以下に、本発明の実施形態に係る施肥作業機を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、施肥作業機を施肥装置を搭載した乗用型の苗移植機としている。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
図1は、実施形態に係る苗移植機を示す側面図、図2は、同苗移植機を示す平面図、図3は、同苗移植機を示す一部省略した正面図である。なお、以下においては、苗移植機を8条植とするとともに、苗移植機を指して機体と記す場合がある。また、実施形態中、前後、左右の方向を規定するに際し、操縦座席31からみて走行車体2の走行方向を基準とする。
図1および図2に示すように、実施形態に係る苗移植機は、走行車体2の後側に昇降リンク機構3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側には施肥装置100の本体部分が設けられる。
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10および左右一対の後輪11を備えた四輪駆動車両である。機体の前部にはミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13が設けられる。そして、かかる左右の前輪ファイナルケース13の操向方向を変更可能な前輪支持部からそれぞれ外向きに突出する左右の前車軸10aに前輪10がそれぞれ取り付けられる。
また、ミッションケース12の背面部にはメインフレーム15の前端部が固着される。メインフレーム15の後部の左右両側には後輪ギアケース18L,18Rが設けられ、後輪ギアケース18L,18Rからそれぞれ外向きに突出する左右の後車軸18aに後輪11が各々取り付けられる。なお、後輪11は、前輪10よりも大径である。
前輪10および後輪11は、金属製のホイールにゴムや合成樹脂をコーティングするか、あるいは空気の代わりにゴムや合成樹脂を封入して形成するソリッドタイヤであり、パンクしない構成である。あるいは、リムやラグも金属で一体成形した、あるいは複数の金属部品を組み合わせた金属タイヤを用いてもよい。タイヤ全体を金属とすることにより、耐久性が大きく向上する。
また、メインフレーム15の上にはエンジン20が搭載される。エンジン20はガソリン機関、ディーゼル機関が一般的であるが、ガスタービン等を用いてもよい。かかるエンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21およびHST(Hydro Static Transmission)と呼ばれる油圧無段変速装置23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、ミッションケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。
また、ミッションケース12に伝達された回転動力から分離して取り出される外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達される。そして、かかる植付クラッチケース25から植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝達される。
また、エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に操縦座席31が設置される。操縦座席31の前方には各種操作機構を備えるボンネット32が設けられ、その上部に前輪10を操舵する操縦ハンドル34が設けられる。
メインフレーム15の機体前側で、且つバンパー15aの後側には、燃料を貯留する燃料タンク33が設けられる。燃料タンク33には、エンジン20に対応する燃料、例えばガソリン、軽油等を貯留する。
エンジンカバー30およびボンネット32の下部における左右両側は、略水平なフロアステップ35が形成されている。フロアステップ35には、図2に示すように、一部格子部35aが形成されており、フロアステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下する構成となっている。
また、フロアステップ35は、その左右両側部分には、図1に示すように、操縦座席31の後部近傍から走行車体2の後方側にかけて斜め上方へ傾斜する傾斜フロア351に連続するように、後輪11の上方に突出するように形成された左右の後部ステップ352が形成される。
苗植付部4を昇降させる昇降リンク機構3は、平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。上リンク40および下リンク41は、それらの基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、先端側には縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に、苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結される。
メインフレーム15に設けたシリンダ支持部材(不図示)と上リンク40に一体形成したスイングアーム(不図示)の先端部との間に昇降油圧シリンダ46が設けられる。かかる昇降油圧シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢を保持したまま昇降する。
苗植付部4は、前述したように8条植の構成であり、フレームを兼ねる植付伝動ケース50と、苗載せ台51と、植付装置52等を備えている。苗載せ台51は、マット苗(不図示)を載せて左右往復動し苗を一株分ずつ各条の苗取出口51a(図2参照)に供給するとともに、横一列分の苗を全て苗取出口51aに供給すると、苗送りベルト51bにより苗を下方に移送する。植付装置52は、苗取出口51aに供給された苗を苗植付具52aによって圃場に植付ける。なお、苗植付具52aは、1条に付き2つ設けられ、回転ケースに装着されて交互に苗を取って圃場に植え付けることができる。
図2に示すように、苗植付部4の下部には中央にセンターフロート55と、左右のサイドフロート56と、該左右のサイドフロート56よりも機体外側のアウタフロート57が各々回動可能に設けられる。これらフロート55,56,57を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55,56,57が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に植付装置52により苗が植え付けられる。
また、苗植付部4の下部には、苗の植付深さを安定させるために、圃場面の凸凹を均す整地ロータ27,27が設けられる。整地ロータ27は、機体左右一側の後輪ギアケース18Lの機体内側で、且つ後車軸18aよりも機体上側に基部側が配置されるロータ伝動軸28から駆動力を受けて回転するものであり、土質が硬い圃場であっても凸凹を均すことが可能である。
操縦座席31の後方には施肥装置100が設けられる。施肥装置100は、左側肥料ホッパ60Lと、右側肥料ホッパ60Rとに一定の隙間を空けて分離された肥料ホッパと、繰出部61と、施肥ホース62と、施肥ガイド63とを備える。
そして、左右肥料ホッパ60L,60Rに貯留されている粒状の肥料を、各苗植付条毎に設けられている繰出部61によって一定量ずつ繰り出すことができる。繰り出した肥料は、施肥ホース62でセンターフロート55、サイドフロート56およびアウタフロート57の左右両側に取り付けた施肥ガイド63まで導かれる。そして、施肥ガイド63の前側に設けた作溝体64により、苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落とし込むことができる。
また、施肥装置100は、ブロア用モータ66(図4参照)とブロア67とエアダクト68とを備える。そして、ブロア67で発生させたエアが、左右方向に長いエアダクト68を経由して施肥ホース62に吹き込まれ、施肥ホース62内の肥料を風圧で強制的に搬送することができる。
図4は、コントローラ210を中心としたブロック図である。本実施形態におけるコントローラ210は、図1および図2に示すように、走行車体2のボンネット32内に設けられる。また、コントローラ210は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)を有し、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより、苗移植機の各部を制御する。
図4に示すように、本実施形態に係る苗移植機は、操舵装置110およびGPS(Global Positioning System)受信機710を備える。
GPS受信機710は、図1および図2に示すように、ボンネット32の左右中央上部に設けられる。その受信信号は、コントローラ210へ送られ、コントローラ210は、位置情報に基いて、操舵装置110の操舵モータ111を制御し、直進姿勢を維持する自動操舵走行を実行する。
また、苗移植機は、図1および図2に示すように、ボンネット32に設けられた変速レバー321や副変速レバー322など含む各種操作レバーを備えている。これらは、図4に示すレバーポテンショメータ205を介してコントローラ210に接続される。すなわち、各種操作レバーの操作角度をレバーポテンショメータ205で検出し、これをコントローラ210に発信することにより、各種操作が行われる。例えば、変速レバー321であれば、HSTサーボモータ22を作動させて油圧式無段変速機(HST)23の出力を変更する。なお、各種操作レバーは、レバーポテンショメータ205を用いることなく、各種アクチュエータとの間を適宜の機械的連動機構を介して接続してもよい。
また、苗移植機は、圃場深さの変化によるセンターフロート55の回動量を検出するフロートセンサ58を備えている。すなわち、センターフロート55(図1および図2)に設けられたフロートセンサ58からの検出値に基づいて、コントローラ210により苗植付部4の作業高さを自動的に調節することができる。
フロートセンサ58が、センターフロート55の角度変化を検出すると、コントローラ210は圃場の深さが変化したと判断する。そして、コントローラ210は、検出された角度に合わせて苗植付部4等の作業装置の作業高さが適切な高さとなるように昇降油圧シリンダ46を伸縮させ、苗植付部4の作業高さを自動的に調節する。
なお、フロートセンサ58の検出値は、センターフロート55が圃場面に略水平姿勢で接地するときを0度としている。そして、検出値が仰角方向(上方)であるときは、コントローラ210は、圃場深さが浅くなり、苗植付部4と圃場面の間隔が狭くなったと判断し、昇降油圧シリンダ46を収縮させて苗植付部4を上昇させ、苗の植付深さが深くなり過ぎることを防止する。一方、検出値が俯角方向(下方)であるときは、コントローラ210は、圃場深さが深くなり、苗植付部4と圃場面の間隔が広くなったと判断し、昇降油圧シリンダ46を伸張させて苗植付部4を下降させ、苗の植付深さが浅くなり過ぎることを防止する。
また、苗移植機は肥料濃度センサ700を備える。肥料濃度センサ700は、図1に示すように、左右の前輪10それぞれに設けられており、左右の前輪10間の肥料濃度を検知する。かかる肥料濃度センサ700は、環状の電極板で構成され、前輪10の機体内側または外側で、且つ土壌や水中に近い外周縁部付近に配置される。
また、苗移植機は、圃場の深度を検出する深度センサ720を備える。深度センサ720は、図1〜図3に示すように、左右の予備苗枠38を各々支持する左右の苗枠フレーム38aに設けられた取付アーム721の前端部に各々設けられる。
かかる深度センサ720は、超音波やレーザー光の反射により水面、または土壌表面までの深さを測定するものである。なお、深度センサ720は、圃場水面からの反射波を検出しているため、水面が高いほど反射時間は短くなり、コントローラ210は深度が「深い」と判定する。しかし、水面と深度センサ720との距離は、波などの影響を受けて変動するため、その影響を可及的に排除するために、ここでは、0.01秒ごとに20個の検出値を取得し、その中で最大値とその次に大きな値、および最小値とその次に小さな値の4つを捨て、残りの16の検出値の平均を用いて深度を検出している。
また、苗移植機は、左右の後輪11の回転パルスを検出する左右の後輪回転センサ730を備える。コントローラ210は、後輪回転センサ730の検出値から走行車体2の移動距離、および走行速度を算出する。
また、図示するように、操舵装置110には、操縦ハンドル34の操作角度を検知するハンドルポテンショメータ112が設けられる。
すなわち、ハンドルポテンショメータ112が旋回開始角度を検知すると、コントローラ210は、昇降油圧シリンダ46を収縮させて苗植付部4を上昇させるとともに、植付クラッチ(不図示)を切状態にする。これと同時に、左右の後輪回転センサ730の回転数の記録を開始する。なお、旋回内側の後輪11への伝動は、操縦ハンドル34の操作に連動してミッションケース12内のサイドクラッチ機構(不図示)が切状態になることで遮断されるので、旋回外側と旋回内側の後輪回転センサ730の回転数の差が大きくなる。これにより、コントローラ210は、旋回方向を判定することもできる。
そして、旋回内側の後輪回転センサ730の回転パルスが所定値に到達すると、コントローラ210は昇降油圧シリンダ46を伸張させて苗植付部4を下降させる。さらに、苗植付部4の下降後の回転パルスが所定値に到達すると、コントローラ210は植付クラッチを入状態にする。これにより、旋回連動制御が構成される。
このように、本実施形態に係る苗移植機では、旋回時は操縦ハンドル34の操作だけで苗植付部4の昇降と植付クラッチ24の入切操作ができるので、作業者は旋回操作に集中することができ、操作性が向上する。
また、後輪回転センサ730の検出パルスにより苗植付部4の下降、および植付クラッチ24の入操作が自動的に行われるので、植付作業の開始位置を植付作業の終了位置に揃えることができ、作業精度が向上する。
なお、上記の旋回連動制御は、例えばボンネット32に設ける連動入切スイッチ(不図示)によって入切可能とすることができる。
また、本実施形態に係る苗移植機は、図2および図3に示すように、走行車体2の前部左右両側には補給用の苗を載せておく左右一対の予備苗枠38が設けられる。図3に示すように、右側の予備苗枠38の下部には、予備苗枠38から独立して回動する資材搬送装置600がさらに設けられる。資材搬送装置600は、肥料袋等の作業資材を機外から積み込み、走行車体2側に移動させることができるもので、右側に限らず左側、あるいは両側に設けてもよい。
かかる資材搬送装置600は、苗枠フレーム38a上に回動可能に設ける第1回動アーム601と、第1回動アーム601に回動自在に設ける第2回動アーム602と、第2回動アーム602の端部に回動自在に設ける資材載置台603で構成する。
かかる資材搬送装置600を使用するときは、第1回動アーム601および第2回動アーム602を回動させて機体前側に突出させると、資材載置台603が走行車体2よりも機体前側に突出するので、圃場外から容易に肥料袋等の作業資材を載置することができる。そして、かかる状態で第1回動アーム601を機体後方に向かって回動させると、資材載置台603は円弧を描いて機体側方に突出し、走行車体2の上方まで移動する。このとき、資材載置台603は左右の肥料ホッパ60L,60R、および苗植付部4の上部に接近するので、肥料や苗の補充を行う際、作業者が肥料袋や苗を持って移動する距離が短くなり、作業者の労力が軽減されるとともに、作業能率が向上する。
一方、資材搬送装置600を収納するときは、第1回動アーム601を機体後方に向かって回動させるとともに、第2回動アーム602を機体前側に向かって回動させる。これにより、資材載置台603が予備苗枠38の下方に位置するので、収納時等に資材搬送装置600が機体外側や機体前側に突出することが防止され、周囲との接触で資材搬送装置600が破損することが防止される。
なお、左右一側に資材搬送装置600を設けるとき、反対側の予備苗枠38の下部には、作業資材や苗を積載する補助載置台610を設けることができる(図1参照)。本実施形態では、左側の予備苗枠38の下部に補助載置台610が設けられる。
また、図1および図2に示すように、走行車体2の前側左右両側で、且つ左右の予備苗枠38よりも機体後側に、圃場に直進の目安となるガイド線を形成する左右の線引マーカ16が各々設けられる(図3では図示省略)。左右の線引マーカ16は、圃場に接触する水車マーカ16aと、水車マーカ16aを装着するガイドロッド16bと、ガイドロッド16bを機体外側および内側に回動させるマーカ回動モータ16cで構成される。
左右の線引マーカ16は、植付作業中は左右一側が下降して作業状態になると左右他側が上方に退避し、旋回走行すると左右一側が上方に退避し、左右他側が作業状態になる制御構成とする。旋回時や植付作業をしていないときは、左右の線引マーカ16のいずれも上方に退避した状態になる。左右の線引マーカ16が形成したガイド線に、走行車体2の前端部で且つ左右中央に設けたセンターマスコット17を合わせることで、前の作業位置に沿った植付作業を行なうことができるので、作業能率や植付精度が向上する。
なお、圃場の土質によっては、左右の線引マーカ16により形成したガイド線がすぐに埋もれてしまい、直進の目安が消えてしまうことがある。このとき、左右の線引マーカ16よりも機体後側に設ける左右のサイドマーカ19を機体外側方向に移動させ、植え付けられた苗の上方に該サイドマーカ19を位置させることで、前の作業条の苗の植え付けに合わせた植付作業が可能になる。
上述した構成を有する本実施形態に係る苗移植機において、要部となるバイザ部500について説明する。すなわち、苗移植機は、作業者が雨や日光に晒されずに作業が行え、施肥装置100で用いる肥料が雨に濡れることのないように、図1〜図3に示すように、バイザ520を取付可能としたバイザ部500を備える。バイザ520は、広げたりすぼめたりすることができるパラソル型に形成され、パラソル軸510を、バイザ保持部560を構成する支持筒540に挿脱自在に取り付けることができる。なお、バイザ520は、少なくとも作業者および施肥装置100の肥料ホッパを覆えるだけの大きさにしている。
以下、第1の実施形態に係るバイザ部500について、図1〜図3、および図5〜図7を参照しながら具体的に説明する。図5は、バイザ支持フレーム530の説明図、図6は、バイザ取付具570を示す説明図、図7は、バイザ支持フレーム530の走行車体2への取付構造を示す説明図である。
バイザ部500は、図1および図2に示すように、操縦座席31と施肥装置100との間に設けられた正面視で門型のバイザ支持フレーム530と、バイザ520を着脱自在かつ上下移動自在に保持するバイザ保持部材560を備える。
バイザ支持フレーム530は、パイプ材により形成されており、略垂直方向に延在する左右の直立部531と、この直立部531から斜め上方へ延在する傾斜部532と、左右の傾斜部532,532の先端同士を結ぶ略水平方向に延在する水平部533とを有する。
バイザ保持部材560は、バイザ支持フレーム530の左右中央部、すなわち水平部533の略中央位置に設けられる。バイザ保持部材560は、パラソル軸510を挿入する筒状取付部540と、この筒状取付部540に挿入されたパラソル軸510を固定するためのネジ状のバイザ固定具570と、このバイザ固定具570が螺合するナット部材580とを有する。
バイザ固定具570は、図6に示すように、雄ネジが形成されたボルト部571の一端に把持部572が連接されている。かかるバイザ固定具570を螺合するナット部材580は、内周面に雌ネジが形成されており、筒状取付部540の周壁に形成した内部連通孔に端部開口が連通するように、筒状取付部540の外周面に固着されている。
また、筒状取付部540は、バイザ520の取付高さが可変となるように、パラソル軸510の挿通長さが適宜変更できるだけの長さに形成され、バイザ支持フレーム530の水平部533に補強部材550,550を介して固着されている。
こうして、筒状取付部540にパラソル軸510を挿通し、適宜長さに合わせた位置で、バイザ固定具570を回して締め込み固定すれば、所望する高さ位置になるようにバイザ520を取り付けることができる。
また、バイザ支持フレーム530を走行車体2に取り付けるために、本実施形態に係る苗移植機では、走行車体2の左右両側に設けられた左右の乗降ステップ151,151に、バイザ支持フレーム530の左右両端部をそれぞれ連結している。さらに、走行車体2上の左右には車体側取付ステー355,355を設け、バイザ支持フレーム530の上下方向における左右中間部を、かかる左右の取付ステー355,355にそれぞれ連結している。
より具体的に説明すると、図5に示すように、乗降ステップ151は、基端を走行車体2側に連結したステップ取付ステー153の先端側に取り付けるとともに、後部には延長ステップ152を連接している。すなわち、本実施形態では、乗降ステップ151としては延長ステップ152を含む構成としている。かかる延長ステップ152の後端部に、バイザ支持フレーム530の直立部531の基端を固着している。図中、符号534で示す部材は、延長ステップ152と直立部531との間に設けられる補強部材である。
また、直立部531の上部側、すなわちバイザ支持フレーム530の全体における上下方向における中間部に、フレーム側取付ステー590を取り付けている。かかるフレーム側取付ステー590を、後輪11の上方に突出するように走行車体2に形成された左右の後部ステップ352にボルト356で固設された車体側取付ステー355に連結し、バイザ支持フレーム530を固定している。なお、車体側取付ステー355は、ボルト356による固定ではなく、溶接などであっても構わない。
また、車体側取付ステー355は、強度の向上を図るため、平板状のプレートではなく、例えばL字形状に形成したもの、あるいは断面コ字形状としたものや適宜補強リブなどを設けたものとしておくことが好ましい。また、車体側取付ステー355の長さによっては、フレーム側取付ステー590は無くても構わない。
このように、本実施形態に係るバイザ支持フレーム530は、門型に形成されているため、施肥装置100への肥料補充等の作業は妨げられることはなく、作業能率を阻害するおそれはない。そして、バイザ支持フレーム530が走行車体2の左右両側に強固に支持されるため、走行車体2の強度メンバーにもなり、走行車体2の強度向上を図ることができる。
また、バイザ支持フレーム530は、操縦座席31と施肥装置100との前後間に位置させたため、バイザ520を過度に大きくしなくても操縦座席31と施肥装置100の上方を覆うことができる。そのため、最小限の大きさであっても、雨により肥料が塊になることや、日光により作業者が余分な労力を費やしてしまうことを防止することができる。
また、上述したように、バイザ支持フレーム530を乗降ステップ151と左右の車体側取付ステー355と連結したことにより、バイザ支持フレーム530の支持強度が向上し、風等の影響でバイザ支持フレーム530が変形することが防止される。しかも、乗降ステップ151に延長ステップ152を備えるため、作業者が足を乗せる範囲が広くなり、走行車体2からの乗り降りが容易になって、作業能率や作業の安全性を向上させることができる。また、後輪11よりも上方に突出する後部ステップ352に車体側取付ステー355を設けたことにより、延長ステップ152と車体側取付ステー355との上下間隔を広げることができ、バイザ支持フレーム530の支持強度が向上する。
次に、バイザ部500の他の実施形態について説明する。図8は、第2の実施形態に係るバイザ支持フレーム530の説明図である。図示するように、第2の実施形態に係るバイザ支持フレーム530は、その左右端部に、後輪11に沿うように後方に向かって上方傾斜する車輪回避部535が形成されている。なお、図8においては、車輪回避部535は直線状に形成されているが、後輪11に合わせて略円弧状に形成することもできる。
すなわち、第1の実施形態においては、図5に示すように、バイザ支持フレーム530の乗降ステップ151との取付位置と、車体側取付ステー355との位置は、側面視で略同一垂直線上にある。それを、第2の実施形態では、図8に示すように、後輪11に沿うように後方に向かって上方傾斜する車輪回避部535を形成している。そのため、バイザ支持フレーム530の乗降ステップ151との取付位置と、車体側取付ステー355との取付位置の前後間隔が広がっている。したがって、バイザ支持フレーム530の支持強度を高めることができ、風などの影響や外部から負荷が加わった場合に、変形したりすることを防止することができる。
図9は、第3の実施形態に係るバイザ支持フレーム530の説明図である。図示するように、第3の実施形態に係るバイザ支持フレーム530は、下側支持フレーム530Aと、当該下側支持フレーム530Aに対して着脱自在に取り付けた上側支持フレーム530Bとに分割可能に構成されている。そして、上側支持フレーム530Bを上下動させるアクチュエータとしてのジャッキ装置505と、このジャッキ装置505を作動させる操作部材としてのペダル本体506を有するペダル操作部507とをさらに備えている。
ジャッキ装置505は、既知の機能を発揮する既知の構造のものでよく、例えば作業者Mが足でペダル本体506を踏み込むごとに上側支持フレーム530Bが所定長さだけ上昇する。なお、図9中、符号508で示す部材は、ジャッキ装置505およびペダル操作部507を配設するためのベース部材である。
かかる構成とすれば、バイザ520を手動により上下動させて高さ調節する必要がなくなり、作業者Mの労力が軽減される。また、必要に応じて上側支持フレーム530Bを上下動させてバイザ支持フレーム530の空間部の広さを変更することができるため、作業中にバイザ支持フレーム530と干渉することが抑制され、作業能率が向上する。
なお、上側支持フレーム530Bを上下動させるアクチュエータとしては、上述のジャッキ装置505に限定されないことは言うまでもない。アクチュエータを駆動する動力にしても、電動、油圧、空気圧などによるモータや電磁ソレノイドなど、適宜用いることができる。
図10Aは、第4の実施形態に係るバイザ支柱フレームの説明図である。図示するように、第4の実施形態に係るバイザ支持フレームは、側面視で直線状に形成した第1バイザ支持フレーム530aと、当該第1バイザ支持フレーム530aの前方に所定間隔をあけて配設した回動リンクフレーム5300を第2バイザ支持フレームとして備える。
すなわち、側面視で直線状に形成した第1バイザ支持フレーム530aを、走行車体2の左右両側に設けられた乗降ステップ151に前後方向に回動可能に連結するとともに、側面視へ字形状に屈曲させた回動リンクフレーム5300を、第1バイザ支持フレーム530aの前方に前後方向に回動可能に設けている。なお、ここで乗降ステップ151とは、延長ステップ152を含む概念であり、図10Aに示す例では、第1バイザ支持フレーム530aは延長ステップ152に連結されたものとしている。
第1バイザ支持フレーム530aと回動リンクフレーム5300との上端部同士は連結フレーム532で連結されており、この連結フレーム532に筒状取付部540が設けられている。連結フレーム532が操縦座席31の上方、すなわち、筒状取付部540に取付られたバイザ520が操縦座席31の上方に位置するときは、第1バイザ支持フレーム530aと回動リンクフレーム5300の上部側5302とが直立状態になるとともに、回動リンクフレーム5300の下部側5301が機体後側に向かって上方傾斜する姿勢をとる。
一方、バイザ520が施肥装置100の上方に位置するように後方へ傾けた場合、第1バイザ支持フレーム530aと回動リンクフレーム5300の上部側5302は、それぞれ機体後側に向かう傾斜姿勢となるとともに、回動リンクフレーム5300の下部側5301は、走行路面に対し略水平姿勢になる。すなわち、回動リンクフレーム5300の下部側5301の傾斜角度は、回動リンクフレーム5300を後方へ傾斜したときに、フロアステップ35上に当接するように設定されている。したがって、回動リンクフレーム5300を後方へ傾斜させると、図示するように、回動リンクフレーム5300の下部側5301はフロアステップ35に当接した状態となる。
なお、本実施形態における第1バイザ支持フレーム530aは、乗降ステップ151(延長ステップ152)に設けた枢支部536に回動自在に連結された鞘状フレーム530bの内部に進退自在に挿通されている。
他方、回動リンクフレーム5300の基部は、走行車体2のフロアステップ35上に設けた回動部537に回動自在に連結されるとともに、フットペダル501が回動操作部材として取り付けられている。
すなわち、図10Aに示すように、第1バイザ支持フレーム530aおよび回動リンクフレーム5300が後方へ傾斜している状態の場合(実線で示す)、フットペダル501を踏み込むと、破線で示す位置まで第1バイザ支持フレーム530aおよび回動リンクフレーム5300は回動する。このとき、第1バイザ支持フレーム530aは、鞘状フレーム530bの内部を摺動しながら回動リンクフレーム5300に追従し、第1バイザ支持フレーム530aと回動リンクフレーム5300の上部側5302とは直立状態になる。
ところで、回動部537は、例えば、既知のブレーキ機構を用いた回動ロック機構として機能するものであり、フットペダル501による回動操作を中断した位置で回動リンクフレーム5300の回動を規制し、所定の位置で停止状態を保持可能としている。
かかる構成により、バイザ520を施肥装置100の上方に位置させる際に、回動リンクフレーム5300の下部側5301が走行車体2のフロアステップ35に接触して回動が停止する。したがって、第1バイザ支持フレーム530aが後輪11などに到達しない位置で停止するため、第1バイザ支持フレーム530aが後輪11の抵抗になることが防止される。また、第1バイザ支持フレーム530aが破損することも防止できる。さらに、第1バイザ支持フレーム530aと回動リンクフレーム5300でリンク機構が構成されることにより、バイザ520の位置の移動を軽い力で行うことができ、作業者Mの労力を軽減することができる。
また、第4の実施形態に係るバイザ支柱フレームは、フットペダル501の操作によって回動リンクフレーム5300が回動するため、バイザ520の位置の移動を容易且つ軽く行うことができ、作業者Mの労力がより軽減される。また、回動ロック機構として機能する回動部537を設けたことにより、回動リンクフレーム5300を回動させた位置で姿勢保持することができ、日差しや雨量等に合わせたバイザ520の位置変更が可能になるため、日除けや雨除けの性能が向上する。
図10Bは、第4の実施形態に係るバイザ支柱フレームの変形例を示す説明図である。図10Aに示した例では、第1の実施形態同様、パラソル型のバイザ520を用いる構成としていたが、図10Bに示すように、バイザ支柱フレームと一体型の一体バイザ521とすることができる。
すなわち、平面形状が円形、あるいは矩形とした所定の面積を有する一体バイザ521を、第1バイザ支持フレーム530aの上端と回動リンクフレーム5300の上部側5302の上端とに連接して構成するものである。かかる構成であっても、上述してきた効果を奏することができる。
次に、上述したバイザ520,521により覆われる施肥装置100の変形例について説明する。図11は、施肥装置の変形例を示す説明図である。図示するように、変形例に係る肥料ホッパ60は、起立状態と操縦座席31側へ傾斜する位置まで傾動自在(矢印F)に構成されたホッパ支持部材667の上端に取り付けられている。
ホッパ支持部材667は、基端がフロアステップ35あるいはメインフレーム15上に枢支部663を介してそれぞれ傾動自在に支持された後側支持部材660と、鞘状の前側下支持部材661および当該前側下支持部材661に進退自在に挿通された前側上支持部材662とで構成された前側支持部材666とで構成されている。
ホッパ支持部材667は、前側支持部材666および後側支持部材660によってリンク機構が形成されるとともに、ホッパ支持部材667の傾動は、前側ストッパ665および後側ストッパ664によって規制される。
また、肥料ホッパ60は、直方体の上部を斜めに切断したように形成され、底部60aの後半部に形成した開口部にシャッタ60bを設けている。そして、肥料ホッパ60は、ホッパ支持部材667を操縦座席31側へ傾動させた施肥作業時には、底部60aは略水平になる。
すなわち、また、ホッパ支持部材667が前方へ傾動する場合、図示するように、前側上支持部材662が鞘状の前側下支持部材661の内部に押し込まれ、前側支持部材666の全長が縮んだ状態となり、肥料ホッパ60の、底部60aは略水平となる。
一方、例えば肥料を抜き取るような場合に起立させた状態では、底部60aが傾斜姿勢となる。したがって、底部60aが傾斜した状態でシャッタ60bを開動作すると、内部に貯留されていた肥料を肥料排出タンク61Aに向けて円滑に排出することができる。
上述してきた各実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。各実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、表示要素などのスペック(構造、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質など)は、適宜に変更して実施することができる。