JP2017164726A - ポリイミド多孔質膜の製造方法、及びポリイミド多孔質膜 - Google Patents

ポリイミド多孔質膜の製造方法、及びポリイミド多孔質膜 Download PDF

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健 川岸
Ken Kawagishi
健 川岸
中山 喜美男
Kimio Nakayama
喜美男 中山
高橋 淳也
Junya Takahashi
淳也 高橋
達也 庄司
Tatsuya Shoji
達也 庄司
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Abstract

【課題】耐熱性、耐薬品性に優れ、特に通気性が高いポリイミド多孔質膜及びその製造方法の提供。
【解決手段】一般式(1)で示される反復単位からなるポリイミド前駆体と、ポリイミド前駆体の良溶媒と、前記ポリイミド前駆体の良溶媒より30℃以上高い沸点を有するポリイミド前駆体の非溶媒とを少なくとも含むポリイミド前駆体溶液を、ポリイミド前駆体の非溶媒からなる蒸気及び又はミストの存在下で加熱、乾燥させるポリイミド多孔質膜の製造方法。
Figure 2017164726

〔Bは芳香族環を含む4価のユニット;Aは芳香族環を含む2価のユニット〕
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミド多孔質膜の製造方法、及びポリイミド多孔質膜に関する。
ポリマー多孔質膜は、電池用セパレータや電解コンデンサ用隔膜用、集塵、精密濾過、膜分離など様々な用途に用いられている。特にポリイミド多孔質膜はポリイミド由来の耐熱性、力学特性、耐薬品性を有する事からその応用展開が気体されており、非溶媒誘起相分離法(NIPS)、蒸気誘起相分離法(VIPS)、熱誘起相分離法(TIPS)など、種々の方法での製造が検討されている。
非溶媒誘起相分離法の例としては、特許文献1にビフェニルテトラカルボン酸成分とジアミン成分とから得られるポリイミド前駆体ワニスキャストフィルムに多孔質フィルムを積層した後、非溶媒に浸漬することを特徴とするポリイミド多孔質膜の製造方法が開示されている。また、蒸気誘起相分離法の例としては、特許文献2にポリイミド前駆体0 .3〜60重量% と溶媒99 .7〜40重量%とからなる溶液をフィルム状に流延し、得られたポリイミド前駆体のフィルム状物に蒸気暴露する処理を行った後、凝固溶媒に浸漬もしくは接触させることを特徴とするポリイミド多孔質膜の製造方法が開示されている。これらの方法は、凝固溶媒への浸漬もしくは接触が必要となる為、実製造上は凝固浴等の管理に多くのコストが必要となる。
凝固浴を用いずに多孔質膜を製造する方法としては、高沸点の非溶媒を予めポリマー溶液に混合後、加熱することで多孔質膜を得るドライキャスト法が知られている。特許文献3には、ポリイミド前駆体と、アミド系溶媒と、アミド系溶媒より50℃以上高い沸点を有するエーテル系溶媒を含有するポリイミド前駆体溶液を基材上に流延し、加熱乾燥・イミド化させることを特徴とするポリイミド多孔質フィルムの製造方法が開示されている。この方法は、特許公報上は「発泡」と記述されているが、実質的にはエーテル系溶媒(非溶媒)よりも沸点の低いアミド系溶媒(良溶媒)が相対的に早く蒸発する事で相分離が誘起され、多孔質膜を形成するものである。しかしながら、この方法で空孔率の高い多孔質膜を得る為には、アミド系溶媒よりも50℃以上高い沸点を有するエーテル系溶媒を非溶媒として使用する必要があり、実製造上の制約が多かった。また、膜厚が300μm以上の比較的厚い多孔質膜を得ることは出来るものの、膜厚が薄いと空孔率が低下し、100μm以下で空孔率の高い多孔質膜を製造することは、事実上困難であった。さらに、この方法では、表面にスキン層が形成されやすく、高い通気性を示す膜を得ることは、困難であった。
特願平10−153480号公報 特願平11−265347号公報 特許第4947989号公報
本発明の目的は、耐熱性、耐薬品性に優れ、特に通気性が高いポリイミド多孔質膜の製造方法を提供し、また膜厚が薄い場合であっても高い空孔率を有するポリイミド多孔質膜を得ることが可能な新しい技術を提供することにある。
本発明者らは、ポリイミド多孔質膜の製造方法において、ポリイミド前駆体の良溶媒と非溶媒の沸点差のみならず、ポリイミド前駆体の非溶媒からなる蒸気及び又はミストの存在下で加熱、乾燥させることでスキン層の形成を抑制することに着目して鋭意研究を重ねた結果、膜厚が薄い場合であっても通気性が十分に高いポリイミド多孔質膜の製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の事項に関する。
1.下記一般式(1)で示される反復単位からなるポリイミド前駆体と、ポリイミド前駆体の良溶媒と、前記ポリイミド前駆体の良溶媒より30℃以上高い沸点を有するポリイミド前駆体の非溶媒とを少なくとも含むポリイミド前駆体溶液を、ポリイミド前駆体の非溶媒からなる蒸気及び又はミストの存在下で加熱、乾燥させることを特徴とするポリイミド多孔質膜の製造方法。
Figure 2017164726
〔式中、Bは、芳香族環を含む4価のユニットであり、式中、Aは、芳香族環を含む2価のユニットである。〕
2.前記ポリイミド前駆体の非溶媒が、グリコールジエーテル系溶媒、カルボン酸ジエステル系溶媒、グリコールモノエーテルアセテート系溶媒のいずれか一種、若しくは二種以上の混合物であることを特徴とする前記項1に記載のポリイミド多孔質膜の製造方法。
3.前記ポリイミド前駆体の良溶媒が、アミド系有機溶媒であることを特徴とする前記項1、2のいずれか1項に記載のポリイミド多孔質膜の製造方法。
4.導電性フィラーを含むことを特徴とする前記項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミド多孔質膜の製造方法。
5.導電性フィラーが微細炭素繊維であることを特徴とする前記項4に記載のポリイミド多孔質膜の製造方法。
6.通気度(ガーレー値)が1000秒/100cc以下であることを特徴とする前記項1〜5のいずれか1項に記載の方法によって製造されたポリイミド多孔質膜。
本発明によって、耐熱性、耐薬品性に優れ、特に通気性が高いポリイミド多孔質膜の製造方法を提供することができる。本発明のポリイミド多孔質膜の製造方法を用いることで、凝固浴を必要としない簡便で安価なプロセスでポリイミド多孔質膜を得る事が出来る。また、比較的薄い膜厚であっても高い空孔率を有する多孔質膜が得られる為、膜厚の選択幅も広げることが出来る。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明は、下記一般式(1)で示される反復単位からなるポリイミド前駆体と、ポリイミド前駆体の良溶媒と、前記ポリイミド前駆体の良溶媒より30℃以上高い沸点を有するポリイミド前駆体の非溶媒とを少なくとも含むポリイミド前駆体溶液を、ポリイミド前駆体の非溶媒からなる蒸気及び又はミストの存在下で加熱、乾燥させることを特徴とするポリイミド多孔質膜の製造方法。
Figure 2017164726
〔式中、Bは、芳香族環を含む4価のユニットであり、式中、Aは、芳香族環を含む2価のユニットである。〕
<ポリイミド前駆体>
本発明に用いるポリイミド前駆体は、前記一般式(1)で示される反復単位からなり、式中、Bはテトラカルボン酸成分に起因する4価のユニットである。また、Aはジアミン成分に起因する2価のユニットである。ポリイミド前駆体を構成するユニットについて以下に詳述する。
ユニットBは、テトラカルボン酸成分に起因する4価のユニットである。テトラカルボン酸成分はポリイミド前駆体を重合可能な範囲で特に限定されないが例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(i−BPDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2、2‐ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物及びその混合物が挙げられる。その中でも特にs−BPDA、a−BPDAが得られるポリイミドの耐熱性、耐薬品性、力学特性の観点から好ましい。
ユニットAは、ジアミン成分に起因する2価のユニットである。ジアミン成分はポリイミド前駆体を重合可能な範囲で特に限定されないが例えば、p−フェニレンジアミン(PPD)、m−フェニレンジアミン(MPD)などのフェニレンジアミン類、3,5−ジアミノ安息香酸などのジアミノ安息香酸類、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメトキシ−ジアミノジフェニルエーテルなどのジアミノジフェニルエーテル類、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノビフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニルメタン、2,2’−ジフルオロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどのジアミノジフェニルメタン類、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−(3,4'−ジアミノジフェニル)プロパンなどのジアミノジフェニルプロパン類、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどのビス(アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン類、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンなどのジアミノジフェニルスルホン類、3,7−ジアミノ−2,8−ジメチル−ジベンゾチオフェン、2,8−ジアミノ−3,7−ジメチル−ジベンゾチオフェン、3,7−ジアミノ−2,6−ジメチル−ジベンゾチオフェンなどのジアミノジベンゾチオフェン類、3,7−ジアミノ−2,8−ジメチル−ジフェニレンスルフォン、3,7−ジアミノ−2,8−ジエチル−ジフェニレンスルフォン、3,7−ジアミノ−2,8−ジメトキシ−ジフェニレンスルフォン、2,8−ジアミノ−3,7−ジメチル−ジフェニレンスルフォンなどのジアミノジフェニレンスルフォン類(後述のジアミノジベンゾチオフェン=5,5−ジオキシド類に同じ)、4,4’−ジアミノビベンジル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビベンジルなどのジアミノビベンジル類、0−ジアニシジン、0−トリジン、m−トリジンなどのジアミノビフェニル類、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノンなどのジアミノベンゾフェノン類、2,2’,5,5’−テトラクロロベンジジン、3,3’,5,5’−テトラクロロベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、2,2’−ジクロロベンジジン、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサクロロベンジジン、2,2',5,5’−テトラブロモベンジジン、3,3’,5,5’−テトラブロモベンジジン、3,3’−ジブロモベンジジン、2,2’−ジブロモベンジジン、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサクロロベンジジンなどのジアミノベンジジン類、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)などのビス(アミノフェノキシ)ベンゼン類、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼンなどのジ(アミノフェニル)ベンゼン類、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパンなどのビス〔(アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン類、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパンなどのビス〔(アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン類、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホンなどのジ〔(アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン類、4,4’−ビス(4−アミノフェニル)ビフェニルなどのジ(アミノフェニル)ビフェニル類、5(6)−アミノ−2−(4−アミノフェニル)−ベンゾイミダゾール(DAPBI)などのジアミノベンゾアゾール類及びその混合物が挙げられる。その中でも特にODAが力学特性の観点から好ましい。その他、脂環族ジアミンとして、イソホロンジアミン、シクロヘキサンジアミンなどを、重合性を妨げない範囲で適宜利用できる。
<良溶媒>
本発明のポリイミド前駆体の良溶媒としては、ポリイミド前駆体を溶解するものであれば特に限定されないが、具体的にはアミド系溶媒が挙げられる。アミド系溶媒の例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、ピリジン、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)等を挙げる事が出来る。良溶媒は後述する非溶媒よりも沸点が低い必要がある為、なるべく沸点が低い事が好ましく、特にN,N−ジメチルアセトアミド(沸点165℃)、N,N−ジエチルアセトアミド(沸点182〜186℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(沸点153℃)が好適に用いられる。これらの良溶媒は、それぞれ単体で用いてもよいし、二種以上の混合物として用いても構わない。
<非溶媒>
本発明のポリイミド前駆体の非溶媒は、前記ポリイミド前駆体を溶解しないものであれば特に限定されない。
本発明に用いる非溶媒としては、特にグリコールジエーテル系溶媒、及び又はカルボン酸ジエステル系溶媒、及び又はグリコールモノエーテルアセテート系溶媒が好ましい。具体的にはグリコールジエーテル系溶媒としては、トリエチレングリコールジメチルエーテル(MTM:沸点216℃)、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(BDM:沸点212℃)、トリプロピレングリコールジメチルエーテル(MTPOM:沸点215℃)などが好適に利用できる。良溶媒にDMFを用いる場合は、ジエチレングリコールジエチルエーテル(EDE:沸点189℃)なども好適に利用できる。なお、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(DM:沸点194℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DB:沸点230℃)等のグリコールモノエーテル系溶媒は、ポリイミド前駆体が加水分解して溶液の粘度が低下し、製膜に悪影響を及ぼす懸念がある為、好ましくない。
カルボン酸ジエステル系溶媒としては、こはく酸ジメチル(沸点200℃)、こはく酸ジエチル(沸点218℃)、グルタル酸ジメチル(沸点210〜215℃)、グルタル酸ジエチル(沸点237℃)、アジピン酸ジメチル(沸点215〜225℃)、アジピン酸ジエチル(沸点245℃)等が好ましい。また、こはく酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチルの混合物である二塩基酸エステル(商品名DBE:三協化学株式会社)等も好適に用いることが出来る。
グリコールモノエーテルアセテート系溶媒としては、エチルカルビネートアセテート(ECA:沸点218℃)、ブチルカルビネートアセテート(BCA:沸点247℃)等が具体的に挙げられる。後述する加熱乾燥、イミド化過程で最終的に除去する為に、非溶媒の沸点は高すぎない方が良いことから、沸点が250℃以下の溶媒がより好ましい。これらの非溶媒は、それぞれ単体で用いてもよいし、二種以上の混合物として用いても構わない。
本発明において、非溶媒の混合量は、非溶媒の種類及び凝固価に応じて適宜決定されるが、概ね全溶媒量の10wt%以上、50wt%未満の範囲である。非溶媒の添加量は後述のように系がバイノーダルライン近傍で且つ一相領域(=相分離を生じない)範囲にコントロールすることが重要である。10wt%以下では非溶媒の量が足りず、良好な多孔質膜を得る事が困難となり、50wt%以上加える事は、経済的な観点及びポリイミド前駆体溶液の安定性の観点から好ましくない。
<ポリイミド前駆体溶液>
本発明のポリイミド前駆体溶液は、前記の芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを用いて、公知の方法で重合することが出来る。良溶媒と非溶媒を含有するポリイミド前駆体溶液を得る方法は特に限定されないが、例えば予めポリイミド前駆体の良溶媒と非溶媒を混合した中に略等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを添加して均一になるまで混合することで良溶媒と非溶媒を含有したポリイミド前駆体溶液を得る事が出来る。また、ポリイミド前駆体の良溶媒中に略等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを添加して均一になるまで混合することでポリイミド前駆体の良溶媒溶液を製造し、さらにこれらを撹拌しならが非溶媒を少量ずつ加えて均一になるまで混合する事で、良溶媒と非溶媒を含有したポリイミド前駆体溶液を得ることが出来る。
芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを混合する際の反応温度は、−30〜120℃が好ましく、−20〜80℃がより好ましい。反応時間は、0.5時間〜100時間が好ましく、2時間〜48時間がより好ましい。テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合割合は等モルとなるように調整することが好ましいが、これらのモノマーの比率を若干変動させることにより、ポリイミド前駆体の重合度を任意に調節することができる。
なお、本発明のポリイミド前駆体溶液には、必要に応じて導電性フィラーを加えても良い。導電性フィラーを加える事で導電性ポリイミド多孔質膜が得られ、燃料電池用ガス拡散層や多孔性電極等に好適に用いる事が可能となる。加える導電性フィラーとしては特に限定されないが、高い導電性を実現する観点や、耐薬品性の観点から炭素系導電性フィラーが好ましい。炭素系導電性フィラーの例としては具体的には、カーボンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛類、炭素繊維、気相成長法炭素繊維、カーボンナノチューブ等が挙げられるが、導電性の観点からカーボンナノチューブ類が好ましい。カーボンナノチューブの種類としては特に制限されるものではなく、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ等が好適に用いられるが、コスト面から多層カーボンナノチューブが特に好適に用いられる。市販の多層カーボンナノチューブの例としては、BN−1100(ハイペリオン・キャタリシス・インターナショナル社製)、NC7000(ナノシル社製)、C100(アルケマ社製)、VGCF(登録商標)−X(昭和電工社製)、Flotube9000(シーナノテクノロジー社製)、AMC(登録商標)(宇部興産社製)等を挙げる事が出来る。
本発明のポリイミド前駆体溶液には、必要に応じて、ポリイミド前駆体のカルボキシル基と部分的に塩を形成する塩基性化合物を加えても良い。塩基性化合物の例としては、例えばイミダゾール類、アルキルアミン類、ピペラジン類、グアニジンおよびグアニジン塩類、カルボキシル置換アルキルアミン類、ピペリジン類、ピロリジン類等を挙げることができる。これらの塩基性化合物は、それぞれ単体で用いてもよいし、二種以上の混合物として用いても構わない。塩基性化合物を加える事で、ポリイミド前駆体の性状が親水性側にシフトし、疎水性である各種非溶媒への親和性が低下する。その為、非溶媒の混合量が少ない場合でも溶液をバイノーダルラインの近傍に調整する事が可能となり、バイノーダルラインに到達するまでに要する時間が短くなる。結果として、良溶媒が多く蒸発する前に相分離によって溶液が凝固・多孔化することで、より高い空孔率や通気性を示す膜が得られやすくなる。
塩基性化合物を用いる場合、イミダゾール類を用いる事が特に好ましい。イミダゾール類は加熱・乾燥時にイミド化を促進する効果がある為、ポリイミド前駆体の多孔質膜の強度を向上させ、イミド化時に膜が切れることを抑制する効果がある。また、得られるポリイミド多孔質膜の強度も向上することがある。イミダゾール類としては、1,2−ジメチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、4−エチル−2−メチルイミダゾール、1−メチル−4−エチルイミダゾール、5−メチルベンズイミダゾール等が具体的に挙げられ、特に1,2−ジメチルイミダゾールが好適に使用出来る。イミダゾール類としては、それぞれ単体で用いてもよいし、二種以上の混合物として用いても構わない。
本発明のポリイミド前駆体溶液には、必要に応じてポリイミド前駆体溶液に有機リン含有化合物などを加えてもよい。有機リン含有化合物としては、例えば、モノカプロイルリン酸エステル、モノオクチルリン酸エステル、モノラウリルリン酸エステル、モノミリスチルリン酸エステル、モノセチルリン酸エステル、モノステアリルリン酸エステル、トリエチレングリコールモノトリデシルエーテルのモノリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノラウリルエーテルのモノリン酸エステル、ジエチレングリコールモノステアリルエーテルのモノリン酸エステル、ジカプロイルリン酸エステル、ジオクチルリン酸エステル、ジカプリルリン酸エステル、ジラウリルリン酸エステル、ジミリスチルリン酸エステル、ジセチルリン酸エステル、ジステアリルリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノネオペンチルエーテルのジリン酸エステル、トリエチレングリコールモノトリデシルエーテルのジリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノラウリルエーテルのジリン酸エステル、ジエチレングリコールモノステアリルエーテルのジリン酸エステル等のリン酸エステルや、これらリン酸エステルのアミン塩が挙げられる。有機リン含有化合物を使用することによって、後述するポリイミド前駆体の多孔質膜の強度が向上したり、ポリイミド前駆体の多孔質膜を支持体から剥離し易くしたりすることができる。
さらに、本発明のポリイミド前駆体溶液には、必要に応じて例えば、各種界面活性剤、有機シラン、顔料、金属微粒子等の充填材、摩滅材、誘電体、潤滑材等の他公知の添加物を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。また、他の重合体が本発明の効果を損なわない範囲で添加されていてもよい。
本発明のポリイミド前駆体溶液中のポリイミド前駆体の濃度は、通常1〜50wt%、好ましくは5〜30wt%である。1wt%未満では、固形分が不足することで良好な多孔質膜が得られない為に好ましくなく、50wt%を超えると溶媒中へのポリイミド前駆体の溶解が難しくなり、また高い通気性の多孔質膜を得ることが困難となる。
本発明のポリイミド前駆体溶液中の非溶媒の含有量は、非溶媒の種類に応じて適宜決定されるが、概ね全溶媒量の10wt%以上、60wt%未満の範囲である。非溶媒の添加量は前記のように系がバイノーダルライン近傍で且つ一相領域(=相分離を生じない)範囲にコントロールすることが重要である。10wt%以下では非溶媒の量が足りず、良好な多孔質膜を得る事が困難となり、60wt%以上加える事は、経済的な観点及びポリイミド前駆体溶液の安定性の観点から好ましくない。
本発明のポリイミド前駆体溶液の溶液粘度は、1Pa・s〜3000Pa・s、好ましくは5Pa・s〜1000Pa・s、特に好ましくは10Pa・s〜500Pa・sである。溶液粘度が3000Pa・sを越えると後述する多孔質膜形成の際に基板上に流延し、膜厚を均一に調整するのが困難になり、且つ相分離による多孔構造形成時の溶媒置換速度の制御が難しくなって孔径、空孔率、孔形状などの多孔質特性を均質に制御することが困難になるので適当ではない。溶液粘度が1Pa・s未満では流延膜としての形状を保持できなくなり厚みムラが生じ易くなるのでるので適当ではない。
<ポリイミド多孔質膜の製造方法>
ポリイミド多孔質膜の製造方法について、以下に具体的に説明する。
まず、本発明のポリイミド前駆体溶液を支持体上にフィルム状に流延する。流延方法は特に限定されず、ブレードやTダイなどを用いてガラス板やステンレス板等の支持体上に流延する方法や、連続可動式のドラムやベルト上に連続的に流延して長尺状の流延物を得る方法等を用いる事ができる。その他コーティング等によって支持体上に形成する場合の基材としては、例えば、金属箔、金属線、無機材料板、プラスチックフィルム等が挙げられる。次に流延物をポリイミド前駆体の非溶媒からなる蒸気及び又はミストの存在下で加熱し、スキン層の形成を抑制しつつ、良溶媒の蒸発に伴う相分離による多孔化を介しながら乾燥させることで、高い通気性を示すポリイミド前駆体の多孔質膜を得る。加熱温度及び加熱時間は適宜決める事が出来るが、概ね50℃〜200℃で3分〜120分乾燥させる。その後、支持体上のポリイミド前駆体の多孔質膜を必要に応じて支持体から剥離し、追加の加熱処理を行う事でイミド化を完結させてポリイミド多孔質膜を得る。熱イミド化処理は、例えば、ポリイミド前駆体の多孔質膜を、ピン、チャック若しくはピンチロールなどを用いて熱収縮により平滑性が損なわれないように支持体に固定し、大気中又は不活性雰囲気中にて加熱することにより行うことができる。加熱条件は、約100℃〜200℃の比較的低温から加熱を開始し、最終的に280〜600℃、好ましくは300〜550℃まで2分〜120分、好ましくは3分〜90分、さらに好ましくは5分〜60分加熱することでポリイミド多孔質膜を得ることができる。
<蒸気及び又はミスト>
本発明では、支持体上に流延した流延物をポリイミド前駆体の非溶媒からなる蒸気又はミストに接触させながら加熱乾燥を行う事で、スキン層の形成を抑制し、高い通気性を示すポリイミド前駆体の多孔質膜を得ることが可能となる。用いる蒸気又はミストは、用いるポリマーの非溶媒からなる物であれば特に限定されないが、実用上の観点から水を主成分とする事が好ましい。
高い通気性を示す膜を得る為には加熱乾燥時の雰囲気の相対湿度がなるべく高くなるようにすることが好ましく、好ましくは60%RH以上、より好ましくは80%RH以上、更に好ましくは85%RH以上であることが好ましい。水蒸気を用いる場合、例えば高温でバブリングした水蒸気やスチームを加熱乾燥時の雰囲気に導入する事で、雰囲気の相対湿度を高くすることが可能となる。ミストを用いる場合、超音波発振子等を用いて好適にミストを発生させる事が出来る。ミストの濃度は特に限定されないが、高い通気性を示す膜を得る為には後述する方法で規定したミスト濃度で、0.001kg−ミスト/kg−空気以上であることが好ましく、0.01kg−ミスト/kg−空気以上であることがより好ましい。ミスト濃度の上限は、安定的なミストが得られる範囲で特に限定はされないが、例えば0.1kg−ミスト/kg−空気以上であると、ミストが発生してもすぐに結露してしまい、安定的なミストを得ることが難しくなる。
<ポリイミド多孔質膜>
本発明において、ポリイミド多孔質膜とは、ポリイミド多孔質膜の自己支持膜、ポリイミド多孔質膜を含む積層体、及び支持体上にコーティング等によって形成された被覆した多孔質膜を示す。本発明で得られるポリイミド多孔質膜は、通気度(ガーレー値)が1000秒/100cc以下であることが好ましい。通気度(ガーレー値)が1000秒/100cc以下であると、実質的に膜の通気性、通液性が必要とされる各種用途への展開が可能となる。
本発明で得られるポリイミド多孔質膜は、ポリイミド前駆体の非溶媒からなる蒸気及び又はミストの存在下で加熱、乾燥させることで、特に膜厚が比較的薄い場合であっても空孔率が十分に高いポリイミド多孔質膜を得ることが可能である。具体的には膜厚が100μm以下であっても空孔率20%以上の多孔質膜を得られる為、製造する膜厚の選択幅も広げることが可能であり、各種用途への展開が可能となる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の例で用いた導電性フィラー、ポリマー系分散剤、塩基性化合物、有機溶媒、酸二無水物及びジアミンは以下のとおりである。
微細炭素繊維(多層カーボンナノチューブ(MWCNT)):宇部興産株式会社製 AMC(登録商標)
ポリビニルアルコール(PVA):日本酢ビ・ポバール株式会社製 JMR−10H
1,2−ジメチルイミダゾール(1,2−DMz)
N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)
二塩基酸エステル(No.23エステル)(DBE)
トリエチレングリコールジメチルエーテル(MTM)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)
以下の例で用いた特性の測定方法を以下に示す。
〔分散液中の微細炭素繊維のメジアン径測定〕
得られた微細炭素繊維分散液の微細炭素繊維の粒径をレーザー回折/散乱法により測定した。測定はマルバーン製レーザー回折散乱式粒度分布計、マスターサイザー3000を用いて、体積基準50%径(メジアン径(D50))を評価の指標とした。
〔膜厚の測定〕
得られたポリイミド多孔質膜の厚みは東京精密社製 高精度デジタル測長器MINIAX PH−13及び同社表示ユニットDH−150を用いて測定した。
〔密度の算出〕
得られたポリイミド多孔質膜を所定の大きさに切り取り、膜厚及び重量を測定し、以下の式から密度を算出した。

密度(g/cm)=膜の重量(g)/(膜の面積(cm)×厚さ(cm))
〔通気性測定(ガーレー値(透気度))〕
得られたポリイミド多孔質膜のガーレー値(透気度)を測定した。テスター産業社製ガーレー式デンソメーターPA−301及び同社デジタルオートカウンターPA−302を用いて、100mlの空気が測定試料を透過する時間を計測した。
〔ミストの条件〕
超音波発振子により発生したミストを所定の流量の気体でダクト内に導いた時のミスト濃度とダクト内の風量は次のように算出した。超音波発振子により発生したミストを所定の流量の気体でダクト内に導き、そのままダクトを通じてミストを系外に廃棄し、ミスト発生装置全体の重量を計測し単位時間当たりの重量減少をミスト発生量とした。その状態で超音波発振子を停止させダクト内の風速を測定し、ダクトの断面積から風量を算出した。単位時間当たりのミスト発生量(kg)を単位時間当たりの風量(kg)で割った値をミスト濃度(kg−ミスト/kg−気体)と規定した。ミスト発生装置のミスト発生部にAbitelax社製超音波加湿器 AUH−452と同社超音波加湿器AUH−1000Tのいずれか1台もしくは2台を使用してミストを発生させた。超音波加湿器本体に内蔵されている送風ファンの吹き出し口の開度で風量を制御した。ダクトの断面積から流速を制御した。ミストにはイオン交換水を使用し、ミストを送り出す気体は温度25℃湿度30%Rhの空気を用いた。又、ミスト発生部に株式会社ニッポー製超音波加湿器 霧風NP796を使用し、超音波加湿器本体に内蔵されている送風ファンの吸入口の開度で風量を制御した。ダクトの断面積から流速を制御した。ミストにはイオン交換水を使用し、ミストを送り出す気体は温度25℃湿度30%Rhの空気を用いた。
〔製造例1〕
分散剤としてPVA(日本酢ビ・ポバール株式会社製 JMR−10H)12gをDMAc368g中に溶解し、多層カーボンナノチューブ(MCNT:製品名AMC 宇部興産(株)製)20gを混合して、吉田機械興業製ナノヴェイタ(クロスノズルタイプ)を用いて150MPaで5パス処理する事で、5wt%の微細炭素繊維分散液を得た。得られた微細炭素繊維分散液のメジアン径は0.03μmであった。
〔製造例2〕
DMAcの代わりにDMFを用いた他は、製造例1と同様の操作を行い、5wt%の微細炭素繊維分散液を得た。得られた微細炭素繊維分散液のメジアン径は0.03μmであった。
〔実施例1〕
攪拌装置を備えたガラス容器中にDMAc20.4g、DBE15gを加えた後、ODA1.215gを投入し、撹拌しながらs−BPDA1.785gを投入し、室温で4時間撹拌した。その後、1,2−DMz0.233g、モノステアリルリン酸エステルトリエタノールアミン塩0.021g投入し、均一に溶解するまで攪拌してポリイミド前駆体溶液を調整した。この溶液を平滑な200mm角のステンレス板からなる支持体上に、スペーサーフィルムとブレードを用いて約300μmの厚みに流延した。この液膜を支持体ごとミスト発生装置のダクトを設置したホットプレートの上に配置し、ミスト濃度0.036kg−ミスト/kg−空気、流速0.55m/sに相当する条件でミストと接触させながら135℃で10分間加熱乾燥させた。得られた膜を支持体から剥離した自己支持膜を、四方を拘束するピンテンターに貼り付け、熱風炉にて130から10℃/minの設定値で330℃まで昇温し、10分間同温度を保持した後、冷却してポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。加熱乾燥時にミストと接触させた場合、得られたポリイミド多孔質膜は良好な通気性を示すことがわかった。
〔実施例2〕
攪拌装置を備えたガラス容器中にDMAc15g、MTM15gを加えた後、ODA1.215gを投入し、撹拌しながらs−BPDA1.785gを投入し、室温で4時間撹拌した。その後、1,2−DMz0.233g、モノステアリルリン酸エステルトリエタノールアミン塩0.021g投入し、均一に溶解するまで攪拌してポリイミド前駆体溶液を調整した。この溶液を平滑な200mm角のステンレス板からなる支持体上に、スペーサーフィルムとブレードを用いて約300μmの厚みに流延した。この液膜を支持体ごとミスト発生装置のダクトを設置したホットプレートの上に配置し、ミスト濃度0.036kg−ミスト/kg−空気、流速0.55m/sに相当する条件でミストと接触させながら135℃で10分間加熱乾燥させた。得られた膜を支持体から剥離した自己支持膜を、四方を拘束するピンテンターに貼り付け、熱風炉にて130から10℃/minの設定値で330℃まで昇温し、10分間同温度を保持した後、冷却してポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。加熱乾燥時にミストと接触させた場合、用いる良溶媒をMTMに変更した場合であっても、得られたポリイミド多孔質膜は良好な通気性を示すことがわかった。
〔比較例1〕
液膜を加熱乾燥する際にミストと接触させなかった他は、実施例1と同様の操作を行い、ポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。乾燥時にミストと接触させなかった場合、接触させた場合と比較して密度が高く、通気性が悪い膜が得られる事が確認された。
〔比較例2〕
液膜を加熱乾燥する際にミストと接触させなかった他は、実施例2と同様の操作を行い、ポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。乾燥時にミストと接触させなかった場合、接触させた場合と比較して密度が高く、通気性が悪い膜が得られることが確認された。
〔実施例3〕
攪拌装置を備えたガラス容器中に、製造例1で得られた微細炭素繊維分散液20.0gとDBE13.0gを加えて均一になるまで攪拌した。その後、ODA1.237gを投入し、撹拌しながらs−BPDA1.763gを投入した。さらに、DMAc1.825g、DBE2.0g、1,2−DMz0.233g,モノステアリルリン酸エステルトリエタノールアミン塩0.02gを加え、室温で4時間、均一になるまで撹拌して微細炭素繊維分散ポリイミド前駆体溶液を調整した。この溶液を平滑な200mm角のステンレス板からなる支持体上に、スペーサーフィルムとブレードを用いて約400μmの厚みに流延した。この液膜を支持体ごとミスト発生装置のダクトを設置したホットプレートの上に配置し、ミスト濃度0.036kg−ミスト/kg−空気、流速0.55m/sに相当する条件でミストと接触させながら135℃で10分間加熱乾燥させた。得られた膜を支持体から剥離した自己支持膜を、四方を拘束するピンテンターに貼り付け、熱風炉にて130から10℃/minの設定値で330℃まで昇温し、10分間同温度を保持した後、冷却して微細炭素繊維含有ポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表2に示す。加熱乾燥時にミストと接触させた場合、導電性フィラーとして、微細炭素繊維を含有するポリイミド前駆体を用いた場合でも、得られるポリイミド多孔質膜は良好な通気性を示すことがわかった。
〔実施例4〕
攪拌装置を備えたガラス容器中に、製造例2で得られた微細炭素繊維分散液20.0gとDBE13.0gを加えて均一になるまで攪拌した。その後、ODA1.226gを投入し、撹拌しながらs−BPDA1.774gを投入した。さらに、DMF5.334g、DBE2.0g、1,2−DMz0.233g,モノステアリルリン酸エステルトリエタノールアミン塩0.02gを加え、室温で4時間、均一になるまで撹拌して微細炭素繊維分散ポリイミド前駆体溶液を調整した。この溶液を平滑な200mm角のステンレス板からなる支持体上に、スペーサーフィルムとブレードを用いて約400μmの厚みに流延した。この液膜を支持体ごとミスト発生装置のダクトを設置したホットプレートの上に配置し、ミスト濃度0.036kg−ミスト/kg−空気、流速0.55m/sに相当する条件でミストと接触させながら135℃で10分間加熱乾燥させた。得られた膜を支持体から剥離した自己支持膜を、四方を拘束するピンテンターに貼り付け、熱風炉にて130から10℃/minの設定値で330℃まで昇温し、10分間同温度を保持した後、冷却して微細炭素繊維含有ポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表2に示す。加熱乾燥時にミストと接触させた場合、導電性フィラーとして、微細炭素繊維を含有するポリイミド前駆体を用いた場合でも、得られるポリイミド多孔質膜は良好な通気性を示すことがわかった。
〔比較例3〕
液膜を加熱乾燥する際にミストと接触させなかった他は、実施例3と同様の操作を行い、ポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。乾燥時にミストと接触させなかった場合、接触させた場合と比較して密度が高く、通気性が悪い膜が得られることが確認された。
〔比較例4〕
液膜を加熱乾燥する際にミストと接触させなかった他は、実施例4と同様の操作を行い、ポリイミド多孔質膜を得た。得られた多孔質膜の特性を表1に示す。乾燥時にミストと接触させなかった場合、接触させた場合と比較して密度が高く、通気性が悪い膜が得られることが確認された。
Figure 2017164726
Figure 2017164726
本発明で得られるポリイミド多孔質膜は、クッション材、吸液材、断熱材、分離材、セパレータ、気体用フィルタ、液体用フィルタ、通気部品、気体拡散層などの用途に好適に用いることができる。また、本発明の多孔質ポリイミド膜は、耐熱性に優れ、250℃以上の使用温度領域でも使用することができる為、音響部品保護膜、耐熱フィルタ、触媒担体、熱交換器等の用途にも好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で示される反復単位からなるポリイミド前駆体と、ポリイミド前駆体の良溶媒と、前記ポリイミド前駆体の良溶媒より30℃以上高い沸点を有するポリイミド前駆体の非溶媒とを少なくとも含むポリイミド前駆体溶液を、ポリイミド前駆体の非溶媒からなる蒸気及び又はミストの存在下で加熱、乾燥させることを特徴とするポリイミド多孔質膜の製造方法。
    Figure 2017164726
    〔式中、Bは、芳香族環を含む4価のユニットであり、式中、Aは、芳香族環を含む2価のユニットである。〕
  2. 前記ポリイミド前駆体の非溶媒が、グリコールジエーテル系溶媒、カルボン酸ジエステル系溶媒、グリコールモノエーテルアセテート系溶媒のいずれか一種、若しくは二種以上の混合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド多孔質膜の製造方法。
  3. 前記ポリイミド前駆体の良溶媒が、アミド系有機溶媒であることを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載のポリイミド多孔質膜の製造方法。
  4. 導電性フィラーを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミド多孔質膜の製造方法。
  5. 導電性フィラーが微細炭素繊維であることを特徴とする請求項4に記載のポリイミド多孔質膜の製造方法。
  6. 通気度(ガーレー値)が1000秒/100cc以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法によって製造されたポリイミド多孔質膜。
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