JP2003292777A - ポリアミド酸溶液およびその製造方法 - Google Patents

ポリアミド酸溶液およびその製造方法

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JP2003292777A
JP2003292777A JP2002101022A JP2002101022A JP2003292777A JP 2003292777 A JP2003292777 A JP 2003292777A JP 2002101022 A JP2002101022 A JP 2002101022A JP 2002101022 A JP2002101022 A JP 2002101022A JP 2003292777 A JP2003292777 A JP 2003292777A
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Susumu Honda
勧 本多
Jirou Sadanobu
治朗 定延
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パラフェニレンピロメリットイミドを主たる
繰り返し単位とするポリアミド酸を低温で化学閉環する
方法において、成形可能な時間を確保でき、低温で効率
的な化学閉環を可能にするポリアミド酸と脱水縮合剤と
有機アミン化合物を含有するポリアミド酸溶液及びその
製造方法を提供すること。 【解決手段】 有機アミン化合物としてトリエチレンジ
ミンを使用することで、成形時間を確保でき低温で効率
的な化学閉環可能とするポリアミド酸溶液を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ピロメリット酸と
パラフェニレンジアミンから実質的になるポリアミド酸
の有機極性溶媒溶液、脱水縮合剤、およびトリエチレン
ジアミンを主成分とするポリアミド酸溶液、およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリイミドはその高い耐熱性や機械的物
性から幅広く開発が成されている。とりわけ全芳香族ポ
リイミドはその剛直構造から特に高い耐熱性や機械的物
性を発揮することが期待されている。
【0003】しかしながら、全芳香族ポリイミドは不融
不溶であることから、ポリイミドの状態での成形加工が
困難である。
【0004】そこでこの問題を回避するために、当該ポ
リイミドの前駆体の段階での成形加工、すなわちジアミ
ン成分と酸無水物との反応生成物であるポリアミド酸の
状態で成形または配向操作を行った後、イミド化してポ
リイミドフィルムを得る方法が行なわれている。
【0005】一般的にポリアミド酸をイミド化する方法
として、(1)加熱により脱水する熱的環化法、(2)
脱水縮合剤とイミド化触媒を用いる化学的環化法および
(3)化学的環化法と熱的環化法を併用する方法が知ら
れている。
【0006】(1)熱的環化法はイミド化の効率が悪
く、加熱時にポリアミド酸の加水分解による物性低下を
引き起こす可能性がある。特に対称性の高い完全剛直系
ポリイミドの前駆体であるパラフェニレンジアミンとピ
ロメリット酸とからなるポリアミド酸は加水分解を受け
やすく、熱的環化法により得られたポリイミドフィルム
は脆弱で実用に耐えうるフィルムは得られていない。
【0007】(2)化学的環化法としては、特開平1−
282219号公報、特開平5−78503号公報およ
び特開平6−9801号公報に記載されているように、
ポリアミド酸の溶液をキャストした後、ポリアミド酸キ
ャストフィルムを脱水縮合剤と閉環触媒を含有する化学
環化剤に浸漬して、乾燥する方法が知られている。しか
し、脱水縮合剤と閉環触媒の含有量が大量に必要であ
り、フィルムの均一性の点で問題がある。
【0008】一方、(3)化学的環化法と熱的環化法を
併用する方法としては、ポリアミド酸の溶液に脱水縮合
剤と閉環触媒を直接添加して加熱、乾燥する方法があ
り、熱的環化法と比較してイミド化の効率がよく、得ら
れるポリイミドフィルムも優れた物性を有している。
【0009】問題点としては、脱水縮合剤とイミド化触
媒を含有するポリアミド酸の溶液は、閉環反応が進行す
るため、粘度が増大して最終的にはゲル化してしまい不
安定であるので、成形加工が可能な時間が制限されるこ
とである。そこで、これらの問題点を解決すべく種種の
検討がなされている。
【0010】例えば、少量で化学環化に有効な閉環触媒
を用いたポリアミド酸の化学閉環方法として、特開昭5
9−223726号公報、特開昭59−223727号
公報および特開昭60−15426号公報には、ポリア
ミド酸の有機溶媒溶液にアミン化合物とカルボン酸一無
水物との存在下、170℃以下で反応させ、ポリアミド
酸をイミド化する方法について記載されている。しか
し、閉環触媒が少量であれば、閉環反応は不十分であ
り、熱処理前のゲルフィルムフィルムのイミド化率は低
い値となっている。
【0011】また、特開昭61−200126号公報に
も、ポリアミド酸と脱水縮合剤とをアミノピリジン誘導
体をイミド化触媒として用いることを特徴とするポリイ
ミド樹脂の製造法が記載されている。しかし、用いられ
ている閉環触媒のコストが高く、また、乾燥後得られた
ゲルフィルムは十分に閉環反応が進行しておらず、熱処
理時にポリアミド酸の加水分解が発生している。
【0012】米国特許第3410828号公報にはポリ
アミド酸の溶液が記載されており、該溶液に脱水剤また
はアミン化合物を添加することが記載されている。アミ
ン化合物としてはピリジンなどの三級アミン化合物を用
い、脱水剤はポリアミド酸の官能基に対して等mol以
上、好ましくは1.5〜3倍mol使用され、三級アミ
ン化合物を脱水剤に対してゼロから無限量、最も一般的
には0.05〜1倍当量使用するのが好ましいと記載さ
れている。またアミン化合物としてトリエチレンジアミ
ンは一層活性が高く、したがって使用量も少ないことが
記載されている。ポリアミド酸の閉環反応に必要なトリ
エチレンジアミンの具体的な量、具体的な使用方法は記
載されていない。
【0013】パラフェニレンジアミンとピロメリット酸
とからなるポリアミド酸の化学環化方法の例としては、
特開昭61−181833号公報には、パラフェニレン
ジアミンとピロメリット酸とからなるポリアミド酸に脱
水縮合剤として無水酢酸を、また閉環触媒としてイソキ
ノリンを添加したポリアミド酸溶液を作製し、該溶液を
キャストし乾燥・熱処理することでポリイミドフィルム
を製造する方法が記載されている。しかし、この方法で
得られたフィルムは脆くて物性を測定することすらでき
ない。この原因としては、80℃より低い温度ではイミ
ド化は進行するが溶媒のしみ出しがあり、きれいな表面
性の成形物が得られないという理由から80℃以上で乾
燥を実施しており、イミド化反応とポリアミド酸の加水
分解反応が競争的に生じているということ、また脱水縮
合剤と閉環触媒の量が不十分であり乾燥後のゲルフィル
ムを、アミド酸残基を有した状態で熱処理しているため
熱処理時にも加水分解が生じていることが考えられる。
【0014】このように、パラフェニレンジアミンとピ
ロメリット酸を主成分とするポリアミド酸の化学環化方
法としては、低温で行うことが好ましく、成形に用いる
ポリアミド酸溶液が、十分に成形可能な時間を確保で
き、低温で効率的にポリアミド酸を化学閉環できるポリ
アミド酸溶液は知られていない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
事情に鑑みなされたもので、ポリアミド酸を低温で化学
閉環反応を効率よく行うことができるとともに、十分に
成形可能な時間を確保できるポリアミド酸溶液、及びこ
のポリアミド酸溶液を製造する方法を提供することであ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、閉環触媒としてト
リエチレンジアミンを用いることで、成形可能な時間を
確保でき、低温で効率よく化学閉環反応を行えるポリア
ミド酸溶液が得られることを見出し、本願発明に至っ
た。
【0017】すなわち、本願発明は、次の構成を有す
る。
【0018】1.p−フエニレンジアミンが80mol
%を超え100mol%以下、そしてp−フエニレンジ
アミンとは異なる芳香族ジアミン成分が0mol%以上
20mol%未満からなるジアミン成分と、ピロメリッ
ト酸が80mol%を超え、そしてピロメリット酸とは
異なる芳香族テトラカルボン酸成分が0mol%以上2
0mol%未満からなるテトラカルボン酸成分から実質
的になるポリアミド酸の有機極性溶媒溶液、脱水縮合
剤、およびポリアミド酸のアミド酸単位に対して0.0
05〜0.075倍当量のトリエチレンジアミンからな
るポリアミド酸溶液。
【0019】2.ポリアミド酸が、p−フエニレンジア
ミン成分が100mol%からなるジアミン成分と、ピ
ロメリット酸成分100mol%からなる芳香族テトラ
カルボン酸成分から得られたポリアミド酸であることを
特徴とする上記1に記載のポリアミド酸溶液。
【0020】3.トリエチレンジアミンを含有するポリ
アミド酸溶液に−25〜10℃で、脱水縮合剤を混合
し、−25〜10℃の温度で保存することを特徴とする
上記1および2のいずれかに記載のポリアミド酸溶液の
製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を以下に詳細
に説明する。
【0022】本発明において、ポリアミド酸溶液とは、
上述したように脱水縮合剤と有機アミン化合物としてト
リエチレンジアミンを含有するものである。
【0023】本発明において、ポリアミド酸は、溶液中
での芳香族ジアミン成分と芳香族テトラカルボン酸成分
との反応から得られる。本願発明において使用される芳
香族ジアミン成分はp−フェニレンジアミンおよびそれ
とは異なる芳香族ジアミンである。
【0024】p−フェニレンジアミンと異なる芳香族ジ
アミン成分としては、例えばm−フェニレンジアミン、
1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタ
レン、1,8−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノ
ナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、2,6−ジ
アミノアントラセン、2,7−ジアミノアントラセン、
1,8−ジアミノアントラセン、2,4−ジアミノトル
エン、2,5−ジアミノ(m−キシレン)、2,5−ジ
アミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,5−
ジアミノピリジン、2,4−ジアミノトルエンベンジジ
ン、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロ
ロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,
3’−ジメトキシベンジジン、2,2’−ジアミノベン
ゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,
3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミ
ノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニル
エーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,
4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ
ジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスル
ホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,
3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジア
ミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェ
ニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルチオエ
ーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テ
トラメチルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−
3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルエーテ
ル、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラ
メチルジフェニルメタン、1,3−ビス(3−アミノフ
ェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノ
キシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキ
シ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)
ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリ
ジン、1,4−ビス(3−アミノフェニルスルホニル)
ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルホニ
ル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニルチオ
エーテル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニ
ルチオエーテル)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミ
ノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ビス
(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、ビス
(4−アミノフェニル)アミンビス(4−アミノフェニ
ル)−N−メチルアミンビス(4−アミノフェニル)−
N−フェニルアミンビス(4−アミノフェニル)ホスフ
ィンオキシド、1,1−ビス(3−アミノフェニル)エ
タン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)エタン、
2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2
−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、
ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホ
ン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ス
ルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル]メタン、ビス[3−メチル−4−(4−アミノ
フェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−クロロ−4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス
[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3−メチル
−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、
1,1−ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル]エタン、1,1−ビス[3,5−ジメチ
ル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル]プロパン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−
アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス
[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2
−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタ
ン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3,5−ジ
メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタ
ン、2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(4−アミ
ノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−アミノフ
ェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフ
ルオロ−2,2−ビス[3−メチル−4−(4−アミノ
フェノキシ)フェニル]プロパン等およびそれらのハロ
ゲン原子あるいはアルキル基による芳香核置換体が挙げ
られる。
【0025】ジアミン成分は、p−フェニレンジアミン
単独からなるかあるいはp−フェニレンジアミンおよび
上記の如きそれと異なる芳香族ジアミンとの組合せから
なる。後者の組合せの場合、p−フェニレンジアミン
は、全ジアミン成分に基づき、80mol%を超える割
合、好ましくは95mol%を超える割合すなわちそれ
と異なる芳香族ジアミンが20mol%未満、好ましく
は5mol%未満からなる。
【0026】また、ポリアミド酸を構成するテトラカル
ボン酸成分は、ピロメリット酸およびそれと異なる芳香
族テトラカルボン酸である。
【0027】ピロメリット酸と異なる芳香族テトラカル
ボン酸成分としては、例えば1,2,3,4−ベンゼン
テトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジン
テトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−チオフェ
ンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,
3,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸
二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテト
ラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニ
ルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−p
−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,
3,3’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水
物、2,3,3’,4’−p−テルフェニルテトラカル
ボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカ
ルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラ
カルボン酸二無水物、1,2,6,7−ナフタレンテト
ラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテ
トラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレン
テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラ
センテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−アン
トラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,6,7−
フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,
7,8−フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、
1,2,9,10−フェナンスレンテトラカルボン酸二
無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸
二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,
8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフ
タレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、
2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,
5,8−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−
テトラクロロナフタレン−2,3,6,7−テトラカル
ボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニ
ル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフ
ェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキ
シフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボ
キシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカル
ボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジ
カルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス
(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、
1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン
二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニ
ル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカル
ボキシフェニル)プロパン二無水物、2,6−ビス
(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ピリジン二無水
物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2
−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無
水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチル
シラン二無水物等が挙げられる。
【0028】テトラカルボン酸成分は、ピロメリット酸
単独からなるか、あるいはピロメリット酸および上記の
如きそれと異なる芳香族テトラカルボン酸との組合せか
らなる。後者の組合せの場合、ピロメリット酸は、全テ
トラカルボン酸成分に基づき、80mol%を超える割
合、好ましくは95mol%を超える割合すなわちそれ
と異なる芳香族テトラカルボン酸が20mol%未満、
好ましくは5mol%未満からなる。
【0029】またポリアミド酸を重合する際の溶媒とし
ては、ポリアミド酸を溶解し、縮合剤と反応しない溶媒
であれば良い。具体的に例としては、N,N−ジメチル
ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メ
チル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド、
1,3−ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチルウレ
ア、1,3−ジプロピルイミダゾリジノン、N−メチル
カプロラクタム、ジメチルスルホキシド等が挙げられ
る。ポリアミド酸は水分により加水分解を起こすので、
該溶媒は脱水されていることが望ましい。
【0030】本発明におけるポリアミド酸溶液のポリマ
ー濃度は1〜15重量%、より好ましくは3〜10重量
%が好ましい。
【0031】また、ポリアミド酸を製造する際、これら
のジアミン成分と酸無水物成分は、ジアミン成分対酸無
水物成分のモル比として好ましくは0.90〜1.1
0、より好ましくは0.95〜1.05で、用いること
が好ましい。
【0032】このポリアミド酸の末端は封止されること
が好ましい。末端封止剤を用いて封止する場合、その末
端封止剤としては、例えば無水フタル酸およびその置換
体、ヘキサヒドロ無水フタル酸およびその置換体、無水
コハク酸およびその置換体、アミン成分としてはアニリ
ンおよびその置換体が挙げられる。
【0033】本発明において脱水縮合剤としては、無水
酢酸、無水プロピオン酸、無水吉草酸、無水安息香酸、
トリフルオロ酢酸二無水物のごとき酸無水物が縮合剤と
して挙げられ、特に無水酢酸が好ましい。脱水縮合剤の
添加量は、特に限定されないがポリアミド酸のアミド酸
単位1mol以上、好ましくは2mol以上である。
【0034】本発明において閉環触媒としては、トリエ
チレンジアミンを使用する。トリエチレンジアミンを閉
環触媒とすることにより、低温で効率的に閉環反応を進
行させ、アミド酸残基がなく、加水分解に対する耐性の
高いゲルフィルムを与えることができる。
【0035】トリエチレンジアミンの添加量は、ポリア
ミド酸のアミド酸単位1molに対して0.005〜
0.075倍当量、好ましくは0.01〜0.075倍
当量の範囲とすることがよい。添加量が0.005mo
lより少ないと、触媒としての効果が十分ではない。ま
た、0.075molよりも多いと十分な成形時間を確
保できないことから好ましくはない。
【0036】本発明において、ポリアミド酸と脱水縮合
剤およびトリエチレンジアミンとを混合してポリアミド
酸溶液を調整する際の添加順序は、トリエチレンジアミ
ンが固体であるため、予めポリアミド酸の重合に用いた
溶媒に溶解させた溶解の状態で添加し、均一になるまで
攪拌し、続いて脱水縮合剤を添加して均一に混合する方
法が好ましい。
【0037】ポリアミド酸にトリエチレンジアミンを添
加する温度は、ポリアミド酸が分解しない温度であれば
特に限定されないが、トリエチレンジアミン含有ポリア
ミド酸溶液に脱水縮合剤を添加する温度としては−20
〜30℃で添加し、混合することが好ましい。
【0038】トリエチレンジアミンを含有するポリアミ
ド酸に脱水縮合剤を添加する温度としては、−25〜1
0℃であることが好ましく、さらに好ましくは−25〜
0℃である。−25℃よりも低い温度だと粘度が高くな
りすぎて、成形性が悪くなる。10℃よりも高い温度だ
と、成形可能な時間が短くなり好ましくない。
【0039】ポリアミド酸溶液を用いて成形を行うまで
は、脱水縮合剤を添加した温度に保持して、ポリアミド
酸溶液を保存することが好ましく、成形可能な時間内に
成形を行う必要がある。
【0040】前述の方法で調整したポリアミド酸溶液を
支持体上に流延して得られたフィルムを加熱することに
よってアミド酸残基のないポリイミド前駆体ゲルフィル
ムを得ることができる。
【0041】ポリアミド酸溶液を支持体上に流延するに
は、一般に知られている湿式ならびに乾湿式成形方法等
のいかなる製膜方法を用いてもよい。この製膜方法とし
てはダイ押し出しによる工法、アプリケーターを用いた
キャスティング、コーターを用いる方法などが例示され
る。ポリアミド酸の流延に際して支持体として金属性の
ベルト、キャステイングドラムなどを用いることができ
る。またポリエステルやポリプロピレンのような有機高
分子フィルム上に流延しそのまま縮合剤溶液に導入する
こともできる。これらの工程は低湿度雰囲気下で実施す
ることが好ましい。
【0042】ポリアミド酸溶液をキャストしたフィルム
を加熱する温度は、ポリアミド゛酸の加水分解を抑制す
るため80℃未満が好ましく、80℃未満という低温に
おいても上述したポリアミド酸溶液は、効率よく閉環反
応が進行する。
【0043】上記の方法を用いた、ポリアミド酸と脱水
縮合剤および閉環触媒との反応の結果得られたゲルフィ
ルムは、アミド酸残基を含有せず、イソイミド基とイミ
ド基の共重合体であるため、乾燥および熱処理時の加水
分解を抑制することができる。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明は、これらの実施例によって限定されるものではな
い。
【0045】[ポリアミド酸の対数粘度の測定]ポリア
ミド酸の対数粘度は、NMP(N−メチル−2−ピロリ
ドン)中ポリマー濃度0.5g/100ml、30℃で
測定したものである。
【0046】[ポリアミド酸溶液のゲル化時間測定]ポ
リアミド酸溶液のゲル化時間は、B型粘度計を用いて見
かけ粘度を測定し、ポリアミド酸に脱水縮合剤および有
機アミン化合物のうちいずれか最後に添加された時点を
ゼロとし、急激な粘度上昇が起こった時間をゲル化時間
として測定した。
【0047】[イミド基分率、イソイミド基分率の測
定]イミド基、イソイミド基分率測定は、フーリエ変換
赤外分光計(Nicolet Magna 750)を
使用し、反射法により測定を実施し以下の式により算出
した。
【0048】(イミド基分率)=(A1370/A1515)/
(A0 1370/A0 1515)×100 A1370:サンプルの1370cm-1イミド結合由来ピー
クの吸収強度 A1515:サンプルの1515cm-1ベンゼン環由来ピー
クの吸収強度 A0 1370:450℃熱処理フィルムの1370cm-1
イミド結合由来ピークの吸収強度 A0 1515:450℃熱処理フィルムの1515cm-1
ベンゼン環由来ピークの吸収強度 450℃熱処理フィルムとはポリイミド前駆体フィルム
を乾燥、450℃で熱処理した後に得られたフィルムの
ことであり、実施例における測定値はこの熱処理後のフ
ィルムに基づく測定値である。
【0049】アミド酸残基の確認:サンプルの1635
cm-1および3400cm-1のアミド酸由来ピークの吸
収の有無を確認した。
【0050】イソイミド残基:アミド酸残基がないこと
を確認したうえで、以下の式を用いて算出した。 (イソイミド分率)=100−(イミド基分率)
【0051】[実施例1] (ア)ポリアミド酸溶液の作製 温度計・攪拌装置および原料投入口を備えた反応容器
に、窒素雰囲気下モレキュラーシーブスで脱水したN−
メチル−2−ピロリドン800mlを入れ、さらにパラ
フェニレンジアミン11.9gを加えて完全に溶解した
後、氷浴下0℃まで冷却した。この冷却したジアミン溶
液に無水ピロメリット酸24.1gを添加しさらに反応
させた。反応終了後窒素雰囲気下で濾過後、脱泡してポ
リアミド酸溶液を得た。この溶液の対数粘度は14.1
であり最終的なポリマー濃度は4重量%となった。
【0052】(イ)ポリアミド酸溶液の作製 温度計・攪拌装置および原料投入口を備えた反応容器
に、窒素雰囲気下、上記のポリアミド酸溶液を150g
投入した。続いて、NMPに溶解したトリエチレンジア
ミン溶液を除除に添加し、4時間攪拌した。(ポリマー
濃度:3.7重量%、ポリアミド酸/トリエチレンジア
ミン=1/0.05(mol/mol))得られたアミ
ン含有ポリアミド酸溶液を0℃まで冷却した後、無水酢
酸をポリアミド酸に対して4倍当量になるように除除に
添加、30分攪拌することでポリアミド酸溶液を得た。
得られたポリアミド酸溶液の0℃におけるゲル化時間は
2時間であった。
【0053】(ウ)ポリアミド酸の化学閉環 (イ)で製造したポリアミド酸溶液を、ゲル化時間内に
室温でドクターナイフ600μmを用いてPETフィル
ム上にキャストした。得られたフィルムを40℃で30
分加温することで、自己支持性のあるゲルフィルムを得
た。得られたゲルフィルムをトルエンで30分洗浄した
後、金枠に固定して50℃で減圧することで厚み20μ
のフィルムを得た。得られたフィルムは、残存アミド酸
基のピークは観測されず、イミド基分率は80%、イソ
イミド分率は20%であった。
【0054】[比較例1]実施例1で使用したトリエチ
レンジアミンのかわりにピリジン(ポリアミド酸/ピリ
ジン=1/1(mol/mol))を使用してポリアミ
ド酸溶液を調整した。ゲル化時間。また、実施例1と同
様にポリアミド酸を化学閉環してゲルフィルムを作製し
た。得られたフィルムは、残存アミド酸基のピークは観
測されず、イミド基分率は75%、イソイミド分率は2
5%であった。
【0055】[比較例2]実施例1で使用したトリエチ
レンジアミンのかわりにピリジン(ポリアミド酸/ピリ
ジン=1/0.05(mol/mol))を使用してポ
リアミド酸溶液を調整し、ポリアミド酸を化学閉環して
ゲルフィルムを作製した。得られたフィルムは、明らか
にアミド酸基を残存しており、イミド基分率は15%で
あった。
【0056】
【発明の効果】本発明のポリアミド酸溶液は、十分な成
形可能時間を有し、低温で効率的にポリアミド酸の閉環
反応を実施することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CM041 EF126 EU137 FD157 FD206 HA05 4J043 PA02 PA04 PA19 PB08 PB15 PC015 PC115 PC135 PC145 QB15 QB26 QB31 RA35 SA06 SA42 SA43 SA52 SA53 SA54 SA72 SB01 SB02 TA22 TA43 TA44 TA47 TB01 TB02 UA121 UA122 UA131 UA132 UA141 UA142 UA151 UA162 UA221 UA222 UA251 UA252 UA261 UA262 UA361 UA362 UA672 UA712 UB011 UB012 UB121 UB122 UB132 UB151 UB152 UB281 UB301 UB302 UB312 UB381 UB401 UB402 VA021 VA041 VA061 VA081 XA02 XA04 XA16 XB19 YA07 ZA23 ZB11

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 p−フエニレンジアミンが80mol%
    を超え100mol%以下、そしてp−フエニレンジア
    ミンとは異なる芳香族ジアミン成分が0mol%以上2
    0mol%未満からなるジアミン成分と、ピロメリット
    酸が80mol%を超え100mol%以下、そしてピ
    ロメリット酸とは異なる芳香族テトラカルボン酸成分が
    0mol%以上20mol%未満からなるテトラカルボ
    ン酸成分から実質的になるポリアミド酸の有機極性溶媒
    溶液、脱水縮合剤、およびポリアミド酸のアミド酸単位
    に対して0.005〜0.075倍当量のトリエチレン
    ジアミンからなるポリアミド酸溶液。
  2. 【請求項2】 ポリアミド酸が、p−フエニレンジアミ
    ン成分が100mol%からなるジアミン成分と、ピロ
    メリット酸成分100mol%からなる芳香族テトラカ
    ルボン酸成分から得られたポリアミド酸であることを特
    徴とする請求項1に記載のポリアミド酸溶液。
  3. 【請求項3】 トリエチレンジアミンを含有するポリア
    ミド酸溶液に−25〜10℃で、脱水縮合剤を混合し、
    −25〜10℃の温度で保存することを特徴とする請求
    項1〜2のいずれかに記載のポリアミド酸溶液の製造方
    法。
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JP2006265371A (ja) * 2005-03-24 2006-10-05 Teijin Ltd ポリイミドフィルムの製造方法

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