以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明が、作業車の一例であるトラクタに適用された実施形態を図面に基づいて説明する。
尚、図1に記載された符号Fの矢印が指し示す方向がトラクタの前側であり、符号Uの矢印が指し示す方向がトラクタの上側である。
又、図2に記載された符号Fの矢印が指し示す方向がトラクタの前側であり、符号Rの矢印が指し示す方向がトラクタの右側である。
図1〜3に示すように、本実施形態に例示されたトラクタは、車体の前後両端にわたる車体フレーム1、車体フレーム1の左右に配置された左右の走行装置2、車体フレーム1の前部側に配置された原動部3、車体フレーム1の後部側に配置されたキャビン4、及び、車体フレーム1の後端部に昇降揺動可能に取り付けられた作業装置連結用の3点リンク機構5、などを備えている。
図1〜5に示すように、車体フレーム1は、原動部3に配置されたエンジン6の下部から車体前側に延出する前部フレーム7、及び、エンジン6の後端下部から車体後側に延出する後部フレーム兼用のケースユニット8、などを備えている。図示は省略するが、ケースユニット8の内部には、エンジン6からの動力を断続するペダル操作式の主クラッチ、主クラッチを経由した動力を走行用と作業用とに分岐して変速する変速伝動ユニット、及び、左右の走行装置2に作用する左右のサイドブレーキ、などが備えられている。
左右の走行装置2は、駆動可能な操舵輪として機能する左右の前輪9と、駆動輪として機能する左右の後輪10とを備えている。左右の前輪9は、前部フレーム7にローリング可能に支持された車輪支持部材11の左右両端部に操舵可能な状態で駆動可能に支持されている。車輪支持部材11は、前輪駆動用の伝動軸11Aなどを内部に備えた前車軸ケースである。左右の後輪10は、ケースユニット8に駆動可能に支持されるとともに、各後輪10の上部側が、車体の後部側に配置された左右のリアフェンダ12によって覆われている。
原動部3は、原動部3の冷却方向下手側となる原動部3の車体後部側に配置された水冷式のエンジン6、エンジン6よりも冷却方向上手側となる車体前側に配置された冷却ファン13、冷却ファン13よりも車体前側に配置されたラジエータ14、ラジエータ14よりも車体前側に配置されたバッテリ15、エンジン6の後部上方に配置された排気処理装置(図示せず)、エンジン6の前部上方に配置されたエアクリーナ(図示せず)、及び、エンジン6やラジエータ14などを上方から覆う揺動開閉式のボンネット16、などを備えている。エンジン6には、コモンレールシステムを備えた電子制御式のディーゼルエンジンが採用されている。排気処理装置は、DOC((Diesel Oxidation Catalyst)とDPF(Diesel particulate filter)とを内部に備えている。
図1〜4、図6に示すように、キャビン4は、車体の後部側に運転部17と搭乗空間とを形成している。運転部17には、主クラッチの操作を可能にするクラッチペダル18、左右のサイドブレーキの操作を可能にする左右のブレーキペダル49、左右の前輪9の手動操舵を可能にする手動操舵用のステアリングホイール19、前後進切り換え用のシャトルレバー20、右腕用のアームレスト21を有する運転座席22、及び、タッチ操作可能な液晶パネル23Aなどを有する表示ユニット23、などが備えられている。ステアリングホイール19は、全油圧式のパワーステアリングユニット(以下、PSユニットと称する)24を有するステアリング機構25を介して左右の前輪9に連係されている。アームレスト21には、主変速レバー26、作業装置の高さ位置を設定する昇降レバー27、及び、作業装置の昇降を指令する昇降スイッチ28が備えられている。
図7に示すように、3点リンク機構5は、車体に備えられた電子油圧制御式の昇降駆動ユニット29の作動によって上下方向に揺動駆動される。図示は省略するが、3点リンク機構5には、ロータリ耕耘装置、プラウ、ディスクハロー、カルチベータ、サブソイラ、播種装置、及び、散布装置、などの作業装置を連結することができる。そして、3点リンク機構5に連結される作業装置が、車体からの動力によって駆動されるロータリ耕耘装置などである場合は、変速ユニットから取り出された作業用の動力が外部伝動軸を介して伝達される。
車体には、車体の走行に関する制御を行う走行制御部30A、及び、作業装置に関する制御を行う作業制御部30B、などを備えたメインの電子制御ユニット(以下、メインECUと称する)30が搭載されている。メインECU30は、前述した電子油圧制御式の昇降駆動ユニット29、エンジン用の電子制御ユニット(以下、エンジンECUと称する)31、変速伝動ユニットに備えられた電子制御式の主変速装置32と前後進切換装置33とPTOクラッチ34、左右のサイドブレーキの自動操作を可能にする電子油圧式のブレーキ操作ユニット35、及び、車速を含む車内情報を取得する車内情報取得ユニット36、などに、CAN(Controller Area Network)などの車内LAN又は通信線を介して通信可能に接続されている。メインECU30及びエンジンECU31は、CPU及びEEPROMなどを有するマイクロプロセッサを備えている。走行制御部30Aは、車体の走行に関する制御を可能にする各種の制御プログラムなどを有している。作業制御部30Bは、作業装置に関する制御を可能にする各種の制御プログラムなどを有している。
主変速装置32には、走行用の動力を無段階で変速する静油圧式の無段変速装置が採用されている。前後進切換装置33は、走行用の動力を断続する走行クラッチを兼ねている。図示は省略するが、変速伝動ユニットには、主変速装置32などとともに、走行用の動力を有段階で変速する副変速装置、及び、作業用の動力を有段階で変速するPTO変速装置、などが備えられている。
車内情報取得ユニット36には、エンジン6の出力回転数を検出する回転センサ37、副変速装置の出力回転数を車速として検出する車速センサ38、主変速レバー26の操作位置を検出する第1レバーセンサ39、運転部17に備えられた副変速レバー40の操作位置を検出する第2レバーセンサ41、シャトルレバー20の操作位置を検出する第3レバーセンサ42、昇降レバー27の操作位置を検出する第4レバーセンサ43、前述した昇降スイッチ28、運転部17に備えられた旋回上昇スイッチ44と後進上昇スイッチ45とPTOスイッチ46、昇降駆動ユニット29における左右のリフトアーム(図示せず)の上下揺動角度を作業装置の高さ位置として検出する高さセンサ47、及び、前輪9の舵角を検出する舵角センサ48、などの各種センサ及びスイッチ類が含まれている。
走行制御部30Aは、回転センサ37の出力と車速センサ38の出力と第1レバーセンサ39の出力と第2レバーセンサ41の出力とに基づいて、車速が、エンジン回転数と主変速レバー26の操作位置と副変速レバー40の操作位置とから求めた制御目標車速に達するように、主変速装置32のトラニオン軸(図示せず)を操作する車速制御を行う。これにより、運転者は、主変速レバー26を任意の操作位置に操作することにより、車速を任意の速度に変更することができる。
走行制御部30Aは、第3レバーセンサ42の出力に基づいて、シャトルレバー20の操作位置に応じた伝動状態に前後進切換装置33を切り換える前後進切り換え制御を行う。これにより、運転者は、シャトルレバー20を前進位置に操作することにより、車体の進行方向を前進方向に設定することができる。運転者は、シャトルレバー20を後進位置に操作することにより、車体の進行方向を後進方向に設定することができる。
作業制御部30Bは、第4レバーセンサ43の出力と高さセンサ47の出力とに基づいて、昇降レバー27の操作位置に応じた高さ位置に作業装置が位置するように昇降駆動ユニット29の作動を制御するポジション制御を行う。これにより、運転者は、昇降レバー27を任意の操作位置に操作することにより、作業装置の高さ位置を任意の高さ位置に変更することができる。
作業制御部30Bは、昇降スイッチ28の手動操作によって昇降スイッチ28が上昇指令状態に切り換えられると、昇降スイッチ28からの上昇指令と高さセンサ47の出力とに基づいて、作業装置が予め設定された上限位置まで上昇するように昇降駆動ユニット29の作動を制御する上昇制御を行う。これにより、運転者は、昇降スイッチ28を上昇指令状態に切り換えることにより、作業装置を上限位置まで自動的に上昇させることができる。
作業制御部30Bは、昇降スイッチ28の手動操作によって昇降スイッチ28が下降指令状態に切り換えられると、昇降スイッチ28からの下降指令と第4レバーセンサ43の出力と高さセンサ47の出力とに基づいて、作業装置が昇降レバー27によって設定された作業高さ位置まで下降するように昇降駆動ユニット29の作動を制御する下降制御を行う。これにより、運転者は、昇降スイッチ28を下降指令状態に切り換えることにより、作業装置を作業高さ位置まで自動的に下降させることができる。
作業制御部30Bは、旋回上昇スイッチ44の手動操作によって旋回連動上昇制御の実行が選択された場合は、前輪9の舵角を検出する舵角センサ48の出力に基づいて、前輪9の舵角が畦際旋回用の設定角度に達したことを検知したときに、前述した上昇制御を自動的に行う。これにより、運転者は、旋回連動上昇制御の実行を選択しておくことにより、畦際旋回の開始に連動して、作業装置を上限位置まで自動的に上昇させることができる。
作業制御部30Bは、後進上昇スイッチ45の手動操作によって後進連動上昇制御の実行が選択された場合は、第3レバーセンサ42の出力に基づいて、シャトルレバー20の後進位置への手動操作を検知したときに、前述した上昇制御を自動的に行う。これにより、運転者は、後進連動上昇制御の実行を選択しておくことにより、後進走行への切り換えに連動して、作業装置を上限位置まで自動的に上昇させることができる。
作業制御部30Bは、PTOスイッチ46の手動操作によってPTOスイッチ46の操作位置が入り位置に切り換えられると、入り位置への切り換えに基づいて、作業用の動力が作業装置に伝達されるようにPTOクラッチ34を入り状態に切り換えるクラッチ入り制御を行う。これにより、運転者は、PTOスイッチ46を入り位置に操作することによって作業装置を作動させることができる。
作業制御部30Bは、PTOスイッチ46の手動操作によってPTOスイッチ46の操作位置が切り位置に切り換えられると、切り位置への切り換えに基づいて、作業用の動力が作業装置に伝達されないようにPTOクラッチ34を切り状態に切り換えるクラッチ切り制御を行う。これにより、運転者は、PTOスイッチ46を切り位置に操作することによって作業装置を停止させることができる。
作業制御部30Bは、PTOスイッチ46の手動操作によってPTOスイッチ46の操作位置が自動位置に切り換えられると、前述した上昇制御の実行に連動して前述したクラッチ切り制御を自動的に行い、又、前述した下降制御の実行に連動して前述したクラッチ入り制御を自動的に行う。これにより、運転者は、PTOスイッチ46を自動位置に操作しておくことにより、作業装置の上限位置への自動上昇に連動して作業装置を停止させることができ、又、作業装置の作業高さ位置への自動下降に連動して作業装置を作動させることができる。
図1〜5、図7に示すように、このトラクタは、運転モードの手動運転モード及び自動運転モードなどの選択を可能にする選択イッチ50と、自動運転モードが選択された場合に車体を自動で運転する自動運転用の電子制御システム51とを備えている。電子制御システム51は、前述したメインECU30、左右の前輪9の自動操舵を可能にする自動操舵ユニット52、車体の位置及び方位を測定する測位ユニット53、及び、車体の周囲を監視する監視ユニット54、などを備えている。
図2〜4、図7に示すように、自動操舵ユニット52は、前述したPSユニット24によって構成されている。PSユニット24は、手動運転モードが選択された場合は、ステアリングホイール19の回動操作に基づいて左右の前輪9を操舵する。又、PSユニット24は、自動運転モードが選択された場合は、メインECU30からの制御指令に基づいて左右の前輪9を操舵する。
つまり、自動操舵専用のステアリングユニットを備えることなく、左右の前輪9を自動で操舵することができる。又、PSユニット24の電気系に不具合が生じた場合は、搭乗者による手動操舵に簡単に切り換えることができ、車体の運転を継続することができる。
図1〜3、図7〜10に示すように、測位ユニット53は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の一例である周知のGPS(Global Positioning System)を利用して車体の位置及び方位を測定する衛星航法装置60を備えている。GPSを利用した測位方法には、DGPS(Differential GPS)やRTK−GPS(Real Time Kinematic GPS)などがあるが、本実施形態においては、移動体の測位に適したRTK−GPSが採用されている。
衛星航法装置60は、GPS衛星(図示せず)から送信された電波と、既知位置に設置された基準局(図示せず)から送信された測位データとを受信する衛星航法用のアンテナユニット61を備えている。基準局は、GPS衛星からの電波を受信して得た測位データを衛星航法装置60に送信する。衛星航法装置60は、GPS衛星からの電波を受信して得た測位データと、基準局からの測位データとに基づいて、車体の位置及び方位を求める。
アンテナユニット61は、GPS衛星からの電波の受信感度が高くなるように、車体の最上部に位置するキャビン4のルーフ62に取り付けられている。そのため、GPSを利用して測定した車体の位置及び方位には、車体のヨーイング、ピッチング、又は、ローリングに伴うアンテナユニット61の位置ズレに起因した測位誤差が含まれている。
そこで、車体には、上記の測位誤差を取り除く補正を可能にするために、3軸のジャイロスコープ(図示せず)と3方向の加速度センサ(図示せず)とを有して車体のヨー角、ピッチ角、ロール角、などを計測する慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)63が備えられている。慣性計測装置63は、前述したアンテナユニット61の位置ズレ量を求め易くするために、アンテナユニット61の内部に備えられている。アンテナユニット61は、平面視において車体におけるトレッドTの中央部でホイールベースLの中央部に位置するように、キャビン4のルーフ62における前部上面の左右中央箇所に取り付けられている(図2参照)。
上記の構成により、少なくとも、平面視においては慣性計測装置63の取り付け位置が車体の重心位置に近くなる。これにより、慣性計測装置63が計測したヨー角などを、車体の重心位置からの慣性計測装置63の位置ズレ量に基づいて補正するための演算が簡単になり、よって、慣性計測装置63の計測結果を迅速に正しく補正することができる。つまり、慣性計測装置63による車体のヨー角などの計測を迅速に精度良く行うことができる。
これにより、衛星航法装置60が車体の位置及び方位を測定する場合において、車体のヨーイング、ピッチング、又は、ローリングに起因して、アンテナユニット61に位置ズレが生じたときは、このときのアンテナユニット61の位置ズレ量を、慣性計測装置63が計測する車体のヨー角、ピッチ角、ロール角、などから迅速に精度良く求めることができる。そして、衛星航法装置60が計測した車体の位置及び方位に含まれるアンテナユニット61の位置ズレに起因した測位誤差を、慣性計測装置63の計測結果から求められるアンテナユニット61の位置ズレ量に基づいて迅速に精度良く求めることができ、この測位誤差を衛星航法装置60の測定結果から取り除く補正を迅速かつ適正に行える。
その結果、全地球航法衛星システムを利用した車体の位置及び方位の測定を、より簡単かつ迅速に精度良く行うことができる。
図7に示すように、メインECU30は、車体の自動運転を可能にする各種の制御プログラムなどを有する自動運転制御部30Cを備えている。自動運転制御部30Cは、車体が予め設定された圃場の目標走行経路を設定速度で適正に作業を行いながら自動走行するように、目標走行経路及び測位ユニット53の測位結果などに基づいて、走行制御部30A及び作業制御部30Bなどに各種の制御指令を適切なタイミングで送信する。走行制御部30Aは、自動運転制御部30Cからの各種の制御指令及び車内情報取得ユニット36の各種取得情報などに基づいて、主変速装置32及び前後進切換装置33などに各種の制御指令を適切なタイミングで送信して主変速装置32及び前後進切換装置33などの作動を制御する。作業制御部30Bは、自動運転制御部30Cからの各種の制御指令及び車内情報取得ユニット36の各種取得情報などに基づいて、昇降駆動ユニット29及びPTOクラッチ34などに各種の制御指令を適切なタイミングで送信して昇降駆動ユニット29及びPTOクラッチ34などの作動を制御する。
目標走行経路は、圃場での手動運転による作業走行時に走行した走行経路、及び、畦際旋回開始地点などが、測位ユニット53の測位結果などに基づいてデータ化されたものであってよい。又、目標走行経路は、圃場での手動運転によるティーチング走行時に走行した走行経路、及び、畦際旋回開始地点などが、測位ユニット53の測位結果などに基づいてデータ化されたものであってよい。
図1〜5、図7〜10に示すように、監視ユニット54は、車体に対する至近距離内(例えば1m以内)での障害物の有無を検出する障害物検出モジュール64、車体に対する近距離(例えば10m以内)での障害物の接近を検出する前後の障害物探知器65、障害物との接触を回避する接触回避制御を行う接触回避制御部30D、車体の周囲を撮影する6台の監視カメラ66、監視カメラ66が撮影した画像を処理する画像処理装置67、などを備えている。
障害物検出モジュール64は、車体に対する至近距離内において障害物を探査する8個の障害物探査器68と、各障害物探査器68からの探査情報に基づいて車体に対する至近距離内に障害物が接近したか否かの判別処理を行う2台の探査情報処理装置69とを備えている。
各障害物探査器68には、測距センサの一例として測距に超音波を使用するソナー68が採用されている。8個のソナー68は、車体の前方と左右両側方とが探査対象領域になるように、車体の前端部と左右両端部とに分散して配置されている。各ソナー68は、それらの探査で得た探査情報を対応する探査情報処理装置69に送信する。
各探査情報処理装置69は、対応する各ソナー68における超音波の発信から受信までの時間に基づいて、車体に対する至近距離内に障害物が接近したか否かの判別処理を行い、この判別結果を接触回避制御部30Dに出力する。
これにより、自動運転中の車体の前方又は左右の横側方において障害物が車体に対する至近距離内に異常接近した場合は、この障害物の接近が障害物検出モジュール64によって検出される。又、車体の後端部にはソナー68が備えられていないことにより、障害物検出モジュール64が、車体の後部に昇降可能に取り付けられた作業装置を障害物として誤検出することが回避されている。
ちなみに、障害物検出モジュール64は、例えば、車体が自動運転によって畦に向かって走行しているとき、又は、車体が自動運転によって畦際で畦に沿って走行しているときに、畦が車体に対する至近距離内に異常接近した場合は、この畦を障害物として検出する。又、移動体が車体に対する至近距離内に異常接近した場合は、この移動体を障害物として検出する。
各障害物探知器65には、約270度程度の検出角度を有するレーザスキャナ65が採用されている。各レーザスキャナ65は、障害物の探知を行う探知部65Aと、探知部65Aからの探知情報を処理する処理部65Bとを備えている。探知部65Aは、探知対象領域にレーザ光線を照射して反射光を受け取る。処理部65Bは、レーザ光線の照射から受光までの時間に基づいて、車体に対する近距離において障害物が接近しているか否かなどを判別し、判別結果を接触回避制御部30Dに出力する。前側のレーザスキャナ65は、車体前側の領域が探知対象領域に設定されている。後側のレーザスキャナ65は、車体後側の領域が探知対象領域に設定されている。
接触回避制御部30Dは、接触回避制御の実行を可能にする制御プログラムなどを有してメインECU30に備えられている。接触回避制御部30Dは、各レーザスキャナ65の判別結果に基づいて、車体に対する近距離での障害物の接近を確認したときに、自動運転制御部30Cの制御作動に基づく自動運転に優先して接触回避制御を開始する。そして、接触回避制御部30Dは、各レーザスキャナ65及び各探査情報処理装置69の判別結果に基づいて接触回避制御を行う。
接触回避制御において、接触回避制御部30Dは、接触回避制御の開始とともに走行制御部30Aに減速指令を出力する。これにより、接触回避制御部30Dは、走行制御部30Aの制御作動によって主変速装置32を減速作動させて、車速を通常走行用の設定速度から接触回避用の設定速度まで低下させる。接触回避制御部30Dは、この低速走行状態において、いずれかの探査情報処理装置69の判別結果に基づいて、車体に対する至近距離内への障害物の接近を確認したときに、走行制御部30A及び作業制御部30Bに緊急停止指令を出力する。これにより、接触回避制御部30Dは、走行制御部30Aの制御作動によって前後進切換装置33を中立状態に切り換えるとともに、ブレーキ操作ユニット35の作動によって左右のブレーキを作動させて左右の前輪9と左右の後輪10とを制動させる。又、接触回避制御部30Dは、作業制御部30Bの作動によってPTOクラッチ34を切り状態に切り換えて作業装置の作動を停止させる。その結果、車体に対する至近距離内への障害物の接近に基づいて、車体の走行停止と作業装置の作動停止とを迅速に行うことができ、車体が障害物に接触する虞を回避することができる。接触回避制御部30Dは、この低速走行状態において、各レーザスキャナ65の判別結果に基づいて、車体に対する近距離内において障害物が存在しないことを確認したときに、走行制御部30Aに増速指令を出力し、その後、接触回避制御を終了する。これにより、接触回避制御部30Dは、走行制御部30Aの制御作動によって主変速装置32を増速作動させて、車速を接触回避用の設定速度から通常走行用の設定速度まで上昇させた後、自動運転制御部30Cの制御作動に基づく自動運転を再開させる。
図1〜3、図7〜10に示すように、各監視カメラ66には、広角の可視光用CCDカメラが採用されている。6台の監視カメラ66のうちの1台は、車体の前方撮影用であり、この監視カメラ66は、撮影方向が前下方向きになる傾斜姿勢で、キャビン4の上端部における前端の左右中央箇所に設置されている。6台の監視カメラ66のうちの2台は、車体の右方撮影用であり、これらの監視カメラ66は、撮影方向が右下方向きになる傾斜姿勢で、キャビン4の上端部における右端箇所に前後に所定間隔をあけて設置されている。6台の監視カメラ66のうちの2台は、車体の左方撮影用であり、これらの監視カメラ66は、撮影方向が左下方向きになる傾斜姿勢で、キャビン4の上端部における左端箇所に前後に所定間隔をあけて設置されている。6台の監視カメラ66のうちの1台は、車体の後方撮影用であり、この監視カメラ66は、撮影方向が後下方向きになる傾斜姿勢で、キャビン4の上端部における後端の左右中央箇所に設置されている。これにより、車体の周囲を漏れなく撮影することができる。
尚、右監視カメラ66と左監視カメラ66とを1台ずつにして、キャビン4の上端部における左右両端の適正箇所に設置するようにしてもよい。
画像処理装置67は、各監視カメラ66からの映像信号を処理して、車体前方画像、車体右側方画像、車体左側方画像、車体後方画像、及び、車体の真上から見下ろしたような俯瞰画像、などを生成して表示ユニット23などに送信する。表示ユニット23は、液晶パネル23Aに表示される各種の操作スイッチ(図示せず)の人為操作などに基づいて、液晶パネル23Aに表示される画像を切り換える制御部23B、などを有している。
上記の構成により、手動運転時においては、運転者は、画像処理装置67からの画像を液晶パネル23Aに表示させることにより、運転中の車体の周辺状況や作業状況を容易に視認することができる。これにより、運転者は、作業の種類などに応じた良好な車体の運転を容易に行うことができる。又、自動運転時に管理者が車体に搭乗する場合においては、管理者は、画像処理装置67からの画像を液晶パネル23Aに表示させることにより、自動運転中の車体の周辺状況や作業状況を容易に視認することができる。そして、管理者は、自動運転中の車体周辺又は作業状況などにおける異常を視認した場合は、その異常の種類や程度などに応じた適切な処置を速やかに行うことができる。
図7に示すように、電子制御システム51は、選択イッチ50の人為操作によって協調運転モードが選択された場合に、車体を同じ仕様の他車と協調して自動走行させる協調制御ユニット70を備えている。協調制御ユニット70は、車体の位置情報を含む他車との協調走行に関する情報を他車との間で無線通信する通信モジュール71と、他車からの情報に基づいて協調運転制御を行う協調運転制御部30Eとを備えている。協調運転制御部30Eは、協調運転制御の実行を可能にする制御プログラムなどを有してメインECU30に備えられている。
協調運転モードにおいて、自動運転制御部30Cは、車体が予め設定された併走用の目標走行経路を設定速度で適正に作業を行いながら自動走行するように、併走用の目標走行経路及び測位ユニット53の測位結果などに基づいて、走行制御部30A及び作業制御部30Bなどに各種の制御指令を適切なタイミングで送信する。協調運転制御部30Eは、自車の併走用の目標走行経路、測位ユニット53の測位結果、他車の併走用の目標走行経路、及び、他車の位置情報、などに基づいて、先行する他車と自車との進行方向での車間距離、及び、先行する他車と自車との併走方向での車間距離、などが適正であるか否かを判別する。そして、いずれかの車間距離が適正でない場合は、その車間距離が適正になるように、自動運転制御部30Cの制御作動に基づく自動運転に優先して協調運転制御を開始する。
協調運転制御において、協調運転制御部30Eは、進行方向での車間距離が適正距離よりも短い場合は、走行制御部30Aに減速指令を出力する。これにより、協調運転制御部30Eは、走行制御部30Aの制御作動によって主変速装置32を減速作動させて、進行方向での車間距離を適正距離に復帰させる。そして、協調運転制御部30Eは、進行方向での車間距離が適正距離に復帰するのに伴って、自動運転制御部30Cの制御作動に基づく自動運転を再開させることにより、車速を通常走行用の設定速度まで上昇させて進行方向での車間距離を適正距離に維持する。
協調運転制御部30Eは、進行方向での車間距離が適正距離よりも長い場合は、走行制御部30Aに増速指令を出力する。これにより、協調運転制御部30Eは、走行制御部30Aの制御作動によって主変速装置32を増速作動させて、進行方向での車間距離を適正距離に復帰させる。そして、協調運転制御部30Eは、進行方向での車間距離が適正距離に復帰するのに伴って、自動運転制御部30Cの制御作動に基づく自動運転を再開させることにより、車速を通常走行用の設定速度まで低下させて進行方向での車間距離を適正距離に維持する。
協調運転制御部30Eは、併走方向での車間距離が適正距離よりも長い場合は、走行制御部30Aに他車側への操舵指令を出力する。これにより、協調運転制御部30Eは、走行制御部30Aの制御作動によって左右の前輪9を他車側に操舵させて、併走方向での車間距離を適正距離に復帰させる。そして、協調運転制御部30Eは、併走方向での車間距離が適正距離に復帰するのに伴って、自動運転制御部30Cの制御作動に基づく自動運転を再開させることにより、車体の進行方向を通常走行用の進行方向に戻して併走方向での車間距離を適正距離に維持する。
協調運転制御部30Eは、併走方向での車間距離が適正距離よりも短い場合は、走行制御部30Aに他車から離れる側への操舵指令を出力する。これにより、協調運転制御部30Eは、走行制御部30Aの制御作動によって左右の前輪9を他車から離れる側に操舵させて、併走方向での車間距離を適正距離に復帰させる。そして、協調運転制御部30Eは、併走方向での車間距離が適正距離に復帰するのに伴って、自動運転制御部30Cの制御作動に基づく自動運転を再開させることにより、車体の進行方向を通常走行用の進行方向に戻して併走方向での車間距離を適正距離に維持する。
これにより、自車を、先行する他車に対して、進行方向での車間距離と併走方向での車間距離とを訂正に維持しながら自動で適正に併走させることができる。
図1〜3、図6、図8〜12に示すように、キャビン4は、ルーフ62などを支持するルーフフレーム72、ルーフフレーム72の前端部を支持する左右のフロントピラー73、ルーフフレーム72の前後中間部を支持する左右のセンタピラー74、ルーフフレーム72の後部側を支持する左右のリアピラー75、キャビン4の前面を形成するフロントパネル76、左右のセンタピラー74に開閉揺動可能に支持された左右のドアパネル77、キャビン4の後部側面を形成する左右のサイドパネル78、及び、ルーフフレーム72に開閉揺動可能に支持されたリヤパネル79、などを備えている。
ルーフフレーム72は、左右のフロントピラー73にわたるフロントビーム98、左右いずれかのフロントピラー73とリアピラー75とにわたる左右のサイドビーム99、及び、左右のリアピラー75にわたるリアビーム100、などを備えて平面視略矩形状に形成されている。
左右のフロントピラー73は、車体におけるホイールベースLの中央部よりも車体前側に配置されている。左右のフロントピラー73は、正面視においては上半部の上側ほど車体の左右中央側に位置し、かつ、側面視においては上半部の上側ほど車体の前後中央側に位置するように上半部が湾曲している。
左右のセンタピラー74及び左右のリアピラー75は、運転座席22の左右に配置された左右のリアフェンダ12とルーフフレーム72との間に配置されている。左右のセンタピラー74は、正面視においては上側ほど車体の左右中央側に位置し、かつ、側面視においては上側ほど車体の前後中央側に位置するように湾曲している。左右のリアピラー75は、正面視においては上側ほど車体の左右中央側に位置し、かつ、側面視においては略垂直姿勢になるように湾曲している。
各パネル76〜79には、対応するピラー73〜75などに沿って湾曲するガラス製又は透明アクリル樹脂製などの曲面パネルが採用されている。
上記の構成により、キャビン4の下半部においては、運転座席22に着座した運転者の手足による各種の操作が行い易い広い空間を確保しながら、キャビン4の上半部においては、居住性を損なわない程度でルーフフレーム72の前後幅及び左右幅を狭くすることができる。その結果、搭乗空間での操作性及び居住性を低下させることなく、キャビン上部の小型軽量化による車体の安定性の向上を図ることができる。
図1〜3、図9〜11に示すように、キャビン4は、左右のリアピラー75の上端部から後方に延出する補助フレーム90を備えている。補助フレーム90は、後側のレーザスキャナ65及び後方撮影用の監視カメラ66などを支持している。
図1〜3、図8〜13に示すように、キャビン4のルーフ62は、ルーフフレーム72に支持されたインナルーフ101とアウタルーフ102とリアカバー123との間に収納空間62Aが形成されている。収納空間62Aの後部側には、キャビン内の空気調節を可能にする空調ユニット120が収納されている。
キャビン4の上端部には、前述した通信モジュール71のアンテナ121が配置され、キャビン4におけるルーフ62の収納空間62Aには、通信モジュール71の通信情報処理装置122が配置されている。
上記の構成によると、アンテナ121が配置されるキャビン4の上端部は、車体の上端部であることから、アンテナ121の感度が良好になる。又、通信情報処理装置122が配置されるキャビン4のルーフ62は、昇温の激しいエンジン6などから大きく離れた車体の最上部であって、その周囲や内部に外気を通し易い部位であることから、通信情報処理装置122の熱害対策を簡略化することができる。そして、通信情報処理装置122がルーフ62の収納空間62Aに配置されることにより、特別な防水構造及び防塵構造を要することなく、通信情報処理装置122を雨水や塵埃などから守ることができる。その上、アンテナ121と通信情報処理装置122との位置が近くなることにより、それらにわたるアンテナケーブル(図示せず)が短くなってアンテナケーブルの敷設が容易になるとともに、走行中にアンテナケーブルが他物との接触によって損傷する虞を回避し易くなる。
つまり、通信モジュール71のアンテナ121と通信情報処理装置122とをキャビン4の上部に纏めて好適に配置することができ、その結果、熱害対策の簡略化及びアンテナケーブルの損傷回避などを図ることができる。
図1〜3、図7〜11に示すように、通信情報処理装置122には、メインECU30、各探査情報処理装置69、各レーザスキャナ65、及び、画像処理装置67、などが通信可能に接続されている。通信モジュール71は、アンテナ121として、車内情報取得ユニット36が取得した車内情報を他車との協調走行に関する情報として通信する車内情報通信用の第1アンテナ121Aと、監視ユニット54の監視情報のうちの画像処理装置67からの監視画像情報を通信する画像情報通信用の第2アンテナ121Bと、監視ユニット54の監視情報のうちの各探査情報処理装置69及び各レーザスキャナ65からの監視情報を通信する探査情報通信用の第3アンテナ121Cとを備えている。
上記の構成により、車内情報取得ユニット36が取得した車速などの車内情報と、各探査情報処理装置69及び各レーザスキャナ65からの監視情報と、画像処理装置67からの監視画像情報とを、それぞれ専用のアンテナ121A〜121Cを介して良好に通信することができる。
又、車内情報取得ユニット36が取得した車内情報、各探査情報処理装置69と各レーザスキャナ65との監視情報、及び、画像処理装置67の監視画像情報を、協調走行する他車と共有することができる。そして、共有する車内情報と監視情報と監視画像情報とを有効利用することにより、協調走行する他車と連動した車速調整、及び、協調走行する他車と連動した障害物との接触回避、などが行い易くなる。その結果、協調走行する他車との接触などをより確実に回避することができる。
具体的には、前述した協調運転モードにおいて、前後いずれか一方のレーザスキャナ65が車体に対する近距離での障害物の接近を探知したときは、接触回避制御部30Dが、接触回避制御を開始するとともに、走行制御部30Aに加えて協調運転制御部30Eにも減速指令を出力する。そして、この減速指令を、協調運転制御部30Eが通信モジュール71を介して他車に送信する。その後、その減速指令に基づく減速走行状態においては、協調運転制御部30Eが、車速センサ38によって検出された車速を読み取り、読み取った車速を、通信モジュール71を介して他車に送信する。又、減速指令に基づく低速走行状態において、障害物検出モジュール64が車体に対する至近距離内での障害物の存在を検出したときは、接触回避制御部30Dが、走行制御部30A及び作業制御部30Bに加えて協調運転制御部30Eにも緊急停止指令を出力する。そして、この緊急停止指令を、協調運転制御部30Eが通信モジュール71を介して他車に送信する。又、減速制御による減速走行状態において、各レーザスキャナ65が車体に対する近距離での障害物の接近を探知しなくなったときは、接触回避制御部30Dが、走行制御部30Aに加えて協調運転制御部30Eにも増速指令を出力する。そして、この増速指令を、協調運転制御部30Eが通信モジュール71を介して他車に送信する。その後、その増速指令に基づく増速走行状態においては、協調運転制御部30Eが、車速センサ38によって検出された車速を読み取り、読み取った車速を、通信モジュール71を介して他車に送信する。
一方、前述した協調運転モードにおいて、他車から減速指令及び他車の車速が送信されたときは、この減速指令及び車速を通信モジュール71が受信して協調運転制御部30Eに出力する。そして、協調運転制御部30Eが、その減速指令及び車速を走行制御部30Aに出力して、走行制御部30Aに、車速を通常走行用の設定速度から他車の車速まで低下させる減速制御を行わせる。この減速制御による減速走行状態において、他車から緊急停止指令が送信されたときは、この緊急停止指令を通信モジュール71が受信して協調運転制御部30Eに出力する。そして、協調運転制御部30Eが、その緊急停止指令を走行制御部30A及び作業制御部30Bに出力して、走行制御部30A及び作業制御部30Bに、車体及び作業装置を緊急停止させる緊急停止制御を行わせる。又、減速制御による減速走行状態において、他車から増速指令及び他車の車速が送信されたときは、この増速指令及び車速を通信モジュール71が受信して協調運転制御部30Eに出力する。そして、協調運転制御部30Eが、その増速指令及び車速を走行制御部30Aに出力して、走行制御部30Aに、他車の増速に応じて車速を通常走行用の設定速度まで上昇させる増速制御を行わせる。
これにより、前述した協調運転モードにおいて、例えば、後続車の協調運転制御部30Eが、通信モジュール71の無線通信により、先行車からの減速指令及び他車の車速を受信すると、これらの受信情報を自車(後続車)の走行制御部30Aに出力し、この出力情報に基づく走行制御部30Aの減速制御により、後続車の車速を減速後の先行車の車速と同じにすることができる。そして、この協調低速状態において、後続車の協調運転制御部30Eが、通信モジュール71の無線通信により、先行車からの増速指令及び他車の車速を受信すると、これらの受信情報を自車の走行制御部30Aに出力し、この出力情報に基づく走行制御部30Aの増速制御により、後続車の車速を増速後の先行車の車速と同じにすることができる。又、協調低速状態において、後続車の協調運転制御部30Eが、通信モジュール71の無線通信により、先行車からの緊急停止指令を受信すると、これらの受信情報を自車の走行制御部30Aに出力し、この出力情報に基づく走行制御部30A及び作業制御部30Bの緊急停止制御により、後続車を先行車に連動して緊急停止させることができる。その結果、先行車が障害物に衝突することを防止することができるとともに、この先行車の緊急停止に起因して後続車が先行車に衝突する虞を回避することができる。
更に、前述した協調運転モードにおいて、他車から他車の車速及び周辺画像などの他車情報が送信されたときは、この他車情報を通信モジュール71が受信して協調運転制御部30Eに出力し、協調運転制御部30Eが、その他車情報を表示ユニット(表示装置の一例)23に出力する。表示ユニット23は、液晶パネル23Aに表示される他車情報表示用の操作スイッチ(図示せず)が操作されて、他車情報の表示が選択されている場合は、他車の車速及び周辺画像などの他車情報を液晶パネル23Aに表示する。
これにより、例えば、協調走行する各トラクタの運行を管理する管理者が先行車に搭乗して運転する場合は、その先行車における他車情報表示用の操作スイッチを操作して他車情報の表示を選択することにより、先行車を運転しながら、協調走行する他車の運行状況や周囲状況を容易に監視して把握することができる。
図1〜3、図8〜11に示すように、第1アンテナ121Aは、補助フレーム90における後端部の右端部位に取り付けられている。第2アンテナ121Bは、補助フレーム90における後端部の左端部位に取り付けられている。第3アンテナ121Cは、右側のフロントピラー73の上端部に備えたバックミラー用の支持部73Aに取り付けられている。左側のフロントピラー73は、その上端部に備えたバックミラー用の支持部73Aに、ラジオ用の受信アンテナ124が取り付けられている。つまり、4本のアンテナ121A〜121C,124が、キャビン4の上端部における4か所の角部に分散して配置されている。
図12〜13に示すように、画像処理装置67及び2台の探査情報処理装置69はルーフ62の収納空間62Aに配置されている。これにより、画像処理装置67及び2台の探査情報処理装置69を備える上において、ルーフ62の収納空間62Aを利用することから、画像処理装置67及び各探査情報処理装置69の配置及び熱害対策などに苦慮する必要がなくなる。そして、画像処理装置67及び2台の探査情報処理装置69が通信情報処理装置122とともにルーフ62の収納空間62Aに配置されることにより、画像処理装置67及び各探査情報処理装置69の組み付け及びメンテナンスなどを通信情報処理装置122とともに合理的に行える。
キャビン4は、ルーフフレーム72の左右両端部に位置する左右のサイドビーム99に着脱可能に架設されたクロスメンバ125を備えている。クロスメンバ125は、ルーフ62の収納空間62Aにおいて画像処理装置67と2台の探査情報処理装置69と通信情報処理装置122とを支持する支持部125Aを有している。
上記の構成により、画像処理装置67と2台の探査情報処理装置69と通信情報処理装置122とを、これらがクロスメンバ125の支持部125Aに支持されるようにクロスメンバ125に取り付けることにより、これらの処理装置67,69,122を処理ユニット126としてユニット化することができる。そして、この処理ユニット126のクロスメンバ125を、左右のサイドビーム99に架設した後、アウタルーフ102をルーフフレーム72に組み付けることにより、画像処理装置67と2台の探査情報処理装置69と通信情報処理装置122とをルーフ62の収納空間62Aに収納することができる。又、この収納状態において、アウタルーフ102をルーフフレーム72から取り外すことにより、処理ユニット126を露出させることができ、処理ユニット126をルーフフレーム72から取り外すことができる。
つまり、ルーフ62の収納空間62Aに対する画像処理装置67、各探査情報処理装置69、及び、通信情報処理装置122の組み付け性、並びに、これらの処理装置67,69,122に対するメンテナンス性の向上を図ることができる。
図12〜13に示すように、空調ユニット120には、空気調節後の空気を搭乗空間に案内する左右のダクト127が接続されている。左右のダクト127は、空調ユニット120から収納空間62Aの前端部に向けて、ルーフフレーム72の内周に沿って延出している。クロスメンバ125の左右両端部には、左右のダクト127の上部に沿って左右のダクト127を跨ぐダクト迂回部125Bが屈曲形成されている。そして、クロスメンバ125における左右のダクト迂回部125Bの間に支持部125Aが形成されている。
図14〜15に示すように、各監視カメラ66は、それらの設置角度を上下方向に変更するU字状の角度調節具128を介してキャビン4の上端部に設置されている。これにより、各監視カメラ66の設置角度を適正に調節することが容易になり、車体の周囲をより好適に漏れなく撮影することができる。
角度調節具128は、監視カメラ66の横側部がボルト連結される一対の連結部128Aのそれぞれに、角度調節用として円弧状に形成された一対の長孔128aが形成されている。各角度調節具128のうち、左右の監視カメラ66を支持する各角度調節具128は、ルーフフレーム72の支持部72Aに形成された前後方向に長い前後の長穴72aにより、車体前後方向での位置調節が許容されている。これにより、左右の各監視カメラ66の設置位置を適正に調節することが容易になり、車体の横外方をより好適に漏れなく撮影することができる。
図1〜3、図8〜11に示すように、監視ユニット54は、各監視カメラ66の撮影対象箇所を照明する8台の照明灯129を備えている。これにより、夜間作業においても各監視カメラ66による車体周囲の撮影を良好に行うことができる。そして、この周囲画像を協調走行する他車と共有して有効利用することにより、視認性が低下する夜間作業においても、協調走行する他車との車速調整、又は、協調走行する他車と連動した障害物との接触回避、などが行い易くなる。
各監視カメラ66は多数のLEDを有している。8台の照明灯129のうちの2台は、車体の前方を照明する前方用であり、前監視カメラ66の左右に振り分けてルーフフレーム72に設置されている。8台の照明灯129のうちの2台は、車体の右方を照明する右方用であり、ルーフフレーム72における各右監視カメラ66の上方の位置に設置されている。8台の照明灯129のうちの2台は、車体の左方を照明する左方用であり、ルーフフレーム72における各左監視カメラ66の上方の位置に設置されている。8台の照明灯129のうちの2台は、車体の後方を照明する後方用であり、後監視カメラ66の左右に振り分けて補助フレーム90に設置されている。
〔別実施形態〕
本発明は、上記の実施形態で例示した構成に限定されるものではなく、以下、本発明に関する代表的な別実施形態を例示する。
〔1〕作業車は、以下に例示する構成が採用されていてもよい。
例えば、作業車は、左右の後輪10に代えて左右のクローラを備えるセミクローラ仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車は、左右の前輪9及び左右の後輪10に代えて左右のクローラを備えるフルクローラ仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車は、左右の前輪9と左右の後輪10とのいずれか一方が駆動される二輪駆動式であってもよい。
例えば、作業車は、エンジン6の代わりに電動モータを備える電動仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車は、エンジン6と電動モータとを備えるハイブリッド仕様に構成されていてもよい。
〔2〕キャビン4のルーフ62は、リアカバー123を備えずに、インナルーフ101とアウタルーフ102との間に収納空間62Aが形成される構成であってもよい。
〔3〕ルーフ62の収納空間62Aには、通信モジュール71の通信情報処理装置122のみが配置されていてもよい。
又、ルーフ62の収納空間62Aには、通信モジュール71の通信情報処理装置122に加えて、画像処理装置67と探査情報処理装置69とのいずれか一方が配置されていてもよい。
〔4〕障害物検出モジュール64における障害物探査器68及び探査情報処理装置69の数量などは、作業車の構成や大きさなどに応じて種々の変更が可能である。
例えば、作業車の全長が長ければ、障害物探査器68の数量を10個以上にしてもよく、又、作業車の全長が短ければ、障害物探査器68の数量を6個以下にしてもよい。そして、障害物探査器68の数量又は探査情報処理装置69の処理能力に応じて、探査情報処理装置69の数量を変更してもよい。
〔5〕障害物探査器68には、赤外線測距センサなどを採用してもよい。