JP3842105B2 - ポリイミドフィルムの製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は物性低下の原因となる分子鎖加水分解を防ぎ配向した、ポリパラフェニレンピロメリットイミド系ポリイミドの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリイミドはその耐熱性や優れた機械物性から幅広く開発が成されている。特に全芳香族ポリイミドはその剛直構造から特に高い耐熱性や機械物性を発揮することが期待される。しかしながら、特に全芳香族ポリイミドの場合不融不溶でありポリイミドの状態での成形加工が困難である。そこで前駆体の状態での成形がなされている。
【0003】
例えば最も一般的な前駆体としてはアミン成分と酸無水物の反応からなるポリアミド酸の状態での成型加工、配向が試みられている。しかしながら剛直な分子構造から配向時の高いヤング率が予想されるポリパラフェニレンピロメリットイミド系ポリイミドの場合、その前駆体であるポリアミド酸は成型加工時に容易に加水分解を受け、その結果得られたポリイミドの強度は低く、実用に耐えうる強度を有するフィルムなどの成型体は得ることは困難である。
【0004】
高分子論文集Vol.65,No 5,pp282−290においてはポリパラフェニレンピロメリットイミドの前駆体であるポリアミド酸溶液を製膜後乾燥し、得られたポリアミド酸フィルムを溶剤中で一軸に延伸したのちイミド化する方法が報告されている。しかしながら製膜、延伸、乾燥、熱処理といった一連の操作はすべて乾燥雰囲気下で行う必要があり、これに留意した結果においてさえも、延伸により高い弾性率は発揮する一方でもろさを克服することは困難であった。
【0005】
本発明者らによる出願特許では他の前駆体としてポリイミドの構造異性体であるポリイソイミドの膨潤したゲルフィルムを前駆体とし、これを延伸することで格段に靭性の向上したポリイミド製造法について報告されている。しかしながらイソイミドは水分と反応してアミド酸に変化し、さらに分子鎖が加水分解を受けるため、製膜、延伸、乾燥、熱処理といった一連の操作はすべて乾燥雰囲気下で行う必要がある。
【0006】
より耐加水分解性の高い前駆体として、ポリアミド酸エステルを用いた例として(1)Polymer40(1999)2681−2685頁においては無水ピロメリット酸をエタノールと反応させることにより2エステル化しさらに酸クロライド化し、これをパラフェニレンジアミンと反応させることで目的とするポリアミド酸エステルを得、これを溶液からキャストすることでポリアミド酸エステルフィルムを得た後、さらに熱処理することで目的とするポリイミドフィルムを得る方法が報告されている。しかし延伸等による配向付与は試みられておらず、また機械特性の改良についても報告されていない。
【0007】
Polymer Preaprents Japan Vol.41、N0.9(1992)3752−3754頁においては、炭素数10〜14といった長鎖のアルキル側鎖をもつポリアミド酸エステルが液晶状態を示すことを利用した、高配向ポリアミド酸エステル繊維、さらにこれを熱イミド化した高配向イミド繊維が報告されている。しかしながら、このような液晶状態を経由した場合は一軸への配向性は飛躍的に改善されるが、工業的なフイルムに一般的に要求される、直交する2軸方向への物性バランスを実現することは困難である。
【0008】
前駆体としてポリイミドアミド酸エステルコポリマーを用いた例として例えば特開平8−231719号公報においては予めアミドエステル基を含むジアミンを合成しておいた後、酸無水物と反応させたのち化学イミド化することでポリアミド酸エステル−イミドを得、これを溶液から成形することでフィルム及び繊維を得ている。しかしながらポリパラフェニレンピロメリットイミドポリイミドはその前駆体ポリイミドアミド酸エステルコポリマーが一般の成型溶剤に不溶のためこの方法を適用することができない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は物性低下の原因となる分子鎖加水分解を防ぎ、なおかつ成型加工性に優れ、延伸可能な前駆体から従来の方法ではその剛直性から成形加工が困難であったポリパラフェニレンピロメリットイミド系ポリイミドフィルムの製造方法を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は30モル%以上がピロメリット酸からなる芳香族テトラカルボン酸と30モル%以上がパラフエニレンジアミンからなる芳香族ジアミンから構成される芳香族アミド酸エステル(A)と芳香族イミド(B)とからなり、(A)と(B)のモル比が0.5:99.5〜99.5:0.5の範囲にあることを特徴とするポリイミドアミド酸エステルコポリマーのゲルフィルムを得て、延伸後熱処理するポリイミドフィルムの製造法である。さらに好ましくは、このポリイミドアミド酸エステルコポリマーのゲルフィルムが延伸に際して溶剤によって3〜100倍膨潤していることを特徴とするポリイミドフイルムの製造方法である。
【0011】
ピロメリット酸及びパラフエニレンジアミンが30モル%より少ない場合、ポリイミドアミド酸エステルコポリマーゲルフィルムの延伸時の配向性が不足する。(A):(B)の比が0.5:99.5より(A)の比率が小さい場合、ポリイミドアミド酸エステルコポリマーゲルの延伸時の延伸倍率が低下し、(B)の比率が99.5:0.5より小さな場合、得られるポリイミドアミド酸エステルコポリマーゲルの延伸時の配向性が不足する。またポリイミドアミド酸エステルコポリマーゲルの膨潤度が3より小さい場合は、延伸時の延伸倍率が低下し、100を超える場合は多量の溶剤を用いるため、プロセスの経済性が低下する。また(A)のポリアミド酸エステルのエステル部を構成するアルコール残基は脂肪族あるいは芳香族アルコールからなるものである。
【0012】
以下、(ア)ポリイミドアミド酸エステルコポリマーゲルフィルムの作成(イ)延伸(ウ)熱処理イミド化について順を追って説明する。
【0013】
(ア)ポリイミドアミド酸エステルコポリマーゲルフィルムの作成
ポリイミドアミド酸エステルコポリマーゲルフィルムの作成方法として特に既定するものではないが、ポリアミド酸の溶液を脱水縮合剤を含有する溶剤中に導入したのち、アルコールを含有する溶液に浸漬する製造方法が挙げられる。この製造法に関して以下、(1)ポリアミド酸溶液の調製、(2)脱水縮合化し膨潤した成形体の作成(3)ポリイミドアミド酸エステルコポリマー化について順を追って説明する。
【0014】
(1)ポリアミド酸溶液の調製
ポリアミド酸の重合体は、溶液中ジアミンと酸との反応から得られる。本発明では、酸成分として主として30モル%以上ピロメリット酸二無水物を用いる。50モル%以上ピロメリット酸二無水物を用いることがより好ましく、80モル%以上ピロメリット酸二無水物を用いることがさらに好ましい。
【0015】
その他の成分として、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−チオフェンテトラカルボン二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,6,7−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,9,10−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−テトラクロロナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,6−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ピリジン二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物等が挙げられるがこれに限るものではない。
【0016】
ジアミン成分としてアミン成分中において30モル%以上パラフェニレンジアミンを用いる。50モル%以上パラフェニレンジアミンを用いることがより好ましく、80モル%以上パラフェニレンジアミンを用いることがさらに好ましい。その他の成分としては具体例として、m−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノアントラセン、2,7−ジアミノアントラセン、1,8−ジアミノアントラセン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノ(m−キシレン)、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,5−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノトルエンベンジジン、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルメタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、1,4−ビス(3−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニルチオエーテル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルチオエーテル)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、ビス(4−アミノフェニル)アミンビス(4−アミノフェニル)−N−メチルアミンビス(4−アミノフェニル)−N−フェニルアミンビス(4−アミノフェニル)ホスフィンオキシド、1,1−ビス(3−アミノフェニル)エタン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)エタン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられるがこれに限るものではない。
【0017】
またポリアミド酸を重合する際の溶媒としては、DCC(N,N‘−ジシクロヘキシルカルボジイミド)・無水酢酸、アミンのごとき脱水縮合剤と反応せず、ポリアミド酸を溶解する溶媒であればよい。
【0018】
具体例としてはN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンヘキサメチルホスホルアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチルウレア、1,3−ジプロピルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチルスルホン、エチレングリコール、などの非プロトン性極性溶媒、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン,4−ピコリン、2,3−ルチジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、2,6−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、2,6−ルチジン、などの複素芳香族化合物、クレゾール類などが挙げられる。
【0019】
なおこれらの溶媒は四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどの有機ハロゲン化物、ベンゼン、トルエン、ベンゾニトリル、キシレン、ソルベントナフサ、およびジオキサンのような他の溶媒と混合して使用することもできるがこれに限るものではない。
【0020】
この発明におけるポリアミド酸を得るためには前記の有機溶媒中、ジアミンの使用量を、酸無水物のモル数に対する比として好ましくは0.90〜1.10、より好ましくは0.95〜1.05として反応させポリアミド酸とすることが好ましい。
【0021】
このポリマーにおいてポリマーの末端を封止するために、無水フタル酸およびその置換体、ヘキサヒドロ無水フタル酸およびその置換体、無水コハク酸およびその置換体、アミン成分としてはアニリンおよびその置換体が挙げられるがこれに限るものではない。また反応温度としては−10℃〜100℃が好ましく、さらに好ましくは−10〜80℃である。また得られたポリアミド酸溶液は窒素雰囲気下ろ過し、固形物を取り除くことが後々製膜するためにもより好ましい。得られるポリマーの対数粘度は高いほうが好ましく、特に3以上が好ましい。
【0022】
(2)脱水縮合化し膨潤した成形体の作成、
ポリアミド酸を脱水縮合化し膨潤した成形体は、ポリアミド酸溶液をフィルムとして、縮合剤溶液に直接導入することによって得る。この時縮合剤としては、無水酢酸、無水安息香酸、トリフルオロ酢酸二無水物、のごとき酸無水物;ホスゲン、塩化チオニル、塩化トシル、塩化ニコチル等の塩化物;三塩化リン、亜リン酸トリフェニル、ジエチルリン酸シアニドの如きリン化合物;N,N‘−ジシクロヘキシルカルボジイミドの如きN,N’−2置換カルボジイミドといった縮合剤が上げられる。高い延伸性をもつゲルフィルムを得るためにより好ましくは無水酢酸、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド等が上げられるがこれに限るものではない。
【0023】
またさらに縮合反応の進行を容易にするために、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチレンジアミンといった三級脂肪族アミン;N,N−ジメチルアニリン、1,8−ビス(N,Nージメチルアミノ)ナフタレンの如き芳香族アミン、ピリジン、ルチジン、キノリン、イソキノリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、N,Nージメチルアミノピリジンの如き複素環式化合物を反応促進剤として用いても良い。
【0024】
この際反応触媒の脱水縮合剤に対する量としては特に既定するものではないが、1mol%以上、より好ましくは10mol%以上である。
【0025】
また縮合剤を以下のような溶媒を用い溶液としてもよい。溶液を構成する溶媒としては縮合剤を溶解し反応せず、かつ縮合剤溶液がゲルフィルムを実質的に溶解しない一般有機溶媒であればよい。特に好しくは、縮合剤溶液がゲル体を溶解しないが膨潤させるものを用いることで、この後のエステル化が速やかに進行しさらに得られるポリイミド−ポリアミド酸エステルが十分膨潤しその後の延伸操作が可能となる。膨潤度としては膨潤度= 膨潤ゲル体の重量 / 乾燥後の重量のように定義され、特に既定するものではないが2〜100であることが好ましい。
【0026】
このような溶媒としては特に限定するものではないがN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジエチルアセトアミド、等のアミド系溶媒及びに芳香族・炭化水素・アルコール・ケトン・エステル・エーテル等の一般有機溶剤から選択することができる、特にN−メチル−2−ピロリドン、N,N’,−ジメチルアセトアミドといった極性の高い溶媒がイミド化後に剛直性の高いポリイミドを与えるゲル体を用いる場合に好ましく用いられる。
【0027】
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、あるいは2種以上を併用しても良い。また得られるゲル体に含まれるポリイソイミド及びアミド酸成分が水分と反応した場合最終的に得られるポリイミドフィルムの物性の低下が発生するので、溶液は脱水されていることが好ましい。縮合溶液中の縮合剤濃度は特定するものではないが、反応を十分に進行させるためには、好ましくは0.5%以上100%以下である。縮合剤とポリアミド酸を反応させる際の反応温度は、特に規定するものではないが、縮合剤溶液の凝固点以上溶剤の沸点以下の温度を用いることができる。
【0028】
ポリアミド酸溶液をフィルムとしてキャストし、縮合溶液に直接導入することによって、ゲルフィルムを得る方法におけるポリアミド酸溶液の縮合剤溶液への導入方法は、一般に知られている湿式ならびに乾湿式成形方法等のいかなる方法を用いても良い。この製膜方法としてはダイ押し出しによる工法、アプリケーターを用いたキャスティング、コーターを用いる方法などが例示されるがこれに限定されるものではない。また縮合剤の不活性化を防ぐためにもこれらの工程は低湿度雰囲気下で行うことが好ましい。
【0029】
(3)ポリイミドアミド酸エステルコポリマー化
前述の方法により得られた部分的にイソイミド化し膨潤した成形体をアルコールを含む溶液中に浸漬することでイソイミド部位がイミドもしくはアミド酸エステルに転化し目的とするポリイミド−アミドエステル化反応を行う。
【0030】
アルコールとしては一般式(1)
R−OH (1)
(Rは炭素数1〜30のアルキル鎖及び芳香族炭化水素)
に示される化合物であり特に限定されるものではない。
【0031】
アルコールを含有する溶液としてはアルコールを2〜100%含むことが好ましく、イソイミドのアミド酸化を防ぐ意味でも乾燥条件下で行うことが好ましい。その他の溶液としては、特に限定するものではない。特に得られるポリイミドアミド酸エステルコポリマー及び部分的にイソイミド化し膨潤した成形体を溶解させず膨潤させる溶液であることが好ましい。
【0032】
また加水分解を防ぐために水分を捕捉する試薬を混在させても良い。反応温度は、アルコールを含有する溶液が揮発しない温度であればよく限定するものではない。反応時間はポリイソイミドが耐加水分解性の高いポリアミド酸エステルもしくはポリイミドへ充分転化する時間であればよく限定するものではない。
【0033】
こうして得られるポリイミドアミド酸エステルコポリマー中のアミド酸成分中において、シス体・トランス体は特に限定するものではない。ポリイミドアミド酸エステルコポリマーゲルフィルムの重量膨潤度は特に規定するものではないがその後の延伸性向上を考えると、3〜100倍、さらにこのましくは5倍以上であることが好ましい。
【0034】
(イ)延伸
前述の方法により得られたポリイミドアミド酸エステルコポリマーゲルフィルムを膨潤させ、延伸することで、ポリイミドアミド酸エステルコポリマーゲルフィルムの延伸体を得る。以下その詳細について述べる。
【0035】
ポリイミドアミド酸エステルコポリマーゲルフィルムさせるための溶剤としては、ポリイミドアミド酸エステルコポリマーゲルフィルムを溶解させず膨潤させる溶媒であればよい。
【0036】
このような溶媒としては例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、等のアミド系溶媒および芳香族、炭化水素、アルコール、ケトン、エステル、エーテルといった一般有機溶剤また水が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。さらにポリイミドアミド酸エステルコポリマーゲルフィルムを作成する際に用いた溶媒をそのまま用いることがより好ましい。膨潤のための溶剤中への浸漬時間としては、十分膨潤する時間であれば良い。
【0037】
延伸操作は、一般に知られているいかなる方法を用いても良い。例えば溶剤中、空気中、また加熱した状態での延伸しても良い。延伸の際の温度としては溶剤が揮発しない程度であれば良い。
【0038】
(ウ)加熱によるイミド化
前述の方法で製造したポリイミドアミド酸エステルコポリマーゲルフィルムを加熱によりイミド化する。この方法はいかなる方法を用いても良い。このイミド化方法としては熱風加熱、真空加熱、赤外線加熱、マイクロ波加熱の他、熱板、ホットロールを用いた接触による加熱などが例示できるがこれに限定されるものではない。これらの工法を用いて50〜500℃の間で熱処理することでポリイミドを得る。この際段階的に温度をあげることで完全にイミド化を進行させることが好ましい。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本願発明方法をさらに詳しく具体的に説明する。ただしこれらの実施例によって本願発明の範囲が限定されるものではない。ポリアミド酸の対数粘度は、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)中に溶解し、ポリマー濃度0.5G/100mLで35℃で、測定したものである。
【0040】
また強伸度測定は25mm×5mmのサンプルを用い、引張り速度2mm/minで行いオリエンテックUCT−1Tによって測定を行ったものである。
なおポリアミド酸の対数粘度は、NMP中ポリマー濃度0.5g/100mlで35℃で測定したものである。またイミド化率は、骨格振動に帰属される1500cm-1のピークと720cm-1のピーク強度比から算出した。
【0041】
(ア)ポリイミドアミド酸エステルコポリマーゲルフィルムの作成
パラフェニルジアミンと無水ピロメリット酸をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中室温下で反応させることによりポリアミド酸を得た。この溶液の対数粘度は4.12であり最終的なポリマー濃度は4wt%となった。このポリアミド酸をガラス基板上に厚み1.0mmのドクターブレードを用いてキャストした。これをDCC(N,N‘−ジシクロヘキシルカルボジイミド)濃度28wt%のN−メチル−2−ピロリドン溶液中に投入し、反応固化させたのちガラス基板上から剥離し、これをさらに40℃のNMP中に浸漬し溶媒置換を行い部分的にイソイミド化した面状体を得た。重量膨潤度は17倍であった。
【0042】
このイソイミド化し膨潤した成形体を乾燥条件下、脱水メタノール、NMP、DCC(N,N‘−ジシクロヘキシルカルボジイミド)を含む溶液中に24時間浸漬することで、イミド化率60%のポリイミドアミド酸エステルコポリマーゲルフィルムを得た。重量膨潤度は7倍であった。
【0043】
(イ)延伸
上記の(ア)で得られたポリイミドアミド酸エステルコポリマーゲルフィルムをNMPに室温下15分浸漬させた後、室温下、一軸方向に1.5倍、8mm/secの速度で延伸した。延伸後枠止めし、イソプロパノール中に室温下10分浸漬し膨潤に使用した溶剤などを抽出して再度凝固させた。
【0044】
(ウ)熱処理
枠固定した後乾燥機で熱処理を行った。すなわち130℃、250℃、400℃、450℃と段階的に温度を上げイミド転位させ、フィルム状のポリイミドを得た。
【0045】
得られたポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムの厚みは22μm、縦方向の引張り弾性率は7.2GPa、引張り強度は111MPa、伸度は1.0%であった。横方向の引張り弾性率は11.7GPa、引張り強度は20MPa、伸度は0.2%であり延伸方向に物性が改善されたものとなった。
【0046】
【発明の効果】
本発明の方法を用いれば、加水分解を防ぎなおかつ延伸可能なポリイミド前駆体を製造することができ、さらにこれを熱イミド化することによる配向ポリイミドフィルムが得られる。

Claims (2)

  1. (A)成分;30モル%以上がピロメリット酸からなる芳香族テトラカルボン酸成分、30モル%以上がパラフェニレンジアミンからなる芳香族ジアミン成分および脂肪族あるいは芳香族アルコール成分から構成されるポリアミド酸エステル成分、及び、
    (B)成分;30モル%以上がピロメリット酸からなる芳香族テトラカルボン酸成分、30モル%以上がパラフェニレンジアミンからなる芳香族ジアミン成分から構成されるポリイミド成分、
    とから構成され、(A)成分と( B )成分のモル比が0.5:99.5〜99.5:0.5の範囲であるポリイミドアミド酸エステルコポリマーのゲルフィルムを得て、延伸後熱処理することを特徴とするポリイミドフィルムの製造法。
  2. 延伸に際して該ポリイミドアミド酸エステルコポリマーのゲルフィルムが溶剤によって3〜100倍膨潤していることを特徴とする、請求項1記載のポリイミドフイルムの製造方法。
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