後側の第2管継手89B及び第4管継手89Dが前側の第1管継手89A又は第3管継手89Cの内側に位置するように、油圧制御ユニット56からの延出長さが異なる長さに設定されている。又、上下方向で近接する接続ポートに接続される第2管継手89Bと第4管継手89Dと第5管継手89Eのうち、第5管継手89Eは、対応する接続ポートに接続されたときの油圧制御ユニット56からの延出長さが、第5管継手89Eの上下に隣接する第2管継手89B及び第4管継手89Dの油圧制御ユニット56からの延出長さよりも長くなり、かつ、第1管継手89A及び第3管継手89Cの油圧制御ユニット56からの延出長さよりも短くなるように設定されている。
上記の構成により、油圧制御ユニット56の各接続ポートに各管継手89A〜89Eをねじ込み接続するときは、油圧制御ユニット56からの延出長さが最も短くなる管継手89から順に、つまり、先ず、油圧制御ユニット56からの延出長さが最も短くなる第2管継手89B及び第4管継手89Dを対応する接続ポートにねじ込み接続し、次に、第5管継手89Eを対応する接続ポートにねじ込み接続し、最後に、油圧制御ユニット56からの延出長さが最も長くなる第1管継手89A又は第3管継手89Cを対応する接続ポートにねじ込み接続することにより、油圧制御ユニット56からの延出長さが長い管継手89を接続ポートにねじ込み接続するときに、先に接続した管継手89が邪魔になることを回避することができる。
その結果、油圧制御ユニット56が左右のサイドメンバ80の間の狭い空間に配置されていても、油圧制御ユニット56の各接続ポートに対する管継手89のねじ込み接続を効率良く行うことができる。
〔別実施形態〕
本発明は、上記の実施形態で例示した構成に限定されるものではなく、以下、本発明に関する代表的な別実施形態を例示する。
〔1〕作業車は、以下に例示する構成が採用されていてもよい。
例えば、作業車は、左右の後輪10に代えて左右のクローラを備えるセミクローラ仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車は、左右の後輪10が操舵輪であってもよく、又、左右の前輪9と左右の後輪10との双方が操舵輪であってもよい。
例えば、作業車は、左右の前輪9と左右の後輪10とのいずれか一方が駆動される二輪駆動式であってもよい。
例えば、作業車は、エンジン6の代わりに電動モータを備える電動仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車は、エンジン6と電動モータとを備えるハイブリッド仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車は、キャビン4に代えて保護フレームを備えていてもよい。
〔2〕車体フレーム1は、車体に前後両端部にわたる長尺の左右のサイドメンバ80を有していてもよい。
〔3〕車輪支持部材11は、内部に伝動軸11Aを備えていなくてもよい。
〔4〕パワーステアリングユニット24は、アシストモータを備えた電動式であってもよい。この場合、アシストモータを左右のサイドメンバ80の間に配置するようにしてもよい。
本発明は、左右のサイドメンバを有する車体フレームを備えたトラクタ、乗用草刈機、及び、乗用田植機などの作業車に適用することができる。
9 操舵輪
1 車体フレーム
11 車輪支持部材
14 ラジエータ
16 ボンネット
19 ステアリングホイール
24 パワーステアリングユニット
25 ステアリング機構
51 電子制御システム
55 ステアリングシリンダ
56 油圧制御ユニット
57 ステアリングバルブ
58 第1パイロットバルブ
59 第2パイロットバルブ
59A カプラ
80 サイドメンバ
82 クロスメンバ
86 仕切板
86A 開口
87 遮蔽部材
89A 管継手
89B 管継手
89C 管継手
89D 管継手
89E 管継手

Claims (5)

  1. 左右のサイドメンバ及び前記左右のサイドメンバに亘って取り付けられたクロスメンバを有する車体フレームと、前記クロスメンバに支持されることにより前記車体フレームに支持された車輪支持部材と、前記車輪支持部材に操舵可能に支持された左右の操舵輪と、パワーステアリングユニットを有して前記左右の操舵輪を操舵するステアリング機構とを備え、
    前記パワーステアリングユニットは、前記左右の操舵輪に連係された油圧式のステアリングシリンダと、前記ステアリングシリンダに作用する油圧を制御する油圧制御ユニットとを備え、
    前記油圧制御ユニットは、平面視で前記車輪支持部材に対して前側の前記クロスメンバと重複するように前記前側のクロスメンバの上方に配置され、且つ、前記左右のサイドメンバの間に配置された状態で、前記車体フレームに支持されている作業車。
  2. 前記ステアリングシリンダが、平面視で前記車輪支持部材に対して前側に配置された状態で、前記前側のクロスメンバの下方に配置されている請求項1に記載の作業車。
  3. 手動操舵用のステアリングホイールと、車体を自動で運転する自動運転用の電子制御システムとを備え、
    前記油圧制御ユニットは、前記ステアリングシリンダに対するオイルの流れを制御するパイロット式のステアリングバルブと、前記ステアリングホイールの回動操作量に応じて前記ステアリングバルブに対するパイロット流量を制御する手動式の第1パイロットバルブと、前記電子制御システムからの制御指令に基づいて前記ステアリングバルブに対するパイロット流量を制御する電動式の第2パイロットバルブとを備えている請求項1又は2に記載の作業車。
  4. 前記油圧制御ユニットを上方から覆う位置に配置された仕切板と、前記仕切板の上面との間に冷却風路を形成するボンネットと、前記仕切板における冷却方向下手側の端部に連接されたラジエータとを備え、
    前記仕切板には、前記第2パイロットバルブに備えたハーネス接続用のカプラを上方に臨ませる開口が形成され、かつ、前記開口と前記カプラとの間に形成された隙間を塞ぐ遮蔽部材が取り付けられている請求項3に記載の作業車。
  5. 前記油圧制御ユニットに備えられた複数の接続ポートにねじ込み接続されるL字型の複数の管継手を備え、
    複数の前記管継手のうち、近接する前記接続ポートに接続される管継手は、前記接続ポートに接続されたときに、隣接する一方の管継手が他方の管継手の内側に位置するように、前記油圧制御ユニットからの延出長さが異なる長さに設定されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の作業車。
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