JP2722008B2 - ポリイミド樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

ポリイミド樹脂組成物及びその製造方法

Info

Publication number
JP2722008B2
JP2722008B2 JP2112540A JP11254090A JP2722008B2 JP 2722008 B2 JP2722008 B2 JP 2722008B2 JP 2112540 A JP2112540 A JP 2112540A JP 11254090 A JP11254090 A JP 11254090A JP 2722008 B2 JP2722008 B2 JP 2722008B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyamic acid
organic polymer
polyimide resin
resin composition
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2112540A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0411630A (ja
Inventor
康久 永田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Toho Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toho Rayon Co Ltd filed Critical Toho Rayon Co Ltd
Priority to JP2112540A priority Critical patent/JP2722008B2/ja
Priority to EP19910106831 priority patent/EP0454158B1/en
Priority to DE1991633307 priority patent/DE69133307T2/de
Publication of JPH0411630A publication Critical patent/JPH0411630A/ja
Priority to US08/202,872 priority patent/US5438105A/en
Application granted granted Critical
Publication of JP2722008B2 publication Critical patent/JP2722008B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は、耐熱性に優れ、エレクトロニクス、輸送機
器、航空・宇宙分野等に広く使用されているポリイミド
と、耐熱性に優れた既存の有機高分子成分との組成物、
及び、その製造方法に関するものである。詳しくは、本
発明は、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸の三
次元網目構造に、既存の有機高分子成分を複合させた
後、脱水・閉環反応によりイミド化を完了させ、ポリイ
ミドの分子鎖と異種の有機高分子成分の分子鎖が混在
し、相互侵入網目高分子構造を形成した新規なポリイミ
ド樹脂組成物、及び、その製造方法を提供するものであ
る。
〔従来技術〕
テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを有機溶
媒中で重縮合させて得られたポリアミック酸を前駆体と
し、加熱脱水又は脱水剤による化学的反応により脱水・
閉環させ、ポリイミド樹脂を得る方法は公知であり、数
多くの特許出願がなされている。
ポリイミド樹脂は、その優れた耐熱性、耐摩耗性、耐
薬品、電気絶縁性、機械的特性から、電気・電子材料、
接着剤、塗料、複合材料、繊維又はフィルム材料等に広
く使用されている。
一般に、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック
酸の重合は、ポリマー濃度が5〜20重量%となるように
有機溶媒中でテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミ
ンを重付加させる方法で行われ、有機溶媒に均一に溶解
した高分子量のポリアミック酸溶液が得られる。このポ
リアミック酸溶液から溶媒を除去させて、フィルム等の
成形体が作られる。更に、この成形体を高温処理又は化
学的処理により脱水・閉環反応を進め、ポリイミド成形
体を得るのが通常の方法である ポリイミドに異種の有機高分子成分を混合させたブレ
ンド物に関しては、特開昭63-304054号公報、特開昭63-
305166号公報に、成形性の改良を目的に、ポリイミドに
ポリスルホン等の熱可塑性樹脂を混合した組成物が記載
されている。
しかしながら、特定のモノマー組成により達成された
特異な構造のポリアミック酸の分子鎖の中に異種の有機
高分子成分を混在させ、ポリアミック酸と異種の有機高
分子成分との相互侵入網目高分子構造(IPN構造)を形
成させた後、これを脱水・閉環反応させて得られるよう
なポリイミド樹脂組成物に関する報告は、殆どなされて
いない。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、テトラカルボン酸二無水物、芳香族
ジアミン及び多価アミンを主成分としたポリアミック酸
の三次元網目分子構造体(高分子ゲル構造体)の中に、
特異な手法により異種の有機高分子成分を混合した新規
なポリアミック酸複合体を前駆体として、これを脱水・
閉環反応させることによって、耐熱性に優れ、強靱な成
形体を与えるポリイミド樹脂組成物を提供することにあ
る。
また、本発明の目的は、前記ポリイミド樹脂組成物を
製造する方法を提供することにある。
〔発明の構成及び作用〕
本発明は、下記のとおりである。
(1)次のa)工程、b)工程、及びc)工程を含むポ
リイミド樹脂組成物の製造方法: a)後記するポリアミック酸とは異なる構造の分子鎖を
有する有機高分子成分を有機溶媒に溶かし、有機高分子
溶液を調製する工程、 b)前記a)工程で得られた有機高分子溶液中に該有機
高分子成分に1〜80重量%につき、テトラカルボン酸二
無水物100(モル比)、芳香族ジアミン50〜100(モル
比)、及びトリ又はテトラアミノ化合物2〜25(モル
比)からなる20〜99重量%のポリアミック酸の構成成分
となる各物質を溶かし込み、開環重合付加反応させて三
次元網目分子構造を有する自己支持性ゲルの状態のポリ
アミック酸を形成し、且つ該ポリアミック酸は三次元網
目構造の分子鎖中に前記有機高分子成分の分子鎖を相互
侵入させたものであるポリアミック酸組成物を調製する
工程、 c)前記b)工程で得られたポリアミック酸組成物のポ
リアミック酸成分を脱水し、閉環させてポリイミド樹脂
組成物を製造する工程。
(2)前記(1)の記載のポリイミド樹脂組成物の製造
方法によって得られたポリイミド樹脂組成物。
本明細書において,高分子とは分子量1万以上の有機
化合物をいう。本明細書でトリ又はテトラアミノ化合物
(多価アミン)とは、一つの分子構造中にアミノ基とア
ンモニウム塩基の中から選ばれた置換基を三個又は四個
有するアミノ化合物をいう。
この新規なポリイミド樹脂組成物の前駆体であるポリ
アミック酸組成物は、複合体全量に対し、97重量%を超
えない量の有機溶媒を含んでも流動を起こさず、形状を
保持できるような自己支持性のある三次元網目分子構造
体(所謂高分子ゲル)を与えるものであり、これを脱水
・閉環反応させて得られたポリイミド樹脂組成物は、ポ
リイミドの優れた耐熱性等の特性と、既存の有機高分子
成分の特性とを兼備した特異な性質の複合体である。
本発明のポリイミド樹脂組成物は、主にテトラカルボ
ン酸二無水物、芳香族ジアミン及び多価アミンを溶媒中
で反応させて得られたポリアミック酸(ポリイミドの前
駆体)の溶液と、前記ポリアミック酸とは異なる構造の
有機高分子成分が溶解された溶液の混合溶液から調製さ
れる。
ポリアミック酸/有機高分子成分の混合溶液を静置す
ることにより、ポリアミック酸成分の三次元架橋反応が
進行し、両成分が複合された高分子ゲルが生成される。
次に、この高分子ゲルから乾燥等により溶媒を除去し、
ポリアミック酸組成物を調製する。更に、これを高温処
理又は化学的処理により脱水・閉環反応させて、ポリア
ミック酸成分のイミド化を完了させ、ポリイミド成分と
有機高分子成分が複合されたポリイミド樹脂組成物が調
製されるのである。
ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸は、主にテ
トラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミン及び多価アミ
ンの重付加反応により調製される。
本発明で用いられるテトラカルボン酸二無水物の代表
例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′−
ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,
4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,
4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2′,3,
3′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2′,6,
6′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−
ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフ
タレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジ
カルボキシフェニル)プロパン二無水物、シフェニルス
ルホン−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、ビ
ス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、
3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ナフタ
レン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレ
ン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、ベンゼン−
1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、分子中にアミド基、エステル基、エーテル基、ス
ルホン基、メチレン基、プロパン基、フェニレン基、イ
ミダゾール基、チアゾール基等を任意に組合せた比較的
分子量の大きいテトラカルボン酸二無水物やフッ素等の
ハロゲン基を構造中に含むテトラカルボン酸二無水物等
も使用できる。これらは単独又は二種以上の混合物で用
いることができる。
この中でも、テトラカルボン酸二無水物として、ピロ
メリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸
二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の単独
又は二種以上の混合物で用いることが、耐熱性が高く、
機械的特性に優れたポリイミド樹脂組成物を得る上で好
ましい。
テトラカルボン酸二無水物と反応させる芳香族ジアミ
ンの代表例としては、メタフェニレンジアミン、パラフ
ェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルプロパ
ン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミ
ノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスル
フィド、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−
ジアミノジフェニルスルホン、3,4′−ジアミノジフェ
ニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、
3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノ
ジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノベンゾフェノ
ン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、2,2′−ビス(4
−アミノフェニル)プロパン、ベンジジン、3,3′−ジ
アミノビフェニル、2,6−ジアミノピリジン、2,5−ジア
ミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス
〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、
ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテ
ル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エ
ーテル、2,2′−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)
フェニル〕プロパン、2,2′−ビス〔4−(3−アミノ
フェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4′−ビス(4−
アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ビス(4−アミ
ノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェ
ノキシ)ベンゼン、2,2′−ビス〔4−(3−アミノフ
ェノキシ)フェニル〕ヘキサフロロプロパン、1,5−ジ
アミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン及びこれ
らの誘導体等が挙げられる。また、イソフタル酸ジヒド
ラジド等のジヒドラジド化合物も使用できる。これら
は、単独又は二種以上の混合物で用いることができる。
この中でも、芳香族ジアミンとして、メタフェニレン
ジアミン、パラフェニレンジアミン、ジアミノジフェニ
ルメタン、ジアミノジフェニルエーテルの単独又は二種
以上の混合物で用いることが、耐熱性が高く、機械的特
性に優れたポリイミド樹脂組成物を得る上で好ましい。
多価アミンの代表例としては、3,3′,4,4′−テトラ
アミノジフェニルエーテル、3,3′,4,4′−テトラアミ
ノジフェニルメタン、3,3′,4,4′−テトラアミノベン
ゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラアミノジフェニルス
ルホン、3,3′,4,4′−テトラアミノビフェニル、1,2,
4,5−テトラアミノベンゼン、3,3′,4−トリアミノジフ
ェニルエーテル、3,3′,4−トリアミノジフェニルメタ
ン、3,3′,4−トリアミノベンゾフェノン、3,3′,4−ト
リアミノジフェニルスルホン、3,3′,4−トリアミノビ
フェニル、1,2,4−トリアミノベンゼン及びこれらの化
合物の官能基を第四級アンモニウム塩の形に変えた化合
物類、例えば3,3′,4,4′−テトラアミノビフェニル・
四塩酸塩等が挙げられる。第四級アンモニウム塩として
は塩酸塩の他に、硫酸塩、水酸塩の形で用いることもで
きる。これらの化合物の中には、多価アミンの官能基の
全てが第四級アンモニウム塩の形でないものも含まれ
る。また、上記物質の中には水和物として存在している
ものもあり、これらの多価アミン類は単独又は二種以上
の混合物で用いることもできる。脂肪族類の多価アミン
を使用することも可能である。
上記のようなテトラカルボン酸二無水物、芳香族ジア
ミン及び多価アミンを、開環重付加反応させることによ
り、ポリアミック酸(前駆体)が得られる。
これらのテトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミン
及び多価アミン成分は、それぞれ単独又は二種以上の混
合物で用いられるため、得られるポリマーは共重合体の
ものを含む。また、特定の成分からなるポリアミック酸
と、このポリアミック酸の構成成分の少なくとも一種類
が異なるポリアミック酸を混合した、ポリアミック酸の
ブレンド物も含まれる。
テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミン及び多価
アミンを主成分としたポリアミック酸を得るには、有機
溶媒中、−10〜30℃の温度条件下、特に好ましくは−5
〜20℃の温度範囲で反応させることが好ましい。反応時
間は5時間以内、好ましくは2時間以内である。
反応温度が−10℃より低い場合は、取扱性や反応方法
の難しさに加え、温度が低すぎるため反応自身が充分に
進まない場合があり、好ましくない。反応温度が30℃を
超える場合は、ゲル化に至るまでの反応が速すぎて、有
機高分子成分を複合化させる以前にゲル化現象が起こ
り、均一な複合体が得られない場合がある。従って、反
応温度は、−10〜30℃特に好ましくは−5〜20℃の温度
範囲である。
テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミン及び多価
アミンを主成分としたポリアミック酸を得る反応におい
て用いられる有機溶媒は、反応に対して不活性であると
同時に、使用するモノマー類及び重合された高分子量物
を溶解させることが必要で、代表的なものとして、N,N
−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセト
アミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロ
リドン、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ヘキサ
メチルホスホアミド、ピリジン、ジメチルスルホン、テ
トラメチレンスルホン、クレゾール、フェノール、キシ
レノール等のフェノール類や、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、ベンゾニトリル、ジオキサン、シクロヘキサン
等が挙げられる。これらの溶媒は、単独又は二種以上混
合して使用される。
反応させるテトラカルボン酸二無水物/多価アミンの
モル比は、(100)/(2〜25)であることが好まし
く、特に好ましくは、(100)/(4〜15)の範囲であ
るが、用いるモノマーの種類により、その好適な組成範
囲が若干ずれる場合もありうる。
一般に、テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン
からポリアミック酸を調製する場合、分子量を上げるた
めに両成分を可能な限り等モルで反応させることが好ま
しく、本発明でも重合度を高めるため、テトラカルボン
酸二無水物/芳香族ジアミンのモル比を(100)/(50
〜100)、テトラカルボン酸二無水物/芳香族ジアミン
/多価アミンのモル比を、(100)/(50〜100)/(2
〜25)の範囲内に留め、且つテトラカルボン酸二無水物
とアミン類の反応基の当量比(酸価/アミン価の比)を
0.95〜1.05の範囲内に合わせることが好ましいが、アミ
ン過剰の状態でも組成によっては強靱な樹脂組成物が得
られる。
一般に、この範囲を外れた組成でモノマーを配合し反
応させた場合、ポリアミック酸の重合度が上らず、得ら
れる樹脂組成物の性質、例えば機械的性質等が劣るもの
になる。また、未反応のモノマー類が重合溶液中に残存
する場合もあり、最終的に得られるポリイミド樹脂組成
物の特性に悪影響を及ぼすことにもなる。
また、多価アミンのモル比が、2より小さいと、ポリ
アミック酸が三次元的な網目分子構造を生成せず、所謂
高分子ゲルとならない。多価アミンのモル比が25より大
きいと、三次元的な網目分子構造の架橋点が多くなり、
ポリアミック酸組成物の性能を変化させ、最終的に得ら
れるポリイミド樹脂組成物をむしろ脆性的にし、強度を
低下させる傾向が出てくる。従って、多価アミンのモル
比は2〜25の範囲内がよい。
テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミン及び多価
アミンの反応は、テトラカルボン酸二無水物とアミン類
との反応であり、調製方法としては、窒素ガスのような
不活性ガスの雰囲気下、芳香族ジアミンと多価アミンを
有機溶媒で溶解させた溶液中にテトラカルボン酸二無水
物を加えればよい。テトラカルボン酸二無水物は、固形
で加えても、溶媒で溶解させた液状で加えてもよい。テ
トラカルボン酸二無水物に、芳香族ジアミンと多価アミ
ンを加える方法でもかまわない。
前記ポリアミック酸とは異なる有機高分子成分は、主
に溶媒に溶解させ、前述のポリアミック酸溶液に加えら
れ、ポリアミック酸と有機高分子成分の複合化が行われ
る。ポリアミック酸と有機高分子成分の混合溶液は、0
〜100℃の温度範囲に保つことによりポリアミック酸成
分の三次元架橋反応が進み、ゲル化現象が起こり、ポリ
アミック酸組成物の高分子ゲルが生成し、これを脱水・
閉環反応させることによりポリイミド樹脂組成物が得ら
れる。
お互いの分子鎖が相互に侵入したポリイミド樹脂組成
物を得るためには、テトラカルボン酸二無水物、芳香族
ジアミン及び多価アミンからなるポリアミック酸が三次
元網目分子構造を形成する前に、有機高分子成分を混合
させておくことが望まれる。
本発明のポリイミド樹脂組成物に含まれる有機高分子
成分は、ポリイミド樹脂組成物に対し1〜80重量%であ
ることが好ましい。本発明では、ポリイミドの前駆体で
あるポリアミック酸と有機高分子成分との混合溶液中で
ゲル化反応が起こり、両成分の分子鎖がランダムに溶液
中に広がった状態で高分子ゲルを生成させ、これを脱水
・閉環反応させてポリイミド樹脂組成物を得ている。従
って、得られたポリイミド樹脂組成物は、特異な相互侵
入網目高分子構造を与え、その性質も特異なものであ
る。
本発明のポリイミド樹脂組成物において、有機高分子
成分が1重量%未満の場合、有機高分子成分を入れるこ
とによる性能の改善、例えば靱性の付与等の物理的性質
の改善又は物質分離能のような機能的性質の改善が顕著
でない。また、有機高分子成分が80重量%超の場合、ポ
リイミドの前駆体であるポリアミック酸の三次元網目分
子構造が不完全なものとなり、自己支持性のある高分子
ゲルの形成が難しいため、相互侵入網目高分子構造を形
成することによる性能の改善効果が薄れる傾向にある。
ポリイミド成分に混合される有機高分子成分として
は、少なくとも有機溶媒に可溶で高分子であることが好
ましい。有機高分子成分とは、現に使用したポリアミッ
ク酸とともに、相互侵入網目構造を形成しうるものであ
って、該ポリアミック酸とは異なる構造を有するものを
広く意味する。
有機高分子成分の種類としては、ポリアミック酸、ポ
リイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポ
リエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリベンゾイミダ
ゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾー
ル、ポリアミド、ポリペプチド、ポリエステル、ポリカ
ーボネート、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。こ
れらの有機高分子成分は、種々のポリマーの変性物、前
駆体、オリゴマーを含む。これらは単独又は二種以上の
混合物で用いることができる。
ポリアミック酸及びポリイミドに関しては、前述のテ
トラカルボン酸二無水物の代表例及び芳香族ジアミンの
代表例を組合せた全てのポリマーを含む。市販のポリイ
ミドとしては、三井東圧化学社製LARC-TPI等が挙げられ
る。ポリアミドイミドは、三菱化成工業(株)社製のト
ーロンが挙げられる。ポリエーテルイミドとしては日本
ジーイープラスチックス(株)社製ウルテム等が、ポリ
エーテルスルホンとしてはICI社製ビクトレックスPES等
が、ポリスルホンとしてはアモコ社製ユーデルP-1700等
が、ポリベンゾイミダゾールとしてはセラニーズ社製PB
I等が、ポリアミドとしてはデュポン社製ザイテル等
が、ポリカーボネートとしては出光石油化学(株)社製
出光ポリカーボネート等が代表例として挙げられる。
有機高分子成分を溶解させる能力のある溶媒として
は、代表的なものとして、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、ク
レゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール
類、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメ
チルスルホキシド等のスルホン系溶媒、ベンゼン、トル
エン、キシレン、シクロヘキサン等の炭化水素類、塩化
メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、ケトン類、
アルコール類、N−メチル−2−ピロリドン、ベンゾニ
トリル、ピリジン、ジオキサン、ポリリン酸、N,N−ジ
エチルアニリン等が挙げられる。これらの溶媒は、単独
又は二種以上混合して使用される。
これらの溶媒に有機高分子成分を溶解させる場合、溶
媒に溶解し難い成分に関しては、高温高圧下で処理して
もかまわない。
テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミン及び多価
アミンを主成分としたポリアミック酸に、異種の有機高
分子成分を混合し、ポリイミド樹脂組成物を得る方法と
しては、次のような方法がある。
有機高分子成分を溶かし込んだ有機溶媒の溶液中に、
更にテトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミン及び多
価アミンを溶かし込み反応さた、ポリアミック酸組成物
を形成後、ポリアミック酸成分を脱水・閉環反応により
イミド化させる方法。
テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミン及び多価
アミンからなるポリアミック酸と有機高分子成分との混
合時に使用する有機溶媒の量は、得られるポリアミック
酸組成物(ポリアミック酸/有機高分子成分組成物)が
有機溶媒中に3〜40重量%、好ましくは5〜30重量%含
まれるように調整することが取扱性の面で好ましい。ポ
リアミック酸組成物の濃度が3重量%未満では、得られ
たゲルの自己支持性が悪く、30重量%超では固形分濃度
が高過ぎるため、ポリアミック酸と有機高分子成分の混
合が難しい傾向にある。
本発明ではポリアミック酸、有機高分子成分の両者を
溶液状で加えることにより、比較的均一に両者の混合が
進み、有機高分子成分の高配合領域においても、溶媒を
含んだ状態で自己支持性を保てる三次元網目分子構造の
ポリアミック酸組成物を調製できる。
しかしながら、有機高分子成分の種類又は調製条件に
よっては、有機溶媒に溶解せず、有機高分子成分の一部
が溶媒に膨潤又は分散した状態の場合もあり、ポリアミ
ック酸の三次元網目分子構造の分子鎖中に有機高分子成
分の分子鎖が絡み合って作られた、相互侵入網目高分子
構造(IPN構造)を乱し、比較的大きなドメイン構造と
して有機高分子成分が複合された組成物の中に含まれる
場合もありうるが、ポリアミック酸と有機高分子成分の
配合割合によっては、溶媒を含んでも自己支持性を保て
るポリアミック酸組成物のゲルを与えるものである。
ポリアミック酸と有機高分子成分との相溶性の問題か
ら、溶媒に溶解させた各成分を混合した後、又は溶媒を
除去させる過程で、相分離を起こし、不均質な複合体を
与えることもあるが、このような場合でも自己支持性の
あるポリアミック酸組成物の三次元網目分子構造(ゲ
ル)を与える。
これらのポリアミック酸組成物は、溶媒の中で複合さ
れた組成物を調製している段階で三次元網目分子構造を
形成しゲル化するため、有機高分子成分が相分離を起こ
した状態でも、少なくともポリアミック酸を含む成分は
三次元的につながった連続相を形成していることが推察
される。
溶媒を含んだポリアミック酸組成物の高分子ゲルを、
ポリアミック酸組成物の貧溶媒を凝固浴とした浴中に浸
漬せしめ、組成物中に残存する有機溶媒の溶媒置換によ
る除去又はフィルムの洗浄を実施することもできる。
この場合、凝固液としては、水、メタノールやエタノ
ール等のアルコール類、アセトン等のようなケトン類の
単独又は混合系が用いられる。少量であれば、N,N−ジ
メチルアセトアミド等のアミド系溶媒、1,2−ジクロロ
エタンのような塩素系溶媒等を凝固液の中に含んでもか
まわないが、ポリアミック酸組成物を溶解又は膨潤させ
て、その形状を著しく損ねるような凝固液は使用できな
い。
以上のような操作によって、ポリアミック酸と有機高
分子成分が複合されたポリアミック酸組成物のゲルが得
られる。
得られたポリアミック酸組成物のゲルは、全体の97重
量%を超えない量の溶媒を含んだ高分子ゲルである。フ
ィルム等の成形品を得るためには、100℃以下の温度
で、常圧又は真空下で溶媒を除去させ、溶媒の含有率を
50重量%以下好ましくは40重量%以下に調整した後、ポ
リアミック酸組成物の脱水・閉環反応を進め、イミド化
を完結させることが望ましい。
ポリアミック酸組成物中に含まれるポリアミック酸の
イミド化を進める方法としては、一般のポリイミド樹脂
で用いられるイミド化の方法と同様の方法で行うことが
でき、ポリアミック酸組成物を高温処理又は化学的処理
による脱水・閉環反応によりイミド化を完了させ、ポリ
イミド樹脂組成物が得られる。
例えば、高温処理によりイミド化を完了させる場合
は、ポリアミック酸の組成物を50〜200℃の温度で少な
くとも10秒以上乾燥させ、更に150〜500℃、好ましくは
200〜450℃の高温で熱処理する。複合フィルムの場合、
フィルムの一対の両端を固定枠、チャック又はピンガイ
ド等で固定させて処理すると、寸法安定性や機械的特性
に優れたフィルムが得られやすい。
また、ポリアミック酸組成物を脱水剤に浸漬又は組成
物中に脱水剤を含ませるような化学的処理により、ポリ
アミック酸を脱水・閉環反応させる方法がある。
化学的処理による脱水・閉環反応においては、アミン
類を触媒として、酸無水物を脱水剤として用いるのが効
果的である。酸無水物の例としては、無水酢酸、無水プ
ロピオン酸、無水酪酸等の脂肪族酸無水物や、無水安息
香酸等の芳香族酸無水物がある。これらは、単独又は二
種以上の混合物として用いることができる。
触媒としてのアミン類の例としては、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、トリブ
チルアミン、ジメチルアニリン、ピリジン、α−ピコリ
ン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イソキノリン、ルチ
ジン等の第三級アミンの中から選ばれる少なくとも一種
のアミン類である。
化学的脱水反応において添加する酸無水物の量は、ポ
リアミック酸に存在するカルボキシル基1当量に対して
1〜5当量、好ましくは1〜3当量である。触媒の量
は、ポリアミック酸に存在するカルボキシル基1当量に
対して0.01〜1.5当量、好ましくは0.2〜1当量である。
本発明にかかるポリアミック酸組成物のゲルにおい
て、ポリアミック酸は主に共有結合的な三次元網目分子
構造からなる構造体と推定され、室温において自己支持
性のあるゲル状の構造体を与える。これを高温処理又は
化学的脱水処理することでポリアミック酸のイミド化が
完了し、ポリイミドと異種の有機高分子成分との間で相
互侵入網目構造(IPN構造)を形成させた分子構造にな
ると考えられるため、得られたポリイミド樹脂組成物
は、ポリイミドの優れた耐熱性等の特性と、既存の有機
高分子成分の特性とを兼備した特異な性質を与えるもの
である。また、この方法を応用して均一なポリイミド/
有機高分子成分の複合フィルムを形成させることも可能
で、結果的に特異な性能を有するフィルムを与えるもの
である。
ポリアミック酸の三次元網目分子構造(ゲル)を或る
程度保持させたままイミド化を進めて得られた複合樹脂
フィルムは、ミクロレベルでは特異な分子構造を有する
ものと思われ、フィルムの延伸等の機械的な処理又は凝
固浴中での溶媒置換による、多孔質な凝固フィルムであ
って、特異な性能を有するポリイミド複合樹脂フィルム
である。
また、ポリイミドのモノマー成分として、耐熱性の高
いポリイミドを与える、例えば、テトラカルボン酸二無
水物として、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノン
テトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン
酸二無水物、及び、これに芳香族ジアミンとして、パラ
フェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、4,4′
−ジアミノジフェニルエーテルを組合せた単独又は混合
系より作られたポリイミド樹脂組成物は、耐熱性が高
い。
ポリイミド樹脂組成物の形状は、繊維、フィルム状の
ものを含む。
また、ポリイミド樹脂組成物の中には他の物質、例え
ば、各種金属化合物、低分子有機化合物、無機充填剤、
着色剤、強化繊維等が含まれてもかまわない。
本発明のポリイミド樹脂組成物は、混合溶液の中で複
合された樹脂の高分子ゲルを形成させるという新規な手
法を用いて得られた新しい構造の相互侵入網目高分子構
造体を前駆体として、これを脱水・閉環反応させて得ら
れるものであるため、従来のポリマー混合系では得られ
ないような新しい構造の相互侵入網目高分子構造であ
り、耐熱性に優れ、強靱な成形体である。
また、このポリイミド樹脂組成物は、異種の有機高分
子成分を溶媒又は高温処理等により変質させることによ
り、物質分離能、刺激−応答作用を付与することのでき
る機能性高分子材料である。
〔実施例及び比較例〕
実施例1 300mlの四つ口セパラブルフラスコ中に、0.503gの精
製したパラフェニレンジアミン(略称:PPD)と0.176gの
3,3′,4,4′−テトラアミノビフェニル・四塩酸塩・二
水和物(略称:TABT)を採取し、20gの蒸留されたN−メ
チル−2−ピロリドン(略称:NMP)を加え、攪拌し溶解
させた。
窒素雰囲気の下、外部水槽の温度を5℃にコントロー
ルし、上記溶液を攪拌しながら1.210gの精製した無水の
ピロメリット酸二無水物(略称:PMDA)を固形のまま、
溶液の温度が上らないように注意しながら徐々に添加
し、全て加え終った後、攪拌を続け均一なポリアミック
酸溶液を調製した。
一方、市販のポリエーテルスルホン樹脂(ICI社製ビ
クトレックスPES)を/5.667g採取し、300mlのビーカー
中で50gの蒸留されたNMPに溶解させた。
ポリエーテルスルホン樹脂が完全に溶解した後、この
溶液をPMDA/PPD/TABTからなる前述のポリアミック酸溶
液に加え攪拌を続け、均一なポリアミック酸/ポリエー
テルスルホン樹脂混合溶液を得た。
この混合溶液をガラス板上に流延した。溶液の塗布量
は、スペーサーによりコントロールし、約0.4mmの厚さ
になるようにした。しばらく静置すると流延された混合
溶液がゲル化を起こし、ポリアミック酸組成物のゲルフ
ィルムが得られた。
得られたポリアミック酸組成物のゲルフィルムは自重
による形状変化を起こさず、自己支持性のものであり、
NMP溶媒中に浸漬させたところ、溶解せず、フィルムの
形状を保持したまま膨潤した。
このポリアミック酸組成物のゲルフィルムを30℃で真
空乾燥させ、フィルム中の溶媒の含有量を、全重量の10
重量%に調整した後、ガラス板より剥離させ、80℃で60
分、120℃で60分乾燥機内で乾燥させた後、鉄枠に固定
し、150℃で1時間、200℃で1時間、300℃で1時間、3
50℃で1時間の条件で連続的に処理し、均一なポリイミ
ド樹脂組成物フィルムを得た。得られたフィルムは、薄
い赤褐色で、厚さは約30μmであった。
このポリイミド樹脂組成物フィルムの赤外吸収スペク
トルをとったところ、1780cm-1、1720cm-1にイミド基の
特性吸収帯が観測され、イミド基の存在が確認された。
このフィルムの特性に関しては、熱重量分析によるフ
ィルムの5%重量減少温度、熱機械分析(TMA)による
ガラス転移温度及び材料試験機によるフィルムの引張り
特性を評価した。引張り特性は、得られたポリイミド樹
脂組成物フィルムを5mm幅の短冊状に切り出し、チャッ
ク間距離30mm、引張り速度5mm/分の試験条件で測定し
た。測定は、23℃で行った。
第1表に示すように、このフィルムは耐熱性に優れ、
機械的特性も良好であった。
比較例1 300mlの四つ口セパラブルフラスコ中に、0.599gの精
製したパラフェニレンジアミンを採取し、20gの蒸留さ
れたN−メチル−2−ピロリドン(略称:NMP)を加え、
攪拌し溶解させた。
窒素雰囲気の下、外部水槽の温度を5℃にコントロー
ルし、上記溶液を攪拌しながら1.210gの精製した無水の
ピロメリット酸二無水物を固形のまま、溶液の温度が上
らないように注意しながら徐々に添加し、ポリアミック
酸溶液を得た。
一方、市販のポリエーテルスルホン樹脂(ICI社製ビ
クトレックスPES)を5.427g採取し、300mlのビーカー中
で50gの蒸留されたNMPに溶解させた。
ポリエーテルスルホン樹脂が完全に溶解した後、この
溶液を前述のポリアミック酸溶液に加え、均一なポリア
ミック酸/ポリエーテルスルホン樹脂混合溶液を得た。
実施例1と同様に、混合溶液をガラス板上に流延させ
たが、室温で5時間放置しても溶液はゲル化を起こさ
ず、流動的なものであった。また、溶媒を除去して得ら
れたポリアミック製組成物フィルムをNMP溶媒中に浸漬
させたところ、NMPに溶解した。
このポリアミック酸組成物フィルムを実施例1と同様
な条件で処理し、ポリイミド樹脂組成物フィルムを得
た。実施例1と同様に、フィルムの各種特性を評価し
た。結果は第1表に示すように、熱的特性の改善効果
も、実施例1に比べ低いものであった。
実施例2 300mlの四つ口セパラブルフラスコ中に、1.513gの精
製したパラフェニレンジアミンと0.721gの4,4′−ジア
ミノジフェニルエーテル(略称:4,4′−DPE)及び0.475
gの3,3′,4,4′−テトラアミノビフェニル・四塩酸塩・
二水和物を採取し、50gの蒸留されたN−ジメチルアセ
トアミド(略称:DMAc)を加え、攪拌し溶解させた。
窒素雰囲気の下、外部水槽の温度を5℃にコントロー
ルし、上記溶液を攪拌しながら4.366gの精製した無水の
ピロメリット酸二無水物を固形のまま、溶液の温度が上
らないように注意しながら徐々に添加した。
一方、市販のポリエーテルイミド樹脂(GE社製ウルテ
ム)を7.075g採取し、300mlのビーカー中で50gの蒸留さ
れたDMAcに溶解させた。
ポリエーテルイミド樹脂が完全に溶解した後、この溶
液を前述のポリアミック酸溶液に加え、均一なポリアミ
ック酸/ポリエーテルイミド樹脂混合溶液を得た。
後は、実施例1と同様の方法でポリイミド樹脂組成物
の調製を行い、実施例1と同様に評価を行った。結果
は、第1表に示す通りである。
実施例3 300mlの四つ口セパラブルフラスコ中に、2.480gの精
製した4,4′−ジアミノジフェニルエーテルと0.396gの
3,3′,4,4′−テトラアミノビフェニル・四塩酸塩・二
水和物を採取し、40gの蒸留されたN,N−ジメチルアセト
アミドを加え、攪拌し溶解させた。
窒素雰囲気の下、外部水槽の温度を5℃にコントロー
ルし、上記溶液を攪拌しながら3.056gの精製した無水の
ピロメリット酸二無水物を固形のまま、溶液の温度が上
らないように注意しながら徐々に添加した。
別の300mlの四つ口セパラブルフラスコ中に、今度は
1.168gの精製した1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)
ベンゼン(略称:TPE-Q)と0.396gの3,3′,4,4′−テト
ラアミノビフェニル・四塩酸塩・二水和物を採取し、30
gの蒸留させたN,N−ジメチルホルムアミド(略称:DMF)
を加え、攪拌し溶解させた。
同様に、窒素雰囲気の下、外部水槽の温度を5℃にコ
ントロールし、上記溶液を攪拌しながら1.764gの精製し
た3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
(略称:BPDA)を固形のまま、溶液の温度が上らないよ
うに注意しながら徐々に添加した。
この二種の反応液を、温度を5℃にコントロールした
まま混合、攪拌し、均一な混合溶液を調製した。
更に、市販のポリアミドイミド樹脂(三菱化成社製ト
ーロン4000T)を9.260g採取し、300mlビーカー中で70g
の蒸留されたDMFに溶解させた。
ポリアミドイミド樹脂が完全に溶解した後、この溶液
を前述のポリアミック酸溶液に加え、均一なポリアミッ
ク酸/ポリアミドイミド樹脂混合溶液を得た。
後は、実施例1と同様の方法でポリイミド樹脂組成物
の調整を行ない、実施例1と同様に評価を行った。結果
は、第1表に示す通りである。
実施例4〜9 300mlの四つ口セパラブルフラスコ中に、第1表に示
す種類と量の各種モノマーと溶媒を仕込み、実施例1、
比較例1と同様の方法でポリイミド樹脂組成物の調製を
行い、性質の評価を行った。
実施例4〜9においては、調製されたポリマー混合溶
液(ポリマー濃度:10〜20重量%)をガラス板上に流延
し静置した後、ポリアミック酸組成物フィルムのゲル化
が確認された。
また、第1表に示すように、実施例で得られた高温処
理後のポリイミド樹脂組成物フィルムは比較的均一なも
のであり、機械的特性も高いものであった。フィルムに
関する種々の特性は、20〜50μm厚のフィルムを用いて
評価した。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次のa)工程、b)工程、及びc)工程を
    含むポリイミド樹脂組成物の製造方法: a)後記するポリアミック酸とは異なる構造の分子鎖を
    有する有機高分子成分を有機溶媒に溶かし、有機高分子
    溶液を調製する工程、 b)前記a)工程で得られた有機高分子溶液中に該有機
    高分子成分に1〜80重量%につき、テトラカルボン酸二
    無水物100(モル比)、芳香族ジアミン50〜100(モル
    比)、及びトリ又はテトラアミノ化合物2〜25(モル
    比)からなる20〜99重量%のポリアミック酸の構成成分
    となる各物質を溶かし込み、開環重合付加反応させて三
    次元網目分子構造を有する自己支持性ゲルの状態のポリ
    アミック酸を形成し、且つ該ポリアミック酸は三次元網
    目構造の分子鎖中に前記有機高分子成分の分子鎖を相互
    侵入させたものであるポリアミック酸組成物を調製する
    工程、 c)前記b)工程で得られたポリアミック酸組成物のポ
    リアミック酸成分を脱水し、閉環させてポリイミド樹脂
    組成物を製造する工程。
  2. 【請求項2】請求項1記載のポリイミド樹脂組成物の製
    造方法によって得られたポリイミド樹脂組成物。
JP2112540A 1990-04-27 1990-04-27 ポリイミド樹脂組成物及びその製造方法 Expired - Fee Related JP2722008B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2112540A JP2722008B2 (ja) 1990-04-27 1990-04-27 ポリイミド樹脂組成物及びその製造方法
EP19910106831 EP0454158B1 (en) 1990-04-27 1991-04-26 Polyamic acid composite, polyimide composite and processes for producing the same
DE1991633307 DE69133307T2 (de) 1990-04-27 1991-04-26 Polyamicsäure-Verbundstoff, Polyimid-Verbundstoff und Verfahren zur Herstellung
US08/202,872 US5438105A (en) 1990-04-27 1994-02-28 Polyamic acid composite, polyimide composite and processes for producing the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2112540A JP2722008B2 (ja) 1990-04-27 1990-04-27 ポリイミド樹脂組成物及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0411630A JPH0411630A (ja) 1992-01-16
JP2722008B2 true JP2722008B2 (ja) 1998-03-04

Family

ID=14589204

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2112540A Expired - Fee Related JP2722008B2 (ja) 1990-04-27 1990-04-27 ポリイミド樹脂組成物及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2722008B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20210115663A (ko) * 2020-03-16 2021-09-27 연세대학교 원주산학협력단 기계적 물성이 향상된 폴리아미드이미드 혼합물의 제조방법

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3255205B2 (ja) * 1993-12-06 2002-02-12 船井電機株式会社 製パン機
KR101595614B1 (ko) * 2013-05-16 2016-02-18 코오롱인더스트리 주식회사 신규 산 이무수물, 이의 제조방법 및 이로부터 제조된 폴리이미드
CN111269449A (zh) * 2020-03-25 2020-06-12 Tcl华星光电技术有限公司 一种光学薄膜及其制备方法、应用

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62190227A (ja) * 1986-02-18 1987-08-20 Asahi Chem Ind Co Ltd 硬化性ポリイミド

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20210115663A (ko) * 2020-03-16 2021-09-27 연세대학교 원주산학협력단 기계적 물성이 향상된 폴리아미드이미드 혼합물의 제조방법
KR102437981B1 (ko) 2020-03-16 2022-08-29 연세대학교 원주산학협력단 기계적 물성이 향상된 폴리아미드이미드 혼합물의 제조방법

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0411630A (ja) 1992-01-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5231162A (en) Polyamic acid having three-dimensional network molecular structure, polyimide obtained therefrom and process for the preparation thereof
JP2855668B2 (ja) ポリイミド分離膜
JP2883196B2 (ja) 高性能ポリイミド成形体及びその製造方法
US5438105A (en) Polyamic acid composite, polyimide composite and processes for producing the same
WO1991004300A1 (en) Miscible blends of polybenzimidazoles and polyamide-imides having fluorine-containing linking groups
US4963645A (en) Terminal-modified imide oligomer and solution composition of the same
JP2722008B2 (ja) ポリイミド樹脂組成物及びその製造方法
EP0454158B1 (en) Polyamic acid composite, polyimide composite and processes for producing the same
EP0486899B1 (en) Polyimide resin and preparation thereof
JP2511987B2 (ja) 芳香族ポリイミド重合体成型品の製造法
JP2962784B2 (ja) ポリイミド硬化樹脂複合体及びその製法
JPH06192420A (ja) ポリイミド溶液組成物及びその製造方法
EP0716113B1 (en) Polyamic acid having three-dimensional network molecular structure, polyimide obtained therefrom and process for the preparation thereof
JP2895113B2 (ja) ポリイミドフィルムの製造方法
KR101229180B1 (ko) 폴리이미드 필름
JPH09227697A (ja) ゲルを経由した耐熱性ポリイミドフィルムの製造方法
JP3075472B2 (ja) ポリイミド/エポキシ樹脂複合体及びその製法
JPH0411656A (ja) ポリアミック酸複合体及びその製法
JP2603927B2 (ja) 新規なポリイミド樹脂の製造方法
JPS62185715A (ja) 無色ポリイミドフイルム
JPH04320422A (ja) ポリアミック酸共重合体及びそれからなるポリイミドフィルム並びにそれらの製造方法
JP2709360B2 (ja) ポリイミド樹脂三次元網目構造を有する成形体及びその製造方法
JPH0559173A (ja) ポリアミツク酸共重合体、それからなるポリイミド共重合体、ポリイミドフイルム、並びにそれらの製造方法
JPS62161831A (ja) ポリイミドブロツク共重合体の製造方法
JPH03177430A (ja) ポリアミドイミド樹脂

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081128

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081128

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091128

Year of fee payment: 12

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees