JP2003292643A - ポリイミド前駆体フィルムおよびポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents

ポリイミド前駆体フィルムおよびポリイミドフィルムの製造方法

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JP2003292643A
JP2003292643A JP2002101023A JP2002101023A JP2003292643A JP 2003292643 A JP2003292643 A JP 2003292643A JP 2002101023 A JP2002101023 A JP 2002101023A JP 2002101023 A JP2002101023 A JP 2002101023A JP 2003292643 A JP2003292643 A JP 2003292643A
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mol
polyimide
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polyamic acid
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JP2002101023A
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Susumu Honda
勧 本多
Tsutomu Nakamura
勤 中村
Toyoaki Ishiwatari
豊明 石渡
Jirou Sadanobu
治朗 定延
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は高度に機械特性および熱寸法安定性
を有するポリパラフェニレンピロメリットイミドを主成
分とするポリイミドフィルムを作製するためのポリイミ
ド前駆体フィルム、およびそれを用いたポリイミドフィ
ルムの製造方法を提供する。 【解決手段】 脱水縮合剤および閉環触媒を含有するポ
リ(パラフェニレン−ピロメリットイミド)のポリアミ
ド酸溶液を流延し低温で処理することで得られたゲル状
ポリイミド前駆体フイルムを熱処理することを特徴とす
るポリイミド前駆体フイルムおよびそれを用いたポリイ
ミドフィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高度に機械特性およ
び熱寸法安定性を有するポリパラフェニレンピロメリッ
トイミドを主成分とするポリイミドフィルムを作製する
ためのポリイミド前駆体フィルムおよびそれを用いたポ
リイミドフィルムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリイミドはその高い耐熱性や機械的物
性から幅広く開発が成されている。とりわけ全芳香族ポ
リイミドはその剛直構造から特に高い耐熱性や機械的物
性を発揮することが期待されている。
【0003】しかしながら、全芳香族ポリイミドは不融
不溶であることから、ポリイミドの状態での成形加工が
困難である。
【0004】そこでこの問題を回避するために、当該ポ
リイミドの前駆体の段階での成形加工、すなわちジアミ
ン成分と酸無水物との反応生成物であるポリアミド酸の
状態で成形または配向操作を行った後、イミド化してポ
リイミドフィルムを得る方法が行なわれている。
【0005】一般的にポリアミド酸をイミド化する方法
として、(1)加熱により脱水する熱的環化法、(2)
脱水縮合剤とイミド化触媒を用いる化学的環化法および
(3)化学的環化法と熱的環化法を併用する方法が知ら
れている。
【0006】(1)熱的環化法はイミド化の効率が悪
く、加熱時にポリアミド酸の加水分解による物性低下を
引き起こす可能性がある。
【0007】特に対称性の高い完全剛直系ポリイミドの
前駆体であるパラフェニレンジアミンとピロメリット酸
とからなるポリアミド酸は加水分解を受けやすく、熱的
環化法により得られたポリイミドフィルムは脆弱で実用
に耐えうるフィルムは得られていない。
【0008】(2)化学的環化法としては、特開平1−
282219号公報、特開平5−78503号公報およ
び特開平6−9801号公報に記載されているように、
ポリアミド酸の溶液をキャストした後、ポリアミド酸キ
ャストフィルムを脱水縮合剤と閉環触媒を含有する化学
環化剤に浸漬して、乾燥する方法が知られている。しか
し、脱水縮合剤と閉環触媒の含有量が大量に必要であ
り、フィルムの均一性の点で問題がある。
【0009】特開平6−9801号公報には、7〜30
重量%の良溶媒を含むポリアミド酸のフィルムを酸無水
物とエーテル類及び/又はケトン類を含む化学環化剤に
浸漬してイミド化することにより、低温で効率よくイミ
ド化率を高めるポリイミドフィルムの製造方法が記載さ
れている。しかしこの方法では、ポリアミド酸のフィル
ムを化学環化剤に浸漬する際、フィルムとしての支持性
が低下し、浸漬処理中にフィルムが拡散し易く、フィル
ム形状を維持できなくなるという問題点を有しており、
ポリアミド酸のフィルムを化学環化剤に浸漬する前に、
乾燥させてポリアミド酸フィルム中の良溶媒の含有量を
制御する必要がある。
【0010】一方、(3)化学的環化法と熱的環化法を
併用する方法としては、ポリアミド酸の溶液に脱水縮合
剤と閉環触媒を直接添加して加熱、乾燥する方法があ
り、熱的環化法と比較してイミド化の効率がよく、得ら
れるポリイミドフィルムも優れた物性を有している。
【0011】問題点としては、脱水縮合剤とイミド化触
媒を含有するポリアミド酸の溶液は、閉環反応が進行す
るため、粘度が増大して最終的にはゲル化してしまい不
安定であるので、成形加工が可能な時間が制限されるこ
とである。そこで、これらの問題点を解決すべく種種の
検討がなされている。
【0012】例えば、少量で化学環化に有効な閉環触媒
を用いたポリアミド酸の化学閉環方法として、特開昭5
9−223726号公報、特開昭59−223727号
公報および特開昭60−15426号公報には、ポリア
ミド酸の有機溶媒溶液にアミン化合物とカルボン酸一無
水物との存在下、170℃以下で反応させ、ポリアミド
酸をイミド化する方法について記載されている。しか
し、閉環触媒が少量であれば、閉環反応は不十分であ
り、熱処理前のゲルフィルムフィルムのイミド化率は低
い値となっていおり、耐加水分解性は十分ではない。
【0013】また、特開昭61−200126号公報に
も、少量であってもポリイミド樹脂の性能向上に有効で
あり、成形可能な時間の延長化が可能であるポリイミド
樹脂の製造法として、ポリアミド酸と脱水縮合剤とをア
ミノピリジン誘導体をイミド化触媒として用いることを
特徴とするポリイミド樹脂の製造法が記載されている。
しかし、乾燥後得られたゲルフィルムは十分に閉環反応
が進行しておらず、熱処理時にポリアミド酸の加水分解
が発生している。
【0014】米国特許第3410828号公報にはポリ
アミド酸の溶液が記載されており、該溶液に脱水剤また
はアミン化合物を添加することが記載されている。アミ
ン化合物としてはピリジンなどの三級アミン化合物を用
い、脱水剤はポリアミド酸の官能基に対して等mol以
上、好ましくは1.5〜3倍mol使用され、三級アミ
ン化合物を脱水剤に対してゼロから無限量、最も一般的
には0.05〜1倍当量mol使用するのが好ましいと
記載されている。
【0015】パラフェニレンジアミンとピロメリット酸
とからなるポリアミド酸の化学環化方法の例としては、
特開昭61−181833号公報には、パラフェニレン
ジアミンとピロメリット酸とからなるポリアミド酸に脱
水縮合剤として無水酢酸を、閉環触媒としてイソキノリ
ンを添加したポリアミド酸溶液を作製し、該溶液をキャ
ストし乾燥・熱処理することでポリイミドフィルムを製
造する方法が記載されている。しかし、この方法で得ら
れたフィルムは脆くて物性を測定することすらできな
い。この原因としては、80℃より低い温度ではイミド
化は進行するが溶媒のしみ出しがあり、きれいな表面性
の成形物が得られないという理由から80℃以上で乾燥
を実施しており、イミド化反応とポリアミド酸の加水分
解反応が競争的に生じているということ、また脱水縮合
剤と閉環触媒の量が不十分であり乾燥後のゲルフィルム
を、アミド酸残基を有した状態で熱処理しているため熱
処理時にも加水分解が生じていることが考えられる。
【0016】上記、米国特許第3410828号公報に
も、パラフェニレンジアミンとピロメリット酸とからな
るポリアミド酸に脱水縮合剤として無水酢酸を、閉環触
媒としてイソキノリンを添加したポリアミド酸溶液を作
製し、該溶液をキャストし乾燥・熱処理することでポリ
イミドフィルムを製造しており、強靭なフィルムが得ら
れると記載されているが、十分な物性を有するものでは
ない。
【0017】特開平6−172529号公報では核置換
パラフエニレンジアミンとピロメリット酸無水物の反応
で得られたポリアミド酸溶液に無水酢酸を大量に添加し
たドープを流延し、低温で減圧化に乾燥したのち熱処理
することにより、ヤング率20.1GPaのフイルムが
得られることが記載されている。しかしこの方法は低温
で数時間の乾燥処理を必要とすることから工業的には非
現実的な技術であり、またこの技術をポリパラフエニレ
ンピロメリットイミドに適用した場合には機械測定すら
不可能な脆弱なフイルムしか得られないことが記載され
ていることから、その効果は限定されたものである。
【0018】このように、パラフェニレンジアミンとピ
ロメリット酸を主成分とするポリアミド酸の化学環化方
法としては、低温で行うことが好ましく、成形に用いる
ポリアミド酸組成物が、十分に成形可能な時間を確保で
き、低温で効率的にポリアミド酸を化学閉環できるポリ
イミド前駆体フィルムおよびそれを用いたポリイミドフ
ィルムの製造方法は知られていない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低温で効率
的にポリアミド酸を化学閉環することによりポリアミド
酸の加水分解性を抑制し、高度な機械特性および熱寸法
安定性を有するポリパラフェニレンピロメリットイミド
を主成分とするポリイミドフィルムを作製するためのポ
リイミド前駆体フィルムおよびそれを用いたポリイミド
フィルムの製造方法に関わるものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、低温で効率よく化
学閉環反応を行うことで得られたポリイミド前駆体フィ
ルムを用いることで、高度な機械的特性および熱寸法安
定性を有するポリパラフェニレンピロメリットイミドを
主成分とするポリイミドフィルムが得られることを見出
し、本発明に至った。すなわち、本願発明は、次の構成
を有する。 1.1)p−フエニレンジアミンが50mol%を超え
100mol%以下、下記一般式(I)
【0021】
【化2】
【0022】(RおよびR’はそれぞれH、CH3、C
l、およびBrのうちからそれぞれ独立に選ばれるもの
であり、かつ同時にHになることはない)で表される芳
香族ジアミン成分が0mol%以上50mol%未満か
らなる芳香族ジアミン成分と、ピロメリット酸が80m
ol%を超え100mol%以下、そしてピロメリット
酸とは異なる芳香族テトラカルボン酸成分が0mol%
以上20mol%未満からなるテトラカルボン酸成分か
ら実質的になるポリアミド酸と有機極性溶媒からなるポ
リアミド酸溶液を調整し; (2)上記ポリアミド酸溶液に−25〜10℃で無水酢
酸および有機アミン化合物とを混合し; (3)上記工程(2)で調製した溶液を支持体上に流延
することでキャストフイルムを形成し; (4)キャストフィルムを20〜80℃未満でポリアミ
ド酸の一部がポリイミドもしくはポリイソイミドに変換
されたゲル状フイルムを形成することを特徴とするポリ
イミド前駆体フィルムの製造方法。
【0023】2.工程(2)における混合温度が−20
〜0℃であることを特徴とする上記1記載のポリイミド
前駆体フィルムの製造方法。
【0024】3.工程(4)におけるゲル状フイルム形
成温度が30〜50℃であることを特徴とする上記1〜
2のいずれかに記載のポリイミド前駆体フィルムの製造
方法。
【0025】4.工程(1)のポリアミド酸の芳香族ジ
アミン成分について、p−フエニレンジアミンが80m
ol%を超え100mol%以下、上記一般式(I)で
表される芳香族ジアミン成分が0mol%以上20mo
l%未満であることを特徴とする上記1〜3のいずれか
に記載のポリイミド前駆体フィルムの製造方法。
【0026】5.工程(1)のポリアミド酸が、p−フ
エニレンジアミンが100mol%からなる芳香族ジア
ミン成分と、ピロメリット酸が100mol%からなる
テトラカルボン酸成分から実質的になることを特徴とす
る上記1〜3のいずれかに記載のポリイミド前駆体フィ
ルムの製造方法。
【0027】6.工程(2)における有機アミン化合物
がピリジンまたはピコリンであることを特徴とする上記
1〜5のいずれかに記載のポリイミド前駆体フィルムの
製造方法。
【0028】7.工程(2)における有機アミン化合物
がトリエチレンジアミンまたはジメチルアミノピリジン
であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の
ポリイミド前駆体フィルムの製造方法。
【0029】8.工程(4)におけるゲル状フイルムの
イミド基分率とイソイミド基分率が20%〜100%で
ある上記1〜7のいずれかに記載のポリイミド前駆体フ
ィルムの製造方法。
【0030】9.工程(4)で得られたゲル状フイルム
を支持体から分離し、必要に応じ洗浄した後、二軸延伸
し、熱処理に付して二軸配向ポリイミドフイルムを形成
することを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載のポ
リイミド前駆体フィルムからのポリイミドフイルムの製
造方法。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明のポリイミド前駆体フィル
ムおよびポリイミドフイルムを製造する方法を以下に詳
しく記載する。
【0032】本発明において、ポリアミド酸は、溶液中
での芳香族ジアミン成分と芳香族テトラカルボン酸成分
との反応から得られる。
【0033】ジアミン成分は、p−フェニレンジアミン
単独、あるいはp−フェニレンジアミンおよび下記一般
式(I)で表される芳香族ジアミン成分との組み合わせ
からなる。後者の組み合わせの場合、p−フェニレンジ
アミンは、全ジアミン成分に基づき、好ましくは50モ
ル%を超える割合すなわちそれとは異なる芳香族ジアミ
ンが50モル%未満からなり、さらに好ましくは80モ
ル%を超える割合すなわちそれとは異なる芳香族ジアミ
ンが20モル%未満からなる。
【0034】
【化3】
【0035】(RおよびR’はそれぞれH、CH3、C
l、およびBrのうちからそれぞれ独立に選ばれるもの
であり、かつ同時にHになることはない) 上記一般式(I)で表される芳香族ジアミン成分とし
て、芳香族ジアミン中の上記一般式(I)で示される核
置換p−フェニレンジアミンとしては、p−フェニレン
ジアミンにおける核芳香環がアルキル基又はハロゲン基
で置換されたモノ置換体、或いはジ置換体が挙げられ
る。好ましくは、2−置換体または2,5−ジ置換体で
ある。具体的には、2−メチル−p−フェニレンジアミ
ン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、2−
クロロ−p−フェニレンジアミン、2,5−ジクロロ−
p−フェニレンジアミン、2−ブロム−p−フェニレン
ジアミン、2,5−ジブロモ−p−フェニレンジアミン
等を挙げることが出来る。
【0036】テトラカルボン酸成分は、ピロメリット酸
二無水物単独からなるあるいはピロメリット酸二無水物
および上記のごときそれと異なる芳香族テトラカルボン
酸との組み合わせからなる。後者の組み合わせの場合、
ピロメリット酸二無水物は、全テトラカルボン酸成分に
基づき、好ましくは80モル%を超える割合すなわちそ
れとは異なる芳香族ジアミンが20モル%未満からな
る。
【0037】ピロメリット酸二無水物とは異なる芳香族
テトラカルボン酸成分として、3,3’,4,4’−ビ
フェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−
ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−
ピリジンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−
チオフェンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,
3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,
3’,3,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテト
ラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニ
ルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−p
−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,
3,3’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水
物、2,3,3’,4’−p−テルフェニルテトラカル
ボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカ
ルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラ
カルボン酸二無水物、1,2,6,7−ナフタレンテト
ラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテ
トラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレン
テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラ
センテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−アン
トラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,6,7−
フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,
7,8−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、
1,2,9,10−フェナンスレンテトラカルボン酸二
無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸
二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,
8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフ
タレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、
2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,
5,8−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−
テトラクロロナフタレン−2,3,6,7−テトラカル
ボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニ
ル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフ
ェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキ
シフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボ
キシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカル
ボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジ
カルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス
(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、
1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン
二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニ
ル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカル
ボキシフェニル)プロパン二無水物、2,6−ビス
(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ピリジン二無水
物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2
−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無
水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチル
シラン二無水物、等が挙げられる。
【0038】ポリアミド酸について、芳香族ジアミンが
p−フエニレンジアミン成分が100モル%であり、芳
香族テトラカルボン酸がピロメリット酸成分100モル
%であることが好ましい。
【0039】ポリアミド酸を得るためには有機溶媒中、
ジアミンの使用量が酸無水物のモル数に対する比として
好ましくは0.90〜1.10であり、より好ましくは
0.95〜1.05で反応させポリアミド酸とすること
が好ましい。
【0040】このポリアミド酸においてポリマーの末端
を封止することが好ましい。末端封止剤を用いて封止す
る場合、その末端封止剤としては無水フタル酸及びその
置換体、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びその置換体、無
水コハク酸及びその置換体、アミン成分としてはアニリ
ン及びその置換体が挙げられるがこれに限るものではな
い。
【0041】溶媒としては、N,N−ジメチルホルムア
ミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロ
リドンおよび1,3−ジメチルイミダゾリジノンが用い
られる。これらの溶媒は、単独であるいは2種以上組み
合わせて使用することができる。
【0042】工程(1)によれば、好ましくは、固形分
濃度1〜15重量%、より好ましくは3〜10重量%の
ポリアミド酸の溶液が調製される。
【0043】続いて、工程(2)において、ポリアミド
酸溶液に無水酢酸および有機アミン化合物とを混合す
る。工程(2)で使用される無水酢酸量は、ポリアミド
酸に対して0.5〜4モル倍量の範囲で使用される。無
水酢酸量が0.5モル倍量よりも少ない場合、次の工程
で得られるゲル体の閉環反応が不十分であり、また4モ
ル倍量よりも多い場合は、得られたポリアミド酸溶液の
ポットライフが短くなりプロセス上好ましくない。
【0044】本発明において工程(2)で使用される有
機アミン化合物は無水酢酸とポリアミド酸の反応触媒と
して働くものであり、トリエチルアミン、トリブチルア
ミン、ジイソプロピルエチルアミンといった三級脂肪族
アミン;N,N−ジメチルアニリン、1,8−ビス
(N,Nージメチルアミノ)ナフタレンの如き芳香族ア
ミン、ピリジンおよびその誘導体、ピコリンおよびその
誘導体、ルチジン、キノリン、イソキノリンの如き複素
環式化合物を用いることができる。この際有機アミン化
合物の無水酢酸に対する量としては特に規定するもので
はないが、0.5モル倍量より好ましくは1.0モル倍
量以上である。
【0045】また、トリエチレンジアミン、N,N−ジ
メチルアミノピリジンといった有機アミン化合物は、少
量で効率良くポリアミド酸の閉環反応を可能とすること
から好ましい。
【0046】ポリアミド酸溶液に無水酢酸および有機ア
ミン化合物を混合する温度は、−25〜10℃が好まし
く、さらに好ましくは−20〜0℃である。混合する温
度が−25℃よりも低い場合は、ドープ粘度が高粘度と
なり成形上好ましくない。混合する温度が10℃よりも
高い場合は、十分なポットライフが得られず、成形時間
の確保が困難となり好ましくない。
【0047】ポリアミド酸溶液に無水酢酸および有機ア
ミン化合物を添加する順序としては、特に限定されない
が、ポリアミド酸溶液に有機アミン化合物を添加して、
有機アミン化合物含有ポリアミド酸溶液に、無水酢酸を
添加する方法が好ましい。
【0048】ついで、工程(3)において、上記工程
(2)で調製した溶液を支持体上に流延することで無水
酢酸および有機アミン化合物含有ポリアミド酸のキャス
トフィルムを形成する。上記工程(2)で得られた無水
酢酸および有機アミン化合物含有ポリアミド酸溶液を支
持体上に流延するには、一般に知られている乾式成形方
法等のいかなる製膜方法を用いても良い。この製膜方法
としてはダイ押し出しによる工法、アプリケーターを用
いたキャスティング、コーターを用いる方法などが例示
される。ポリアミド酸の流延に際して支持体として金属
性のベルト、キャステイングドラムなどを用いることが
できる。またポリエステルやポリプロピレンのような有
機高分子フイルム上にすることもできる。これらの工程
は低湿度雰囲気下で行うことが好ましい。また、流延す
る温度は、閉環反応を抑制するため低温で行う必要があ
り、ポリアミド酸に無水酢酸および有機アミン化合物を
混合する温度と同じ温度で行うことが好ましい。
【0049】本発明において、工程(2)で得られた無
水酢酸および有機アミン化合物含有ポリアミド酸溶液
は、室温付近またはそれ以上の温度で急激に反応してポ
リアミド酸からポリイミドもしくはポリイソイミドに転
化する。よって、流延したフィルムをゲル化させる温度
としては、20℃以上であり、温度を上げることにより
ゲル化速度を速めることができ、20〜80℃未満の温
度範囲が好ましく使用することができる。さらに好まし
くは30〜50℃温度範囲で行う。ゲル化温度が、80
℃以上だとポリアミド酸の閉環反応を促進するだけでな
く、ポリアミド酸の加水分解速度も促進する。特にポリ
パラフェニレンピロメリットイミドを主成分とするポリ
イミドは、加水分解を受けやすく、この温度範囲が重要
である。
【0050】本発明において流延したフィルムをゲル化
させる方法として、流延したフィルムの上にカバーフィ
ルムをおいて、ゲル化させることもできる。この方法を
用いることにより、無水酢酸および有機アミン化合物の
揮発抑制効果があり、閉環反応を促進させることができ
る。カバーフィルムとしては、無水酢酸および有機アミ
ン化合物含有ポリアミック酸溶液に溶解せず、ゲル化温
度範囲の耐熱性を有するものであれば使用することがで
きる。具体的な例としては、PETフィルム、PPフィ
ルムが挙げられる。
【0051】工程(4)において、ゲル状フイルムのイ
ミド基分率とイソイミド基分率が20%〜100%であ
るとき高い延伸倍率が得られ好ましい。さらにアミド酸
残基が存在しないことがより好ましい。アミド酸残基が
残存していることで、加水分解を生じ物性低下を引き起
こす。
【0052】工程(4)で得られた未延伸ゲル状フィル
ムを支持体から分離したのち二軸延伸に付すことでさら
に機械的強度および熱寸法安定性を向上することができ
る。
【0053】二軸延伸は、未延伸フィルムを支持体から
分離したのち、洗浄してから行っても、未洗浄のまま行
ってもよい。洗浄には、例えば工程(1)で用いられた
溶媒と同様の溶媒が用いられる。
【0054】延伸方法は、一般に知られているいかなる
方法を用いても良い。二軸延伸においては同時及び逐次
延伸のいずれを用いても良い。また延伸は溶剤中、空気
中、不活性雰囲気中、また低温加熱した状態でも良い。
延伸の際の温度としては特に限定するものではないが、
溶剤が揮発し延伸性が低下しない程度であればよい。
【0055】上記ゲル状フィルムを定長ないし緊張下に
熱処理することで、ポリイミドフィルムを得ることがで
きる。
【0056】熱処理温度としては、300〜550℃の
温度で実施することにより95%を超えるイミド化率の
配向緩和を抑制して実現しうることから好ましい。熱処
理方法としては熱風加熱、真空加熱、赤外線加熱、マイ
クロ波加熱の他、熱板、ホットロールを用いた接触によ
る加熱などが例示できるがこれに限定されるものではな
い。この際段階的に温度を上げることでイミド化を進行
させることが好ましい。
【0057】p−フエニレンジアミン成分が100モル
%からなるジアミン成分と、ピロメリット酸二無水物成
分100モル%からなる芳香族テトラカルボン酸成分か
らなるポリアミド酸から得られるポリイミドであると
き、より好ましくヤング率および高い熱寸法安定性が発
現する。
【0058】本発明のポリイミドフイルムのポリイミド
のイミド基分率は95%以上がこのましい。イミド基分
率が95%以下ではポリイミドフイルムの耐加水分解性
が低下する。
【0059】イミド基分率とはジアミン成分のアミノ基
の窒素原子に対する、イミド基の窒素原子の割合(モル
%)をいう。
【0060】
【実施例】以下、実施例により本発明方法をさらに詳し
く具体的に説明する。ただしこれらの実施例は本発明の
範囲が限定されるものではない。
【0061】なおポリアミド酸の対数粘度は、NMP
(N−メチル−2−ピロリドン)中ポリマー濃度0.5
g/100ml、35℃で測定したものである。
【0062】また強伸度測定は50mmX10mmのサ
ンプルを用い、引張り速度5mm/minで行いオリエ
ンテックUCT−1Tによって測定を行ったものであ
る。
【0063】行いオリエンテックUCT−1Tによって
測定を行ったものである。イソイミド基分率およびイミ
ド基分率は、フーリエ変換赤外分光計(Nicolet
Magna 750)を使用し、反射法により測定し
たピーク強度比から以下のように決定した。
【0064】(イミド化率)=(A1370/A1515)/
(A0 1370/A0 1515)x100 A1370:サンプルの1370cm−1イミド結合由来ピ
ークの吸収強度 A1515:サンプルの1515cm−1ベンゼン環由来ピ
ークの吸収強度 A0 1370:450℃熱処理フィルムの1370cm−1
イミド結合由来ピークの吸収強度 A0 1515:450℃熱処理フィルムの1515cm−1
ベンゼン環由来ピークの吸収強度 (イソイミド化率)=(A920/A1515)/(A0 920
0 1515)x100 A920:サンプルの920cm−1イソイミド結合由来
ピークの吸収強度 A1515:サンプルの1515cm−1ベンゼン環由来ピ
ークの吸収強度 A0 920:イソイミドフィルムの920cm−1イミド
結合由来ピークの吸収強度 A0 1515:イソイミドフィルムの1515cm−1ベン
ゼン環由来ピークの吸収強度
【0065】[実施例1] (ア)ポリアミド酸溶液の作製 温度計・撹拌装置および原料投入口を備えた反応容器
に、窒素雰囲気下モレキュラーシーブスで脱水したN−
メチル−2−ピロリドン800mLを入れ、さらにパラ
フェニルジアミン11.9gを加えて完全に溶解した
後、氷浴下0℃まで冷却した。この冷却したジアミン溶
液に無水ピロメリット酸24.1gを添加し反応せしめ
た。反応温度は氷浴下で25℃まで上昇し、氷浴下さら
に一時間反応させた。さらに室温下2時間反応させたの
ちアニリン0.011gを添加しさらに30分反応させ
た。反応終了後窒素雰囲気下で濾過後、脱泡してポリア
ミド酸溶液を得た。この溶液の対数粘度は14.1であ
り最終的なポリマー濃度は4重量%となった。
【0066】(イ)脱水縮合剤と閉環触媒の混合 温度計・攪拌装置および原料投入口を備えた反応容器
に、窒素雰囲気下、上記のポリアミド酸溶液を150g
投入した。続いて、ポリアミド酸に対してピリジンをポ
リアミド酸に対して4倍当量になるように添加し1時間
攪拌した。次に得られたアミン含有ポリアミド酸溶液を
−10℃まで冷却した後、無水酢酸をポリアミド酸に対
して4倍当量になるように除除に添加、30分攪拌する
ことでポリアミド酸組成物を得た。
【0067】(ウ)ポリイミド前駆体フィルムの製造 (イ)で調整したポリアミド酸組成物を−5℃、クリア
ランス1.5mmでキャストした後、50℃で30分加
温することで自己支持性を有するゲル状のポリイミド前
駆体フィルムを作製した。ポリイミド前駆体フィルム
は、IRではアミド酸残基のピークは観察されず、イミ
ド基分率70%、イソイミド基分率30%であった。こ
のゲルフィルムをNMPに室温下15分浸漬させた後、
フィルムをチャックで固定し直交する二方向にそれぞれ
1.7倍の倍率で同時二軸延伸した。延伸後のフイルム
は枠固定した後200℃で乾燥した。さらに450℃1
0分熱処理イミド化を行い、ポリパラフェニレンピロメ
リットイミドフィルムを得た。得られたポリパラフェニ
レンピロメリットイミドフィルムの厚みは10μm、引
張り弾性率は直交する延伸方向について17.3GP
a、および17.5GPa、引張り強度はそれぞれ0.
37GPaおよび0.39Gpa、伸度はそれぞれ3.
5%および4.1%であった。
【0068】[比較例1]ゲル化温度を90℃にした以
外は、実施例1と同様にポリパラフェニレンピロメリッ
トイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルム
の厚みは10μm、伸度は縦0.9%、横0.8%であ
り、得られたフィルムは非常に脆く手のひらで揉むと割
れてしまった。
【0069】
【発明の効果】本発明の方法を用いることで、低温で効
率的にポリアミド酸の閉環反応を行うことで加水分解を
抑制したポリイミド前駆体フィルムを得ることできる。
このポリイミド前駆体フィルムを用いて高度な機械的特
性および熱寸法安定性を有するポリパラフェニレンピロ
メリットイミドを主成分とするポリイミドフィルムを得
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 79:08 C08L 79:08 A (72)発明者 石渡 豊明 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 (72)発明者 定延 治朗 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 Fターム(参考) 4F071 AA60 BA02 BB02 BC01 4F205 AA40 AG01 GA07 GB02 GC02 GC07 GE24 GN13 GN29 GW05 GW21 GW31 4J043 PA02 PA04 QB31 RA34 SA06 SB01 SB02 TA14 TB01 TB03 UA121 UA122 XB14 XB27 XB33 XB40 YA13 YA28 YA29

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)p−フエニレンジアミンが50m
    ol%を超え100mol%以下、下記一般式(I) 【化1】 (RおよびR’はそれぞれH、CH3、Cl、およびB
    rのうちからそれぞれ独立に選ばれるものであり、かつ
    同時にHになることはない)で表される芳香族ジアミン
    成分が0mol%以上50mol%未満からなる芳香族
    ジアミン成分と、ピロメリット酸が80mol%を超え
    100mol%以下、そしてピロメリット酸とは異なる
    芳香族テトラカルボン酸成分が0mol%以上20mo
    l%未満からなるテトラカルボン酸成分から実質的にな
    るポリアミド酸と有機極性溶媒からなるポリアミド酸溶
    液を調整し; (2)上記ポリアミド酸溶液に−25〜10℃で無水酢
    酸および有機アミン化合物とを混合し; (3)上記工程(2)で調製した溶液を支持体上に流延
    することでキャストフイルムを形成し; (4)キャストフィルムを20〜80℃未満でポリアミ
    ド酸の一部がポリイミドもしくはポリイソイミドに変換
    されたゲル状フイルムを形成することを特徴とするポリ
    イミド前駆体フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 工程(2)における混合温度が−20〜
    0℃であることを特徴とする請求項1記載のポリイミド
    前駆体フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 工程(4)におけるゲル状フイルム形成
    温度が30〜50℃であることを特徴とする請求項1〜
    2のいずれかに記載のポリイミド前駆体フィルムの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 工程(1)のポリアミド酸の芳香族ジア
    ミン成分について、p−フエニレンジアミンが80mo
    l%を超え100mol%以下、上記一般式(I)で表
    される芳香族ジアミン成分が0mol%以上20mol
    %未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載のポリイミド前駆体フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 工程(1)のポリアミド酸が、p−フエ
    ニレンジアミンが100mol%からなる芳香族ジアミ
    ン成分と、ピロメリット酸が100mol%からなるテ
    トラカルボン酸成分から実質的になることを特徴とする
    請求項1〜3のいずれかに記載のポリイミド前駆体フィ
    ルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 工程(2)における有機アミン化合物が
    ピリジンまたはピコリンであることを特徴とする請求項
    1〜5のいずれかに記載のポリイミド前駆体フィルムの
    製造方法。
  7. 【請求項7】 工程(2)における有機アミン化合物が
    トリエチレンジアミンまたはジメチルアミノピリジンで
    あることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の
    ポリイミド前駆体フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 工程(4)におけるゲル状フイルムのイ
    ミド基分率とイソイミド基分率が20%〜100%であ
    る請求項1〜7のいずれかに記載のポリイミド前駆体フ
    ィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 工程(4)で得られたゲル状フイルムを
    支持体から分離し、必要に応じ洗浄した後、二軸延伸
    し、熱処理に付して二軸配向ポリイミドフイルムを形成
    することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の
    ポリイミド前駆体フィルムからのポリイミドフイルムの
    製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115490855A (zh) * 2022-09-19 2022-12-20 浙江中科玖源新材料有限公司 一种聚酰亚胺前体和聚酰亚胺薄膜

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