JP6440092B2 - ポリイミド多孔質膜及び多孔質膜製造用のポリイミド前駆体反応生成物溶液 - Google Patents

ポリイミド多孔質膜及び多孔質膜製造用のポリイミド前駆体反応生成物溶液 Download PDF

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Description

本発明は、ポリイミド多孔質膜の製造方法、そしてポリイミド多孔質膜製造用のポリイミド前駆体反応生成物溶液に関する。
ポリマー多孔質膜は、電池用セパレータや電解コンデンサ用隔膜用、集塵、精密濾過、膜分離など様々な用途に用いられている。特にポリイミド多孔質膜は、ポリイミド由来の優れた耐熱性、力学特性、耐薬品性を有するためその応用展開が期待されている。ポリイミド多孔質膜の製造法としては、非溶媒誘起相分離法(NIPS)、蒸気誘起相分離法(VIPS)、熱誘起相分離法(TIPS)などの方法が知られている。
特許文献1には、非溶媒誘起相分離法によるポリイミド多孔質膜の製造方法が開示されている。ここに開示されているポリイミド多孔質膜の製造方法は、ビフェニルテトラカルボン酸成分とジアミン成分とから得られるポリイミド前駆体ワニスキャストフィルムに多孔質膜を積層した後、非溶媒に浸漬する操作を利用する方法である。
特許文献2には、蒸気誘起相分離法によるポリイミド多孔質膜の製造方法が開示されている。ここに開示されているポリイミド多孔質膜の製造方法は、ポリイミド前駆体0.3〜60重量%と溶媒99.7〜40重量%とからなる溶液をフィルム状に流延し、得られたポリイミド前駆体のフィルム状物を蒸気暴露する処理を行った後、凝固溶媒に浸漬もしくは接触させる操作を利用する方法である。
特許文献3には、凝固浴を用いずにポリイミド多孔質膜を製造する方法が開示されている。ここに開示されているポリイミド多孔質膜の製造方法は、高沸点の非溶媒を予めポリアミド前駆体溶液(ポリアミック酸溶液)に混合した後、成膜を行い、次いで加熱することで多孔質膜とするドライキャスト法である。さらに詳しく云うと、この文献には、ポリイミド前駆体とアミド系溶媒、そしてアミド系溶媒より15℃以上(好ましくは50℃以上)高い沸点を有するエーテル系溶媒を含有するポリイミド前駆体溶液を基材上に流延してポリイミド前駆体膜を形成させ、次いで加熱乾燥・イミド化させる操作を利用するポリイミド多孔質膜の製造方法が開示されている。この文献には、この方法では、互いの沸点が異なる溶媒を用いることにより、ポリイミド前駆体膜の加熱イミド化の際に発泡が起こり、気孔率の高いポリイミド多孔質膜が得られると説明されている。
特許文献4には、特許文献3に記載の方法により製造されたポリイミド多孔質膜に対して表面研磨処理あるいはレーザー照射などの表面処理を行うことにより気孔率がさらに向上したポリイミド多孔質膜が得られるとの開示がある。
特開平10−153480号公報 特開平11−265347号公報 特開2007−21136号公報(特許第4947989号公報) 特開2013−64122号公報
特許文献1と2に開示されているポリイミド多孔質膜の製造方法は、凝固溶媒への浸漬もしくは接触という追加的な作業が必要となるため、ポリイミド多孔質膜(多孔質フィルム)の工業的な製造法としては不利となる。さらに、ポリイミド多孔質フィルムを工業的に製造する場合には、凝固浴等の厳密な管理も必要となることも有利ということはできない。
特許文献3に記載のポリイミド多孔質膜の製造方法では、特許文献4の記載からも明らかなように、充分高い気孔率のポリイミド多孔質膜を得ることが難しいという問題がある。すなわち、特許文献3に記載のポリイミド多孔質膜の製造方法を利用することにより膜厚が300μm以上の比較的厚い多孔質膜を得ることは出来るものの、膜厚が薄いと気孔率が顕著に低下し、このため膜厚が100μm以下で空孔率の高い多孔質膜を製造することは困難となる。これは、この文献に記載の方法では、ポリイミド前駆体溶液を支持体表面に流延し、加熱乾燥した際に、そのポリイミド前駆体溶液膜の大気接触面(A面)にポリイミド皮膜(スキン)層が形成されて、多孔質膜の両表面が開孔した透気度の高い多孔質膜が得られにくいためであると理解される。この理解は、特許文献4の記載からも裏付けられる。
従って、本発明の目的は、耐熱性、耐薬品性に優れ、空孔率(気孔率)が高いポリイミド多孔質膜を提供することにある。
本発明者は、カルボキシル基を有するポリイミド前駆体と、該ポリイミド前駆体の良溶媒と非溶媒との混合物とを含むポリイミド前駆体溶液からポリイミド多孔質膜を製造するに際して、ポリイミド前駆体を、ポリイミド前駆体のカルボキシル基と塩を形成することのできる塩基性化合物との反応生成物とすることにより、空孔率の高いポリイミド多孔質膜を製造することができることを見いだし、本発明に到達した。
従って、本発明は、カルボキシル基を有するポリイミド前駆体と該ポリイミド前駆体のカルボキシル基と塩を形成する塩基性化合物との反応生成物(ポリイミド前駆体反応生成物)から製造されたポリイミド多孔質膜にある。
本発明はまた、カルボキシル基を有するポリイミド前駆体と該ポリイミド前駆体のカルボキシル基と塩を形成する塩基性化合物との反応生成物(ポリイミド前駆体反応生成物)、該ポリイミド前駆体反応生成物の良溶媒、そして該良溶媒より20℃以上高い沸点を有するポリイミド前駆体反応生成物の非溶媒を含む多孔質膜製造用ポリイミド前駆体反応生成物溶液にもある。
本発明のポリイミド多孔質膜は、上記の多孔質膜製造用ポリイミド前駆体反応生成物溶液を支持体上に流延してポリイミド前駆体反応生成物溶液膜を生成させ、このポリイミド前駆体反応生成物溶液膜を加熱乾燥することによりイミド化とポリイミド前駆体反応生成物溶液膜の相分離を発現させる工程を含む方法を利用して製造することができる。
本発明のポリイミド多孔質膜と多孔質膜製造用ポリイミド前駆体反応生成物溶液の好ましい態様を以下に記載する。
(1)多孔質膜の両表面が実質的に開口しており、ガーレー値が2000秒/100cc以下で空孔率が40%以上(特に47%〜71%)である。
(2)塩基性化合物の量が、ポリイミド前駆体のカルボキシル基に対して0.01〜1モル当量である。
(3)塩基性化合物が、イミダゾール類、アルキルアミン類、ピペラジン類、グアニジンおよびグアニジン塩類、カルボキシル置換アルキルアミン類、ピペリジン類およびピロリジン類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む。
(4)イミダゾール類が、1,2−ジメチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、4−エチル−2−メチルイミダゾール、1−メチル−4−エチルイミダゾール、および5−メチルベンズイミダゾールからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物である。
(5)ポリイミド前駆体が、少なくともビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸成分と少なくともジアミノジフェニルエーテルを含むジアミン成分との重合により生成したポリマーである。
(6)ポリイミド前駆体反応生成物の良溶媒が、アミド系有機溶媒である。
(7)アミド系有機溶媒がN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドのいずれか一種、若しくは二種以上を含む。
(8)ポリイミド前駆体反応生成物の非溶媒が、グリコールエーテル系溶媒、カルボン酸ジエステル系溶媒、グリコールモノエーテルアセテート系溶媒のいずれか一種、若しくは二種以上を含む。
本発明の多孔質膜製造用ポリイミド前駆体反応生成物溶液を用いることにより、凝固浴を必要としない簡便で安価なプロセスで、ポリイミド多孔質膜を得ることが可能となる。また、本発明では、多孔質膜製造用ポリイミド前駆体反応生成物溶液に用いる非溶媒の沸点が、良溶媒よりも実質的に20℃以上高ければ高い空孔率の多孔質膜が得られる為、溶媒の組み合わせの選択幅が広がる。また、比較的薄い膜厚であっても高い空孔率を有する多孔質膜が得られる為、製造する膜厚の選択幅も広げることが出来る。さらに、ポリイミド前駆体反応生成物の濃度が低い領域では多孔質膜の両表面が開孔した透気度の高い多孔質膜が得られる為、セパレータ、フィルタ、気体拡散層等様々な用途に用いることが可能となった。
実施例1で製造されたポリイミド多孔質膜の断面の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1で製造されたポリイミド多孔質膜の断面の走査型電子顕微鏡写真である。
本発明の多孔質膜製造用ポリイミド前駆体反応生成物溶液は、カルボキシル基を有するポリイミド前駆体と該ポリイミド前駆体のカルボキシル基と塩を形成する塩基性化合物との反応生成物、該ポリイミド前駆体反応生成物の良溶媒、そして該良溶媒より20℃以上高い沸点を有するポリイミド前駆体反応生成物の非溶媒を含むことを特徴とする。
本発明の多孔質膜製造用ポリイミド前駆体反応生成物溶液において、カルボキシル基を有するポリイミド前駆体と該ポリイミド前駆体のカルボキシル基と塩を形成する塩基性化合物とは、下記の一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリマーを形成する。
式中、Bはテトラカルボン酸成分に起因する4価のユニットである。また、Aはジアミン成分に起因する2価のユニットである。Rは、塩基性化合物の一価のカチオン、R’は、塩基性化合物の一価のカチオンもしくは水素である。
上記一般式(1)において、ユニットBは、テトラカルボン酸成分に起因する4価のユニットである。テトラカルボン酸成分はポリイミド前駆体を重合可能な範囲で特に限定されないが例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(i−BPDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2、2‐ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物及びその混合物が挙げられる。その中でも特にs−BPDA、a−BPDAが得られるポリイミドの耐熱性、耐薬品性、力学特性の観点から好ましい。
ユニットAは、ジアミン成分に起因する2価のユニットである。ジアミン成分はポリイミド前駆体を重合可能な範囲で特に限定されないが例えば、p−フェニレンジアミン(PPD)、m−フェニレンジアミン(MPD)などのフェニレンジアミン類、3,5−ジアミノ安息香酸などのジアミノ安息香酸類、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメトキシ−ジアミノジフェニルエーテルなどのジアミノジフェニルエーテル類、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジフルオロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどのジアミノジフェニルメタン類、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−(3,4'−ジアミノジフェニル)プロパンなどのジアミノジフェニルプロパン類、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどのビス(アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン類、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンなどのジアミノジフェニルスルホン類、3,7−ジアミノ−2,8−ジメチル−ジベンゾチオフェン、2,8−ジアミノ−3,7−ジメチル−ジベンゾチオフェン、3,7−ジアミノ−2,6−ジメチル−ジベンゾチオフェンなどのジアミノジベンゾチオフェン類、3,7−ジアミノ−2,8−ジメチル−ジフェニレンスルフォン、3,7−ジアミノ−2,8−ジエチル−ジフェニレンスルフォン、3,7−ジアミノ−2,8−ジメトキシ−ジフェニレンスルフォン、2,8−ジアミノ−3,7−ジメチル−ジフェニレンスルフォンなどのジアミノジフェニレンスルフォン類(後述のジアミノジベンゾチオフェン=5,5−ジオキシド類に同じ)、4,4’−ジアミノビベンジル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビベンジルなどのジアミノビベンジル類、o−ジアニシジン、o−トリジン、m−トリジンなどのジアミノビフェニル類、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノンなどのジアミノベンゾフェノン類、2,2’,5,5’−テトラクロロベンジジン、3,3’,5,5’−テトラクロロベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、2,2’−ジクロロベンジジン、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサクロロベンジジン、2,2',5,5’−テトラブロモベンジジン、3,3’,5,5’−テトラブロモベンジジン、3,3’−ジブロモベンジジン、2,2’−ジブロモベンジジン、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサクロロベンジジンなどのジアミノベンジジン類、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)などのビス(アミノフェノキシ)ベンゼン類、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼンなどのジ(アミノフェニル)ベンゼン類、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパンなどのビス〔(アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン類、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパンなどのビス〔(アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン類、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホンなどのジ〔(アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン類、4,4’−ビス(4−アミノフェニル)ビフェニルなどのジ(アミノフェニル)ビフェニル類、5(6)−アミノ−2−(4−アミノフェニル)−ベンゾイミダゾール(DAPBI)などのジアミノベンゾアゾール類及びその混合物が挙げられる。その中でも特にODAが力学特性の観点から好ましい。その他、脂環族ジアミンとして、イソホロンジアミン、シクロヘキサンジアミンなどを、重合性を妨げない範囲で適宜利用できる。
本発明で用いる塩基性化合物は、ポリイミド前駆体のカルボキシル基と塩を形成する塩基性化合物であれば特に限定されないが、例えばイミダゾール類、アルキルアミン類、ピペラジン類、グアニジンおよびグアニジン塩類、カルボキシル置換アルキルアミン類、ピペリジン類、ピロリジン類の一価のカチオン等を挙げることができる。これらの塩基性化合物は、それぞれ単体で用いてもよいし、二種以上の混合物として用いても構わない。ただしR’については、塩基性化合物の添加量によってはプロトンであっても良い。ポリアミック酸に塩基性化合物を混合することでポリイミド前駆体のカルボキシル基の部分と塩を形成し、本発明のポリイミド前駆体反応生成物となる。この反応生成物を用いることで、ポリイミド前駆体酸よりも非溶媒に対する親和性が低下し、高い空孔率の多孔質膜や、両表面が開孔した透気度の高い多孔質膜が得られる。多孔質膜が得られる原理の詳細については後述する。
本発明に用いる塩基性化合物としては、イミダゾール類を用いることが特に好ましい。イミダゾール類は加熱・乾燥時にイミド化を促進する効果がある為、後述のポリイミド前駆体反応生成物の多孔質膜の強度を向上させ、イミド化時に膜が切れることを抑制する効果も期待できる。また、得られるポリイミド多孔質膜の強度も向上することがある。イミダゾール類としては、1,2−ジメチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、4−エチル−2−メチルイミダゾール、1−メチル−4−エチルイミダゾール、5−メチルベンズイミダゾール等が具体的に挙げられ、特に1,2−ジメチルイミダゾールが好適に使用出来る。イミダゾール類としては、それぞれ単体で用いてもよいし、二種以上の混合物として用いても構わない。
本発明で用いる塩基性化合物の添加量は、ポリイミド前駆体のカルボキシル基に対して概ね0.01〜1モル当量であることが好ましく、0.02〜0.8モル当量であることがより好ましい。特に多孔質膜の両表面の開孔率を上げて透気度の高い多孔質膜を得る場合は、0.06〜0.4モル当量程度であることが好ましい。塩基性化合物の添加量が少なすぎると、生成するポリイミド前駆体反応生成物の非溶媒への親和性低下効果が弱く、空孔率が高いポリイミド多孔質膜が得られ難くなる。また多すぎるとポリイミド多孔質膜の力学特性等に悪影響を及ぼす懸念や、製造コストが増加する懸念がある。
<良溶媒>
本発明のポリイミド前駆体反応生成物の良溶媒としては、具体的にはアミド系溶媒が挙げられる。アミド系溶媒の例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、ピリジン、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)等を挙げることが出来る。良溶媒は後述する非溶媒よりも沸点が低い必要がある為、なるべく沸点が低いことが好ましく、特にN,N−ジメチルアセトアミド(沸点165℃)、N,N−ジエチルアセトアミド(沸点182〜186℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(沸点153℃)が好適に用いられる。これらの良溶媒は、それぞれ単体で用いてもよいし、二種以上の混合物として用いても構わない。
<非溶媒>
本発明のポリイミド前駆体反応生成物の非溶媒としては、ポリイミド前駆体反応生成物を実質的に溶解せず、前記の良溶媒よりも20℃以上沸点が高いものであれば特に限定されないが、具体的にはグリコールエーテル系溶媒、カルボン酸ジエステル系溶媒、グリコールモノエーテルアセテート系溶媒などが挙げられる。グリコールエーテル系溶媒の例としては、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(EDM:沸点176℃)、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル(IPDM:沸点179℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM:沸点188℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(EDE:沸点189℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(DM:沸点194℃)、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(BDM:沸点212℃)、トリプロピレングリコールジメチルエーテル(MTPOM:沸点215℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(MTM:沸点216℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DB:沸点230℃)、ジエチレングリコール(沸点244℃)、エチレングリコールモノフェニルエーテル(沸点245℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点249℃)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点256℃)、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点261℃)、トリエチレングリコール(沸点285℃)等が挙げられ、良溶媒の沸点に応じて選択される。なお、ジエチレングリコールやジエチレングリコールモノメチルエーテル等、ヒドロキシル基を持つ溶媒は、ポリイミド前駆体反応生成物の加水分解による粘度の低下が懸念される為、グリコールジエーテル系溶媒を用いることが特に好ましい。
カルボン酸ジエステル系溶媒としては、こはく酸ジメチル(沸点200℃)、こはく酸ジエチル(沸点218℃)、グルタル酸ジメチル(沸点210〜215℃)、グルタル酸ジエチル(沸点237℃)、アジピン酸ジメチル(沸点215〜225℃)、アジピン酸ジエチル(沸点245℃)等が好ましい。また、こはく酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチルの混合物である二塩基酸エステル(商品名DBE:三協化学株式会社)等も好適に用いることが出来る。
グリコールモノエーテルアセテート系溶媒としては、エチルカルビネートアセテート(ECA:沸点218℃)、ブチルカルビネートアセテート(BCA:沸点247℃)等が具体的に挙げられる。後述する加熱乾燥、イミド化過程で最終的に除去する為に、非溶媒の沸点は高すぎない方が良いことから、沸点が250℃以下の溶媒がより好ましい。これらの非溶媒は、それぞれ単体で用いてもよいし、二種以上の混合物として用いても構わない。
その他、使用可能な非溶媒としては1−オクタノール(沸点195℃)、テルピネオール(沸点219℃)、1,5−ペンタンジオール(沸点242℃)、イソホロン(沸点215℃)等が挙げられる。これらの溶媒もポリイミド前駆体もしくはその反応生成物の加水分解による粘度の低下が懸念されるが、製膜に影響を及ぼさない範囲で用いることが出来る。
非溶媒の添加量は、非溶媒の種類に応じて適宜決定されるが、概ね全溶媒量の10〜70wt%の範囲である。非溶媒の添加量は後述のように系がバイノーダルライン近傍で且つ一相領域(=相分離を生じない)範囲にコントロールすることが重要である。
本発明の多孔質膜製造方法における多孔質膜形成の原理は、ポリイミド前駆体反応生成物の良溶媒と、良溶媒より沸点の高い非溶媒を含む溶液を加熱することで、沸点の低い良溶媒が相対的に早く蒸発することで系がバイノーダルラインを通過し、相分離が誘起されて凝固・多孔化するものである。この手法において、高い空孔率の多孔質膜を得る為には、系がバイノーダルラインに到達した際(=相分離した際)に、なるべく多くの溶媒が残っていることが重要となる。塩基性化合物と反応させていない単なるポリイミド前駆体の場合には、単なるポリイミド前駆体がグリコールエーテル系溶媒、カルボン酸ジエステル系溶媒、グリコールモノエーテルアセテート系溶媒等の各種非溶媒と比較的親和性が良い為、バイノーダルラインに到達する(=相分離する)までに多くの時間を要する。その為、空孔率の高い多孔質膜を得る為には長時間加熱しても非溶媒が蒸発しないように、良溶媒と非溶媒の沸点差を大きくとるか、非溶媒の混合量を多くする必要がある。本発明では、ポリイミド前駆体が塩基性化合物と反応して反応生成物を形成することで、ポリイミド前駆体よりも性状が親水性側にシフトし、疎水性である各種非溶媒への親和性が大幅に低下する。その為、非溶媒の混合量が少ない場合でも溶液をバイノーダルラインの近傍に調整することが可能となり、バイノーダルラインに到達するまでに要する時間が短くなる。結果として、良溶媒が多く蒸発する前に相分離によって溶液が凝固・多孔化することで、比較的高い空孔率を達成しやすくなる為、本発明では良溶媒と非溶媒の沸点差は概ね20℃以上あれば、高い空孔率の多孔質膜が得られる。更に、塩基性化合物と反応させていない単なるポリイミド前駆体を用いた場合には大気面(A面)にスキン層が形成され、透気度の高い多孔質膜は得られないのに対して、塩基性化合物との反応生成物を用いた場合には、濃度が低い領域では多孔質膜の両表面が開孔した透気度の高い多孔質膜が得られる。本発明のポリイミド前駆体反応生成物を用いた場合、多くの良溶媒及び非溶媒が残存した状態で急速に相分離による凝固・多孔化が進行する為、表面にスキン層を形成しづらくなったものと思われる。
<ポリイミド前駆体反応生成物溶液>
本発明のポリイミド前駆体反応生成物溶液は、前記のテトラカルボン酸二無水物とジアミンと塩基性化合物とを用いて、公知の方法により反応重合させることが出来る。良溶媒と非溶媒および塩基性化合物を用いて、ポリイミド前駆体反応生成物を得る方法は特に限定されないが、例えば予め良溶媒と非溶媒と塩基性化合物を混合した中に略等モルのテトラカルボン酸二無水物とジアミンを添加して均一になるまで混合することで良溶媒と非溶媒を含有したポリイミド前駆体反応生成物溶液を得ることが出来る。また、良溶媒中に略等モルのテトラカルボン酸二無水物とジアミンを添加して均一になるまで混合することでポリイミド前駆体(ポリアミック酸ともいう)を製造し、さらにこれらを撹拌しならが非溶媒及び塩基性化合物を少量ずつ加えて均一になるまで混合することで、良溶媒と非溶媒を含有するポリイミド前駆体反応生成物溶液を得ることができる。
テトラカルボン酸二無水物とジアミンを混合する際の反応温度は、−30〜120℃が好ましく、−20〜80℃がより好ましい。反応時間は、0.5時間〜100時間が好ましく、2時間〜48時間がより好ましい。テトラカルボン酸二無水物とジアミンの混合割合は等モルとなるように調整することが好ましいが、これらのモノマーの比率を若干変動させることにより、反応生成物の重合度を任意に調節することができる。
なお、必要に応じて反応生成物に有機リン含有化合物などを加えてもよい。有機リン含有化合物としては、例えば、モノカプロイルリン酸エステル、モノオクチルリン酸エステル、モノラウリルリン酸エステル、モノミリスチルリン酸エステル、モノセチルリン酸エステル、モノステアリルリン酸エステル、トリエチレングリコールモノトリデシルエーテルのモノリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノラウリルエーテルのモノリン酸エステル、ジエチレングリコールモノステアリルエーテルのモノリン酸エステル、ジカプロイルリン酸エステル、ジオクチルリン酸エステル、ジカプリルリン酸エステル、ジラウリルリン酸エステル、ジミリスチルリン酸エステル、ジセチルリン酸エステル、ジステアリルリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノネオペンチルエーテルのジリン酸エステル、トリエチレングリコールモノトリデシルエーテルのジリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノラウリルエーテルのジリン酸エステル、ジエチレングリコールモノステアリルエーテルのジリン酸エステル等のリン酸エステルや、これらリン酸エステルのアミン塩が挙げられる。有機リン含有化合物を使用することによって、後述する多孔質膜の強度が向上したり、生成した多孔質膜を支持体から剥離し易くしたりすることができる。
さらに、本発明のポリイミド前駆体反応生成物溶液には、必要に応じて例えば、各種界面活性剤、有機シラン、顔料、導電性のカーボン粒子やカーボンナノチューブ等の微細炭素繊維、金属微粒子等の充填材、摩滅材、誘電体、潤滑材等の他公知の添加物を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。また、他の重合体が本発明の効果を損なわない範囲で添加されていてもよい。
本発明のポリイミド多孔質膜製造用のポリイミド前駆体反応生成物溶液(あるいはポリアミック酸反応生成物溶液)中の当該反応生成物の濃度は、通常1〜50wt%、好ましくは5〜30wt%である。1wt%未満では、固形分が不足することで良好な多孔質膜が得られない為に好ましくなく、50wt%を超えると溶媒中への反応生成物の溶解が難しくなる。
本発明のポリイミド前駆体反応生成物溶液中の非溶媒の含有量は、非溶媒の種類に応じて適宜決定されるが、概ね全溶媒量の10wt%以上、70wt%未満の範囲である。非溶媒の添加量は前記のように系がバイノーダルライン近傍で且つ一相領域(=相分離を生じない)範囲にコントロールすることが重要である。10wt%未満では非溶媒の量が足りず、良好な多孔質膜を得ることが困難となり、70wt%以上加えることは、経済的な観点及びポリイミド前駆体反応生成物溶液の安定性の観点から好ましくない。
本発明のポリイミド前駆体反応生成物溶液の溶液粘度は、1Pa・s〜3000Pa・s、好ましくは5Pa・s〜1000Pa・s、特に好ましくは10Pa・s〜500Pa・sである。溶液粘度が3000Pa・sを越えると後述する多孔質膜形成の際に基板上に流延し、膜厚を均一に調整するのが困難になり、且つ相分離による多孔構造の形成時の溶媒置換速度の制御が難しくなって孔径、空孔率、孔形状などの多孔質特性を均質に制御することが困難になるので適当ではない。溶液粘度が1Pa・s未満では流延膜としての形状を保持できなくなり厚みムラが生じ易くなるので適当ではない。
<ポリイミド多孔質膜及び製造方法>
本発明において、ポリイミド多孔質膜とは、ポリイミド多孔質膜の自己支持膜及び支持体上にコーティング等によって形成された多孔質膜の被覆物を含む。ポリイミド多孔質膜は、本発明のポリイミド前駆体反応生成物溶液から、公知の方法によって得ることができる。以下、多孔質膜を製造する方法について具体的に説明する。
まず、本発明のポリイミド前駆体反応生成物溶液を支持体上にフィルム状に流延する。流延方法は特に限定されず、ブレードやTダイなどを用いてガラス板やステンレス板等の支持体上に流延する方法や、連続可動式のドラムやベルト上に連続的に流延して長尺状の流延物を得る方法等を用いることができる。その他コーティング等によって支持体上に形成する場合の基材としては、例えば、金属箔、金属線、無機材料板、プラスチックフィルム等が挙げられる。次に流延物を加熱し、相分離による多孔化を介しながら乾燥させることで、ポリイミド前駆体反応生成物の多孔質膜を得る。加熱温度及び加熱時間は適宜決めることが出来るが、概ね50℃〜200℃で3分〜120分乾燥させる。その後、支持体上のポリイミド前駆体反応生成物の多孔質膜を必要に応じて支持体から剥離し、追加の加熱処理を行うことで塩基性化合物のカルボニル基からの解離、及びそれに続くイミド化を完結させてポリイミド多孔質膜を得る。熱イミド化処理は、例えば、ポリイミド前駆体反応生成物の多孔質膜を、ピン、チャック若しくはピンチロールなどを用いて熱収縮により平滑性が損なわれないように支持体に固定し、大気中又は不活性雰囲気中にて加熱することにより行うことができる。加熱条件は、約100℃〜200℃の比較的低温から加熱を開始し、最終的に280〜600℃、好ましくは300〜550℃まで2分〜120分、好ましくは3分〜90分、さらに好ましくは5分〜60分加熱することでポリイミド多孔質膜を得ることができる。
本発明で得られるポリイミド多孔質膜は、ポリイミド前駆体反応生成物の非溶媒への親和性が低く、凝固性を向上させている為、良溶媒と非溶媒の沸点差は概ね20℃以上あれば高い空孔率を示す多孔質膜が得られる。特に膜厚が比較的薄い場合であっても空孔率が十分に高い(概ね40%以上)ポリイミド多孔質膜を得ることが可能である。また、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)と塩基性化合物とを反応させてポリイミド前駆体反応生成物とすることで、ポリイミド前駆体反応生成物の多孔質膜の強度の向上が可能であり、加熱処理中の多孔質膜の割れや裂けを抑制することができる。さらに、ポリイミド前駆体反応生成物中の塩形成量及びポリイミド前駆体反応生成物濃度を制御することで、加熱乾燥時の大気面(A面)におけるスキン層の形成を抑制し、両表面が開孔した透気度の高い多孔質膜を得ることができる。具体的には、塩基性化合物の添加量を調整してポリイミド前駆体反応生成物を形成した上で、ポリイミド前駆体反応生成物の濃度を概ね10wt%以下とすることで、ガーレー値が2000秒/100cc以下(好ましくは500秒/100cc以下)という良好な透気度のポリイミド多孔質膜を得ることが可能であり、各種用途への展開が可能となる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の例で用いたテトラカルボン酸二無水物、ジアミン、塩基性化合物、良溶媒及び非溶媒は以下のとおりである。
〔モノマー〕
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)
〔良溶媒〕
N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)
〔非溶媒〕
トリエチレングリコールジメチルエーテル(MTM)
ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(BDM)
ジエチレングリコールジエチルエーテル(EDE)
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)
二塩基酸エステル:No.23エステル(DBE):三協化学株式会社製
エチルカルビネートアセテート(ECA)
ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(EDM)
〔塩基性化合物〕
1,2−ジメチルイミダゾール(1,2−DMz)
以下の例で用いた特性の測定方法を以下に示す。
〔ポリイミド前駆体溶液の粘度測定〕
得られたポリイミド前駆体溶液の回転粘度を測定した。測定はTOKIMEC社製のE型回転粘度計でコーン角1.34°、半径24mmのコーンプレートを用いて、1rpm(ずり速度4.48s−1)での測定値を粘度の指標とした。
〔凝固価の測定〕
ポリイミド前駆体とポリイミド前駆体反応生成物の非溶媒への凝固性を比較する為、凝固価を測定した。ポリイミド前駆体またはポリイミド前駆体反応生成物の濃度が1wt%となるように良溶媒で希釈した溶液を作成した。この溶液10gを25℃に保ち、この溶液を攪拌しながら非溶媒を少量ずつ添加し、ポリイミド前駆体またはポリイミド前駆体反応生成物が析出し始める時点(目視により溶液が白濁した時点)における非溶媒の添加量をポリイミド前駆体溶液1gに対する値に換算して求めた。
〔白化時間(相分離時間)〕
支持体上に流延したポリイミド前駆体溶液(またはポリイミド前駆体反応生成物溶液)の液膜を80℃に設定したホットプレート上で加熱した際に、液膜全面が白化(=相分離)するまでに要した時間を測定し、白化時間と定義して相分離のし易さの指標とした。
〔膜厚の測定〕
得られた多孔質膜の厚みは東京精密社製 高精度デジタル測長器MINIAX PH−13及び同社表示ユニットDH−150を用いて測定した。
〔密度及び空孔率の測定〕
所定の大きさに切り取った多孔質膜の膜厚及び質量を測定し、目付質量から密度及び空孔率を下記一般式(2)、(3)によって求めた。

密度(g/cm)=w/S×d (一般式2)

空孔率(%)=(1−(w/S×d)/D)×100 (一般式3)

(式中、Sは多孔質フィルムの面積、dは膜厚、wは測定した質量、Dはポリイミド緻密膜の密度をそれぞれ意味する。ポリイミド緻密膜の密度は1.37g/cmとして計算した。)
〔通気性測定(ガーレー値(通気抵抗))〕
テスター産業社製ガーレー式デンソメーターPA−301及び同社デジタルオートカウンターPA−302を用いて、100mlの空気が測定試料を透過する時間を計測した。
〔製造例1〕
撹拌羽根、窒素導入管、排気管を取り付けた500mlのガラス製セパラブルフラスコにODA16.20g及びDMAc200gを投入し、撹拌混合した。さらにs−BPDA約23.80gを徐々に加えながら撹拌し、室温で48時間混合してポリイミド前駆体のDMAc溶液(ポリイミド前駆体固形分約16.7wt%)を調整した。s−BPDAの量は、ポリイミド前駆体の粘度が約200Pa・sとなるように調整した。
〔製造例2〕
撹拌羽根、窒素導入管、排気管を取り付けた500mlのガラス製セパラブルフラスコにODA8.10g及びDMAc180gを投入し、撹拌混合した。さらにs−BPDA約11.90gを徐々に加えながら撹拌し、室温で48時間混合してポリイミド前駆体のDMAc溶液(ポリイミド前駆体固形分約10.0wt%)を調整した。s−BPDAの量は、ポリイミド前駆体の粘度が約200Pa・sとなるように調整した。
〔実施例1〕
製造例1で得られたポリイミド前駆体のDMAc溶液30.0gを撹拌翼で撹拌しながら1,2−DMz0.233g(0.1モル当量)、モノステアリルリン酸エステルトリエタノールアミン塩0.009gを加え、さらにMTM25.0gを少量ずつ加え、均一になるまで撹拌・反応させることで、良溶媒と非溶媒を含有するポリイミド前駆体反応生成物溶液を調整した。この溶液を平滑な200mm角のガラス製支持体上に、スペーサーフィルムとブレードを用いて約250μmの厚みに流延後、支持体ごと80℃に設定したホットプレート上で30分加熱した。得られたポリイミド前駆体反応生成物の多孔質膜を支持体から剥離し、四方を拘束するピンテンターに貼り付け、熱風炉にて130℃から10℃/minの設定値で320℃まで昇温し10分間同温度を保持した後、冷却してポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。また、得られた多孔質膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図1に示す。ポリイミド前駆体に塩基性化合物を反応させてポリイミド前駆体反応生成物溶液として用いることで、比較的早くポリイミド前駆体反応生成物溶液の液膜が白化(=相分離)し、高い空孔率を示す多孔質膜が得られた。
〔実施例2〕
添加する1,2−DMz量を0.466g(0.2モル当量)としてポリイミド前駆体反応生成物溶液を得た他は、実施例1と同様の方法でポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。ポリイミド前駆体に塩基性化合物を反応させてポリイミド前駆体反応生成物溶液として用いることで、比較的早くポリイミド前駆体反応生成物溶液の液膜が白化(=相分離)し、高い空孔率を示す多孔質膜が得られた。また、得られた多孔質膜のガーレー値は低く、塩基性化合物の添加量を調整したポリイミド前駆体反応生成物を用いることで、両表面が開孔した透気度の高い多孔質膜が得られることがわかった。
〔実施例3〕
添加する1,2−DMz量を1.166g(0.5モル当量)としてポリイミド前駆体反応生成物溶液を得た他は、実施例1と同様の方法でポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。ポリイミド前駆体に塩基性化合物を反応させてポリイミド前駆体反応生成物溶液として用いることで、比較的早くポリイミド前駆体反応生成物溶液の液膜が白化(=相分離)し、高い空孔率を示す多孔質膜が得られた。
〔実施例4〕
添加する1,2−DMz量を1.866g(0.8モル当量)としてポリイミド前駆体反応生成物溶液を得た他は、実施例1と同様の方法でポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。ポリイミド前駆体に塩基性化合物を反応させてポリイミド前駆体反応生成物溶液として用いることで、比較的早くポリイミド前駆体反応生成物溶液の液膜が白化(=相分離)し、高い空孔率を示す多孔質膜が得られた。
〔実施例5〕
添加するMTMの量を10.0gとしてポリイミド前駆体反応生成物溶液を得た他は、実施例2と同様の方法でポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。ポリイミド前駆体に塩基性化合物を反応させてポリイミド前駆体反応生成物溶液として用いることで、比較的早くポリイミド前駆体反応生成物溶液の液膜が白化(=相分離)し、高い空孔率を示す多孔質膜が得られた。
〔実施例6〕
非溶媒としてMTMの代わりにBDMを10.0g加えてポリイミド前駆体反応生成物溶液を得た他は、実施例5と同様の方法でポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。ポリイミド前駆体に塩基性化合物を反応させてポリイミド前駆体反応生成物溶液として用いることで、比較的早くポリイミド前駆体反応生成物溶液の液膜が白化(=相分離)し、高い空孔率を示す多孔質膜が得られた。
〔実施例7〕
非溶媒としてMTMの代わりにEDEを10.0g加えてポリイミド前駆体反応生成物溶液を得た他は、実施例5と同様の方法でポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。ポリイミド前駆体に塩基性化合物を反応させてポリイミド前駆体反応生成物溶液として用いることで、比較的早くポリイミド前駆体反応生成物溶液の液膜が白化(=相分離)し、高い空孔率を示す多孔質膜が得られた。
〔実施例8〕
非溶媒としてMTMの代わりにDPMを10.0g加えてポリイミド前駆体反応生成物溶液を得た他は、実施例5と同様の方法でポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。ポリイミド前駆体に塩基性化合物を反応させてポリイミド前駆体反応生成物溶液として用いることで、比較的早くポリイミド前駆体反応生成物溶液の液膜が白化(=相分離)し、高い空孔率を示す多孔質膜が得られた。
〔実施例9〕
製造例1で得られたポリイミド前駆体のDMAc溶液30.0gを撹拌翼で撹拌しながら1,2−DMz0.466g(0.2モル当量)、モノステアリルリン酸エステルトリエタノールアミン塩0.009gを加え、さらにDMAc16.25g、BDM17.5gを少量ずつ加え、均一になるまで撹拌・反応させることで、良溶媒と非溶媒を含有するポリイミド前駆体反応生成物溶液を調整した他は、実施例1と同様の方法でポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。ポリイミド前駆体に塩基性化合物を反応させてポリイミド前駆体反応生成物溶液として用いることで、比較的早くポリイミド前駆体反応生成物溶液の液膜が白化(=相分離)し、高い空孔率を示す多孔質膜が得られた。また、得られた多孔質膜のガーレー値は低く、塩基性化合物の添加量を調整したポリイミド前駆体反応生成物を用いることで、両表面が開孔した透気度の高い多孔質膜が得られることがわかった。
〔実施例10〕
実施例9と同様のポリイミド前駆体反応生成物溶液を用い、流延する液膜の厚みを約350μmとした他は、実施例9と同様の方法でポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。ポリイミド前駆体に塩基性化合物を反応させてポリイミド前駆体反応生成物溶液として用いることで、比較的早くポリイミド前駆体反応生成物溶液の液膜が白化(=相分離)し、高い空孔率を示す多孔質膜が得られた。また、得られた多孔質膜のガーレー値は低く、塩基性化合物の添加量を調整したポリイミド前駆体反応生成物を用いることで、両表面が開孔した透気度の高い多孔質膜が得られることがわかった。
〔実施例11〕
実施例9と同様のポリイミド前駆体反応生成物溶液を用い、流延する液膜の厚みを約500μmとした他は、実施例9と同様の方法でポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。ポリイミド前駆体に塩基性化合物を反応させてポリイミド前駆体反応生成物溶液として用いることで、比較的早くポリイミド前駆体反応生成物溶液の液膜が白化(=相分離)し、高い空孔率を示す多孔質膜が得られた。また、得られた多孔質膜のガーレー値は低く、塩基性化合物の添加量を調整したポリイミド前駆体反応生成物を用いることで、両表面が開孔した透気度の高い多孔質膜が得られることがわかった。
〔実施例12〕
製造例2で得られたポリイミド前駆体のDMAc溶液30gを撹拌翼で撹拌しながら1,2−DMz0.259g(0.2モル当量)、モノステアリルリン酸エステルトリエタノールアミン塩0.006gを加え、さらにDMAc10.0g、BDM25.0gを少量ずつ加え、均一になるまで撹拌・反応させることで、良溶媒と非溶媒を含有するポリイミド前駆体反応生成物溶液を調整した他は、実施例1と同様の方法でポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。ポリイミド前駆体に塩基性化合物を反応させてポリイミド前駆体反応生成物溶液として用いることで、比較的早くポリイミド前駆体反応生成物溶液の液膜が白化(=相分離)し、高い空孔率を示す多孔質膜が得られた。また、得られた多孔質膜のガーレー値は低く、塩基性化合物の添加量を調整したポリイミド前駆体反応生成物を用いることで、両表面が開孔した透気度の高い多孔質膜が得られることがわかった。
〔実施例13〕
DMAcの添加量を5gとし、非溶媒としてBDMの代わりにEDEを25.0g加えてポリイミド前駆体反応生成物溶液を得た他は、実施例12と同様の方法でポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。ポリイミド前駆体に塩基性化合物を反応させてポリイミド前駆体反応生成物溶液として用いることで、比較的早くポリイミド前駆体反応生成物溶液の液膜が白化(=相分離)し、高い空孔率を示す多孔質膜が得られた。また、得られた多孔質膜のガーレー値は低く、塩基性化合物の添加量を調整したポリイミド前駆体反応生成物を用いることで、両表面が開孔した透気度の高い多孔質膜が得られることがわかった。
〔実施例14〕
非溶媒としてBDMの代わりにDBEを40.0g加えてポリイミド前駆体反応生成物溶液を得た他は、実施例12と同様の方法でポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。ポリイミド前駆体に塩基性化合物を反応させてポリイミド前駆体反応生成物溶液として用いることで、比較的早くポリイミド前駆体反応生成物溶液の液膜が白化(=相分離)し、高い空孔率を示す多孔質膜が得られた。また、得られた多孔質膜のガーレー値は低く、塩基性化合物の添加量を調整したポリイミド前駆体反応生成物を用いることで、両表面が開孔した透気度の高い多孔質膜が得られることがわかった。
〔実施例15〕
非溶媒としてBDMの代わりにECAを40.0g加えてポリイミド前駆体反応生成物溶液を得た他は、実施例12と同様の方法でポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。ポリイミド前駆体に塩基性化合物を反応させてポリイミド前駆体反応生成物溶液として用いることで、比較的早くポリイミド前駆体反応生成物溶液の液膜が白化(=相分離)し、高い空孔率を示す多孔質膜が得られた。
〔比較例1〕
塩基性化合物である1,2−DMzを添加せずにポリイミド前駆体(ポリアミック酸)をそのまま用いた他は、実施例1と同様の方法でポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。また、得られた多孔質膜の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図2に示す。塩基性化合物を添加せずに、ポリイミド前駆体をそのまま用いた場合、ポリイミド前駆体溶液の液膜の白化時間が遅く、高い空孔率を示す多孔質膜を得ることは出来なかった。
〔比較例2〕
塩基性化合物である1,2−DMzを添加せずにポリイミド前駆体をそのまま用いた他は、実施例5と同様の方法でポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。塩基性化合物を添加せずに、ポリイミド前駆体をそのまま用いた場合、ポリイミド前駆体溶液の液膜の白化時間が遅く、高い空孔率を示す多孔質膜を得ることは出来なかった。
〔比較例3〕
塩基性化合物である1,2−DMzを添加せずにポリイミド前駆体をそのまま用いた他は、実施例6と同様の方法でポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。非溶媒にBDMを用いた場合、非溶媒自体の凝固性が高い為、比較的高い空孔率を示す多孔質膜が得られたが、ポリイミド前駆体反応生成物溶液を用いた場合と比較すると、ポリイミド前駆体の液膜の白化時間が遅く、空孔率も低いものであった。
〔比較例4〕
塩基性化合物である1,2−DMzを添加せずにポリイミド前駆体をそのまま用いた他は、実施例7と同様の方法でポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。塩基性化合物を添加せずに、ポリイミド前駆体をそのまま用いた場合、ポリイミド前駆体溶液の液膜の白化時間が遅く、高い空孔率を示す多孔質膜を得ることは出来なかった。
〔比較例5〕
塩基性化合物である1,2−DMzを添加せずにポリイミド前駆体をそのまま用いた他は、実施例8と同様の方法でポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。塩基性化合物を添加せずに、ポリイミド前駆体をそのまま用いた場合、ポリイミド前駆体溶液の液膜の白化時間が遅く、高い空孔率を示す多孔質膜を得ることは出来なかった。
〔比較例6〕
塩基性化合物である1,2−DMzを添加せずにポリイミド前駆体をそのまま用いた他は、実施例9と同様の方法でポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。非溶媒にBDMを用いた場合、非溶媒自体の凝固性が高い為、比較的高い空孔率を示す多孔質膜が得られたが、ポリイミド前駆体反応生成物溶液を用いた場合と比較すると、ポリイミド前駆体溶液の液膜の白化時間が遅く、空孔率も低いものであった。
また、得られた多孔質膜のガーレー値は高く、塩基性化合物を添加せずにポリイミド前駆体をそのまま用いた場合、実質的に両表面が開孔した透気度の高い多孔質膜を得ることは出来なかった。
〔比較例7〕
非溶媒としてMTMの代わりにEDMを10.0g加えてポリイミド前駆体反応生成物溶液を得た他は、実施例5と同様の方法でポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。良溶媒と非溶媒の沸点差が20℃以下の場合、ポリイミド前駆体反応生成物溶液を用いても高い空孔率を示す多孔質膜を得ることは出来なかった。
本発明のポリイミド多孔質膜は、クッション材、吸液材、断熱材、分離材、セパレータ、気体用フィルタ、液体用フィルタ、通気部品、気体拡散層などの用途に好適に用いることができる。また、本発明のポリイミド多孔質膜は、耐熱性に優れ、250℃以上の使用温度領域でも使用することができる為、音響部品保護膜、耐熱フィルタ、触媒担体、熱交換器等の用途にも好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 空孔率が40%以上のポリイミド多孔質膜を製造するためのポリイミド前駆体反応生成物溶液であって、テトラカルボン酸成分に起因する4価のユニットとジアミン成分に起因する2価のユニットとを含み、更にカルボキシル基を有するポリイミド前駆体と、該ポリイミド前駆体のカルボキシル基と塩を形成するイミダゾール類に属する塩基性化合物との反応生成物、該反応生成物の良溶媒、そして該良溶媒より20℃以上高い沸点を有する該反応生成物の非溶媒を含むポリイミド前駆体反応生成物溶液。
  2. 空孔率が47−71%の範囲にあるポリイミド多孔質膜を製造するためのポリイミド前駆体反応生成物溶液であって、テトラカルボン酸成分に起因する4価のユニットとジアミン成分に起因する2価のユニットとを含み、更にカルボキシル基を有するポリイミド前駆体と、該ポリイミド前駆体のカルボキシル基と塩を形成するイミダゾール類に属する塩基性化合物との反応生成物、該反応生成物の良溶媒、そして該良溶媒より20℃以上高い沸点を有する該反応生成物の非溶媒を含むポリイミド前駆体反応生成物溶液。
  3. 塩基性化合物の量が、ポリイミド前駆体のカルボキシル基に対して0.01〜1モル当量である請求項1もしくは2に記載のポリイミド前駆体反応生成物溶液。
  4. 前記良溶媒がアミド系有機溶媒である請求項1もしくは2に記載のポリイミド前駆体反応生成物溶液。
  5. 前記アミド系有機溶媒がN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドのいずれか一種、若しくは二種以上を含む請求項4に記載のポリイミド前駆体反応生成物溶液。
  6. 前記非溶媒が、グリコールエーテル系溶媒、カルボン酸ジエステル系溶媒、グリコールモノエーテルアセテート系溶媒のいずれか一種、若しくは二種以上を含む請求項1もしくは2に記載のポリイミド前駆体反応生成物溶液。
  7. 空孔率が40%以上のポリイミド多孔質膜の製造方法であって、請求項1に記載の多孔質膜製造用ポリイミド前駆体反応生成物溶液を支持体上に流延してポリイミド前駆体反応生成物溶液膜を生成させ、次いでこのポリイミド前駆体反応生成物溶液膜を加熱乾燥することによりイミド化とポリイミド前駆体反応生成物溶液膜の相分離を発現させる工程を含む製造方法。
  8. 空孔率が47−71%の範囲にあるポリイミド多孔質膜の製造方法であって、請求項2に記載の多孔質膜製造用ポリイミド前駆体反応生成物溶液を支持体上に流延してポリイミド前駆体反応生成物溶液膜を生成させ、次いでこのポリイミド前駆体反応生成物溶液膜を加熱乾燥することによりイミド化とポリイミド前駆体反応生成物溶液膜の相分離を発現させる工程を含む製造方法。
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