JP6609159B2 - 表皮装着部材の製造方法および端末処理装置 - Google Patents
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基材の表面を覆う表皮材の端末を、基材の表側から裏側に巻き込んで該基材の裏面に固着した表皮装着部材の製造方法であって、
巻き込み手段が備えた掛止部を、前記基材の端縁外側の外側位置から該端縁と交差して該基材の裏面に重なる巻き込み位置へ移動させる途中で、前記表皮材の端末に掛止させ、
前記巻き込み手段を前記巻き込み位置まで移動することで、前記掛止部に掛止された前記表皮材の端末を、基材の端縁から該基材の裏側へ巻き込んで引っ張った状態とし、
引っ張った状態の前記端末を、固着手段により前記基材に固着するようにし、
前記巻き込み位置まで移動した前記巻き込み手段の掛止部よりも前記基材の端縁に近い位置で、前記固着手段により前記端末を前記基材に固着するようにしたことを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、表皮材の端末を掛止部が掛止した巻き込み手段を巻き込み位置に移動させることで、基材の端縁に表皮材を巻き付ける際に該端末が引っ張られるようになり、基材の端縁に対して表皮材をしわが生じないように巻き付けることができる。また、基材の端縁への表皮材の端末の巻き付け作業を自動化することができるので、表皮材の端末の巻き付けにかかる手間を軽減することができる。しかも、巻き込み手段によって表皮材の端末を一定に引っ張ることができるので、基材の端縁に巻き付けた表皮材の仕上がり状態が安定し、得られる表皮装着部材の品質を向上することができる。更に、端末において巻き込み手段により引っ張られた部分を基材に固着するので、巻き込み手段による引っ張りが解除された後に表皮材にしわや弛みができることを防止し得る。
請求項2に係る発明によれば、表皮材の端末が巻き込み手段の移動領域に重なるように変形するので、巻き込み手段の掛止部を該端末に適切に掛止させ得る。
請求項3に係る発明によれば、端末において巻き込み手段の掛止部により直接的に引っ張られた部分を基材に固着するので、巻き込み手段による引っ張りが解除された後も該端末が引っ張られた状態に保持し得る。
請求項4に係る発明によれば、巻き込み手段を移動することで掛止部が表皮材の端末に差し込まれるので、該掛止部に該端末が適切に掛止されて滑りが生じることなく保持できる。このように、巻き込み手段を移動するだけで表皮材の端末を掛止して保持できるので、表皮材の端末の巻き付けにかかる手間を軽減することができる。
表皮装着部材を構成する基材の表側を覆う表皮材において該基材から延出する端末を、基材の表側から裏側に巻き込んで該基材の裏面に固着する端末処理装置であって、
前記基材の端縁外側の初期位置および該基材の端縁と交差して該基材の裏面に重なる巻き込み位置の間を往復移動可能に構成され、該巻き込み位置側に向いた移動方向前部に、前記表皮材の端末が掛止可能な掛止部を有する巻き込み手段と、
前記巻き込み手段により前記基材の裏側に引っ張った前記表皮材の端末を、該基材の裏面に固着する固着手段とを備え、
前記掛止部は、前記表皮材の端末に差し込み可能な尖状に形成された複数の掛止突片から構成され、
前記各掛止突片は、前記表皮材の端末の延在方向に並んで設けられていることを要旨とする。
請求項5に係る発明によれば、巻き込み手段の掛止部によって表皮材の端末を掛止して保持することができるので、基材の端縁に表皮材を巻き付ける際に該端末を引っ張ることが可能となり、基材の端縁に対して表皮材をしわや弛みが生じないように巻き付けることができる。また、巻き付け手段および固着手段により、基材の端縁への表皮材の端末の巻き付け作業を自動化されるので、表皮材の端末の巻き付けにかかる手間を軽減することができる。更に、巻き込み手段によって表皮材の端末を一定に引っ張ることができるので、基材の端縁に巻き付けた表皮材の仕上がり状態が安定し、得られる表皮装着部材の品質を向上することができる。加えて、掛止部の各掛止突片が表皮材の端末の延在方向に並んで設けられているので、巻き込み手段を移動させることで端末の幅広い領域を引っ張ることができる。また、巻き込み手段を移動するだけで表皮材の端末を掛止して保持できるので、表皮材の端末の巻き付けにかかる手間を軽減することができる。
前記設置部は、該設置部に保持させた前記表皮材の端末を、前記巻き込み手段の移動領域と重なるように変形させ得る端末姿勢調整部を備えることを要旨とする。
請求項6に係る発明によれば、端末姿勢調整部により表皮材の端末の姿勢を適切に変形させ得るので、巻き付け手段の掛止部を該端末に適切に掛止することができる。
請求項7に係る発明によれば、固着許容部を介して固着手段により表皮材の端末を基材に固着することができる。
図1(a)および図1(b)に示すように、実施例に係る車両内装部材10は、板状の基材12と、この基材12の表側を覆う表皮材16とから構成され、基材12の表面12aに表皮材16が接着剤等によって接合されている。車両内装部材10は、基材12よりも表皮材16を一回り大きく形成して、基材12の端縁13〜15から外方へ延出するように余した表皮材16の端末17,18を、端末処理装置によって基材12の裏面12bに巻き込んで該裏面12bに溶着などで固着している。これにより、車両内装部材10では、表皮材16を基材12から剥離し難くすると共に、基材12の端縁13,14を表皮材16で覆って見栄えを向上させている。
前記基材12は、図1に示すように、車両内装部材10の形状を形作ると共に該車両内装部材10の剛性を担保する硬質な板状部材であって、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂からインジェクション成形などによって所要形状に成形される。基材12は、該基材12の外縁における辺部をなし、直線または緩く湾曲する端縁(一般端縁13という)と、互いに交差する方向に延在する2つの一般端縁13,13を繋ぎ、外方へ凸となる凸状コーナー端縁14と、互いに交差する方向に延在する2つの一般端縁13,13を繋ぎ、外方から凹となる凹状コーナー端縁15とによって、その外形が多辺形状に形成されている。凸状コーナー端縁14は、一般端縁13よりも大きな曲率(一般端縁13よりも小さい曲率半径)で湾曲した部分であり、凹状コーナー端縁15は、一般端縁13よりも大きな曲率(一般端縁13よりも小さい曲率半径)で湾曲した部分である。そして、基材12は、図1において上側に位置する一般端縁13の側が裏側へ湾曲していると共に、図1において下側に位置する一般端縁13の側は平坦になっている(図1(b)参照)。また、基材12は、表皮材16が接合される表面12aが所定の意匠形状に形成される一方で、該基材12の裏面12bに、車両内装部材10を車体等に取り付けるための取付部などの各種造作物(何れも図示せず)が、前記端縁13〜15から離した位置に形成されている。
前記表皮材16は、車両内装部材10の車室側に臨む意匠面を形成する部材であって、例えば本革の風合いを出すために、弾力性を有していたり、シボ加工や擬似ステッチなどが表側に形成されることがある。実施例の表皮材16は、該表皮材16の表面を構成する柔軟な表層部と、この表層部の裏側に設けられ、弾力性を有する発泡体等からなる裏層部とを有する多層構造であり、全体として可撓性および伸縮性を有している。表層部は、ポリウレタン、オレフィン系(TPO)、塩化ビニル系またはスチレン系のエラストマー、あるいは、ポリウレタンや塩化ビニル系の合成皮革などを用いることができる。裏層部をなす発泡体としては、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系材料からなるフォーム、あるいはスチレンフォームなどを用いることができる。なお、裏層部としては、不織布や織物なども用いることができる。表皮材16は、表層部の裏側において裏層部をなす発泡体を発泡成形することで接合したり、接着剤やフレームラミネーション等で接合したりすること等によって、表層部と裏層部とが一体化される。表皮材16としては、ポリウレタン合成皮革からなる表層部に、ポリウレタンフォームからなる裏層部を積層したものが、伸縮性および弾力性に優れているので好ましい。
図2は、基材12の表面12aに貼着した表皮材16の端末17,18を処理する端末処理装置Mを示している。実施例に係る端末処理装置Mは、表皮材16および基材12を重ね合わせた状態で保持する設置台20と、一般端末処理部22およびコーナー端末処理部30とを備えている。一般端末処理部22は、表皮材16において基材12の一般端縁13より外方へ延出する端末(一般端末17という)を該一般端縁13に巻き込むものである。また、コーナー端末処理部30は、表皮材16において基材12の凸状コーナー端縁14より外方へ延出する端末(コーナー端末18という)を該凸状コーナー端縁14に巻き込むものや、表皮材16において基材12の凹状コーナー端縁15より外方へ延出するコーナー端末18を該凹状コーナー端縁15に巻き込むものである。実施例の端末処理装置Mでは、一般端末処理部22を7基を備えると共に、コーナー端末処理部30を5基備えている。なお、一般端末処理部22およびコーナー端末処理部30の配設数は、車両内装部材10の基材12の外形形状や外形サイズにより異なる。また、実施例の端末処理装置Mは、凸状コーナー端縁14の中において、角張った角部を面取りした程度の凸状コーナー端縁14a(図1参照)に対して、表皮材16のコーナー端末18を押し付ける押付けピン46を備えた押付け部45を備えている。すなわち、角張った角部を面取りした程度の凸状コーナー端縁14aは、コーナー端末処理部30による端末処理を行わないようになっている。なお、実施例では、角張った角部を面取りした程度の凸状コーナー端縁14aとは、曲率半径が10mm未満のコーナー端縁を意味する。
前記設置台20は、基材12の表面12aに重ね合わせて接合した表皮材16と該基材12とを保持する台状の受け治具であり、基材12の裏面12bを露出させた姿勢で位置規制するようになっている(図2参照)。設置台20は、基材12の外形全体(実施例)または一部範囲と相似させて、該基材12の外形より表皮材16の厚み(表皮厚)分程度大きい開口形状で凹状に形成された設置凹部21を有し、この設置凹部21に表皮材16および基材12の順に収容される。設置凹部21は、基材12と表皮材16とを重ね合わせた車両内装部材10の厚み以下の深さで凹設されている。そして、設置台20は、表側に表皮材16を重ね合わせた基材12を設置凹部21に収容した際に、基材12の端縁13〜15から外方へ延出する表皮材16の端末17,18を、設置凹部21の内周壁(端末姿勢調整部)21aによって該端縁13,14に沿って変形させるようになっている。そして、設置凹部21の内周壁21aにより変形したコーナー端末18は、コーナー端末処理部30における巻き込み手段32の移動領域と重なるようになっている。
図2および図3に示すように、前記一般端末処理部22は、平板状の巻き込み体24と、この巻き込み体24を往復移動するシリンダ等のアクチュエータからなる一般駆動部26とを有している。一般端末処理部22は、対応の一般端縁13より外方へ延出する表皮材16の一般端末17を巻き込み体24で押して、該一般端縁13を支点として基材12の裏面12bに巻き込むよう構成される。巻き込み体24は、表皮材16の一般端末17を押す当接縁24aが、基材12における対応の一般端縁13の延在形状に合わせて形成されると共に、その板面が基材12の裏面12bと並行するように配置されている。巻き込み体24は、一般駆動部26の駆動により、その全体が設置凹部21の外側(設置凹部21に設置された基材12の対応する一般端縁13の外側)に退避した後退位置(図2参照)と、設置凹部21の開口内側(設置凹部21に設置された基材12の裏面12b)に重なる前進位置(図3参照)との間でスライド移動するよう構成される。巻き込み体24は、基材12の裏面12bから表皮厚程度離間する位置を、基材12の裏面12bに沿って平行に移動し、前記前進位置において、設置凹部21に設置された基材12の裏面12bと相対して、該基材12の裏面12bとの間に一般端末17を挟み込むようになっている。
図2、図4および図5に示すように、前記コーナー端末処理部30は、表皮材16のコーナー端末18に掛止する掛止部34を有する巻き込み手段32と、この巻き込み手段32を往復移動するシリンダ等のアクチュエータからなる巻き込み駆動手段38とを備えている。また、コーナー端末処理部30は、基材12の裏面12bに巻き込まれたコーナー端末18を該基材12の裏面12bに固着する固着手段40を備えている。コーナー端末処理部30は、コーナー端末18に掛止部34に掛止して、該コーナー端末18を基材12の裏側に折り返した状態で引っ張り、引っ張った状態のコーナー端末18を固着手段40の固着部41で基材12の裏面12bに固着するよう構成される。なお、凸状コーナー端縁14にコーナー端末18を巻き込むコーナー端末処理部30と、凹状コーナー端縁15にコーナー端末18を巻き込むコーナー端末処理部30は、巻き込み手段32の形状やサイズが異なる場合があるが、基本的な構造は同じである。
図2、図4および図5に示すように、コーナー端末処理部30の前記巻き込み手段32は、平板状に構成されて、巻き込み駆動手段38のロッドに連結された支持部材37に固定されており、該巻き込み手段32の裏面が基材12の裏面12bに向いた姿勢で配置されている。巻き込み手段32は、巻き込み対象のコーナー端末18の長さに応じて幅寸法が設定されている。また、巻き込み手段32は、巻き込み駆動手段38のロッド進退作動に基づいて、基材12の端縁における凸状コーナー端縁14(または凹状コーナー端縁15)の外側位置(設置凹部21にセットした基材12から外れた位置)(図5(a)、図6(a)、図7(a)参照)と、該外側位置から凸状コーナー端縁14(または凹状コーナー端縁15)と交差して基材12の裏側に延出した(基材12と重なった)巻き込み位置(図4(b)、図6(b)、図7(b)参照)との間で、基材12の裏面12bに沿って往復移動するよう構成される。そして、巻き込み手段32は、前記外側位置では掛止部34の先端が設置凹部21の外側に退避して、設置凹部21の開口縁から立ち上がるコーナー端末18に該掛止部34の先端が相対するようになっている。また、巻き込み手段32は、前記外側位置から巻き込み方向前側に移動することで、掛止部34が設置凹部21の開口内側に位置して、該設置凹部21に設置された基材12の裏面12bに重なるようになっている。このように、実施例の巻き込み手段32は、該巻き込み手段32の移動につれて、巻き込み手段32に形成された掛止部34が巻き込み方向の前後に移動するよう構成されている。
図2〜図4に示すように、前記掛止部34は、巻き込み手段32の移動方向前部において、該移動方向前方へ突出した複数(実施例ては9つ)の掛止突片35から構成されており、所要の掛止幅でコーナー端末18に掛止するようになっている。各掛止突片35は、前方にいくにつれて先細となると共に前端が尖った形状に形成されており、巻き込み手段32の前部に横並びに設けられている。掛止突片35は、巻き込み手段32の移動方向と交差する方向でかつ基材12の端縁に沿うコーナー端末18の延在方向に並んで設けられている。すなわち、掛止部34は、複数の掛止突片35が並んで設けられていることで鋸刃状に構成されており、各掛止突片35は、その尖端が表皮材16のコーナー端末18に接触した際に、該コーナー端末18に差し込まれ易くなっている。実施例では、各掛止突片35が、前方が尖った四角錐形状に形成されており、前方にいくにつれて基材12の側へ傾斜した傾斜面35aが形成されている。
図4および図5に示すように、前記巻き込み手段32は、該巻き込み手段32の表裏方向(厚み方向)に開口する挿通口(固着許容部)36が形成されている。この挿通口36は、前記巻き込み位置に向けた巻き込み手段32の移動方向における掛止部34の後側に設けられている。そして、挿通口36は、巻き込み手段32が巻き込み位置において、設置部20の設置凹部21と前後に重なる位置に形成されている。すなわち、巻き込み手段32により基材12の裏側へ巻き込まれたコーナー端末18は、挿通口36に臨む位置において、該巻き込み手段32の表面側へ露出するようになる。そして、挿通口36は、前記固着手段40の固着部41の挿入を許容する開口寸法に形成されている。従って、固着手段40の固着部41は、巻き込み手段32の表側から挿通口36へ挿入した際に、該巻き込み手段32により巻き込まれて引っ張られている表皮材16のコーナー端末18において、掛止部34と凸状コーナー端縁14との間の部分に対向可能となっており、該固着部41により該コーナー端末18を基材12の裏面12bに固着することが可能となっている。すなわち、コーナー端末18において、前記掛止部34よる掛止位置よりも基材12の凸状コーナー端縁18に近い位置で、かつ所要の掛止幅で該コーナー端末18に掛止する該掛止部34の一方端から他方端までの間に位置する部分で、固着手段40の固着部41により該コーナー端末18を基材12に固着可能となっている。そして、実施例では、固着手段40の固着部41が、断面形状が円形の丸棒形態に構成されていることに伴い、挿通口36は、該固着部41の外径より大径の円形に開口形成されている。すなわち、固着手段40は、固着部41に超音波振動を発生させるものであるので、挿通口36は、少なくとも固着部41の超音波振動を阻害しない開口形状、開口寸法となっている。
図4に示すように、前記固着手段40は、前記挿通口36を介して差し込み可能な固着部41を有している。固着部41は、先端(下端)が平坦に形成された丸棒状に形成されて、前記巻き込み手段32の挿通口36に挿入可能になっていると共に、振動付与部(図示せず)により微細な振動(超音波振動)が付与されるようになっている。これにより、巻き込み位置に前進させた巻き込み手段32の掛止部34でコーナー端末18を保持した状態で、挿通口36に挿入して該コーナー端末18に先端を押し付けた固着部41を超音波振動させることで、該コーナー端末18を基材12の裏面12bに溶着することが可能となっている。固着手段40は、ロボットアーム等の移動機構によって、固着部41を三次元的に移動し得るように構成される。
図2に示した前記押付け部45は、押付けピン46と、この押付けピン46を往復移動するシリンダ等のアクチュエータからなる押付け駆動手段47とを備えている。押付け部45は、対応の凸状コーナー端縁14aを挟む両側の一般端縁13,13に対して一般端末17,17を巻き込むに先立ち、基材12の凸状コーナー端縁14に対してコーナー端末18を押付けピン46で押付けるためのものである。すなわち、押付け駆動手段47の作動により、押付けピン46の先端によりコーナー端末18を凸状コーナー端縁14aへ押付けることで、一般端縁13,13に対して一般端末17,17を巻き込む際に、コーナー端末18が凸状コーナー端縁14から外方へ膨出して角張ってしまうことを防止し得る。また、押付けピン46でコーナー端末18を凸状コーナー端縁14へ押付けることで、一般端縁13,13に対して一般端末17,17を巻き込む際に、コーナー端末18にしわや弛みが生じることも防止し得る。なお、押付けピン46の押付けは、一般端縁13,13に対する一般端末17,17の巻き込み作業の開始前から終了時点に亘って行われる。
次に、前述のように構成された端末処理装置Mを用いて、基材12に表皮材16を巻き付けて車両内装部材10を製造する方法について説明する。
先ず、表皮材16および基材12を、設置台20の設置凹部21にセットする。ここで、表面12aに表皮材16を接着剤等により貼り付けた基材12を、該基材12の裏面12bが外側に臨むように設置凹部21に設置しても、表皮材16を設置凹部21に設置した後に、表皮材16の裏面または/および基材12の表面12aに接着剤等を塗布して、基材12を表皮材16の裏面に重ね合わせて設置凹部21に設置してもよい。このように、基材12と表皮材16とを設置凹部21に設置する前に予め接合してもよいし、基材12と表皮材16とを設置凹部21で接合してもよい。表皮材16および基材12を設置凹部21に設置することで、基材12の外形に合わせて開口するよう形成された設置凹部21の内周壁21aによって、基材12の端縁13〜15から延出する表皮材16の端末17,18の姿勢が規定される。そして、コーナー端末18においては、コーナー端末処理部30の巻き込み手段32の移動領域と重なる向きとなる(図6(a)、図7(a)参照)。
端末の巻き込み処理は、先ず、一般端末処理部22によって一般端末17から行われる。すなわち、図3に示すように、夫々の一般端末処理部22において、一般駆動部26の駆動により後退位置に退避している巻き込み体24を前進位置に向けて前進することで、一般端末17を巻き込み体24の当接縁24aで押して基材12の裏面12bに折り返す。そして、更に巻き込み体24を前進することで、一般端末17を基材12の裏面12bと巻き込み体24との間に挟み込ませる。巻き込み体24が前進位置に到達すると、一般駆動部26を駆動停止し、接合手段における棒状の接合部を巻き込み体24の固着口25から挿入し、固着口25に臨む一般端末17に接合部を押し当てて超音波溶着を行うことで、一般端末17を基材12の裏面12bに溶着する。超音波溶着を固着口25の夫々を介して行うことで、一般端末17の延出端側を一般端縁13に沿った複数箇所で固着する。このように、巻き込み体24と基材12とで一般端末17を挟み込んだ状態で溶着作業が行われるので、一般端縁13においてしわが生じないように一般端末17を巻き付けることができ、基材12の裏側において一般端末17の浮き上がりを防止することができる。
次に、図6および図7に示すように、各コーナー端末処理部30によってコーナー端末18の巻き込み処理が夫々行われる。外側位置に退避している巻き込み手段32(図6(a)、図7(a)参照)を、巻き込み駆動手段38によって巻き込み位置に向けて前進移動を開始すると、移動途中の適宜タイミングで、凸状コーナー端縁14または凹状コーナー端縁15に立ち上がっているコーナー端末18に、掛止部34の各掛止突片35が接触して引っ掛かるようになる。そして、巻き込み手段32を巻き込み位置に向けて更に前進移動させると、掛止部34の各掛止突片35がコーナー端末18に差し込まれる。掛止部34に掛止されたコーナー端末18は、巻き込み手段32が巻き込み位置に近づくように前進移動することで、基材12の裏側へ引っ張られる。
前述した実施例の構成に限定されず、例えば以下のようにも変更可能である。
(1)掛止部は、表皮材の端末を滑りが生じることなく掛止して引っ張ることができる構成であれば、実施例の構成に限定されず、針またはピン状の掛止手段等、適宜の構成を採用し得る。また、掛止部を構成する掛止突片の数は、巻き込み手段の横幅やサイズに応じて適宜変更し得る。
(2)実施例では、平板状の巻き込み手段を例に挙げて説明したが、掛止部が設けられていれば、巻き込み手段の形状は特に平板状に限定されない。
(3)巻き込み手段の移動方向は、凸状コーナー端縁または凹状コーナー端縁の形状やコーナー端末の形状、隣接する巻き込み手段との配置関係に応じて、適宜調整することができる。
(4)実施例では、表皮材のコーナー端末を基材のコーナー端縁に巻き込むコーナー端末処理部の巻き込み手段に掛止部を設けた形態を例示したが、表皮材の一般端末を基材の一般端縁に巻き込む一般端末処理部の巻き込み手段に、表皮材の端末に掛止可能な掛止部を設けて、該巻き込み体の移動に伴って一般端末を引っ張るようにしてもよい。
(5)コーナー端末処理部は、基材における1つの凸状コーナー端縁に対して複数配置するようにしてもよい。この場合には、凸状コーナー端縁の形状に合わせて、各コーナー端末処理部における巻き込み手段の巻き込みラインの向きが異なる(非平行となる)ように、各コーナー端末処理部を配置してもよい。また、コーナー端末処理部は、コーナー端末に隣接した位置に配設してもよい。
(6)巻き込み手段に設けられる干渉回避部は、固着手段の固着部を差し込み可能であれば円形に限らず、矩形状や楕円形状等であってもよい。また、巻き込み手段のサイズが大きい場合には、複数の装着口を形成してもよい。
(7)巻き込み手段に設けられる干渉回避部は、該巻き込み手段の表裏に開口した貫通口に限らず、該巻き込み手段の外縁に開口する凹部であってもよい。
(8)巻き込み手段により引っ張った状態の端末を、固着手段により基材に固着する位置は、該巻き込み手段の掛止部と基材の端末との間に限らず、該巻き込み手段の周辺部分であってもよい。
(9)表皮材の端末を基材に固着する固着手段は、超音波溶着に限るものではなく、ヒータ等の加熱手段を備えて、表皮材の端末と基材とを熱溶着するものや、鈎状の針を打ち込むタッカー等であってもよい。なお、針の形状は鈎状に限られず、例えば、鋲のような形状であってもよい。
(10)固着手段は、各コーナー端末処理部に夫々設けてもよく、複数のコーナー端末処理部で1つの固着手段を共用してもよい。また、一般処理部において、接合手段としてコーナー端末処理部の固着手段を共用してもよい。
(11)実施例では、表層部と裏層部とを有する積層構造の表皮材を例に挙げて説明したが、裏層部のない表皮材であってもよい。
(12)実施例では、端末にスリットのない表皮材を用いたが、一般端末にスリットを設けたり、コーナー端末にスリットを設けたり、コーナー端末と一般端末との境界にスリットを設けた表皮材を用いてもよい。
(13)本願が対象とする表皮装着部材は、実施例で例示した車両内装部材に限らず、椅子やテーブル等の家具や装飾品等、基材に表皮材を装着すると共に該表皮の端末を該基材の裏側へ巻き込むようにした部材の全てが対象とされる。
16 表皮材,17 一般端末(端末),18 コーナー端末(端末),21a 端末姿勢調整部
32 巻き込み手段,34 掛止部,35 掛止突片,36 挿通口(固着許容部)
40 固着手段
Claims (7)
- 基材の表面を覆う表皮材の端末を、基材の表側から裏側に巻き込んで該基材の裏面に固着した表皮装着部材の製造方法であって、
巻き込み手段が備えた掛止部を、前記基材の端縁外側の外側位置から該端縁と交差して該基材の裏面に重なる巻き込み位置へ移動させる途中で、前記表皮材の端末に掛止させ、
前記巻き込み手段を前記巻き込み位置まで移動することで、前記掛止部に掛止された前記表皮材の端末を、基材の端縁から該基材の裏側へ巻き込んで引っ張った状態とし、
引っ張った状態の前記端末を、固着手段により前記基材に固着するようにし、
前記巻き込み位置まで移動した前記巻き込み手段の掛止部よりも前記基材の端縁に近い位置で、前記固着手段により前記端末を前記基材に固着するようにした
ことを特徴とする表皮装着部材の製造方法。 - 前記巻き込み手段を前記巻き込み位置に向けて移動させる前に、前記基材の端縁から外側へ延出している前記端末を、該巻き込み手段の移動領域と重なるように変形させる請求項1記載の表皮装着部材の製造方法。
- 前記表皮材の端末において、前記掛止部による掛止位置よりも前記基材の端縁に近い位置で、かつ所要の掛止幅で該端末に掛止する該掛止部の一方端から他方端までの間に位置する部分で、固着手段により該端末を前記基材に固着する請求項1記載の表皮装着部材の製造方法。
- 前記巻き込み手段を前記初期位置から巻き込み位置へ移動する途中で、該巻き込み手段の移動方向前部に形成された前記掛止部を、前記表皮材の端末に差し込ませることで、該端末を該掛止部に掛止するようにした請求項1〜3の何れか一項に記載の表皮装着部材の製造方法。
- 表皮装着部材を構成する基材の表側を覆う表皮材において該基材から延出する端末を、基材の表側から裏側に巻き込んで該基材の裏面に固着する端末処理装置であって、
前記基材の端縁外側の初期位置および該基材の端縁と交差して該基材の裏面に重なる巻き込み位置の間を往復移動可能に構成され、該巻き込み位置側に向いた移動方向前部に、前記表皮材の端末が掛止可能な掛止部を有する巻き込み手段と、
前記巻き込み手段により前記基材の裏側に引っ張った前記表皮材の端末を、該基材の裏面に固着する固着手段とを備え、
前記掛止部は、前記表皮材の端末に差し込み可能な尖状に形成された複数の掛止突片から構成され、
前記各掛止突片は、前記表皮材の端末の延在方向に並んで設けられている
ことを特徴とする端末処理装置。 - 前記巻き込み手段が配設されると共に、前記基材および前記表皮材を着脱可能に保持可能な設置部を備え、
前記設置部は、該設置部に保持させた前記表皮材の端末を、前記巻き込み手段の移動領域と重なるように変形させ得る端末姿勢調整部を備える請求項5記載の端末処理装置。 - 前記巻き込み手段は、前記巻き込み位置に向けた移動方向における前記掛止部の後側に、前記固着手段が前記端末に対向することを許容する固着許容部を備えた請求項5または6記載の端末処理装置。
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