JP3680195B2 - 多孔質膜の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子工業分野における純水の濾過や食品、医薬品の清澄濾過及び除菌濾過などの広い範囲で利用される多孔質膜の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、乾式相転換法を用いた多孔質膜の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ポリマーを主溶剤、助溶剤、非溶剤等の混合溶液に溶解した製膜原液を支持体上に流延し、次いで乾燥することにより多孔質膜を製造する乾式相転換法にて得られる多孔質膜、例えばアセチルセルロースを主成分とする多孔質膜の表面は、図2の断面構造を示されるように、膜内部より孔の大きさが小さく、且つ孔の数が少ない開孔率の低い表面層を形成しているものが多い。
【0003】
上記精密濾過膜の表面の孔の数を増加させる手段として、特開平4−4025号には、表層を薄く削り取ることにより、表層よりもより多くの孔が形成されている内層を露出させる技術が提案されている。
【0004】
しかしこの技術によると、多孔質膜の表層を薄く削り取る際に、表面層だけでなく粒子等の内部捕捉を行う網目状多孔層をも削り取る虞が高いため、削り取る以外の方法で表面の孔径を大きくする方法が望まれている。
【0005】
また、特公昭55−6406号には、精密濾過膜の内部に最大孔径層を有する微孔シートを厚さ方向に2分割されるようにへき開し、一次側の層を剥離することにより、微孔シートの厚さ方向の内部構造を二次側に行くに従い孔のサイズが小さくなる逆さ台形構造とする技術が提案されている。
【0006】
この技術おいては、単に精密濾過膜の一方の表面に平板を貼り付けた後、平板より精密濾過膜を剥がすことにより、膜の内部の最大孔を形成している層にてへき開するのであるが、多くの精密濾過膜は強度が極めて弱いため、剥離の際に精密濾過膜を傷つける虞が高い。なおこの提案には、2分割することにより、2枚となった濾過表膜の両方を製品とすることも可能である旨が併わせて開示されているが、均等に2分割するためには、基となる膜の中心層が最大孔を形成していなければならず、そうでない場合は一方の膜は廃棄することとなり、ひいては製造コストの増加となることから、生産性の改善がなされない限り実施化は期待できない。
【0007】
更に、目詰まりしにくく濾過寿命の長い微孔性膜を得る製造方法として、特開昭62−91543号には、異種の高分子溶液(製膜原液)又は濃度の異なる同種の高分子溶液(製膜原液)を、同時又は逐次に多層積層塗布又は流延し、次いで乾燥する製造方法が提案されている。
【0008】
しかしこの技術では、例えば2層に積層した場合、第1層目と第2層目での内部孔径に差をつけることは可能であるが、濾過面(一次側)となる第2層目の内部孔径と濾過表面を比較した場合、依然として濾過表面の孔径は膜内部の孔径よりも小さくなるため、濾過表面での微粒子の捕捉による目詰まりを減少させることはできていない。濾過表面の孔径を大きくすることにより、膜内部での捕捉能力を有効に活用し、濾過寿命を増進させることこそ肝要である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の乾式相転換法にて得られる多くの多孔質膜の表面は、膜内部より孔の大きさが小さく、且つ孔の数が少ない開孔率の低いものが多く、このような多孔質膜を用いて微粒子を濾過した場合には、膜の内部層が表面よりも大きな孔径を有していながら、開孔率の低い膜の表面での微粒子の捕捉が主体となるため、目詰まりが早く濾過寿命が短い。
【0010】
よって、前記表面の孔径を大きくし、表面捕捉を少なくすることにより、濾過寿命を増加させることが望まれている。にもかかわらず、従来提案されている技術は、その要望に応えていない。
【0011】
本発明の目的は、濾過面の孔径を膜内部や支持体側表面よりも大きくすることにより、濾過面での微粒子の捕捉による目詰まりを減少させ、膜内部での捕捉能力を有効に活用し、濾過寿命の長い多孔質膜を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するため、乾式相転換法により得る多孔質膜の製造方法において、ポリマーを溶剤に溶解させた製膜原液を支持体上に流延し、前記製膜原液中の全ての溶剤が完全に蒸発しないで未だゲル化が進行しつつある過程において、前記製膜原液の表面に、前記ポリマーを溶解できる溶剤を含む溶液を布液させて濾過面のポリマ−を再溶解させるとともにポリマ−濃度を低下させる行程を含む多孔質膜の製造方法である。
【0013】
そして上記構成において、先に流延した製膜原液によるゲル化の進行度合が、前記製膜原液を構成する主溶剤の50%以上が未蒸発の状態下である多孔質膜の製造方法である。
【0014】
更に、上記各構成において、ポリマーを溶解できる溶剤を含む溶液の布液が、流延、塗布、噴霧の各行程である多孔質膜の製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
更に詳しくは、原料ポリマーと原料ポリマーを溶解できる主溶剤、主溶剤と相溶性があるがポリマーを溶解できない非溶剤、またポリマーの種類によっては、ポリマーの溶解能力が低く、且つ主溶剤との相溶性がある助溶剤や、その他必要に応じて用いられる孔径制御剤等の添加剤から構成される公知の方法により得られる製膜原液を、支持体上に均一に流延し、その製膜原液によるゲル化の進行度合が、前記製膜原液を構成する主溶剤の50%以上が未蒸発の状態下で、製膜原液の表面に、主溶剤、主溶剤と助溶剤又は/及び非溶剤から成る溶液を、流延又は塗布又は噴霧し、ゲル化が進行しつつある濾過面のポリマーを再溶解すると共に、濾過面のポリマー濃度を内部緻密層や支持体側より低下させた状態にて乾燥することにより、多孔質膜の表面の孔径を内部緻密層や支持体側よりも大きくした多孔質膜の製造方法である。
【0016】
本発明において用いられる多孔質膜の原料ポリマーは、一般に乾式相転換法にて製造できるポリマーであれば特に制限されることなく、例えばニトロセルロース、アセチルセルロース等適宜選択することが出来る。
【0017】
支持体上に流延された製膜原液の表面に、再溶解のため流延又は塗布又は噴霧する溶液は、原料ポリマーを溶解できる主溶剤が含まれていれば特に制限はないが、好ましくは、主溶剤の他に、ポリマーの溶解能力が低く且つ主溶剤との相溶性がある助溶剤や、主溶剤と相溶性があるがポリマーを溶解できない非溶剤、更に孔径制御剤等の添加剤等を含む溶液であり、特に好ましくは製膜原液に用いた主溶剤と助溶剤及び非溶剤を製膜原液と同じ比率にて混合した溶液である。
【0018】
例えば、原料ポリマーとしてアセチルセルロースを選択した場合、主溶剤としては、メチレンクロライド、アセトン、酢酸メチル、メチルピロリドン等を、助溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類を、非溶剤としては、ブタノール、エチレングリコール等の高級アルコール類を、更に孔径制御剤等の添加剤としては、水やグリセリン等を用いることができ、これらは溶解性の異なる複数の溶剤を用いることもできるが、好ましくはアルコール類や水などを主溶剤と任意の割合で混合した溶液である。
【0019】
以下に実施例を比較例と対比して、具体的に説明する。
【0020】
【比較例】
アセチルセルロース6部、アセトン54部、メタノール35部、水4部、グリセリン1部を溶解して製膜原液を調整した。
前記製膜原液をガラス板上に流延し、30℃、相対湿度70%の雰囲気で40分間放置した。その後、ガラス板からポリマーの薄層を剥離し、次いで、剥離した薄層を木枠に挟み60℃の乾燥器で30分乾燥し多孔質膜を得た。
【0021】
【実施例1】
比較例と同じ組成にて製膜原液を調整し、前記製膜原液をガラス板上に流延し、その直後にアセトン50部、メタノール50部を混合した溶液を、ガラス板上に流延した製膜原液の表面に均一に流延し、その後、比較例と同条件にて処理し多孔質膜を得た。
【0022】
【実施例2】
比較例及び実施例1と同じ組成にて製膜原液を調整し、前記製膜原液をガラス板上に流延し、その直後にアセトン50部、メタノール50部を混合した溶液を、ガラス板上に流延した製膜原液の表面に均一に塗布し、その後、比較例及び実施例1と同条件にて処理し多孔質膜を得た。
【0023】
【実施例3】
比較例及び実施例1と同じ組成にて製膜原液を調整し、前記製膜原液をガラス板上に流延し、その直後にアセトン50部、メタノール50部を混合した溶液をガラス板上に流延した製膜原液の表面に均一に噴霧し、その後、比較例及び実施例1と同条件にて処理し多孔質膜を得た。
【0024】
【比較例及び実施例1,2,3の性能評価結果】
比較例及び実施例1,2,3により得た多孔質膜の透気度(sec/300cc)、バブルポイント(kg/cm2)、濾過寿命(使用粉体;株式会社日本触媒製シーホスターKEP−80(平均粒子径:0.8μm)の溶液濃度を0.03wt%に調整し、52cmHg減圧下で目詰まるまでの濾過量(ml))に関する性能評価結果を下記表1に記す。
【0025】
【表1】
比較例及び実施例1,2,3の性能評価結果
────────────────────────────
サンプル 透気度 バブルポイント 濾過寿命
────────────────────────────
比較例 13.0 1.15 50
実施例1 13.5 1.12 100
実施例2 13.2 1.11 120
実施例3 13.8 1.15 110
────────────────────────────
【0026】
また、実施例1〜3の膜厚方向の断面構造を図2に、又比較例の膜厚方向の断面構造を図3に示す。
図2に示す如く、本発明の多孔質膜は、図3の比較例のような小孔径の表面層を大孔径とすることができるため、本発明の多孔質膜の濾過寿命は、表1に示す如く、比較例に比べ2倍以上増加した。
【0027】
【発明の効果】
本発明により得られる多孔質膜は、上記のように、ポリマーを溶剤に溶解させた製膜原液を支持体上に流延し、その溶剤を含む溶液を流延した製膜原液の表面に、再溶解のため前記ポリマーを溶解できる溶剤を含む溶液を流延又は塗布又は噴霧することにより、濾過面の孔径を大きくし、その断面構造を膜厚方向に孔径差を有する構造とすることができるため、濾過に際しては、表面捕捉による目詰まりが減少し、濾過寿命の長い多孔質膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する装置例の略図的側面図。
【図2】本発明によって得られた多孔質膜の断面構造を示したモデル図。
【図3】従来の乾式相転換法により得られた多孔質膜の断面構造を示したモデル図。
Claims (5)
- 乾式相転換法により得る多孔質膜の製造方法において、ポリマーを溶剤に溶解させた製膜原液を支持体上に流延し、前記製膜原液中の全ての溶剤が完全に蒸発しないで未だゲル化が進行しつつある過程において、前記製膜原液の表面に、前記ポリマーを溶解できる溶剤を含む溶液を布液させて濾過面のポリマ−を再溶解させるとともにポリマ−濃度を低下させる行程を含む多孔質膜の製造方法。
- 先に流延した製膜原液によるゲル化の進行度合が、前記製膜原液を構成する主溶剤の50%以上が未蒸発の状態下である請求項1記載の多孔質膜の製造方法。
- ポリマーを溶解できる溶剤を含む溶液の布液が、流延行程である請求項1又は2記載の多孔質膜の製造方法。
- ポリマーを溶解できる溶剤を含む溶液の布液が、塗布行程である請求項1又は2記載の多孔質膜の製造方法。
- ポリマーを溶解できる溶剤を含む溶液の布液が、噴霧行程である請求項1又は2記載の多孔質膜の製造方法。
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