JP6554760B2 - ポリマー多孔質膜の製造方法、ポリイミド多孔質膜の製造方法、及びポリイミド多孔質膜 - Google Patents

ポリマー多孔質膜の製造方法、ポリイミド多孔質膜の製造方法、及びポリイミド多孔質膜 Download PDF

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Description

本発明は、ポリマー多孔質膜の製造方法、ポリイミド多孔質膜の製造方法、及びポリイミド多孔質膜に関する。
ポリイミド多孔質膜は、電池用セパレータや電解コンデンサ用隔膜用、集塵、精密濾過、分離などに用いられており、種々の方法での製造が検討されている。例えば、特許文献1には、ビフェニルテトラカルボン酸成分とジアミン成分とから得られるポリイミド前駆体ワニスキャストフィルムに多孔質フィルムを積層した後、貧溶媒に浸漬することを特徴とするポリイミド多孔膜の製造方法が開示されている。特許文献2は、ポリイミド前駆体0 .3〜60重量% と溶媒99 .7〜40重量%とからなる溶液をフィルム状に流延し、得られたポリイミド前駆体のフィルム状物蒸気暴露する処理を行った後、凝固溶媒に浸漬もしくは接触させることを特徴とするポリイミド多孔膜の製造方法が開示されている。
一方、膜厚、孔径、空孔率などの多孔質特性を均質に制御することができ、かつ工業的に有益な多孔質膜の製造方法は難しかった。
特願平10−153480 特願平11−265347
本発明は、以下の特徴を有するポリマー多孔質膜の製造方法等を提供するものである。
本発明は、膜厚、孔径、空孔率などの多孔質特性を均質に制御することができ、かつ工業的に有益なポリマー多孔質膜の製造方法を提供する。
1.本願発明は、相分離法を用いて有機高分子多孔質膜を製造する方法であって、ポリマー溶液をフィルム状に流延し、流延後にミスト雰囲気へ曝露する工程を含むことを特徴とするポリマー多孔質膜の製造方法である。相分離とは、一相状態から多相共存の状態への分離が起こることの意で、本願発明の相分離法とは相分離を利用した高分子多孔質膜を製造する方法であり、特に一相領域にある均一溶液を二相領域内のバイノーダル曲線の内側へ移動したときに起こる相分離を利用したもので湿式相分離とも呼ばれる。特に、多孔質膜を製造する際は、スピノーダル曲線の内側に移動させる事が好ましい。
本願発明の流延とは、流動性を有したポリマー溶液を、表面の平滑なドラムやステンレスベルト上に流し込んで付着させ高分子溶液をフィルム状にすることを意味する。
曝露とは雨風にさらされることの意で、本願発明の曝露とはフィルム状に流延されたポリマー溶液がミスト雰囲気にさらされることを意味する。
2.本願発明は、ポリマー溶液が、ポリイミド前駆体溶液またはポリイミド溶液が主成分であることを特徴とする前記項1に記載のポリマー多孔質膜の製造方法である。
3.本願発明は、ポリマー溶液が、ポリイミド前駆体溶液またはポリイミド溶液が主成分であり、ポリマーの副成分がポリアクリル酸エステルまたはポリアクリル酸エステル系共重合体であることを特徴とする前記項2に記載のポリマー多孔質膜の製造方法。
4.本願発明は、テトラカルボン酸単位及びジアミン単位からなるポリイミド前駆体またはポリイミド0.3〜60質量%と有機極性溶媒40〜99.7質量%とからなるポリイミド前駆体溶液またはポリイミド溶液(A)を、フィルム状に流延し、流延後にミスト雰囲気へ曝露する工程を含むポリイミド前駆体またはポリイミドの多孔質膜を作製する工程を含むポリイミド多孔質膜の製造方法である。
5.本願発明は、ポリイミド前駆体溶液またはポリイミド溶液(A)を、フィルム状に流延し、流延後にミスト雰囲気へ曝露する工程を含み、次いでミスト雰囲気へ曝露されるポリイミド前駆体またはポリイミド溶液(A)をミスト雰囲気から開放する工程を含み、次いで水を必須成分とする凝固溶媒に浸漬又は接触させて、ポリイミド前駆体またはポリイミドの多孔質膜を作製する工程を含むことを特徴とする前記項3に記載のポリイミド多孔質膜の製造方法である。
6.本願発明は、ミスト雰囲気へ曝露されるポリイミド前駆体溶液またはポリイミド溶液(A)の水分濃度が、ポリイミド前駆体またはポリイミドと良溶媒と貧溶媒から成る3元系の相図におけるバイノーダルラインと交差する水分組成に対して、10%以上130%以下となるときに、ミスト雰囲気へ曝露されるポリイミド前駆体またはポリイミド溶液をミスト雰囲気から開放する工程を含むポリイミド前駆体の多孔質膜を作製する工程を含むことを特徴とする前記項4又は前記項5に記載のポリイミド多孔質膜の製造方法である。
7.本願発明は、ミスト雰囲気へ曝露されるポリイミド前駆体溶液またはポリイミド溶液をミスト雰囲気から開放する工程から、水を必須成分とする凝固溶媒に浸漬又は接触させて、ポリイミド前駆体の多孔質膜を作製する工程の間にかかる時間が、0分より大きく、20分以内であるポリイミド前駆体またはポリイミドの多孔質膜を作製する工程を含むことを特徴とする前記項4−6のいずれかに記載のポリイミド多孔質膜の製造方法である。
8.本願発明は、ミスト雰囲気中の液体濃度が、0.01kg(ミスト)/kg(空気)以上0.5kg(ミスト)/kg(空気)以下となる、ポリイミド前駆体またはポリイミドの多孔質膜を作製する工程を含むことを特徴とする前記項4−7のいずれかのポリイミド多孔質膜の製造方法である。
9.本願発明は、水を必須成分とする凝固溶媒の水濃度が40%以上であるポリイミド前駆体またはポリイミドの多孔質膜を作製する工程を含むことを特徴とする前記項4−8のいずれかのポリイミド多孔質膜の製造方法である。
10.本願発明は、ポリイミド前駆体の多孔質膜を熱処理してイミド化する工程を含むことを特徴とする前記項4−9のいずれかのポリイミド多孔質膜の製造方法である。
11.本願発明は、前記項4−10のいずれかの製造方法で得られる、
空孔率が10−80%
のポリイミド多孔質膜である。
12.本願発明は、前記項4−10のいずれかの製造方法で得られる、
空孔率が10−80%
ガーレー値(通気抵抗)が、5−4000秒/100cc
平均細孔径が0.01−1μmで、かつその細孔径分布が対数正規分布を仮定して算出した標準偏差で0.1Log(μm)以下のポリイミド多孔質膜である。
13.本願発明は、前記項4−10のいずれかの製造方法で得られる、
空孔率が10−80%
ガーレー値(通気抵抗)が、5−4000秒/100cc
平均細孔径が0.01−1μmで、かつその細孔径分布が対数正規分布を仮定して算出した標準偏差で0.1Log(μm)以下で平均細孔径0.1μm以上の両表面を繋ぐ貫通パスを有さないポリイミド多孔質膜。
14.本願発明は、前記項4−10のいずれかの製造方法で得られる、
最大孔径が0.3μm以下のポリイミド多孔質膜。
本発明は、膜厚、孔径、空孔率などの多孔質特性を均質に制御することができ、加えて、最大孔径を小さく制御できるという効果を奏し、工業的に有益であるという効果も奏する。
この方法により、ミストを用いることにより、蒸気を用いるより短時間で流延した溶液に所望の液体成分を短時間で均一に含ませることができる。また、流延したポリマー溶液の組成をポリマーが相分離析出する近傍の組成に調整し、その後に急激な溶媒置換により構造を固定化することができる。そして、上記2つにおける急激な溶媒置換を行うまでの時間を制御することにより平均細孔径を制御することができる。
本願発明は、相分離法を用いて有機高分子多孔質膜を製造する方法であって、ポリマー溶液をフィルム状に流延し、流延後にミスト雰囲気へ曝露する工程を含むことを特徴とするポリマー多孔質膜の製造方法である。
<ポリマー溶液>
本発明のポリマー溶液は、ポリマーと該ポリマーを溶解する事ができる良溶媒からなる。
ポリマーを溶解する事ができる良溶媒は任意の有機極性溶媒を用いることができる。特にポリイミド前駆体、ポリイミドを溶解する有機極性溶剤としてp−クロロフェノール、o−クロルフェノール、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ピリジン、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、フェノール、クレゾールなどの有機極性溶媒などを用いることができる。
ポリマーは、任意のポリマーを用いることができ、有機溶剤に溶解でき、水に不溶であればよく適宜選択することができる。ポリマーの具体例として、ポリイミド前駆体、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン系共重合体、トリフルオロエチレン等のフッ素系重合体、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート系共重合体、ポリブチル(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリブチル(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、ポリアクリロニトリル、酢酸セルロース、硝酸セルロース等のセルロースエステル類、ポリエチレン、ポリ−4−メチル−1−ぺ/テン、ポリブタジェン等のポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリ−4−ビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、シリコン系ポリマー ポリフェニレンオキサイド等を挙げることができる。これらは単独でも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。耐熱性、耐溶剤性、寸法安定性、絶縁性などにおいて極めて優れた特性を有するので芳香族ポリイミドあるいは芳香族ポリイミド前駆体が特に有用であり好適に用いることができる。
また、ポリマー溶液を2種以上組み合わせて用いる場合、主成分としてポリイミド前駆体溶液またはポリイミド溶液を用い、副成分としてポリアクリル酸エステルまたはポリアクリル酸エステル系共重合体を用いることが好ましい。ここで、副成分の割合は、その割合が高いと膜の強度が低くなるということから、全体のポリマー成分の中の、30%以下、好ましくは20%以下である。
ポリアクリル酸エステルまたはポリアクリル酸エステル系共重合体の具体例として、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート系共重合体、ポリブチル(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリブチル(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリル酸エステル系共重合体等が挙げることができ、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート系共重合体が好適に用いることができる。
ポリマー溶液の溶液粘度は、10〜30000ポイズ、好ましくは50〜10000ポイズ、特に好ましくは100〜5000ポイズの溶液である。溶液粘度が30000ポイズを越えると基板上に流延させたり膜厚を均一に調整するのが困難になり且つ溶媒置換速度の制御が難しくなって孔径、空孔率、孔形状などの多孔質特性を均質に制御することが困難になるので適当ではない。溶液粘度が10ポイズ未満では流延膜としての形状を保持できなくなり厚みムラが生じ易くなるのでるので適当ではない。
また、ポリマーが溶媒中に均一に溶解され十分脱気されていることが好ましい。前記ポリマー溶液のポリマー濃度は、通常0.3〜60重量%、好ましくは1〜30重量%である。0.3重量%未満では得られる多孔質膜の強度が低下するので好ましくなく、60重量%を越えるとポリマーの析出の制御が難しくなるので好ましくない。
<ポリマー溶液を流延する方法>
ポリマー溶液を流延する方法は、特に制限はないが、ポリマー溶液を基材となるガラス板、金属板、高分子フィルム、回転ドラム、可動式エンドレスベルトなどの基板上にスプレ−法あるいはドクタ−ブレ−ド法により流延する方法、該ポリマー溶液をT型ダイスから押し出す方法などの手法を用いることができる。あるいは塗布、スピンキャスト法でもよい。
均一な膜厚を得るためには、前記ポリマー溶液は、一定流量で基材上に供給されることが好適である。供給方法としては供給装置内に貯えられたポリマー溶液を気体特に乾燥空気あるいは不活性ガスなどを用いて加圧によって押し出す方法で定量的に、気泡などの混入を防げるので好ましい。またはギア−ポンプにより供給するも好ましい。ポリマー溶液は例えばTダイによって基材の幅方向に一定の幅を持って一定流量で供給されることが好ましい。
基材は表面が平滑であり且つ析出した多孔質膜を容易に剥がすことができる剥離性を有するものが好ましい。また、有機溶剤と接触しても耐久性が優れたものである必要があるので、金属製の場合は特にステンレス製であることが好ましい。また、高分子フィルムや回転ドラム、エンドレスベルトなどの搬送や回転が可能な基材は、速度を変えることが出来るものであって、且つ、駆動中は変動が少なく定速度になるものが好適である。
基材上に流延されたポリマー溶液流延膜は膜厚が調整される。膜厚の調整は、例えば基板上に幅方向に均一の隙間を置いて設置され、その隙間が調整できるブレ−ド(ドクタ−ナイフ)によって好適におこなわれるが、膜厚を精度よく均一に調整する必要があるので基板が高分子フィルムやエンドレスベルトの場合、例えばロ−ルやプレ−トによって支えられている部位でおこなわれることが好ましい。また、本発明の方法においてポリマー流延膜厚は1〜3000μm、特に好ましくは10〜1000μmに調整される。流延膜厚が1μmより小さいと得られる多孔質膜の強度が十分でなくなり好ましくない。また、膜厚が3000μmを越えると得られる多孔質膜の膜厚方向の孔構造の均一性が悪くなって孔径、空孔率、孔形状などの多孔質特性を均質に制御することが難しくなるので好ましくない。
<ミスト雰囲気への曝露する方法>
ミスト雰囲気とは、スプレー等により噴霧される霧状の液体微粒子が気体中に分散される雰囲気を示す。ミストは、霧と表現されることもある。ミストは、公知の装置により温度や濃度を調節して供給させることができる。ミスト発生方法の具体例として、超音波振動子を利用した超音波霧化機を用いる方法、加圧した液体を霧発生ノズルから噴霧する方法、高温スチームをノズルから噴霧する方法などを用いる事ができる。
ミストは、ポリマー溶液からポリマーを析出させることのできる溶媒(貧溶媒)の中から選択することができる。例えばアルコール類、エーテル類、水等の貧溶媒の中から単独又は混合して選択することができる。工業的には水を用いることが好ましい。
ポリマー溶液流延膜をミスト雰囲気への曝露する方法は、ミスト発生部位をポリマー溶液流延膜の近傍に設置する方法、発生するミストを搬送用エアーでポリマー溶液流延膜へ供給する方法等がある。ミスト発生装置は、発生させるミスト濃度にムラが発生することがあるため、発生するミストを搬送用エアーでポリマー溶液流延膜へ供給し、装置由来のムラを解消することが好ましい。
ミスト雰囲気中の液体濃度は、0.01kg(ミスト)/kg(空気)以上0.5kg(ミスト)/kg(空気)以下、好ましくは0.03kg(ミスト)/kg(空気)以上0.3kg(ミスト)/kg(空気)以下、より好ましくは0.05kg(ミスト)/kg(空気)以上0.15kg(ミスト)/kg(空気)以下である。ミスト雰囲気中の液体濃度が、0.5kg(ミスト)/kg(空気)より高い場合、ミスト雰囲気中の霧状の水微粒子が大きくなり、ポリマー溶液流延膜の溶媒置換速度にムラが発生し、孔径、空孔率、孔形状などの多孔質特性を均質に制御することが困難になるので適当ではない。ミスト雰囲気中の液体濃度が、0.01kg(ミスト)/kg(空気)より低い場合、溶媒置換に時間がかかりすぎるため、工業的に考えて適当ではない。
<多孔質膜を作成する工程>
多孔質膜を作成する工程としては、ポリイミド前駆体溶液またはポリイミド溶液(A)を、フィルム状に流延し、流延後にミスト雰囲気へ曝露する工程を含み、次いでミスト雰囲気へ曝露されるポリイミド前駆体溶液またはポリイミド溶液(A)をミスト雰囲気から開放する工程を含み、次いで水を必須成分とする凝固溶媒に浸漬又は接触させて、ポリイミド前駆体またはポリイミドの多孔質膜を作製する方法がある。
また多孔質膜を作成する工程として、ミスト雰囲気へ曝露されるポリイミド前駆体溶液またはポリイミド溶液(A)の水分濃度が、ポリイミド前駆体またはポリイミドと良溶媒と貧溶媒から成る3元系の相図におけるバイノーダルラインと交差する水分組成に対して、10%以上130%以下となるときに、ミスト雰囲気へ曝露されるポリイミド前駆体またはポリイミド溶液をミスト雰囲気から開放する工程を含むポリイミド前駆体の多孔質膜を作製する方法がある。
本願発明において、ミスト雰囲気へ曝露されるポリイミド前駆体溶液またはポリイミド溶液(A)の水分濃度が、ポリイミド前駆体またはポリイミドと良溶媒と貧溶媒から成る3元系の相図におけるバイノーダルラインと交差する水分組成とは、ミスト雰囲気へ曝露されるポリイミド前駆体溶液またはポリイミド溶液(A)が析出する時間の水分組成であり、バイノーダルラインと交差する水分組成に対して、10%以上130%以下となるときとは、ミスト雰囲気へ曝露されるポリイミド前駆体溶液またはポリイミド溶液(A)が析出する時間に対して、10%以上130%以下となるときである。
また多孔質膜を作成する工程として、ミスト雰囲気へ曝露されるポリイミド前駆体溶液またはポリイミド溶液をミスト雰囲気から開放する工程から、水を必須成分とする凝固溶媒に浸漬又は接触させて、ポリイミド前駆体の多孔質膜を作製する工程の間にかかる時間が、0分より大きく、20分以内であるポリイミド前駆体またはポリイミドの多孔質膜を作製する方法がある。
ここで、ミスト雰囲気へ曝露されるポリイミド前駆体溶液またはポリイミド溶液をミスト雰囲気から開放する工程から、水を必須成分とする凝固溶媒に浸漬又は接触させて、ポリイミド前駆体の多孔質膜を作製する工程の間にかかる時間が20分以内であることが好ましく、10分以内であることがより好ましい。
ここで、水を必須成分とする凝固溶媒の水濃度が40%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。水濃度が40%以上であると、ポリマーの析出速度が速くなる、可燃性が低くなり火災のリスクが低減するという効果がある。
<ポリイミド前駆体溶液>
以下、ポリマーとしてポリイミド前駆体を用いた場合について説明する。
ポリイミド前駆体とは、テトラカルボン酸成分とジアミン成分、好ましくは芳香族モノマ−を重合して得られたポリアミック酸或いはその部分的にイミド化したものであり、熱イミド化あるいは化学イミド化することで閉環してポリイミド樹脂とすることができるものである。ポリイミド樹脂とは、イミド化率が約80%以上、好適には約95%以上の耐熱性ポリマーである。
ポリイミド前駆体を溶解する事ができる良溶媒は任意の有機極性溶媒を用いることができる。特にポリイミド前駆体、ポリイミドを溶解する有機極性溶剤としてp−クロロフェノール、o−クロルフェノール、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ピリジン、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、フェノール、クレゾールなどの有機極性溶媒などを用いることができる。
テトラカルボン酸成分とジアミン成分は、上記の有機溶媒中に大略等モル溶解し重合して、対数粘度(30℃、濃度;0.5g/100mL NMP)が0.3以上、特に0.5〜7であるポリイミド前駆体が製造される。また、重合を約80℃以上の温度でおこなった場合は、部分的に閉環してイミド化したポリイミド前駆体が製造される。
テトラカルボン酸二無水物は、任意のテトラカルボン酸二無水物を用いることができ、所望の特性などに応じて適宜選択することができる。テトラカルボン酸二無水物の具体例として、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)などのビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、m−ターフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、p−ターフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物、2,2−ビス〔(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物等を挙げることができる。また、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸等の芳香族テトラカルボン酸を用いることも好ましい。これらは単独でも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
ジアミンは、任意のジアミンを用いることができる。ジアミンの具体例として、以下のものを挙げることができる。
1,4−ジアミノベンゼン(パラフェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエンなどのベンゼン核1つのべンゼンジアミン、2)4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどのジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシドなどのベンゼン核2つのジアミン、3)1,3−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−4−トリフルオロメチルベンゼン、3,3’−ジアミノ−4−(4−フェニル)フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジ(4−フェニルフェノキシ)ベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3−ビス〔2−(4−アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(3−アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(4−アミノフェニル)イソプロピル〕ベンゼンなどのベンゼン核3つのジアミン、4)3,3’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなどのベンゼン核4つのジアミン。これらは単独でも、2種以上を混合して用いることもできる。用いるジアミンは、所望の特性などに応じて適宜選択することができる。
これらの中でも、芳香族ジアミン化合物が好ましく、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及びパラフェニレンジアミン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンを好適に用いることができる。特に、ベンゼンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル及びビス(アミノフェノキシ)フェニルからなる群から選ばれる少なくとも一種のジアミンが好ましい。
ポリイミド前駆体は、有機溶媒に0.3〜60重量%、好ましくは1〜30重量%の割合で溶解してポリイミド前駆体溶液に調製される(有機溶媒を加えてもよくあるいは重合溶液をそのまま用いてもよい)。ポリイミド前駆体の割合が0.3重量%より小さいと、製造した多孔質膜のフィルム強度が低下するので適当でなく、60重量%より大きいと溶液粘度調整が難しく溶液粘度が高くなって流延が難しくなるし、多孔質膜析出の制御が難しくなるので好ましくないため上記の範囲が好適である。前記のポリイミド前駆体濃度において、ポリマー溶液は好適な溶液粘度である10〜30000ポイズ、好ましくは50〜10000ポイズ、特に好ましくは100〜5000ポイズに容易に調整できる。
また、前記のポリイミド前駆体溶液には、界面活性剤、離型剤、接着剤、カップリング剤、難燃剤、着色剤などの添加剤、あるいはガラス繊維、炭素繊維、ケイ素繊維などの補強材が含まれてもよい。これらの添加剤および補強材は上記ポリイミド前駆体に添加してもよく、あるいは、流延後の流延膜に添加してもよい。
本発明において得られるポリイミド前駆体からなる多孔質膜は、加熱処理によって熱イミド化されてポリイミド多孔質膜とされる。化学イミド化でもイミド化できるが、熱イミド化する方法では工程が複雑にならないのに加え、得られる膜の強度が大きくなる傾向があるので好適である。熱イミド化は前述のとおり、大気中にて250〜500℃で5〜60分間熱処理することによって好適におこなうことができる。
<ポリイミド多孔質膜>
本製造方法により、空孔率が10−80%の両方の特徴を有するポリイミド多孔膜を製造することができ、さらに、ガーレー値(通気抵抗)が5−4000秒/100cc、平均細孔径が0.01−10μmという特徴を有するポリイミド多孔膜を製造することができる。
さらに、凝固浴に浸漬する時点でポリマーの析出が目視で観測出来ない条件下により、空孔率が10−80%の両方の特徴を有するポリイミド多孔膜を製造することができ、さらに、ガーレー値(通気抵抗)が5−4000秒/100cc、平均細孔径が0.01−1μmで、かつその細孔径分布が対数正規分布を仮定して算出した標準偏差で0.1Log(μm)以下で平均細孔径0.1μm以上の両表面を繋ぐ貫通パスを有さない、という特徴を有するポリイミド多孔膜を製造することができる。
また、細孔径分布が対数正規分布を仮定して算出した標準偏差が、好ましくは0.20Log(μm)以下であり、より好ましくは0.15Log(μm)以下であり、更に好ましくは0.10Log(μm)以下である。標準偏差が0.20Log(μm)以下であると、粉塵フィルター、薬液フィルター、イオン分離隔膜等の分離対象の大きさでフィルタリングするフィルター用途で用いる際に、分離効率が高まるという点で効果がある。
加えて、ポリイミド多孔質膜の最大孔径が、0.3μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.08μm以下である。最大孔径が0.3μm以上だとHEAPフィルターやバクテリア等を分離するフィルター、Liイオン二次電池用セパレータに用いる事が難しくなる為、好適ではない。最大孔径が0.3μm以下であると電池用セパレータなどへの適用が可能となり、特に0.08μm以下であると、、特にレドックスフロー電池用隔膜などの電気化学セルの隔膜などの物質分離用途に使用することが出来る。
また、上記の平均細孔径及び細孔径分布はPorous Materials, Inc. 社製 PMI Automated Capillary Flow Porometer を用いてバブルポイント法で測定することができる。細孔径分布を示すヒストグラムは細孔径の階級を0.005μm刻みとし、縦軸に頻度(%)、横軸に階級値となる細孔径(μm)の常用対数をとる。ここで、階級値は階級の上限値とする。最大孔径は、階級の頻度(%)(相対度数の百分率)が0.1%以上を示す最大の階級値として考える。細孔径分布の標準偏差は、細孔径0.005μmごとの頻度を標本として、標本の細孔径(μm)を常用対数値に変換した値と頻度から計算する。
この微細な連続孔は任意の表面から細孔が通路状に他の表面まで連続しており、屈曲しながら非直線的に通じているものである。また、本発明によって得られる多孔質膜は空孔率が高くしても機械的強度が高いものであり、しかも、膜厚や孔径、空孔率などの多孔質特性が、さらに基板側面である。
<ポリイミド前駆体溶液の粘度測定>
ポリアミック酸溶液の粘度は、東機産業 VISCOMETER TV-25 TypeHを用いて25℃で測定した。
<ミスト発生装置>
ミストの発生には超音波式を用いた。ミスト発生装置はミスト発生部とミストを送るためのダクトから構成し、ダクト内でポリアミック酸溶液を流延した支持体がミストと接触できるように構成した。超音波発振子により発生したミストを所定の流量の気体でダクト内に導き、ダクト内に配置したポリアミック酸溶液を流延した支持体と接触し、余分なミストはダクトを通じて廃棄又は回収した。
<ミストの条件>
超音波発振子により発生したミストを所定の流量の気体でダクト内に導いた時のミスト濃度とダクト内の風量は次のように算出した。超音波発振子により発生したミストを所定の流量の気体でダクト内に導き、そのままダクトを通じてミストを系外に廃棄し、ミスト発生装置全体の重量を計測し単位時間当たりの重量減少をミスト発生量とした。その状態で超音波発振子を停止させダクト内の風速を測定し、ダクトの断面積から風量を算出した。
単位時間当たりのミスト発生量(kg)を単位時間当たりの風量(kg)で割った値をミスト濃度(kg-ミスト/kg-気体)と規定した。ミスト発生装置のミスト発生部にAbitelax社製超音波加湿器 AUH-452と同社超音波加湿器AUH-1000Tのいずれか1台もしくは2台を使用してミストを発生させた。超音波加湿器本体に内蔵されている送風ファンの吹き出し口の開度で風量を制御した。ダクトの断面積から流速を制御した。ミストにはイオン交換水を使用し、ミストを送り出す気体は温度25℃湿度30%Rhの空気を用いた。又、ミスト発生部に株式会社ニッポー製超音波加湿器 霧風NP796を使用し、超音波加湿器本体に内蔵されている送風ファンの吸入口の開度で風量を制御した。ダクトの断面積から流速を制御した。ミストにはイオン交換水を使用し、ミストを送り出す気体は温度25℃湿度30%Rhの空気を用いた。
<ポリマー析出の条件>
ポリマー析出の条件はダクト内のミスト濃度と風速によって制御した。析出状態は目視観察により白化の有無で判断した。析出が完了後、もしくは完了前のタイミングで、別途用意した貧溶媒の凝固浴に投入した。凝固浴には貧溶媒以外にも、ポリマーを析出可能な範囲でポリアミック酸の良溶媒を加えた。
<通気性測定(ガーレー値(通気抵抗))>
テスター産業社製ガーレー式デンソメーターPA-301及び同社デジタルオートカウンターPA-302を用いて、100mlの空気が測定試料を透過する時間を計測した。
<平均細孔径、細孔径分布、最大孔径及び細孔径分布の標準偏差>
平均細孔径及び細孔径分布はPorous Materials, Inc. 社製 PMI Automated Capillary Flow Porometer を用いてバブルポイント法で測定した。細孔径分布を示すヒストグラムは細孔径の階級を0.005μm刻みとし、縦軸に頻度(%)、横軸に階級値となる細孔径(μm)の常用対数をとった。ここで、階級値は階級の上限値とする。最大孔径は、階級の頻度(%)(相対度数の百分率)が0.1%以上を示す最大の階級値とした。細孔径分布の標準偏差は、細孔径0.005μmごとの頻度を標本として、標本の細孔径(μm)を常用対数値に変換した値と頻度から計算した。
<膜厚及び空孔率>
得られた多孔質膜を所定の大きさに切断し重量を測定した。多孔質膜の厚みは東京精密社製 高精度デジタル測長器MINIAX PH-13及び同社表示ユニットDH-150を用いて測定した。空孔率は以下の式により算出した。
(式)
Figure 0006554760
<実施例1>
ポリイミド前駆体溶液の作製には、テトラカルボン酸無水物にs-BPDA(宇部興産)、テトラカルボン酸にs-BPTA(宇部興産)、ジアミンにTPE-Q(和歌山精化)を用い、溶媒にNMP(三菱化学)を用いた。ガラス製500mlセパラブルフラスコにs-BPDA 9.0150g、TPE-Q 8.9706g、NMP 282.12gを入れ、室温、窒素雰囲気中で48hr攪拌した。これにs-BPTA 0.2236gを入れ更に24hr攪拌しポリアミック酸溶液を調整した。溶液の粘度は495poise(25℃)であった。この溶液を平滑な200mm角のステンレス製支持体上に約400μmの厚みに流延した。この支持体をミスト発生装置のダクト内に配置し、ミスト濃度0.036kg-ミスト/kg-空気、流速0.55m/sに相当する条件でミストと3分間接触させた。目視の観察では支持体上に流延したポリアミック酸溶液は透明であった。この支持体を20wt%NMP水溶液に5分間浸漬し、次いでイオン交換水に5分間浸漬した。析出したポリアミック酸膜を支持体から剥離してポリアミック酸の独立膜を得た。独立膜はもう一度イオン交換水に5分間浸漬した後、室温で自然乾燥させた。乾燥後の独立膜を、四方を拘束するピンテンターに貼り付け、熱風炉にてRTから10℃/minの設定値で320℃まで昇温し10分間同温度を保持した後、冷却してポリイミド多孔質膜を得た。多孔膜の作成条件と得られた膜の特性を表1・2に示す。
<実施例2>
実施例1で作成したポリアミック酸溶液を使用した。又、ミスト接触後の支持体を30wt%NMP水溶液に5分間浸漬した以外は、実施例1と同じ操作を行った。多孔膜の作成条件と得られた膜の特性を表1・2に示す。
<実施例3>
実施例1で作成したポリイミド前駆体溶液を使用した。又、ミスト接触後の支持体を40wt%NMP水溶液に5分間浸漬した以外は、実施例1と同じ操作を行った。多孔膜の作成条件と得られた膜の特性を表1・2に示す。
<実施例4>
実施例1で作成したポリイミド前駆体溶液を使用した。又、ミスト発生装置のダクト内でミストと接触する時間を10分間とした以外は、実施例1と同じ操作を行った。支持体に流延したポリアミック酸溶液はミストとの接触中に析出した。析出時間は約7分であった。
多孔膜の作成条件と得られた膜の特性を表1・2に示す。
<実施例5>
ポリイミド前駆体溶液の作成には、テトラカルボン酸無水物にs-BPDA(宇部興産)、テトラカルボン酸にs-BPTA(宇部興産)、ジアミンにODA(和歌山精化)を用い、溶媒にNMP(三菱化学)を用いた。ガラス製500mlセパラブルフラスコにs-BPDA 10.6959g、ODA 7.2892g、NMP 282.09gを入れ、室温、窒素雰囲気中で48hr攪拌した。これにs-BPTA 0.2664gを入れ更に24hr攪拌しポリアミック酸溶液を調整した。溶液の粘度は360poise(25℃)であった。この溶液を使用し、ミスト発生装置のダクト内でミストと接触する時間を10分間とした以外は、実施例1と同じ操作を行った。支持体に流延したポリアミック酸溶液はミストとの接触中に析出した。析出時間は約8分であった。多孔膜の作成条件と得られた膜の特性を表1・2に示す。
<実施例6>
ポリイミド前駆体溶液の作成には、テトラカルボン酸無水物にs-BPDA(宇部興産)、ジアミンにODA(和歌山精化)を用い、溶媒にNMP(三菱化学)を用いた。ガラス製500mlセパラブルフラスコにs-BPDA 14.2581g、ODA 9.7292g、NMP 276.87gを入れ、室温、窒素雰囲気中で 24hr攪拌しポリアミック酸溶液を調整した。溶液の粘度は685poise(25℃)であった。この溶液を使用し、ミスト発生装置のダクト内でミストと接触する時間を10分間とした以外は、実施例1と同じ操作を行った。支持体に流延したポリアミック酸溶液はミストとの接触中に析出した。析出時間は約7分であった。多孔膜の作成条件と得られた膜の特性を表1・2に示す。
<実施例7>
ポリイミド前駆体溶液の作成には、テトラカルボン酸無水物にs-BPDA(宇部興産)、ジアミンにTPE-Q(和歌山精化)を用い、溶媒にNMP(三菱化学)を用いた。ガラス製500mlセパラブルフラスコにs-BPDA 9.0158g、TPE-Q 8.9712g、NMP 282.23gを入れ、室温、窒素雰囲気中で48hr攪拌しポリアミック酸溶液を調整した。溶液の粘度は410poise(25℃)であった。この溶液を平滑な200mm角のステンレス製支持体上に約530μmの厚みに流延した。この支持体をミスト発生装置のダクト内に配置し、ミスト濃度0.055kg-ミスト/kg-空気、流速0.39m/sに相当する条件でミストと10分間接触させた。目視の観察では支持体上に流延したポリアミック酸溶液はミスト接触の約8分後に析出した。この支持体を20wt%NMP水溶液に5分間浸漬し、次いでイオン交換水に5分間浸漬した。析出したポリアミック酸膜を支持体から剥離してポリアミック酸の独立膜を得た。独立膜はもう一度イオン交換水に5分間浸漬した後、室温で自然乾燥させた。乾燥後の独立膜を、四方を拘束するピンテンターに貼り付け、熱風炉にてRTから10℃/minの設定値で400℃まで昇温し10分間同温度を保持した後、冷却してポリイミド多孔質膜を得た。多孔膜の作成条件と得られた膜の特性を表1・2に示す。
<実施例8>
ポリイミド前駆体溶液の作成には、テトラカルボン酸無水物にs-BPDA(宇部興産)、ジアミンにODA(和歌山精化)を用い、溶媒にDMAc(広島和光純薬 有機合成用)を用いた。ガラス製500mlセパラブルフラスコにs-BPDA 12.4768g、ODA 8.5043g、DMAc 279.19gを入れ、室温、窒素雰囲気中で48hr攪拌しポリアミック酸溶液を調整した。溶液の粘度は452poise(25℃)であった。この溶液を平滑な200mm角のステンレス製支持体上に約590μmの厚みに流延した。この支持体をミスト発生装置のダクト内に配置し、ミスト濃度0.055kg-ミスト/kg-空気、流速0.39m/sに相当する条件でミストと6分間接触させた。目視の観察では支持体上に流延したポリアミック酸溶液はミスト接触の約4分後に析出した。この支持体を20wt%DMAc水溶液に5分間浸漬し、次いでイオン交換水に5分間浸漬した。析出したポリアミック酸膜を支持体から剥離してポリアミック酸の独立膜を得た。独立膜はもう一度イオン交換水に5分間浸漬した後、室温で自然乾燥させた。乾燥後の独立膜を、四方を拘束するピンテンターに貼り付け、熱風炉にてRTから10℃/minの設定値で360℃まで昇温し10分間同温度を保持した後、冷却してポリイミド多孔質膜を得た。多孔膜の作成条件と得られた膜の特性を表1・2に示す。
<実施例9>
ポリイミド前駆体溶液の作成には、テトラカルボン酸無水物にs-BPDA(宇部興産)、ジアミンにODA(和歌山精化)を用い、溶媒にDMAc(広島和光純薬 有機合成用)を用いた。ガラス製500mlセパラブルフラスコにs-BPDA 14.2618g、ODA 9.7192g、DMAc 277.06gを入れ、室温、窒素雰囲気中で48hr攪拌しポリアミック酸溶液を調整した。溶液の粘度は1488poise(25℃)であった。この溶液を平滑な200mm角のステンレス製支持体上に約590μmの厚みに流延した。この支持体をミスト発生装置のダクト内に配置し、ミスト濃度0.135kg-ミスト/kg-空気、流速0.07m/sに相当する条件でミストと11分間接触させた。目視の観察では支持体上に流延したポリアミック酸溶液はミスト接触の約9分後に析出した。この支持体を40wt%DMAc水溶液に5分間浸漬し、次いでイオン交換水に5分間浸漬した。析出したポリアミック酸膜を支持体から剥離してポリアミック酸の独立膜を得た。独立膜はもう一度イオン交換水に5分間浸漬した後、室温で自然乾燥させた。乾燥後の独立膜を、四方を拘束するピンテンターに貼り付け、熱風炉にてRTから10℃/minの設定値で360℃まで昇温し10分間同温度を保持した後、冷却してポリイミド多孔質膜を得た。多孔膜の作成条件と得られた膜の特性を表1・2に示す。
<実施例10>
ポリイミド前駆体溶液の作製には、テトラカルボン酸無水物にs-BPDA(宇部興産)、テトラカルボン酸にs-BPTA(宇部興産)、ジアミンにTPE-Q(和歌山精化)を用い、溶媒にNMP(三菱化学)を用いた。ガラス製500mlセパラブルフラスコにs-BPDA 9.0150g、TPE-Q 8.9706g、NMP 282.12gを入れ、室温、窒素雰囲気中で48hr攪拌した。これにs-BPTA 0.2236gを入れ更に24hr攪拌しポリアミック酸溶液を調整した。溶液の粘度は495poise(25℃)であった。この溶液を平滑な200mm角のステンレス製支持体上に約400μmの厚みに流延した。この支持体をミスト発生装置のダクト内に配置し、ミスト濃度0.051kg-ミスト/kg-空気、流速0.65m/sに相当する条件でミストと1.5分間接触させた。目視の観察では支持体上に流延したポリアミック酸溶液は透明であった。この支持体を25wt%NMP水溶液に5分間浸漬し、次いでイオン交換水に5分間浸漬した。析出したポリアミック酸膜を支持体から剥離してポリアミック酸の独立膜を得た。独立膜はもう一度イオン交換水に5分間浸漬した後、室温で自然乾燥させた。乾燥後の独立膜を、四方を拘束するピンテンターに貼り付け、熱風炉にてRTから10℃/minの設定値で320℃まで昇温し10分間同温度を保持した後、冷却してポリイミド多孔質膜を得た。多孔膜の作成条件と得られた膜の特性を表1・2に示す。
<実施例11>
ポリイミド前駆体溶液の作成には、テトラカルボン酸無水物にs-BPDA(宇部興産)、テトラカルボン酸にs-BPTA(宇部興産)、ジアミンにODA(和歌山精化)を用い、溶媒にNMP(三菱化学)を用いた。ガラス製500mlセパラブルフラスコにs-BPDA 26.5122g、ODA 18.2259g、NMP 256.50gを入れ、室温、窒素雰囲気中で24hr攪拌した。これにs-BPTA 0.6668gを入れ更に24hr攪拌しポリアミック酸溶液を調整した。溶液の粘度は585poise(25℃)であった。この溶液を平滑な200mm角のステンレス製支持体上に約240μmの厚みに流延した。この支持体をミスト発生装置のダクト内に配置し、ミスト濃度0.051kg-ミスト/kg-空気、流速0.65m/sに相当する条件でミストと1.5分間接触させた。それ以降は、実施例10と同じ操作を行った。支持体に流延したポリアミック酸溶液はミストとの接触中に目視の観察では透明であった。析出時間は約3分であった。多孔膜の作成条件と得られた膜の特性を表1・2に示す。
<実施例12>
ポリイミド前駆体溶液の作成には、テトラカルボン酸無水物にs-BPDA(宇部興産)、ジアミンにODA(和歌山精化)を用い、溶媒にDMAc(広島和光純薬)を用いた。又、2種類目のポリマーとしてPMMA(Polysciences社-Poly(Methyl Methacrylate-n-Butyl Methacrylate))を用いた。ガラス製500mlセパラブルフラスコにs-BPDA 10.7043g、ODA 7.2896g、PMMA 0.3680g、DMAc 283.48gを入れ、室温、窒素雰囲気中で48hr攪拌しポリイミド前駆体溶液が主成分であるポリアミック酸溶液を調整した。溶液粘度は554poise(25℃)であった。この溶液を平滑な200mm角のステンレス製支持体上に約400μmの厚みに流延した。この支持体をミスト発生装置のダクト内に配置し、ミスト濃度0.127kg-ミスト/kg-空気、流速0.06m/sに相当する条件でミストと5分間接触させた。目視の観察では支持体に流延したポリアミック酸溶液はミストとの接触中に析出した。析出時間は約4分であった。この支持体を25wt%DMAc溶液に5分間浸漬し、次いでイオン交換水に5分間浸漬した。析出したポリアミック酸膜を支持体から剥離してポリアミック酸膜の独立膜を得た。独立膜はもう一度イオン交換水に5分間浸漬した後、室温で自然乾燥させた。乾燥後の独立膜を、四方を拘束するピンテンターに貼り付け、熱風炉にてRTから10℃/minの設定で360℃まで昇温し10分間同温度を保持した後、冷却してポリイミド多孔質膜を得た。多孔膜の作成条件と得られた膜の特性を表1・2に示す。
<実施例13>
ポリイミド前駆体溶液の作成には、テトラカルボン酸無水物にs-BPDA(宇部興産)、ジアミンにODA(和歌山精化)を用い、溶媒にDMAc(広島和光純薬)を用いた。又、2種類目のポリマーとしてPMMA(Polysciences社-Poly(Methyl Methacrylate-n-Butyl Methacrylate))を用いた。ガラス製500mlセパラブルフラスコにs-BPDA12.4863g、ODA 8.5038g、PMMA 0.4280g、DMAc329.31gを入れ、室温、窒素雰囲気中で48hr攪拌しポリイミド前駆体溶液が主成分であるポリアミック酸溶液を調整した。溶液粘度は502poise(25℃)であった。この溶液を使用し、流延厚み約590μm、ミスト濃度0.094kg-ミスト/kg-空気、流速0.14m/s、ミスト発生装置のダクト内でミストと接触する時間を5分30秒とした以外は、実施例12と同じ操作を行った。支持体に流延したポリアミック酸溶液はミストとの接触中に析出した。析出時間は約4分30秒であった。多孔膜の作成条件と得られた膜の特性を表1・2に示す。
<実施例14>
ポリイミド前駆体溶液の作成には、テトラカルボン酸無水物にs-BPDA(宇部興産)、ジアミンにODA(和歌山精化)を用い、溶媒にDMAc(広島和光純薬)を用いた。又、2種類目のポリマーとしてPMMA(Polysciences社-Poly(Methyl Methacrylate-n-Butyl Methacrylate))を用いた。ガラス製500mlセパラブルフラスコにs-BPDA14.5558g、ODA 9.9219g、PMMA 0.4999g、DMAc326.01gを入れ、室温、窒素雰囲気中で48hr攪拌しポリイミド前駆体溶液が主成分であるポリアミック酸溶液を調整した。溶液粘度は743poise(25℃)であった。この溶液を使用し、流延厚み約590μm、ミスト発生装置のダクト内でミストと接触する時間を7分30秒とした以外は、実施例12と同じ操作を行った。支持体に流延したポリアミック酸溶液はミストとの接触中に析出した。析出時間は約6分30秒であった。多孔膜の作成条件と得られた膜の特性を表1・2に示す。
<実施例15>
ポリイミド前駆体溶液の作成には、テトラカルボン酸無水物にs-BPDA(宇部興産)、ジアミンにTPE-Q(和歌山精化)を用い、溶媒にNMP(三菱化学)を用いた。ガラス製500mlセパラブルフラスコにs-BPDA 11.964g、TPE-Q 11.961g、NMP276.0gを入れ、室温、窒素雰囲気中で48hr攪拌した。これにs-BPTA 0.0749gを入れ更に24hr攪拌しポリアミック酸溶液を調整した。溶液粘度は601poise(25℃)であった。この溶液を使用し、流延厚み262μm、ミスト濃度0.063kg-ミスト/kg-空気、流速0.27m/s、ミスト発生装置のダクト内でミストと接触する時間を1分30秒、ミストと接触させた後に浸漬する溶液を24wt%NMP水溶液とした以外は、実施例12と同じ操作を行った。目視の観察では支持体に流延したポリアミック酸溶液は透明であった。多孔膜の作成条件と得られた膜の特性を表1・2に示す。
<実施例16>
ポリイミド前駆体溶液の作成には、テトラカルボン酸無水物にs-BPDA(宇部興産)、ジアミンにTPE-Q(和歌山精化)を用い、溶媒にNMP(三菱化学)を用いた。ガラス製500mlセパラブルフラスコにs-BPDA 11.9603g、TPE-Q 11.9612g、NMP276.0gを入れ、室温、窒素雰囲気中で48hr攪拌した。これにs-BPTA 0.0750gを入れ更に24hr攪拌しポリアミック酸溶液を調整した。溶液粘度は597poise(25℃)であった。この溶液を使用し、流延厚み262μm、ミスト濃度0.051kg-ミスト/kg-空気、流速0.28m/s、ミスト発生装置のダクト内でミストと接触する時間を1分30秒、ミストと接触させた後に浸漬する溶液を24wt%NMP水溶液とした以外は、実施例12と同じ操作を行った。目視の観察では支持体に流延したポリアミック酸溶液は透明であった。多孔膜の作成条件と得られた膜の特性を表1・2に示す。
<比較例1>
ポリイミド前駆体溶液の作成には、テトラカルボン酸無水物にs-BPDA(宇部興産)、ジアミンにODA(和歌山精化)を用い、溶媒にNMP(三菱化学)を用いた。ガラス製500mlセパラブルフラスコにs-BPDA14.2437g、ODA 9.7196g、NMP276.16gを入れ、室温、窒素雰囲気中で48hr攪拌しポリアミック酸溶液を調整した。溶液粘度は575poise(25℃)であった。この溶液を平滑な200mm角のステンレス製支持体上に約400μmの厚みに流延した。この支持体を20wt%NMP水溶液に5分間浸漬し、次いでイオン交換水に5分間浸漬した。析出したポリアミック酸膜を支持体から剥離してポリアミック酸の独立膜を得た。独立膜はもう一度イオン交換水に5分間浸漬した後、室温で自然乾燥させた。乾燥後の独立膜を、四方を拘束するピンテンターに貼り付け、熱風炉にてRTから10℃/minの設定値で320℃まで昇温し10分間同温度を保持した後、冷却してポリイミド多孔質膜を得た。多孔膜の作成条件と得られた膜の特性を表1・2に示す。
<比較例2>
比較例1で作成したポリイミド前駆体溶液を使用した。この溶液を平滑な200mm角のステンレス製支持体上に約300μmの厚みに流延した。この支持体を温度49℃、湿度91%Rhの雰囲気下で5分間静置し、次いで支持体を40wt%NMP水溶液に5分間浸漬し、次いでイオン交換水に5分間浸漬した。析出したポリアミック酸膜を支持体から剥離してポリアミック酸の独立膜を得た。独立膜はもう一度イオン交換水に5分間浸漬した後、室温で自然乾燥させた。乾燥後の独立膜を、四方を拘束するピンテンターに貼り付け、熱風炉にてRTから10℃/minの設定値で320℃まで昇温し10分間同温度を保持した後、冷却してポリイミド多孔質膜を得た。多孔膜の作成条件と得られた膜の特性を表1・2に示す。
<比較例3>
ポリイミド前駆体溶液の作成には、テトラカルボン酸無水物にs-BPDA(宇部興産)、ジアミンにODA(和歌山精化)を用い、溶媒にNMP(三菱化学)を用いた。ガラス製500mlセパラブルフラスコにs-BPDA15.9888g、ODA 10.9342g、NMP274.41gを入れ、室温、窒素雰囲気中で48hr攪拌した。これにs-BPTA 0.6198gを入れ更に24hr攪拌しポリアミック酸溶液を調整した。溶液粘度は458poise(25℃)であった。この溶液を平滑な200mm角のステンレス製支持体上に約400μmの厚みに流延した。この支持体を40wt%NMP水溶液に5分間浸漬し、次いでイオン交換水に5分間浸漬した。析出したポリアミック酸膜を支持体から剥離してポリアミック酸の独立膜を得た。独立膜はもう一度イオン交換水に5分間浸漬した後、室温で自然乾燥させた。乾燥後の独立膜を、四方を拘束するピンテンターに貼り付け、熱風炉にてRTから10℃/minの設定値で360℃まで昇温し10分間同温度を保持した後、冷却してポリイミド多孔質膜を得た。多孔膜の作成条件と得られた膜の特性を表1・2に示す。
Figure 0006554760
Figure 0006554760

Claims (6)

  1. 相分離法を用いて有機高分子多孔質膜を製造する方法であって、ポリマー溶液をフィルム状に流延し、流延後にミスト雰囲気へ曝露する工程を含み、ポリマー溶液が、ポリイミド前駆体溶液またはポリイミド溶液が主成分であり、ポリマーの副成分がポリアクリル酸エステルまたはポリアクリル酸エステル系共重合体であることを特徴とするポリマー多孔質膜の製造方法。
  2. テトラカルボン酸単位及びジアミン単位からなるポリイミド前駆体またはポリイミド0.3〜60質量%と有機極性溶媒40〜99.7質量%とからなるポリイミド前駆体溶液またはポリイミド溶液(A)を、フィルム状に流延し、流延後にミスト雰囲気へ曝露する工程を含み、次いでミスト雰囲気へ曝露されるポリイミド前駆体またはポリイミド溶液(A)をミスト雰囲気から開放する工程を含み、次いで水を必須成分とする凝固溶媒に浸漬又は接触させて、ポリイミド前駆体またはポリイミドの多孔質膜を作製する工程を含むことを特徴とするポリイミド多孔質膜の製造方法。
  3. テトラカルボン酸単位及びジアミン単位からなるポリイミド前駆体またはポリイミド0.3〜60質量%と有機極性溶媒40〜99.7質量%とからなるポリイミド前駆体溶液またはポリイミド溶液(A)を、フィルム状に流延し、流延後にミスト雰囲気へ曝露する工程を含み、次いでミスト雰囲気へ曝露されるポリイミド前駆体またはポリイミド溶液(A)をミスト雰囲気から開放する工程を含み、次いで水を必須成分とする凝固溶媒に浸漬又は接触させて、ポリイミド前駆体またはポリイミドの多孔質膜を作製する工程を含み、ミスト雰囲気へ曝露されるポリイミド前駆体溶液またはポリイミド溶液をミスト雰囲気から開放する工程から、水を必須成分とする凝固溶媒に浸漬又は接触させて、ポリイミド前駆体の多孔質膜を作製する工程の間にかかる時間が、0分より大きく、20分以内であるポリイミド前駆体またはポリイミドの多孔質膜を作製する工程を含むことを特徴とするポリイミド多孔質膜の製造方法。
  4. テトラカルボン酸単位及びジアミン単位からなるポリイミド前駆体またはポリイミド0.3〜60質量%と有機極性溶媒40〜99.7質量%とからなるポリイミド前駆体溶液またはポリイミド溶液(A)を、フィルム状に流延し、流延後にミスト雰囲気へ曝露する工程を含むポリイミド前駆体またはポリイミドの多孔質膜を作製する工程を含み、次いで水を必須成分とする凝固溶媒に浸漬又は接触させて、ポリイミド前駆体またはポリイミドの多孔質膜を作製する工程を含み、水を必須成分とする凝固溶媒の水濃度が40%以上であることを特徴とするポリイミド多孔質膜の製造方法。
  5. テトラカルボン酸単位及びジアミン単位からなるポリイミド前駆体0.3〜60質量%と有機極性溶媒40〜99.7質量%とからなるポリイミド前駆体溶液を、フィルム状に流延し、流延後にミスト雰囲気へ曝露する工程を含むポリイミド前駆体の多孔質膜を作製する工程を含み、ポリイミド前駆体の多孔質膜を熱処理してイミド化する工程を含むことを特徴とするポリイミド多孔質膜の製造方法。
  6. ミスト雰囲気中の液体濃度が、0.01kg(ミスト)/kg(空気)以上0.5kg(ミスト)/kg(空気)以下となる、ポリイミド前駆体またはポリイミドの多孔質膜を作製する工程を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかのポリイミド多孔質膜の製造方法。
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