JP6663554B2 - 積層剥離容器 - Google Patents

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Description

本発明は、積層剥離容器に関するものであり、内容物を使い切るための改良を施した新規な積層剥離容器に関するものである。
従来、外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って内袋が外殻から剥離し収縮する容器本体と、外殻と内袋の間の中間空間と容器本体の外部空間との間の空気の出入りを調節する逆止弁とを備える積層剥離容器が知られている(例えば、特許文献1〜2参照)。
特許文献1に開示される積層剥離容器では、容器本体の口部に取り付けるキャップに弁が内蔵されている。特許文献2に開示される積層剥離容器では、外殻の胴部の内側に弁が設けられている。
特開2013−35557号公報 特開平4−267727号公報
ところで、積層剥離容器の場合、内袋が外殻から剥離して収縮することで、例えば液状の内容物が注ぎ出されるものであるため、内袋の収縮形態によっては液溜まりのような部位が発生してしまい、内袋内の内容物を全て使い切ることが難しいという課題がある。このような現象を改善するために、外殻と内袋を帯状に接着する接着帯を複数本設ける等の工夫も検討されているが、未だ最適化には至っていない。
本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたものであり、内容物を最後まで確実に使い切ることが可能な積層剥離容器を提供することを目的とするものである。
前述の目的を達成するために、本発明の積層剥離容器は、外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が前記外殻から剥離し収縮する容器本体と、外殻にのみ設けられた貫通孔であり中間空間と外部空間を連通する外気導入孔と、前記外気導入孔において中間空間と外部空間との間の空気の出入りを調節する弁部材とを備える積層剥離容器であって、前記容器本体は、内容物を収容する収容部と、前記収容部から前記内容物を排出する口部とを備え、前記口部には蓋部が組み付けられ、前記収容部に凹部が設けられ、当該凹部に前記外気導入孔が設けられ、前記容器本体の底部には、略直線状のピンチオフ部が形成され、前記ピンチオフ部の一方の端部の延長線と交差する側壁部位置において、側壁の高さ方向に連なる1本の接着帯が形成されていることを特徴とする。
本発明の積層剥離容器においては、内袋がピンチオフ部によって底部で直線状に支持される形になり、内容物の吐出に伴って、内袋はピンチオフ部を中心に両側から収縮していく。この時、接着帯がピンチオフ部と直交する方向に形成されているので、吐出終了前には接着帯に沿って略三角形状の空間が残存する形になり、これが流路を構成することになる。したがって、最後まで内容物の流路が確保され、接着帯が下方に位置するように積層剥離容器を傾けることで、最後に残った内容物が、前記流路を通って速やかに吐出される。
本発明によれば、内袋のランダムな収縮による液溜まり等の発生等がなく、接着帯に沿って吐出終了前に一直線状の微小空間が流路として形成されるので、内容物を最後まで確実に使い切ることが可能な積層剥離容器を提供することが可能である。
本発明の一実施形態の積層剥離容器の構造を示す斜視図であり、全体図を示すものである。 上記一実施形態の積層剥離容器の構造を示す斜視図であり、底部を示すものである。 図1の積層剥離容器を示す正面図である。 図1の積層剥離容器を示す背面図である。 図1の積層剥離容器を示す平面図である。 図1の積層剥離容器を示す底面図である。 図2(d)中のA−A断面図である。但し、図1〜図2では、底シール突出部27が折り曲げられる前の状態を示しているが、図3では、底シール突出部27が折り曲げられた後の状態を示している。 図3における口部を含む領域の拡大図である。 図3における底面を含む領域の拡大図であり、底シール突出部が折り曲げられる前の状態を示す。 図3における底面を含む領域の拡大図であり、底シール突出部が折り曲げられた後の状態を示す。 弁部材の種々の構成を示す斜視図である。 (a)〜(b)は板バネ部を有する弁部材の斜視図、(c)は板バネ部を有する弁部材の正面図、(d)〜(e)は板バネ部を有する弁部材を外気導入孔に装着した状態を示す正面図(外殻は断面図)である。 キャップに弁部材を設けた例を示す要部断面図である。 内層の層構成を示す断面図である。 本実施形態の積層剥離容器の使用方法を示す図であり、(a)は使用前の状態、(b)は傾けた状態、(c)はスクイズ状態、(d)は外気導入状態をそれぞれ示す。 本実施形態の積層剥離容器の使用時における内袋の収縮状態を示す横断面図であり、使用前の状態を示す。 本実施形態の積層剥離容器の使用時における内袋の収縮状態を示す横断面図であり、収縮状態を示す。 本実施形態の積層剥離容器の使用時における内袋の収縮状態を示す横断面図であり、使用終了直前の状態を示す。
以下、本発明を適用した積層剥離容器の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
図1〜図2に示すように、本発明の一実施形態の積層剥離容器1は、容器本体3と、弁部材5を備える。容器本体3は、内容物を収容する収容部7と、収容部7から内容物を吐出する口部9を備える。
図3に示すように、 容器本体3は、収容部7及び口部9において、外層11と内層13を備えており、外層11によって外殻12が構成され、内層13によって内袋14が構成される。内容物の減少に伴って内層13が外層11から剥離することによって、内袋14が外殻12から剥離して収縮する。
図4に示すように、口部9は、雄ネジ部9dが設けられている。雄ネジ部9dには、雌ねじを有するキャップ(蓋)が取り付けられる。図4には、インナーリング25を有するキャップ23の一部を図示している。インナーリング25の外径は、口部9の内径と略同じであり、インナーリング25の外面が口部9の当接面9aに当接することによって内容物の漏れ出しが防がれる。本実施形態では、口部9の先端には拡径部9bが設けられており、拡径部9bでの内径は、当接部9eでの内径よりも大きくなっているため、インナーリング25の外面は、拡径部9bには接触しないようになっている。口部9に拡径部9bがない場合は、口部9の内径が製造時のバラツキによってわずかでも小さくなった場合にはインナーリング25が外層11と内層13の間に入り込んでしまうという不具合が生じる場合があったが、口部9に拡径部9bがある場合は、口部9の内径が若干ばらついてもそのような不具合が生じない。
また、口部9は、当接部9eよりも収容部7に近い位置に、内層13のズレ落ちを抑制する内層支持部9cを備える。内層支持部9cは、口部9にくびれを設けることによって形成される。口部9に拡径部9bを設けた場合であっても、インナーリング25と内層13との摩擦によって内層13が外層11から剥離してしまう場合がある。本実施形態では、このような場合でも、内層支持部9cによって内層13のズレ落ちが抑制されるので、内袋14が外殻12内に脱落してしまうことを抑制することができる。
図3〜図4に示すように、収容部7は、前記収容部の長手方向に向かって断面形状が略一定である胴部19と、胴部19と口部9の間を繋ぐ肩部17を備える。肩部17には、折り曲げ部21が設けられている。折り曲げ部21は、図3に示す折り曲げ角度αが140度以下であり且つ容器内面側の曲率半径が4mm以下である部分である。折り曲げ部21が無い場合、内層13と外層11の間の剥離が胴部19から口部9にまで広がって、口部9においても内層13と外層11が剥離されてしまう場合がある。しかし、口部9において、内層13と外層11が剥離すると内袋14が外殻12内に脱落してしまう原因になるので、口部9での内層13と外層11の剥離は望ましくない。本実施形態では、折り曲げ部21が設けられているので、内層13と外層11の間の剥離が胴部19から折り曲げ部21まで広がると、内層13が折り曲げ部21で折れ曲がってしまい、内層13を外層11から剥離する力が折り曲げ部21の上側の部分に伝達されず、その結果、折り曲げ部21よりも上側の部分での内層13と外層11の間の剥離が抑制される。なお、図3〜図4では、肩部17に折り曲げ部21を設けているが、折り曲げ部21は、肩部17と胴部19の境界に設けてもよい。
折り曲げ角度αの下限は、特に規定されないが、製造の容易さを考慮すると90度以上であることが好ましい。曲率半径の下限も特に規定されないが、製造の容易さを考慮すると0.2mm以上であることが好ましい。また、口部9での内層13と外層11の剥離をより確実に防ぐべく、折り曲げ角度αは120度以下であることが好ましく、曲率半径は、2mm以下であることが好ましい。折り曲げ角度αは、具体的には例えば、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140度であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。曲率半径は、具体的には例えば、0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
図4に示すように、折り曲げ部21は、容器中心軸Cから折り曲げ部21での容器内面までの距離L2が、容器中心軸Cから口部9での容器内面までの距離L1の1.3倍以上になる位置に設けられる。本実施形態の積層剥離容器1は、ブロー成形によって形成されるものであり、L2/L1が大きいほど折り曲げ部21でのブロー比が大きくなって肉厚が薄くなるので、L2/L1≧1.3とすることによって、折り曲げ部21での内層13の肉厚が十分に薄くなり、折り曲げ部21において内層13がより折れ曲がりやすくなり、口部9での内層13と外層11の剥離がより確実に防止される。L2/L1は、例えば1.3〜3であり、1.4〜2が好ましい。L2/L1は、具体的には例えば、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
一例では、口部9での肉厚は0.45〜0.50mmであり、折り曲げ部21での肉厚は、0.25〜0.30mmであり、胴部19での肉厚は、0.15〜0.20mmである。このように、折り曲げ部21の肉厚が口部9での肉厚よりも十分に小さいことによって折り曲げ部21がその機能を効果的に発揮する。
また、図4に示すように、収容部7には、外殻12と内袋14の間の中間空間21と、容器本体3の外部空間Sとの間の空気の出入りを調節する弁部材5が設けられている。外殻12には、収容部7において中間空間21と外部空間Sを連通する外気導入孔15が設けられている。外気導入孔15は、外殻12にのみ設けられた貫通孔であり、内袋14には到達していない。弁部材5は、外気導入孔15に挿通され且つ外気導入孔15に対してスライド移動可能な軸部5aと、軸部5aの中間空間21側に設けられ且つ軸部5aよりも断面積が大きい蓋部5cと、軸部5aの外部空間S側に設けられ且つ弁部材5が中間空間21に入り込むことを防ぐ係止部5bを備える。
蓋部5cは、外殻12を圧縮した際に外気導入孔15を実質的に閉塞させるように構成され、軸部5aに近づくにつれて断面積が小さくなる形状になっている。また、係止部5bは、外殻12が圧縮された後に復元する際に中間空間21に空気が導入可能なように構成される。外殻12を圧縮すると、中間空間21内の圧力が外圧よりも高くなって、中間空間21内の空気が外気導入孔15から外部に漏れ出す。この圧力差と空気の流れによって蓋部5cが外気導入孔15に向かって移動し、蓋部5cが外気導入孔15を閉塞する。蓋部5cが軸部5aに近づくにつれて断面積が小さくなる形状であるので、蓋部5cが容易に外気導入孔15に嵌って外気導入孔15を閉塞する。
この状態で外殻12をさらに圧縮すると、中間空間21内の圧力が高まり、その結果、内袋14が圧縮されて、内袋14内の内容物が吐出される。また、外殻12への圧縮力を解除すると、外殻12が自身の弾性によって復元しようとする。この際、蓋部5cが外気導入孔15から離れて、外気導入孔15の閉塞が解除されて、中間空間21内に外気が導入される。また、係止部5bが外気導入孔15を塞いでしまわないように、係止部5bには外殻12に当接する部位に突起5dが設けられており、突起5dが外殻12に当接することによって、外殻12と係止部5bの間に隙間が設けられる。なお、突起5dを設ける代わりに、係止部5bに溝を設けることによって係止部5bが外気導入孔15を閉塞させることを防いでもよい。弁部材5の構成の具体例を図6に示す。
弁部材5は、蓋部5cが外気導入孔15を押し広げながら、蓋部5cに中間空間21内に挿入することによって容器本体3に装着することができる。そのため、蓋部5cの先端は、先細り形状になっていることが好ましい。このような弁部材5は、容器本体3の外側から蓋部5cを中間空間21内に押し込むだけで装着可能なので、生産性に優れている。
収容部7は、弁部材5を取り付けた後にシュリンクフィルムで覆われる。この際に、弁部材5がシュリンクフィルムに干渉しないように、弁部材5は、収容部7に設けられた弁部材取付凹部7aに装着される。また、弁部材取付凹部7aがシュリンクフィルムで密閉されてしまわないように弁部材取付凹部7aから口部9の方向に延びる空気流通溝7bが設けられる。
弁部材5としては、これらの例に限らず、様々な機能・形態を有するものを採用することができる。例えば、図7に示す板バネ部を有する弁部材5もその例である。
図7に示すように、板バネ部を有する弁部材5は、外気導入孔15に挿通される且つ外気導入孔15に対してスライド移動可能な軸部5aと、軸部5aの中間空間21側に設けられ且つ軸部5aよりも断面積が大きい蓋部5cと、軸部5aの外部空間S側に設けられ且つ弁部材5が中間空間21に入り込むことを防ぐ係止部5bを備える。係止部5bは、一対の基部5b1と、基部5b1の間に設けられたブリッジ部(板バネ部に相当)5b2を備える。軸部5aは、ブリッジ部5b2に設けられる。
蓋部5cは、外殻12を圧縮した際に外気導入孔15を実質的に閉塞させるように構成され、軸部5aに近づくにつれて断面積が小さくなるようにテーパー面5dを備える形状になっている。図7(c)に示すテーパー面5dの傾斜角度βは、軸部5aが延びる方向Dに対して15〜45度であることが好ましく、20〜35度がさらに好ましい。傾斜角度βが大きすぎるとエアー漏れが生じやすく、小さすぎると弁部材5が長くなってしまうからである。
また、係止部5bは、図7(d)に示すように、外気導入孔15に装着した状態で、基部5b1が当接面5eで外殻12に当接し且つブリッジ部5b2が撓むように構成される。このような構成によれば、ブリッジ部5b2には矢印FOで示すように容器から離れる方向の復元力が生じ、これによって蓋部5cに同じ方向の付勢力が働いて、蓋部5cが外殻12に押し付けられる。
外殻12が圧縮された後に復元する際に中間空間21に空気が導入可能なように構成される。この状態では、蓋部5cは外殻12に軽く押し付けられているだけであるが、外殻12を圧縮すると、中間空間21内の圧力が外圧よりも高くなって、中間空間21内の空気が外気導入孔15から外部に漏れ出す。この圧力差と空気の流れによって蓋部5cが外気導入孔15に対してさらに強く押し付けられて向かって移動し、蓋部5cが外気導入孔15を閉塞する。蓋部5cにはが軸部5aに近づくにつれて断面積が小さくなるテーパー面5dが設けられている形状であるので、蓋部5cが容易に外気導入孔15に嵌って外気導入孔15を閉塞する。
この状態で外殻12をさらに圧縮すると、中間空間21内の圧力が高まり、その結果、内袋14が圧縮されて、内袋14内の内容物が吐出される。また、外殻12への圧縮力を解除すると、外殻12が自身の弾性によって復元しようとする。この際、外殻12の復元に伴って中間空間21内が減圧されることによって、図7(e)に示すように、蓋部5cに対して容器内側方向の力FIが加わる。これによって、ブリッジ部5b2の撓みが大きくなると共に蓋部5cと外殻12との間に隙間Zが形成され、ブリッジ部5b2と外殻12の間の通路5f、外気導入孔15、隙間Zを通って蓋部5cが外気導入孔15から離れて、外気導入孔15の閉塞が解除されて、中間空間21内に外気が導入される。また、係止部5bが外気導入孔15を塞いでしまわないように、係止部5bには外殻12に当接する部位に突起5dが設けられており、突起5dが外殻12に当接することによって、外殻12と係止部5bの間に隙間が設けられる。なお、突起5dを設ける代わりに、係止部5bに溝を設けることによって係止部5bが外気導入孔15を閉塞させることを防いでもよい。
弁部材5は、蓋部5cが外気導入孔15を押し広げながら、蓋部5cに中間空間21内に挿入することによって容器本体3に装着することができる。そのため、蓋部5cの先端は、先細り形状になっていることが好ましい。このような弁部材5は、容器本体3の外側から蓋部5cを中間空間21内に押し込むだけで装着可能なので、生産性に優れている。また、板バネ部を有する弁部材5も、図7(a)に示すパーティングラインLに沿って矢印X方向に分割する簡易な構成の分割金型を用いて射出成形などによって成形可能であるので、生産性に優れている。
あるいは、弁部材を容器本体3ではなく、キャップに設けることも可能である。図8は、キャップ23に弁部材を設けた例を示すものであり、キャップ23は、外気導入孔15と外部空間を連通するように設けられた流通路23hと、流通路23h内に設けられた逆止弁23iを備える。逆止弁23iは、収容部7を圧縮したときには流通路23hを閉じて中間空間21内の圧力が高まるようにし、且つ収容部7に加えた圧縮力が除かれたときには流通路23hを開いて外部空間Sから中間空間21へ向かう空気を通過させる機能を有する。外気導入孔15は、キャップ23に設けられる流通路23hに連通させやすいように、上壁よりも口部9の吐出口に近い位置に設けられることが好ましく、対向壁よりも口部9の吐出口に近い位置に設けられることがさらに好ましい。
なお、本例の場合、キャップ23は、吐出口23b、及び吐出口23bに連通する流通路内に設けられる逆止弁23eを備える。キャップ23が口部9に装着された状態で、収容部7内の内容物は、流通路を通って吐出口23bから吐出される。一方、逆止弁23eが吐出口23bからの外気の流入を遮断するので、容器本体3の内袋14内には外気は侵入せず、内容物の劣化が抑制される。
一方、図1(b)に示すように、収容部7の底面29には、中央凹領域29aと、その周囲に設けられる周縁領域29bが設けられ、中央凹領域29aには、底面29から突出する底シール突出部27が設けられる。図5(a)〜(b)に示すように、底シール突出部27は、外層11と内層13を備える円筒状の積層パリソンを用いたブロー成形における、積層パリソンのシール部である。底シール突出部27は、底面29側から順にはベース部27dと、薄肉部27aと、薄肉部27aよりも肉厚が大きい厚肉部27bを備える。
ブロー成形の直後は、底シール突出部27は、図5(a)に示すように、周縁領域29bによって規定される面Pに対して略垂直に立っている状態であるが、この状態では、容器に衝撃が加わったときに、溶着部27cにおける内層13同士が分離されやすく、耐衝撃性が不十分である。そこで、本実施形態では、ブロー成形後に底シール突出部27に熱風を吹き付けることによって薄肉部27aを軟化させて図5(b)に示すように、薄肉部27aにおいて底シール突出部27を折り曲げている。このように、単に、底シール突出部27を折り曲げるという単純な工程によって底シール突出部27の耐衝撃性を向上させている。また、図5(b)に示すように、底シール突出部27は、折り曲げられた状態で周縁領域29bによって規定される面Pから突出しないようになっている。これによって、積層剥離容器1を立てた時に、底シール突出部27が面Pからはみ出して積層剥離容器1がグラグラすることが防止される。
なお、ベース部27dは、薄肉部27aよりも底面29側に設けられ且つ薄肉部27aよりも肉厚の部分であり、ベース部27dは、なくてもよいが、ベース部27d上に薄肉部27aを設けることによって底シール突出部27の耐衝撃性をさらに向上させることができる。
また、図1(b)に示すように、底面29の凹領域は、底シール突出部27の長手方向において底面29全体を横切るように設けられる。つまり、中央凹領域29aと周縁凹領域29cがつながっている。このような構成によって、底シール突出部27を折り曲げやすくなっている。
積層パリソンのシール部は、収容部7の底面29に一直線状に形成されており、その結果、内層13(内袋14)は、底面29において、一直線状に固定されることになる。このことが、後述の接着帯と相俟って、内容物を最後まで使い切る上で重要になる。
次に、容器本体3の層構成についてさらに詳細に説明する。容器本体3は、外層11と内層13を備える。
外層11は、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物などで構成される。外層11は、複数層構成であってもよい。例えば、リプロ層の両側をポリプロピレン層で挟んだ構成であってもよい。ここで、リプロ層とは、容器の成形時にでたバリをリサイクルして使用した層をいう。また、外層11は、復元性が高くなるように、内層13よりも肉厚に形成される。
本実施形態では、外層11は、プロピレンと別のモノマーとの間のランダム共重合体からなるランダム共重合体層を備える。外層11は、ランダム共重合体層の単層であってもよく、複数層構成であってもよい。例えば、リプロ層の両側をランダム共重合体層で挟んだ構成であってもよい。外層11を特定構成のランダム共重合体で構成することによって、外殻12の形状復元性・透明性・耐熱性を向上させることができる。
ランダム共重合体は、プロピレン以外のモノマーの含有量が、50mol%よりも小さいものであり、5〜35mol%が好ましい。この含有量は、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30mol%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。プロピレンと共重合されるモノマーとしては、ポリプロピレンのホモポリマーに比べた場合のランダム共重合体の耐衝撃性を向上させるものであればよく、エチレンが特に好ましい。プロピレンとエチレンのランダム共重合体の場合、エチレンの含有量は、5〜30mol%が好ましく、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30mol%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。ランダム共重合体の重量平均分子量は、10〜50万が好ましく、10〜30万がさらに好ましい。この重量平均分子量は、具体的には例えば、10、15、20、25、30、35、40、45、50万であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
また、ランダム共重合体の引張弾性率は、400〜1600MPaが好ましく、1000〜1600MPaが好ましい。引張弾性率がこのような範囲の場合に、形状復元性が特に良好であるからである。引張弾性率は、具体的には例えば、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600Mpaであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
尚、容器が過度に硬いと、容器の使用感が悪くなるため、ランダム共重合体に、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンなどの柔軟材料を混合して外層11を構成してもよい。ただし、ランダム共重合体に対して混合する材料は、ランダム共重合体の有効な特性を大きく阻害することのなきよう、混合物全体に対して50重量%未満となるように混合することが好ましい。例えば、ランダム共重合体と直鎖状低密度ポリエチレンとを85:15の重量割合で混合した材料により外層11を構成することができる。
図9に示すように、内層13は、容器外面側に設けられたEVOH層13aと、EVOH層13aの容器内面側に設けられた内面層13bと、EVOH層13aと内面層13bの間に設けられた接着層13cを備える。EVOH層13aを設けることでガスバリア性、及び外層11からの剥離性を向上させることができる。
EVOH層13aは、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂からなる層であり、エチレンと酢酸ビニル共重合物の加水分解により得られる。EVOH樹脂のエチレン含有量は、例えば25〜50mol%であり、酸素バリア性の観点から32mol%以下が好ましい。エチレン含有量の下限は、特に規定されないが、エチレン含有量が少ないほどEVOH層13aの柔軟性が低下しやすいので25mol%以上が好ましい。また、EVOH層13aは、酸素吸収剤を含有することが好ましい。酸素吸収剤をEVOH層13aに含有させることにより、EVOH層13aの酸素バリア性をさらに向上させることができる。
EVOH樹脂の融点は、外層11を構成するランダム共重合体の融点よりも高いことが好ましい。外気導入孔15は、加熱式の穿孔装置を用いて外層11に形成することが好ましいが、EVOH樹脂の融点をランダム共重合体の融点よりも高くすることによって、外層11に外気導入孔15を形成する際に、孔が内層13にまで到達することを防ぐ。この観点から、(EVOHの融点)−(ランダム共重合体層の融点)の差は大きい方がよく、15℃以上であることが好ましく、30℃以上であることが特に好ましい。この融点の差は、例えば5〜50℃であり、具体的には例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
内面層13bは、積層剥離容器1の内容物に接触する層であり、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその混合物などのポリオレフィンからなり、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンからなることが好ましい。内面層13bを構成する樹脂の引張弾性率は、50〜300MPaが好ましく、70〜200MPaが好ましい。引張弾性率がこのような範囲の場合に、内面層13bが特に柔軟であるからである。引張弾性率は、具体的には例えば、具体的には例えば、50、100、150、200、250、300Mpaであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
接着層13cは、EVOH層13aと内面層13bとを接着する機能を有する層であり、例えば上述したポリオレフィンにカルボキシル基を導入した酸変性ポリオレフィン(例:無水マレイン酸変性ポリエチレン)を添加したものや、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)である。接着層13cの一例は、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンと、酸変性ポリエチレンの混合物である。
前述の通り、外層11(外殻12)と内層13(内袋14)は、互いに剥離可能な材料で形成されており、外層11(外殻12)から内層13(内袋14)が容易に剥離し得るように構成されているが、本実施形態の積層剥離容器1の場合、図1及び図2に示すように、側壁に接着帯101が1本だけ形成されており、この部分では外層11(外殻12)から内層13(内袋14)が剥離しないように構成されている。
接着帯101は、外層11(外殻12)と内層13(内袋14)とを接着し得る材料で形成され、例えば、接着性ポリオレフィンや各種接着剤等により形成する。あるいは、熱溶着等により形成してもよい。接着帯101の幅は任意であるが、通常は数mm程度に設定される。
接着帯101の形成位置は、底面におけるピンチオフ部の一方の端部の延長線と側壁とが交差する位置であり、前記延長線を側壁に沿って立ち上げるように接着帯101が底面から口部まで概ね全高に亘って形成されている。
次に、本実施形態の積層剥離容器1の使用時の動作原理を説明する。
図10(a)〜(c)に示すように、内容物が充填された積層剥離容器1を傾けた状態で外殻12の側面を握って圧縮して内容物を吐出させるが、この時、前記接着帯101が下方に位置するように積層剥離容器1を傾ける。したがって、キャップ23は、ヒンジ部hの位置が前記接着帯101の形成位置とは略180°反対側になるように口部に組み付けられる。
なお、図10に示す例では、先の実施形態の積層剥離容器1とは異なり、外気導入孔15や弁部材5は、容器本体の周方向において、接着帯101と180°反対側の位置に設けられている[先の実施形態では、90℃回転した位置(直角方向の位置)]。外殻12が復元する際に、外気は外気導入孔15から導入されるが、外気導入孔15や弁部材5を前記位置に設定することで、ピンチ部において固定されている内袋14の両側空間に導入された空気が配分されることになり、内袋14を円滑に収縮させる上で、好適な位置である。外気導入孔15を口部9に設ける場合にも、同じことが言える。
使用開始時は、図11(a)に示すように、内袋14と外殻12の間に実質的に隙間がない状態であるので、外殻12に加えた圧縮力は、そのまま内袋14の圧縮力となり、内袋14が圧縮されて内容物が吐出される。
キャップ23は、図示しない逆止弁を内蔵しており、内袋14内の内容物を吐出させることはできるが、内袋14内に外気を取り込むことはできない。そのため、内容物の吐出後に外殻12へ加えていた圧縮力を除くと、外殻12が自身の復元力によって元の形状に戻ろうとするが、内袋14はしぼんだままで外殻12だけが膨張することになる。そして、図10(d)及び図11(b)に示すように、内袋14と外殻12の間の中間空間21内が減圧状態となり、外殻12に形成された外気導入孔15を通じて中間空間21内に外気が導入される。中間空間21が減圧状態になっている場合、蓋部5cは、外気導入孔15に押し付けられないので、外気の導入を妨げない。また、係止部5bが外殻12に接触した状態でも係止部5bが外気の導入を妨げないように、係止部5bには突起5dや溝などの気道確保手段が設けられる。
内容物が少なくなってくると、通常は残りの内容物を吐出させことが難しくなってくるが、本実施形態の積層剥離容器1では、底面のピンチ部において内袋14が直線状に固定されていることと、接着帯101によって内袋14が側壁に直線状に固定されていることによって、図11(c)に示すように、接着帯101に沿って断面略三角形状の空間102が形成されることになる。
したがって、内容物を使い切る直前の状態においても、積層剥離容器1の下方位置には、前記空間102が残りの内容物の流路として確保される形になり、内容物は最後まで前記流路を通して速やかに且つ円滑に外部へと吐出される。その結果、内容物を最後まで使い切ることが可能である。
以上、本発明を適用した実施形態について説明してきたが、本発明がこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
1 積層剥離容器
3 容器本体
5 弁部材
7 収容部
9 口部
11 外層
12 外殻
13 内層
14 内袋
15 外気導入孔
23 キャップ
27 底シール突出部
101 接着帯
102 空間

Claims (3)

  1. 外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が前記外殻から剥離し収縮する容器本体と、
    外殻にのみ設けられた貫通孔であり中間空間と外部空間を連通する外気導入孔と、前記外気導入孔において中間空間と外部空間との間の空気の出入りを調節する弁部材とを備える積層剥離容器であって、
    前記容器本体は、内容物を収容する収容部と、前記収容部から前記内容物を排出する口部とを備え、
    前記口部には蓋部が組み付けられ、
    前記収容部に凹部が設けられ、当該凹部に前記外気導入孔が設けられ、
    前記容器本体の底部には、略直線状のピンチオフ部が形成され、
    前記ピンチオフ部の一方の端部の延長線と交差する側壁部位置において、側壁の高さ方向に連なる1本の接着帯が形成されていることを特徴とする積層剥離容器。
  2. 前記蓋部は、ヒンジ部の位置が前記接着帯の形成位置とは略180°反対側になるように口部に組み付けられることを特徴とする請求項1記載の積層剥離容器。
  3. 前記外気導入孔は、前記接着帯の形成位置とは略90°回転した位置になるように、または略180°反対側になるように形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の積層剥離容器。
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