JP6337928B2 - 作業機 - Google Patents

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Description

本発明は、作業機に関する。
フロート付きの苗植付装置を備えた作業機(苗移植機ということがある)において、苗植付装置による苗植付の直前に圃場を均平化するための整地装置(以下、整地ロータということがある)を備えた構成が知られている。下記特許文献1には苗移植機の全幅を3分割するように中央の整地装置とその左右に3つの整地装置をそれぞれ配置し、中央の整地装置を左右の整地装置より前方に配置した構成が開示されている。
特開2009−118846号公報 特開2007−312661号公報
上記特許文献に開示された苗移植機では、植付装置の前側の圃場面を均し、苗を植え付けやすくする左右及び中央の3つの整地装置(整地ロータ)は苗載台と一体に設けられるものであり、苗載台を上昇させると整地ロータも連動して上昇する構成である。
このため、圃場端などで機体を旋回動作させる際には、苗載台を上昇させると整地ロータを圃場面に接触させることができず、旋回時に生じるタイヤの旋回痕が圃場面に残されてしまっていた。このタイヤの旋回痕は苗移植機の重量を受けて形成されるため比較的深いものであり、持ち上げられる土の量も多いため、圃場面の凹凸が激しくなる。
これを放置したまま最終工程である圃場端での苗の植付作業を行うと、整地ロータで圃場面の凹凸を均平化しきれず、凹部に苗が植え付けられると植付深さが浅くなり、水流や風で苗が流されてしまい、欠株が生じたり別の場所で密生してしまい、後工程の除草作業や農薬等の薬剤散布作業、収穫物の収穫作業が円滑に行えなくなるという問題がある。
また、均平化できていない圃場面の凸部に苗が植え付けられると、苗の根部だけでなく葉部まで土中に入り込んでしまうため、日光を十分に受けられず、生育不良を起こしてしまう問題がある。
さらに、整地ロータは機体左右方向に略平行姿勢で配置されていると共に、苗載台の下部に設けるフロートの前側は機体左右方向の直線形状であるため、整地ロータが発生させる泥水がフロートの左右に流れ出してしまい、泥を含んで重くなった水が植付の浅い苗を押し流してしまう問題や、苗の周囲に泥が堆積して葉部が受けるべき日光が減少してしまうという問題がある。
そして、泥水の流れをよくするべく、作溝体で圃場に溝を形成することがあるが、作溝体が溝を切る際に生じる泥が周辺に押し出され、圃場面を荒らしてしまう問題がある。
本発明の課題は凹凸の多い荒れた圃場面を作らないようにした整地装置を提供することである。
本発明の上記課題は、次の解決手段で解決される。
請求項1記載の発明は、走行車体(2)の後側に昇降リンク装置(3)を介して作業部を設け、作業部の下部にフロート(55)と、該フロート(55)の前方に圃場面を均す整地ロータ(27)とを設け、圃場に肥料を供給する施肥装置(5)を設けた作業機において、
前記作業部に取付体を前記フロート(55)の上方からフロート(55)の後方に向かう傾斜姿勢で設け、該取付体に背面視でV字状の折れ曲がり板(63b)で圃場面に溝を形成する作溝体(63)を設け、
該取付体は、該作溝体(63)の幅よりも細く形成し、前記整地ロータ(27)は、前記フロート(55)の前方に設ける整地回転体(27b)と、該整地回転体(27b)の左右外側に各々設ける副整地回転体(27a)で構成し、
前記整地回転体(27b)を回転させる駆動軸(70b)を設け、前記左右の副整地回転体(27a)を回転させる副駆動軸(70a)を設け、駆動軸(70b)及び副駆動軸(70a)の間に伝動軸(73a、73b)を収容する伝動軸ケース(73)を設け、該伝動軸ケース(73)内に駆動軸(70b)の軸受け部(73c)を形成し、
前記駆動軸(70b)の軸受け部(73c)を、整地回転体(27b)に形成する中央ハブ部(70b2)又はカラー(70b3)で覆う構成とすると共に、前記伝動軸ケース(73)と左右の副整地回転体(27a)の間に設けた外側ハブ部(87)と左右の整地回転体(27a)を保持するステー(86)を下方に開口部を有するU字形状のチューブ(88)で連結し、前記整地回転体(27b)及び左右の副整地回転体(27a)を吊り下げるための支持パイプ(65)をU字形状のチューブ(88)に連結したことを特徴とする作業機である。
請求項2記載の発明は、前記作溝体(63)は、前記折れ曲がり板(63b)のV字角度を変更可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の作業機である。
請求項3記載の発明は、前記作業部(4)に整地ロータ(27)を上下動させる整地リンク部材(6)と電動モータ(7)を設け、
前記整地ロータ(27)に前記整地ロータ(27)の接地を検知する接地スイッチ(84)を設け、該接地スイッチ(84)が検知状態になると前記電動モータ(7)の作動を停止させることを特徴とする請求項1に記載の作業機である。
(削除)
請求項1記載の発明によれば、作溝体(63)の取付体をフロート(55)の上方から後方にわたって構成することにより、圃場内に作溝体(63)が達する構成とすることができる。
また、作溝体(63)を取り付ける取付体を、作溝体(63)の幅よりも細く形成したことにより、作溝体(63)が押し退ける泥の抜けが良くなるので、周囲への泥押しが抑制される。また、駆動軸(70b)の軸受け部(73c)を整地回転体(27b)に形成する中央ハブ部(70b2)またはカラー(70b3)で覆う構成としたことにより、駆動軸(70b)に夾雑物が巻き付くことを防止できるので、夾雑物の除去作業が不要になる。また、U字形状のチューブ(88)に整地回転体(27b)及び副整地回転体(27a)を吊り下げる支持パイプ(65)を連結したことにより、整地回転体(27b)及び副整地回転体(27a)が捻られた姿勢で保持されることを防止できるので、耐久性が向上する。これにより、整地回転体(27b)及び副整地回転体(27a)を支持する構成部品を肉厚にする必要がないので、整地回転体(27b)及び副整地回転体(27a)の支持構造の軽量化を図ることができる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、作溝体(63)の折れ曲がり板(63b)のV字角度を変更としたことにより、圃場が柔らかい時等には泥水の抜けを良くして泥押しを減少させることができる。
請求項3記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、電動モータ(7)によって整地リンク部材(6)を上下動させると整地ロータ(27)の上下位置を変更することができる。
また、接地スイッチ(84)が整地ロータ(27)の接地を検知すると電動モータ(7)が停止することにより、整地ロータ(27)が自動的に作業高さに設定されるので、整地ロータ(27)が確実に圃場面の凹凸を整地できる。
(削除)
(削除)
本発明の実施例の乗用型田植機の側面図である。 図1の乗用型田植機の平面図である。 図1の田植機のロータへの動力伝達系を中心とする拡大図である。 図1の田植機の中央のロータと一対の伝動軸ケース部分の拡大図である。 図1の田植機の苗植付部を圃場面に対して約30cm上昇させた状態を示す側面図である。 図1の田植機の苗植付部を、圃場を旋回しているときに苗植付部を上昇させたとき状態を示す側面図である。 図1の田植機の苗植付部を昇降させる油圧シリンダのピストンの動きを検知する作動検知スイッチの作動の説明図である。 図1の田植機の苗植付装置の動作と整地ロータの動作を関連付けて制御するフローチャートを示す。 図1の田植機の苗植付部と整地ロータの昇降制御用のブロック図である。 図1の田植機の苗植付部に一対の整地ロータを逆「ハ」の字型に配置した平面図である。 図1の田植機の中央のロータケースを両持保持装置の平面展開図である。 図1の田植機の苗移植機の中央のロータの第2駆動軸のハブ部を巻き付防止のために凹部形状とした分解平面図である。 図1の田植機の中央のロータの第2駆動軸と伝動軸ケースの伝動軸との接続部に伝動軸ケースの伝動軸の軸受け部を覆う巻き付防止カラーを取り付けた分解平面図である。 図1の田植機の苗植付部のセンターフロートとサイドフロートの両側に施肥タンクから肥料を圃場の苗植付け位置に溝を切るための作溝体を設けた構成を示す機体側面図(図14(a))と背面図(図14(b))と平面図(図14(c))である。 図1の田植機の苗植付部に作溝体を設けた機体側面図である。 図1の田植機の苗植付部に取り付けた作溝体を設けた構成を示す機体側面図(図16(a))と作溝体と取付体の側面図(図16(b))と正面図(図16(c))である。 図1の田植機の苗植付部に作溝体を設けた機体側面図である。
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1及び図2は本発明の苗移植機の典型例である粉粒体繰出し装置として施肥装置を装着した乗用型田植機の側面図と平面図である。この施肥装置付き乗用型田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。搭乗オペレータが苗移植機の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向と後進方向をそれぞれ前、後という。
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10,10が各々取り付けられている。
また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18,18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11,11が取り付けられている。
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、図示しないベルト伝動装置及び油圧式無段変速装置(HST)23を介してミッションケース12内のトランスミッションに伝達される。該トランスミッションに伝達された回転動力は、変速された後、走行動力と外部取出動力に分離してトランスミッションから取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18,18に伝達されて後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構(図示せず)によって施肥装置5へ伝動される。
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。このフロントカバー32内にはリザーバタンク16を設け、前記HST23とパイプ19で連結して高い位置からオイルをHST23に供給するようにしている。
エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。
フロアステップ35には貫通孔のある格子35aが形成されており、座席31に着座して機体を操縦する操縦者が左右前輪10,10を見通せることができて操縦が容易な構成となっていると共に、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35の後部は、リヤステップを兼ねる後輪フェンダ36となっている。
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台38,38(図1に図示せず)が機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、先端側には縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付装置52に回転自在に支承された連結軸(図示せず)が挿入連結され、該連結軸を中心として苗植付装置52がローリング自在に連結されている。苗植付装置52のフレームに囲まれた位置にセンターフロート55の昇降を感知する感知部材93が設けられている。
メインフレーム15に基部を回動自在に枢支した昇降油圧シリンダ46の先端を上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部に連結して設けており、該昇降油圧シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付装置52がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
苗植付装置52は6条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分ずつ各条の苗取出口51aに供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51aに供給すると苗送りベルト51b(図2)により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51aに供給された苗を圃場に植え付ける苗植付装置52、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ(図示せず)等を備えている。
苗植付装置52の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56,56がそれぞれ設けられている。これらフロート55,56,56を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55,56,56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52により苗が植え付けられる。各フロート55,56,56は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が迎角センサ93により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油油圧シリンダ46を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付装置52を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を操出装置57の繰出部61によって一定量ずつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62でフロート55,56,56の左右両側に取り付けた施肥ガイド(図示せず)まで導き、施肥ガイドの前側に設けた作溝体63によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。電動モータで駆動するブロア58で発生させたエアが、エアチャンバ59を経由して施肥ホース62に吹き込まれ、施肥ホース62内の肥料を風圧で施肥ガイドへ強制的に搬送するようになっている。このブロア58の空気吸引口を機体内側のエンジン20に向けて開口し、エンジン20の排気ガスを吸引するようにしている。
苗植付装置52には圃場の乱れた泥土面を整地して均す整地ロータ27(左右サイドフロート56a,56bの各々の前方に配置された左右整地ロータ27a,27b)が取り付けられている。また、苗載台51は苗植付装置52のフレームを兼ねる伝動ケース50に基部が固定された矩形状の支持パイプ65をレールとして支持ローラで左右方向にスライドする構成である。
なお、機体の両側に設けた左右補助ステップ28,28は作業者が機体に乗り降りする時に足を載せる踏み台である。
次に、整地ロータ27の支持構造と駆動構成について説明する。
縦リンク43(図1)の下端部に回動自在に後端が支持された上下一対の整地リンク部材6の先端が左右一対の整地ロータ27(27a,27b)の回動軸を支持する第2の縦
リンク8に回動自在に支持されている。そして、前記支持パイプ65の下端部に取り付けられた図示しないギヤ機構により上下一対の整地リンク部材6が上下に揺動される。前記ギヤ機構は、前記支持パイプ65に設けた電動モータ7の駆動軸(図示省略)に設けた出力ギヤ(図示省略)の駆動回転により駆動される。
また、整地ロータ27は後輪ギヤケース18からドライブシャフト72とユニバーサルジョイントを介して回転する構成であり、図3に3つの整地ロータ27(27a,27b,27a)の配置関係を示す平面図により整地ロータ27への動力伝達構成を示す。また、図4には図3のロータ27への動力伝達系の拡大図を示す。
図3、図4に示すように、フロート55,56との配置位置の関係でセンタフロート55の前方にある第2ロータ27bはサイドフロート56の前方にある第1ロータ27aより前方に配置されている。そのため後輪11のギヤケース18内のギアからドライブシャフト72を介して左側の第1ロータ27aを駆動する第1駆動軸70aへ動力が伝達され、さらに第1駆動軸70aの右側の端部に設けられた第1出力ベベルギア74a(図4参照)から、該第1出力ベベルギア74aに噛合する第1入力ベベルギア74bを第1伝動軸73aの左側端部に有し、左側の伝動ケース73内に配置される該第1伝動軸73aに動力が伝達される。そして、該第1伝動軸73aの右側端部に第2出力ベベルギア75aを設け、該第2出力ベベルギア75aを第2ロータ27bを固着した第2駆動軸70bの左側端部に軸着した第2入力ベベルギア75bに噛み合わせて動力が伝達される構成とする。
また、第2駆動軸70bの右側端部に設けられた第3出力ベベルギア76aを軸着し、該第3出力ベベルギア76aを右側の伝動ケース73内に配置される第2伝動軸73bの左側端部に軸着する第3入力ベベルギア76bに噛み合わせて動力が伝達される構成とする。さらに、第2伝動軸73bの右側端部に第4出力ベベルギア77aを軸着し、該第4出力ベベルギア77aを右側の第1ロータ27aを固着した第1駆動軸70aの左側端部に軸着した第4入力ベベルギア77bに噛み合わせることにより、整地ロータ27全体に動力が伝達される。
図3に示すように、左右の第1ロータ27a,27aと中央の第2ロータ27bを互いに前後に偏位させて配置し、第1ロータ27a,27aと中央の第2ロータ27b間の前後方向に延びる第1伝動軸73aと第2伝動軸73bからなる一対の伝動軸をそれぞれ内部に有する伝動軸ケース73,73が配置され、該伝動軸ケース73,73は機体平面視で前後傾斜状に配置されている。機体平面視で一対の伝動軸ケース73,73の互いの前側の間隔が後側の間隔より小さくなるように構成されている。
また、整地ロータ27への後輪伝動系からの動力伝達系としてチェーンでなく、伝動軸73a,73bを使用することにより、伝動装置の構成が簡易化され、部品点数が少なくなることにより、コストダウンが図られる。
また、苗植付部(作業部)4の後端部側より前端部側ほど平面視で左右幅が狭くしたフロート55を第1伝動軸73aと第2伝動軸73bの間に配置することで、フロート55の前端部で泥押しを抑えると共に圃場に追従してフロート55が円滑に上下動することができる。
また、図4に示す中央の第2ロータ27bと一対の伝動軸ケース73,73部分の拡大図に示すように第2ロータ27bと第1ロータ27a間の伝動軸ケース73を左右方向に仮想線Lで割ることより、分割されるケース体を合わせて固着するときに固着ボルトが挿入される部分となるケース体外縁の合わせ部を、左右に突出させずに上下に突出させることになるため、ケース73の左右方向の幅をより細くすることができる。
伝動軸ケース73部分にはロータ27を配置し得ないため、伝動軸ケース73が太くなるほど、その分ロータ27が配置されない部分が広くなり、全体としてロータ27の左右幅が狭くなるが、上記構成により伝動軸ケース73を細くすることができ、ロータ27の左右幅を長く確保することにより、伝動軸ケース73が細くなった分だけ、伝動軸ケース73による泥押しや水押しを抑えることができると共に、ロータ27の整地幅が広くなるため、整地効果をアップさせることが出来る。
従来は、平均よりも深い圃場や土質の柔らかい圃場では機体が若干沈むため、苗載台51の底部やフロート55,56の底部が圃場面に近接する。このとき、初期設定した距離しか苗載台51を上下動できないのでは、圃場面に対して苗載台51の上昇距離が短く、苗載台51の底部やフロート55,56が圃場面と接触して傷付くことや、水や土に接触する際の抵抗で旋回動作が円滑に行われなくなることがある。その対策として本実施例の制御を行う。
すなわち、電動モータ7の制御により整地ロータ27をフロート55、56の底面より高さ約30cmまで下げることができるようにして、フロート55、56を圃場面に接地させないで整地ロータ27のみを圃場面に接地できるようにした。この状態を図5と図6に示す。
図1には本実施例の苗移植機が圃場上を走行中に苗植付部4を圃場面に降ろした状態を示し、図5には圃場面に対して苗植付部4を約30cm上昇させたリンク部材3の上下動を検知するポテンショメータ94で検知する状態を示し、このとき整地ロータ27も泥土面上に浮いた状態であり、図6には前記圃場面上を旋回しているときに上昇させていた整地ロータ27を圃場面上に接地させ、かつ植付部4を圃場面上に浮かせた状態の側面図を示す。図6に示す状態では中央の整地ロータ27bと両サイドの整地ロータ27a,27aを連結する伝動フレーム(図示せず)の下部に取り付けた接地スイッチ84(図1参照)が圃場面に接地すると、整地ロータ駆動用電動モータ7が停止し、整地ロータ27をその位置に保持することで旋回時に整地ロータ27は圃場面を整地することができる。
例えば、車両の旋回時にハンドル切れ角が一定値以上になると、図5に示すように植付部4の苗植付装置52部分は圃場面より約30cm程上昇した高さ(ポテンショメータ94で検知する)で停止させ、苗の補充などで苗の植え付けを行わずに植付部4を上昇させたまま、圃場を直進する。
苗を植え付けて直進しているときに、圃場端以外でハンドル34を切ることは基本的に無いので、ハンドル操作で苗植付部4は上昇しない。しかし、副変速レバー82が「苗植付」ポジションにある場合、苗植付部4が上昇すると整地ロータ27は必ず下降するので、旋回時に整地ロータ27を下降させて圃場面を均す必要の無い場合、この動作を任意に入切させる必要がある。
操縦部に電動モータ7の作動を切り替えるモータ動作切替スイッチ85(図9の制御ブロック図参照)を設け、モータ動作切替スイッチ85が「入」の場合は制御装置100が植付部昇降シリンダ46を作動させて苗植付部4を上昇させ、該苗植付部4の上昇により電動モータ7が作動して整地ロータ27が下降し、モータ動作切替スイッチ85が「切」の場合は苗植付部4が上昇しても電動モータ7は作動せず、整地ロータ27は苗植付部4と共に上昇する構成を採用した(図2、図8及び図9参照)。
また、整地ロータで圃場面を整地する場合は、先に苗植付装置52を上昇させた距離と同じ距離だけ下降させて整地ロータ27だけが圃場面に接地したままの状態を維持することができる。
さらに、苗植付部4の上昇距離と整地ロータ27a,27bの下降距離を等距離に設定すると、旋回動作を終えて苗植付部4を下降させても整地ロータ27a,27bは圃場面に接触した状態を保たれるので、苗植付装置52の前側位置で圃場面の凹凸を均すことができ、苗を均等な深さに植え付けることができる。
さらに、植付部操作レバー78を操作して苗植付部4を上昇させる方向に動かすと、苗植付装置52は、設定された高さをポテンショメータ94で検知して、苗の植付作業時の位置から約30cmほど上方まで上げた高さで止まり、圃場面を整地する必要がある場合は、図7に示す油圧シリンダ46のピストン46aの動きを検知する作動検知スイッチ80が図7(a)のピストン46aの伸張時から図7(b)の収縮時に向けて作動してスイッチ押し体46bと接触して油圧シリンダ46の動き検知して整地ロータ27は苗植付部4を上昇させた距離と同じ距離だけ下降させて整地ロータ27だけ接地したままにすることもできる。
さらに、センターフロート55の前部の上下動が検知できるフロートの角度センサ93を設けておき、作業機が苗植付速を選択しているときに、図1に示すように圃場にフロート55,56がどれくらい沈んでいるかを角度センサ93で測定し、植付部操作レバー78を「植付切(苗載せ台上昇)」側に動かすと、例えば30cm+角度センサ93での測定値分だけ苗植付装置52を上昇させる。これにより、深い水田や軟質圃場でも苗載台51やフロート55,56が確実に旋回時に接地しない高さにまで上昇し、作業機の耐久性が従来より向上し、破損防止にもなる。
また、図6には圃場を作業機が旋回しているときに上昇させていた整地ロータ27を泥土面上に接地させ、かつ植付部4が泥土面上に浮かせた状態の側面図を示す。図6に示す状態では整地ロータ27の接地スイッチ84が泥土面に接地すると整地ロータ駆動用電動モータ7が停止し、整地ロータ27をその位置に保持することで旋回時に整地ロータ27は泥土面を整地することができる。
上記した苗植付装置52を所定高さまで上昇させた時に、電動モータ7が作動して整地ロータ27が苗植付装置52の上昇した距離と同じ距離だけ下降し、整地ロータ27だけが圃場面に接地したままの状態を維持することができる制御は、副変速レバー82のポジションを「苗植付速」に入れた時にだけ作動する構成とし、該副変速レバー82を「走行速」や「後進」ポジションに入れた時には整地ロータ27が誤って作動することが無く、苗移植機を移動させる際や後進時に整地ロータ27が自動的に下降してしまい、地面に接触して傷付いたり破損することが防止できる。特に、副変速レバー82を「後進」ポジションにすると自動的にシリンダ46を収縮させて苗植付部4を上昇させる機構を備える場合は、上記の破損防止効果が顕著なものとなる。
この制御のフローチャートを図8に示し、制御装置100を中心とした制御ブロック図を図9に示す。
図3の整地ロータ部分の平面図に示すように、中央部の整地ロータ27bの両側に一対の整地ロータ27a,27aを左右同列に、一直線上に配置する代わりに図10に示すように両側のサイドフロート56,56の前方に配置する整地ロータ27a,27aを逆「ハ」の字型に配置した構成を採用してもよい。このとき中央の整地ロータ27bと左右両側の整地ロータ27a,27aの動力伝達は整地ロータ27aの第1駆動軸70aと整地ロータ27bの第2駆動軸70bの間には図示していないベベルギヤを介して行う。
図3に示すように整地ロータ27a,27aを左右同列に配置すると、整地ロータ27a,27aにより機体外側へ泥はけを行うときに、場合によっては既に植え付けた隣接条の苗を泥押しすることがある。そこで図10に示すように整地ロータ27a,27aを逆「ハ」の字型に配置すると整地ロータ27a,27aが機体外側へ泥はけをして既植付の隣接条を泥押しするおそれが無くなる。
従来構成では、左右の整地ロータ27aのケースに剛性を持たせ、駆動・従動スプロケットと伝動チェーンを内装したチェーンケースを支持パイプ65によりそれぞれ片持で保持していたため、中央の整地ロータ27bの引き上げ用のスプリング(図示せず)によって常に整地ロータ27の全体がひねられた(整地ロータ27が中央及び左右に分割されているため、中央のロータ27bが左右のロータ27a,27aよりも若干上方に上がった状態を指す)形となり、中央のロータ27bによる圃場の整地不足や左右のロータ27a,27aの駆動軸の切損(支持パイプ65で片持ち支持していることにより、駆動軸の機体内側に負荷がかかり、長期間使用していると金属疲労により折れてしまうことがあった)、又は支持パイプ65とチェーンケースの保持部分が離れているため、構成部品の肉厚を厚くする必要があり、大きな重量になっている。
そこで、図11に示すように、中央の整地ロータ27bのケースを両持保持するステー86とハブ部87を「U」字形状のチューブ88で結んだフレーム構成として従来よりコストダウン、耐久性の向上、整地性能の向上及び軽量化を図ることができる。
例えば図4に示す整地ロータ27a,27aの伝導系の構成では、中央のロータ27bの第2駆動軸70bのハブ部とチェーンケースの伝動軸との接続部にある動力伝達用の軸受部分には巻き付防止用カラー70b1を取り付けているだけであるため、カラー70b1と第2駆動軸70bの軸との間に小さい隙間が空いており、細い藁屑等が左右の第1駆動軸70a,70a及び中央の第2駆動軸70bに巻き付いてしまうことがあった。
そこで、図12に示すように、第2駆動軸70bに装着する中央のロータ27bのハブ部70b2を巻き付防止のために凹部形状とし、この凹部をロータ27bの外周筒形状部分と一体成形すると、このハブ部70b2に細い藁屑等が巻き付くことが無い。
また、図4に示す中央のロータ27bの第2駆動軸70bに設けた巻き付防止用カラー70b1に代えて図13に示すように中央のロータ27bの第2駆動軸70bと伝動軸ケース73の伝動軸との接続部(ジョイント)に伝動軸ケース73内の伝動軸70bの軸受け部73cを覆う巻き付防止カラー70b3を取り付けると、前記図4に示す隙間が無くなるので細い藁屑等を巻き込むことがない。またこのカラー70b3は軸受け部73cと一体化することで、ロータ27bのスラスト力の止め部材ともなるので、改めてスラスト止め部材を設ける必要が無くなり、コストダウンが図れる。
またセンターフロート55とサイドフロート56の両側には施肥タンク60から肥料を圃場の苗植付位置に溝を切るための作溝体63を設けているが、本実施例では図14(a)の作業機の側面図と図14(b)の作溝体63とその取付体64の側面図、図14(c)の作溝体63とその取付体64を苗植付装置52に取り付けた状態の正面図に示すように、取付体64の作溝体アーム64aの先端に作溝体63を取り付けて作溝体アーム64aの基部を取付フレーム64bに上下位置調整可能に取り付け、該取付フレームを図14(c)の苗植付装置52の側面図に示すように苗植付装置52の構成部材に支持させる。
取付フレーム64bへの作溝体アーム64aの取り付けは取付フレーム64bに設けた取付溝64b1内に作溝体アーム64aを挿入して、適宜の位置でボルト・ナットで固定する。
本実施例の作溝体63は、鋭角状の先端部からなる本体を土中に配置し、それを保持する本体支持部である取付体64を比較的細くした形状とした。上記構成からなる作溝体63は取付体64が比較的細いので泥水を苗植え付け後に寄せることが無く、表土上を泥水が流れ易くなる。
また、図15の作業機の側面図の苗植付装置52部分の側面図に示すように、苗植付装置52に基部を取り付けた作溝体63の取付体をフロート55,56の上方からフロート55,56の後方で圃場内に作溝体が達するような構成にしても良い。
また、図16(a)の作業機の側面図と図16(b)の作溝体63とその取付体64の側面図、図16(c)の作溝体63とその取付体64を苗植付装置52に取り付けた状態の正面図に示すように、この実施例の作溝体63は、底板と前後板のない箱型の筐体63aの内部に下端が開閉自在の背面視でV字状の折れ曲がり板63bを取り付けた構成である。該折れ曲がり板63bの両端は筐体63aの上面にボルト63cで支持され、該ボルト63cによる止め位置が任意に変更できるようにボルト止め位置がスライド可能になっているので、折れ曲がり板63bのなすV字角度を変更できるので、圃場が柔らかい場合に泥水の抜けを良くして播種跡への泥押しを従来より減少させる。
また、図17の苗植付装置52部分の側面図に示すように、苗植付装置52に基部を取り付けた作溝体63の取付アーム64aをフロート55,56の上方からフロート55,56の後方で圃場内に作溝体63が達するような構成にしても良い。
本発明は田植機の苗植付部を簡易な構成とすることができ、利用可能性が大きい。

Claims (3)

  1. 走行車体(2)の後側に昇降リンク装置(3)を介して作業部を設け、作業部の下部にフロート(55)と、該フロート(55)の前方に圃場面を均す整地ロータ(27)とを設け、圃場に肥料を供給する施肥装置(5)を設けた作業機において、
    前記作業部に取付体を前記フロート(55)の上方からフロート(55)の後方に向かう傾斜姿勢で設け、該取付体に背面視でV字状の折れ曲がり板(63b)で圃場面に溝を形成する作溝体(63)を設け、
    該取付体は、該作溝体(63)の幅よりも細く形成し、前記整地ロータ(27)は、前記フロート(55)の前方に設ける整地回転体(27b)と、該整地回転体(27b)の左右外側に各々設ける副整地回転体(27a)で構成し、
    前記整地回転体(27b)を回転させる駆動軸(70b)を設け、前記左右の副整地回転体(27a)を回転させる副駆動軸(70a)を設け、駆動軸(70b)及び副駆動軸(70a)の間に伝動軸(73a、73b)を収容する伝動軸ケース(73)を設け、該伝動軸ケース(73)内に駆動軸(70b)の軸受け部(73c)を形成し、
    前記駆動軸(70b)の軸受け部(73c)を、整地回転体(27b)に形成する中央ハブ部(70b2)又はカラー(70b3)で覆う構成とすると共に、前記伝動軸ケース(73)と左右の副整地回転体(27a)の間に設けた外側ハブ部(87)と左右の整地回転体(27a)を保持するステー(86)を下方に開口部を有するU字形状のチューブ(88)で連結し、前記整地回転体(27b)及び左右の副整地回転体(27a)を吊り下げるための支持パイプ(65)をU字形状のチューブ(88)に連結したことを特徴とする作業機。
  2. 前記作溝体(63)は、前記折れ曲がり板(63b)のV字角度を変更可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の作業機。
  3. 前記作業部(4)に整地ロータ(27)を上下動させる整地リンク部材(6)と電動モータ(7)を設け、
    前記整地ロータ(27)に前記整地ロータ(27)の接地を検知する接地スイッチ(84)を設け、該接地スイッチ(84)が検知状態になると前記電動モータ(7)の作動を停止させることを特徴とする請求項1に記載の作業機。
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