JP2001302821A - ポリイミド前駆体およびポリイミドの製造方法 - Google Patents

ポリイミド前駆体およびポリイミドの製造方法

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JP2001302821A
JP2001302821A JP2000119489A JP2000119489A JP2001302821A JP 2001302821 A JP2001302821 A JP 2001302821A JP 2000119489 A JP2000119489 A JP 2000119489A JP 2000119489 A JP2000119489 A JP 2000119489A JP 2001302821 A JP2001302821 A JP 2001302821A
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polyimide
bis
polyamic acid
dianhydride
film
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Rei Nishio
玲 西尾
Tsutomu Nakamura
勤 中村
Jirou Sadanobu
治朗 定延
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 物性低下の原因となる分子鎖加水分解を防い
だポリイミド前駆体の製造方法およびポリイミドの製造
法を提供する。 【解決手段】 ジアミンと酸二無水物との反応からなる
ポリアミド酸溶液を、脱水縮合剤であるジシクロヘキシ
ルカルボジイミド(DCC)を含有する溶剤中に導入す
ることで成型加工性の高いポリイミド前駆体を得る。さ
らに加熱することでポリイミド繊維やフィルムを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は成型加工性に優れ
るポリイミド前駆体の、物性低下を防いだ製造方法に関
するものであり、さらにこの前駆体を加熱することによ
り得られるポリイミド繊維およびフィルムの製造法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリイミドはその高い耐熱性や機械物性
から幅広く開発が成されている。とりわけ全芳香族ポリ
イミドはその剛直構造から特に高い耐熱性や機械物性を
発揮することが期待される。
【0003】しかしながらその成形加工は、特に全芳香
族ポリイミドの場合不融不溶であり、ポリイミドの状態
での成形加工が困難である。そこで前駆体の状態での成
形がなされている。主にはアミン成分と酸無水物との反
応からなるポリアミド酸の状態での配向操作が成されて
いる。
【0004】しかしながらポリアミド酸は極めて加水分
解を受けやすく、例えばとくにその対称性の高い完全剛
直系ポリイミドの出発物質であるパラフェニレンジアミ
ンとピロメリット酸とからなるようなポリアミド酸は加
水分解を受けやすく、得られたポリイミドの強度は低く
実用に耐えうるフィルムは得られていない。
【0005】繊維学会誌vol.40,No.12(1
984)480−487では、ポリアミド酸を直接熱環
化した際の重合度の低下について述べられているが、結
果実用に耐えうるようなポリイミドは得られていない。
【0006】ポリアミド酸以外ではイミドの構造異性体
であるポリイソイミドをポリイミド前駆体として利用し
た例がある。これらの技術について順を追って説明す
る。
【0007】ポリイソイミドフィルムの調製方法として
ポリアミド酸溶液を製膜した後に乾燥し、得られたこの
乾燥フィルムを縮合剤溶液中に導入する方法が挙げられ
る。
【0008】例えば次のものが知られている。 (1)USP.3179634では、ポリアミド酸溶液
を製膜・乾燥し乾燥ポリアミド酸フィルムを得た後、無
水酢酸・ピリジン溶液に浸漬することでポリイソイミド
フィルムを得たのち、高温処理することによりポリイミ
ドフィルムを得ている。
【0009】(2)USP.3413267では、ポリ
アミド酸溶液を製膜後乾燥した後、無水トリフルオロ酢
酸中に浸漬することでポリイソイミドフィルムを得たの
ち、高温処理することによりポリイミドフィルムを得て
いる。
【0010】(3)Maclomolecules,1
992,25,4559−4568では、ポリアミド酸
溶液を製膜後乾燥した後、縮合剤として無水トリフルオ
ロ酢酸、発生する酸のトラップとしてピリジンを用いて
浸漬し、ポリイソイミドフィルムを得たのち、高温処理
することによりポリイミドフィルムを得ている。
【0011】しかしながら(1)、(2)、(3)の工
法における、ポリアミドフィルムの乾燥という工程によ
り前述の加水分解を受ける恐れがある。
【0012】実際(1)において得られたフィルムの物
性は熱により直接イミド化したフィルムの機械物性と違
いはなく、靭性に乏しいものであった。そこでポリアミ
ド酸溶液中に直接縮合剤を添加しイソイミド化した後
に、製膜・乾燥することによるポリイソイミドの製造法
が示されている。
【0013】すなわち、 (4)USP.3,179632では、ポリアミド酸溶
液に無水ベンゾイック酸を加えイソイミド溶液を得た後
製膜しポリイソイミドフィルムを得たのち、高温処理す
ることによりポリイミドフィルムを得ている。
【0014】しかしながらこれらの縮合剤では、反応後
発生する副生成物が酸であり、ポリマー鎖の加水分解等
による物性低下の要因を含んでいる。
【0015】そこで中性で反応後酸を発生しない縮合剤
としてジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を用
いた例がある。
【0016】(5)特公平3−502110では、ポリ
アミド酸溶液にDCCを添加しイソイミド溶液を調製し
た後に発生したジシクロヘキシルカルボジウレア(以下
DCUと称する)を濾過、再沈殿した後乾燥し、粉末の
ポリイソイミドを得ている。さらにこれを再溶解したの
ちにイソイミド溶液をキャストし、ポリイソイミドフィ
ルムを得たのち、高温処理することによりポリイミドフ
ィルムを得ている。
【0017】(5)では(4)同様にポリアミド酸溶液
中に直接縮合剤を添加している。この方法によりポリア
ミド酸の加水分解を防ぐことはできるが、イソイミド化
と同時に発生するDCUを除去するために、再沈殿、濾
過、乾燥、再溶解という工程が必要となるため、工程的
に非常に煩雑となる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】そこで本願発明は、剛
直性の全芳香族ポリイミドに代表されるポリイミドを加
水分解すること無く製造するための、ポリイミド前駆体
およびポリイミドの製造法にかかるものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本願発明は次の通りであ
る。 1. ポリアミド酸の溶液を、ジシクロヘキシルカルボ
ジイミド(DCC)を含有する溶剤中に導入することを
特徴とするポリイミド前駆体繊維またはポリイミド前駆
体フイルムの製造方法。
【0020】2. 上記1に記載のポリイミド前駆体を
加熱しイミド化することを特徴とするポリイミド繊維ま
たはポリイミド前駆体フイルムの製造方法。
【0021】つまりジアミンと酸無水物とから得られる
ポリアミド酸溶液を脱水縮合剤であるDCCを含有する
溶剤中にフィルムキャストもしくはノズルから紡糸した
状態で直接導入することで膨潤状態でイソイミド化し、
さらにこのポリイミド前駆体を加熱することによるポリ
イミド繊維やフィルムの製造方法である。
【0022】以下、ポリアミド酸溶液の調製、DCCに
よる固化・ポリイミド前駆体の製造、加熱によるイミド
化について順を追って説明する。
【0023】(i)ポリアミド酸溶液の調製 ポリアミド酸の重合は、溶液中ジアミンと酸との反応か
ら得られる。本願発明において使用される酸二無水物
は、一般式(I)
【0024】
【化1】
【0025】(式中Rは少なくとも4価の有機基を表
す)で示される構造を有するものである。
【0026】この具体例としては、ピロメリット酸二無
水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無
水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無
水物、2,3,4,5−チオフェンテトラカルボン酸二
無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカ
ルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ベンゾフェノ
ンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,
2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水
物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物、3,3’,4,4’−p−テルフェニルテト
ラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−p−テル
フェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,
4’−p−テルフェニルテトラカルボン酸二無水物、
1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水
物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無
水物、1,2,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二
無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸
二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン
酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカル
ボン酸二無水物、1,2,5,6−アントラセンテトラ
カルボン酸二無水物、1,2,6,7−フェナンスレン
テトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナン
スレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,9,10−
フェナンスレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,
9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,6
−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボ
ン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,
5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−
テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカル
ボン酸二無水物、1,4,5,8−テトラクロロナフタ
レン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ビ
ス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水
物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二
無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン
二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタ
ン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)ス
ルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカル
ボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,
4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−
ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水
物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プ
ロパン二無水物、2,6−ビス(3,4−ジカルボキシ
フェノキシ)ピリジン二無水物、1,1,1,3,3,
3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4−ジカルボ
キシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカ
ルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物等が挙げら
れるがこれに限るものではない。
【0027】本願発明のポリアミド酸の重合に使用され
るジアミンは、一般式(II)
【0028】
【化2】
【0029】(式中R’は脂肪族もしくは芳香族の基)
で示されるものである。
【0030】具体例として、m−フェニレンジアミン、
p−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレ
ン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナ
フタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,7−ジア
ミノナフタレン、2,6−ジアミノアントラセン、2,
7−ジアミノアントラセン、1,8−ジアミノアントラ
セン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノ
(m−キシレン)、2,5−ジアミノピリジン、2,6
−ジアミノピリジン、3,5−ジアミノピリジン、2,
4−ジアミノトルエンベンジジン、3,3’−ジアミノ
ビフェニル、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’
−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジ
ン、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジ
アミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニル
エーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジア
ミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニル
スルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、
3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−
ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジ
フェニルチオエーテル、4,4’−ジアミノ−3,
3’,5,5’−テトラメチルジフェニルエーテル、
4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチ
ルジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,
3’,5,5’−テトラメチルジフェニルメタン、1,
3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−
ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス
(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4
−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,6−ビス(3−ア
ミノフェノキシ)ピリジン、1,4−ビス(3−アミノ
フェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ア
ミノフェニルスルホニル)ベンゼン、1,4−ビス(3
−アミノフェニルチオエーテル)ベンゼン、1,4−ビ
ス(4−アミノフェニルチオエーテル)ベンゼン、4,
4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホ
ン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニ
ルスルホン、ビス(4−アミノフェニル)アミンビス
(4−アミノフェニル)−N−メチルアミンビス(4−
アミノフェニル)−N−フェニルアミンビス(4−アミ
ノフェニル)ホスフィンオキシド、1,1−ビス(3−
アミノフェニル)エタン、1,1−ビス(4−アミノフ
ェニル)エタン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)
プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェ
ニル)プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)
フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノ
フェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−メチル−4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス
[3−クロロ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミ
ノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−
ビス[3−メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェ
ニル]エタン、1,1−ビス[3−クロロ−4−(4−
アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス
[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル]エタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−メチ
ル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパ
ン、2,2−ビス[3−クロロ−4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3,5−
ジメチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プ
ロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)
フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−メチル−4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−
ビス[3,5−ジメチル−4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[3,5−ジブロ
モ−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビ
ス(4−アミノフェニル)プロパン、1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[3−メチル−
4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等が
挙げられるがこれに限るものではない。
【0031】またポリアミド酸を重合する際の溶媒とし
ては、ポリアミド酸を溶解し、DCCと反応しない溶媒
であればよい。具体例としてはN,N−ジメチルホルム
アミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピ
ロリドンヘキサメチルホスホルアミド、1,3−ジメチ
ルイミダゾリジノン、テトラメチルウレア、1,3−ジ
ピロピルイミダゾリジノン、Nーメチルカプロラクタ
ム、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラ
メチルスルホン、エチレングリコール、などの非プロト
ン性極性溶媒,ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリ
ン,4−ピコリン、2,3−ルチジン、2,4−ルチジ
ン、2,5−ルチジン、2,6−ルチジン、3,4−ル
チジン、3,5−ルチジン、2,6−ルチジン、などの
複素芳香族化合物,クレゾール類などが挙げられる。
【0032】なおこれらの溶媒は四塩化炭素、クロロホ
ルム、ジクロロメタン、1,1,1−トリクロロエタ
ン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−
テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエ
タン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなど
の有機ハロゲン化物、ベンゼン、トルエン、ベンゾニト
リル、キシレン、ソルベントナフサ、およびジオキサン
のような他の溶媒と混合して使用することもできるがこ
れに限るものではない。
【0033】この発明におけるポリアミド酸を得るため
には前記の有機溶媒中、ジアミンの使用量を、酸無水物
のモル数に対する比として好ましくは0.90〜1.1
0より好ましくは0.95〜1.05として反応させポ
リアミド酸とすることが好ましい。
【0034】このポリマーにおいてポリマーの末端を封
止するために、無水フタル酸およびその置換体、ヘキサ
ヒドロ無水フタル酸およびその置換体、無水コハク酸お
よびその置換体、アミン成分としてはアニリンおよびそ
の置換体が挙げられるがこれに限るものではない。
【0035】(ii)DCCによる固化・ポリイミド前
駆体の製造 前述の方法で調製したポリアミド酸をフィルムとしてキ
ャストもしくはノズルから紡糸し、フィルムまたは繊維
の状態でDCCを含有する溶液(DCC溶液ともいう)
に直接導入することによって、膨潤状態で一部もしくは
完全にイソイミド化しポリイミド前駆体を製造すると共
に発生するDCUを速やかに溶媒中に溶出させる。次に
このポリイミド前駆体製造について詳述する。
【0036】この時DCC溶液の溶媒としてはDCCを
溶解し、DCCと反応せず、ポリイミド前駆体を溶解し
ない一般有機溶媒であればよい。このような溶媒として
はN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホル
ムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系
溶媒およびに芳香族・炭化水素・アルコール・ケトン・
エステル・エーテル等の一般有機溶剤が挙げられるが、
特にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルア
セトアミドといった極性の高い溶媒が好ましい。これは
反応と同時に発生するウレアをポリイミド前駆体中から
溶出するためである。
【0037】これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、
2種以上を併用しても良い。また得られるポリイソイミ
ド成分は水分と反応しポリアミド酸に戻るので、溶液は
脱水されていることが好ましい。
【0038】DCC溶液中のDCC濃度は反応が十分に
進行する量であれば良く特に規定するものではないが、
より好ましくは1重量%以上である。
【0039】DCC溶液中にポリアミド酸溶液を導入す
る際は、10℃以上が好ましいが、より好ましくは20
〜80℃である。これにより反応性を高め、なおかつ発
生するDCUの溶解性を向上することができる。またこ
こで得られたポリイミド前駆体をさらにDCUを溶解す
る溶媒に浸漬し、洗浄することが好ましい。
【0040】またDCCの活性を高めるために、DCC
と共に4−ジメチルアミノピリジン、4−ピロリジロピ
リジンといった試薬を用いても良い。
【0041】本願発明においてポリアミド酸溶液のDC
C溶液への導入方法は、一般に知られている湿式ならび
に乾湿式成形方法のいかなる方法を用いても良い。この
製膜方法としてはダイ押し出しによる工法、アプリケー
ターを用いたキャスティング、コーターを用いる方法な
どが例示されるがこれに限定されるものではない。また
湿式紡糸、ドライジェット紡糸などの紡糸方法が例示さ
れるがこれに限定されるものではない。またDCCの不
活性化を防ぐためにもこれらの工程は低湿度雰囲気下で
行うことが好ましい。
【0042】(iii)加熱によるイミド化 前述の方法で製造したポリイミド前駆体を加熱によりイ
ミド化する。この方法としてはいかなる方法を用いても
良い。このイミド化方法としては熱風加熱、真空加熱、
赤外線加熱、マイクロ波加熱の他、熱板、ホットロール
を用いた接触による加熱などが例示できるがこれに限定
されるものではない。
【0043】これらの工法を用いて50〜500℃の間
で熱処理することでポリイミドを得る。この際段階的に
温度をあげることで完全にイミド化を進行させることが
好ましい。イミド化が十分でないと、耐加水分解性の低
いフィルとなるおそれがあるからである。
【0044】
【発明の効果】本願発明の方法を用いれば、ポリアミド
酸の加水分解を防ぎなおかつ簡便な方法でポリイミド前
駆体を製造することができ、さらにこれを熱イミド化す
ることによるポリイミドが得られる。
【0045】
【実施例】以下、実施例により本願発明方法をさらに詳
しく具体的に説明する。ただしこれらの実施例は本願発
明の範囲を限定するものではない。なおポリアミド酸の
対数粘度は、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)中
ポリマー濃度0.5g/100mLで35℃で測定した
ものである。
【0046】[実施例1] (ア)ポリアミド酸溶液の作成 温度計・撹拌装置および原料投入口を備えた反応容器
に、窒素雰囲気下モレキュラーシーブスで脱水したN−
メチル−2−ピロリドン910mLを入れ、さらにパラ
フェニルジアミン19.9gを加えて完全に溶解した
後、氷浴下0℃まで冷却した。この冷却したジアミン溶
液に無水ピロメリット酸40.1gを添加し反応せしめ
た。反応温度は氷浴下で25℃まで上昇し、氷浴下さら
に一時間反応させた。さらに室温下2時間反応させたの
ちアニリン0.011gを添加しさらに30分反応させ
た。反応終了後窒素雰囲気下で濾過したのち脱泡し、ポ
リアミド酸溶液を得た。この溶液の対数粘度は4.12
であり最終的なポリマー濃度は6重量%となった。
【0047】(イ)ポリイミド前駆体の製造 温度コントローラー、撹拌装置を備え付けた容器にDC
C濃度15重量%のN−メチル−2−ピロリドン溶液を
投入し、45℃に加熱し、DCC溶液よりなる浴(DC
C浴)を準備した。また上記(ア)で作成したポリアミ
ド酸溶液を、ガラス基板上に厚み1.0mmのドクター
ブレードを用いてキャストした。これを前述のDCC浴
に導入し8分反応固化させたのちガラス基板上から剥離
し、さらに12分計20分反応させ、これをさらに25
℃のイソプロパノール中に浸漬し溶媒置換を行いフィル
ム状のポリイミド前駆体を得た。
【0048】(ウ)ポリイミドの製造 (イ)で製造したポリイミド前駆体を枠固定した後乾燥
機で熱処理を行った。すなわち80℃で5分、200℃
10分、250℃8分、350℃5分、380℃5分と
段階的に温度を上げイミド転位させ、ポリイミドフィル
ムを得た。
【0049】[比較例1]実施例1の(ア)と同様の方
法を用いてポリアミド酸溶液を作成し、このポリアミド
酸溶液を、ガラス基板上に厚み1.0mmのドクターブ
レードを用いてキャストした。これを温度コントロール
ができる熱風乾燥機中乾燥空気を用いて、130℃50
分、ついで140℃10分乾燥させた。キャスト物をガ
ラス基板上から剥離した後二対の固定部材に枠止めし、
さらに140℃10分、180℃10分熱風乾燥機中で
乾燥した。熱風乾燥機から高温乾燥機に移し、140℃
から330℃まで昇温した後10分加熱しイミド転位を
行った。しかしながら得られたポリイミドは非常に脆
く、フィルムの形状を保持することができなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 定延 治朗 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 Fターム(参考) 4F071 AA60 AC12A AG12 BA02 BB13 BC01 4L035 BB03 BB04 CC01 EE01 FF01 MD01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド酸の溶液を、ジシクロヘキシ
    ルカルボジイミド(DCC)を含有する溶剤中に導入す
    ることを特徴とするポリイミド前駆体繊維またはポリイ
    ミド前駆体フイルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のポリイミド前駆体を加
    熱しイミド化することを特徴とするポリイミド繊維また
    はポリイミド前駆体フイルムの製造方法。
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KR20190000513A (ko) * 2017-06-23 2019-01-03 삼성전자주식회사 폴리이미드 또는 폴리(이미드-아미드) 코폴리머 제조용 조성물, 폴리이미드 또는 폴리(이미드-아미드) 코폴리머, 폴리이미드 또는 폴리(이미드-아미드) 코폴리머를 포함하는 성형품, 상기 성형품을 포함하는 표시 장치

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20190000513A (ko) * 2017-06-23 2019-01-03 삼성전자주식회사 폴리이미드 또는 폴리(이미드-아미드) 코폴리머 제조용 조성물, 폴리이미드 또는 폴리(이미드-아미드) 코폴리머, 폴리이미드 또는 폴리(이미드-아미드) 코폴리머를 포함하는 성형품, 상기 성형품을 포함하는 표시 장치
KR102399855B1 (ko) * 2017-06-23 2022-05-19 삼성전자주식회사 폴리이미드 또는 폴리(이미드-아미드) 코폴리머 제조용 조성물, 폴리이미드 또는 폴리(이미드-아미드) 코폴리머, 폴리이미드 또는 폴리(이미드-아미드) 코폴리머를 포함하는 성형품, 상기 성형품을 포함하는 표시 장치

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