JP6604942B2 - 細胞安定化 - Google Patents

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Description

本出願は、2013年6月13日に出願の、米国仮特許出願第61/834,517号の利益を主張し、こは、その全体が引用によって本明細書に組み込まれる。
本発明は、細胞の安定化に関する。
関連技術の詳細
有核細胞、例えば、真核細胞の長期間保存は、通常、毒性の凍結保護物質DMSOの存在下で極めて冷たい温度を必要とする。冷蔵システムの一般的な失敗によって引き起こされた損失に加えて、冷凍状態からの生細胞の回復は、困難を要するものであり、典型的に、ごくわずかな入れられた細胞のみが生存する。
過去20年間に、周囲温度での真核細胞の安定化のための代替的な方法の開発に、研究資金で数百万ドルが費やされてきた。これらの試みの原動力は、生物医学的研究、診断学における製品開発および直接の適用、再生医療、治療学、血液供給ロジスティックスおよび細胞移植のための、周囲温度で安定化した真核細胞の保存の利点である。
乾燥状態で長年生存することができる緩歩動物、輪虫類、またはブラインシュリンプなどの極限環境微生物の研究に基づいて、真核細胞の培養物中でこの分子の現象を模倣する技術およびプロトコルが開発され得ることが仮定された。不運にも、研究の数十年間後にさえ、細胞の実際的な乾燥保存の安定化は達成されなかった。最良に表わされる安定化の技術は、乾燥媒体として、トレハロース(非還元糖分子)を使用する。トレハロースを充填した哺乳動物細胞は、乾燥され得るが、ほぼ即時の再水和を必要とし、その後生存は限定される。たとえ数分の乾燥した細胞の保存であっても、完全な細胞死を結果としてもたらすことが示された。
したがって、再水和後に生存可能なままである周囲温度での細胞の実質的な乾燥保存を可能にする、製剤、組成物および方法を開発する必要がある。
本明細書に記載される製剤、組成物および方法は、細胞を実質的に乾燥した状態で保存されるときに、好都合に生存可能な状態で維持し、その結果、再水和後に、細胞は、少なくとも1時間、および特定の実施形態において、少なくとも1週間の間、乾燥保存後に少なくとも1つの機能特性、例えば、細胞生存性を保持し、冷凍または凍結乾燥を必要とすることなく、生細胞を輸送する且つ保存することに利用可能な時間を著しく増加させる。本発明の一態様では、冷凍なしで又は随意に凍結乾燥なしで実質的に乾燥保存された細胞を含む組成物が提供され、ここで、少なくとも1時間の実質的な乾燥保存後の細胞の再水和で、再水和された細胞は、脱水および実質的な乾燥保存前に、細胞中で略同じである少なくとも1つの機能特性を示す。
特定の実施形態では、組成物は、好ましくは、アミノ酸、合成アミノ酸、ペプチド、非還元糖、キレート剤、水溶性ポリマーおよびテトラヒドロピリミジンから成る群から選択される、少なくとも1つの乾燥保存安定剤を含む。一実施形態では、糖分子(例えば;トレハロース)である安定剤は存在しないか、あるいは糖分子である安定剤が存在する場合には、糖分子でない別の安定剤も存在する。
特定の他の実施形態では、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤、好ましくは可逆的アポトーシス阻害剤を含む組成物が提供される。典型的なアポトーシス阻害剤は、PERK−eIF2−α阻害剤、ASK1阻害剤、NRF2−KEAP1阻害剤、JNK阻害剤、p38 MAPキナーゼ阻害剤、IRE1阻害剤、GSK3阻害剤、MEK阻害剤、PI3K経路阻害剤、カルパイン阻害剤、およびカスパーゼ−1阻害剤から成る群から選択される。
別の態様では、組成物が提供され、ここで、前脱水に、細胞は、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤を含む前脱水の製剤で処置されて、前処理された細胞を生成する。特定の実施形態では、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤は、PERK−eIF2−α阻害剤、ASK1阻害剤、NRF2−KEAP1阻害剤、JNK阻害剤、p38 MAPキナーゼ阻害剤、IRE1阻害剤、GSK3阻害剤、PIK3経路阻害剤、MEK阻害剤、カルパイン阻害剤、およびカスパーゼ−1阻害剤から成る群から選択される。
一実施形態では、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤は、PERK−eIF2−α阻害剤である。
別の実施形態では、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤は、ASK1阻害剤である。
また別の実施形態では、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤は、NRF2−KEAP1阻害剤である。
さらに別の実施形態では、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤は、GSK3阻害剤である。
一実施形態では、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤は、MEK阻害剤である。
別の実施形態では、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤は、JNK阻害剤である。
また別の実施形態では、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤は、JNK阻害剤およびp38 MAPキナーゼ阻害剤である。
さらに別の実施形態では、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤は、PI3K阻害剤である。
一実施形態では、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤は、IRE−1阻害剤である。
別の実施形態では、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤は、カルパイン阻害剤である。
また別の実施形態では、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤は、カスパーゼ−1阻害剤である。
特定の実施形態では、前脱水の製剤は、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤および少なくとも1つのERシャペロン誘導剤を含む。
特定の他の実施形態では、前脱水の製剤は、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤および少なくとも1つのオートファジー誘導剤を含む。
また別の実施形態では、前脱水の製剤は、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤および少なくとも1つの生存タンパク質を含む。
本発明の別の態様では、再水和された細胞を含む組成物が提供され、ここで、再水和された細胞は、冷凍または凍結乾燥なしで実質的に乾燥保存された細胞であり、少なくとも1時間の実質的な乾燥保存後の細胞の再水和で、再水和された細胞は、脱水および実質的な乾燥保存前に、細胞中で略同じである少なくとも1つの機能特性を示す。
特定の実施形態では、細胞の再水和は、再水和の製剤の存在下で生じ、好ましくは、再水和の製剤は、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤を含む。
特定の他の実施形態では、再水和のバッファー中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤は、PERK−eIF2−α阻害剤、ASK1阻害剤、NRF2−KEAP1阻害剤、JNK阻害剤、p38 MAPキナーゼ阻害剤、IRE1阻害剤、GSK3阻害剤、MEK阻害剤、PI3K経路阻害剤、カルパイン阻害剤、およびカスパーゼ−1阻害剤から成る群から選択される。
また他の実施形態では、再水和の製剤は、ERシャペロン誘導剤、オートファジー誘導剤および生存タンパク質から成る群から選択されるものの1つ以上である、アポトーシス阻害剤を含む。
一実施形態では、再水和後の少なくとも1つの機能特性は、代謝活性を含む。
特定の実施形態では、代謝活性は、ATP含量を決定することによって又はカスパーゼ判定のアッセイによって測定される。
特定の他の実施形態では、再水和後の代謝活性は、細胞を再水和した24時間後に、細胞を再水和した48時間後に、細胞を再水和した72時間後に、または細胞を再水和した1週間後に測定される。
他の実施形態では、組成物は、再水和前の少なくとも24時間、再水和前の少なくとも48時間、再水和前の少なくとも72時間、または再水和前の少なくとも1週間、脱水形態で安定化される。
他の態様では、pHバッファー;合成アミノ酸(水溶性ポリマー);および第1アミノ酸またはペプチド、を含む脱水の製剤が提供される。特定の実施形態では、脱水の製剤は、非還元糖、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤または第2アミノ酸をさらに含む。
また別の態様では、凍結乾燥の欠如下の周囲温度での1つ以上の細胞の実質的な乾燥保存のための方法が提供され、該方法は、脱水の製剤中で1つ以上の細胞をインキュベートし、脱水の製剤の存在下で1つ以上の前処理された細胞を脱水して、1つ以上の実質的に乾燥保存した細胞を生成する工程を含む。またさらなる方法では、凍結乾燥の欠如下の周囲温度での1つ以上の細胞の実質的な乾燥保存のための方法が提供され、該方法は、アポトーシス阻害剤を含む前脱水の製剤で1つ以上の細胞をインキュベートし、1つ以上の前処理された細胞を生成して、前脱水の製剤を除去する工程;および脱水の製剤の存在下で1つ以上の前処理された細胞を脱水して、1つ以上の実質的に乾燥保存した細胞を生成する工程を含む。
一実施形態では、方法に使用される脱水の製剤は、少なくとも1つの乾燥保存安定剤を含み、前脱水の製剤が使用されないときに、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤(一実施形態では可逆的アポトーシス阻害剤)をさらに含んでもよい。
別の実施形態では、方法は、前脱水の製剤で1つ以上の細胞をインキュベートする前に固体担体に1つ以上の細胞を固定化する工程をさらに含む。
また別の実施形態では、方法は、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤を含む再水和の製剤を使用して、1つ以上の実質的に乾燥保存した細胞を再水和し、再水和された細胞を生成する工程をさらに含む。
特定の実施形態では、前脱水の製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤は、再水和の製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤と同じであり、他の実施形態では、前脱水の製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤は、再水和の製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤とは異なる。
(A)GRP78結合の不活性化状態の及び(B)GRP78の放出が活性化IRE1を結果的にもたらす、ERストレス経路の3つの近位ER膜貫通センサーの概略図である。 ERストレス経路の概略図である。 アポトーシス阻害剤によって阻害されたERストレス経路のステップおよび標的を遮断した、ERストレス経路の概略図である。 本明細書に記載される製剤および方法を使用して実質的に乾燥保存した間葉系幹細胞(MSC)が、再水和後に脂肪細胞(パネルB)、骨細胞(パネルC)、および軟骨細胞(パネルD)へと分化する能力を保持することを示す。 脱水後および室温での5時間の保存後にHeLa細胞の長期的な生存率を例証する。(A)5時間の乾燥に続く5日間の再水和後の細胞生存率。(B)1ml当たりの生細胞の数。細胞を、新鮮な細胞培養プレートへと播種し、群を、本明細書に開示される一実施形態に従って組成物で処置した。 未処置の対照に対するカスパーゼ3/7活性化を示す。カスパーゼ活性化を、標準的な組織培養条件下で培養された、未処理の細胞に対する試験サンプル中の活性の比率として計算した。試験細胞を、脱水し、5時間室温で乾燥して保存し、その後5日間の再水和が続いた。 脱水、乾燥状態での7時間の保存、および保存後の再水和後の細胞の生存率を示す。細胞生存率を、再播種後の3日間および再水和後の合計7日間評価した。異なる安定化の製剤は、細胞生存に加えて細胞増殖にも影響を与える。無保護の対照およびトレハロースで安定化した細胞は、細胞の生存にはつながらなかった。
理論に縛られることなく、本明細書に記載される特定の実施形態の製剤および組成物は、例えば、前脱水の指定された段階で及び再水和の時間に特異的なERストレス経路を遮断することによって、アポトーシスを遮断しながら、細胞の細胞膜および細胞小器官の完全性を安定化し、少なくとも1時間の間再水和された後に少なくとも1つの機能特性を保持する、周囲温度で保存された実質的に乾燥した細胞を提供する。特定の実施形態では、特異的なERストレス経路は、アポトーシス阻害剤を使用して遮断される。他の実施形態では、特異的なERストレス経路は、ERシャペロン誘導剤と組み合わせてアポトーシス阻害剤を使用することで遮断され、ERストレス経路をアポトーシスよりもむしろ適応反応へと促進する。
特定の実施形態では、細胞は、好ましくは、少なくとも1つの乾燥保存安定剤および少なくとも1つのアポトーシス阻害剤を含む、脱水の製剤を使用して脱水される。
特定の他の実施形態では、細胞は、脱水の製剤の存在下で細胞を脱水する前に所定期間(例えば1時間)アポトーシス阻害剤を含む前脱水の製剤を使用して前処理され、実質的に乾燥保存した細胞を生成する。実質的に乾燥保存した細胞は、前脱水の製剤中のアポトーシス阻害剤と同じ又は異なり得る、好ましくは、アポトーシス阻害剤を含む、再水和の製剤の存在下で再水和される。再水和の製剤は、所定期間(例えば1時間)後除去され、細胞は、意図した最終用途に依存して、増殖培地または他の適切な溶液およびバッファー中で再水和されてもよい。
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する当該技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に言及される、すべての特許、特許出願、および公報は、その全体が引用によって組み込まれる。
本明細書で使用されるように、用語「真核細胞」は、真核生物、好ましくは、胎児または成人の、受精卵母細胞、芽球細胞を含む真核細胞の発達の所与の段階および他の胚形成期での、ヒトの体液または組織中に存在する少なくとも1つの有核細胞を指す。本発明の製剤、組成物および方法を使用して、周囲温度で実質的に乾燥保存され得る典型的な細胞は、限定されないが、線維芽細胞、角化細胞、軟骨細胞、メラニン細胞、骨芽細胞、骨細胞、筋細胞、心筋細胞、ニューロン、シュワン細胞、グリア細胞、星状細胞、乏突起膠細胞、T細胞、B細胞、記憶細胞、網状赤血球、単球、好中球、好塩基球、好酸球、マクロファージ、巨核球、樹状細胞、脂肪細胞、島細胞、卵母細胞、精母細胞、胎盤の臍帯血細胞、芽球細胞、接合体、上皮細胞(例えば、乳腺細胞、子宮内膜細胞、膵腺房細胞、杯細胞、ランゲルハンス細胞、エナメル芽細胞およびパネート細胞)、破歯細胞(odontocytes)、肝細胞、脂肪細胞、旁細胞、肺細胞、内皮細胞、腫瘍細胞、循環腫瘍細胞、網膜視細胞および色素細胞、水晶体細胞、および多能性または全能性の胚性幹細胞、胎生幹細胞、iPS細胞、および間葉系幹細胞を含む、幹細胞、あるいはそれらの混合物、を含む。幹細胞は、未分化の又は部分的に分化した状態において周囲温度で実質的に乾燥保存されてもよい。
本明細書で使用されるように、用語「前処理された細胞」は、脱水前に少なくとも1つのアポトーシス阻害剤を含む前脱水の製剤で処理された細胞を指す。前処理された細胞は、アポトーシス阻害剤を予め充填され、それによって、アポトーシス阻害剤を含有している又は欠いている脱水の製剤を使用して、ERストレス経路の活性化なしの前処理された細胞の実質的な乾燥保存が可能となる。特定の実施形態では、アポトーシス阻害剤を含む前脱水の製剤は、脱水の製剤を加える前に、前処理された細胞から除去されるが、アポトーシス阻害剤の細胞内濃度は、ERストレス経路の活性化なしで細胞を実質的に乾燥保存するのに十分な濃度である。
本明細書で使用されるように、用語「周囲温度での実質的な乾燥保存」または「周囲温度で実質的に乾燥保存した」は、本発明の製剤、組成物および方法を使用して、冷凍または凍結乾燥なしで再水和された状態で細胞の少なくとも1つの機能特性を維持しながら、周囲温度で細胞を保存する能力を指す。実質的に乾燥保存した細胞は、必ずしもすべての遊離した内水を欠けている必要はないが、好ましくは、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または98%までの遊離した内水が除去される。実質的に乾燥保存した細胞は、乾燥保存される細胞のタイプ、使用される前脱水及び/又は脱水の製剤、および実質的に乾燥保存した細胞のための意図した用途に依存して、様々な期間の間、周囲温度で保存されてもよい。細胞は、次の期間の間、脱水した状態で保存されてもよい:1)例えば、1、2、6、12または18時間などの数時間;2)例えば、1日、2日、4日、または6日などの数日;3)例えば、1週、2週、または3週などの数週;4)例えば、1か月、2か月、4か月、6か月、8か月、または11か月などの数か月;および5)例えば、1年、2年、5年、10年、20年、またはそれ以上などの数年さえも。
本明細書で使用されるように、用語「固定化された(immobilized)」は、固体表面に接着される又はそれに直接接触する、実質的に乾燥保存した細胞を指す。細胞は、脱水の製剤の追加および乾燥前に固定化され得るか、または恐らく、前脱水工程前に固定化され、脱水工程の全体にわたって固定化を維持される。適切な固体表面は、限定されないが、スライドガラス、ビーズ、チップ、膜、シート、メッシュ、カラム、親和性樹脂、スポンジ、96ウェルのプレート、培養皿およびフラスコを含むプラスチック、チューブ、容器、器、限定されないが、コラーゲンおよびアルギナートのヒドロゲルなどの天然のマトリックス、または細胞が増殖され得る他の基層、を含む
本明細書で使用されるように、「アポトーシス阻害剤」は、ERシャペロン誘導剤、オートファジー誘導剤および内因性または外因性の生存タンパク質を含む、細胞アポトーシスの誘導を防ぐための、所望の酵素の量及び/又は活性、または経路(好ましくは、ERストレス経路におけるステップ)をダウンレギュレートする、減少させる、抑止する、またはさもなければ調節することができる化合物または薬剤を指す。これらの酵素または経路の阻害は、限定されないが、好ましくは可逆的な方法での酵素への直接結合、または酵素または標的をコード化する遺伝子の発現(例えば、mRNAへの転写、新生ポリペプチドへの翻訳、及び/又は成熟タンパク質への最終的なポリペプチド修飾)の一時的阻害を含む当該技術分野に既知の様々な機構によって達成され得る。アポトーシス阻害剤は、本明細書に記載される特異的なアポトーシス阻害剤を含む。
本明細書に使用されるように、用語「阻害する(inhibiting)」または「阻害(inhibition)」は、酵素の活性、あるいは酵素またはタンパク質の発現を、少なくとも部分的にダウンレギュレートする、減少させる、低下させる、抑止する、不活性化する、または阻害する化合物または薬剤の能力を指す。好ましくは、阻害は可逆的である。
ERストレス経路
特定の実施形態では、前脱水の製剤、脱水の製剤及び/又は再水和の製剤は、ERストレス経路において少なくとも1つの必須のステップを遮断する少なくとも1つのアポトーシス阻害剤を含む。
図1のAで示されるように、高等真核生物における小胞体ストレス応答(unfolded protein response)(UPR)シグナル伝達は、3つの近位ER膜貫通センサー、PERK、キナーゼ/RNase IRE1、および転写因子ATF6によって開始される(例えば、Kaufman RJ (2002) J Clin Invest 110: 1389−1398. doi: 10.1172/jci0216886; Mori K (2000) Cell 101: 451−454. doi: 10.1016/s0092−8674(00)80855−7; Ron D, Walter P (2007) Nat Rev Mol Cell Biol 8: 519−529. doi: 10.1038/nrm219を参照)。PERKの活性化は、eIF2α、α翻訳開始因子のリン酸化によって全体的規模でタンパク質翻訳の阻害につながる(図1のB;Harding et al., (2000) Mol Cell 5: 897−904. doi: 10.1016/s1097−2765(00)80330−5)。付随的に、PERKは、転写因子ATF4の翻訳を増大させることによって、UPR特異的遺伝子の転写を促進する。IRE1は、XBP1 mRNAからイントロンを切除することによって、XBP1のオルタナティブスプライシングされた、より強力な形態を生成する(例えば、Calfon et al. (2002) Nature 415: 92−96. doi: 10.1038/415092aを参照)。第3のUPRセンサー、ATF6は、その細胞質側に転写活性化ドメインを有するER膜貫通タンパク質である。
図2Aで示されるように、ERストレスの事象中に、ATF6は、タンパク質分解を受け、それ故、ER膜からその細胞質のトランス活性化ドメインを遊離する。一度遊離すると、それは、核に入り(Haze et al., (1999) Mol Biol Cell 10: 3787−3799. doi: 10.1091/mbc.10.11.3787)、追加のUPR遺伝子の転写を開始する。UPRによるERストレスの近位センサーの活性化は、結果として、遺伝子調節の複合パターンをもたらす。したがって、UPRシグナルは、BiP、GRP94、カルレティキュリン、およびErdj4などのERシャペロンのアップレギュレーションを介してタンパク質フォールディングの能力を増大することによって、ER中の高レベルのミスフォールドされたタンパク質を緩和し低下させることを目的としている(例えば、Okada et al., (2002) Biochem J 366: 585−594. doi: 10.1042/bj20020391; Yoshida et al., (1998) J Biol Chem 273: 33741−33749. doi: 10.1074/jbc.273.50.33741を参照)。しかしながら、ER中の適切なタンパク質フォールディングを回復できない場合には、CHOPなどの遺伝子がアップレギュレートされ、結果としてアポトーシス経路の活性化につながる。
1. GRP78/BiP
GRP78/BiPは、小胞体の完全性およびストレス誘導性のオートファジーに必要とされる分子シャペロンのHSPファミリーのメンバーである。GRP78は、小胞体ストレス応答(UPR)の調節に中心的な役割を果たし、真核細胞中のオートファジーの必須の構成要素であり、細胞順応および発癌生存(oncogenic survival)に重要な役割を果たし得る。GRP78のクライアントタンパク質の1つは、タンパク質の二本鎖RNA活性化されるタンパク質様小胞体キナーゼ(PERK)であり、PERKへの結合は、PERKオリゴマー化を除外する。IRE1のオリゴマー化およびATF6の活性化を防ぐために、GRP78はまた、クライアントタンパク質IRE1およびATF6に結合する。GRP78は、ER内の多量体タンパク質複合体の構築を促進する役割を果たす。
2. IRE1
イノシトールを必要とする酵素1(IRE1)は、エンドヌクレアーゼ活性を保持するser/thrタンパク質キナーゼである。IRE1は、小胞体ベースのストレスシグナルへの反応として遺伝子発現を変更する際に重要であり、そのN末端ドメインを介して小胞体の内腔で変性タンパク質を感知し、これは、酵素の自己活性化につながる。活性なエンドリボヌクレアーゼドメインは、XBP1 mRNAをスプライシングして、新しいC末端を生成し、それを強力な変性タンパク質の反応の転写活性化因子(unfolded−protein response transcriptional activator)に転換して、増殖停止およびアポトーシスを引き起こす。キナーゼドメインは、トランス自己リン酸化によって活性化され、キナーゼ活性は、エンドリボヌクレアーゼドメインの活性化に必要とされる。IRE1は、遍在的に発現され、膵臓組織で高レベルが観察される。IRE1は、ジスルフィド結合したホモダイマーであり、ダイマー形成は、N末端の内腔ドメイン内で疎水的相互作用によって促進され、ジスルフィド架橋によって安定化される。IRE1はまた、変性タンパク質反応の負の調節因子である、HSPA5に結合する。この相互作用は、ホモ二量体化を妨害し、IRE1の活性化を防ぎ得る。
3. PERK
PRKR様小胞体キナーゼまたはタンパク質キナーゼR(PKR)様小胞体キナーゼ(PERK)としても知られる、真核生物翻訳開始因子2−アルファキナーゼ3は、ヒトにおいてEIF2AK3遺伝子によってコード化される酵素である。PERKは、真核生物翻訳開始因子2(EIF2)のαサブユニットをリン酸化し、その不活性化に、およびそれ故、翻訳開始の迅速な低減および全体的なタンパク質合成の抑制につながる。それは、小胞体(ER)に位置するI型膜タンパク質であり、ここで、ミスフォールドされた(malfolded)タンパク質によって引き起こされたERストレスによって誘導される。
4. ATF6
この遺伝子は、小胞体(ER)ストレスの間に小胞体ストレス応答(UPR)のために標的遺伝子を活性化する転写因子をコード化する。それは、転写因子であるが、このタンパク質は、ERに埋め込まれる膜貫通タンパク質として合成されるという点で普通ではない。それは、ERストレスセンサー/トランスデューサーとして機能し、ERストレス誘導性のタンパク質分解後に、ERシャペロンエンをコード化する遺伝子のプロモーター中に存在するシス作用するERストレス応答因子(ERSE)を介して核転写因子として機能する。このタンパク質は、静止状態(quiescent)のための生存因子として特定されたが、増殖性の扁平上皮癌細胞ではない。
5. ASK1
マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ・キナーゼ・キナーゼ5(MAP3K5)としても知られる、アポトーシスシグナル調節キナーゼ1(ASK1)は、MAPキナーゼ・キナーゼ・キナーゼファミリーのメンバーであり、それ自体、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ経路の一部分である。ASK1は、MKK4(SEK1)/MKK7およびMKK3/MKK6を直接リン酸化し、これは、順に、酸化ストレス、小胞体ストレスおよびカルシウム流入などの、一連のストレスに応じて、Raf非依存の方法でc−Jun N末端キナーゼ(JNK)およびp38 マイトジェン活性化タンパク質キナーゼを活性化する。
非ストレス条件下では、ASK1は、そのC末端コイルドコイルドメイン(CCC)を介してオリゴマー形成される(その活性化のための要件)が、減少したチオレドキシン(Trx)およびカルシウムおよびインテグリン結合タンパク質1(CIB1)の抑制効果によって不活性型のままある。Trxは、そのN末端コイルドコイルドメイン(NCC)への直接的な結合によってASK1キナーゼ活性を阻害する。TrxおよびCIB1は、それぞれ、酸化還元感受性またはカルシウム感受性の方法で、ASK1活性化を調節する。両方とも、TNF−α受容体関連因子2(TRAF2)、ASK1活性化因子と競合するようである。その後、TRAF2およびTRAF6は、ASK1に動員されて、より大きな分子量複合体を形成する(図2Aを参照)。続いて、ASK1は、CCCだけでなくNCCも介して、ホモオリゴマー相互作用を形成し、これは、トレオニン845での自己リン酸化を介するASK1の完全な活性化につながる。
6. JNK
c−Jun N末端キナーゼ(JNK1/2/3)は、哺乳動物細胞において見られるマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)カスケードの3つの主要な群の1つの下流成分であり、他の2つは、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK1/2)およびp38タンパク質キナーゼ(p38.α,β,γ,,δ)から成る。キナーゼの各群は、MAPKを含む3モジュールのカスケード(three−module cascade)の部分であり、これは、MAPKキナーゼ(MAPKK)によるリン酸化によって活性化され、順に、MAPKKキナーゼ(MAPKKK)によるリン酸化によって活性化される。JNKおよびp38の活性化は、アポトーシスの誘導に関連している。多くの細胞タイプを使用することで、JNKの持続的活性化が細胞死を誘導し、優性ネガティブ(DN)阻害剤によるJNK活性化の遮断が一連のアポトーシス刺激による死滅を防ぐことが示された。アポトーシスにおけるJNKの役割も、jnk遺伝子の標的破壊を有するマウスの分析によって文書化される。JNK1およびJNK2の両方を欠くマウス胚線維芽細胞(MEF)は、遺伝毒性物質、紫外線、およびアニソマイシンを含む、様々なストレス刺激によるアポトーシスに完全に耐性があり、jnk3−/−ニューロンは、興奮毒に対するアポトーシス反応の深刻な欠損を示す。その上、JNK2は、未熟な胸腺細胞中の抗CD3誘導性のアポトーシスに必要とされることが示された。
7. p38 MAPキナーゼ
p38 MAPキナーゼ(α、β、γ、およびδ)は、MAPKファミリーのメンバーであり、以下の4つのp38 MAPKが、高真核生物中でクローン化されている:p38−Alpha/XMpk2/CSBP、p38−Beta/p38−Beta22、p38−Gamma/SAPK3/ERK6、およびp38−Delta/SAPK4。これらの4つのタンパク質は、そのアミノ酸配列で60−70%同一であり、MKK6(MAPKキナーゼ−6)によってすべて活性化される。別のMAPKキナーゼ、MKK3(MAPKキナーゼ−3)は、p38−Beta2を除いて、p38−Alpha、p38−Gamma、およびp38−Deltaをリン酸化および活性化すると示された。哺乳動物のp38 MAPKファミリーは、UV照射、熱ショック、および高い浸透ストレスを含む細胞ストレスによって活性化される。
ますます多くの転写因子がp38の直接的な標的となると知られているように、p38 MAPキナーゼの活性化はまた、遺伝子転写に直接影響を与え得る。直接的なリン酸化および活性化は、ATF1、ATF2、およびATF−6、MEF2A/C(筋細胞増強因子−2A/C)、SAP1A(シグナル伝達のリンパ球活性化分子関連タンパク質−1A)およびElk1(ETSドメイン転写因子−1)のために記載されている。
8. MEK
「MEK1」および「MEK2」は、マイトジェン活性化したERK活性化キナーゼに対する略語である(ここで、ERKは、MAPKに対する別の呼称である、細胞外シグナル制御タンパク質キナーゼである)。MEK1およびMEK2は、二元機能のセリン/トレオニンおよびチロシンタンパク質キナーゼであり、MAPキナーゼとしても知られている。Ras−GTPはRafを活性化し、RafはMEK1およびMEK2を活性化し、MEK1およびMEK2はMAPキナーゼ(MAPK)を活性化する。一度活性化されると、Rafおよび他のキナーゼは、MEK−1の場合に、2つの隣接するセリン基、S218およびS222上でMEKをリン酸化する。これらのリン酸化は、キナーゼとしてのMEKの活性化に必要とされる。順に、MEKは、単一のアミノ酸によって分離された以下の2つの基上でMAPキナーゼをリン酸化する:チロシン、Y185、およびトレオニン、T183。MEKは、MAPキナーゼをリン酸化する前にMAPキナーゼと強く関連しているようであり、これは、MEKによるMAPキナーゼのリン酸化が、2つのタンパク質間の事前の強い相互作用を必要とし得ることを示唆している。
9. PI3K−Akt経路
ホスファチジルイノシトール3’−キナーゼ(PI3K)−Aktシグナル経路は、多くのタイプの細胞刺激または毒性の傷害(insults)によって活性化され、転写、翻訳、増殖、成長、および生存などの、基礎となる細胞機能を調節する。増殖因子のその受容体チロシンキナーゼ(RTK)またはGタンパク質結合受容体(GPCR)への結合は、それぞれ、クラスIaおよびIbのPI3Kアイソフォームを刺激する。PI3Kは、細胞膜でホスファチジルイノシトール−3,4,5−三リン酸塩(PIP3)の産生を触媒する。PIP3は、順に、Aktを活性化する助けとなる二次メッセンジャーとして機能する。一度活性されると、Aktは、アポトーシス、タンパク質合成、代謝、および細胞周期に伴う基質をリン酸化することによって重要な細胞プロセスを制御することができる。
10. XBP−1
この遺伝子は、Xボックス(X box)と呼ばれるプロモーター要素に結合することによって、MHCクラスII遺伝子を調節する転写因子をコード化する。この遺伝子産物は、bZIPタンパク質であり、これも、T細胞白血病ウイルスタイプ1プロモーターのプロモーターにおいてエンハンサーに結合する細胞転写因子として特定された。小胞体(ER)中の変性タンパク質の蓄積後に、この遺伝子のmRNAが、エンドヌクレアーゼのイノシトール要求酵素1(IRE1)によって媒介される非従来型のスプライシング機構によって活性型に処理されることが分かった。スプライシングされたmRNAから結果として生じる26ntの損失は、フレームシフトおよび機能的に活性な転写因子であるアイソフォームXBP1(S)を引き起こす。スプライシングされていないmRNAによってコード化されたアイソフォーム、XBP1(U)は、構成的に発現され、XBP1(S)の負のフィードバック調節因子として機能すると考えられ、これは、ERストレスの回復期中に標的遺伝子の転写を遮断する。XBP1の偽遺伝子が特定され、染色体5に局所化された。
11. eIF2―α
eIF2−アルファは、三元複合体をGTPおよび開始剤tRNAで形成することによって、タンパク質合成の初期工程で機能する翻訳開始因子である。この複合体は、43sリボソームサブユニットに結合し、その後mRNA結合が続いて、40S前開始複合体が形成される。eIF−2に結合したGTPの加水分解およびeIF−2−GDP二元複合体の放出が先行して、80S翻訳開始複合体を形成するための60Sリボソームサブユニットの接合が続く。eIF−2が開始の別のラウンドを再利用し触媒するために、eIF−2に結合したGDPは、eIF−2Bによって触媒された反応によってGTPに取って代わらなければならない。eIF2−アルファは、少なくとも4つのキナーゼ、PERK、GCN2、HRIおよびPKRによってリン酸化され、リン酸化は、eIF−2/GDP/eIF−2B複合体を安定化し、GDP/GTP交換反応を防ぎ、それ故、連続する開始のラウンド間のeIF−2の再利用を損なわせ、翻訳の全体的な阻害につながる。
12. GSK3
グリコゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)は、グリコーゲン代謝の対照に関係する酵素として最初に特定された。近年、それは、タンパク質合成の開始、細胞増殖、細胞分化、アポトーシスを含む、多様な範囲の細胞機能の調節に重要な役割があることを示され、Wntシグナル伝達カスケードの構成要素として胚発生に不可欠である。GSK3は、インスリンシグナル経路における中心的な負の調節因子として、インスリン抵抗性において役割を果たす。
13. NRF2
NFE2L2またはNRF2としても知られる、核因子(赤血球由来2)様2は、ヒトにおいてNFE2L2遺伝子によってコード化される転写因子である。NRF2抗酸化反応経路は、酸化ストレスの細胞毒性に対する主要な細胞防御である。NRF2は、幾つかの抗酸化酵素の発現を増加させる。
NRF2は、塩基性ロイシンジッパー(bZIP)転写因子である。正常な又はストレスのない条件下で、NRF2は、ユビキチン化によってNRF2を分解するKelch様ECH関連タンパク質1(KEAP1)およびコリン3によって細胞質内で保持される。酸化ストレス下で、NRF2は、分解されないが、代わりに核に移動し、そこで、抗酸化遺伝子およびそのタンパク質の転写を開始する。
14. KEAP1
Kelch様ECH関連タンパク質1(KEAP1)は、抗酸化反応の主要制御因子である、NRF2と相互作用すると示された。静止条件下で、NRF2は、KEAP1に結合することによって細胞質内に固着され、これは、順に、ユビキチン化および続くNRF2のタンパク質分解を促進する。細胞質内のNRF2のそのような隔離および更なる分解は、NRF2に対するKEAP1の抑制作用のための機構である。
15. ATF4
ATF4としても知られる、活性化転写因子4(tax−応答エンハンサー因子B67(tax−responsive enhancer element B67))は、ヒトにおいてATF4遺伝子によってコード化されるタンパク質である。この遺伝子は、HTLV−1のLTR内でtax−応答エンハンサー因子を結合することができ得る広く発現された哺乳動物DNA結合タンパク質として元来特定された転写因子をコード化する。コード化されたタンパク質はまた、単離され、cAMP応答因子結合タンパク質2(CREB−2)として特徴づけられた。この遺伝子によってコード化されたタンパク質は、転写因子、cAMP応答因子結合タンパク質(CREB)およびCREB様タンパク質のAP−1ファミリーを含む、DNA結合タンパク質のファミリーに属している。これらの転写因子は、DNA結合ドメインとして機能する一連の(a stretch of)塩基性アミノ酸に対するC末端に位置する、タンパク質間相互作用に関係するロイシンジッパー領域を共有する。同じタンパク質をコード化する2つの代替的な転写物が記載された。2つの偽遺伝子は、大きな逆位重複を包含している領域においてq28でX染色体上に位置付けられる。
乾燥保存安定剤
1. 天然および合成のアミノ酸
本明細書に記載されるようにまた、特定の実施形態において、脱水の製剤は、周囲温度での機能細胞の実質的な乾燥保存のための脱水の製剤中に少なくとも1つのアミノ酸または合成アミノ酸を含んでもよい。
特定の実施形態では、天然アミノ酸は、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、およびプロリンからなる群から選択される。
特定の他の実施形態では、脱水の製剤および組成物は、以下の一般式Iを有する1つ以上の合成アミノ酸を含有し得:
式中、R、R、Rは、アリール、アリールアルキル、−H、−CHおよび−CH−CHから独立して選択され、ここでRおよびRがCHまたはCH−CHであるときに、Rは、Hであるか又は存在せず、Xは、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH、−CHCHCHCH−、
から選択され、
およびYは、COOおよびSO3から選択される。
組成物に有用な典型的な合成アミノ酸は、WO2010132508および米国特許第8,519,125号に記載されるものを含み、その内容はその全体が引用によって本明細書に組み込まれる。本発明の組成物とともに利用され得る合成アミノ酸は、ヒドロキシプロリンおよびベタイン(N,N,N−トリメチルグリシン)を含む。
2. ペプチド
周囲温度での細胞の実質的な乾燥保存のための本明細書に記載された脱水の製剤は、特定の実施形態において、ペプチドを含有し得る。好都合なことに、安定量の小さなジペプチドまたはジペプチドアナログ(例えば、約10mMと200mMの間)を含む、表1に明記されるものを含む、特定の脱水の製剤が、予想外に、周囲温度での及び細胞の冷蔵を超過する期間の間の、細胞の実質的な乾燥保存が可能であることが判定された。
典型的なジペプチドは、アミノ酸配列アラニン−グルタミンを有する。
3. 三糖類
本明細書に記載されるように、本明細書に記載される特定の実施形態において、製剤は、周囲温度での細胞の実質的な乾燥保存のための脱水の製剤または組成物中に少なくとも1つの三糖類を含み得る。三糖類は、3つの単糖類から成るオリゴ糖であり、2つのグリコシド結合がそれらを接続する。グリコシド結合は、構成単糖類上の水酸基間で形成され得、異なる結合の組み合わせ(位置化学)および立体化学(アルファ−またはベータ−)は、結果として、異なる化学的および物理的性質を備えるジアステレオ異性体である三糖類をもたらす。安定した保存組成物に含むための1つ以上の特定の三糖類の選択は、本開示に基づいて及び当該技術分野の通常の実施に従って行われ得、他の製剤成分を含む様々な因子の影響を受け得る。典型的な三糖類は、限定されないが、マルトトリオース(maltotrose)、イソマルトトリオース(isomaltotrios)、ラフィノース、メレジトース(melezitriose)、ニゲロトリオース(nigerotriose)、およびケトースを含む。表1に明記される製剤を含む、細胞の実質的な乾燥保存のための特定の実施形態では、三糖類は、メレジトース(melezittriose)であって、好ましくは約1%−20%、さらにより好ましくは約5.0−15%の濃度であり、ここで「約」は、25%未満、より好ましくは20%未満、およびより好ましくは15%、10%、5%または1%未満、多かれ少なかれ、詳述された量未満であり得る量的変動を表わすと理解され得る。
4. 水溶性ポリマー
本明細書に記載されるように、特定の実施形態は、全血サンプル中の核酸及び/又はポリペプチド分子の実質的に安定した保存のための製剤および組成物中に少なくとも1つの水溶性ポリマーを含み得る。そのような水溶性ポリマーは、ポリビニルピロリジンおよびポリビニルアルコールを含み、本開示から、当業者が、実質的な乾燥保存の製剤および組成物中の使用のために他の水溶性ポリマーを選択し得ることが認識されるが、これらは、利用される組成物の他の成分および保存されている特定の細胞タイプに基づいて様々であり得る。限定されないが、表1に示されるものを含む、特定の実施形態は、約0.1乃至10%(vol/vol)、より好ましくは約0.1乃至5%(vol/vol)の間、およびさらにより好ましくは1.0%(vol/vol)の濃度で水溶性ポリマーを含むことを考慮に入れ、ここで「約」は、50%未満、より好ましくは40%未満、より好ましくは30%未満、およびより好ましくは20%、15%、10%または5%未満、多かれ少なかれ、詳述された量未満であり得る量的変動を表わすと理解され得る。特定の実施形態では、水溶性ポリマーは、約30−70,000ダルトンの分子量範囲を有する及び約87−90%加水分解された、ポリビニルアルコールであり、ここで「約」は、50%未満、より好ましくは40%未満、より好ましくは30%未満、およびより好ましくは20%、15%、10%または5%未満、多かれ少なかれ、詳述された量未満であり得る量的変動を表わすと理解され得る。
5. 非還元糖
本明細書に記載されるようにまた、特定の実施形態は、周囲温度で前脱水及び/又は脱水の製剤および組成物中に少なくとも1つの非還元糖を含み得る。非還元糖は、機能的なアルデヒド基を欠く炭水化物分子である。典型的な非還元糖は、スクロースおよびトレハロースを含む。細胞の実質的な乾燥保存のための実施形態では、非還元糖は、約1.0−200mM、好ましくは約50mM−200mM、およびより好ましくは約150mMの濃度で存在するトレハロースであり、ここで「約」は、25%未満、より好ましくは20%未満、およびより好ましくは15%、10%、5%または1%未満、多かれ少なかれ、詳述された量未満であり得る量的変動を表わすと理解され得る。
6. ポリエーテル
ポリエーテルは、特定の実施形態に従って、周囲温度での機能細胞の実質的に安定した保存のための本明細書に記載される脱水の製剤に含まれ得る。ポリエーテルは、一般に、その主鎖に1つを超えるエーテル官能基を含有するポリマーを指す。ポリエーテルは、アルコールの脱水によって形成された比較的安定した化合物である。製剤、組成物および方法に使用するための典型的なポリエーテルは、限定されないが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリフェニルエーテルを含む。特定の実施形態では、ポリエーテルの分子量は、約5,000から15,000ダルトンの間である。
7. テトラヒドロピリミジン
特定の実施形態では、乾燥保存安定剤は、テトラヒドロピリミジンである。典型的なテトラヒドロピリミジンは、5−ヒドロキシエクトインである。特定の脱水の製剤および組成物において、5−ヒドロキシエクトインは、約10mMから約200mMの間の濃度で使用される。
製剤試薬
1. pHバッファー
特定の実施形態によると、周囲温度での機能細胞の実質的な乾燥保存のための本明細書に記載される脱水の製剤および組成物は、1つ以上のpHバッファーを含み得、これは、pHバッファーが存在する水溶液などの溶液のpHの変化に抵抗するその能力に関して当該技術分野で知られる大多数の化合物のいずれかであり得る。安定した保存組成物に含むための1つ以上の特定のpHバッファーの選択は、本開示に基づいて及び当該技術分野の通常の実施に従って行われ得、維持されることが所望されるpH、生体サンプルの性質、利用される溶媒条件、使用される製剤の他の成分、および他の基準を含む、様々な因子の影響を受け得る。例えば、典型的に、pHバッファーは、バッファーの特徴であるプロトン解離定数(pK)の約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9または1.0のpH単位内にあるpHで利用される。
pHバッファーの限定しない例は、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、スルフォサリチル酸、スルフォイソフタル酸、シュウ酸、ホウ酸塩、CAPS(3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸)、CAPSO(3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸)、EPPS(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンプロパンスルホン酸)、HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸)、MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)、MOPS(3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸)、MOPSO(3−モルホリノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、PIPES(1,4−ピペラジンジエタンスルホン酸)、TAPS(N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−3−アミノプロパンスルホン酸)、TAPSO(2−ヒドロキシ−3−[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸)、TES(N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−2−アミノエタンスルホン酸)、ビシン(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン)、トリシン(N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン)、トリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、およびビス−トリス(2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール)、を含む。表Xに明記される多くのものを含む、本明細書で熟慮される特定の実施形態は、約4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、または9.0のpHを有する製剤を特徴とし得、ここで「約」は、1未満、好ましくは0.5未満、好ましくは0.25未満、およびより好ましくは0.1未満のpH単位、多かれ少なかれ、詳述されたpH値未満であり得る量的変動を表わすと理解され得る。
2. キレート剤
キレート剤またはキレート化剤は、特定の実施形態によると、血液サンプル中の生存可能な無傷の細胞の実質的に安定した保存のための本明細書に記載される組成物に含まれ得、金属カチオンと複合する及びその反応性を妨害するその能力に関して当業者に知られている。典型的なキレート剤は、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−四酢酸(CDTA)、1,2−ビス(2−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−四酢酸(BAPTA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(DOTA)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N’,N’−三酢酸、グルコン酸ナトリウム,およびニトリロ三酢酸(NTA)、を含む。1つのキレート剤は、グルコン酸ナトリウムであり、約1.0−50mM、より好ましくは約10−40mM、およびさらにより好ましくは約25mMの濃度で存在し、ここで「約」は、25%未満、より好ましくは20%未満、およびより好ましくは15%、10%、5%または1%未満、多かれ少なかれ、詳述された量未満であり得る量的変動を表わすと理解され得る。
脱水工程
本発明のMCS脱水の製剤は、前脱水の製剤による前処理があってもなくても、脱水プロセス中の細胞膜および細胞小器官ならびに細胞の一般的な形態の完全性を維持することができ、その結果、実質的に乾燥保存された後の細胞の脱水の際に、細胞は脱水前の細胞としての少なくとも一つの機能的特性、例えば細胞の生存度を保持する。
脱水された細胞の乾燥は、例えば単純な目視検査により、すべての湿気が蒸発したか除去されたことを確認するために、判定され得る。いくつかの実施形態において、湿気の指標は、乾燥の達成した度合いを確認するために好ましくは含まれてもよい。細胞を実質的に乾燥させる時間は、MCS脱水の製剤中に存在する試薬によって様々である。細胞は、製剤成分および細胞が固定される血管のジオメトリに依存して、約1〜3時間の期間で最適に脱水される。細胞は、約32℃−約39℃温度範囲、好ましくは約37℃で脱水され、インキュベーターにて、または、温度、酸素レベル、および相対湿度を制御するための人工気候室を使用してよりコントロールされた条件下で、脱水され得る。相対湿度の調節によって、脱水の速度が調節され得る。例えば、水溶性ポリマー(例えばPVA)を含むMCS製剤中の脱水された細胞は、脱水するのに長い期間を要するので、相対湿度は最適な脱水時間を促進するために低減され得る。さらに、様々な幹細胞の実質的な乾燥保存は、細胞が実質的に免疫学的に未分化な状態で維持されるのを保証するために、5%の酸素濃度にて行われる。
温度および湿度を制御する間、細胞上で活発な空気の移動(air movement)を維持する他の脱水方法が利用され得る。
実質的に乾燥した細胞は、密閉して封ができるカバーまたはパウチを使用して保存され得るので、その結果、内容物は、細胞を脱水するのに使用される類似した気候条件の下で、保存のために密封され得る。実質的に乾燥保存される細胞は、一定温度(例えば室温)で最適に保存される。
アポトーシス阻害剤
特定の実施形態において、本明細書に記載されている前脱水の製剤、脱水の製剤、及び/又は再水和の製剤は、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤を含む。特定の実施形態において、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤は、細胞のアポトーシスの誘導を遮断する。
他の実施形態において、アポトーシス阻害剤は、ERストレス経路の少なくとも1つのステップを遮断し、好ましくは可逆的阻害剤である。
特定の実施形態において、脱水の製剤は少なくとも1つのアポトーシス阻害剤を含む。他の実施形態において、前脱水の製剤または再水和製剤は少なくとも1つのアポトーシス阻害剤を含み、また別の実施形態において、前脱水の製剤および再水和製剤の各々は、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤を含む。前脱水の製剤並びに再水和製剤中に存在する少なくとも1つのアポトーシス阻害剤は、同一であってもよく、異なっていてもよい。特定の他の実施形態において、本明細書に記載されている前脱水の製剤、脱水の製剤、及び/又は再水和の製剤は、少なくとも2つのアポトーシス阻害剤を含む。
本明細書に例証されるものを含むアポトーシス阻害剤は、限定されないが、Calbiochem、SelleckChem、Sigma−Aldrich、EMD Millipore、LCLabs、およびmedchemexpressを含む多くの商用製造業者およびサプライヤーを介して、一般に市販で入手可能であるか、または本明細書に開示されるものを含む既知の方法を使用して合成され得る。各アポトーシス阻害剤の最適な濃度は、前脱水の、脱水のおよび/または再水和の製剤のアポトーシス阻害剤の量を滴定することにより判定され得、それは当業者の理解範囲内で適切である。
典型的なアポトーシス阻害剤は次のものを含む:
1.PERK−eIF2―α阻害剤
特定の実施形態において、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はPERK−eIF2―α アルファ経路を遮断する。典型的なPERK−eIF2―α アルファ経路阻害剤は、サルブリナルであるsal−003(3−フェニル−N−[2,2,2−トリクロロ−1−[(4−クロロフェニル)カルバモチオイルアミノ]エチル]プロプ−2−エナミド、GSK2606414(7−メチル−5−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アセチル}−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−5−イル)−7H−ピロロ[2,3d]ピリミジン−4−アミン)、GSK2656157(1−(5−(4−アミノ−7−メチル7H−ピロロ[2,3d]ピリミジン−5−イル)−4−フルオロインドリン−1−イル)−2−(6−メチルピリジン−2−イル)エタノン)およびISRIB(トランス−N,N’−(シクロヘキサン−1,4−ジイル)ビス(2−(4−クロロフェノキシ)アセトアミドである。
サルブリナルはeIF2―αホスファターゼ酵素の特異的な阻害剤である。サルブリナルは、α‐サブユニットの低減された脱リン酸化の結果としてEIF2を間接的に阻害し、結果として、酸化ストレスや小胞体における変性タンパク質の蓄積などのイベントによって通常引き起こされるストレス応答経路の活性化をもたらす。
24時間(例えば48または120時間)より長い、細胞の実質的な乾燥保存のための特定の実施形態において、サルブリナルは、約1nM乃至約2.0μMの間の、好ましくは約1nMと900nMの間の、より好ましくは約10nMと250nMの間の、およびさらに好ましくは約30nMの濃度範囲で、前脱水の及び/又は再水和の製剤に加えられ得る。
ASK1阻害剤
他の実施形態において、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はASK1阻害剤であり、それはJNKおよびp38MAPキナーゼの下流の活性化を遮断する。様々な適切なASK1阻害剤が知られており(例えば、米国特許第8,178,555号;8,378,108号;8,440,665号および8,598,360号)、または例えばMLS−0315763(National Institute of Health)のように市販で入手可能である。典型的なASK1阻害剤は、限定されないが、ベンゾジアゼピノン阻害剤(キムら(2009)J. Biol. Chem. 284:1593−1603)、NDQI−1、およびMLS−0315763を含む。
24時間(例えば48または120時間)より長い、細胞の実質的な乾燥保存のための特定の実施形態において、NDQI−1は、約50nM乃至約3.0μMの間の、好ましくは約250nMと2.0μMの間の、より好ましくは約400nMと2.0μMの間の、およびさらに好ましくは約1.0μMの濃度範囲で、前脱水の及び/又は再水和の製剤に加えられ得る。
24時間(例えば48または120時間)より長い、細胞の実質的な乾燥保存のための他の特定の実施形態において、MLS−0315763は、約1nM乃至約500nMの間の、好ましくは約1nMと250nMの間の、より好ましくは約1nMと250nMの間の、およびさらに好ましくは約1nMと250nMの間の濃度範囲で、前脱水の及び/又は再水和の製剤に加えられ得る。
NRF2−KEAP1阻害剤
特定の実施形態において、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はNRF2−KEAP1経路を遮断する。
典型的なNRF2−KEAP1経路の阻害剤は、限定されないが、カルノシン酸(carnosic acid)、トリ−テルペノイド、スルホラファンおよびtert−ブチルヒドロキノンを含む。
24時間(例えば48または120時間)より長い、細胞の実質的な乾燥保存のための特定の実施形態において、スルホラファンは、約50nM乃至約1.0μMの間の、好ましくは約50nMと500nMの間の、より好ましくは約100nMと400nMの間の、およびさらに好ましくは220nMの濃度範囲で、前脱水の及び/又は再水和の製剤に加えられ得る。
JNK阻害剤
特定の実施形態において、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はJNK阻害剤である。任意のJNK阻害剤が、本明細書の製剤、組成物、方法における使用のために考えられる。JNK阻害剤は一般的に当業者に既知である(例えば、米国特許第6,949,544号;7,129,242号;7,326,418号、8,143,271号および8,530,480号)。
典型的なJNK阻害剤は、限定されないが、SP600125(アントラ[1−9−cd]ピラゾール−6(2H)−オン)、JNK−IN−8(3−[[4−(ジメチルアミノ)−1−オキソ−2−ブテン−1−イル]アミノ]−N−[3−メチル−4−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]フェニル]−ベンズアミド)、およびJNK阻害剤IXであるN−(3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チエン−2−イル)−1−ナフタレンカルボキサミドを含む。
また更なる実施形態において、JNK阻害剤は、ASK1の下流の活性化を遮断するためのp38MAPキナーゼ阻害剤と組み合わせて使用される。
5.p38 MAPキナーゼ阻害剤
特定の他の実施形態において、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はp38 MAPキナーゼ阻害剤である。p38MAPキナーゼ阻害剤は一般に周知である(例えば、米国の特許の番号7,521,460を参照;7,592,455;7,728,013;および7,795,256)。
典型的なp38MAPキナーゼ阻害剤は、限定されないが、SB203580(4−(4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−(メチルスルフィニル)フェニル)−1H−イミダゾール−5−イル)ピリジン)、LY2228820(5−(2−tert−ブチル−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−5−イル)−3−ネオペンチル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−アミン ジメタンスルフォナート)、PD169316(4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−ニトロフェニル)−5−(4−ピリジル)−1H−イミダゾール、PH−797804(3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミド)、SB202190(4−(4−(4−フルオロフェニル)−5−(ピリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)フェノール)、BIRB796(ドラマピモド;1−(3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾール−5−イル)−3−(4−(2−モルホリノエトキシ)ナフタレン−1−イル)ウレア)、VX−702(1−(5−カルバモイル−6−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)−1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレア)、TAK−715(N−[4−[2−エチル−4−(3−メチルフェニル)−5−チアゾリル]−2−ピリジニル]−ベンズアミド)を含む。
特定の他の実施形態において、前脱水の製剤及び/又は再水和製剤は、ASK1依存性のシグナル伝達の下流を遮断するJNK阻害剤およびp38MAPキナーゼ阻害剤を含む。
6.GSK3阻害剤
特定の実施形態において、前脱水の、及び/又は再水和の製剤は、GSK3を遮断するアポトーシス阻害剤を含む。様々なGSK3阻害剤は、本明細書に記載されている製剤および方法で使用するのに適している。GSK3阻害剤は当業者に周知であり(例えば、米国特許第6,057,117号;6,153,618号;第6,417,185号;6,465,231号;6,489,344号;6,608,632号;6,800,632号;6,949,547号;7,045,519号;7,037,918号;7,425,557号;8,143,271号および8,664,244号)、多くのGSK3阻害剤は市販で入手可能であり、それは例えばCHIR98014、N−6−[2−[[4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(1H−イミダゾール−2−イル)−2−ピリミジニル]アミノ]エチル]−3−ニトロ−2,6−ピリジンジアミン(Selleckchem.com; カタログ番号 S2745)およびバルプロエート(Sigma−Aldrichh、St. Louis, MO; カタログ番号P4543)である。
特に好ましいGSK3阻害剤は、限定されないが、CHIR98014、バルプロエート、CT99021およびCT20026を含む。
24時間(例えば48または120時間)より長い、細胞の実質的な乾燥保存のための特定の実施形態においてCHIR98014は、約0.25μM乃至約3.0μMの間の、好ましくは約0.5Mと2.75μMの間の、より好ましくは約1.0μMと2.0μMの間の、およびさらに好ましくは約1.25μMの濃度範囲で、前脱水の及び/又は再水和の製剤に加えられ得る。
7.IRE−1阻害剤
特定の実施形態において、前脱水の、脱水の、及び/又は再水和の製剤は、IRE1を遮断するアポトーシス阻害剤を含む。IRE1阻害剤は既知である(例えば、米国特許第8,372,861号を参照)。
典型的なIRE1阻害剤は限定されないが、IRE1阻害剤I(N−[(2−ヒドロキシナフタレン−1−イル)メチリデン]チオフェン−2−スルホンアミド)、IRE1阻害剤II(3’―ホルミル−4’−ヒドロキシ5’−メトキシビフェニル−3−カルボキサミド)、およびIRE1阻害剤III(8−ホルミル−7−ヒドロキシ−4−メチルクマリン, 7−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−8−カルバルデヒド)を含む。
8.カスパーゼ−1阻害剤
特定の実施形態において、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はカスパーゼ−1阻害剤である。
本明細書に記載されている製剤、組成物および方法で使用される典型的なカスパーゼ−1阻害剤は、限定されないが、カスパーゼ−1阻害剤II(Ac−YVAD−クロロメチル ケトン、N−(2−キノリル)バリル−アスパルチル−(2,6−ジフルオロフェノキシ)メチルケトン( アスパルチル基はα‐メチル化されているか又はα‐メチル化されていない)、VX−765((S)(−1−((S)(−2−(4−アミノ−3−クロロベンズアミド)−3,3-ジメチルブタノイル)−N−((2R,3S)−2−エトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン−3−イル) ピロリジン -2-カルボキサミド)およびZVAD-フルオロメチルケトンを含む。
9.カルパイン阻害剤
特定の実施形態において、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はカルパイン阻害剤である。
カルパイン(カルパイン1−15)の少なくとも15の異なるアイソフォームがある。カルパイン阻害剤は、当業者に周知である(例えば、米国特許第5,541,290号;6,448,245号;7,001,770号;7,476,754号および7,932,266号を参照されたい)。本発明の前脱水の製剤及び/又は再水和製剤は、任意の適切なカルパイン阻害剤またはカルパイン阻害剤の組み合わせを含み得る。
本明細書に記載されている製剤、組成物および方法で使用される特に好ましいカルパイン阻害剤は、限定されないが、カルパイン阻害剤I(N−アセチル−Leu−Leu−ノルロイシン−CHO)、カルパイン阻害剤II(N−アセチル−Leu−Leu−Met)、カルパイン阻害剤III(Z−Val−Phe−CHO)、カルパイン阻害剤IV(Z−Leu−Leu−Tyr−CH2F)、カルパイン阻害剤V(モルホリノウレイジル(Morpholinoureidyl);−Val−ホモフェニルアラニン−CH2F)、カルパイン阻害剤VI(4−フルオロフェニルスルホニル−Val−Leu−CHO)、カルパイン阻害剤X(Z−Leu−α−アミノ酪酸−CONHC2H5)、カルパイン阻害剤XI(Z−L−α−アミノ酪酸―CONH(CH−モルホリン)、およびカルパイン阻害剤XII(Z−L−ノルバリン−CONH−CH2−2−ピリジル)を含む。
10.MEK阻害剤
特定の実施形態において、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はMEK1またはMEK2の阻害剤である。MEK1およびMEK2の阻害剤は既知であり(例えば、米国特許第6,310,060号;第6,440,966号;6,638,945号;7,001,905号;7,169,816号;7,745,663号;7,803,839号;7,897,624号;8,394,822号;8492,427号、及び8,642,584号を参照されたい)、市販で入手可能である。
典型的なMEK阻害剤は限定されないが、PD0325901,N−[(2R)−2,3−ジヒドロキシプロポキシ]−3,4−ジフルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−ベンズアミド,MEK162 ,5−[(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)アミノ]−4−フルオロ−N−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボキサミド、PD184352(2−(2−クロロ−4−ヨードフェニルアミノ)−N−(シクロプロピルメトキシ)−3,4−ジフルオロベンズアミド)、ピマセルチブ((S)−N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)イソニコチンアミド)、セルメチニブ ((6−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)−7−フルオロ−N−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチル−3H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−カルボキサミド)、トラメチニブ((N−(3−(3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テロラピドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル)フェニル)アセトアミド))、PD98059((2−(2−アミノ−3−メトキシフェニル)−4H−クロメン−4−オン)、U0126−EtOH((2Z,3Z)−2,3−ビス(アミノ(2−アミノフェニルチオ)メチレン)スクシノニトリル,エタノール)を含む。
24時間(例えば48または120時間)より長い、細胞の実質的な乾燥保存のための他の特定の実施形態において、PD0325901は、約1nM乃至約1.0μMの間の、好ましくは約10nMと500nMの間の、より好ましくは約20nMと250nMの間の濃度範囲で、さらに好ましくは約50nMで、前脱水の及び/又は再水和の製剤に加えられ得る。
11.PI3K経路阻害剤
特定の他の実施形態において、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はp38 MAPキナーゼ阻害剤である。
本明細書中に記載される製剤、組成物および方法で使用される典型的なPI3K阻害剤は、限定されないが、ダクトリシブ(2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イルイミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)フェニル]プロパンニトリル)、GDC−0941(2−(1H−インダゾール−4−イル)−6−[[4−(メチルスルホニル)−1−ピペラジニル]メチル]−4−(4−モルホリニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン)、 LY294002(2−(4−モルホリニル)−8−フェニル−4H−1−ベンゾピラン−4−オン)、イデラリシブ(5−フルオロ−3−フェニル−2−[(1S)−1−(7H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]−4(3H)−キナゾリノン)、ブパルリシブ(5−(2,6−ジモルホリノピリミジン−4−イル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アミン)、GDC−0032(4−[5,6−ジヒドロ−2−[3−メチル−1−(1−メチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル]イミダゾ[1,2−d][1,4]ベンゾオキサゼピン−9−イル]−α,α−ジメチル−1H−ピラゾール−1−アセトアミド)、PI−103(3−(4−(4−モルホリニル)ピリド[3’(2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)フェノール)、NU7441(8−(4−ジベンゾチエニル)−2−(4−モルホリニル)−4H−1−ベンゾピラン−4−オン)、GSK2636771(2−メチル−1−[[2−メチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]−6−(4−モルホリニル)−1H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸)、IPI−145(8−クロロ−2−フェニル−3−[(1S)−1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル]−1−(2H)−イソキノリノン、XL147(N−(3−(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール−5−イルアミノ)キノキサリン−2−イル)−4−メチルベンゼンスルホンアミド)、TGX−221(7−メチル−2−(4−モルホリニル)−9−[1−(フェニルアミノ)エチル]−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン PIK−90(N−(7,8−ジメトキシ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−5−イル)−ニコチンアミド)、ウォルトマンニン(11−(アセチルオキシ)−1,6b,7,8,9a,10,11,11b−オクタヒドロ−1−(メトキシメチル)−9a,11b−ジメチル)−9a,11b−ジメチル,(1S,6bR,9aS,11R,11bR)−3H−フルオロ[4,3,2−de]インデノ[4,5−h]−2−ベンゾピラン−3,6,9−トリオン)、VS−5584(5−[8−メチル−9−(1−メチルエチル)−2−(4−モルホリニル)−9H−プリン−6−イル]−2−ピリミジンアミン)、およびTG−100703(3−(2,4−ジアミノ−6−プテリジニル)−フェノール)を含む。
24時間(例えば48または120時間)より長い、細胞の実質的な乾燥保存のための他の特定の実施形態において、LY294002は、約10nM乃至約2.0μMの間の、好ましくは約20nMと1.0μMの間の、より好ましくは約50nMと500nMの間の、さらに好ましくは約120nMの濃度範囲で、前脱水の及び/又は再水和の製剤に加えられ得る。
ERシャペロン誘導剤
特定の実施形態において、本明細書に記載されている前脱水の製剤、脱水の製剤、及び/又は再水和の製剤は、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤およびERシャペロン誘導剤を含む。本明細書に記載されている製剤、組成物および方法で使用される適切なERシャペロン誘導剤は、限定されないが、BIX、バルプロエートおよびリチウムを含む。
BIX
BiP誘導剤X(BIX)は、GRP78/BiPの発現を誘導する化合物スクリーニングにおいて同定された。BIXは、GRP94(94kDaのグルコースに調整されたタンパク質)、カルレティキュリン、およびC/EBPホモログタンパク質のわずかな誘導を伴って、BiPを優先的に誘導した。BIXによるBiP mRNAの誘動は、ATF6(活性化転写因子(activating transcription factor)6)経路を介して、BiP遺伝子の上流のERストレス応答因子の活性化によって媒介された。
バルプロエート
バルプロエート(2−プロピルペンタン酸)は、てんかん、双極性躁病及び片頭痛の予防の処理のために認可されている。バルプロエートは室温で液体であるが、水酸化ナトリウムなど塩基と反応してバルプロエートナトリウム塩を形成し得、それは固体である。バルプロエートの作用機序は完全には理解されていないが、CYP2C9、グルクロニルトランスフェラーゼ、およびエポキシドヒドロラーゼを阻害すること、ならびに脳におけるγ−アミノ酪酸(GABA)のレベルの増加につながることがしめされている。バルプロエートの投与は、GRP78/BiPの発現を増加させ、それにより3つの近位の膜貫通性のセンサー、PERK、IRE1およびATF6を好ましい不活性化状態で安定化させる。
3.リチウム
元素リチウムは、種々の気分障害を処理するために使用される。リチウムの投与は、GRP78/BiPの発現を増加させ、それにより3つの近位の膜貫通性のセンサー、PERK、IRE1およびATF6を好ましい不活性化状態で安定化させる。
オートファジー誘導剤
特定の他の態様で、前脱水の製剤、脱水の製剤、及び/又は再水和製剤は、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤およびオートファジー誘導剤を含む。オートファジーの誘導剤は、望ましくない又はミスフォールドしたタンパク質のリソソーム分解を有益に促進し、それによって細胞でのUPRの効果を高める、一連の多様な化合物である。いかなる理論にも束縛されないが、アポトーシス阻害剤とオートファジー誘導剤の組合せはERストレス経路を遮断し、脱水の結果として生じ得るミスフォールドしたタンパク質の分解をさらに促進しながら、細胞での再水和をいくぶんか助けて、脱水前の細胞としての少なくとも1つの機能特性を保持する、と考えられている。
典型的なオートファジー誘導剤は限定されないが、フルスピリレン、トリフルオペラジン、ピモジド、ニカルジビン、ニグルジピン、ロペラミド、アミオダロン、ラパマイシン、レスベラトロルおよびSMERを含む。
24時間(例えば48または120時間)より長い、細胞の実質的な乾燥保存のための他の特定の実施形態において、ラパマイシンは、約1nM乃至約1.0μMの間の、好ましくは約20nMと200nMの間の、より好ましくは約20nMと80nMの間の、およびさらに好ましくは約20nMの濃度範囲で、前脱水の及び/又は再水和の製剤に加えられ得る。
生存タンパク質
別の態様で、前脱水の製剤、脱水及び/又は再水和製剤は、生存タンパク質を含む。
典型的な生存タンパク質はBcl−xLである。
Bcl−xLはBCL−2ファミリーのメンバーで、ミトコンドリアにある膜貫通タンパク質である。Bclは、長い形体であるBcl−XLおよび短いスプライスバリアント形体であるBcl−XSの、2つの形体で存在することが報告されている。Bcl−xLは、内因性アポトーシス経路のレベルで機能するが、外因性経路(Fas/TNF細胞死受容体)はカスパーゼの活性化を直接導き、カスパーゼの活性化につながるシトクロムcなどのミトコンドリア内容物の放出を妨げる。プロ生存Bcl−2ファミリータンパク質並びに抗生存Bcl−2ファミリータンパク質の相対量が、細胞が細胞死を起こすかどうか定めている、ということはアポトーシスの分野で十分に確立された概念である。
特定の実施形態において、Bcl−xLは、Bcl−xLの十分な細胞内の取り込みを保証するためのリポソーム製剤を使用して、細胞に送達される。
前脱水の製剤
特定の態様において、細胞の実質的な乾燥保存のための組成物および方法は、細胞が前脱水の製剤により処理されるという、脱水前のさらなる工程を含む。一実施形態において、前脱水の製剤は少なくとも1つのアポトーシス阻害剤を、好ましくは可逆的アポトーシス阻害剤を含む。前脱水の製剤は、含む別の実施形態において、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤および少なくとも1つのERシャペロン誘導剤、少なくとも1つのオートファジー誘導剤または少なくとも1つの生存タンパク質を含む。
特定の実施形態において、前脱水の製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤は、PERK−eIF2―α阻害剤、ASK1阻害剤、NRF2−KEAP1阻害剤、JNK阻害剤、p38MAPキナーゼ阻害剤、IRE1阻害剤、GSK3阻害剤、MEK阻害剤、PI3K経路阻害剤、カルパイン阻害剤およびカスパーゼ−1阻害剤から成る群から選択される。
一実施形態において、前脱水の製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はPERK−eIF2―α阻害剤である。特定の実施形態では、PERK−eIF2―α阻害剤は、サルブリナルであるSal-003(3−フェニル−N−[2,2,2−トリクロロ−1−[(4−クロロフェニル)カルバモチオイルアミノ]エチル]プロプ−2−エナミド)、GSK2606414(7−メチル−5−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アセチル}−2,3−ジヒドロ−1−H−インドール−5−イル)7−H−ピロロ[2,3d]ピリミジン−4−アミン)、GSK2656157(1−(5−(4−アミノ−7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)−4−フルオロインドリン−1−イル)−2−(6−メチルピリジン−2−イル)エタノン)、およびISRIB(トランス−N,N’−(シクロヘキサン−1,4−ジイル)ビス(2−(4−クロロフェノキシ)アセトアミド)から成る群から選択される。特定の他の実施形態において、PERK−eIF2―α阻害剤はサルブリナルである。
別の実施形態において、前脱水の製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はASK1阻害剤、好ましくはNDQI−1またはMLS−0315763である。
さらに別の実施形態において、前脱水の製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はNRF2−KEAP1阻害剤である。特定の実施形態において、NRF2−KEAP1阻害剤は、カルノシン酸、トリ・テルペノイド、スルホラファンおよびtert−ブチルヒドロキノンから成る群から選択される。
さらに別の実施形態において、前脱水の製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はGSK3阻害剤である。特定の実施形態において、GSK3阻害剤は、CHIR98014(N6−[2−[[4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(1H−イミダゾール−2−イル)−2−ピリミジニル]アミノ]エチル]−3−ニトロ−2,6−ピリジンジアミン)、バルプロエート、CT99021およびCT20026から成る群から選択される。
さらなる実施形態において、前脱水の製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はMEK阻害剤である。特定の実施形態において、MEK阻害剤は、PD0325901(N−[(2R)−2,3−ジヒドロキシプロポキシ]−3,4−ジフルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−ベンズアミド)、MEK162(5−[(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)アミノ]−4−フルオロ−N−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボキサミド、PD184352(2−(2−クロロ−4−ヨードフェニルアミノ)−N−(シクロプロピルメトキシ)−3,4−ジフルオロベンズアミド)、ピマセルチブ((S)−N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)イソニコチンアミド)、セルメチニブ((6−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)−7−フルオロ−N−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチル−3H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−カルボキサミド)、トラメチニブ((N−(3−(3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テロラピドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル)フェニル)アセトアミド)、PD98059(2−(2−アミノ−3−メトキシフェニル)−4H−クロメン−4−オン)、U0126−EtOH((2Z,3Z)−2,3−ビス(アミノ(2−アミノフェニルチオ)メチレン)スクシノニトリル,エタノール)から成る群から選択される。
さらに別の実施形態において、前脱水の製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はJNK阻害剤である。特定の実施形態において、JNK阻害剤は、SP600125(アントラ[1−9−cd]ピラゾール−6(2H)−オン)、JNK−IN−8(3−[[4−(ジメチルアミノ)−1−オキソ−2−ブテン−1−イル]アミノ]−N−[3−メチル−4−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]フェニル]−ベンズアミド)、およびJNK阻害剤IXであるN−(3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チエン−2−イル)−1−ナフタレンカルボキサミドから成る群から選択される。
別の実施形態において、前脱水の製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はJNK阻害剤およびp38MAPキナーゼ阻害剤である。特定の実施形態において、p38MAPキナーゼ阻害剤は、SB203580(4−(4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−(メチルスルフィニル)フェニル)−1H−イミダゾール−5−イル)ピリジン)、LY2228820(5−(2−tert−ブチル−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−5−イル)−3−ネオペンチル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−アミン ジメタンスルフォナート)、PD169316(4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−ニトロフェニル)−5−(4−ピリジル)−1H−イミダゾール、PH−797804(3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミド)、SB202190(4−(4−(4−フルオロフェニル)−5−(ピリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)フェノール)、BIRB796(ドラマピモド;1−(3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾール−5−イル)−3−(4−(2−モルホリノエトキシ)ナフタレン−1−イル)ウレア)、VX−702(1−(5−カルバモイル−6−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)−1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレア)、およびTAK−715(N−[4−[2−エチル−4−(3−メチルフェニル)−5−チアゾリル]−2−ピリジニル]−ベンズアミド)から成る群から選択される。
さらなる実施形態において、前脱水の製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はPI3K阻害剤である。特定の実施形態において、PI3K阻害剤は、ダクトリシブ(2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イルイミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)フェニル]プロパンニトリル)、GDC−0941(2−(1H−インダゾール−4−イル)−6−[[4−(メチルスルホニル)−1−ピペラジニル]メチル]−4−(4−モルホリニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン)、 LY294002(2−(4−モルホリニル)−8−フェニル−4H−1−ベンゾピラン−4−オン)、イデラリシブ(5−フルオロ−3−フェニル−2−[(1S)−1−(7H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]−4(3H)−キナゾリノン)、ブパルリシブ(5−(2,6−ジモルホリノピリミジン−4−イル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アミン)、
GDC−0032(4−[5,6−ジヒドロ−2−[3−メチル−1−(1−メチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル]イミダゾ[1,2−d][1,4]ベンゾオキサゼピン−9−イル]−α,α−ジメチル−1H−ピラゾール−1−アセトアミド)、PI−103(3−(4−(4−モルホリニル)ピリド[3’(2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)フェノール)、NU7441(8−(4−ジベンゾチエニル)−2−(4−モルホリニル)−4H−1−ベンゾピラン−4−オン)、GSK2636771(2−メチル−1−[[2−メチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]−6−(4−モルホリニル)−1H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸)、IPI−145(8−クロロ−2−フェニル−3−[(1S)−1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル]−1−(2H)−イソキノリノン、XL147(N−(3−(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール−5−イルアミノ)キノキサリン−2−イル)−4−メチルベンゼンスルホンアミド)、TGX−221(7−メチル−2−(4−モルホリニル)−9−[1−(フェニルアミノ)エチル]−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン)、PIK−90(N−(7,8−ジメトキシ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−5−イル)−ニコチンアミド)、ウォルトマンニン(11−(アセチルオキシ)−1,6b,7,8,9a,10,11,11b−オクタヒドロ−1−(メトキシメチル)−9a,11b−ジメチル)−9a,11b−ジメチル,(1S,6bR,9aS,11R,11bR)−3H−フルオロ[4,3,2−de]インデノ[4,5−h]−2−ベンゾピラン−3,6,9−トリオン)、VS−5584(5−[8−メチル−9−(1−メチルエチル)−2−(4−モルホリニル)−9H−プリン−6−イル]−2−ピリミジンアミン)、およびTG−100703(3−(2,4−ジアミノ−6−プテリジニル)−フェノール)から成る群から選択される。
一実施形態において、前脱水の製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はIRE−1阻害剤である。特定の実施形態において、IRE−1阻害剤は、IRE1阻害剤I(N−[(2−ヒドロキシナフタレン−1−イル)メチリデン]チオフェン−2−スルホンアミド)、IRE1阻害剤II(3’―ホルミル−4’−ヒドロキシ5’−メトキシビフェニル−3−カルボキサミド)、およびIRE1阻害剤III(8−ホルミル−7−ヒドロキシ−4−メチルクマリン, 7−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−8−カルバルデヒド)から成る群から選択される。
一実施形態において、前脱水の製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はカルパイン阻害剤である。特定の実施形態においてカルパイン阻害剤は、カルパイン阻害剤I(N−アセチル−Leu−Leu−ノルロイシン−CHO)、カルパイン阻害剤II(N−アセチル−Leu−Leu−Met)、カルパイン阻害剤III(Z−Val−Phe−CHO)、カルパイン阻害剤IV(Z−Leu−Leu−Tyr−CH2F)、カルパイン阻害剤V(モルホリノウレイジル(Morpholinoureidyl);−Val−ホモフェニルアラニン−CH2F)、カルパイン阻害剤VI(4−フルオロフェニルスルホニル−Val−Leu−CHO)、カルパイン阻害剤X(Z−Leu−α−アミノ酪酸−CONHC2H5)、カルパイン阻害剤XI(Z−L−α−アミノ酪酸―CONH(CH−モルホリン)、およびカルパイン阻害剤XII(Z−L−ノルバリン−CONH−CH2−2−ピリジル)から成る群から選択される。
一実施形態において、前脱水の製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はカスパーゼ−1阻害剤である。特定の実施形態においてカスパーゼ−1阻害剤は、カスパーゼ−1阻害剤II(Ac−YVAD−クロロメチル ケトン、N−(2−キノリル)バリル−アスパルチル−(2,6−ジフルオロフェノキシ)メチルケトン(アスパルチル基はα‐メチル化されているか又はα‐メチル化されていない)、VX−765((S)(−1−((S)(−2−(4−アミノ−3−クロロベンズアミド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((2R,3S)−2−エトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン−3−イル) ピロリジン −2−カルボキサミド)およびZVAD−フルオロメチルケトンから成る群から選択される。
別の態様において、前脱水の製剤は少なくとも1つのアポトーシス阻害剤および少なくとも1つのERシャペロン誘導剤を含む。特定の実施形態において、ERシャペロン誘導剤はBIX、バルプロエートおよびリチウムから成る群から選択される。
別の態様において、前脱水の製剤は少なくとも1つのアポトーシス阻害剤および少なくとも1つのオートファジー誘導剤を含む。特定の実施形態において、オートファジー誘導剤は、フルスピリレン、トリフルオペラジン、ピモジド、ニカルジビン、ニグルジピン、ロペラミド、アミオダロン、ラパマイシン、レスベラトロルおよびSMERから成る群から選択される。
別の態様において、前脱水の製剤は少なくとも1つのアポトーシス阻害剤および少なくとも1つの生存タンパク質を含む。一実施形態において、生存タンパク質はBcl−xLである。
再水和製剤
特定の他の態様において、細胞の実質的な乾燥保存のための組成物および方法は、再水和製剤を用いた、実質的に乾燥保存された細胞の再水和を含む。一実施形態において、再水和製剤は少なくとも1つのアポトーシス阻害剤を、好ましくは可逆的アポトーシス阻害剤を含む。別の実施形態において、再水和製剤は少なくとも1つのアポトーシス阻害剤および少なくとも1つのERシャペロン誘導剤を含む。
特定の実施形態において、再水和製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤は、PERK−eIF2―α阻害剤、ASK1阻害剤、NRF2−KEAP1阻害剤、JNK阻害剤、p38MAPキナーゼ阻害剤、IRE1阻害剤、GSK3阻害剤、MEK阻害剤、aPI3K経路阻害剤、カルパイン阻害剤およびカスパーゼ−1阻害剤から成る群から選択される。
一実施形態において、再水和製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はPERK−eIF2―α阻害剤である。特定の実施形態では、PERK−eIF2―α阻害剤は、サルブリナルであるSal−003(3−フェニル−N−[2,2,2−トリクロロ−1−[(4−クロロフェニル)カルバモチオイルアミノ]エチル]プロプ−2−エナミド)、GSK2606414(7−メチル−5−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アセチル}−2,3−ジヒドロ−1−H−インドール−5−イル)7−H−ピロロ[2,3d]ピリミジン−4−アミン)、GSK2656157(1−(5−(4−アミノ−7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)−4−フルオロインドリン−1−イル)−2−(6−メチルピリジン−2−イル)エタノン)、およびISRIB(トランス−N,N’−(シクロヘキサン−1,4−ジイル)ビス(2−(4−クロロフェノキシ)アセトアミド)から成る群から選択される。
別の実施形態において、再水和製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はASK1阻害剤、好ましくはNDQI−1またはMLS−0315763である。
さらに別の実施形態において、再水和製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はNRF2−KEAP1阻害剤である。特定の実施形態において、NRF2−KEAP1阻害剤は、カルノシン酸、トリ・テルペノイド、スルホラファンおよびtert−ブチルヒドロキノンから成る群から選択される。
さらに別の実施形態において、再水和製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はGSK3阻害剤である。特定の実施形態において、GSK3阻害剤は、CHIR98014(N6−[2−[[4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(1H−イミダゾール−2−イル)−2−ピリミジニル]アミノ]エチル]−3−ニトロ−2,6−ピリジンジアミン)、バルプロエート、CT99021およびCT20026から成る群から選択される。
さらなる実施形態において、再水和製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はMEK阻害剤である。特定の実施形態において、MEK阻害剤は、PD0325901,N−[(2R)−2,3−ジヒドロキシプロポキシ]−3,4−ジフルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−ベンズアミド,MEK162 ,5−[(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)アミノ]−4−フルオロ−N−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボキサミド、PD184352(2−(2−クロロ−4−ヨードフェニルアミノ)−N−(シクロプロピルメトキシ)−3,4−ジフルオロベンズアミド)、ピマセルチブ ((S)−N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)イソニコチンアミド)、セルメチニブ ((6−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)−7−フルオロ−N−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチル−3H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−カルボキサミド)、トラメチニブ((N−(3−(3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テロラピドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル)フェニル)アセトアミド))、PD98059(2−(2−アミノ−3−メトキシフェニル)−4H−クロメン−4−オン)、U0126−EtOH((2Z,3Z)−2,3−ビス(アミノ(2−アミノフェニルチオ)メチレン)スクシノニトリル,エタノール)から成る群から選択される。
さらに別の実施形態において、再水和製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はJNK阻害剤である。特定の実施形態において、JNK阻害剤は、SP600125(アントラ[1−9−cd]ピラゾール−6(2H)−オン)、JNK−IN−8(3−[[4−(ジメチルアミノ)−1−オキソ−2−ブテン−1−イル]アミノ]−N−[3−メチル−4−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]フェニル]−ベンズアミド)、およびJNK阻害剤IXであるN−(3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チエン−2−イル)−1−ナフタレンカルボキサミドから成る群から選択される。
別の実施形態において、再水和製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はJNK阻害剤およびp38MAPキナーゼ阻害剤である。特定の実施形態において、p38MAPキナーゼ阻害剤は、SB203580(4−(4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−(メチルスルフィニル)フェニル)−1H−イミダゾール−5−イル)ピリジン)、LY2228820(5−(2−tert−ブチル−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−5−イル)−3−ネオペンチル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−アミン ジメタンスルフォナート)、PD169316(4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−ニトロフェニル)−5−(4−ピリジル)−1H−イミダゾール、PH−797804(3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミド)、SB202190(4−(4−(4−フルオロフェニル)−5−(ピリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)フェノール)、BIRB796(ドラマピモド;1−(3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾール−5−イル)−3−(4−(2−モルホリノエトキシ)ナフタレン−1−イル)ウレア)、VX−702(1−(5−カルバモイル−6−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)−1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレア)、およびTAK−715(N−[4−[2−エチル−4−(3−メチルフェニル)−5−チアゾリル]−2−ピリジニル]−ベンズアミド)からなる群から選択される。
さらなる実施形態において、再水和製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はPI3K阻害剤である。特定の実施形態において、PI3K阻害剤は、(ダクトリシブ(2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イルイミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)フェニル]プロパンニトリル)、GDC−0941(2−(1H−インダゾール−4−イル)−6−[[4−(メチルスルホニル)−1−ピペラジニル]メチル]−4−(4−モルホリニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン)、 LY294002(2−(4−モルホリニル)−8−フェニル−4H−1−ベンゾピラン−4−オン)、イデラリシブ(5−フルオロ−3−フェニル−2−[(1S)−1−(7H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]−4(3H)−キナゾリノン)、ブパルリシブ(5−(2,6−ジモルホリノピリミジン−4−イル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アミン)、
GDC−0032(4−[5,6−ジヒドロ−2−[3−メチル−1−(1−メチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル]イミダゾ[1,2−d][1,4]ベンゾオキサゼピン−9−イル]−α,α−ジメチル−1H−ピラゾール−1−アセトアミド)、PI−103(3−(4−(4−モルホリニル)ピリド[3’(2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)フェノール)、NU7441(8−(4−ジベンゾチエニル)−2−(4−モルホリニル)−4H−1−ベンゾピラン−4−オン)、GSK2636771(2−メチル−1−[[2−メチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]−6−(4−モルホリニル)−1H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸)、IPI−145(8−クロロ−2−フェニル−3−[(1S)−1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル]−1−(2H)−イソキノリノン、XL147(N−(3−(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール−5−イルアミノ)キノキサリン−2−イル)−4−メチルベンゼンスルホンアミド)、TGX−221(7−メチル−2−(4−モルホリニル)−9−[1−(フェニルアミノ)エチル]−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン)、PIK−90(N−(7,8−ジメトキシ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−5−イル)−ニコチンアミド)、ウォルトマンニン(11−(アセチルオキシ)−1,6b,7,8,9a,10,11,11b−オクタヒドロ−1−(メトキシメチル)−9a,11b−ジメチル)−9a,11b−ジメチル,(1S,6bR,9aS,11R,11bR)−3H−フルオロ[4,3,2−de]インデノ[4,5−h]−2−ベンゾピラン−3,6,9−トリオン)、VS−5584(5−[8−メチル−9−(1−メチルエチル)−2−(4−モルホリニル)−9H−プリン−6−イル]−2−ピリミジンアミン)、およびTG−100703(3−(2,4−ジアミノ−6−プテリジニル)−フェノール)から成る群から選択される。
一実施形態において、再水和製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はIRE−1阻害剤である。特定の実施形態において、IRE−1阻害剤は、IRE1阻害剤I(N−[(2−ヒドロキシナフタレン−1−イル)メチリデン]チオフェン−2−スルホンアミド)、IRE1阻害剤II(3’―ホルミル−4’−ヒドロキシ5’−メトキシビフェニル−3−カルボキサミド)、およびIRE1阻害剤III(8−ホルミル−7−ヒドロキシ−4−メチルクマリン,7−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−8−カルバルデヒド)から成る群から選択される。
一実施形態において、再水和製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はカルパイン阻害剤である。特定の実施形態においてカルパイン阻害剤は、カルパイン阻害剤I(N−アセチル−Leu−Leu−ノルロイシン−CHO)、カルパイン阻害剤II(N−アセチル−Leu−Leu−Met)、カルパイン阻害剤III(Z−Val−Phe−CHO)、カルパイン阻害剤IV(Z−Leu−Leu−Tyr−CH2F)、カルパイン阻害剤V(モルホリノウレイジル(Morpholinoureidyl);−Val−ホモフェニルアラニン−CHF)、カルパイン阻害剤VI(4−フルオロフェニルスルホニル−Val−Leu−CHO)、カルパイン阻害剤X(Z−Leu−α−アミノ酪酸−CONHC)、カルパイン阻害剤XI(Z−L−α−アミノ酪酸―CONH(CH−モルホリン)、およびカルパイン阻害剤XII(Z−L−ノルバリン−CONH−CH−2−ピリジル)から成る群から選択される。
一実施形態において、再水和製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤はカスパーゼ−1阻害剤である。特定の実施形態においてカスパーゼ−1阻害剤は、カスパーゼ−1阻害剤II(Ac−YVAD−クロロメチル ケトン、N−(2−キノリル)バリル−アスパルチル−(2,6−ジフルオロフェノキシ)メチルケトン(アスパルチル基はα‐メチル化されているか又はα‐メチル化されていない)、VX−765((S)(−1−((S)(−2−(4−アミノ−3−クロロベンズアミド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((2R,3S)−2−エトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン−3−イル)ピロリジン−2−カルボキサミド)およびZVAD−フルオロメチルケトンから成る群から選択される。
別の態様において、再水和製剤は少なくとも1つのアポトーシス阻害剤および少なくとも1つのERシャペロン誘導剤を含む。特定の実施形態において、ERシャペロン誘導剤はBIX、バルプロエートおよびリチウムから成る群から選択される。
別の態様において、再水和製剤は少なくとも1つのアポトーシス阻害剤および少なくとも1つのオートファジー誘導剤を含む。一定の実施形態において、オートファジー誘導剤は、フルスピリレン、トリフルオペラジン、ピモジド、ニカルジビン、ニグルジピン、ロペラミド、アミオダロン、ラパマイシン、レスベラトロルおよびSMERから成る群から選択される。
別の態様において、再水和製剤は少なくとも1つのアポトーシス阻害剤および少なくとも1つの生存タンパク質を含む。一実施形態において、生存タンパク質はBcl−xLである。
方法
本発明の別の態様において、方法は、冷凍または凍結乾燥なしに、周囲温度で1以上の細胞の実質的な乾燥保存のために提供され、該方法は、乾燥保存安定剤を含有する脱水組成物と1以上の細胞をインキュベートする工程、および、脱水の製剤の存在下1以上の前処理された細胞を脱水して、1以上の実質的に乾燥保存された細胞を生成する工程を含む。特定の実施形態において、脱水の製剤は、少なくとも一つのアポトーシス阻害剤をさらに含み、前記方法は、少なくとも一つのアポトーシス阻害剤を含有する再水和のバッファーを用いて、1以上の実質的に乾燥保存された細胞を再水和する工程をさらに含む。
本発明の別の態様において、方法は、冷凍または凍結乾燥なしに、周囲温度で1以上の細胞の実質的な乾燥保存のために提供され、該方法は、アポトーシス阻害剤を含有する前脱水の製剤と共に1以上の細胞をインキュベートして、1以上の前処理された細胞を生成する工程、前脱水の製剤を除去する工程、および、脱水の製剤の存在下で1以上の前処理された細胞を脱水して、1以上の実質的に乾燥保存された細胞を生成する工程、を含む。特定の実施形態において、脱水の製剤は、少なくとも一つのアポトーシス阻害剤をさらに含み、前記方法は、少なくとも一つのアポトーシス阻害剤を含有する再水和バッファーを用いて、1以上の実質的に乾燥保存された細胞を再水和する工程をさらに含む。
多くのアポトーシス阻害剤は、高濃度で、または長期間の暴露で、細胞に有害な作用を有し得る。逆に、短すぎる前脱水の製剤又は再水和製剤に対する細胞の暴露、または低すぎる濃度のアポトーシス阻害剤での暴露は、脱水症中に所望の付加的処理効果をもたらさない。したがって、前脱水工程および再水和工程使用する、細胞の実質的な乾燥保存のための方法では、暴露時間は所望の抑制効果を達成するために適切に制御される必要がある。
特定の実施形態において、方法において使用される少なくとも一つのアポトーシス阻害剤は、PERK−eIF2―α阻害剤、ASK1阻害剤、NRF2−KEAP1阻害剤、JNK阻害剤、p38MAPキナーゼ阻害剤、IRE1阻害剤、GSK3阻害剤、MEK阻害剤、aPI3K経路阻害剤、カルパイン阻害剤およびカスパーゼ−1阻害剤から成る群から選択される。
一実施形態において、方法において使用される少なくとも一つのアポトーシス阻害剤はPERK−eIF2―α阻害剤である。特定の実施形態では、PERK−eIF2―α阻害剤は、サルブリナルであるSal−003(3−フェニル−N−[2,2,2−トリクロロ−1−[(4−クロロフェニル)カルバモチオイルアミノ]エチル]プロプ−2−エナミド)、GSK2606414(7−メチル−5−(1−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アセチル}−2,3−ジヒドロ−1−H−インドール−5−イル)7−H−ピロロ[2,3d]ピリミジン−4−アミン)、GSK2656157(1−(5−(4−アミノ−7−メチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)−4−フルオロインドリン−1−イル)−2−(6−メチルピリジン−2−イル)エタノン)、およびISRIB(トランス−N,N’−(シクロヘキサン−1,4−ジイル)ビス(2−(4−クロロフェノキシ)アセトアミド)から成る群から選択される。特定の他の実施形態では、PERK−eIF2―α阻害剤はサルブリナルである。
別の実施形態において、方法において使用される少なくとも一つのアポトーシス阻害剤はASK1阻害剤、好ましくはNDQI−1またはMLS−0315763である。
さらに別の実施形態において、方法において使用される少なくとも一つのアポトーシス阻害剤はNRF2−KEAP1阻害剤である。特定の実施形態において、NRF2−KEAP1阻害剤は、カルノシン酸、トリ・テルペノイド、スルホラファンおよびtert−ブチルヒドロキノンから成る群から選択される。
さらに別の実施形態において、方法において使用される少なくとも一つのアポトーシス阻害剤はGSK3阻害剤である。特定の実施形態において、GSK3阻害剤は、CHIR98014(N6−[2−[[4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(1H−イミダゾール−2−イル)−2−ピリミジニル]アミノ]エチル]−3−ニトロ−2,6−ピリジンジアミン)、バルプロエート、CT99021およびCT20026から成る群から選択される。
さらなる実施形態において、方法において使用される少なくとも一つのアポトーシス阻害剤はMEK阻害剤である。特定の実施形態において、MEK阻害剤は、PD0325901,N−[(2R)−2,3−ジヒドロキシプロポキシ]−3,4−ジフルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−ベンズアミド,MEK162 ,5−[(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)アミノ]−4−フルオロ−N−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−メチル−1H−ベンズイミダゾール−6−カルボキサミド、PD184352(2−(2−クロロ−4−ヨードフェニルアミノ)−N−(シクロプロピルメトキシ)−3,4−ジフルオロベンズアミド)、ピマセルチブ ((S)−N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−3−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)イソニコチンアミド)、セルメチニブ ((6−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)−7−フルオロ−N−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチル−3H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−カルボキサミド)、トラメチニブ((N−(3−(3−シクロプロピル−5−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6,8−ジメチル−2,4,7−トリオキソ−3,4,6,7−テロラピドロピリド[4,3−d]ピリミジン−1(2H)−イル)フェニル)アセトアミド))、PD98059(2−(2−アミノ−3−メトキシフェニル)−4H−クロメン−4−オン)、U0126−EtOH((2Z,3Z)−2,3−ビス(アミノ(2−アミノフェニルチオ)メチレン)スクシノニトリル,エタノール)から成る群から選択される。
さらに別の実施形態において、方法において使用される少なくとも一つのアポトーシス阻害剤はJNK阻害剤である。特定の実施形態において、JNK阻害剤は、SP600125(アントラ[1−9−cd]ピラゾール−6(2H)−オン)、JNK−IN−8(3−[[4−(ジメチルアミノ)−1−オキソ−2−ブテン−1−イル]アミノ]−N−[3−メチル−4−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]フェニル]−ベンズアミド)、およびJNK阻害剤IXであるN−(3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チエン−2−イル)−1−ナフタレンカルボキサミドから成る群から選択される。
別の実施形態において、方法において使用される少なくとも一つのアポトーシス阻害剤はJNK阻害剤およびp38MAPキナーゼ阻害剤である。特定の実施形態において、p38MAPキナーゼ阻害剤は、SB203580(4−(4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−(メチルスルフィニル)フェニル)−1H−イミダゾール−5−イル)ピリジン)、LY2228820(5−(2−tert−ブチル−4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−5−イル)−3−ネオペンチル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−アミン ジメタンスルフォナート)、PD169316(4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−ニトロフェニル)−5−(4−ピリジル)−1H−イミダゾール、PH−797804(3−(4−(2,4−ジフルオロベンジルオキシ)−3−ブロモ−6−メチル−2−オキソピリジン−1(2H)−イル)−N,4−ジメチルベンズアミド)、SB202190(4−(4−(4−フルオロフェニル)−5−(ピリジン−4−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)フェノール)、BIRB796(ドラマピモド;1−(3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾール−5−イル)−3−(4−(2−モルホリノエトキシ)ナフタレン−1−イル)ウレア)、VX−702(1−(5−カルバモイル−6−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジン−2−イル)−1−(2,6−ジフルオロフェニル)ウレア)、およびTAK−715(N−[4−[2−エチル−4−(3−メチルフェニル)−5−チアゾリル]−2−ピリジニル]−ベンズアミド)からなる群から選択される。
さらなる実施形態において、方法において使用される少なくとも一つのアポトーシス阻害剤はPI3K阻害剤である。特定の実施形態において、PI3K阻害剤は、ダクトリシブ(2−メチル−2−[4−(3−メチル−2−オキソ−8−キノリン−3−イルイミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル)フェニル]プロパンニトリル)、GDC−0941(2−(1H−インダゾール−4−イル)−6−[[4−(メチルスルホニル)−1−ピペラジニル]メチル]−4−(4−モルホリニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン)、 LY294002(2−(4−モルホリニル)−8−フェニル−4H−1−ベンゾピラン−4−オン)、イデラリシブ(5−フルオロ−3−フェニル−2−[(1S)−1−(7H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]−4(3H)−キナゾリノン)、ブパルリシブ(5−(2,6−ジモルホリノピリミジン−4−イル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アミン)、GDC−0032(4−[5,6−ジヒドロ−2−[3−メチル−1−(1−メチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル]イミダゾ[1,2−d][1,4]ベンゾオキサゼピン−9−イル]−α,α−ジメチル−1H−ピラゾール−1−アセトアミド)、PI−103(3−(4−(4−モルホリニル)ピリド[3’(2’:4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)フェノール)、NU7441(8−(4−ジベンゾチエニル)−2−(4−モルホリニル)−4H−1−ベンゾピラン−4−オン)、GSK2636771(2−メチル−1−[[2−メチル−3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]−6−(4−モルホリニル)−1H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸)、IPI−145(8−クロロ−2−フェニル−3−[(1S)−1−(9H−プリン−6−イルアミノ)エチル]−1−(2H)−イソキノリノン、XL147(N−(3−(ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾール−5−イルアミノ)キノキサリン−2−イル)−4−メチルベンゼンスルホンアミド)、TGX−221(7−メチル−2−(4−モルホリニル)−9−[1−(フェニルアミノ)エチル]−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン)、PIK−90(N−(7,8−ジメトキシ−2,3−ジヒドロ−イミダゾ[1,2−c]キナゾリン−5−イル)−ニコチンアミド)、ウォルトマンニン(11−(アセチルオキシ)−1,6b,7,8,9a,10,11,11b−オクタヒドロ−1−(メトキシメチル)−9a,11b−ジメチル)−9a,11b−ジメチル,(1S,6bR,9aS,11R,11bR)−3H−フルオロ[4,3,2−de]インデノ[4,5−h]−2−ベンゾピラン−3,6,9−トリオン)、VS−5584(5−[8−メチル−9−(1−メチルエチル)−2−(4−モルホリニル)−9H−プリン−6−イル]−2−ピリミジンアミン)、およびTG−100703(3−(2,4−ジアミノ−6−プテリジニル)−フェノール)から成る群から選択される。
一実施形態において、方法において使用される少なくとも一つのアポトーシス阻害剤はIRE−1阻害剤である。特定の実施形態において、IRE−1阻害剤は、IRE1阻害剤I(N−[(2−ヒドロキシナフタレン−1−イル)メチリデン]チオフェン−2−スルホンアミド)、IRE1阻害剤II(3’―ホルミル−4’−ヒドロキシ5’−メトキシビフェニル−3−カルボキサミド)、およびIRE1阻害剤III(8−ホルミル−7−ヒドロキシ−4−メチルクマリン, 7−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−8−カルバルデヒド)から成る群から選択される。
一実施形態において、方法において使用される少なくとも一つのアポトーシス阻害剤はカルパイン阻害剤である。特定の実施形態においてカルパイン阻害剤は、カルパイン阻害剤I(N−アセチル−Leu−Leu−ノルロイシン−CHO)、カルパイン阻害剤II(N−アセチル−Leu−Leu−Met)、カルパイン阻害剤III(Z−Val−Phe−CHO)、カルパイン阻害剤IV(Z−Leu−Leu−Tyr−CHF)、カルパイン阻害剤V(モルホリノウレイジル(Morpholinoureidyl);−Val−ホモフェニルアラニン−CHF)、カルパイン阻害剤VI(4−フルオロフェニルスルホニル−Val−Leu−CHO)、カルパイン阻害剤X(Z−Leu−α−アミノ酪酸−CONHC2H5)、カルパイン阻害剤XI(Z−L−α−アミノ酪酸―CONH(CH−モルホリン)、およびカルパイン阻害剤XII(Z−L−ノルバリン−CONH−CH−2−ピリジル)から成る群から選択される。
一実施形態において、方法において使用される少なくとも一つのアポトーシス阻害剤はカスパーゼ−1阻害剤である。特定の実施形態においてカスパーゼ−1阻害剤は、カスパーゼ−1阻害剤II(Ac−YVAD−クロロメチル ケトン、N−(2−キノリル)バリル−アスパルチル−(2,6−ジフルオロフェノキシ)メチルケトン(アスパルチル基はα‐メチル化されているか又はα‐メチル化されていない)、VX−765((S)(−1−((S)(−2−(4−アミノ−3−クロロベンズアミド)−3,3−ジメチルブタノイル)−N−((2R,3S)−2−エトキシ−5−オキソ−テトラヒドロフラン−3−イル) ピロリジン −2−カルボキサミド)およびZVAD−フルオロメチルケトンから成る群から選択される。
別の態様において、方法の中で使用される再水和製剤は少なくとも1つのアポトーシス阻害剤および少なくとも1つのオートファジー誘導剤を含む。特定の実施形態において、オートファジー誘導剤は、フルスピリレン、トリフルオペラジン、ピモジド、ニカルジビン、ニグルジピン、ロペラミド、アミオダロン、ラパマイシン、レスベラトロルおよびSMERから成る群から選択される。
別の態様において、方法の中で使用される再水和製剤は少なくとも1つのアポトーシス阻害剤および少なくとも1つの生存タンパク質を含む。一実施形態において、生存タンパク質はBcl−xLである。
特定の実施形態において、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤は可逆的アポトーシス阻害剤である。方法において、可逆的アポトーシス阻害剤は、保護的な量のアポトーシス阻害剤で細胞を充填するための、例えば1つ以上のERストレス経路の活性化を遮断するための前脱水及び/又は再水和のフェーズ中に、細胞を処理するために使用されてもよく、その結果、前脱水及び/又は再水和製剤の除去ならびに細胞の再懸濁の際に、可逆的阻害剤は、長期の暴露期間を避けるために最終的に細胞から希釈される。
キット
一定の他の態様において、キットが提供され、該キットは、乾燥保存安定剤を含有する液体の脱水の製剤、実質的な乾燥保存のための1以上の細胞を入れるためのサンプル容器、および、液体の脱水の製剤を用いた1以上の細胞の実質的な乾燥保存について使用するための使用説明書(directions)を含む添付文書(packaging insert)を含む。特定の実施形態において、脱水の製剤は少なくとも1つのアポトーシス阻害剤をさらに含み、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤を含有する再水和のバッファーをさらに含んでいてもよい。
特定の他の実施形態において、キットは、脱水の前に1以上の細胞を固定化するための固体担体(solid support)、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤を含有する前脱水の製剤、1以上の細胞を実質的に乾燥保存するための少なくとも1つの乾燥保存安定剤を含有する脱水の製剤、および、前脱水の製剤と脱水の製剤を使用して1以上の細胞を固体担体に対して固定化するための、ならびに1以上の細胞の実質的な乾燥保存のための使用説明書を含む添付文書、をさらに含む。さらに別の実施形態において、キットは、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤を含有する再水和のバッファーをさらに含んでいてもよい。
製剤をスクリーニングするための一般的なプロトコル
以下のプロトコルは、再水和後少なくとも1時間、少なくとも1つの機能特性を保持する細胞の実質的な乾燥保存のための、前脱水の、脱水の、及び/又は再水和の製剤ならびにその組み合わせを、分析し選択するのに利用され得る。簡潔に言えば、細胞は96ウェルプレートでDMEM培地または前脱水の製剤(例えば、DMEM培地+少なくとも1つのアポトーシス阻害剤)中に播種され(20,000細胞/ウェル)、1時間乃至24時間37℃でインキュベートされる。インキュベーションの後、培地は細胞から吸引され廃棄され、10μlの脱水症製剤が各ウェルに加えられる。開いた96ウェルプレートは、半分充たされた96ウェルプレートを乾燥させる場合には75分間、あるいは充たされた96ウェルプレートを乾燥させる場合には95分間、37℃でインキュベートされる。乾燥された細胞は、室温で1時間保存され、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤を含有する、または完全なDMEM培地中の、可変量の再水和の製剤により再水和される。再水和された細胞は、1時間または24時間の期間、37°CのCO調整されたインキュベーターでインキュベートされる。指定される時点では、トリパンブルーが再水和された細胞に加えられ、細胞は血球計を使用して数えられる。細胞生存パーセントは、生存不可能な細胞の画分を判定し、その後生存する細胞のパーセントを計算するために、トリパンブルー染色された細胞を総細胞数で割った値で決定される。
細胞の機能特性を測定するためのアッセイ
本発明の実質的に乾燥保存される細胞は、再水和の際、脱水を受ける前の細胞の少なくとも1つの機能特性を保持している。1つの機能特性は、代謝活性、細胞の生存率、増殖し、分化し、増殖因子によって与えられるようなシグナル伝達の刺激に応答する能力、および、発現は、RNA合成、タンパク質など発現が予想される細胞のバイオマーカ、及び/又は分泌機能の群から選択され得る。これらの機能特性は、当業者に既知の他の方法と同様に、本明細書に記載される方法を含む任意の方法を用いて、検知または解析され得る。再水和され乾燥保存された細胞の少なくとも1つの機能特性を検知する典型的な方法が、以下に記載される。
1.細胞の生存率アッセイ
細胞の生存率は、トリパンブルー染色の手順を使用して測定され得る。トリパンブルーは、細胞膜が損なわれない場合に細胞と相互作用しない負電荷の発色団を備えた色素であり、故に、顕微鏡で検査すると、生細胞は色素を排除するが、損傷を受けた細胞は青く見える。細胞計数は、Leitz Fluovert顕微鏡下の3回繰り返しで、グリッド・チャンバ(Hycor)を備える9mmのKOVAスライドガラス10において行われた。細胞生存のパーセンテージは未処理の対照細胞に対して報告される。
2.ATP含量アッセイ
ATP含量は、メーカーの指示に従い、Cell Titer−Glo Luminiscent Cell viability アッセイ(Promega)を使用して、判定され得る。Cell Titer−Glo Luminiscent 試薬を加えると、細胞内のATP量に比例する発光信号を生成する。ATP量は培地中に存在する細胞の数に直接比例し、それはさらに、再水和された細胞製剤中で生存可能な(代謝的に活発な)細胞の数を判定する同質の方法である。
3.カスパーゼ・アッセイ
細胞のアポトーシスの度合いは、製造業者の指示に従ってCaspase−Glo 3/7 Assay(Promega)を使用して測定され得る。簡単に言えば、この前発光カスパーゼ−3/7基質を提供し、それはテトラペプチド配列であるDEVDを含む。
この基質は、光の産生において使用されるルシフェラーゼの基質であるアミノルシフェリン(aminoluciferin)を放出するために、開裂する。単一のCaspase−Glo 3/7試薬の添加は細胞の溶解をもたらし、続いて基質のカスパーゼ開裂および発光信号の生成が起きる。カスパーゼ活性化倍率(fold caspase activation)は、標準組織培養条件下で培養された未処理の細胞に対する、試験サンプル中の活性の比率として計算された。
以下の実施例は、例示として、および限定なしで提供される。
<実施例1>
典型的な製剤は生細胞を維持し、再水和後5日の実質的に乾燥保存された細胞の細胞アポトーシスを妨げる。
本実施例は、本明細書に記載されている典型的な前脱水の、脱水の、および再水和の製剤が細胞の生存率を維持し、周囲温度で5時間の実質的な乾燥保存の後、再水和後5日まで、細胞がアポトーシスを誘導するのを妨げる、ということを示す。
HeLa細胞は、予め定められた前脱水の製剤(SC1、サルブリナル、およびSC3、MLS−0315763)を用いて実質的に乾燥保存され、その後、表1に示された製剤のサブセットにより処理され、および96ウェルプレート中で脱水され、5時間周囲温度で保存された。細胞は、再水和の製剤(RC1、サルブリナルおよびRC3、MLS−0315763)を用いて再水和され、ATP含量は、96ウェルプレートに対するCellTiter−gloの添加により測定された。細胞が溶解した後、サンプル50μlを、定量化のための白色の384ウェルプレートに移した。実質的に乾燥保存された細胞は、ATP発光の測定によって、細胞の生存率についてアッセイされた。
さらに、陽性のATP活性を明示する、それらの実質的に乾燥保存された細胞は、ATP含量について再水和後5日でアッセイされた。表2に示されるように、製剤なしの対照細胞はすべて5日で生存不能であったが、しかし、本明細書中に記載される製剤および方法を使用して実質的に乾燥保存された、有意な数の細胞が生存可能なままであって、それは、損なわれておらず代謝的に活性化されている細胞の安定化を示す、90%の細胞生存率と同じくらい高い。
再水和された細胞を分析は、5日間の実質的な乾燥保存および続いて5日の再水和が、カスパーゼ活性の測定による細胞アポトーシスの誘導をもたらすかどうかを判定した。5日の再水和された細胞は、カスパーゼ3/7の活性を検知するためにCaspase−glo(Promega)に暴露された。カスパーゼの活性化は、標準組織培養条件(表2)下で培養された未処理細胞に対する、試験サンプル中の活性の比率として計算された。
1以下の結果は、高いカスパーゼ活性の欠如ており、アポトーシスが観察されないことを示す結果であると考えられる。
表2に示されるように、バックグラウンドの値を越えて観察されるカスパーゼ活性を殆どあるいは全く検知できない場合、それは、5日間の乾燥保存とそれに続く少なくとも5日間の再水和の後、アポトーシスが誘導されなかったことを示す。
<実施例2>
典型的な製剤は、再水和後7日で、実質的な乾燥保存後の生細胞を維持する。
本実施例は、本明細書に記載されている典型的な製剤は、再水和後少なくとも7時間の間、生存可能なHeLa細胞を維持できる、ということを示す。
簡潔に言えば、HeLa細胞は、7時間のあいだ、予め定められた前脱水の製剤(SC1、サルブリナル、およびSC3、MLS−0315763)、および表1に記載される脱水の製剤のサブセットを用いて実質的に乾燥保存され、その後、以下にリストされる再水和の製剤(RC1、サルブリナル、およびRC3、MLS−0315763)を使用して再水和される。細胞の生存率、トリパンブルー法を用いて再水和の7日後に評価された。
結果を表3および図4に示す。
表3に示されるように、再水和の7時間後、保護されていない対照およびトレハロースで安定化された細胞は、どんな生細胞中にも存在しないが、本発明の典型的な製剤は、7時間までの間、様々な度合いでHeLa細胞の生存度を維持し、ゴールドスタンダード(gold standard)なトレハロース乾燥細胞を上回る著しい改良をもたらす。
<実施例3>
ERストレス経路を標的とする典型的なアポトーシス阻害剤を含む製剤は、少なくとも120時間の期間のあいだ、実質的な乾燥保存中の細胞の生存を維持する。
本実施例は、ERストレス経路の異なるステップを標的とする複数のアポトーシス阻害剤が、本明細書に記載されている製剤、組成物、および方法において使用される時、少なくとも24時間の期間のあいだ、周囲温度で細胞を実質的に乾燥保存できることを示す。
簡単に言えば、ヒト新生児の繊維芽細胞を、Cascade培地106中で懸濁し、96ウェルプレートにおいて試験あたり100ulに100−5000細胞の密度で播種し、高いCOレベル(5%−10%)および37Cの温度を85−95%の相対湿度を伴って維持しながら周囲大気の環境でインキュベートした。培養物は、前脱水の製剤および培地の特定の組成に、および各アポトーシス阻害剤の特定の濃度に調節される。細胞は、少なくとも1時間、しかし3時間より長くない期間のあいだ、37℃でインキュベートされた。前脱水の製剤を徹底的に除去し、10−15μlのMCS脱水の製剤41(表1)を各ウェルに加えた。細胞は、90分の期間にわたって、37C、5%CO、20%の相対湿度で実質的に空気乾燥させられ、24、48または120時間の期間のあいだ周囲温度で保存された。適切な時間に、実質的に乾燥保存された細胞は、100−200μlの前脱水の製剤中のアポトーシス阻害剤と同じ濃度を有する再水和の製剤で処理することにより、再水和された。細胞の生存率は、本明細書に記載されるようなATP含量を測定することにより判定された。
結果を、表4に示す。
表4に示されるように、ERストレス経路の様々なステップを標的とする典型的なアポトーシス阻害剤は、乾燥保存後120時間で少なくとも1つの機能特性を保持している、生存可能な細胞の実質的な数を維持する。24時間の乾燥保存によって、未処理の対照およびゴールドスタンダードのトレハロースにより処理される細胞は、生存細胞を殆どあるいは全く維持しなかったが、本明細書に記載される製剤および方法は、顕著な細胞の生存率をもたらし、細胞は実質的な乾燥保存の少なくとも120時間のあいだ、生存可能なままである。
<実施例4>
実質的に乾燥保存された間葉系幹細胞は、再水和後少なくとも二週間のあいだ、分化能を保持する
本実施例は、間葉系幹細胞(MSC)が、少なくとも2週の期間のあいだ、周囲温度での実質的な乾燥保存後に、分化能を保持することを示す。
MSCは、100ナノモル濃度−2000ナノモル濃度のサルブリナルおよび表1中に記されるMSC製剤205を用いて実質的に乾燥保存され、2週間のあいだ室温で保存された。実質的に乾燥保存された細胞は、同様の濃度のサルブリナルを含有する再水和の製剤を含む、再水和の製剤の存在下で再水和され、典型的な培養状態下(37C、5%CO、85−95%RH)で1時間インキュベートされ、その時間で培地はMSC増殖培地と交換され、および48時間で回復し増殖できるようになり、LifeTechnologies(商標)により提供されるStemPro(商標)Adipogenesis(B)、Osteogenesis(C)、およびChondrogenesis(D)の各キットの培地製剤への暴露の前に、単一層(図3のA−C)またはマイクロマス培養(図3のD)として12ウェルプレートへ培養され、細胞は、3日ごとの給餌で21−30日処理された。未分化のMSC培養物(A)に対する表現型のはっきりした変化は、(B)において見て取れる脂肪細胞と一致する明白な脂肪球、(C)において骨細胞と一致するカルシウムの蓄積、および(D)において軟骨細胞と一致する円柱状の増殖により明白であり、このことは、本明細書中に記述された製剤が、MSCの分化能に干渉する能力を維持し、且つこれに干渉しないことを示している。
文脈が別段必要としない限り、明細書および請求項の全体にわたって、用語「含む(comprise)」、および「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」などのその変形は、開いた、包括的な意味、即ち、「限定されないが...を含む」として解釈されるべきである。
「1つの実施形態(one embodiment)」または「1つの態様(an aspect)」に対する本明細書における参照は、実施形態に関して記載される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。故に、本明細書全体を通して様々な箇所で、「一実施形態において(in one embodiment)」または「一実施形態において(in an embodiment)」の句の出現は、必ずしも全て同じ実施形態を指すものではない。更に、特定の特徴(features)、構造(features)、または特徴(characteristics)は、1以上の実施形態における任意の適切な方法で組み合わせられ得る。
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に示され記載されているが、このような実施形態が、ほんの一例として提供されることは当業者に明白となるであろう。多数の変更、変化、および置換が、本発明から逸脱することなく、当業者によって想到されるであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替案が、本発明を実行する際に利用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義するものであり、これらの特許請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内の方法および構造が、それによって包含されることが意図される。

Claims (21)

  1. 脱水の製剤であって、
    (i)pHバッファー;
    (ii)ヒドロキシプロリンおよびベタインからなる群から選択される合成アミノ酸;
    (iii)ポリビニルアルコールである水溶性ポリマー;および
    (iv)アラニン−グルタミンジペプチド、
    を含む脱水の製剤。
  2. 非還元糖、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤、または第2アミノ酸をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の脱水の製剤。
  3. 冷凍の欠如下において周囲温度で1つ以上の細胞を実質的に乾燥保存するための方法であって、該方法は、
    (i)上記1つ以上の細胞を少なくとも1つのアポトーシス阻害剤を含む前脱水の製剤でインキュベートする工程;
    (ii)上記1つ以上の細胞から前脱水の製剤を除去する工程;および
    (iii)脱水の製剤の存在下で上記1つ以上の細胞を脱水して、1つ以上の実質的に乾燥保存した細胞を生成する工程、を含み、
    上記脱水の製剤は、
    (i)pHバッファー;
    (ii)ヒドロキシプロリンおよびベタインからなる群から選択される合成アミノ酸;
    (iii)ポリビニルアルコールである水溶性ポリマー;および
    (iv)アラニン−グルタミンジペプチド、
    を含む方法。
  4. 脱水の製剤が、アラニン−グルタミン、ベタイン、ビス−トリスおよびポリビニルアルコール、または、アラニン−グルタミン、ベタイン、MESおよびポリビニルアルコール、を含む、請求項3に記載の方法。
  5. 脱水の製剤が、非還元糖、少なくとも1つのアポトーシス阻害剤、またはアミノ酸をさらに含む、請求項3に記載の方法。
  6. 少なくとも1つのアポトーシス阻害剤が、可逆的アポトーシス阻害剤である、請求項3に記載の方法。
  7. 1つ以上の細胞を上記前脱水の製剤でインキュベートする前に、1つ以上の細胞を固体担体に固定化する工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
  8. 少なくとも1つのアポトーシス阻害剤を含む再水和の製剤を使用して、1つ以上の実質的に乾燥保存した細胞を再水和する工程を含み、上記前脱水の製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤が、上記再水和の製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤と同じである、請求項に記載の方法。
  9. 前脱水の製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤が、再水和の製剤中の少なくとも1つのアポトーシス阻害剤とは異なる、請求項8に記載の方法。
  10. 少なくとも1時間の実質的な乾燥保存後の1つ以上の実質的に乾燥保存した細胞の再水和で、再水和された細胞は、脱水および実質的な乾燥保存前細胞中の機能特性と略同じである少なくとも1つの機能特性を示す、請求項3に記載の方法。
  11. 脱水の製剤がキレート剤をさらに含む、請求項3に記載の方法。
  12. キレート剤は、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−四酢酸(CDTA)、1,2−ビス(2−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−四酢酸(BAPTA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(DOTA)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N’,N’−三酢酸、グルコン酸ナトリウム,およびニトリロ三酢酸(NTA)からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
  13. 脱水の製剤が、アラニン−グルタミン、EDTA、Tris−HCl、トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンおよびポリビニルアルコールを含む、請求項11に記載の方法。
  14. pHバッファーが、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、スルフォサリチル酸、スルフォイソフタル酸、シュウ酸、ホウ酸塩、CAPS(3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸)、CAPSO(3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸)、EPPS(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンプロパンスルホン酸)、HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸)、MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)、MOPS(3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸)、MOPSO(3−モルホリノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、PIPES(1,4−ピペラジンジエタンスルホン酸)、TAPS(N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−3−アミノプロパンスルホン酸)、TAPSO(2−ヒドロキシ−3−[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸)、TES(N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]−2−アミノエタンスルホン酸)、ビシン(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン)、トリシン(N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン)、トリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、およびビス−トリス(2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール)からなる群から選択される、請求項1に記載の脱水の製剤。
  15. 第2アミノ酸が、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、およびプロリンからなる群から選択される、請求項に記載の脱水の製剤。
  16. 少なくとも1つのアポトーシス阻害剤が、可逆的アポトーシス阻害剤である、請求項に記載の脱水の製剤。
  17. 製剤が、アラニン−グルタミン、ベタイン、ビス−トリスおよびポリビニルアルコールを含む、請求項1に記載の脱水の製剤。
  18. 製剤が、アラニン−グルタミン、ベタイン、MESおよびポリビニルアルコールを含む、請求項1に記載の脱水の製剤。
  19. 製剤がキレート剤をさらに含む、請求項1に記載の脱水の製剤。
  20. キレート剤は、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−四酢酸(CDTA)、1,2−ビス(2−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−四酢酸(BAPTA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(DOTA)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N’,N’−三酢酸、グルコン酸ナトリウム,およびニトリロ三酢酸(NTA)からなる群から選択される、請求項19に記載の脱水の製剤。
  21. 製剤が、アラニン−グルタミン、EDTA、Tris−HCl、トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンおよびポリビニルアルコールを含む、請求項19に記載の脱水の製剤。
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