JP2022127527A - 二重容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 大気導入孔に弁部材を設けた場合と遜色のない使用感を実現することができ、しかも部品点数を削減し、製造コストの削減を図ることが可能な二重容器を提供する。【解決手段】 外層と内層とを有し、内層内に収容される内容物の減少に伴って内層が収縮する二重容器である。胴部と、胴部よりも外形寸法が小さく吐出口を有する口部とを有し、当該口部において、外層に弁を有していない大気導入孔が形成されている。例えば口部は環状凹部を有しており、大気導入孔は環状凹部に形成されている。口部には、打栓式のキャップが取り付けられている。【選択図】 図5
Description
本発明は、内容物の吐出に伴って内層が収縮する二重容器に関するものであり、特に、口部に弁を有していない大気導入孔が形成された二重容器に関するものである。
従来、外層容器と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って内袋が収縮する二重容器(いわゆる積層剥離容器)が提案されている(例えば特許文献1や特許文献2等を参照)。係る構成の二重容器では、内容物の減少に伴って内袋が収縮するため内袋内に空気が入り込まず、内容物の空気との接触が最小限に抑えられ、酸化や変質等が抑えられるという利点を有する。
前記二重容器では、外層容器と内袋の間に空気を導入する必要があり、そのため外層容器に大気導入孔を形成するとともに、大気導入孔に空気の出入りを調節する弁部材を設けるのが一般的である。特許文献1や特許文献2の積層剥離容器においても、容器の肩部に凹部が形成され、ここに外殻(外層容器)のみを貫通する大気導入孔が穿設されるとともに、弁部材が取り付けられている。容器本体の外殻に形成された大気導入孔に弁部材を装着し、この弁部材が容器本体に対して相対移動することによって大気導入孔が開閉されるように構成されている。
前述の二重容器は、内容物と空気の接触が抑えられ、酸化等の影響を最小限に抑えることができるが、二重構造の容器本体、外気導入弁、キャップの3部品で構成され、部品点数が多く、通常のプラスチック容器と比べてコスト増を招くことが大きな課題である。
本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたものであり、十分な性能を確保しながら、部品点数を削減し、製造コストの削減を図ることが可能な二重容器を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明の二重容器は、外層と内層とを有し、内層内に収容される内容物の減少に伴って前記内層が収縮する二重容器であって、胴部と、胴部よりも外形寸法が小さく吐出口を有する口部とを有し、当該口部において、前記外層に弁を有していない大気導入孔が形成されていることを特徴とする。
本発明者が検討したところ、口部を下に向けて内容物を吐出する二重容器においては、大気導入孔の位置により使用感に差が出ることが判明した。さらに検討を重ねた結果、口部、特にその基端部近傍部分(いわゆる首部)に大気導入孔を形成することで、弁部材を設けた場合と遜色のない使用感を実現できることを見出すに至った。
本発明の二重容器は、係る知見に基づいて案出されたものである。本発明の二重容器では、口部を下に向けて傾倒させ、いわゆるスクイズにより内容物を吐出する際には、スクイズ力や内容物の重量によって内層の内側に押圧力が加わり、外層に押し付けられる形になる。その結果、外層に形成された大気導入孔に内層が密着して密閉状態とされ、スクイズによる内容物の吐出が円滑に行われる。吐出後、スクイズ力を開放し、二重容器を正立状態に戻すと、内層に加わっていた押圧力が開放され、内層が外層から速やかに剥離し、内層と外層の間に速やかに空気(外気)が導入される。
本発明によれば、大気導入孔に弁部材を設けた場合と遜色のない使用感を実現することができ、しかも部品点数を削減し、製造コストの削減を図ることが可能な二重容器を提供することが可能である。
以下、本発明を適用した二重容器の実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態の二重容器1は、図1に示すように、内容物を収容する収容部(胴部)3と、収容部3から内容物を吐出する開口4aを有する口部4とを備えた容器本体2を主体とするものである。本実施形態の場合、収容部3は肩部を有する形状とされ、その先に口部4を有する形状とされている。口部3の外形寸法は収容部3の外形寸法よりも小さい。
前記容器本体2の口部4には、図2に示すようにキャップ5が装着され、このキャップ5に設けられた吐出口より容器本体2の内容物が吐出される。なお、図2は、図1の状態から容器本体2を90°回転させた側面図である。
本実施形態の二重容器1は、いわゆる積層剥離容器であり、図3に示すように、容器本体2は、収容部3及び口部4において、外殻である外層11と内袋である内層12を備えており、内容物の減少に伴って内層12が収縮する。
外層11と内層12は、例えば多層パリソンとしてブロー成形に供され、一体に接合された状態で成形されるが、その使用形態としては、例えば使用前に口部4を除いて予め外層11から内層12を剥離(予備剥離)しておき、内層12が外層11に接するまで内容物を充填し、内容物を押し出すことで、内層12が収縮するようにする。あるいは、内層12が外層11に接合された状態のままとし、内容物の吐出に伴って内層12が外層11から剥離して収縮するようにしてもよい。
容器本体2の層構成についてさらに説明すると、容器本体2は、前記の通り、外層11と内層12を備え、外層11は、復元性が高くなるように、内層12よりも肉厚に形成されている。
外層11は、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体及びその混合物などで構成される。外層12は、複数層構成であってもよい。例えば、リプロ層の両側をバージン材で形成した層で挟んだ構成であってもよい。ここで、リプロ層とは、容器の成形時に出たバリをリサイクルして使用した層をいう。外層11の層構成の具体例としては、ポリプロピレン(PP)層/リプロ層/ポリプロピレン(PP)層の3層構成を挙げることができる。さらに、外層11の内層12と接する部分に潤滑剤を添加し、外層11と内層12の剥離を促進することも可能である。
内層12は、例えば容器外面側に設けられたEVOH層と、EVOH層の容器内面側に設けられた内面層と、EVOH層と内面層の間に設けられた接着層を備える。内層12の層構成の具体例としては、EVOH層/接着層/ポリエチレン(PE)層の3層構成である。EVOH層を設けることで、ガスバリア性、及び外層11からの剥離性を向上させることができる。
EVOH層は、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂からなる層であり、エチレンと酢酸ビニル共重合物の加水分解により得られる。EVOH樹脂のエチレン含有量は、例えば25~50mol%であり、酸素バリア性の観点から32mol%以下が好ましい。エチレン含有量の下限は、特に規定されないが、エチレン含有量が少ないほどEVOH層の柔軟性が低下しやすいので25mol%以上が好ましい。また、EVOH層は、酸素吸収剤を含有することが好ましい。酸素吸収剤をEVOH層に含有させることにより、EVOH層の酸素バリア性をさらに向上させることができる。
内面層は、二重容器1の内容物に接触する層であり、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体及びその混合物などのポリオレフィンからなり、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンからなることが好ましい。
接着層は、EVOH層と内面層とを接着する機能を有する層であり、例えばポリオレフィンにカルボキシル基を導入した酸変性ポリオレフィン(例:無水マレイン酸変性ポリエチレン)を添加したものや、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)である。接着層の一例は、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンと、酸変性ポリエチレンの混合物である。
次に、容器本体2の口部4に装着されるキャップ5について説明する。
キャップ5は、いわゆる打栓式のキャップであり、これに対応して、容器本体2の口部4には、外径が相違する複数の段部が軸方向に沿って連続して構成される。具体的には、口部4は、上端に配置され軸方向に延びる大径口部4aと、該大径口部4aから下方に配置され、その外径が大径口部4aより小径で軸方向に延びる小径口部4bと、該小径口部4bから下方に配置され、その外径が大径口部4aより大径で軸方向に延びる最大径口部4cとを備えている。最大径口部4cの下方には、連続して、最大径口部4cより小径で、大径口部4aより大径の支持口部4dが形成される。また、支持口部4dと収容部3との間には、小径口部4bと略同径の環状凹部4eが形成される。この環状凹部4eは、口部4にキャップ5を打栓する際、打栓機にて把持するために設けられるものである。
本実施形態に係るキャップ5は、容器本体2の収容部3を圧搾して容器本体2に内圧を加え、適量の内容物を使用した直後、使用者が手でキャップ5を操作することなく容器本体2内を逆止弁51により密封するものである。具体的に、キャップ5は、図4に示すように、内容物の吐出孔52を有するキャップ本体5Aと、該キャップ本体5Aを構成する主キャップ体53にヒンジ5Cを介して連結される蓋体5Bとから構成される。すなわち、キャップ5の構成部材は、主に、蓋体5Bが連結され環状壁部を含む主キャップ体53と、逆止弁51と、吐出孔52を有する中栓54の三つである。なお、蓋体5Bをヒンジ5Cによりキャップ本体5Aに連結せずに、別体として構成してもよい。
逆止弁51は、弁部が吐出孔52周辺の環状弁座から離脱または着座して吐出孔52を開閉する機能を有するものであり、例えばポリエチレンエラストマーにて成形される。逆止弁51の上方に配置される中栓54には、吐出孔52と連通し、吐出孔52からの内容物を容器外に吐出する吐出通路55を有する。蓋体5Bを含む主キャップ体53は例えばポリプロピレン製であり、中栓54は例えばポリエチレン製である。
積層剥離容器である二重容器1は、大気導入孔を有することが必要である。大気導入孔は、外層11にのみ設けられた貫通孔であり、内層12には到達していない。そして、この大気導入孔から外殻である外層11と内層12の間に大気が導入されることで、内容物の吐出に伴って内層12のみが収縮する。一方、外層11は、大気導入孔から大気が導入されることで、自身の復元力によって元の形状に復元される。
一般に、大気導入孔には、弁部材(逆止弁)を設けることで、内容物の円滑な吐出や、外層の復元を実現しているが、弁部材を設けることで部品点数の増加を招き、製造コストの増加の原因となる。そこで、本実施形態の二重容器1では、弁部材を省略するとともに、大気導入孔の設置位置を最適化することで、弁部材を省略しても、弁部材を設けた場合と同様の使用感を実現し、部品点数の削減、製造コスト増の抑制を図っている。
すなわち、本発明の二重容器1は、外層11に弁を有していない大気導入孔20を形成したことが構成上の大きな特徴事項であり、内層12の接離により大気導入孔20を開閉するようにしている点に機能面での特徴を有する。弁を有していないとは、前記のように内層12に弁機能を持たせ、別部材として形成される弁部材を付与することがない、ということを意味する。
本発明者は、部品点数を削減する為に、弁部材(逆止弁)を削除することを検討してきたが、二重容器の外層と内層を分離するための大気導入孔においては、その孔の位置により使用感に差が出ることが判明した。さらに、内容物を吐出する際には、口部を下側にすることが必要であり、その際に外層と内層が密着しやすい場所として、口部(特に口部の基端側の部分である首部)が最適であることを見出した。そして、その箇所に大気導入孔を開けたところ、弁有りの場合と比較しても遜色のない使用感を得ることが出来た。一般に口部や首部は円形であり、吐出時でも変形しにくく、空気が漏れにくいメリットもある。
図5は、本実施形態の二重容器1の口部4近傍を拡大して示す図である。本実施形態においては、容器本体2の口部4、特に口部4の基端部近傍に形成された環状凹部4eに大気導入孔20が形成されている。環状凹部4eは、前述の通り、口部4にキャップ5を打栓する際、打栓機にて把持するために設けられるものである。環状凹部4eは、他の部分と比べて小径部であり、外から見た時に環状の溝部として形成され、内側に向かって突出する形で成形することにより形成されている。
この環状凹部4eは、他の部分と比べて小径の部分であり、ブロー成形する際にブロー比が小さいことから、他の部分に比べて肉厚に成形される。口部や首部は円形であり、吐出時でも変形しにくいが、環状凹部4eでは、厚さが厚いことによる変形のしにくさが付加され、空気漏れがさらに抑制される。また、環状凹部4eは、内側に向かって突出する形で成形される部分であるので、内圧が加わり易く、内層12が確実に外層11に押し付けられ、大気導入孔20を確実に塞ぐことができる。
この時、大気導入孔20の開口径dは、1.0mm~1.5mmとすることが好ましい。大気導入孔20の開口径dが1.5mmを越えると、内層12の押し付けによる大気導入孔20の閉塞が不十分になり、空気漏れが生ずるおそれがある。逆に、大気導入孔20の開口径dが1.0mm未満であると、外層11と内層12の間への空気の導入に支障をきたすおそれがある。
なお、前記大気導入孔20は、キャップ5のヒンジ5Cに対して、180°反対側の位置に形成することが好ましい。二重容器1において、内容物の吐出の際にはヒンジ5Cで連結された蓋体5Bを跳ね上げ、口部4を下に向けてスクイズを行う。この時、大気導入孔20をキャップ5のヒンジ5Cに対して180°反対側の位置に形成しておけば、大気導入孔20が口部4の下方に位置し、内容物の重力が加わりやすくなり、大気導入孔20が確実に閉塞される。
また、本実施形態の二重容器1では、口部4に形成される環状凹部4eはキャップ5によって覆われておらず、したがって、環状凹部4eに形成される大気導入孔20もキャップ5によって覆われることはない。その上で、本実施形態の二重容器1では、大気導入孔20には前記の通り弁部材(逆止弁)は設けられておらず、大気導入孔20へ大気を導入する経路にも弁を有していない。例えば、大気導入孔をキャップで覆われる位置に設け、キャップの大気導入路に弁を設けることが知られているが、このような場合にも、弁部材は設置しない。
図6は、本実施形態の二重容器1の使用形態を示すものである。なお、図6においては、キャップ5の構成は簡略化して描かれており、逆止弁51等は省略されている。二重容器1に充填される内容物Mは、例えば、マヨネーズ、ケチャップ、醤油、ポン酢、オリーブオイル、ドレッシング、とんかつ用ソース、ペースト状マスタード等である。
二重容器1の内容物Mを吐出させるには、図6(A)に示すように、口部4が下方に位置するように二重容器1を傾倒させ、二重容器1の収容部3をスクイズ(押圧)する。この時、二重容器1の内容物Mは、収容部3から口部4方向に向かって落下し、その重力が口部4近傍の内層12に加わる。また、スクイズの力も内容物Mを押圧する力として加わり、結果として内層12が内側から押圧され、外層11に密接されて大気導入孔20が密閉される。
この状態でスクイズすると、外層11と内層12の間の空気が大気導入孔20から抜けることがなく、スクイズ力が内容物Mに加わって、内容物Mがキャップ5の吐出通路55から吐出される。使用感も良好である。
吐出後は、二重容器1を正立状態に載置するが、この時には、図6(B)に示すように、内容物Mは収容部3に向かって落下し、内層12を外層11から引き剥がすように作用する。したがって、外層11に設けられた大気導入孔20は開放状態となり、外層11と内層12の間に速やかに空気が導入される。その結果、内層12は収縮したままの状態が維持され、外層11は元の形状に復元される。
以上の通り、本実施形態の二重容器1では、大気導入孔20に弁部材(逆止弁)を設けなくても、大気導入孔20の形成位置を工夫するだけで大気導入孔20に弁部材を設けた場合と遜色のない使用感を実現することができる。
以上、本発明を適用した実施形態について説明してきたが、本発明がこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
1 二重容器
2 容器本体
3 収容部
4 口部
4e 環状凹部
5 キャップ
11 外層
12 内層
20 大気導入孔
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Claims (4)
- 外層と内層とを有し、内層内に収容される内容物の減少に伴って前記内層が収縮する二重容器であって、
胴部と、胴部よりも外形寸法が小さく吐出口を有する口部とを有し、当該口部において、前記外層に弁を有していない大気導入孔が形成されていることを特徴とする二重容器。 - 前記口部には、打栓式のキャップが取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の二重容器。
- 前記大気導入孔へ大気を導入する経路に弁を有していないことを特徴とする請求項1または2記載の二重容器。
- 前記口部は環状凹部を有しており、前記大気導入孔は前記環状凹部に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の二重容器。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20231219 |