JP7285432B2 - 二重容器 - Google Patents

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Description

本発明は、二重容器に関するものであり、特に、上下反転させた状態(倒立した状態)で載置可能な二重容器に関する。
従来、外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って内袋が収縮する容器本体と、外殻と内袋の間の中間空間と容器本体の外部空間との間の空気の出入りを調節する逆止弁とを備える二重容器(いわゆる積層剥離容器)が知られている。
そして、この種の二重容器をジャムやマヨネーズ、ケチャップ等の粘稠な物質を内容物として収容する容器として用いることが検討されており、使い残しを避けること等を目的に、口部を下にした状態(倒立状態)でテーブルの上等に載置可能とすることが要望されている。
このような状況から、例えば特許文献1や特許文献2には、倒立状態で載置可能とした二重容器が開示されている。具体的には、特許文献1には、瞬間的には非通気性であり長期的には気体透過性の樹脂材料からなる外層を有し、キャップの天面を接地面とした二重容器が開示されている。
また、特許文献2には、可とう性素材を外部容器と内部容器の2層に形成した粘性物容器が開示されており、底部に吸気孔を設け、孔に1枚弁の逆止弁を設けることや、蓋の形状を大型にすること等が記載されている。
特開昭63-12427号公報 特開2008-273615号公報
しかしながら、特許文献1記載の発明のように、外層に特殊な樹脂材料(瞬間的には非通気性であり長期的には気体透過性の樹脂材料)を用いる必要があり、コスト増を招く原因となるとともに、外層の形状が速やかに復元されないことから、取り扱い難いという問題がある。一方、特許文献2記載の発明にように、底部に吸気孔を設ける構成では、吸気孔の密閉性が不十分となる傾向にあり、円滑なスクイズが難しいという問題がある。
本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたものであり、口部を下にした状態(倒立状態)で載置可能であり、スクイズの際には外気導入孔からエアがリークし難く、良好なスクイズ性を維持することが可能な二重容器を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明の二重容器は、外殻と内袋とを有し、内袋に収容される内容物の減少に伴って前記内袋が収縮する二重容器であって、口部にキャップが装着されるとともに、前記外殻の口部または口部近傍に逆止弁を有する外気導入孔が形成され、前記口部近傍から底部近傍に至る線状のリブが内側に突出する形で形成されており、容器本体の形状が偏平であり、前記逆止弁を有する外気導入孔は面積の大きな偏平面に形成されるとともに、前記リブは両側面に形成されており、キャップの天面を接地面として倒立した状態で載置可能であることを特徴とする。
本発明の二重容器は、倒立載置可能であるので、粘度が高い内容物であっても残存率が低減される。また、口部若しくは口部近傍に逆止弁を有する外気導入孔が形成されていることから、スクイズの際には外気導入孔が確実に塞がれ、良好なスクイズ性が維持される。すなわち、本発明の二重容器では、倒立載置した時に外気導入孔が容器下方に位置するが、この時、二重容器内の内容物は重力によって下方(口部側)に移動しており、その重さで外気導入孔に向けて内袋が押し付けられる形になる。その結果、スクイズ時に外気導入孔からエアがリークし難くなる。
本発明によれば、口部を下にした状態(倒立状態)で載置可能であり、スクイズの際には外気導入孔からエアがリークし難く、良好なスクイズ性を維持することが可能な二重容器を提供することが可能である。
二重容器の構造例を示す要部概略断面図である。 弁部材の他の例(ボール弁)を示す要部概略断面図である。 ボール弁の一例を示す図であり、(a)は筒体の正面図、(b)は筒体の底面図、(c)はA-A断面図、(d)はB-B断面図、(e)は弁部材の断面図、(f)は弁部材を外殻に装着した状態を示す断面図、(g)は移動体がストッパー部に当接して空洞部を閉塞させた状態を示す断面図である。 二重容器の第1の形状例(キャップ付き)の正面図である。 二重容器の第1の形状例(キャップ付き)の背面図である。 二重容器の第1の形状例(キャップ付き)の右側面図である。 二重容器の第1の形状例(キャップ付き)の左側面図である。 二重容器の第1の形状例(キャップ付き)の上面図である。 二重容器の第1の形状例(キャップ付き)の底面図である。 二重容器の第1の形状例(キャップ付き)の斜視図である。 二重容器の第1の形状例(キャップ無し)の正面図である。 二重容器の第1の形状例(キャップ無し)の背面図である。 二重容器の第1の形状例(キャップ無し)の右側面図である。 二重容器の第1の形状例(キャップ無し)の左側面図である。 二重容器の第1の形状例(キャップ無し)の上面図である。 二重容器の第1の形状例(キャップ無し)の底面図である。 二重容器の第1の形状例(キャップ無し)の斜視図である。 二重容器の第2の形状例(キャップ付き)の正面図である。 二重容器の第2の形状例(キャップ付き)の背面図である。 二重容器の第2の形状例(キャップ付き)の右側面図である。 二重容器の第2の形状例(キャップ付き)の左側面図である。 二重容器の第2の形状例(キャップ付き)の上面図である。 二重容器の第2の形状例(キャップ付き)の底面図である。 二重容器の第2の形状例(キャップ付き)の斜視図である。 二重容器の第2の形状例(キャップ無し)の正面図である。 二重容器の第2の形状例(キャップ無し)の背面図である。 二重容器の第2の形状例(キャップ無し)の右側面図である。 二重容器の第2の形状例(キャップ無し)の左側面図である。 二重容器の第2の形状例(キャップ無し)の上面図である。 二重容器の第2の形状例(キャップ無し)の底面図である。 二重容器の第2の形状例(キャップ無し)の斜視図である。 二重容器の第3の形状例(キャップ付き)の正面図である。 二重容器の第3の形状例(キャップ付き)の背面図である。 二重容器の第3の形状例(キャップ付き)の右側面図である。 二重容器の第3の形状例(キャップ付き)の左側面図である。 二重容器の第3の形状例(キャップ付き)の上面図である。 二重容器の第3の形状例(キャップ付き)の底面図である。 二重容器の第3の形状例(キャップ付き)の斜視図である。 二重容器の第3の形状例(キャップ無し)の正面図である。 二重容器の第3の形状例(キャップ無し)の背面図である。 二重容器の第3の形状例(キャップ無し)の右側面図である。 二重容器の第3の形状例(キャップ無し)の左側面図である。 二重容器の第3の形状例(キャップ無し)の上面図である。 二重容器の第3の形状例(キャップ無し)の底面図である。 二重容器の第3の形状例(キャップ無し)の斜視図である。 二重容器の第4の形状例(キャップ付き)の正面図である。 二重容器の第4の形状例(キャップ付き)の背面図である。 二重容器の第4の形状例(キャップ付き)の右側面図である。 二重容器の第4の形状例(キャップ付き)の左側面図である。 二重容器の第4の形状例(キャップ付き)の上面図である。 二重容器の第4の形状例(キャップ付き)の底面図である。 二重容器の第4の形状例(キャップ付き)の斜視図である。 二重容器の第4の形状例(キャップ無し)の正面図である。 二重容器の第4の形状例(キャップ無し)の背面図である。 二重容器の第4の形状例(キャップ無し)の右側面図である。 二重容器の第4の形状例(キャップ無し)の左側面図である。 二重容器の第4の形状例(キャップ無し)の上面図である。 二重容器の第4の形状例(キャップ無し)の底面図である。 二重容器の第4の形状例(キャップ無し)の斜視図である。 第1の形状例の二重容器にリブを形成した状態を示す斜視図である。 第2の形状例の二重容器にリブを形成した状態を示す斜視図である。 第3の形状例の二重容器にリブを形成した状態を示す斜視図である。 第4の形状例の二重容器にリブを形成した状態を示す斜視図である。 (a)は側面に2箇所リブを形成した二重容器の横断面図、(b)は側面及び背面の3箇所にリブを形成した二重容器の横断面図である。 リブを拡大して示す概略断面図であり、(a)は内層の予備剥離前の状態、(b)は内層の予備剥離後の状態を示す。 リブの他の例を示す概略断面図であり、(a)は内層の予備剥離前の状態、(b)は内層の予備剥離後の状態を示す。 (A)はスクイズ時に外層に外力を加えた状態を模式的に示す図、(B)はスクイズ後に外力を解放した状態を模式的に示す図である。
以下、本発明を適用した二重容器の実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、二重容器1は、いわゆる積層剥離容器であり、容器本体2を主体とするものであり、容器本体2は、内容物を収容する収容部3と、収容部3から内容物を吐出する口部4を備えている。また、容器本体2は、収容部3及び口部4において、外殻である外層11と内袋である内層12を備えており、内容物の減少に伴って内層12が収縮する。
外層11と内層12は、多層パリソンとしてブロー成形に供され、一体に接合された状態で成形されるが、その使用形態としては、例えば使用前に予め外層11から内層12を剥離しておき、内層12が外層11に接するまで内容物を充填する。内容物を押し出すことで、円滑に内層12が収縮する。あるいは、内層12が外層11に接合された状態のままとし、内容物の排出に伴って内層12が外層11から剥離して収縮するようにしてもよい。
容器本体2の層構成についてさらに説明すると、容器本体2は、前記の通り、外層11と内層12を備え、外層11は、復元性が高くなるように、内層12よりも肉厚に形成されている。
外層11は、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体及びその混合物などで構成される。外層11は、単層又は複数層構成であり、その最内層と最外層の少なくとも一方に滑剤を含有することが好ましい。外層11が単層構成の場合、その単層が最内層であり且つ最外層であるので、その層に滑剤を含有させればよい。外層11が2層構成の場合、容器内面側の層が最内層となり、容器外面側の層が最外層となるので、その少なくとも一方に滑剤を含有させればよい。外層11が3層以上で構成される場合、最も容器内面側の層が最内層であり、最も容器外面側の層が最外層となる。
外層11の最内層は、内層12に接触する層であり、外層11の最内層に滑剤を含有させることによって外層11と内層13の間の剥離性を向上させることができる。一方、外層11の最外層は、ブロー成形の際に金型に接触する層であり、外層11の最外層に滑剤を含有させることによって離型性を向上させることができる。
外層11の最内層と最外層の一方又は両方は、プロピレンと別のモノマーとの間のランダム共重合体で形成することができる。これによって、外殻である外層11の形状復元性・透明性・耐熱性を向上させることができる。
ランダム共重合体は、プロピレン以外のモノマーの含有量が、50mol%よりも小さいものであり、5~35mol%が好ましい。プロピレンと共重合されるモノマーとしては、ポリプロピレンのホモポリマーに比べた場合のランダム共重合体の耐衝撃性を向上させるものであればよく、エチレンが特に好ましい。プロピレンとエチレンのランダム共重合体の場合、エチレンの含有量は、5~30mol%が好ましい。ランダム共重合体の重量平均分子量は、10~50万が好ましく、10~30万がさらに好ましい。
また、ランダム共重合体の引張弾性率は、400~1600MPaが好ましく、1000~1600MPaが好ましい。引張弾性率がこのような範囲の場合に、形状復元性が特に良好であるからである。
なお、容器が過度に硬いと、容器の使用感が悪くなるため、ランダム共重合体に、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンなどの柔軟材料を混合して外層11を構成してもよい。ただし、ランダム共重合体に対して混合する材料は、ランダム共重合体の有効な特性を大きく阻害することのなきよう、混合物全体に対して50重量%未満となるように混合することが好ましい。例えば、ランダム共重合体と直鎖状低密度ポリエチレンとを85:15の重量割合で混合した材料により外層11を構成することができる。
内層12は、例えば容器外面側に設けられたEVOH層と、EVOH層の容器内面側に設けられた内面層と、EVOH層と内面層の間に設けられた接着層を備える。EVOH層を設けることでガスバリア性、及び外層11からの剥離性を向上させることができる。
EVOH層は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂からなる層であり、エチレンと酢酸ビニル共重合物の加水分解により得られる。EVOH樹脂のエチレン含有量は、例えば25~50mol%であり、酸素バリア性の観点から32mol%以下が好ましい。エチレン含有量の下限は、特に規定されないが、エチレン含有量が少ないほどEVOH層の柔軟性が低下しやすいので25mol%以上が好ましい。また、EVOH層は、酸素吸収剤を含有することが好ましい。酸素吸収剤をEVOH層に含有させることにより、EVOH層の酸素バリア性をさらに向上させることができる。
EVOH樹脂の融点は、外層11を構成するランダム共重合体の融点よりも高いことが好ましい。外気導入孔15は、加熱式の穿孔装置を用いて外層11に形成することが好ましいが、EVOH樹脂の融点をランダム共重合体の融点よりも高くすることによって、外層11に外気導入孔15を形成する際に、孔が内層13にまで到達することを防ぐ。この観点から、(EVOHの融点)-(ランダム共重合体層の融点)の差は大きい方がよく、15℃以上であることが好ましく、30℃以上であることが特に好ましい。この融点の差は、例えば5~50℃である。
内面層は、二重容器1の内容物に接触する層であり、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体及びその混合物などのポリオレフィンからなり、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンからなることが好ましい。内面層を構成する樹脂の引張弾性率は、50~300MPaが好ましく、70~200MPaが好ましい。引張弾性率がこのような範囲の場合に、内面層が特に柔軟であるからである。
接着層は、EVOH層と内面層とを接着する機能を有する層であり、例えば上述したポリオレフィンにカルボキシル基を導入した酸変性ポリオレフィン(例:無水マレイン酸変性ポリエチレン)を添加したものや、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)である。接着層の一例は、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンと、酸変性ポリエチレンの混合物である。
また、容器本体2においては、収容部3の肩部の外層11に凹部7aが形成され、ここに外気導入孔15が穿設されている。外気導入孔15は、外層11にのみ設けられた貫通孔であり、内層12には到達していない。そして、この外気導入孔15から空気が導入されることで、外殻である外層11と内袋である内層12の間に中間空間21が形成される。すなわち、中間空間21と外部空間は、この外気導入孔15によって互いに連通されることになる。なお、本実施形態の場合、外気導入孔15が口部4の近傍である肩部に形成されているが、外気導入孔15は倒立しようする際に容器本体2の下方位置に形成されていればよく、例えば口部4に形成されていてもよい。
外気導入孔15には、弁部材5が設けられている。弁部材5は、外気導入孔15に挿通され且つ外気導入孔15に対してスライド移動可能な軸部5aと、軸部5aの中間空間21側に設けられ且つ軸部5aよりも断面積が大きい蓋部5cと、軸部5aの外部空間側に設けられ且つ弁部材5が中間空間21に入り込むことを防ぐ係止部5bを備える。
蓋部5cは、外層11を圧縮した際に外気導入孔15を実質的に閉塞させるように構成され、軸部5aに近づくにつれて断面積が小さくなる形状になっている。また、係止部5bは、外層11が圧縮された後に復元する際に中間空間21に空気が導入可能なように構成される。外層11を圧縮すると、中間空間21内の圧力が外圧よりも高くなって、中間空間21内の空気が外気導入孔15から外部に漏れ出す。この圧力差と空気の流れによって蓋部5cが外気導入孔15に向かって移動し、蓋部5cが外気導入孔15を閉塞する。蓋部5cが軸部5aに近づくにつれて断面積が小さくなる形状であるので、蓋部5cが容易に外気導入孔15に嵌って外気導入孔15を閉塞する。
この状態で外層11をさらに圧縮すると、中間空間21内の圧力が高まり、その結果、内層12が圧縮されて、内層12内の内容物が吐出される。また、外層11への圧縮力を解除すると、外層11が自身の弾性によって復元しようとする。この際、蓋部5cが外気導入孔15から離れて、外気導入孔15の閉塞が解除されて、中間空間21内に外気が導入される。また、係止部5bが外気導入孔15を塞いでしまわないように、係止部5bには外層11に当接する部位に突起5dが設けられており、突起5dが外層11に当接することによって、外層11と係止部5bの間に隙間が設けられる。なお、突起5dを設ける代わりに、係止部5bに溝を設けることによって係止部5bが外気導入孔15を閉塞させることを防いでもよい。
弁部材5は、図2に示すように、外部空間と中間空間21を連通させるように設けられた空洞部を有する筒体50と、空洞部内に移動可能に収容された球状の移動体60とを備えるもので(いわゆるボール弁)あってもよい。
ボール弁の詳細構成について説明すると、図3に示すように、弁部材5は、外部空間と中間空間21を連通させるように設けられた空洞部50gを有する筒体50と、空洞部50g内に移動可能に収容された移動体60とを備える。空洞部50gの横断面での直径は、移動体60の対応する断面での直径よりもわずかに大きくなっており、移動体60が図3(c)の矢印D方向に自由に移動可能な形状となっている。
筒体50は、外気導入孔15内に配置される軸部50aと、軸部50aの外部空間側に設けられ且つ筒体50が中間空間21に入り込むことを防ぐ係止部50bと、軸部50aの中間空間21側に設けられ且つ筒体50が容器本体2の外側から引き抜かれることを防ぐ膨径部50cを有する。軸部50aは、中間空間21側に向かって先細り形状になっている。そして、軸部50aの外周面が外気導入孔15の縁に密着することによって筒体50が容器本体2に装着される。
空洞部50gを囲む面50jには、移動体60が中間空間21側から外部空間側に向かって移動するときに移動体60を係止するストッパー部50hが設けられている。ストッパー部50hは、環状の突起で構成されており、移動体60がストッパー部50hに当接すると空洞部50gを通じた空気の流通が遮断されるようになっている。
また、筒体50の先端は、平坦面50dとなっており、平坦面50dには、空洞部50gに連通する開口部50eが設けられている。開口部50eは、平坦面50dの中央に設けられた略円形の中央開口部50e1と、中央開口部50e1から放射状に広がる複数のスリット部50e2を有する。
弁部材5は、図3(f)に示すように、膨径部50c側から外気導入孔15内に挿入され、係止部50bが外層11の外面に当接する位置まで押し込まれると、軸部50aの外周面が外気導入孔15の縁に密着した状態で、外層11に保持される。中間空間21に空気が入っている状態で外層11を圧縮すると、中間空間21内の空気が開口部50eを通じて空洞部50g内に入り、移動体60を押し上げてストッパー部50hに当接させる。移動体60がストッパー部50hに当接すると、空洞部50gを通じた空気の流れが遮断される。
この状態で外層11をさらに圧縮すると、中間空間21内の圧力が高まり、その結果、内層12が圧縮されて、内層12内の内容物が吐出される。また、外層11への圧縮力を解除すると、外層11が自身の弾性によって復元しようとする。外層11の復元に伴って中間空間21内が減圧されることによって、図3(g)に示すように、移動体60に対して容器内側方向の力FIが加わる。これによって、移動体60が空洞部50gの底に向かって移動して、図3(f)に示す状態となり、移動体60と面50jの隙間及び開口部50eを通って中間空間21内に外気が導入される。
容器本体2の構成は以上の通りであり、容器本体2においては、口部4に雄ネジ部が設けられており、雄ネジ部には、雌ねじを有するキャップ(蓋)10が取り付けられる。本実施形態の二重容器1においては、キャップ10の天面10aを接地面としてテーブル等に倒立状態で載置可能であることが大きな特徴である。倒立状態で載置可能であることにより、ジャムやマヨネーズ、ケチャップ等の粘稠な物質を内容物として収容する場合においても、残存率を抑えることができる。以下、二重容器1の形状例について説明する。
図4~図17は、二重容器1の第1の形状例を示すものであり、図4~図9はキャップ10を装着した状態、図10~図17はキャップ10を取り外した状態である。
第1の形状例は、容器本体2の形状が偏平であり、底部は、幅方向において中央部が若干凹んだ曲面形状とされるとともに、厚み方向において曲面形状とされている。したがって、第1の形状例の二重容器1では、底部に収容された内容物が円滑に口部4の方向(下方)に滑り落ち、残存率を減らすことができる。
第1の形状例の二重容器1は、底部が前記形状をしているため、底部を接地面として載置することはできない。本例では、キャップ10の天面10aの面積を拡大し、接地面積を十分に確保することで安定な載置を実現している。すなわち、キャップ10の天面10aの径は、キャップ10の本体部分(口部4に取り付けられる部分)の径よりも拡大されており、天面10aの周囲が鍔部のようにせり出した形状とされている。
図18~図31は、二重容器1の第2の形状例を示すものであり、図18~図24はキャップ10を装着した状態、図25~図31はキャップ10を取り外した状態である。
第2の形状例も、容器本体2の形状が偏平であるが、第1の形状例と異なり、底部は、幅方向において概ね直線状とされ、厚み方向において底部中央に凹部を有する。キャップ10の形状は第1の形状例と同様である。
図32~図45は、二重容器1の第3の形状例を示すものであり、図32~図38はキャップ10を装着した状態、図39~図45はキャップ10を取り外した状態である。
第3の形状例の二重容器1は、底面を接地面とすることも可能な形状とされており、必要に応じて倒立状態、正立状態のいずれかでテーブル等に載置することが可能である。キャップ10の形状は第1の形状例と同様である。
図46~図59は、二重容器1の第4の形状例を示すものであり、図46~図52はキャップ10を装着した状態、図53~図59はキャップ10を取り外した状態である。
第4の形状例は、先の第1の形状例と類似するものであるが、第1の形状例と異なり、底部は、幅方向において概ね直線状とされ、厚み方向において曲面形状とされている。キャップ10の形状は第1の形状例と同様である。
以上の各形状例の二重容器1は、倒立での使用が可能であり、ジャムやマヨネーズ、ケチャップ等の粘稠な物質を内容物とする場合、内容物を自重により口部4付近に集めることができる。この時、内袋である内層12が上部(底部)から順次縮んでいくことで粘稠な内容物が口部4側へと移行し易いものと考えられる。
しかしながら、本実施形態の二重容器1の場合、容器本体2の下方位置(口部4若しくは口部4近傍)に外気導入孔15が設けられており、空気は容器本体2の下方から外層11と内層12の間に導入されることになり、内層12を上部(底部)側から縮ませるのには不利である。
そこで、容器本体2の下方位置(口部4若しくは口部4近傍)から導入された空気を、速やかに上部(底部)へと移行させ、内層12が上部(底部)から縮みやすくするように、容器本体2の口部4近傍から底部近傍に至る線状のリブを形成してもよい。
図60~図63は、第1の形状例、第2の形状例、第3の形状例、第4の形状例の二重容器1において、上下方向に線状のリブ30を形成した状態を示すものである。各形状例の二重容器1は、その形状が偏平であり、図64(a)に示すように、前記リブ30は容器本体2の両側面に形成されている。なお、リブ30の形成位置はこれに限らず、例えば図64(b)に示すように、両側面と、弁部材5の取り付け面(正面)とは反対側の面(背面)の3箇所にリブ30を形成するようにしてもよい。
リブ30は、図65(a)に示すように、容器本体2の内側に向けて突出するように形成されており、成形後には外層11と内層12とは互いに密着した状態である。通常、いわゆる積層剥離容器では、内容物を充填する前に予備剥離工程を行って、外層11と内層12を予め剥離する工程が行われるが、予備剥離後には、図65(b)に示すように、前記リブ30が形成された部分において、外層11と内層12とが密着し難くなるので、リブ30に沿って空気の流路となる隙間31が形成される。また、前記予備剥離により外気導入孔15の周辺では、全周にわたって外層11と内層12が剥離した状態となる。
図66は、リブ30の他の形状例を示すものである。図66(a)は外層11と内層12とが互いに密着した状態を示し、図66(b)はリブ30が形成された部分において外層11と内層12とが剥離し、リブ30に沿って空気の流路となる隙間31が形成された状態を示す。図66に示すように、図65に示す例より緩やかな断面形状であっても同様の効果を得ることができる。
前述のようなリブ30を形成することにより、二重容器1の倒立使用時に、外気導入孔15から導入された空気は、前記リブ30に沿って外気導入孔15が形成される口部4近傍から容器本体2の底部へと導かれ、内層12が上部(底部)から選択的に縮ませることが可能である。その結果、粘稠な内容物であっても、残存率を低減することができる。
図67は、スクイズの際の圧力の加わり方を模式的に示す図であり、図67(A)はスクイズ時に外層11に外力を加えた状態を模式的に示す図、図67(B)はスクイズ後に外力を解放した状態を模式的に示す図である。なお、図67においては、リブ30や隙間31は、容器本体2の正面や背面に対応する位置に図示されているが、これは説明をわかり易くするために便宜上そうしたものであり、実際には、例えば図64(a)に示すように両側面に、あるいは図64(b)に示すように両側面及び背面に形成されている。また、図67においては、キャップ10は開けた状態であり、内容物はキャップ10の注出口10bから注出される。
スクイズ時、外層11を強く握ると、中間空間21内の圧力が高まり、内層12に対してこの圧力が加わる。先の実施形態の二重容器1は、倒立状態で載置されているため、内容物が重力により下方に移行しやすく、図67(A)に示すように、底部(倒立した二重容器1の上部)側に中間空間21が形成される形になる。したがって、中間空間21の内圧は、その下方の内層12を上から押し付ける形で加わる。その結果、内層12が弁部材5を押圧する形になり、弁部材5からエアがリークし難くなる。
一方、スクイズ終了後、外層11に加わる外力を開放すると、図67(B)に示すように、内層12を上から押し付ける力が働かなくなり、内層12と弁部材5との密着が緩む。その結果、弁部材5の周辺に僅かな隙間が形成され、この隙間が前記リブ30に沿って形成される隙間31と連通し、外層11の復元とともに、弁部材5から外気が導入される。導入された外気は、リブ30に沿って底部(倒立した二重容器1の上部)側へと導かれ、内容物は速やかに下方(倒立した二重容器1の下部側)へと落下する。その結果、内容物の残存率が低下する。なお、前記弁部材5の周辺の隙間やリブ30に沿って形成される隙間31は僅かな隙間ではあるが、外層11の復元の際にはエアがゆっくりと導入されればよいので、問題はない。
以上、本発明を適用した実施形態について説明してきたが、本発明がこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
1 二重容器
2 容器本体
3 収容部
4 口部
5 弁部材
10 キャップ
10a 天面
11 外層
12 内層
15 外気導入孔
30 リブ

Claims (3)

  1. 外殻と内袋とを有し、内袋に収容される内容物の減少に伴って前記内袋が収縮する二重容器であって、
    口部にキャップが装着されるとともに、前記外殻の口部または口部近傍に逆止弁を有する外気導入孔が形成され、
    前記口部近傍から底部近傍に至る線状のリブが内側に突出する形で形成されており、
    容器本体の形状が偏平であり、前記逆止弁を有する外気導入孔は面積の大きな偏平面に形成されるとともに、前記リブは両側面に形成されており、
    キャップの天面を接地面として倒立した状態で載置可能であることを特徴とする二重容器。
  2. 前記キャップの接地面の面積が拡大されていることを特徴とする請求項1記載の二重容器。
  3. 前記逆止弁はボール弁であることを特徴とする請求項1または2記載の二重容器。
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