JP4448836B2 - ポリイミドフィルムの製造法 - Google Patents
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Description
特許文献2では核置換パラフェニレンジアミンとピロメリット酸無水物の反応で得られたポリアミド酸溶液に無水酢酸を大量に添加したドープを流延し、低温で減圧下に乾燥したのち熱処理することにより、ヤング率20.1GPaのフィルムが得られることが記載されている。しかしこの方法は低温で数時間の乾燥処理を必要とすることから工業的には非現実的な技術であり、またこの技術をポリパラフェニレンピロメリットイミドに適用した場合には機械測定すら不可能な脆弱なフィルムしか得られないことが記載されていることから、その効果は限定されたものである。したがって、剛直な芳香族ポリイミドに広く適用可能な高ヤング率フィルムの実現技術は未完成であり、特に高ヤング率かつ実用的な靭性を有するポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムは知られていない。
したがって、面内のバランスのとれた高ヤング率ポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムはいまだ知られていない。
(1)ポリアミック酸の溶媒中溶液を調製し、ここでポリアミック酸はp−フェニレンジアミン成分が80モル%を超え100モル%以下そしてp−フェニレンジアミンとは異なる芳香族ジアミン成分が0モル%以上20モル%未満からなるジアミン成分と、ピロメリット酸が80モル%を超えそしてピロメリット酸とは異なる芳香族テトラカルボン酸成分が0モル%以上20モル%未満からなるテトラカルボン酸成分とから実質的になり、そして溶媒はN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンおよび1,3−ジメチルイミダゾリジノンよりなる群から選ばれる少なくとも一種からなり;
(2)上記溶媒から選ばれる少なくとも一種にジシクロヘキシルカルボジイミドを溶解してなるイソイミド化溶液中に、上記工程(1)で調製した溶液を支持体上に流延して得られたフィルムを該支持体と一緒に浸漬してポリアミック酸の少なくとも一部がポリイソイミドに変換されたゲル状フィルムを形成し;
(3)得られたゲル状フィルムを支持体から分離し、必要に応じ洗浄した後、二軸延伸し、次いで
(4)得られた二軸延伸フィルムを、必要に応じ洗浄して溶媒を除去した後、熱処理に付して二軸配向ポリイミドフィルムを形成する、
ことを特徴とするポリイミドフィルムの製造法(以下、第1製造法ということがある)によって達成される。
(1)ポリアミック酸の溶媒中溶液を調製し、ここでポリアミック酸はp−フェニレンジアミン成分が80モル%を超え100モル%以下そしてp−フェニレンジアミンとは異なる芳香族ジアミン成分が0モル%以上20モル%未満からなるジアミン成分と、ピロメリット酸が80モル%を超えそしてピロメリット酸とは異なる芳香族テトラカルボン酸成分が0モル%以上20モル%未満からなるテトラカルボン酸成分からなりそして溶媒はN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンおよび1,3−ジメチルイミダゾリジノンよりなる群から選ばれる少なくとも一種からなり;
(2)上記溶媒から選ばれる少なくとも一種と無水酢酸と有機アミン化合物の混合溶媒中に、上記工程(1)で調製した溶液を支持体上に流延して得られたフィルムを該支持体と一緒に浸漬してポリアミック酸の少なくとも一部がポリイミドもしくはポリイソイミドに変換されたゲル状フィルムを形成し;
(3)得られたゲル状フィルムを支持体から分離し、必要に応じ洗浄した後、二軸延伸し、次いで
(4)得られた二軸延伸フィルムを、必要に応じ洗浄して溶媒を除去した後、熱処理に付して二軸配向ポリイミドフィルムを形成する、
ことを特徴とするポリイミドフィルムの製造法(以下、第2製造法ということがある)によって達成される。
p−フェニレンジアミンと異なる芳香族ジアミン成分としては、例えばm−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノアントラセン、2,7−ジアミノアントラセン、1,8−ジアミノアントラセン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノ(m−キシレン)、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,5−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノトルエンベンジジン、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルメタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、1,4−ビス(3−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニルチオエーテル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルチオエーテル)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、ビス(4−アミノフェニル)アミンビス(4−アミノフェニル)−N−メチルアミンビス(4−アミノフェニル)−N−フェニルアミンビス(4−アミノフェニル)ホスフィンオキシド、1,1−ビス(3−アミノフェニル)エタン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)エタン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等およびそれらのハロゲン原子あるいはアルキル基による芳香核置換体が挙げられる。
また、ポリイミドを構成するテトラカルボン酸成分は、ピロメリット酸およびそれと異なる芳香族テトラカルボン酸である。
p−フェニレンジアミン成分が100モル%からなるジアミン成分と、ピロメリット酸成分100モル%からなるポリイミドからなる本発明のフィルムは、より好ましいヤング率を発現する。
本発明のポリイミドフィルムのポリイミドのイミド基分率は95%以上が好ましい。イミド基分率が95%未満ではポリイミドフィルムの耐加水分解性が低下する。なお、イミド基分率は実施例において定義されている。
このような高いヤング率を有しかつ従来知られているポリパラフェニレンピロメリットイミドの脆さを克服することを、本発明者らは特殊な微細構造を該ポリイミドフィルムに付与することで解決できることを見出すに至った。すなわち本発明のポリイミドフィルムでは、好ましくは、フィルム面に垂直な方向の屈折率nzとフィルムの密度dとの間に下記関係式(1)、(2)および(3)が成立する。
1.61>nz>1.55 …(1)
1.57>d>1.46 …(2)
2.0d−1.33>nz>1.5d−0.77 …(3)
このときdが1.57を超える場合フィルムの靱性が不足し、1.46より小さい場合結晶性が不足し吸水性が増大し寸法安定性に欠けたものとなる。
本発明のポリイミドフィルムは一方向における引張り強度が0.3GPa以上であることが好ましい。一方向における引張り強度が0.4GPa以上であることがさらに好ましい。
(2)上記溶媒から選ばれる少なくとも一種にジシクロヘキシルカルボジイミドを溶解してなるイソイミド化溶液中に、上記工程(1)で調製した溶液を支持体上に流延して得られたフィルムを該支持体と一緒に浸漬してポリアミック酸の少なくとも一部がポリイソイミドに変換されたゲル状フィルムを形成し;
(3)得られたゲル状フィルムを支持体から分離し、必要に応じ洗浄した後、二軸延伸し、次いで
(4)得られた二軸延伸フィルムを、必要に応じ洗浄して溶媒を除去した後、熱処理に付して二軸配向ポリイミドフィルムを形成する。
また、ポリアミック酸のテトラカルボン酸成分は、ピロメリット酸単独からなるかあるいはピロメリット酸および上記の如きそれと異なる芳香族テトラカルボン酸との組合せからなる。後者の組合せの場合、ピロメリット酸は、全テトラカルボン酸成分に基づき、80モル%を超える割合、好ましくは90モル%を超える割合すなわちそれと異なる芳香族テトラカルボン酸が20モル%未満、好ましくは10モル%未満からなる。
このポリアミド酸の末端は封止されることが好ましい。末端封止剤を用いて封止する場合、その末端封止剤としては、例えば無水フタル酸およびその置換体、ヘキサヒドロ無水フタル酸およびその置換体、無水コハク酸およびその置換体、アミン成分としてはアニリンおよびその置換体が挙げられる。
溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンおよび1,3−ジメチルイミダゾリジノンが用いられる。これらの溶媒は、単独であるいは2種以上組合せて使用することができる。
工程(1)によれば、好ましくは、固形分濃度0.5〜30重量%、より好ましくは2〜15重量%のポリアミック酸の溶媒中溶液が調製される。
上記工程(1)で得られた溶液を支持体上に流延するには、一般に知られている湿式ならびに乾湿式成形方法等のいかなる製膜方法を用いてもよい。この製膜方法としてはダイ押し出しによる工法、アプリケーターを用いたキャスティング、コーターを用いる方法などが例示される。ポリアミド酸の流延に際して支持体として金属性のベルト、キャステイングドラムなどを用いることができる。またポリエステルやポリプロピレンのような有機高分子フィルム上に流延しそのまま縮合剤溶液に導入することもできる。これらの工程は低湿度雰囲気下で行うことが好ましい。イソイミド化溶液は工程(1)で用いたと同じ溶媒から選ばれる溶媒の少なくとも1種にジシクロヘキシルカルボジイミドを溶解せしめて調製される。
この工程(2)において、ポリアミック酸の少なくとも1部がポリイソイミドに変換されたゲル状フィルムが形成される。ゲル状フィルムのイソイミド基分率が90%以上であるとき高い延伸倍率が得られ好ましい。
第1製造法は、この工程(2)において、均質かつ高度に膨潤した延伸性に富む未延伸ゲル状フィルムを得るところに最大の特徴の1つを有すると言える。
延伸は、縦横それぞれの方向に1.1〜6.0倍の倍率で行うことができる。延伸温度は、特に限定するものではないが、溶剤が揮発し延伸性が低下しない程度であればよく、例えば−20℃〜+80℃が好ましい。なお、延伸は逐次あるいは同時二軸延伸のいずれの方式で行ってもよい。延伸は溶剤中、空気中、不活性雰囲気中、また低温加熱した状態でもよい。
工程(3)で二軸延伸に付すゲル状フィルムは300〜5,000%の膨潤度を持つことが好ましい。これにより高い延伸倍率が得られる。300%以下では延伸性が不十分であり、5,000%以上ではゲルの強度が低下しハンドリングが困難となる。
熱処理方法としては熱風加熱、真空加熱、赤外線加熱、マイクロ波加熱の他、熱板、ホットロールを用いた接触による加熱などが例示できる。この際段階的に温度をあげることでイミド化を進行させることが好ましい。
これにより95%を超えるイミド基分率を配向緩和を抑制して実現しうる。
(2)上記溶媒から選ばれる少なくとも一種に、無水酢酸と有機アミン化合物を溶解してなる溶液中に、上記工程(1)で調製した溶液を支持体上に流延して得られたフィルムを該支持体と一緒に浸漬してポリアミック酸の少なくとも一部がポリイミドまたはポリイソイミドに変換されたゲル状フィルムを形成し;
(3)得られたゲル状フィルムを支持体から分離し、必要に応じ洗浄した後、二軸延伸し、次いで
(4)得られた二軸延伸フィルムを、必要に応じ洗浄して溶媒を除去した後、熱処理に付して二軸配向ポリイミドフィルムを形成する。
次いで、工程(2)において、上記(1)で調製した溶液を支持体上に流延して得られたフィルムを支持体と一緒に、無水酢酸と有機アミンを溶解してなる溶液中に浸漬する。この溶液を調製するための溶媒としては、工程(1)で用いられたと同じ溶媒から選ばれる少なくとも1種の溶媒が用いられる。
第2製造法は、この工程(2)においてポリアミック酸を溶解しうる溶媒中で無水酢酸とポリアミック酸を有機アミン化合物の触媒存在下に反応させることで、均質かつ高度に膨潤した延伸性に富む未延伸ゲルフィルムを得るところに最大の特徴の1つを有するといえる。
上記の如くして、第1製造法および第2製造法で得られた二軸配向ポリイミドフィルムは分子鎖がフィルム面内に強く配向し、面内のバランスに優れた高ヤング率ポリイミドフィルムとなり面内の直交するニ方向に測定したヤング率の値が10Gpa、さらに好ましくは12Gpaを超え、かつ延伸配向により特殊な微細構造が形成されることにより強度の改善されたフィルムである。このような高ヤング率ポリイミドフィルムは剛性の高さから厚みが10μm以下の薄いフィルムであっても電子用途、例えば銅薄が積層された電気配線板の支持体などに好適に用いることができる。またフレキシブル回路基板、TAB(テープオートメイテッドボンディング)用テープ、LOC(リードオンチップ)用テープの支持体としても用いることができる。また磁気記録テープのベースフィルムとして用いることができる。
なおポリアミド酸の対数粘度は、NMP中ポリマー濃度0.5g/100mlで35℃で測定したものである。また膨潤度は膨潤した状態と乾燥した状態の重量の比から算出した。すなわち、乾燥状態の重さをW1、膨潤時の重さをW2とした場合
膨潤度=( W2 / W1 − 1) × 100
として算出した。また強伸度測定は50mm×10mmのサンプルを用い、引張り速度5mm/minで行いオリエンテックUCT−1Tによって測定を行ったものである。
イソイミド基分率(%)=(A920/A1024)/11.3 × 100
A920:サンプルの920cm−1イソイミド結合由来ピークの吸収強度
A1024:サンプルの1024cm−1ベンゼン環由来ピークの吸収強度
イミド基分率(%)=(A720/A1024)/5.1 × 100
A720:サンプルの720cm−1イミド結合由来ピークの吸収強度
A1024:サンプルの1024cm−1ベンゼン環由来ピークの吸収強度
温度計・攪拌装置および原料投入口を備えた反応容器に、窒素雰囲気下モレキュラーシーブスで脱水したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)910mlを入れ、さらにパラフェニルジアミン19.9gを加えた後に完全に溶解し、その後、氷浴下冷却した。この冷却したジアミン溶液に無水ピロメリット酸二無水物40.1gを添加し一時間反応させ、さらに室温下2時間反応後、アニリン0.011gを添加しさらに30分反応させた。得られたポリアミド酸溶液の対数粘度は4.12であった。
このアミド酸溶液をガラス板上に厚み1.5mmのドクターブレードを用いてキャストし、DCC濃度28wt%のN−メチル−2−ピロリドン溶液からなるジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)浴に導入し8分反応固化させたのちガラス板から剥離し、さらに12分反応させ、ゲル状フィルムを得た。このゲル状フィルムのイソイミド基分率は98%であり、そしてイミド基は検出できなかった。
延伸後のフィルムは枠固定した後200℃で乾燥した。さらに段階的に熱処理イミド化を行い最終的には450℃まで昇温させ、ポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムを得た。得られたポリパラフェニレンピロメリットイミドフィルムの厚みは7.0μm、引張り弾性率は直交する延伸方向について20.3GPaおよび21.7GPa、引張り強度はそれぞれ0.37GPaおよび0.37Gpa、伸度はそれぞれ2.6%および2.7%であった。厚み方向の屈折率nz=1.599、密度は1.523g/cm3であった。またイミド基分率は99%であった。
同時二軸延伸の倍率および最終の熱処理温度をのぞき実施例1と全く同様の方法でポリイミドフィルムを得た。その結果を表1に示す。
実施例1と同様の方法を用いてポリアミック酸溶液を調製した。
このポリアミック酸溶液を、ガラス基板上に厚み1.0mmのドクターブレードを用いてキャストし、NMP800ml、無水酢酸600mlおよびピリジン300mlからなる脱水縮合浴に導入し10分間浸漬してゲル化させた。その後ガラス基板から剥離しゲル状フィルムを得た。このゲル状フィルムのイミド基分率は43%およびイソイミド基分率は35%であった。
得られたゲルフィルムをNMPに室温下15分浸漬させた後、両端をチャックで固定し、室温下2軸方向に各1.9倍に5mm/secの速度で同時ニ軸延伸した。延伸開始時のゲルフィルムの膨潤度は1,810%であった。
延伸後のゲルフィルムを枠固定し熱風循環式オーブンを用い160℃と450℃の間で段階的に温度を上げ乾燥および熱処理を行い、ポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの厚みは9μm、面内の直交する二方向に測定した引張り弾性率は17.9GPaおよび16.0GPa、引張り強度は0.39GPaおよび0.35GPa、伸度は5.1%および4.9%であった。また、厚み方向の屈折率nz=1.573、密度は1.508g/cm3であった。またイミド基分率は99%であった。
最終の熱処理温度をのぞき実施例6と全く同様の方法でポリイミドフィルムを得た。その結果を表1に示す。
実施例1と同様の方法を用いてポリアミック酸溶液を調製した。
このポリアミック酸溶液を、PETフィルム上に厚み0.6mmのドクターブレードを用いてキャストし、無水酢酸100ml、トリエチレンジアミン25gおよびN−メチル−2−ピロリドン800mlからなる浴に導入し10分反応固化させた。その後PETフィルムから剥離し、さらに10分間計20分間反応させることでゲル状フィルムを得た。アミド結合由来のピークは観察されず、イミド基分率は99%であった。得られたゲル状フィルムをNMPに室温下15分浸漬させた後、両端をチャックで固定し、室温下二軸方向に各1.2倍に5mm/secの速度で同時ニ軸延伸した。延伸開始時のゲルフィルムの膨潤度は1,600%であった。
同時二軸延伸の倍率をのぞき実施例9と全く同様の方法でポリイミドフィルムを得た。その結果を表1に示す。
Claims (10)
- (1)ポリアミック酸の溶媒中溶液を調製し、ここでポリアミック酸はp−フェニレンジアミン成分が80モル%を超え100モル%以下そしてp−フェニレンジアミンとは異なる芳香族ジアミン成分が0モル%以上20モル%未満からなるジアミン成分と、ピロメリット酸が80モル%を超えそしてピロメリット酸とは異なる芳香族テトラカルボン酸成分が0モル%以上20モル%未満からなるテトラカルボン酸成分とから実質的になり、そして溶媒はN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンおよび1,3−ジメチルイミダゾリジノンよりなる群から選ばれる少なくとも一種からなり;
(2)上記溶媒から選ばれる少なくとも一種にジシクロヘキシルカルボジイミドを溶解してなるイソイミド化溶液中に、上記工程(1)で調製した溶液を支持体上に流延して得られたフィルムを該支持体と一緒に浸漬してポリアミック酸の少なくとも一部がポリイソイミドに変換されたゲル状フィルムを形成し;
(3)得られたゲル状フィルムを支持体から分離し、必要に応じ洗浄した後、二軸延伸し、次いで
(4)得られた二軸延伸フィルムを、必要に応じ洗浄して溶媒を除去した後、熱処理に付して二軸配向ポリイミドフィルムを形成する、
ことを特徴とするポリイミドフィルムの製造法。 - 工程(2)において、ゲル状フィルムのイソイミド基分率が90%以上である請求項1に記載の方法。
- 工程(3)で二軸延伸に付すゲル状フィルムが300〜5,000%の膨潤度を有する請求項1に記載の方法。
- 工程(4)の熱処理を定長ないし緊張下に300〜550℃の温度で実施する請求項1に記載の方法。
- (1)ポリアミック酸の溶媒中溶液を調製し、ここでポリアミック酸はp−フェニレンジアミン成分が80モル%を超え100モル%以下そしてp−フェニレンジアミンとは異なる芳香族ジアミン成分が0モル%以上20モル%未満からなるジアミン成分と、ピロメリット酸が80モル%を超えそしてピロメリット酸とは異なる芳香族テトラカルボン酸成分が0モル%以上20モル%未満からなるテトラカルボン酸成分からなりそして溶媒はN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンおよび1,3−ジメチルイミダゾリジノンよりなる群から選ばれる少なくとも一種からなり;
(2)上記溶媒から選ばれる少なくとも一種に、無水酢酸と有機アミン化合物を溶解してなる溶液中に、上記工程(1)で調製した溶液を支持体上に流延して得られたフィルムを該支持体と一緒に浸漬してポリアミック酸の少なくとも一部がポリイミドもしくはポリイソイミドに変換されたゲル状フィルムを形成し;
(3)得られたゲル状フィルムを支持体から分離し、必要に応じ洗浄した後、二軸延伸し、次いで
(4)得られた二軸延伸フィルムを、必要に応じ洗浄して溶媒を除去した後、熱処理に付して二軸配向ポリイミドフィルムを形成する、
ことを特徴とするポリイミドフィルムの製造法。 - 工程(2)において、ゲル状フィルムのイミド基分率とイソイミド基分率をあわせたものが20%〜100%である請求項5に記載の方法。
- 工程(3)で二軸延伸に付すゲル状フィルムが300〜5,000%の膨潤度を有する請求項5に記載の方法。
- 工程(4)の熱処理を定長ないし緊張下に300〜550℃の温度で実施する請求項5に記載の方法。
- 工程(2)において用いられる有機アミン化合物がピリジンまたはピコリンである請求項5に記載の方法。
- 工程(2)において用いられる有機アミン化合物がトリエチレンジアミンまたは4−ジメチルアミノピリジンである請求項5に記載の方法。
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