JP2018053099A - ポリイミドゲル状組成物、ポリイミド多孔質体、その製造方法、断熱材 - Google Patents

ポリイミドゲル状組成物、ポリイミド多孔質体、その製造方法、断熱材 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、耐熱性、耐薬品性に優れたポリイミドからなり、孔の形状やサイズが制御されたポリイミドゲル状組成物を提供し、それを乾燥させることによる空孔率が高いポリイミド多孔質体の製造方法を提供し、概ポリイミド多孔質体を用いた断熱材を製造可能な新しい技術を提供することにある。【解決手段】下記一般式(1)で示される反復単位からなるポリイミド前駆体と、ポリイミド前駆体の良溶媒と、前記ポリイミド前駆体の非溶媒と、イミド化触媒、及び脱水剤を少なくとも混合してなることを特徴とするポリイミドゲル状組成物。【化1】〔式中、Bは、芳香族環を含む4価のユニットであり、式中、Aは、芳香族環を含む2価のユニットである。〕【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミドゲル状組成物、ポリイミド多孔質体、その製造方法、断熱材に関する。
ポリマー多孔質体は、電池用セパレータや電解コンデンサ用隔膜、集塵、精密濾過、膜分離、断熱材など様々な用途に用いられている。特にポリイミド多孔質体はポリイミド由来の耐熱性、力学特性、耐薬品性を有する事からその応用展開が期待されており、非溶媒誘起相分離法(NIPS)、蒸気誘起相分離法(VIPS)、熱誘起相分離法(TIPS)など、種々の方法での製造が検討されている。非溶媒誘起相分離法の例としては、特許文献1にビフェニルテトラカルボン酸成分とジアミン成分とから得られるポリイミド前駆体ワニスキャストフィルムに多孔質フィルムを積層した後、非溶媒に浸漬することを特徴とするポリイミド多孔質膜の製造方法が開示されている。また、蒸気誘起相分離法の例としては、特許文献2にポリイミド前駆体0 .3〜60重量% と溶媒99 .7〜40重量%とからなる溶液をフィルム状に流延し、得られたポリイミド前駆体のフィルム状物に蒸気暴露する処理を行った後、凝固溶媒に浸漬もしくは接触させることを特徴とするポリイミド多孔質膜の製造方法が開示されている。さらに、特許文献3には凝固浴を用いずに多孔質膜を製造する方法として、ポリイミド前駆体と、アミド系溶媒と、アミド系溶媒より50℃以上高い沸点を有するエーテル系溶媒を含有するポリイミド前駆体溶液を基材上に流延し、加熱乾燥・イミド化させることを特徴とするポリイミド多孔質フィルムの製造方法が開示されている。しかしながら、これらの手法は厚さが概ね1mm以下のフィルム状の多孔質体は比較的得やすいものの、相分離等に伴い形成された構造を積極的に凍結する事は考慮に入れていない為、1mm以上の厚膜や、バルクの多孔質体を得ることは、実質上困難であった。
一方、ポリイミド系樹脂を化学架橋又は物理架橋することによって得られるゲルを、乾燥させることで多孔質体(キセロゲル)を得る方法が、特許文献4、5に開示されている。これらの方法では、架橋によって構造を凍結し、その後乾燥させることで多孔質体を得ているが、相分離等を利用した積極的な高次構造形成、すなわち多孔構造の積極的な制御は行っていない。そのため、得られるゲルの網目構造は非常に小さく、超臨界乾燥等の毛細管力が実質的に生じない乾燥方法以外ではゲルが大幅に収縮し、空孔率の高い多孔質体を得ることは困難であった。特許文献6には、『ポリアミド酸、該ポリアミド酸と相分離する相分離化剤、イミド化触媒、及び脱水剤を含有するポリマー溶液を基板上に塗布し、乾燥させてミクロ相分離構造を有する相分離構造体を作製する工程、相分離構造体から前記相分離化剤を除去して多孔質体を作製する工程、及び多孔質体中のポリアミド酸をイミド化させてポリイミドを合成する工程を含むポリイミド多孔質体の製造方法』が開示されており、相分離とイミド化の両方を用いた多孔質体製造の方法が提案されている。しかしながら、特許文献6で想定している相分離化剤としては、ミクロ相分離構造の非連続相を構成する成分として、ポリマー系の材料が列挙されているだけであり、相分離構造の制御には限界があった。また、実質的には高圧の二酸化炭素を用いて抽出したものであり、製造コストの面では課題があった。
特開平11−310658号公報 特開2001−089593号公報 特開2007−211136号公報 特開2000−154273号公報 特表2005−533893号公報 特開2013−014742号公報
本発明の目的は、耐熱性、耐薬品性に優れたポリイミドからなり、孔の形状やサイズが制御されたポリイミドゲル状組成物を提供し、それを乾燥させることによる空孔率が高いポリイミド多孔質体の製造方法を提供し、概ポリイミド多孔質体を用いた断熱材を製造可能な新しい技術を提供することにある。
本発明者らは、ポリイミド前駆体がイミド化する際に溶媒への溶解性が低下する事に着目して鋭意検討を重ねた。その結果、ポリイミド前駆体の良溶媒溶液に、イミド化触媒と脱水剤に加え、あらかじめ非溶媒を加えてポリイミド前駆体のイミド化に伴う溶解性を制御する事で、イミド化に伴う相分離による高次構造形成と、イミド化に伴う物理架橋によるゲル化を用いた構造凍結とを並行して行うことで、高次構造が制御されたポリイミドゲルを得ることが可能となる事を見出した。さらに、このポリイミドゲルは、乾燥後の収縮が比較的抑えられ、常圧乾燥等の条件下であっても高い空孔率のポリイミド多孔質体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の事項に関する。
1.下記一般式(1)で示される反復単位からなるポリイミド前駆体と、ポリイミド前駆体の良溶媒と、前記ポリイミド前駆体の非溶媒と、イミド化触媒、及び脱水剤を少なくとも混合してなることを特徴とするポリイミドゲル状組成物。
〔式中、Bは、芳香族環を含む4価のユニットであり、式中、Aは、芳香族環を含む2価のユニットである。〕
2.前記ポリイミド前駆体の非溶媒が、グリコールジエーテル系溶媒、カルボン酸ジエステル系溶媒、グリコールモノエーテルアセテート系溶媒のいずれか一種、若しくは二種以上の混合物であることを特徴とする前記項1に記載のポリイミドゲル状組成物。
3.前記ポリイミド前駆体の非溶媒の混合量が、全溶媒量に対して5wt%以上、80wt%未満であることを特徴とする前記項1〜2のいずれか1項に記載のポリイミドゲル状組成物。
4.一般式(1)中、Bで示される構造の一部に下記化学式(2)で示される構造を含むことを特徴とする前記項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミドゲル状組成物。

5.一般式(1)中、Aで示される構造の一部に下記化学式(3)で示される構造を含むことを特徴とする前記項1〜4のいずれか1項に記載のポリイミドゲル状組成物。

6.前記ポリイミド前駆体の良溶媒が、アミド系有機溶媒であることを特徴とする前記項1〜5のいずれか1項に記載のポリイミドゲル状組成物。
7.前記のアミド系有機溶媒がN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドのいずれか一種、若しくは二種以上の混合物であることを特徴とする前記項6に記載のポリイミドゲル状組成物。
8.補強材が添加されたことを特徴とする、前記項1〜7のいずれか1項に記載のポリイミドゲル状組成物。
9.前記項8に記載の補強材が、高分子繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、炭素繊維、又は生重合体繊維からなる織布又は不織布から選ばれることを特徴とする、ポリイミドゲル状組成物。
10.前記項1〜9のいずれか1項に記載のポリイミドゲル状組成物を乾燥させたことを特徴とするポリイミド多孔質体。
11.前記項10に記載のポリイミドゲル状組成物の乾燥方法が、溶媒置換後、常圧乾燥させる方法であることを特徴とする、ポリイミド多孔質体の製造方法。
12.前記項10又は11に記載の方法で得られたポリイミド多孔質体を用いた断熱材。
本発明によって、耐熱性、耐薬品性に優れたポリイミドからなり、孔の形状やサイズが制御されたポリイミドゲル状組成物及びポリイミド多孔質体を得ることが出来る。本発明で得られるポリイミド多孔質体は、フィルム状の多孔質体のみならず、バルク状の多孔質体を得ることが可能であり、比較的高い空孔率を有しているため、断熱材等に好適に用いる事が出来る。
実施例1の多孔質体の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 実施例2の多孔質体の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 比較例1の多孔質体の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 比較例2の多孔質体の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明のポリイミドゲル状組成物は、ポリイミド前駆体と、ポリイミド前駆体の良溶媒と、前記ポリイミド前駆体の非溶媒と、イミド化触媒、及び脱水剤を少なくとも混合することで得られる。
<ポリイミド前駆体モノマー>
本発明に用いるポリイミド前駆体は、前記一般式(1)で示される反復単位からなり、式中、Bはテトラカルボン酸成分に起因する4価のユニットである。また、Aはジアミン成分に起因する2価のユニットである。ポリイミド前駆体を構成するユニットについて以下に詳述する。
ユニットBは、テトラカルボン酸成分に起因する4価のユニットである。テトラカルボン酸成分はポリイミド前駆体を重合可能な範囲で特に限定されないが例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(i−BPDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2、2‐ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物及びその混合物が挙げられる。その中でも特にs−BPDA、a−BPDAが得られるポリイミドの耐熱性、耐薬品性、力学特性の観点から好ましい。
ユニットAは、ジアミン成分に起因する2価のユニットである。ジアミン成分はポリイミド前駆体を重合可能な範囲で特に限定されないが例えば、p−フェニレンジアミン(PPD)、m−フェニレンジアミン(MPD)などのフェニレンジアミン類、3,5−ジアミノ安息香酸などのジアミノ安息香酸類、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメトキシ−ジアミノジフェニルエーテルなどのジアミノジフェニルエーテル類、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノビフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニルメタン、2,2’−ジフルオロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどのジアミノジフェニルメタン類、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−(3,4'−ジアミノジフェニル)プロパンなどのジアミノジフェニルプロパン類、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどのビス(アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン類、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンなどのジアミノジフェニルスルホン類、3,7−ジアミノ−2,8−ジメチル−ジベンゾチオフェン、2,8−ジアミノ−3,7−ジメチル−ジベンゾチオフェン、3,7−ジアミノ−2,6−ジメチル−ジベンゾチオフェンなどのジアミノジベンゾチオフェン類、3,7−ジアミノ−2,8−ジメチル−ジフェニレンスルフォン、3,7−ジアミノ−2,8−ジエチル−ジフェニレンスルフォン、3,7−ジアミノ−2,8−ジメトキシ−ジフェニレンスルフォン、2,8−ジアミノ−3,7−ジメチル−ジフェニレンスルフォンなどのジアミノジフェニレンスルフォン類(後述のジアミノジベンゾチオフェン=5,5−ジオキシド類に同じ)、4,4’−ジアミノビベンジル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビベンジルなどのジアミノビベンジル類、0−ジアニシジン、0−トリジン、m−トリジンなどのジアミノビフェニル類、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノンなどのジアミノベンゾフェノン類、2,2’,5,5’−テトラクロロベンジジン、3,3’,5,5’−テトラクロロベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、2,2’−ジクロロベンジジン、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサクロロベンジジン、2,2',5,5’−テトラブロモベンジジン、3,3’,5,5’−テトラブロモベンジジン、3,3’−ジブロモベンジジン、2,2’−ジブロモベンジジン、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサクロロベンジジンなどのジアミノベンジジン類、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)などのビス(アミノフェノキシ)ベンゼン類、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼンなどのジ(アミノフェニル)ベンゼン類、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパンなどのビス〔(アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン類、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパンなどのビス〔(アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン類、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホンなどのジ〔(アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン類、4,4’−ビス(4−アミノフェニル)ビフェニルなどのジ(アミノフェニル)ビフェニル類、5(6)−アミノ−2−(4−アミノフェニル)−ベンゾイミダゾール(DAPBI)などのジアミノベンゾアゾール類及びその混合物が挙げられる。その中でも特にODAが力学特性の観点から好ましい。その他、脂環族ジアミンとして、イソホロンジアミン、シクロヘキサンジアミンなどを、重合性を妨げない範囲で適宜利用できる。
<良溶媒>
本発明に用いるポリイミド前駆体の良溶媒としては、ポリイミド前駆体を溶解するものであれば特に限定されないが、具体的にはアミド系溶媒が挙げられる。アミド系溶媒の例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)、ピリジン、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)等を挙げる事が出来る。これらの良溶媒は、それぞれ単体で用いてもよいし、二種以上の混合物として用いても構わない。
<非溶媒>
本発明に用いるポリイミド前駆体の非溶媒は、ポリイミド前駆体のイミド化の進行に伴う溶媒への溶解性の低下による相分離を制御する為に用いられる。非溶媒を用いない場合も、イミド化に伴い一部の組成のポリイミドは上記良溶媒に不溶となるが、一般的には物理架橋に伴うゲル化が中心であり、有色透明なゲルが生成する。この場合、ゲルの網目構造は非常に細かい為、常圧乾燥等では毛細管力によるゲルの収縮を抑制出来ず、高い空孔率のポリイミド多孔質体を得ることは困難である。一方、非溶媒を適度に加える事で、ポリイミド前駆体の段階では溶媒と相溶している状態から、イミド化触媒及び脱水剤の添加によってイミド化が進行するにつれて混合溶媒への溶解性が低下し、物理架橋の進行と同時に相分離が誘起される。この場合、得られるゲルは一般的に有色半透明から有色不透明のものであり、常圧乾燥等の条件でもゲルの収縮を抑制可能な相分離構造を持つポリイミドゲル状組成物が得られる。
本発明に用いる非溶媒としては、グリコールジエーテル系溶媒、カルボン酸ジエステル系溶媒、グリコールモノエーテルアセテート系溶媒のいずれか一種、若しくは二種以上の混合物が好ましい。
具体的なグリコールジエーテル系溶媒としては、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどが好適に利用できる。
カルボン酸ジエステル系溶媒としては、こはく酸ジメチル、こはく酸ジエチル、グルタル酸ジメチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル等が好ましい。また、こはく酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチルの混合物である二塩基酸エステル(商品名DBE:三協化学株式会社)等も好適に用いる事が出来る。
グリコールモノエーテルアセテート系溶媒としては、エチルカルビネートアセテート、ブチルカルビネートアセテート等が具体的に挙げられる。
これらの非溶媒は、それぞれ単体で用いてもよいし、二種以上の混合物として用いても構わない。
本発明において、非溶媒の混合量は、非溶媒の種類に応じて適宜決定されるが、概ね全溶媒量の5wt%以上、80wt%未満の範囲であり、10wt%以上、70wt%未満である事がより好ましく、20wt%以上、60wt%以下であることが特に好ましい。非溶媒の添加量は非溶媒としての強さ、即ちポリイミド前駆体及びポリイミドとの相溶性に応じて適宜調整することが重要である。一般的には、5wt%以下では非溶媒の量が足りず、イミド化に伴う相分離を誘起するのに不十分な為、空孔率の高い多孔質体を得ることが困難となる。一方、80wt%以上加えると、ポリイミド前駆体の段階で混合溶媒に溶解出来なくなってしまい、本技術による多孔質体形成が困難となる。
<イミド化触媒・脱水剤>
本発明では、化学イミド化によりポリイミド前駆体をイミド化する。具体的にはイミド化触媒と脱水剤をポリイミド前駆体に混合する事で、イミド化を促進し、相分離及びゲル化を誘起する事で高次構造が制御されたポリイミドゲルを得ることが出来る。イミド化触媒としては、トリメチルアミン、トリエチレンジアミン等の脂肪族第3級アミン、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン、イソキノリン、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、イミダール、ベンズイミダゾール等の複素環第3級アミン等が挙げられるが、臭気や反応性の観点からイソキノリンやメチルピリジン、イミダゾール等がより好ましい。脱水剤としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の脂肪族酸無水物、無水安息香酸、無水フタル酸等の芳香族酸無水物等が挙げられるが、脂肪族酸無水物が好ましく、無水酢酸がより好ましい。
<ポリイミドゲル状組成物>
本発明のポリイミドゲル状組成物は、ポリイミド前駆体と、ポリイミド前駆体の良溶媒と、前記ポリイミド前駆体の非溶媒と、イミド化触媒、及び脱水剤を少なくとも混合することで得られる。より具体的には、ポリイミド前駆体の良溶媒及び非溶媒からなる溶液を調整し、その中にイミド化触媒、及び脱水剤を加える事でポリイミドゲル状組成物が得られる。
ポリイミド前駆体溶液は、溶媒中において、前記の芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを用いて、公知の方法で重合することが出来る。非溶媒を加える順序は特に限定されないが、例えば予め良溶媒と非溶媒を混合した中に略等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを添加して均一になるまで混合することで良溶媒と非溶媒を含有したポリイミド前駆体溶液を得る事が出来る。また、ポリイミド前駆体の良溶媒中に略等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを添加して均一になるまで混合することでポリイミド前駆体の良溶媒溶液を製造し、さらにこれらを撹拌しながら非溶媒を少量ずつ加えて均一になるまで混合する事で、良溶媒と非溶媒を含有したポリイミド前駆体溶液を得る事が出来る。本発明では、非溶媒及びそれに含まれる微量の水分がポリイミド前駆体の重合に悪影響を与える懸念から、後者の手法を特に好適に用いることが出来る。
芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを混合する際の反応温度は、−30〜120℃が好ましく、−20〜80℃がより好ましい。反応時間は、0.5時間〜100時間が好ましく、2時間〜48時間がより好ましい。テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合割合は等モルとなるように調整することが好ましいが、これらのモノマーの比率を若干変動させることにより、ポリイミド前駆体の重合度を任意に調節することができる。
本発明のポリイミド前駆体溶液中のポリイミド前駆体の濃度は、通常1〜50wt%、好ましくは5〜30wt%である。1wt%未満では、固形分が不足することで良好なポリイミドゲル状組成物が得られない為に好ましくなく、50wt%を超えると溶媒中へのポリイミド前駆体の溶解が難しくなる。
本発明のポリイミド前駆体溶液の溶液粘度は、1Pa・s〜3000Pa・s、好ましくは5Pa・s〜1000Pa・s、特に好ましくは10Pa・s〜500Pa・sである。溶液粘度が3000Pa・sを越えるとイミド化触媒及び脱水剤を添加後、シート状やバルク状に加工するために、基板上に流延したり、型に流し込んだりする事が困難となる。溶液粘度が1Pa・s未満ではゲルとしての形状を保持できなくなり、良好なポリイミドゲル状組成物が得られにくくなるため、適当ではない。
本発明では、上記のポリイミド前駆体の良溶媒及び非溶媒からなる溶液に、イミド化触媒、及び脱水剤を加える事でイミド化が進行し、ポリイミドゲル状組成物が得られる。イミド化触媒及び脱水剤の添加量は、ポリイミド前駆体中のカルボキシル基に対して0.1〜4モル当量程度が好ましく、0.5〜2モル当量程度がより好ましい。0.1モル当量未満の場合、ポリイミド前駆体のイミド化が進みづらく、良好なポリイミドゲル状組成物が得られない為に好ましくなく、4モル当量を超えるとポリイミド前駆体のイミド化が急速に進行する為、基板上に流延したり、型に流し込んだりする加工が困難となる。
イミド化触媒及び脱水剤を加えた後、ゲル化させる際の温度は、概ね0℃〜130℃が好ましく、10℃〜80℃がより好ましい。0℃未満だとゲル化が進行しづらくゲル化に長い時間を要するために好ましくなく、130℃を超えるとゲル化前に溶媒、イミド化触媒、脱水剤等が蒸発してしまう懸念があり、好ましくない。ゲル化時間はポリイミド前駆体の種類、濃度、イミド化触媒及び脱水剤の種類、添加量、ゲル化させる際の温度等によって適宜調整されるが、概ね1分〜48時間である。
<補強材>
本発明のポリイミドゲル状組成物には、必要に応じて補強材を添加することが出来る。補強材としては、ポリイミドゲル状組成物を補強する効果のあるものであれば特に限定されないが、特に繊維状物質やそれからなる織布又は不織布等が好ましい。より具体的には、高分子繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、炭素繊維、又は生重合体繊維等からなる織布又は不織布等が挙げられる。補強材を添加する場合、イミド化触媒及び脱水剤を混合前又は混合後に、ドープが流動性を保っている間に添加することが好ましい。なお、織布や不織布を補強材として用いる場合は、イミド化触媒及び脱水剤を混合後、ドープが流動性を保っている間に織布や不織布に含浸させて複合させる事が好ましい。
本発明のポリイミドゲル状組成物には、必要に応じて各種界面活性剤、有機シラン、顔料、導電性のカーボン粒子や微細炭素繊維、金属微粒子等の充填材、摩滅材、誘電体、潤滑材等の他、公知の添加物を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。また、他の重合体が本発明の効果を損なわない範囲で添加されていてもよい。
<ポリイミド多孔質体の製造方法>
本発明では、上記ポリイミドゲル状組成物を乾燥させることで、ポリイミド多孔質体を得ることが出来る。乾燥方法としては、公知の手法を用いる事が出来るが、例えば、常圧乾燥、超臨界乾燥、凍結乾燥等が用いられる。本発明のポリイミドゲル状組成物は、あらかじめ非溶媒を加えることで、相分離によって高次構造が制御され、非溶媒を加えなかった場合よりも毛細管力による収縮に耐えやすい構造となっている。そのため、溶媒置換後、常圧乾燥させる方法であっても、高い空孔率を有する多孔質体を得ることが可能である。超臨界乾燥や凍結乾燥等での乾燥も可能であるが、コスト的観点から溶媒置換後、常圧乾燥させる方法がより好ましい。
溶媒置換及び常圧乾燥は、公知の方法を用いる事が可能であり、特に限定されないが、より具体的には、最初にポリイミドゲル状組成物の溶媒であるアミド系溶媒及び非溶媒をアルコール等で置換し、更に表面張力の低いヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、フッ素系溶媒等へ置換し、乾燥させることが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の例で用いた酸二無水物、ジアミン、良溶媒、非溶媒、イミド化触媒、脱水剤は以下のとおりである。

3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)
パラフェニレンジアミン(PPD)
N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)
二塩基酸エステル:No.23エステル(DBE):三協化学株式会社製
イソキノリン
無水酢酸
以下の例で用いた特性の測定方法を以下に示す。
〔多孔構造の観察〕
得られたポリイミド多孔質体の多孔構造を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。試料を液体窒素中で破断した断面にスパッタリングにより金を蒸着して観察を行った。測定にはJEOL社製Carry Scope JCM−5700を用いた。
〔密度及び空孔率の測定〕
所定の大きさに切り取った多孔質体の面積、厚み、及び質量を測定し、目付質量から密度及び空孔率を下記一般式(2)、(3)によって求めた。

密度(g/cm)=w/S×d (一般式2)

空孔率(%)=(1−(w/S×d)/D)×100 (一般式3)

(式中、Sは多孔質体の面積、dは厚み、wは測定した質量、Dはポリイミド緻密体の推定密度をそれぞれ意味する。ポリイミド緻密体の推定密度はs−BPDA/ODAの場合、1.37g/cmとし、s−BPDA/PPDの場合、1.47g/cmとして計算した。)
〔製造例1〕
撹拌羽、窒素導入管、排気管を取り付けた500mlのガラス製セパラブルフラスコにODA12.16g及びDMAc270gを投入し、撹拌混合した。さらにs−BPDA約17.84gを徐々に加えながら撹拌し、室温で48時間混合してs−BPDA/ODAからなるポリイミド前駆体のDMAc溶液(ポリイミド前駆体固形分約10.0wt%)を調整した。
〔製造例2〕
撹拌羽、窒素導入管、排気管を取り付けた500mlのガラス製セパラブルフラスコにPPD8.09g及びNMP120gを投入し、撹拌混合した。さらにs−BPDA約21.91gを徐々に加えながら撹拌し、室温で48時間混合してs−BPDA/PPDからなるポリイミド前駆体のNMP溶液(ポリイミド前駆体固形分約20.0wt%)を調整した。
〔実施例1〕
製造例1で得られたポリイミド前駆体のDMAc溶液10gと、DMAc3gと、DBE7gと、イソキノリン0.522g(ポリイミド前駆体の−COOHに対して1モル当量)を混合し均一になるまで攪拌した。さらに、無水酢酸0.413g(ポリイミド前駆体の−COOHに対して1モル当量)を加え、THINKY社製あわとり練太郎(ARE−250)を用いて2000rpmで2分間攪拌、2200rpmで2分間脱泡を行い、均一になるように攪拌、脱泡操作を行った。得られた混合溶液をテフロン(登録商標)製のシャーレに移し、湿気が入らないように密閉した状態で、室温で1日静置して、ポリイミドゲル状組成物を得た。得られたポリイミドゲル状組成物をシャーレから取り出し、過剰量のエタノール中に浸漬し、8時間毎にエタノールを交換しながら24時間溶媒置換を行った。さらに、過剰量のヘプタン中に浸漬し、8時間毎にヘプタンを交換しながら24時間溶媒置換を行い、室温、常圧で24時間乾燥させた後、110℃で2時間乾燥させてポリイミド多孔質体を得た。得られたポリイミド多孔質体の特性を表1に示す。また、得られた多孔質体の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図1に示す。非溶媒であるDBEを適度に加える事でイミド化に伴う相分離による高次構造形成と、イミド化に伴う物理架橋によるゲル化を制御し、高い空孔率の多孔質体が得られることが示された。
〔実施例2〕
表1に示す組成比となるように、追加するDMAc及びDBEの量を変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリイミドゲル状組成物を作成し、さらに同様の溶媒置換、乾燥方法を用いてポリイミド多孔質体を得た。得られたポリイミド多孔質体の特性を表1に示す。非溶媒であるDBEの量を制御することで、得られる多孔質体の空孔率を制御可能であることが示された。
〔実施例3〕
製造例2で得られたポリイミド前駆体のNMP溶液5gと、DMAc5gと、DBE10gと、イソキノリン0.642g(ポリイミド前駆体の−COOHに対して1モル当量)を混合し均一になるまで攪拌した。さらに、無水酢酸0.507g(ポリイミド前駆体の−COOHに対して1モル当量)を加え、THINKY社製あわとり練太郎(ARE−250)を用いて2000rpmで2分間攪拌、2200rpmで2分間脱泡を行い、均一になるように攪拌、脱泡操作を行った。得られた混合溶液をテフロン(登録商標)製のシャーレに移し、湿気が入らないように密閉した状態で、室温で1日静置して、ポリイミドゲル状組成物を得た。得られたポリイミドゲル状組成物をシャーレから取り出し、過剰量のエタノール中に浸漬し、8時間毎にエタノールを交換しながら24時間溶媒置換を行った。さらに、過剰量のヘプタン中に浸漬し、8時間毎にヘプタンを交換しながら24時間溶媒置換を行い、室温、常圧で24時間乾燥させた後、110℃で2時間乾燥させてポリイミド多孔質体を得た。得られたポリイミド多孔質体の特性を表1に示す。また、得られた多孔質体の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図2に示す。ポリイミド前駆体の組成をs−BPDA/PPDに変更した場合も、s−BPDA/ODA組成程でないものの、高い空孔率の多孔質体が得られることが示された。
〔比較例1〕
非溶媒であるDBEを添加せず、表1に示す組成比となるようにDMAcを追加した以外は、実施例1と同様の方法でポリイミドゲル状組成物を作成し、さらに同様の溶媒置換、乾燥方法を用いてポリイミド多孔質体を得た。得られたポリイミド多孔質体の特性を表1に示す。また、得られた多孔質体の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図3に示す。非溶媒であるDBEを添加しない場合、溶媒置換後の常圧乾燥ではゲルの収縮を抑制出来ず、高い空孔率の多孔質体は得られなかった。
〔比較例2〕
非溶媒であるDBEを添加せず、表1に示す組成比となるようにDMAcを追加した以外は、実施例3と同様の方法でポリイミドゲル状組成物を作成し、さらに同様の溶媒置換、乾燥方法を用いてポリイミド多孔質体を得た。得られたポリイミド多孔質体の特性を表1に示す。また、得られた多孔質体の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を図4に示す。非溶媒であるDBEを添加しない場合、溶媒置換後の常圧乾燥ではゲルの収縮を抑制出来ず、高い空孔率の多孔質体は得られなかった。
〔実施例4〕
製造例1で得られたポリイミド前駆体のDMAc溶液10gと、DMAc6gと、DBE9.5gと、イソキノリン0.522g(ポリイミド前駆体の−COOHに対して1モル当量)を混合し均一になるまで攪拌した。さらに、無水酢酸0.413g(ポリイミド前駆体の−COOHに対して1モル当量)を加え、THINKY社製あわとり練太郎(ARE−250)を用いて2000rpmで2分間攪拌、2200rpmで2分間脱泡を行い、均一になるように攪拌、脱泡操作を行った。得られた混合溶液をポリプロピレンとポリエステルからなる複合不織布(シンサレート:3M社製)に含浸させ、湿気が入らないように密閉した状態で、室温で1日静置して、高分子繊維からなる不織布で補強されたポリイミドゲル状組成物を得た。得られたポリイミドゲル状組成物を過剰量のエタノール中に浸漬し、8時間毎にエタノールを交換しながら24時間溶媒置換を行った。さらに、過剰量のヘプタン中に浸漬し、8時間毎にヘプタンを交換しながら24時間溶媒置換を行い、室温、常圧で24時間乾燥させた後、110℃で2時間乾燥させてポリイミド多孔質体を得た。得られたポリイミド多孔質体の特性を表1に示す。高分子繊維からなる不織布で補強した場合も、補強材無しの場合と同等の密度を有する多孔質体が得られることが示された。また、補強材を用いた多孔質体は、補強材を用いなかった場合と比較して柔軟性に富み、断熱材等の用途に好適な繊維強化ポリイミド多孔質体が得られることが示された。
〔実施例5〕
ポリプロピレンとポリエステルからなる複合不織布の代わりに、グラスウール(24kg/cm3、厚み1cm)を用いた以外は実施例4と同様の方法で、グラスウール強化ポリイミドゲル状組成物を作成し、さらに同様の溶媒置換、乾燥方法を用いてグラスウール強化ポリイミド多孔質体を得た。得られたポリイミド多孔質体の特性を表1に示す。ガラス繊維からなる不織布で補強した場合も、補強材無しの場合と同等の密度を有する多孔質体が得られることが示された。また、補強材を用いた多孔質体は、補強材を用いなかった場合と比較して柔軟性に富み、断熱材等の用途に好適な繊維強化ポリイミド多孔質体が得られることが示された。
本発明のポリイミドゲル状組成物は、溶媒置換後の常圧乾燥等、比較的コストのかからない手法で、ポリイミド由来の耐熱性、耐薬品性を兼ね備え、高い空孔率を有するポリイミド多孔質体とする事が可能である。本発明で得られるポリイミド多孔質体は、断熱材、クッション材、吸液材、分離材、セパレータ、気体用フィルタ、液体用フィルタ、通気部品、気体拡散層などの用途に好適に用いることができる。また、本発明の多孔質ポリイミド膜は、耐熱性に優れ、250℃以上の使用温度領域でも使用することができる為、音響部品保護膜、耐熱フィルタ、触媒担体、熱交換器等の用途にも好適に用いることができる。

Claims (12)

  1. 下記一般式(1)で示される反復単位からなるポリイミド前駆体と、ポリイミド前駆体の良溶媒と、前記ポリイミド前駆体の非溶媒と、イミド化触媒、及び脱水剤を少なくとも混合してなることを特徴とするポリイミドゲル状組成物。
    〔式中、Bは、芳香族環を含む4価のユニットであり、式中、Aは、芳香族環を含む2価のユニットである。〕
  2. 前記ポリイミド前駆体の非溶媒が、グリコールジエーテル系溶媒、カルボン酸ジエステル系溶媒、グリコールモノエーテルアセテート系溶媒のいずれか一種、若しくは二種以上の混合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミドゲル状組成物。
  3. 前記ポリイミド前駆体の非溶媒の混合量が、全溶媒量に対して5wt%以上、80wt%未満であることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のポリイミドゲル状組成物。
  4. 一般式(1)中、Bで示される構造の一部に下記化学式(2)で示される構造を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミドゲル状組成物。

  5. 一般式(1)中、Aで示される構造の一部に下記化学式(3)で示される構造を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリイミドゲル状組成物。

  6. 前記ポリイミド前駆体の良溶媒が、アミド系有機溶媒であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリイミドゲル状組成物。
  7. 前記のアミド系有機溶媒がN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドのいずれか一種、若しくは二種以上の混合物であることを特徴とする請求項6に記載のポリイミドゲル状組成物。
  8. 補強材が添加されたことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリイミドゲル状組成物。
  9. 請求項8に記載の補強材が、高分子繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、炭素繊維、又は生重合体繊維からなる織布又は不織布から選ばれることを特徴とする、ポリイミドゲル状組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリイミドゲル状組成物を乾燥させたことを特徴とするポリイミド多孔質体。
  11. 請求項10に記載のポリイミドゲル状組成物の乾燥方法が、溶媒置換後、常圧乾燥させる方法であることを特徴とする、ポリイミド多孔質体の製造方法。
  12. 請求項10又は11に記載の方法で得られたポリイミド多孔質体を用いた断熱材。
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