JP2004307625A - 芳香族ポリアミド多孔膜およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性に優れた芳香族ポリアミドフィルムを提供する。
【解決手段】(A)芳香族ポリアミド100重量部と、(B)主たる成分がパラフエニレンピロメリットイミドであり、かつウィスカーの径dが
0.5nm < d < 50nm
であり、その長さが径の5倍以上であることを特徴とするポリイミドウィスカー0.01〜20重量部とからなり、芳香族ポリアミド換算での空隙率が20〜90%である多孔構造を有することを特徴とする芳香族ポリアミド多孔膜。
【選択図】 なし
【解決手段】(A)芳香族ポリアミド100重量部と、(B)主たる成分がパラフエニレンピロメリットイミドであり、かつウィスカーの径dが
0.5nm < d < 50nm
であり、その長さが径の5倍以上であることを特徴とするポリイミドウィスカー0.01〜20重量部とからなり、芳香族ポリアミド換算での空隙率が20〜90%である多孔構造を有することを特徴とする芳香族ポリアミド多孔膜。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は耐熱性に優れた芳香族ポリアミドフィルムに関する。さらに、表面開孔率が大きく、物質透過性、含浸性、力学的強度に優れる耐熱性の芳香族ポリアミドフィルム関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、多孔膜としてはポリプロピレンを始めとしたポリオレフィン系のものが知られているが、これらは耐熱性に乏しく、例えば電子基板のプリプレグのような180℃を超える耐熱性が要求されるような用途などでは、膜および孔の熱収縮による寸法変化が大きいため、多孔膜としての機能が低下、もしくはなくなるなどの問題が発生していた。
【0003】
それに代わる耐熱性に優れた多孔膜として、芳香族ポリアミド系多孔膜が知られている。芳香族ポリアミド系多孔膜は耐熱性だけでなく、耐薬品性、機械的強度にも優れるため、電子基板のプリプレグ以外にも耐熱性フィルターやコンデンサおよび電池用セパレータなど、様々な用途への展開が期待されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0004】
しかしながら、耐熱性が要求されるこうした用途で使用する場合には、高温での使用時にも寸法変化が少ない方が好ましい。例えば、電子基板のプリプレグ等では実装時に大きな温度変化をこうむることとなる。高分子材料は一般に無機材料と比較して熱膨張係数が大きいため、温度変化による他の部品との寸法のずれも、微細な配線が施される電子基板では無視できないものとなる。そのため、より熱膨張係数の小さい基材が求められている。
【0005】
一方、樹脂の耐衝撃性・弾性率・耐熱性向上・寸法安定性向上などには高分子材料と比較すると剛性の高いフィラーウィスカー等の添加が試みられている。そのうちのひとつとしてポリイミド微粒子添加の例が挙げられ、耐熱性ペーストなどに用いられている。このポリイミド微粒子の製造方法としては、ビフェニルテトラカルボン酸とp−フェニレンジアミンからなるポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を加熱還流することで平均径が3〜20μの微粒子を得ている(特許文献5参照)。またビフェニルテトラカルボン酸をアルコールとp−フェニレンジアミンもしくはジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミド酸の一部をエステル化することで加熱イミド化時のゲル化を抑制し、5−25μmの粉粒体を得ている(特許文献6参照)。またモノマーを溶解し、ポリマーを溶解しない溶媒を選択することでポリアミド酸の微粒子を得、これをイミド化することで平均粒子径が5μm以下の微粒子を得ている(特許文献7参照)。またポリアミド酸溶液を加圧下で加熱イミド化処理することにより、結晶性が高くその粒子径が200μm以下のポリイミドパウダーを得ている(特許文献8参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開昭60−187308号公報、1頁
【0007】
【特許文献2】
特許第2623331号公報、1頁
【0008】
【特許文献3】
特開平11−250890号公報、1頁
【0009】
【特許文献4】
特開2002−37906号公報、1頁
【0010】
【特許文献5】
特開2002−69200号公報、2−4頁
【0011】
【特許文献6】
特開2000−191782号公報、2−3頁
【0012】
【特許文献7】
特開平9−302089号公報、2−4頁
【0013】
【特許文献8】
特開平7−33875号公報、2−9頁
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来から知られている各種フィルター用途や、電子回路用基板用途、コンデンサや電池用セパレータにおいても好適に使用することが可能な、耐熱性に優れる芳香族ポリアミド多孔膜を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決するため鋭意研究し、本発明に到達した。すなわち、本発明は(A)芳香族ポリアミド100重量部、(B)主たる成分が下記式(1)
【0016】
【化3】
【0017】
で示されるパラフエニレンピロメリットイミドであり、かつウィスカーの径dが
0.5nm < d < 50nm
であり、その長さが径の5倍以上であることを特徴とするポリイミドウィスカー0.01〜20重量部からなり、芳香族ポリアミド換算での空隙率が20〜90%である多孔構造を有することを特徴とする芳香族ポリアミド多孔膜である。
【0018】
さらに、本発明は、連結多孔構造よりなり、表裏面の表面開孔率が何れも10〜70%である芳香族ポリアミド多孔膜および、(A)芳香族ポリアミドと(B)主たる成分が下記式(1)
【0019】
【化4】
【0020】
で示されるパラフエニレンピロメリットイミドであり、かつウィスカーの径dが
0.5nm < d < 50nm
であり、その長さが径の5倍以上であることを特徴とするポリイミドウィスカーおよび、アミド系溶媒からなる溶液を、支持体にキャストし、該キャスト物を、芳香族ポリアミドに非相溶な物質を含有するアミド系凝固液に浸漬して凝固させ、次いで洗浄、熱処理することを特徴とする芳香族ポリアミド換算での空隙率が20〜90%である多孔構造を有する芳香族ポリアミド多孔膜の製造方法である。
【0021】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明において(A)芳香族ポリアミドとは、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸ハライドとの重縮合によって得られるポリマーである。芳香族ジアミンとしては、具体的には、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノアントラセン、2,7−ジアミノアントラセン、1,8−ジアミノアントラセン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノ(m−キシレン)、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,5−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノトルエンベンジジン、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルメタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、1,4−ビス(3−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニルチオエーテル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルチオエーテル)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、ビス(4−アミノフェニル)アミンビス(4−アミノフェニル)−N−メチルアミンビス(4−アミノフェニル)−N−フェニルアミンビス(4−アミノフェニル)ホスフィンオキシド、1,1−ビス(3−アミノフェニル)エタン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)エタン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等を例示することができる。
【0023】
また、芳香族ジカルボン酸ハライドとしてはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、3,4‘−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニル−ジカルボン酸等のジカルボン酸ジハライドが挙げられる。これらのジアミン、ジカルボン酸ハライドはそれぞれ1種類だけ使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0024】
本発明で使用する(A)芳香族ポリアミドは、アミド系溶媒に溶解することが好ましい。さらに、得られる多孔膜の物性の面およびコストの点から、芳香族ジアミンとしてはメタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、あるいは3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを用いることが好ましく、また芳香族ジカルボン酸ハライドとしてはイソフタル酸ジハライド、テレフタル酸ジハライドを用いることが好ましい。さらにこうした点からは(A)芳香族ポリアミドは、メタフェニレンジアミン、イソフタル酸ジハライドを用いたメタフェニレンイソフタルアミドが好ましい。
【0025】
なお、上述の(A)芳香族ポリアミドは、ヘキサンジアミン、デカンジアミン、ドデカンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、あるいは、エチレンジカルボン酸、ヘキサメチレンジカルボン酸等のジカルボン酸ジハライドを、重合体の繰り返し単位に対して、20モル%以下の割合で共重合されていても良い。
【0026】
本発明における(A)芳香族ポリアミドは下式(1)
【数1】
対数粘度(単位:dL/g)=ln(T/T0)/C (1)
T:芳香族ポリアミド0.5gをN−メチル−2−ピロリドン100mLに溶解した溶液の30℃における毛細管粘度計の流動時間
T0:N−メチル−2−ピロリドンの30℃における毛細管粘度計の流動時間
C:ポリマー溶液中のポリマー濃度(g/dL)
の対数粘度で表して、0.8〜2.5dl/g、好ましくは1.0〜2.2dl/gの範囲のポリマーが好ましい。対数粘度が0.8dl/gよりも低いと十分な膜強度が得られず、対数粘度が2.5dl/gを超えると安定なポリマー溶液を得ることが困難になり、均一な多孔膜が得られなくなるため好ましくない。
【0027】
本発明におけるポリイミドウィスカーの化学式としては上記式(1)の重合単位を全体の55モル%〜100モル%有するポリイミドである。55モル%以下であればその結晶性が損なわれ、ウィスカーを形成するのが困難となることがある。パラフエニレンピロメリットイミドは、非常に高い理論弾性率を有する構造であるため、上記式(1)の重合単位を多く含有するほど結晶性が向上しウィスカーを形成しやすくなることが期待されるからである。上記式(1)の重合単位の含有量としては、好ましくは50モル%以上であり、さらに好ましくは55モル%以上であり、より好ましくは70モル%以上であり、さらに好ましくは80モル%以上である。
【0028】
ピロメリット酸およびパラフェニレンジアミン以外の構成の成分としては下記式(2)
【0029】
【化5】
【0030】
(式中R1は少なくとも4価の有機基を表す)
で示される酸無水物と下記式(3)
【0031】
【化6】
【0032】
(式中R2脂肪族もしくは芳香族一般)
で示されるジアミンをそれぞれ挙げることができる。
【0033】
酸無水物の具体例としては1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−チオフェンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,6,7−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,9,10−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−テトラクロロナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ピリジン二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、等が挙げられるがこれに限るものでが挙げられる。
【0034】
ジアミンの具体例としては、先述の芳香族ポリアミドに使用可能なジアミン類を例示することができる。これらは単独で用いてもよいが複数用いてもよい。
【0035】
本発明におけるポリイミドウィスカーは、TEMで観察した際の短軸の長さである径dが
0.5nm < d < 50nm
である。0.5nmより大きなウィスカー径とすることが弾性率や耐熱性を向上するために好ましい。これはポリイミド分子が完全に分子分散しているのではなく、部分凝集してウィスカーの構造を形成していることを示している。また50nmより小さなウィスカー径のものを使用することが、良好な多孔膜を得るためには好ましい。ウィスカー径の範囲としては1nm〜40nmがさらに好ましく、2nm〜35nmがより好ましい。
【0036】
また本発明で使用するポリイミドウィスカーの長さはdの5倍以上である。5倍以上とすることが弾性率や耐熱性を向上するために好ましい。本発明のポリイミドウィスカーは、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が濃度0.05〜30重量%の状態で酸無水物を用いてイミド化することにより製造可能である。
【0037】
ポリアミド酸の重合体は、溶液中ジアミンと酸との反応から得られる。ポリアミド酸の重合に際しては酸成分として主たる成分すなわち55モル%以上をピロメリット酸二無水物として用いる。55モル%以下の場合、目的とする高弾性率を発揮するポリイミドフィラーを得ることが困難である。その他の酸成分としては先述のとおりである。ジアミン成分としては、50%モル以上のパラフェニレンジアミンを用いる。50モル%未満の場合、目的とする高弾性率を発揮するポリイミドフィラーを得ることが困難である。好ましくは55%モル以上のパラフェニレンジアミンを用いる。その他のジアミン成分として先述のとおりである。
【0038】
またポリアミド酸を重合する際の溶媒としてはポリアミック酸を分解することなく良好に溶解するものであれば何でもよく、具体例としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド系の非プロトン性極性溶媒、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチルウレア、1,3−ジプロピルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチルスルホン、などの非プロトン性極性溶媒、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン,4−ピコリン、2,3−ルチジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、2,6−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、2,6−ルチジン、などの複素芳香族化合物、クレゾール類、エチレングリコール、テトラメチレングリコールなどのジオール類などが挙げられる。
【0039】
なおこれらの溶媒は四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどの有機ハロゲン化物、ベンゼン、トルエン、ベンゾニトリル、キシレン、ソルベントナフサ、およびジオキサンのような他の溶媒と混合して使用することもできる。
【0040】
この発明におけるポリアミド酸を得るためには前記の有機溶媒中、ジアミンの使用量を、酸無水物のモル数に対する比を制御することによりその分子量をコントロールすることが可能となる。好ましいモルバランスとしては酸無水物成分1モルに対して、ジアミン成分0.6〜1.4モルである。0.6モル以下もしくは1.4以下の場合モルバランスが大きく崩れており分子量が低すぎて繊維状態を形成しにくいことがある。
【0041】
このポリマーにおいてポリマーの末端を封止するために、ポリイミドの重合に対して1官能性基として作用する化合物を使用することが好ましい。酸成分としては、炭素数8〜20の酸無水物の構造を1つだけ有する酸無水物、例えば、無水フタル酸およびその置換体、ヘキサヒドロ無水フタル酸およびその置換体、無水コハク酸およびその置換体、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物およびその置換体、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物およびその置換体などを例示することができる。アミン成分としては炭素数1〜20のアミノ基を1つだけ有する化合物、例えば、メチルアミン、アニリン、シクロヘキシルアミン、アミノジフェニル、アミノナフタレンおよびその置換体が挙げられる。
【0042】
重合時の濃度としては、0.05〜30重量%が好ましい。重合時の濃度が0.05重量%以下の場合には、溶媒除去に多くのコストがかかったり、生産性が低くなるために好ましくない。30重量%以下とすることで重合時の急激な発熱を抑制させることが可能となるため好ましい。重合時の濃度としては0.1〜20重量%が好ましく、0.2〜10重量%がさらに好ましい。
【0043】
また重合反応温度としては−10℃〜50℃が好ましく、さらに好ましくは−10〜30℃である。低温で反応させることにより、加水分解による分子量の低下、また末端封鎖の不完全を抑制することが可能となるが、温度が低すぎる場合にはモノマーの溶解度、得に酸無水物の溶解性が高くないため、反応が進行しない場合がある。
【0044】
こうして得られたポリアミド酸溶液に脱水縮合剤を添加することで溶液中イミド化を行う。
【0045】
この時縮合剤としては、無水酢酸、無水安息香酸、トリフルオロ酢酸二無水物といった酸無水物;ホスゲン、塩化チオニル、塩化トシル、塩化ニコチル等の塩化物;三塩化リン、亜リン酸トリフェニル、ジエチルリン酸シアニドのようなリン化合物;N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドのようなN,N’−2置換カルボジイミドといった縮合剤上げることができる。脱水縮合剤の使用量は、ポリアミド酸を十分にイミド化する量であればよい。アミド酸結合1モルに対して、0.8モル〜50モルであり、好ましくは、0.9モル〜30モルであり、さらに好ましくは、1モルから10モルである。
【0046】
また脱水縮合反応に際してアミン触媒を用いてもよい。アミン触媒としてはまたさらに縮合反応の進行を容易にするために、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチレンジアミンといった三級脂肪族アミン;N,N−ジメチルアニリン、1,8−ビス(N,N−ジメチルアミノ)ナフタレンの如き芳香族アミン、ピリジン、ルチジン、キノリン、イソキノリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、N,Nージメチルアミノピリジンの如き複素環式化合物が反応促進剤として挙げられる。例えばトリエチレンジアミンアミン、N,N−ジメチルアミノピリジンを用いた場合溶液中でのイミド化を早くすることが可能である。触媒の添加量としては特に規定するものではないが脱水縮合剤に対して0.005モル等量%〜100モル等量%である。
【0047】
脱水縮合反応時のポリアミド酸濃度としては0.05〜30重量%であることが好ましい。反応時の濃度が0.05重量%以下の場合には、生産性が低くなるために好ましくない。30重量%以下とすることで分子鎖の絡まりを抑制し、繊維状ポリイミドウィスカーを作成することが可能となる。反応時の濃度としては0.1〜20重量%が好ましく、0.2〜10重量%がさらに好ましい。
【0048】
脱水縮合剤とポリアミド酸の反応温度としては十分に反応が進行する温度範囲であればよく特に規定するものではないが概ね−10〜220℃である。またこの際十分に分散させることが好ましい。分散方法としては特に規定するものではないが高速攪拌・超音波処理・高せん断の分散設備などを利用してもよい。こうして樹脂の耐熱性や弾性率といった諸物性向上に有効なポリイミドウィスカーが得られる。
【0049】
こうして得られたポリイミドウィスカーは単離して、所望の樹脂に溶融混合することが可能である。この際従来公知の樹脂の溶融混合設備を使用することが可能である。また溶液の状態のままで樹脂に混合してもよい。この際、反応に使用した溶媒に混合しようとする樹脂が溶解することが好ましく、溶液からの樹脂の取り出し後、あるいは湿式あるいは乾式での成形により、所望の樹脂中に本発明のポリイミドウィスカーを混合することが可能である。
【0050】
本発明の芳香族ポリアミド多孔膜は、前述した(A)芳香族ポリアミド100重量部に対し、先述の(B)ポリイミドウィスカー0.01〜20重量部からなる。(B)ポリイミドウィスカーの含有量が0.01重量部に満たない場合には、弾性率や耐熱性を向上させる効果が充分でない。また、含有量が20重量部を超える場合には、ポリイミドウィスカーが過度に凝集しやすくなり、弾性率や耐熱性を向上させる効果がかえって低下したり、多孔膜の形成が困難となるため好ましくない。ポリイミドウィスカーの含有量は好ましくは、0.1〜10重量部、さらに好ましくは、0.3〜5重量部、さらに好ましくは、0.5〜3重量部である。
【0051】
本発明の芳香族ポリアミド多孔膜は、芳香族ポリアミド換算での空隙率が20〜90%である。芳香族ポリアミド換算での空隙率とは、多孔体が芳香族ポリアミドで構成されていると仮定した際の多孔体中に占める空隙の割合を示しており、以下の式(2)より算出できる。
【0052】
【数2】
空隙率(%)=(1−ρf/ρ0)×100 (2)
ρ0=使用したポリマーの真密度
ρf=多孔膜の見かけ密度
【0053】
芳香族ポリアミド換算での空隙率が20%以上であることが、多孔膜としての機能を発現する上で好ましく、90%以下であることが、多孔膜の強度を保持する上で好ましい。芳香族ポリアミド換算での空隙率は、さらに好ましくは、50〜85%であり、より好ましくは、60〜80%である。
【0054】
本発明の芳香族ポリアミド多孔膜は、連結多孔構造を有していることが好ましい。連結多孔構造を有しているかどうかは、透気度により判断することができる。本発明において透気度とは、JIS P8117に準拠して測定した値で、3600sec/100cc以下の透過率を有しているものを指す。3600sec/100ccよりも大きい場合には、多孔の連続構造が充分でなくフィルターやセパレータ、プリプレグの基材、電子パッケージ基板の芯剤に使用するのに好ましくない。透気度の好ましい範囲は用途や使用する環境に依存するが、例えばプリプレグの基材、電子パッケージ基板の芯材として使用する場合は、10〜3600sec/100ccの範囲が好ましく、10〜2000sec/100ccの範囲がより好ましい。
【0055】
本発明の芳香族ポリアミド多孔膜は、表裏面の表面開孔率がいずれも10〜70%であることが好ましい。表面開孔率が、10%以上であることが、液体や樹脂などを均一に含浸させる上で好ましく、70%以下であることが、多孔膜の強度を保持する上で好ましい。表面開孔率はさらに好ましくは、20〜65%であり、より好ましくは、25〜60%である。なお、こうした表面開口率は、SEM観察などによる表面写真を画像処理することにより算出することが可能である。
【0056】
さらに本発明の芳香族ポリアミド多孔膜の表裏面の平均孔径は様々なサイズに制御可能であるが、フィルターやプリプレグの基材、電子パッケージ基板の芯材として使用する場合等を考慮すると、0.1〜10μmであることが好ましい。こうした平均孔径は、SEM観察などによる表面写真を使用して算出することが可能である。
【0057】
本発明の多孔膜は、前述した(A)芳香族ポリアミドと(B)主たる成分が下記式(1)
【0058】
【化7】
【0059】
で示されるパラフエニレンピロメリットイミドであり、かつウィスカーの径dが
0.5nm < d < 50nm
であり、その長さが径の5倍以上であることを特徴とするポリイミドウィスカーおよび、アミド系溶媒(C)からなる溶液(以下ドープという)(D)を、支持体にキャストし、該キャスト物を、芳香族ポリアミドに非相溶な物質を含有するアミド系凝固液に浸漬して凝固させ、次いで洗浄、熱処理することにより、製造可能である。
【0060】
本発明においてドープ(D)中の芳香族ポリアミド濃度としては好ましくは3〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%である。ドープ形成に使用できるアミド系溶媒(B)としては、先述のポリイミドフィラーの製造に使用可能なN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の極性溶媒が挙げられるが、本発明の目的に反しない限り、本発明に係るポリメタフェニレンイソフタルアミド系ポリマーを溶解するものであって、アミド基を含有するものであればどのようなものでも良い。
【0061】
また、本発明においてドープ(D)中のポリイミドウィスカー濃度としては、ポリマー濃度に依存するが、好ましくは0.0003〜6重量%である。ポリイミドウィスカー濃度が0.0003重量%未満の場合には、多孔膜中のポリイミドウィスカー含有量が少なくなりすぎて好ましくない。ポリイミドウィスカー濃度が6重量%を超える場合には、多孔膜中のポリイミドウィスカー含有量が多くなりすぎ、良好な多孔構造を形成することが困難となったり、均一な多孔膜を得ることが困難となることがある。ドープ(D)中のポリイミドウィスカー濃度としては、0.003〜3重量%が好ましく、0.009〜1.5重量%がより好ましく、0.015〜0.9重量%がさらに好ましい。
【0062】
本発明においてドープ(D)は、1)繊維状ポリイミドウィスカーを製造した反応液に対して、芳香族ポリアミドを所定量溶解する、2)繊維状ポリイミドウィスカーを製造した反応液と芳香族ポリアミド溶液を所定の割合で混合する、等の方法で調整可能である。この際、繊維状ポリイミドウィスカーの製造時に使用した縮合剤などが、多孔膜形成を妨げない程度残留していても良い。
【0063】
また、液体浸透性や表面開孔率を制御する目的で、ドープ(D)中へアミド系凝固液に可溶な物質(E)が1種類以上含有していてもよい。アミド系凝固液に可溶な物質(E)としては、分子中に水酸基を2つ以上有し、30℃の温度で該凝固液に対して1重量%以上溶解するものが好ましく用いられる。具体的に好ましい化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のジオール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびその共重合体、グリセリンおよびその誘導体等が挙げられる。これらのうち、得られる多孔膜の表面開孔率の制御の容易さを考慮した場合、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシメタクリル酸エステルを使用することが特に好ましい。分子中に水酸基を2つ以上有する化合物として、ポリビニルアルコールやエチレンビニルアルコール共重合体も挙げられるが、これらの化合物は30℃におけるアミド系凝固液にほとんど溶解しないため、多孔膜中に多量のポリマーが残留し、多孔膜の耐熱性を低下させるため好ましくない。
【0064】
本発明におけるドープ(D)中のアミド系凝固液に可溶な物質(E)の含有量は、ポリマー100重量部に対して100重量部以下であることが好ましい。この理由は、アミド系凝固液に可溶な物質(E)の含有量が100重量部よりも多いと、得られる多孔膜にこの物質(E)が残留しやすくなり、耐熱性を低下させるためである。また、この物質(E)は多孔膜の物性を制御する目的で添加するため、使用する用途によっては必ずしも添加を必要とはせず、従って添加量の下限は特に制限はない。
【0065】
本発明におけるドープ(D)をキャストする支持体としては、例えばガラス基板、スチールベルトやドラム、またはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のポリマーフィルムが挙げられるが、本発明における生産性を考慮した場合、ポリマーフィルムを使用することが好ましい。これらのポリマーフィルムにはシリコン等の離形処理やコロナ放電処理等が施されていてもよい。
【0066】
キャストする時のドープの温度については特に制限がないが、その粘度が1〜2,000Poiseの間に選択するのが好ましく、望ましくは5〜500Poiseの間になるよう選択する。またキャスト物の形状をシート状に保つため、支持体および支持体周辺の雰囲気温度範囲を選択し、また、支持体周辺の雰囲気を送風等によって調節することも本発明を実施する場合に有効である。雰囲気温度は、使用するポリマーの種類、ドープ粘度、ドープ濃度にも依存するが、概略5℃〜50℃の範囲である。
【0067】
凝固浴に使用するアミド系溶媒としては具体的にはN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられ、多孔構造の制御性の観点から好ましくはN−メチル−2−ピロリドンが挙げられる。
【0068】
また凝固液としては、使用する芳香族ポリアミドおよびアミド系溶媒に対して不活性であり、使用する芳香族ポリアミドに相溶性を有さずかつ当該アミド系溶媒と相溶性を有する物質である、水、低級アルコール、低級エーテル等各種の物を使用することが可能であるが、水を用いることが得られる膜特性、経済性の点からより好ましい。また、これらの混合物を使用することもできる。
【0069】
凝固液中のアミド系溶媒の濃度は凝固液全体に対し50重量%〜75重量%であり、より好ましくは55重量%〜70重量%である。アミド系溶媒の濃度が50重量%未満の場合、表面の開効率が低くなり、透気度、水浸透性が低下するため好ましくない。また、濃度が75重量%を超える場合、自立した多孔膜となるのに時間がかかるため生産性の観点からも好ましくない。アミド系凝固液の温度は−20〜80℃と設定することが好ましく、より好ましくは−10〜60℃である。凝固浴の温度を−20〜80℃として製膜することにより、均一な連結多孔構造が形成したメタフェニレンイソフタルアミド系ポリマー多孔膜を得ることができる。
【0070】
凝固された多孔膜である該キャスト物は次に洗浄工程に移され、そこで洗浄液として好ましくは水によって洗浄される。この時の温度は多孔形状に影響をほとんど与えないため特に限定されるものではない。またこの工程は省略することも可能である。
【0071】
乾燥は任意の程度に行えばよく、通常は水切りと呼ばれる程度のニップロール処理による乾燥から熱風乾燥機等による本格的乾燥までを含む。
【0072】
また本発明の多孔膜に、より高温までの耐熱性を付与するために、凝固処理後得られたポリアミド多孔膜をポリメタフェニレンイソフタルアミド系ポリマーに対し非相溶性物質を含有するアミド系溶媒からなる浴中に浸漬処理することによって結晶化を促進しても良い。浸漬処理浴に有用なアミド系溶剤としては具体的にはN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられ、好ましくはN−メチル−2−ピロリドンを使用する。またポリメタフェニレンイソフタルアミド系ポリマーおよびアミド系溶媒に対して不活性でありポリメタフェニレンイソフタルアミド系ポリマーに相溶性を有さずかつ当該アミド系物質と相溶性を有する物質としては、水、低級アルコール、低級エーテル等各種の物を使用できるが、水を用いることが得られる膜特性、経済性の点からより好ましい。これらの混合物を使用することもできる。
【0073】
浸漬処理浴中のアミド系溶剤の濃度は50〜80重量%であるのが好ましく、より好ましくは60〜70重量%である。また温度は50〜98℃であるのが好ましく、より好ましくは60〜90℃である。浸漬処理浴中のアミド系溶剤の濃度が80重量%を超えるとポリアミド多孔膜の溶解が起こって多孔構造が破壊されることがあり、50重量%未満では結晶化が十分に進行しないことがある。また浸漬処理浴の温度が50℃未満であるとポリアミド多孔膜の結晶化が進行しないか、あるいは進行しにくくなることがあり、98℃を超えるとポリアミド多孔膜の溶解が起こり多孔構造が破壊されることがある。浸漬処理後ポリアミド多孔膜は水中に導入されて洗浄され、次いで乾燥されるのが良い。その洗浄及び乾燥は凝固処理後の洗浄及び乾燥に関して前述したように特に制限はない。
【0074】
本発明の多孔膜に、熱に対する寸法安定性を付与するために、熱処理を実施しても良い。非晶性多孔膜に対する熱処理の条件としては、200℃〜300℃の温度で実施するのが好ましい。200℃未満の熱処理の場合、寸法安定性を向上させる効果が少ないため好ましくなく、300℃を超えるとポリマーのガラス転移点を超えるため、多孔構造が破壊されることがあり好ましくない。より好ましい温度範囲としては、240℃〜280℃である。また、結晶性多孔膜に対する熱処理の条件としては、200℃〜380℃の温度で実施するのが好ましい。200℃未満の熱処理の場合、寸法安定性を向上させる効果が少ない場合があり、380℃を超えるとポリマーの分解が起こることがある。より好ましい温度範囲としては、240℃〜340℃である。熱処理を実施する時間は得られる膜特性や生産性を勘案して適宜決めればよく、特に制限はない。
【0075】
本発明の芳香族ポリアミド多孔膜は、上記の方法で製造することが可能であり、力学的強度に優れ、良好な物質透過性を有しているため、各種精密フィルター類に使用できるだけでなく、各種液状物の含浸も容易に行えるため、例えば、エポキシ樹脂などの硬化性樹脂を含浸してプリプレグとして良好に用いることができ、さらに多層配線基板、電子パッケージ基板等の芯剤としても好適に用いることができる。
【0076】
【実施例】
以下に実施例により本発明を詳述する。但し、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
(1)赤外吸収スペクトル
ニコーレジャパン製のIR Magna−750を用いてKBr錠サンプルを作成し測定した。
(2)熱分解性
リガク製のTGAリガク8120を用い10℃/minの昇温速度で空気中で測定した。
(3)TEM(Transmission Electron Microscopy)
日立製作所 H−800を用いて測定した。またTEM写真から繊維状フィラーの径をはかりその平均を平均径として算出した。
【0077】
また、フィルムの測定方法は以下の通りである。
(4)表面開孔率
分解能4〜7nmの走査電子顕微鏡で観察した倍率2000倍の表面写真を縦150×横200mmで現像し、スキャナーを使用して10万ピクセル/30000mm2の解像度で、直径0.01μm以上の各孔についてピクセル数を算出し、その総和を開孔部分のピクセル数とする。
表面開孔率=各孔の総和ピクセル/10万ピクセル*100(%)
(5)平均孔径
分解能4〜7nmの走査電子顕微鏡で観察した倍率2000倍の表面写真を縦150×横200mmで現像し、スキャナーを使用して10万ピクセル/30000mm2の解像度で、直径0.01μm以上の各孔についてピクセル数を算出し、細孔側から各孔のピクセル数を累積し、表面開孔率の1/2に達成した時のピクセル数を有する孔の径を平均開孔径とする。
(6)芳香族ポリアミド換算での空隙率
乾燥後の多孔膜をA(mm)×B(mm)の大きさにカットし、厚みC(mm)、重量D(g)を測定する(A,B,C,Dは適宜選択する)。以上より見かけ密度Eを以下の式で求め、さらに使用したポリマーの真密度Fから空隙率を算出した。真密度は使用したポリマーの無孔フィルムを作成し、JIS K0061に準拠した密度こうばい管法で求めた。実施例で使用したポリメタフェニレンイソフタルアミドの真密度は1.338g/cm3であった。
見かけ密度E=D/(A×B×C)×1000(g/cm3)
芳香族ポリアミド換算での空隙率=(1−E/F)×100(%)
【0078】
(7)透気度
JIS P8117に準拠し、0.879g/mm2の圧力で100ccの空気が透過する時間を求めた。
(8)引張り試験
JIS K7110に準拠し、23℃、50%RHの雰囲気下で引張り速度10mm/分で試験を行い、引張り強度、破断伸度、ヤング率を測定した。
(9)熱膨張係数
JIS K7197に準拠し、サンプルをセット後、30℃から200℃へ昇温し、次いで50℃まで降温し更に200℃まで昇温させた時の2度目の昇温曲線から80℃から180℃における熱膨張係数を求めた。
【0079】
[参考例]
温度計・撹拌装置および原料投入口を備えた反応容器に、窒素雰囲気下モレキュラーシーブスで脱水したN−メチル−2−ピロリドン600mLを入れ、さらにパラフェニルジアミン0.21gを加えて完全に溶解した後、氷浴下0℃まで冷却した。この冷却したジアミン溶液に無水ピロメリット酸二無水物0.41gと無水フタル酸0.057gを添加し反応せしめた。氷浴下その後8時間反応させた。こうして得られたポリアミド酸溶液にトリエチレンジアミン0.043gを添加し完全に溶解させた後、60℃まで加熱し無水酢酸1mlとN−メチル−2−ピロリドン40mLからなる溶液を高速攪拌下滴下した。この後10℃で10時間保持することによって目的とするポリイミドウィスカーが得られた。TEM写真からはその平均径が20nmであった。またこの溶液から再沈殿で取り出したウィスカーをアセトンで洗浄した後減圧下80℃で乾燥したサンプルのIRを測定を実施したところ、イミドに特有な1780cm−1のピークと720cm−1のピークが観察された。またこの溶液のポリイミドウィスカーの濃度は0.09重量%であった。
【0080】
[実施例1]
参考例で得られたポリイミドウィスカーを含有するN−メチル−2−ピロリドン溶液にポリメタフェニレンイソフタルアミド(帝人(株)製Conex)(IV(NMP)=1.4)を溶解させ、ポリメタフェニレンイソフタルアミドの濃度が10重量%となるように調整した。このドープをポリプロピレンフィルムに厚み100μmとなるように流延し、次いでN−メチル−2−ピロリドン60重量%と水40重量%とからなる0℃の凝固浴に10分間投入した。この後ポリプロピレンフィルムから凝固膜を剥離し、30℃の水浴中に30分間浸漬した後、120℃で30分間処理し、次いで270℃の温度で30分間処理することによってポリメタフェニレンイソフタルアミドの多孔膜を得た。
【0081】
得られた多孔膜の膜厚は40μmで、芳香族ポリアミド換算での空隙率は69%、表面の開孔率が31%、裏面の開孔率が22%、表面の平均孔径が1.4μm、裏面の平均孔径が0.7μmであった。また、引張り強度は20MPa、破断伸度は38%、ヤング率は790MPaと良好な力学的強度を示し、線膨張係数は32ppm/℃と低い値を示した。透気度は256秒/100ccであり、良好な気体透過性を示した。得られた多孔膜に、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂溶液をディッピングにより含浸させたところ、良好な含浸性を示し、このシートを120℃で乾燥させたものは、プリプレグとして良好な銅箔との接着性を有するものであった。
【0082】
【発明の効果】
本発明により、熱膨張係数の低い、力学的強度に優れる耐熱性の芳香族ポリアミド多孔膜を得ることができる。本発明により得られた芳香族ポリアミド多孔膜は各種精密フィルター類に使用できるだけでなく、コンデンサ、電池用のセパレータ、さらにはプリプレグの基材、多層配線基板、電子パッケージ基板等の芯剤として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例で得られたポリイミドウィスカーのIRである。
【図2】図2は実施例で得られたポリイミドウィスカーのTEM写真である。
【発明の属する技術分野】
本発明は耐熱性に優れた芳香族ポリアミドフィルムに関する。さらに、表面開孔率が大きく、物質透過性、含浸性、力学的強度に優れる耐熱性の芳香族ポリアミドフィルム関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、多孔膜としてはポリプロピレンを始めとしたポリオレフィン系のものが知られているが、これらは耐熱性に乏しく、例えば電子基板のプリプレグのような180℃を超える耐熱性が要求されるような用途などでは、膜および孔の熱収縮による寸法変化が大きいため、多孔膜としての機能が低下、もしくはなくなるなどの問題が発生していた。
【0003】
それに代わる耐熱性に優れた多孔膜として、芳香族ポリアミド系多孔膜が知られている。芳香族ポリアミド系多孔膜は耐熱性だけでなく、耐薬品性、機械的強度にも優れるため、電子基板のプリプレグ以外にも耐熱性フィルターやコンデンサおよび電池用セパレータなど、様々な用途への展開が期待されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0004】
しかしながら、耐熱性が要求されるこうした用途で使用する場合には、高温での使用時にも寸法変化が少ない方が好ましい。例えば、電子基板のプリプレグ等では実装時に大きな温度変化をこうむることとなる。高分子材料は一般に無機材料と比較して熱膨張係数が大きいため、温度変化による他の部品との寸法のずれも、微細な配線が施される電子基板では無視できないものとなる。そのため、より熱膨張係数の小さい基材が求められている。
【0005】
一方、樹脂の耐衝撃性・弾性率・耐熱性向上・寸法安定性向上などには高分子材料と比較すると剛性の高いフィラーウィスカー等の添加が試みられている。そのうちのひとつとしてポリイミド微粒子添加の例が挙げられ、耐熱性ペーストなどに用いられている。このポリイミド微粒子の製造方法としては、ビフェニルテトラカルボン酸とp−フェニレンジアミンからなるポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を加熱還流することで平均径が3〜20μの微粒子を得ている(特許文献5参照)。またビフェニルテトラカルボン酸をアルコールとp−フェニレンジアミンもしくはジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミド酸の一部をエステル化することで加熱イミド化時のゲル化を抑制し、5−25μmの粉粒体を得ている(特許文献6参照)。またモノマーを溶解し、ポリマーを溶解しない溶媒を選択することでポリアミド酸の微粒子を得、これをイミド化することで平均粒子径が5μm以下の微粒子を得ている(特許文献7参照)。またポリアミド酸溶液を加圧下で加熱イミド化処理することにより、結晶性が高くその粒子径が200μm以下のポリイミドパウダーを得ている(特許文献8参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開昭60−187308号公報、1頁
【0007】
【特許文献2】
特許第2623331号公報、1頁
【0008】
【特許文献3】
特開平11−250890号公報、1頁
【0009】
【特許文献4】
特開2002−37906号公報、1頁
【0010】
【特許文献5】
特開2002−69200号公報、2−4頁
【0011】
【特許文献6】
特開2000−191782号公報、2−3頁
【0012】
【特許文献7】
特開平9−302089号公報、2−4頁
【0013】
【特許文献8】
特開平7−33875号公報、2−9頁
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来から知られている各種フィルター用途や、電子回路用基板用途、コンデンサや電池用セパレータにおいても好適に使用することが可能な、耐熱性に優れる芳香族ポリアミド多孔膜を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決するため鋭意研究し、本発明に到達した。すなわち、本発明は(A)芳香族ポリアミド100重量部、(B)主たる成分が下記式(1)
【0016】
【化3】
【0017】
で示されるパラフエニレンピロメリットイミドであり、かつウィスカーの径dが
0.5nm < d < 50nm
であり、その長さが径の5倍以上であることを特徴とするポリイミドウィスカー0.01〜20重量部からなり、芳香族ポリアミド換算での空隙率が20〜90%である多孔構造を有することを特徴とする芳香族ポリアミド多孔膜である。
【0018】
さらに、本発明は、連結多孔構造よりなり、表裏面の表面開孔率が何れも10〜70%である芳香族ポリアミド多孔膜および、(A)芳香族ポリアミドと(B)主たる成分が下記式(1)
【0019】
【化4】
【0020】
で示されるパラフエニレンピロメリットイミドであり、かつウィスカーの径dが
0.5nm < d < 50nm
であり、その長さが径の5倍以上であることを特徴とするポリイミドウィスカーおよび、アミド系溶媒からなる溶液を、支持体にキャストし、該キャスト物を、芳香族ポリアミドに非相溶な物質を含有するアミド系凝固液に浸漬して凝固させ、次いで洗浄、熱処理することを特徴とする芳香族ポリアミド換算での空隙率が20〜90%である多孔構造を有する芳香族ポリアミド多孔膜の製造方法である。
【0021】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明において(A)芳香族ポリアミドとは、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸ハライドとの重縮合によって得られるポリマーである。芳香族ジアミンとしては、具体的には、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノアントラセン、2,7−ジアミノアントラセン、1,8−ジアミノアントラセン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノ(m−キシレン)、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,5−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノトルエンベンジジン、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルメタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、1,4−ビス(3−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニルチオエーテル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルチオエーテル)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、ビス(4−アミノフェニル)アミンビス(4−アミノフェニル)−N−メチルアミンビス(4−アミノフェニル)−N−フェニルアミンビス(4−アミノフェニル)ホスフィンオキシド、1,1−ビス(3−アミノフェニル)エタン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)エタン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等を例示することができる。
【0023】
また、芳香族ジカルボン酸ハライドとしてはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、3,4‘−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニル−ジカルボン酸等のジカルボン酸ジハライドが挙げられる。これらのジアミン、ジカルボン酸ハライドはそれぞれ1種類だけ使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0024】
本発明で使用する(A)芳香族ポリアミドは、アミド系溶媒に溶解することが好ましい。さらに、得られる多孔膜の物性の面およびコストの点から、芳香族ジアミンとしてはメタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、あるいは3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを用いることが好ましく、また芳香族ジカルボン酸ハライドとしてはイソフタル酸ジハライド、テレフタル酸ジハライドを用いることが好ましい。さらにこうした点からは(A)芳香族ポリアミドは、メタフェニレンジアミン、イソフタル酸ジハライドを用いたメタフェニレンイソフタルアミドが好ましい。
【0025】
なお、上述の(A)芳香族ポリアミドは、ヘキサンジアミン、デカンジアミン、ドデカンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、あるいは、エチレンジカルボン酸、ヘキサメチレンジカルボン酸等のジカルボン酸ジハライドを、重合体の繰り返し単位に対して、20モル%以下の割合で共重合されていても良い。
【0026】
本発明における(A)芳香族ポリアミドは下式(1)
【数1】
対数粘度(単位:dL/g)=ln(T/T0)/C (1)
T:芳香族ポリアミド0.5gをN−メチル−2−ピロリドン100mLに溶解した溶液の30℃における毛細管粘度計の流動時間
T0:N−メチル−2−ピロリドンの30℃における毛細管粘度計の流動時間
C:ポリマー溶液中のポリマー濃度(g/dL)
の対数粘度で表して、0.8〜2.5dl/g、好ましくは1.0〜2.2dl/gの範囲のポリマーが好ましい。対数粘度が0.8dl/gよりも低いと十分な膜強度が得られず、対数粘度が2.5dl/gを超えると安定なポリマー溶液を得ることが困難になり、均一な多孔膜が得られなくなるため好ましくない。
【0027】
本発明におけるポリイミドウィスカーの化学式としては上記式(1)の重合単位を全体の55モル%〜100モル%有するポリイミドである。55モル%以下であればその結晶性が損なわれ、ウィスカーを形成するのが困難となることがある。パラフエニレンピロメリットイミドは、非常に高い理論弾性率を有する構造であるため、上記式(1)の重合単位を多く含有するほど結晶性が向上しウィスカーを形成しやすくなることが期待されるからである。上記式(1)の重合単位の含有量としては、好ましくは50モル%以上であり、さらに好ましくは55モル%以上であり、より好ましくは70モル%以上であり、さらに好ましくは80モル%以上である。
【0028】
ピロメリット酸およびパラフェニレンジアミン以外の構成の成分としては下記式(2)
【0029】
【化5】
【0030】
(式中R1は少なくとも4価の有機基を表す)
で示される酸無水物と下記式(3)
【0031】
【化6】
【0032】
(式中R2脂肪族もしくは芳香族一般)
で示されるジアミンをそれぞれ挙げることができる。
【0033】
酸無水物の具体例としては1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−チオフェンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,6,7−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,9,10−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−テトラクロロナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ピリジン二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、等が挙げられるがこれに限るものでが挙げられる。
【0034】
ジアミンの具体例としては、先述の芳香族ポリアミドに使用可能なジアミン類を例示することができる。これらは単独で用いてもよいが複数用いてもよい。
【0035】
本発明におけるポリイミドウィスカーは、TEMで観察した際の短軸の長さである径dが
0.5nm < d < 50nm
である。0.5nmより大きなウィスカー径とすることが弾性率や耐熱性を向上するために好ましい。これはポリイミド分子が完全に分子分散しているのではなく、部分凝集してウィスカーの構造を形成していることを示している。また50nmより小さなウィスカー径のものを使用することが、良好な多孔膜を得るためには好ましい。ウィスカー径の範囲としては1nm〜40nmがさらに好ましく、2nm〜35nmがより好ましい。
【0036】
また本発明で使用するポリイミドウィスカーの長さはdの5倍以上である。5倍以上とすることが弾性率や耐熱性を向上するために好ましい。本発明のポリイミドウィスカーは、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が濃度0.05〜30重量%の状態で酸無水物を用いてイミド化することにより製造可能である。
【0037】
ポリアミド酸の重合体は、溶液中ジアミンと酸との反応から得られる。ポリアミド酸の重合に際しては酸成分として主たる成分すなわち55モル%以上をピロメリット酸二無水物として用いる。55モル%以下の場合、目的とする高弾性率を発揮するポリイミドフィラーを得ることが困難である。その他の酸成分としては先述のとおりである。ジアミン成分としては、50%モル以上のパラフェニレンジアミンを用いる。50モル%未満の場合、目的とする高弾性率を発揮するポリイミドフィラーを得ることが困難である。好ましくは55%モル以上のパラフェニレンジアミンを用いる。その他のジアミン成分として先述のとおりである。
【0038】
またポリアミド酸を重合する際の溶媒としてはポリアミック酸を分解することなく良好に溶解するものであれば何でもよく、具体例としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド系の非プロトン性極性溶媒、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチルウレア、1,3−ジプロピルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチルスルホン、などの非プロトン性極性溶媒、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン,4−ピコリン、2,3−ルチジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、2,6−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、2,6−ルチジン、などの複素芳香族化合物、クレゾール類、エチレングリコール、テトラメチレングリコールなどのジオール類などが挙げられる。
【0039】
なおこれらの溶媒は四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどの有機ハロゲン化物、ベンゼン、トルエン、ベンゾニトリル、キシレン、ソルベントナフサ、およびジオキサンのような他の溶媒と混合して使用することもできる。
【0040】
この発明におけるポリアミド酸を得るためには前記の有機溶媒中、ジアミンの使用量を、酸無水物のモル数に対する比を制御することによりその分子量をコントロールすることが可能となる。好ましいモルバランスとしては酸無水物成分1モルに対して、ジアミン成分0.6〜1.4モルである。0.6モル以下もしくは1.4以下の場合モルバランスが大きく崩れており分子量が低すぎて繊維状態を形成しにくいことがある。
【0041】
このポリマーにおいてポリマーの末端を封止するために、ポリイミドの重合に対して1官能性基として作用する化合物を使用することが好ましい。酸成分としては、炭素数8〜20の酸無水物の構造を1つだけ有する酸無水物、例えば、無水フタル酸およびその置換体、ヘキサヒドロ無水フタル酸およびその置換体、無水コハク酸およびその置換体、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物およびその置換体、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物およびその置換体などを例示することができる。アミン成分としては炭素数1〜20のアミノ基を1つだけ有する化合物、例えば、メチルアミン、アニリン、シクロヘキシルアミン、アミノジフェニル、アミノナフタレンおよびその置換体が挙げられる。
【0042】
重合時の濃度としては、0.05〜30重量%が好ましい。重合時の濃度が0.05重量%以下の場合には、溶媒除去に多くのコストがかかったり、生産性が低くなるために好ましくない。30重量%以下とすることで重合時の急激な発熱を抑制させることが可能となるため好ましい。重合時の濃度としては0.1〜20重量%が好ましく、0.2〜10重量%がさらに好ましい。
【0043】
また重合反応温度としては−10℃〜50℃が好ましく、さらに好ましくは−10〜30℃である。低温で反応させることにより、加水分解による分子量の低下、また末端封鎖の不完全を抑制することが可能となるが、温度が低すぎる場合にはモノマーの溶解度、得に酸無水物の溶解性が高くないため、反応が進行しない場合がある。
【0044】
こうして得られたポリアミド酸溶液に脱水縮合剤を添加することで溶液中イミド化を行う。
【0045】
この時縮合剤としては、無水酢酸、無水安息香酸、トリフルオロ酢酸二無水物といった酸無水物;ホスゲン、塩化チオニル、塩化トシル、塩化ニコチル等の塩化物;三塩化リン、亜リン酸トリフェニル、ジエチルリン酸シアニドのようなリン化合物;N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドのようなN,N’−2置換カルボジイミドといった縮合剤上げることができる。脱水縮合剤の使用量は、ポリアミド酸を十分にイミド化する量であればよい。アミド酸結合1モルに対して、0.8モル〜50モルであり、好ましくは、0.9モル〜30モルであり、さらに好ましくは、1モルから10モルである。
【0046】
また脱水縮合反応に際してアミン触媒を用いてもよい。アミン触媒としてはまたさらに縮合反応の進行を容易にするために、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチレンジアミンといった三級脂肪族アミン;N,N−ジメチルアニリン、1,8−ビス(N,N−ジメチルアミノ)ナフタレンの如き芳香族アミン、ピリジン、ルチジン、キノリン、イソキノリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、N,Nージメチルアミノピリジンの如き複素環式化合物が反応促進剤として挙げられる。例えばトリエチレンジアミンアミン、N,N−ジメチルアミノピリジンを用いた場合溶液中でのイミド化を早くすることが可能である。触媒の添加量としては特に規定するものではないが脱水縮合剤に対して0.005モル等量%〜100モル等量%である。
【0047】
脱水縮合反応時のポリアミド酸濃度としては0.05〜30重量%であることが好ましい。反応時の濃度が0.05重量%以下の場合には、生産性が低くなるために好ましくない。30重量%以下とすることで分子鎖の絡まりを抑制し、繊維状ポリイミドウィスカーを作成することが可能となる。反応時の濃度としては0.1〜20重量%が好ましく、0.2〜10重量%がさらに好ましい。
【0048】
脱水縮合剤とポリアミド酸の反応温度としては十分に反応が進行する温度範囲であればよく特に規定するものではないが概ね−10〜220℃である。またこの際十分に分散させることが好ましい。分散方法としては特に規定するものではないが高速攪拌・超音波処理・高せん断の分散設備などを利用してもよい。こうして樹脂の耐熱性や弾性率といった諸物性向上に有効なポリイミドウィスカーが得られる。
【0049】
こうして得られたポリイミドウィスカーは単離して、所望の樹脂に溶融混合することが可能である。この際従来公知の樹脂の溶融混合設備を使用することが可能である。また溶液の状態のままで樹脂に混合してもよい。この際、反応に使用した溶媒に混合しようとする樹脂が溶解することが好ましく、溶液からの樹脂の取り出し後、あるいは湿式あるいは乾式での成形により、所望の樹脂中に本発明のポリイミドウィスカーを混合することが可能である。
【0050】
本発明の芳香族ポリアミド多孔膜は、前述した(A)芳香族ポリアミド100重量部に対し、先述の(B)ポリイミドウィスカー0.01〜20重量部からなる。(B)ポリイミドウィスカーの含有量が0.01重量部に満たない場合には、弾性率や耐熱性を向上させる効果が充分でない。また、含有量が20重量部を超える場合には、ポリイミドウィスカーが過度に凝集しやすくなり、弾性率や耐熱性を向上させる効果がかえって低下したり、多孔膜の形成が困難となるため好ましくない。ポリイミドウィスカーの含有量は好ましくは、0.1〜10重量部、さらに好ましくは、0.3〜5重量部、さらに好ましくは、0.5〜3重量部である。
【0051】
本発明の芳香族ポリアミド多孔膜は、芳香族ポリアミド換算での空隙率が20〜90%である。芳香族ポリアミド換算での空隙率とは、多孔体が芳香族ポリアミドで構成されていると仮定した際の多孔体中に占める空隙の割合を示しており、以下の式(2)より算出できる。
【0052】
【数2】
空隙率(%)=(1−ρf/ρ0)×100 (2)
ρ0=使用したポリマーの真密度
ρf=多孔膜の見かけ密度
【0053】
芳香族ポリアミド換算での空隙率が20%以上であることが、多孔膜としての機能を発現する上で好ましく、90%以下であることが、多孔膜の強度を保持する上で好ましい。芳香族ポリアミド換算での空隙率は、さらに好ましくは、50〜85%であり、より好ましくは、60〜80%である。
【0054】
本発明の芳香族ポリアミド多孔膜は、連結多孔構造を有していることが好ましい。連結多孔構造を有しているかどうかは、透気度により判断することができる。本発明において透気度とは、JIS P8117に準拠して測定した値で、3600sec/100cc以下の透過率を有しているものを指す。3600sec/100ccよりも大きい場合には、多孔の連続構造が充分でなくフィルターやセパレータ、プリプレグの基材、電子パッケージ基板の芯剤に使用するのに好ましくない。透気度の好ましい範囲は用途や使用する環境に依存するが、例えばプリプレグの基材、電子パッケージ基板の芯材として使用する場合は、10〜3600sec/100ccの範囲が好ましく、10〜2000sec/100ccの範囲がより好ましい。
【0055】
本発明の芳香族ポリアミド多孔膜は、表裏面の表面開孔率がいずれも10〜70%であることが好ましい。表面開孔率が、10%以上であることが、液体や樹脂などを均一に含浸させる上で好ましく、70%以下であることが、多孔膜の強度を保持する上で好ましい。表面開孔率はさらに好ましくは、20〜65%であり、より好ましくは、25〜60%である。なお、こうした表面開口率は、SEM観察などによる表面写真を画像処理することにより算出することが可能である。
【0056】
さらに本発明の芳香族ポリアミド多孔膜の表裏面の平均孔径は様々なサイズに制御可能であるが、フィルターやプリプレグの基材、電子パッケージ基板の芯材として使用する場合等を考慮すると、0.1〜10μmであることが好ましい。こうした平均孔径は、SEM観察などによる表面写真を使用して算出することが可能である。
【0057】
本発明の多孔膜は、前述した(A)芳香族ポリアミドと(B)主たる成分が下記式(1)
【0058】
【化7】
【0059】
で示されるパラフエニレンピロメリットイミドであり、かつウィスカーの径dが
0.5nm < d < 50nm
であり、その長さが径の5倍以上であることを特徴とするポリイミドウィスカーおよび、アミド系溶媒(C)からなる溶液(以下ドープという)(D)を、支持体にキャストし、該キャスト物を、芳香族ポリアミドに非相溶な物質を含有するアミド系凝固液に浸漬して凝固させ、次いで洗浄、熱処理することにより、製造可能である。
【0060】
本発明においてドープ(D)中の芳香族ポリアミド濃度としては好ましくは3〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%である。ドープ形成に使用できるアミド系溶媒(B)としては、先述のポリイミドフィラーの製造に使用可能なN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の極性溶媒が挙げられるが、本発明の目的に反しない限り、本発明に係るポリメタフェニレンイソフタルアミド系ポリマーを溶解するものであって、アミド基を含有するものであればどのようなものでも良い。
【0061】
また、本発明においてドープ(D)中のポリイミドウィスカー濃度としては、ポリマー濃度に依存するが、好ましくは0.0003〜6重量%である。ポリイミドウィスカー濃度が0.0003重量%未満の場合には、多孔膜中のポリイミドウィスカー含有量が少なくなりすぎて好ましくない。ポリイミドウィスカー濃度が6重量%を超える場合には、多孔膜中のポリイミドウィスカー含有量が多くなりすぎ、良好な多孔構造を形成することが困難となったり、均一な多孔膜を得ることが困難となることがある。ドープ(D)中のポリイミドウィスカー濃度としては、0.003〜3重量%が好ましく、0.009〜1.5重量%がより好ましく、0.015〜0.9重量%がさらに好ましい。
【0062】
本発明においてドープ(D)は、1)繊維状ポリイミドウィスカーを製造した反応液に対して、芳香族ポリアミドを所定量溶解する、2)繊維状ポリイミドウィスカーを製造した反応液と芳香族ポリアミド溶液を所定の割合で混合する、等の方法で調整可能である。この際、繊維状ポリイミドウィスカーの製造時に使用した縮合剤などが、多孔膜形成を妨げない程度残留していても良い。
【0063】
また、液体浸透性や表面開孔率を制御する目的で、ドープ(D)中へアミド系凝固液に可溶な物質(E)が1種類以上含有していてもよい。アミド系凝固液に可溶な物質(E)としては、分子中に水酸基を2つ以上有し、30℃の温度で該凝固液に対して1重量%以上溶解するものが好ましく用いられる。具体的に好ましい化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のジオール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびその共重合体、グリセリンおよびその誘導体等が挙げられる。これらのうち、得られる多孔膜の表面開孔率の制御の容易さを考慮した場合、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシメタクリル酸エステルを使用することが特に好ましい。分子中に水酸基を2つ以上有する化合物として、ポリビニルアルコールやエチレンビニルアルコール共重合体も挙げられるが、これらの化合物は30℃におけるアミド系凝固液にほとんど溶解しないため、多孔膜中に多量のポリマーが残留し、多孔膜の耐熱性を低下させるため好ましくない。
【0064】
本発明におけるドープ(D)中のアミド系凝固液に可溶な物質(E)の含有量は、ポリマー100重量部に対して100重量部以下であることが好ましい。この理由は、アミド系凝固液に可溶な物質(E)の含有量が100重量部よりも多いと、得られる多孔膜にこの物質(E)が残留しやすくなり、耐熱性を低下させるためである。また、この物質(E)は多孔膜の物性を制御する目的で添加するため、使用する用途によっては必ずしも添加を必要とはせず、従って添加量の下限は特に制限はない。
【0065】
本発明におけるドープ(D)をキャストする支持体としては、例えばガラス基板、スチールベルトやドラム、またはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のポリマーフィルムが挙げられるが、本発明における生産性を考慮した場合、ポリマーフィルムを使用することが好ましい。これらのポリマーフィルムにはシリコン等の離形処理やコロナ放電処理等が施されていてもよい。
【0066】
キャストする時のドープの温度については特に制限がないが、その粘度が1〜2,000Poiseの間に選択するのが好ましく、望ましくは5〜500Poiseの間になるよう選択する。またキャスト物の形状をシート状に保つため、支持体および支持体周辺の雰囲気温度範囲を選択し、また、支持体周辺の雰囲気を送風等によって調節することも本発明を実施する場合に有効である。雰囲気温度は、使用するポリマーの種類、ドープ粘度、ドープ濃度にも依存するが、概略5℃〜50℃の範囲である。
【0067】
凝固浴に使用するアミド系溶媒としては具体的にはN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられ、多孔構造の制御性の観点から好ましくはN−メチル−2−ピロリドンが挙げられる。
【0068】
また凝固液としては、使用する芳香族ポリアミドおよびアミド系溶媒に対して不活性であり、使用する芳香族ポリアミドに相溶性を有さずかつ当該アミド系溶媒と相溶性を有する物質である、水、低級アルコール、低級エーテル等各種の物を使用することが可能であるが、水を用いることが得られる膜特性、経済性の点からより好ましい。また、これらの混合物を使用することもできる。
【0069】
凝固液中のアミド系溶媒の濃度は凝固液全体に対し50重量%〜75重量%であり、より好ましくは55重量%〜70重量%である。アミド系溶媒の濃度が50重量%未満の場合、表面の開効率が低くなり、透気度、水浸透性が低下するため好ましくない。また、濃度が75重量%を超える場合、自立した多孔膜となるのに時間がかかるため生産性の観点からも好ましくない。アミド系凝固液の温度は−20〜80℃と設定することが好ましく、より好ましくは−10〜60℃である。凝固浴の温度を−20〜80℃として製膜することにより、均一な連結多孔構造が形成したメタフェニレンイソフタルアミド系ポリマー多孔膜を得ることができる。
【0070】
凝固された多孔膜である該キャスト物は次に洗浄工程に移され、そこで洗浄液として好ましくは水によって洗浄される。この時の温度は多孔形状に影響をほとんど与えないため特に限定されるものではない。またこの工程は省略することも可能である。
【0071】
乾燥は任意の程度に行えばよく、通常は水切りと呼ばれる程度のニップロール処理による乾燥から熱風乾燥機等による本格的乾燥までを含む。
【0072】
また本発明の多孔膜に、より高温までの耐熱性を付与するために、凝固処理後得られたポリアミド多孔膜をポリメタフェニレンイソフタルアミド系ポリマーに対し非相溶性物質を含有するアミド系溶媒からなる浴中に浸漬処理することによって結晶化を促進しても良い。浸漬処理浴に有用なアミド系溶剤としては具体的にはN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられ、好ましくはN−メチル−2−ピロリドンを使用する。またポリメタフェニレンイソフタルアミド系ポリマーおよびアミド系溶媒に対して不活性でありポリメタフェニレンイソフタルアミド系ポリマーに相溶性を有さずかつ当該アミド系物質と相溶性を有する物質としては、水、低級アルコール、低級エーテル等各種の物を使用できるが、水を用いることが得られる膜特性、経済性の点からより好ましい。これらの混合物を使用することもできる。
【0073】
浸漬処理浴中のアミド系溶剤の濃度は50〜80重量%であるのが好ましく、より好ましくは60〜70重量%である。また温度は50〜98℃であるのが好ましく、より好ましくは60〜90℃である。浸漬処理浴中のアミド系溶剤の濃度が80重量%を超えるとポリアミド多孔膜の溶解が起こって多孔構造が破壊されることがあり、50重量%未満では結晶化が十分に進行しないことがある。また浸漬処理浴の温度が50℃未満であるとポリアミド多孔膜の結晶化が進行しないか、あるいは進行しにくくなることがあり、98℃を超えるとポリアミド多孔膜の溶解が起こり多孔構造が破壊されることがある。浸漬処理後ポリアミド多孔膜は水中に導入されて洗浄され、次いで乾燥されるのが良い。その洗浄及び乾燥は凝固処理後の洗浄及び乾燥に関して前述したように特に制限はない。
【0074】
本発明の多孔膜に、熱に対する寸法安定性を付与するために、熱処理を実施しても良い。非晶性多孔膜に対する熱処理の条件としては、200℃〜300℃の温度で実施するのが好ましい。200℃未満の熱処理の場合、寸法安定性を向上させる効果が少ないため好ましくなく、300℃を超えるとポリマーのガラス転移点を超えるため、多孔構造が破壊されることがあり好ましくない。より好ましい温度範囲としては、240℃〜280℃である。また、結晶性多孔膜に対する熱処理の条件としては、200℃〜380℃の温度で実施するのが好ましい。200℃未満の熱処理の場合、寸法安定性を向上させる効果が少ない場合があり、380℃を超えるとポリマーの分解が起こることがある。より好ましい温度範囲としては、240℃〜340℃である。熱処理を実施する時間は得られる膜特性や生産性を勘案して適宜決めればよく、特に制限はない。
【0075】
本発明の芳香族ポリアミド多孔膜は、上記の方法で製造することが可能であり、力学的強度に優れ、良好な物質透過性を有しているため、各種精密フィルター類に使用できるだけでなく、各種液状物の含浸も容易に行えるため、例えば、エポキシ樹脂などの硬化性樹脂を含浸してプリプレグとして良好に用いることができ、さらに多層配線基板、電子パッケージ基板等の芯剤としても好適に用いることができる。
【0076】
【実施例】
以下に実施例により本発明を詳述する。但し、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
(1)赤外吸収スペクトル
ニコーレジャパン製のIR Magna−750を用いてKBr錠サンプルを作成し測定した。
(2)熱分解性
リガク製のTGAリガク8120を用い10℃/minの昇温速度で空気中で測定した。
(3)TEM(Transmission Electron Microscopy)
日立製作所 H−800を用いて測定した。またTEM写真から繊維状フィラーの径をはかりその平均を平均径として算出した。
【0077】
また、フィルムの測定方法は以下の通りである。
(4)表面開孔率
分解能4〜7nmの走査電子顕微鏡で観察した倍率2000倍の表面写真を縦150×横200mmで現像し、スキャナーを使用して10万ピクセル/30000mm2の解像度で、直径0.01μm以上の各孔についてピクセル数を算出し、その総和を開孔部分のピクセル数とする。
表面開孔率=各孔の総和ピクセル/10万ピクセル*100(%)
(5)平均孔径
分解能4〜7nmの走査電子顕微鏡で観察した倍率2000倍の表面写真を縦150×横200mmで現像し、スキャナーを使用して10万ピクセル/30000mm2の解像度で、直径0.01μm以上の各孔についてピクセル数を算出し、細孔側から各孔のピクセル数を累積し、表面開孔率の1/2に達成した時のピクセル数を有する孔の径を平均開孔径とする。
(6)芳香族ポリアミド換算での空隙率
乾燥後の多孔膜をA(mm)×B(mm)の大きさにカットし、厚みC(mm)、重量D(g)を測定する(A,B,C,Dは適宜選択する)。以上より見かけ密度Eを以下の式で求め、さらに使用したポリマーの真密度Fから空隙率を算出した。真密度は使用したポリマーの無孔フィルムを作成し、JIS K0061に準拠した密度こうばい管法で求めた。実施例で使用したポリメタフェニレンイソフタルアミドの真密度は1.338g/cm3であった。
見かけ密度E=D/(A×B×C)×1000(g/cm3)
芳香族ポリアミド換算での空隙率=(1−E/F)×100(%)
【0078】
(7)透気度
JIS P8117に準拠し、0.879g/mm2の圧力で100ccの空気が透過する時間を求めた。
(8)引張り試験
JIS K7110に準拠し、23℃、50%RHの雰囲気下で引張り速度10mm/分で試験を行い、引張り強度、破断伸度、ヤング率を測定した。
(9)熱膨張係数
JIS K7197に準拠し、サンプルをセット後、30℃から200℃へ昇温し、次いで50℃まで降温し更に200℃まで昇温させた時の2度目の昇温曲線から80℃から180℃における熱膨張係数を求めた。
【0079】
[参考例]
温度計・撹拌装置および原料投入口を備えた反応容器に、窒素雰囲気下モレキュラーシーブスで脱水したN−メチル−2−ピロリドン600mLを入れ、さらにパラフェニルジアミン0.21gを加えて完全に溶解した後、氷浴下0℃まで冷却した。この冷却したジアミン溶液に無水ピロメリット酸二無水物0.41gと無水フタル酸0.057gを添加し反応せしめた。氷浴下その後8時間反応させた。こうして得られたポリアミド酸溶液にトリエチレンジアミン0.043gを添加し完全に溶解させた後、60℃まで加熱し無水酢酸1mlとN−メチル−2−ピロリドン40mLからなる溶液を高速攪拌下滴下した。この後10℃で10時間保持することによって目的とするポリイミドウィスカーが得られた。TEM写真からはその平均径が20nmであった。またこの溶液から再沈殿で取り出したウィスカーをアセトンで洗浄した後減圧下80℃で乾燥したサンプルのIRを測定を実施したところ、イミドに特有な1780cm−1のピークと720cm−1のピークが観察された。またこの溶液のポリイミドウィスカーの濃度は0.09重量%であった。
【0080】
[実施例1]
参考例で得られたポリイミドウィスカーを含有するN−メチル−2−ピロリドン溶液にポリメタフェニレンイソフタルアミド(帝人(株)製Conex)(IV(NMP)=1.4)を溶解させ、ポリメタフェニレンイソフタルアミドの濃度が10重量%となるように調整した。このドープをポリプロピレンフィルムに厚み100μmとなるように流延し、次いでN−メチル−2−ピロリドン60重量%と水40重量%とからなる0℃の凝固浴に10分間投入した。この後ポリプロピレンフィルムから凝固膜を剥離し、30℃の水浴中に30分間浸漬した後、120℃で30分間処理し、次いで270℃の温度で30分間処理することによってポリメタフェニレンイソフタルアミドの多孔膜を得た。
【0081】
得られた多孔膜の膜厚は40μmで、芳香族ポリアミド換算での空隙率は69%、表面の開孔率が31%、裏面の開孔率が22%、表面の平均孔径が1.4μm、裏面の平均孔径が0.7μmであった。また、引張り強度は20MPa、破断伸度は38%、ヤング率は790MPaと良好な力学的強度を示し、線膨張係数は32ppm/℃と低い値を示した。透気度は256秒/100ccであり、良好な気体透過性を示した。得られた多孔膜に、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂溶液をディッピングにより含浸させたところ、良好な含浸性を示し、このシートを120℃で乾燥させたものは、プリプレグとして良好な銅箔との接着性を有するものであった。
【0082】
【発明の効果】
本発明により、熱膨張係数の低い、力学的強度に優れる耐熱性の芳香族ポリアミド多孔膜を得ることができる。本発明により得られた芳香族ポリアミド多孔膜は各種精密フィルター類に使用できるだけでなく、コンデンサ、電池用のセパレータ、さらにはプリプレグの基材、多層配線基板、電子パッケージ基板等の芯剤として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例で得られたポリイミドウィスカーのIRである。
【図2】図2は実施例で得られたポリイミドウィスカーのTEM写真である。
Claims (4)
- 連結多孔構造よりなり、表裏面の表面開孔率が何れも10〜70%である請求項1記載の芳香族ポリアミド多孔膜。
- 溶液(D)が、(A)芳香族ポリアミド3〜30重量%と(B)該ポリイミドウィスカー0.0003〜6重量%および、(C)アミド系溶媒からなることを特徴とする請求項3に記載の芳香族ポリアミド多孔膜の製造方法。
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2003
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