JP2883196B2 - 高性能ポリイミド成形体及びその製造方法 - Google Patents

高性能ポリイミド成形体及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は、新規な方法で調製されたポリアミド酸の高
分子ゲルを前駆体としたポリイミド系成形体に関し、延
伸により分子鎖の配向制御が施され、高強度・高弾性率
の優れた機械的性質を示すポリイミド系成形体及びその
製造方法に関するものである。
〔従来技術〕
テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを有機溶
媒中で重縮合させて得られたポリアミド酸を前駆体と
し、加熱脱水あるいは脱水剤による化学的反応により脱
水・閉環させ、ポリイミド樹脂を得る方法は公知であ
り、数多くの特許出願がなされている。
ポリイミド樹脂は、その優れた耐熱性、耐摩耗性、耐
薬品性、電気絶縁性、機械的特性から、電気・電子材
料、接着剤、塗料、複合材料、繊維あるいはフィルム材
料等に広く使用されている。
一般に、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸
の重合は、ポリマー濃度が5〜20重量%となるように有
機溶媒中でテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン
を重付加反応させる方法で行われ、有機溶媒に均一に溶
解した高分子量のポリアミド酸溶液が得られる。このポ
リアミド酸溶液から溶媒を除去して、フィルムあるいは
成形物が作られる。更に、この成形体を高温処理又は化
学的処理により脱水・閉環反応を進め、ポリイミド成形
体を得るのが、通常の方法である。
また、前駆体であるポリアミド酸あるいはポリイミド
の成形体を一軸延伸させることにより、例えば成形体の
引張り強さ、弾性率等の機械的性質を向上させたのも公
知である(特開昭61−188127号、特開昭62−77921号、
特開昭63−84924号、特開昭63−147625号、特開昭63−2
97029号等の公報)。
前記公知の方法は、有機溶媒に溶解した高分子量のポ
リアミド酸の均一溶液から脱溶媒により得られたポリア
ミド酸の成形体を前駆体として使用したものである。
しかし、特定のモノマー組成により構成された三次元
網目構造のポリアミド酸の高分子ゲルを経由した成形体
を1.2倍以上延伸せしめた後、加熱あるいは化学的処理
により脱水・閉環反応させてポリイミド化を完成させる
方法により、高強度・高弾性率ポリイミド系成形体を得
ることに関しては、報告がなされていない。
また、特定のモノマー組成により初めて調製されたポ
リアミド酸の高分子ゲルを経由し、ポリアミド酸高分子
ゲルの三次元網目構造に他種の高分子量成分を混在させ
ることで相互侵入網目高分子構造(IPN構造)のポリア
ミド酸/高分子量成分の複合成形体を調製し、これを1.
2倍以上延伸せしめた後、加熱あるいは化学的処理によ
りポリアミド酸成分を脱水・閉環反応させることによ
り、ポリイミド/高分子量成分の複合成形体を得ること
に関しては、報告が殆どなされていない。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、テトラカルボン酸二無水物、芳香族
ジアミン及び多価アミンを主成分としたポリアミド酸あ
るいはこのポリアミド酸と高分子量成分の複合体を前駆
体として、延伸処理と脱水・閉環反応により、ポリイミ
ドが本来有している高い耐熱性を保持させたまま、極め
て高い強度と弾性率を示すようなポリイミド成形体を提
供すること、及び、その製造方法を提供することにあ
る。
〔発明の構成及び効果〕
本発明のポリイミド成形体は、テトラカルボン酸二無
水物、芳香族ジアミン及び多価アミンを反応させてなる
三次元網目構造のポリアミド酸の賦形物を脱水・閉環反
応させて得られたポリイミド成形体であって、且つ前記
テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミン及び多価ア
ミンのモル比が(100)/(50〜100)/(2〜25)であ
り、引張り強さが20kgf/mm2以上、引張り弾性率が1000k
gf/mm2以上であることを特徴とする。
また本発明は、前記ポリイミド成形体において使用さ
れる多価アミンが、ひとつの分子構造中に三個以上のア
ミノ基及び/又はアンモニウム塩基を有する多価アミン
であることを特徴とする。
また本発明は、前記ポリイミド成形体が、フィルム状
又は繊維状であることを特徴とする。
また本発明のポリイミド成形体は、前駆体としての三
次元網目構造のポリアミド酸が、ポリアミド酸、ポリイ
ミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエ
ーテルスルホン、ポリスルホン、ポリベンゾイミダゾー
ル、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、
ポリアミド、アラミド、ポリエステルの中から選ばれた
少なくとも一種類の高分子量成分を第三成分として、前
記三次元網目構造中に相互侵入して含み、該相互侵入三
次元網目高分子構造のポリアミド酸を賦形・延伸したも
のを脱水・閉環反応させて得られたものであることを特
徴とする。
また、本発明のポリイミド成形体の製造方法は、テト
ラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミン及び多価アミン
をモル比が(100)/(50〜100)/(2〜25)の割合で
−10℃〜30℃で反応させたポリアミド酸を含む溶液を基
材上に流延させるか、ノズルより押し出すか、或いは特
定形状の型に流し込むかした後、0〜100℃に保つこと
でポリアミド酸の架橋反応を該溶液中で進めてポリアミ
ド酸の三次元網目構造の高分子ゲルとし、次いで、脱溶
媒により得られたポリアミド酸の賦形物を、1.2倍以上
延伸せしめ、更に、脱水・閉環反応を行わせることを特
徴とする。
また本発明のポリイミド成形体の製造方法は、前記の
ポリイミド成形体の製造方法において、前記ポリアミド
酸の三次元網目構造中に、ポリアミド酸、ポリイミド、
ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテル
スルホン、ポリスルホン、ポリベンゾイミダゾール、ポ
リベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリア
ミド、アラミド、ポリエステルの中から選ばれた少なく
とも一種類の高分子量成分を第3成分として含ませた状
態で賦形することを特徴とする。
また本発明は、前記ポリイミド成形体の製造方法にお
いて、ポリアミド酸、ポリイミド、ポリアミドイミド、
ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスル
ホン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾー
ル、ポリベンゾチアゾール、ポリアミド、アラミド、ポ
リエステルの中から選ばれた少なくとも一種類の高分子
量成分の存在下でテトラカルボン酸二無水物、芳香族ジ
アミン及び多価アミンを反応させることを特徴とする。
本発明において、ポリイミド成形体の前駆体となるポ
リアミド酸は、公表されている特許公報や学術文献等で
知られている公知のポリアミド酸とは異なった新規な構
造のものである。
即ち、本発明では、テトラカルボン酸二無水物、芳香
族ジアミン及び多価アミンを重付加反応させることによ
り、最初は有機溶媒に均一に溶解したポリアミド酸溶液
が得られる。この状態のポリアミド酸は中間体的なもの
であり、このものは、ポリアミド酸に含まれる官能基に
よる架橋反応が有機溶媒中で徐々に進行することによ
り、ポリアミド酸成分の三次元網目構造が形成されゲル
化を起こし、最終的には有機溶媒を含んだポリアミド酸
の高分子ゲルが得られる。この高分子ゲルから、脱溶媒
を含む方法で得られたポリアミド酸の賦形物は、三次元
網目構造の新規な構造のものであり、これを1.2倍以上
延伸せしめた後に調製されたポリイミド成形体は、高強
度・高弾性率化が達成された、機械的性質に優れた成形
体を与えるものである。
(ポリアミド酸のモノマー成分) 本発明におけるテトラカルボン酸二無水物の代表例と
しては、ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′−ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,4′−
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2′,3,3′−
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2′,6,6′−
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフ
タレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレ
ンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカル
ボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカ
ルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジ
カルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,4,9,10−ペ
リレンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,4,
5−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,4,5,8−
テトラカルボン酸二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テト
ラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビス(アン
ヒドロトリメリテート)などであり、これらは、単独又
は二種以上の混合で用いることができる。
この中でも、テトラカルボン酸二無水物として、ピロ
メリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸
二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の単独
又は二種以上の混合物を用いることが、耐熱性の高く、
機械的特性に優れたポリイミド成形体の延伸配向物を得
る上で好ましい。
テトラカルボン酸二無水物と反応させる芳香族ジアミ
ンの代表例としては、メタフェニレンジアミン、パラフ
ェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルプロパ
ン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミ
ノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスル
フィド、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−
ジアミノジフェニルスルホン、3,4′−ジアミノジフェ
ニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、
3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノ
ジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノベンゾフェノ
ン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、2,2′−ビス(4
−アミノフェニル)プロパン、ベンジジン、3,3′−ジ
アミノビフェニル、2,6−ジアミノピリジン、2,5−ジア
ミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス
〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、
ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテ
ル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エ
ーテル、2,2′−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)
フェニル〕プロパン、2,2′−ビス〔4−(3−アミノ
フェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4′−ビス(4−
アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ビス( 4−ア
ミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフ
ェノキシ)ベンゼン、2,2′−ビス〔4−(3−アミノ
フェノキシ)フェニル〕ヘキサフロロプロパン、1,5−
ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン及びこ
れらの誘導体等が挙げられる。また、イソフタル酸ジヒ
ドラジド等のジヒドラジド化合物も使用できる。これら
は、単独又は二種以上の混合物で用いることができる。
この中でも、芳香族ジアミンとして、メタフェニレン
ジアミン、パラフェニレンジアミン、ジアミノジフェニ
ルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、ベンジジン誘
導体の単独又は二種以上の混合物を用いることが、耐熱
性が高く、機械的特性に優れたポリイミド成形体の延伸
配向物を得る上では好ましい。
多価アミンとは、ひつとの分子構造中に三個以上のア
ミン基及び/又はアンモニウム塩基を有する化合物を示
す。
多価アミンの代表例としては,3,3′,4,4′−テトラア
ミノジフェニルエーテル、3,3′,4,4′−テトラアミノ
ジフェニルメタン、3,3′,4,4′−テトラアミノベンゾ
フェノン、3,3′,4,4′−テトラアミノジフェニルスル
ホン、3,3′,4,4′−テトラアミノビフェニル、1,2,4,5
−テトラアミノベンゼン、3,3′,4−トリアミノジフェ
ニルエーテル、3,3′,4−トリアミノジフェニルメタ
ン、3,3′,4−トリアミノベンゾフェノン、3,3′,4−ト
リアミノジフェニルスルホン、3,3′,4−トリアミノビ
フェニル、1,2,4−トリアミノベンゼン及びこれらの化
合物の官能基を第四級アンモニウム塩の形に変えた化合
物類、例えば、3,3′,4,4′−テトラアミノビフェニル
・四塩酸塩等が挙げられる。第四級アンモニウム塩とし
ては、塩酸塩の他に、P−トルエンスルホン酸塩、ピク
リン酸塩の形で用いることもできる。これらの化合物の
中には、多価アミンの官能基の全てが第四アンモニウム
塩の形でないものも含まれる。また、上記物質の中には
水和物として存在しているものもあり、これらの多価ア
ミン類は、単独又は二種以上の混合物で用いることがで
きる。脂肪族類の多価アミンを使用することも可能であ
る。
また、ポリイミドのモノマー成分であるテトラカル
ボン酸二無水物として、ピロメリット酸二無水物、ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸二水物、ビフェニルテトラ
カルボン酸二無水物、芳香族ジアミンとして、パラフ
ェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン,4,4′−ジ
アミノジフェニルエーテル、ベンジジン誘導体、多価
アミンとして、3,3′,4,4′−テトラアミノビフェニ
ル、3,3′,4,4′−テトラアミノビフェニルのアンモニ
ウム塩を組合せた単独又は混合系より作られたポリアミ
ド酸は、耐熱性が高く、高強度・高弾性率を与えるポリ
イミド成形体の前駆体となる。
(反応溶媒) テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミン及び多価
アミンを主成分としたポリアミド酸の反応において用い
られる有機溶媒は、反応に対して不活性であると同時
に、使用するモノマー類及び重合された高分子量物を溶
解させることが必要で、代表的なものとして、N,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N
−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミ
ド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリド
ン、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ヘキサメチ
ルホスホアミド、ピリジン、ジメチルスルホン、テトラ
メチレンスルホン、クレゾール、フェノール、キシレノ
ール等のフェノール類や、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、ベンゾニトリル、ジオキサン、シクロヘキサン等が
挙げられる。これらの溶媒は、単独又は二種以上混合し
て使用される。
(ポリアミド酸及びポリアミド酸ゲルの生成反応) テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミン及び多価
アミンの重付加反応は、結局のところ、テトラカルボン
酸二無水物とアミン類との反応であり、具体的な調製方
法では、窒素ガスのような不活性雰囲気下、芳香族ジア
ミンと多価アミンを有機溶媒で溶解させた溶液中にテト
ラカルボン酸二無水物を加えればよい。
テトラカルボン酸二無水物は、固形で加えても、溶媒
で溶解させた液状で加えてもよい。テトラカルボン酸二
無水物に、芳香族ジアミンと多価アミンを加える方法で
もよい。
テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミン及び多価
アミンを主成分としたポリアミド酸は、有機溶媒中、−
10〜30℃の温度条件下、特に好ましくは−5〜20℃の温
度範囲で反応させて得ることができる。反応時間は、通
常5時間以内、好ましくは2時間以内である。
反応温度が−10℃より低い場合は、取扱性や反応方法
の難しさに加え、温度が低過ぎるため反応自身が充分に
進まない場合があり、好ましくない。
反応温度が30℃を超える場合は、架橋反応が有機溶媒
中で進行する速度が速く、ポリアミド酸成分の三次元網
目構造が形成されるところの所謂ゲル化に至るまでの反
応が速過ぎて、不均質な高分子ゲルを与え、結果的に、
欠陥の少ない良好な賦形物が得られない場合がある。
従って、ポリアミド酸成分の反応温度は、−10〜30℃
の温度条件下、特に好ましくは、−5〜20℃の温度範囲
である。
一般に、テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン
からポリアミド酸を調製する場合、分子量を上げるため
に両成分を、可能な限り等モルで反応させることが好ま
しい。
本発明においてポリアミド酸成分の架橋点間分子量と
架橋度を最適化するため、テトラカルボン酸二無水物/
芳香族ジアミンのモル比を100/(50〜100)、テトラカ
ルボン酸二無水物/芳香族ジアミン/多価アミンのモル
比を、100/(50〜100)/(2〜25)の範囲内にとど
め、且つ、テトラカルボン酸二無水物とアミン類(芳香
族ジアミンと多価アミン)の反応基の当量比(酸価/ア
ミン価の比)を0.95〜1.05の範囲内(±5%以内)に合
わせることが自己支持性のあるポリアミド酸の高分子ゲ
ルを得る上で好ましいが、アミン過剰の状態でも、組成
によっては強靱な成形体が得られる。
一般に、この範囲を外れた組成でモノマーを配合し反
応させた場合、ポリアミド酸の重合度が上らず、得られ
る成形体の性質、例えば、機械的性質等も著しく低いも
のとなる。
反応させるテトラカルボン酸二無水物/多価アミンの
モル比は、100/(2〜25)であることが好ましく、特に
好ましくは、100/(4〜15)の範囲であるが、用いるモ
ノマーの種類により、その好適な組成範囲が若干ずれる
場合もありうる。
多価アミンは、ポリアミド酸成分の架橋点として働
き、その配合比によりポリアミド酸の高分子ゲルに存在
する網目濃度(架橋密度)を変化させる。多価アミンの
配合モル数が、テトラカルボン酸二無水物100モルに対
し2モルより小さいと、溶液中でのポリアミド酸成分の
架橋点が少なくなり、三次元網目構造が不完全になり、
自己支持性のある高分子ゲルとなりにくい。多価アミン
の配合モル数が25モルより大きいと、三次元網目構造の
架橋点の増加と架橋点間分子量の低下を招き、ポリアミ
ド酸の性能を変化させ、最終的に得られるポリイミド成
形体をむしろ脆性的にし、強度と耐熱性を低下させる傾
向が出てくる。従って、多価アミンの配合モル数は、テ
トラカルボン酸二無水物100モルに対し2〜25モルの範
囲内がよい。
これらのテトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミン
及び多価アミンは、それぞれ単独又は二種以上の混合物
で用いられるため、得られるポリマーは、共重合体のも
のを含む。また得られたポリマー中には、特定の成分か
らなるポリアミド酸と、このポリアミド酸の構成成分の
少なくとも一種類が異なるポリアミック酸を混合した、
ポリアミド酸のブレンド物も含まれる。
このようにして得られたポリアミド酸溶液は、前述の
ようにポリアミド酸の高分子ゲルに至るまでの中間的な
ものであり、0〜100℃の温度範囲で少なくとも1分間
以上静置することにより、ポリアミド酸に含まれる官能
基による架橋反応が有機溶媒中で徐々に進行することに
より、ポリアミド酸成分の三次元網目構造が形成されゲ
ル化を起こし、最終的には、有機溶媒を含んだポリアミ
ド酸の高分子ゲルを与える。
また、テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミン及
び多価アミンを主成分とする重付加反応により生成され
た重合物の中には、三次元網目構造に関与しない線状の
高分子量物も含まれる。このものは、有機溶媒で抽出さ
れることで存在が確認される。
(賦形・成形) 有機溶媒中での重付加反応により得られたポリアミド
酸溶液は、基材上に流延されるか、ノズルより押し出す
か、あるいは、特定形状の型に流し込むかした後、ポリ
アミド酸溶液をゲル化させ、特定の形状を保持できる賦
形物とする。
更に、有機溶媒を含み賦形されたポリアミド酸の高分
子ゲルより脱溶媒を含む方法により、強靱なポリアミド
酸のフィルム、繊維等の賦形物を得ることができ、この
賦形物は、高強度・高弾性率ポリイミド成形体の前駆体
として用いられる。
高分子ゲルより溶媒を除去する脱溶媒は、主に常圧又
は真空下で溶媒を蒸発させる等の方法により行うことが
できる。
ポリアミド酸の高分子ゲルより、有機溶媒を蒸発させ
除去するためには、第一段階として常圧又は真空下で10
0℃以下の温度で処理することが好ましい。最初から100
℃超の温度で処理した場合、急激な溶媒の蒸発による成
形体の発泡、あるいは、ポリアミド酸成分の熱による急
激な脱水・閉環反応によるイミド化の進行等の不都合が
起こり、好ましくない。
溶媒を含んだポリアミド酸の高分子ゲルを、ポリアミ
ド酸の貧溶媒を凝固浴とした浴中に浸漬せしめ、ポリア
ミド酸に存在する有機溶媒を他の液体に置換させ、続い
て、乾燥させることにより、ポリアミド酸の成形体を得
ることができる。この場合、高分子ゲルに含まれる有機
溶媒を、沸点の低い液体に置換させると乾燥が比較的容
易になる場合がある。
溶媒置換に用いられる液体としては、水、メタノール
やエタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン
類、エーテル類の単独又は混合系が挙げられる。少量で
あれば、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶
媒、1,2−ジクロロエタンのような塩素系溶媒等を凝固
液の中に含ませてもよいが、前駆体であるポリアミド酸
を溶解あるいは膨潤させて、その形状を著しく損ねるよ
うな液体は使用できない。
賦形物がフィルムである場合、脱溶媒により、ポリア
ミド酸に含まれる溶媒の含有率を50重量%以下、好まし
くは、40重量%以下に調整した後、基材上より離脱さ
せ、ポリアミド酸の賦形物が得られる。
賦形物が繊維である場合、ポリアミド酸の高分子ゲル
に含まれる有機溶媒を、主に溶媒置換させた後に乾燥さ
せ、強靱な賦形物とすることもできる。
以上のような操作によって、得られたポリアミド酸の
賦形物は、ポリイミドの前駆体として用いられる。
また、特定のモノマー組成により調製されたポリアミ
ド酸成分の一部を、脱水剤等を用いたた化学的方法によ
り脱水・閉環反応を進めさせ、ポリアミド酸成分を部分
的にイミド化させた賦形物を調製し、これを高強度・高
弾性率ポリイミド成形体の前駆体して用いることかでき
る。この際、脱水剤は、成形体を調製する前に予め含ま
せておくとよい。
化学的方法による脱水・閉環反応での部分的イミド化
においては、アミン類を触媒とし、酸無水物を脱水剤と
して用いるのが効果的である。
酸無水物の例としては、無水酢酸、無水プロピオン
酸、無水酪酸などの脂肪族酸無水物や無水安息香酸など
の芳香族酸無水物がある。これらは、単独又は二種以上
の混合物として用いることができる。
触媒としてのアミン類の例は、トリメチルアミン、ト
リエチルアミン、トリエチレンジアミン、トリブチルア
ミン、ジメチルアニリン、ピリジン、α−ピコリン、β
−ピコリン、γ−ピコリン、イソキノリン、ルチジン等
の第3級アミンの中から選ばれる少なくとも一種のアミ
ン類である。
化学的脱水反応において添加する酸無水物の量は、部
分的なイミド化に用いるため、ポリアミド酸に存在する
カルボキシル基1当量に対して0.1〜0.5当量であること
が、好ましい。
一部イミド化を進めたポリアミド酸については、先に
述べた場合と同様に、溶媒を除去し、ポリイミド成形体
の前駆体として用いることができる。
ポリアミド酸あるいは一部イミド化の進んだポリアミ
ド酸の賦形物は、0〜200℃の温度域で、延伸前の長さ
の少なくとも1.2倍以上に延伸させられる。
この際、ポリアミド酸を主とした賦形物は、ポリアミ
ド酸を膨潤させるような有機溶媒あるいは可塑剤的な働
きをする液体等を、賦形物全量に対し、30重量%以下の
範囲で含ませて延伸を行うこともできる。
これらの有機溶媒あるいは液体としては、例えば、ポ
リアミド酸の重付加反応に用いたN,N−ジメチルホルム
アミド、N−メチル−2−ピロリドンをはじめ、フェノ
ール類、炭化水素類、ケトン類、アルコール類等が挙げ
られる。これらは、ポリアミド酸の賦形物を調製する際
に残存させておくことができる。また、ポリアミド酸を
主とした賦形物に、有機溶媒あるいは可塑剤的な働きを
する液体等を含ませるには、ポリアミド酸の賦形物を上
記液体の上記雰囲気中にさらしたり、有機溶媒あるいは
可塑剤的な働きをする液体を含む液体中に浸漬するなど
の方法により、行うことができる。
この結果、賦形物の延伸処理が容易となり、延伸倍率
の高い延伸成形体の調製が可能となる。
延伸処理の方法としては、テンター方式、ロール方式
等を含め、一般に用いられる延伸の方法が採用される。
(ポリアミド酸のイミド化) 延伸させられたポリアミド酸あるいは一部イミド化の
進んだポリアミド酸の賦形物は、主に高温処理によりポ
リアミド酸成分のイミド化を完結させることにより、高
強度で且つ高弾性率のポリイミド成形体となる。
高温処理によりイミド化を完結させるには、ポリアミ
ド酸を50〜200℃の温度で少なくとも10秒以上乾燥さ
せ、更に、150〜500℃、好ましくは、200〜450℃の高温
で熱処理させる方法が採用される。
この場合、成形体が変形しないように緊張下で処理さ
せた方が、高強度で高弾性率の成形体を得る上で有利で
ある。可能であるなら、高温処理の途中で1.1〜1.5倍の
延伸倍率で更に延伸処理することもできる。
延伸させられたポリアミド酸あるいは一部イミド化の
進んだポリアミド酸の賦形物は、化学的な脱水・閉環反
応によりイミド化を完結させることも可能である。この
場合、前述の部分的イミド化と同様に、アミン類を触媒
とし酸無水物を脱水剤として用いるのが一般的である
が、ポリアミド酸に存在するカルボキシル基1当量に対
して1〜5当量の酸無水物と、0.01〜1.5当量の触媒を
含むような液体に、該賦形物を1〜48時間浸漬させる等
の方法により、ポリアミド酸のイミド化を完結させるこ
ともできる。
このような処理により、引張り強さが20kgf/mm2
上、引張り弾性率が1000kg/mm2以上であるポリイミド成
形体を得ることができる。
本発明の成形体は、公知の技術で調製されたポリアミ
ド酸より得られた成形体とは構造的に異なるものであ
る。テトラカルボン酸二水物、芳香族ジアミン及び多価
アミンを重付加反応させて得られたポリアミド酸の高分
子ゲルを経由して得られた成形体は、三次元網目構造の
ものであり、これを延伸処理することにより、最終的に
は、高強度・高弾性率のポリイミド成形体が調製される
ものである。
延伸処理により、成形体を構成するポリマーの分子鎖
は延伸方向に配向させられるが、モノマー成分のひとつ
である多価アミン成分が架橋点として存在し、分子鎖の
過度の異方性を緩和させて、延伸軸の直角方向の強度を
保つため、成形体は、全体の強度が向上する。
(第三成分) ポリイミド成形体の中に他の高分子量成分を含ませて
複合体とすることもできる。この場合、ポリイミド/高
分子量成分の複合成形体は、以下の手順より調製するこ
とができる。
重付加反応により得られたゲル化に至っていないポリ
アミック酸溶液に、第三成分である高分子量成分を添加
し複合化を行わせるか、あるいは、予め有機溶媒中に高
分子量成分を含ませた溶液中でポリアミック酸の重付加
反応を行わせることによって、高分子量成分を含むポリ
アミド酸の混合溶液とする。
高分子量成分とポリアミック酸成分の混合溶液がゲル
化を起こす前に、繊維あるいはフィルム等の形状に賦形
させるため、特定形状の型を通して押出すか、又は基材
上に流延させる。
混合溶液がゲル化し、賦形された高分子ゲルより、前
述と同様の乾燥等の操作にて、繊維やフィルムの調製を
行った後、同様に、延伸、高温処理を施し、高強度・高
弾性率のポリイミド/高分子量成分複合成形体を調製す
る。
第三成分である高分子量成分としては、ポリアミド
酸、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミ
ド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリベンゾ
イミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチ
アゾール、ポリアミド、アラミド、ポリエステルの中か
ら選ばれた少なくとも一種類の高分子量成分が用いられ
る。
例えば、ポリアミド酸及びポリイミドに関しては、前
述のテトラカルボン酸二無水物の代表例及び芳香族ジア
ミンの代表例を組合せた全てのポリマーを用いることが
できる。市販のポリイミドとしては、三井東圧社製LARC
−TPI等が、ポリアミドイミドとしては、三菱化成工業
(株)社製のトーロン等が、ポリエーテルイミドとして
は、日本ジーイープラスチックス(株)社製ウルテム等
が、ポリエーテルスルホンとしては、ICI社製ビクトレ
ックスPES等が、ポリスルホンとしては、アコモ社製ユ
ーデルP−1700等が、ポリベンゾイミダゾールとして
は、ヘキスト・セラニーズ社製PBI等が、ポリアミドと
しては、デュポン社製ザイテル等が、アラミドとして
は、デュポン社製ケプラーやノーメックス等が、ポリス
テルとしては、テネシーイーストマン社製のパラヒドロ
キシベンゾエート及びエチレンテレフタレートを組合せ
たコポリエステル等が、それぞれ代表例として挙げられ
る。
高分子量成分の配合量は、配合させる高分子量成分の
種類にもよるが、全体の1〜50重量%が好ましい。これ
らの高分子量成分は、種々のポリマーの変性物、共重合
体、前駆体、オリゴマーを含む。前駆体やオリゴマーの
場合は、複合させた後の硬化反応等により更に高分子量
化を行ってもよい。これらは、単独又は二種以上の混合
物で用いることができる。
本発明では、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸
と高分子量成分との混合溶液中でゲル化反応が起こり、
両成分の分子鎖がランダムに溶液中に広がった状態で高
分子ゲルを生成させる。更に、溶媒を除去させることに
より、溶液中で形成された相互侵入網目高分子構造を保
持したまま、フィルム等の成形体として得られる。従っ
て、得られたポリアミド酸/高分子量成分の複合体は、
特異な相互侵入網目高分子構造を与える。
この構造は、ポリアミド酸と高分子量成分を機械的あ
るいは溶融や溶解により両者を混ぜ込む等の単純な物理
的混合から調製されたところの、ポリアミド酸/高分子
量成分複合体の構造とは明らかに異なるものである。こ
れは、複合に際しポリアミド酸/高分子量成分複合体の
高分子ゲルを経由させるという化学的な手法を用いてい
るからであり、この系は、物理的に単純混合した系では
達成されないような新しい分子鎖凝集構造の複合体であ
り、このものは、延伸による分子鎖の配向が容易であ
り、高性能のポリイミド複合体を与える前駆体となる。
この複合体を前駆体として、先に述べたような条件で
延伸により分子鎖に配向を行わせ、更に、熱処理してポ
リアミド酸成分のイミド化を完結させることにより得ら
れたポリイミド複合体は、ポリイミドの高い耐熱性と機
械的性質及び高分子量成分の優れた機械的性質等の特性
を兼備した高強度・高弾性率の新規な成形体である。
ポリイミド/高分子量成分の複合成形体の形状は、繊
維、フィルム状のものを含む。このような調製法による
ポリイミド/高分子量成分成形体の作製は、これまで例
がなく新規なものである。
ポリアミド酸、ポリイミドあるいはポリイミド/高分
子量成分の複合成形体の中には、その他に、アスペクト
比(繊維長/繊維径)が2以上の炭素質繊維、アルミナ
繊維等のセラミック繊維、金属繊維、有機繊維等の繊維
物質、各種金属化合物、低分子有機化合物、無機充填
剤、着色剤等を含ませることができる。
〔実施例及び比較例〕
以下、本発明を実施例により説明する。
実施例1 300mlの四つ口セパラブルフラスコ中に、0.497g(0.0
046モル)の精製したパラフェニレンジアミン(略称:PP
D)と0.0792(0.0002モル)の3,3′,4,4′−テトラアミ
ノビフェニル・四塩酸塩・二水和物(略称:TABT)を採
取し、15gの蒸留されたN−メチル−2−ピロリドン
(略称:NMP)を加え、攪拌し溶解させて溶液を得た。
窒素雰囲気の下、外部水槽の温度を5℃にコントロー
ルし、上記溶液を攪拌しながら1.092g(0.005モル)の
精製した無水のピロメリット酸二無水物(略称:PMDA)
を固形のまま、溶液の温度が上らないように注意しなが
ら徐々に添加し、全て加え終った後、攪拌を続け均一な
ポリアミド酸溶液を調製した。
このポリアミド酸溶液をガラス板上に流延した。溶液
の塗布量は、スペーサーによりコントロールし、約0.4m
mの厚さになるようにした。
しばらく静置すると、流延されたポリアミド酸溶液が
ゲル化を起こし、ポリアミド酸の高分子ゲル(ゲルフィ
ルム)が得られた。
得られたゲルフィルムは、自重による形状変化を起こ
さず、自己支持性のものであった。
このゲルフィルムを30℃で真空乾燥させ、フィルム中
の溶媒の含有量を、全重量の5重量%に調整した後、ガ
ラス板より剥離させ、30℃で更に24時間真空乾燥させ、
残存溶媒を0.5%重量以下に調整した。
このフィルムより、10mm幅×50mm長の短冊状のフィル
ムを切り出した。更に、40℃、70mmHgの雰囲気中でNMP
の蒸気にフィルムを5分間さらし、フィルム中のNMP含
有量(揮発成分)を10重量%とした後、大気中、25℃で
第1表に示す延伸倍率で一軸延伸を行い、緊張下で第1
表に示す温度及び時間等の処理条件で処理して、第1表
に示す機械的性質のポリイミド成形体を得た。また、延
伸倍率に伴うポリイミド成形体の引張り特性の変化を第
2表に示す。
比較例1 実施例1で調製したフィルムを延伸せず、そのまま、
実施例1と同様な条件で高温処理を施してポリイミド成
形体を得た。成形体の機械的性質を第1表に示す。
比較例2(多価アミンを使用しない例) 300mlの四つ口セパラブルフラスコ中に、0.541g(0.0
05モル)の精製したパラフェニレンジアミン(略称:PP
D)を採取し、15gの蒸留されたN−メチル−2−ピロリ
ドン(略称:NMP)を加え、攪拌し溶解させて溶液を得
た。
窒素雰囲気の下、外部水槽の温度を5℃にコントロー
ルし、上記溶液を攪拌しながら1.092g(0.005モル)の
精製した無水のピロメリット酸二無水物(略称:PMDA)
を固形のまま、溶液の温度が上らないように注意しなが
ら徐々に添加し、全て加え終った後、攪拌を続け均一な
ポリアミド酸溶液を調製した。
このポリアミド酸溶液をガラス板上に流延した。溶液
の塗布量は、スペーサーによりコントロールし、約0.4m
mの厚さになるようにした。
このものは、室温で5時間以上静置しても、流延され
たポリアミド酸溶液がゲル化を起こさず、流動的なもの
であった。ポリアミド酸溶液の流延されたガラス板を厚
さ斑が出ないように水平に保ちながら、実施例1と同様
な乾燥方法で溶媒を除去させ、ポリアミド酸フィルムを
得た。
実施例1と同様な方法にてポリイミド成形体を調製し
たが、フィルムが脆性的なため機械的性質を測定するこ
とができなかった。
実施例2 300mlの四つ口セパラブルフラスコ中に、0.541g(0.0
05モル)の精製したPPDを採取し、15gの蒸留されたNMP
を加え、攪拌し溶解させて溶液を得た。
窒素雰囲気の下、外部水槽の温度を5℃にコントロー
ルし、上記溶液を攪拌しながら1.092g(0.005モル)の
精製したPMDAを固形のまま、溶液の温度が上らないよう
に注意しながら徐々に添加し、全て加え終った後、攪拌
を続け均一なポリアミド酸溶液を調製した。
別の300mlの四つ口セパラブルフラスコ中に、今度は
0.497g(0.004モル)のPPDと0.158(0.0004モル)のTAB
Tを採取し、20gの蒸留されたN,N−ジメチルホルムアミ
ド(略称:DMF)を加え、攪拌し溶解させて溶液を得た。
同様に、窒素雰囲気の下、外部水槽の温度を5℃にコ
ントロールし、上記溶液を攪拌しながら1.092g(0.005
モル)のPMDAを固形のまま、溶液の温度が上らないよう
に注意しながら徐々に添加した。
この二種の反応液を、温度を5℃にコントロールした
まま、混合、攪拌し、均一な溶液を調製した。
この溶液をガラス板上に流延した。溶液の塗布量は、
スペーサーによりコントロールし、約0.4mmの厚さにな
るようにした。しばらく静置すると、流延された溶液が
ゲル化を起こし、ポリアミド酸の高分子ゲル(ゲルフィ
ルム)が得られた。
得られたゲルフィルムは自重による形状変化を起こさ
ず、自己支持性のものであり、DMF溶媒中に浸漬させた
ところ、溶解せず、フィルムの形状を保持したまま膨潤
した。
実施例1と同様な方法で乾燥させ、フィルムを調製し
た後、第1表に示す延伸倍率及び処理条件にてポリイミ
ト成形体を作製した。
成形体の機械的性質を第1表に示す。
実施例3 300mlの四つ口セパラブルフラスコ中に、0.432g(0.0
04モル)の精製したPPDと0.200(0.001モル)の4,4′−
ジアミノジフェニルエーテル(略称:4,4′−DPE)を採
取し、20gのNMPを加え、攪拌し溶解させた。
窒素雰囲気の下、外部水槽の温度を5℃にコントロー
ルし、上記溶液を攪拌しながら1.470g(0.005モル)の
精製した3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二
無水物(略称:BPDA)を固形のまま、溶液の温度が上ら
ないように注意しながら徐々に添加し、全て加え終わっ
た後、攪拌を続け均一なポリアミド酸溶液を調製した。
このポリアミド酸溶液に0.540g(0.005モル)の無水
酢酸と0.079g(0.001モル)のピリジンを添加し、25℃
にて5時間攪拌しながら反応させ、一部イミド化の進ん
だポリアミド酸溶液を得た。
別の300mlの四つ口セパラブルフラスコ中に、今度は
0.324g(0.003モル)の精製したPPDと0.317(0.0008モ
ル)のTABTを採取し、15gの蒸留されたNMPを加え、攪拌
し溶解させて溶液を得た。
同様に、窒素雰囲気の下、外部水槽の温度を5℃にコ
ントロールし、上記溶液を攪拌しながら1.092g(0.005
モル)の精製したPMDAを固形のまま、溶液の温度が上ら
ないように注意しながら徐々に添加し反応させた。
この二種の反応液を、温度を5℃にコントロールした
まま、混合、攪拌し、均一な溶液を調製した。
一方、市販のポリベンゾイミダゾール樹脂(セラニー
ズ社製PBI)1.278g(固形分の25重量%)を採取し、300
mlのビーカー中で20gの蒸留されたNMPに200℃で溶解さ
せて溶液を得た。PBI樹脂が完全に溶解された後、この
溶液を前述の一部イミド化の進んだポリアミド酸混合溶
液に加え攪拌を続け、均一なポリアミド酸/PBI樹脂混合
溶液を得た。
この混合溶液をガラス板上に流延した。溶液の塗布量
は、スペーサーによりコントロールし、約0.4mmの厚さ
になるようにした。しばらく静置すると、流延された混
合溶液がゲル化を起こし、ポリアミド酸/PBI樹脂複合体
の高分子ゲル(ゲルフィルム)が得られた。
得られたゲルフィルムは、自重による形状変化を起こ
さず、自己支持性のものであり、NMP溶媒中に浸漬させ
たところ、溶解せず、フィルムの形状を保持したまま膨
潤した。
このゲルフィルムを、実施例1と同様な方法で乾燥さ
せ、フィルムを調製した。N,N−ジメチルアセトアミド
(略称:DMAc)が25重量%含まれるポリエチレングリコ
ール溶液にフィルムを浸漬させフィルム中の揮発成分を
10重量%にした後、第1表に示す延伸倍率、処理温度及
び処理時間にてポリイミド/PBI樹脂の複合成形体を作製
した。
成形体の熱的及び機械的性質を第1表に示す。また、
延伸倍率に伴うポリイミド複合成形体の引張り特性の変
化を第3表に示す。
実施例4〜8 300mlの四つ口セパラブルフラスコ中に、第1表に示
す種類の量の各種モノマーと溶媒を仕込み、実施例1と
同様の方法でポリイミド成形体の調製を行い、性質の評
価を行った。結果を第1表に示す。
実施例4〜8においては、調製されたポリマー溶液
(ポリマー濃度:10〜20重量%)をガラス板に流延し静
置の後、ポリマー溶液がゲル化を起こし、高分子ゲル
(ゲルフィルム)の精製が確認された。
フィルムに関する種々の特性は、20〜50μm厚のフィ
ルムを用いて評価した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 79/08 C08L 79/08 Z 81/06 81/06 D01F 6/74 D01F 6/74 A (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 73/10 C08L 79/04 - 79/08 C08L 81/06,67/04,77/00 WPI(DIALOG)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミ
    ン及び多価アミンを反応させてなる三次元網目構造のポ
    リアミド酸の賦形物を脱水・閉環反応させて得られたポ
    リイミド成形体であって、且つ前記テトラカルボン酸二
    無水物、芳香族ジアミン及び多価アミンのモル比が(10
    0)/(50〜100)/(2〜25)であり、引張り強さが20
    kgf/mm2以上、引張り弾性率が1000kgf/mm2以上であるポ
    リイミド成形体。
  2. 【請求項2】前記多価アミンが、ひとつの分子構造中に
    三個以上のアミノ基及び/又はアンモニウム塩基を有す
    る多価アミンである請求項(1)記載のポリイミド成形
    体。
  3. 【請求項3】前記ポリイミド成形体が、フィルム状又は
    繊維状である請求項(1)記載のポリイミド成形体。
  4. 【請求項4】前記三次元網目構造のポリアミド酸が、ポ
    リアミド酸、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエー
    テルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポ
    リベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリ
    ベンゾチアゾール、ポリアミド、アラミド、ポリエステ
    ルの中から選ばれた少なくとも一種類の高分子量成分を
    第三成分として、該三次元網目構造中に相互侵入して含
    み、 該相互侵入三次元網目高分子構造のポリアミド酸を賦形
    ・延伸したものを脱水・閉環反応させて得られた請求項
    1記載のポリイミド成形体。
  5. 【請求項5】テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミ
    ン及び多価アミンをモル比が(100)/(50〜100)/
    (2〜25)の割合で−10℃〜30℃で反応させたポリアミ
    ド酸を含む溶液を基材上に流延させるか、ノズルより押
    し出すか、或いは特定形状の型に流し込むかした後、0
    〜100℃に保つことでポリアミド酸の架橋反応を該溶液
    中で進めてポリアミド酸の三次元網目構造の高分子ゲル
    の賦形物とし、次いで、脱溶媒により得られたポリアミ
    ド酸の賦形物を、1.2倍以上延伸せしめ、更に、脱水・
    閉環反応を行わせることを特徴とする請求項(1)記載
    のポリイミド成形体の製造方法。
  6. 【請求項6】前記ポリアミド酸の三次元網目構造中に、
    ポリアミド酸、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエ
    ーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、
    ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポ
    リベンゾチアゾール、ポリアミド、アラミド、ポリエス
    テルの中から選ばれた少なくとも一種類の高分子量成分
    を第3成分として含ませた状態で賦形することを特徴と
    する請求項(5)記載のポリイミド成形体の製造方法。
  7. 【請求項7】ポリアミド酸、ポリイミド、ポリアミドイ
    ミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポ
    リスルホン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキ
    サゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリアミド、アラミ
    ド、ポリエステルの中から選ばれた少なくとも一種類の
    高分子量成分の存在下でテトラカルボン酸二無水物、芳
    香族ジアミン及び多価アミンを反応させることを特徴と
    する請求項(5)記載のポリイミド成形体の製造方法。
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