JP6525188B2 - 粘着剤内包シリカマイクロカプセルとその製造方法、接着材料および接着材料塗布具 - Google Patents

粘着剤内包シリカマイクロカプセルとその製造方法、接着材料および接着材料塗布具 Download PDF

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本発明は、粘着剤内包シリカマイクロカプセルとその製造方法、接着材料および接着材料塗布具に関する。
粘着剤の粘着性能を発現させたい時に発現させる技術は、様々な分野で求められている。文具の分野では、封書等を糊やテープ等で貼り付ける際、一方の紙に粘着剤を塗布する段階では粘着性はなく、もう一つの紙を重ね合わせた段階で始めて粘着性が発現させることで、使用者の快適さが増す。このような機能を粘着剤にもたらすため、様々な方法が提案されているが、その一つとして感圧性粘着剤がある。この代表的な方法として、粘着剤や関連する薬剤をカプセル状材料内に封入し、当該カプセル材料を加圧し破壊することで内包された粘着剤を放出させて粘着性能を発揮させる技術が多く研究されている。例えば、粘着剤や粘着シート等において、粘着剤を目的に応じて、塩化ビニリデン・アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、イソシアネート樹脂などの合成樹脂等に内包させたものがある(特許文献1)。また、ゼラチン−アラビアゴム系などのタンパク質と多糖類系、PVA(ポリビニルアルコール)系等を用い、加圧破壊型マイクロカプセルと加熱破壊型マイクロカプセルを組み合わせた粘着剤、粘着シートもある(特許文献2)。W/O/Wエマルジョンを用いて、水系の粘着剤をウレタン樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂のマイクロカプセル内に封入した感圧性接着剤もある(特許文献3,4)。架橋剤や架橋反応を起こす粘着剤をマイクロカプセルに内包して、マイクロカプセルの破壊を通じて必要な場所でのみ架橋反応を行い、転写ミスを低減する技術もある(特許文献5)。可塑剤もしくは可塑剤及び粘着付与剤を内包するカプセル型粒子と通常の粘着剤を混合した樹脂組成物で、カプセル型粒子の粒子径をシート材厚みと同等程度にすることで圧力によりカプセル粒子の殻が破壊され、それまでは粘着性を示さなかったものが殻破壊後に粘着性を示す粘着シート材を、カプセル素材としてアクリル酸、アクリロニトリル等をメラミンで架橋したものを用いて合成する例もある(特許文献6)。
また、マイクロカプセル内に、粘着剤ではなく剥離剤を加え、当該マイクロカプセルの破壊で剥離剤を放出させる例もある。例えば、でん粉、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン等の合成高分子から成るマイクロカプセルを用いるもの(特許文献7)や、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂やイソシアネート樹脂のような合成樹脂を壁膜剤として離型材をマイクロカプセルに内包させて再粘着性能を与えた粘着シート(特許文献8)等である。これらのカプセル材料、マイクロカプセル材料は、コアセルベーション法、界面重合法、in−situ重合法等で合成しているため、芯となる内包物と被覆となるカプセル材とのカプセル構造は同時に構築されるものであるが、芯物質のない中空で粘着性のない合成樹脂製マイクロカプセルに粘着剤を充填する例もある(特許文献9)。これらで例示したカプセルやマイクロカプセルの素材には、ポリマー系の有機物を用いる例がほとんどであり、無機系材料、例えばシリカを用いた例としては、カプセルの素材としてでは無く、内包させる顔料としてシリカを用いる例があるのみである(特許文献10)。
一方、シリカやケイ酸化合物をカプセル素材として用いる研究は、近年急速に進展している。最近特に活発に研究されている方法としては、コアシェル材料を用いる方法がある(非特許文献1)。典型的な例として、ポリスチレンのナノ粒子を芯材料・コア材料として用い、その周りにシリカをゾル−ゲル法の手法を用いて析出させ、一度コアシェル型材料を合成する。その後、コアであるポリスチレンを焼成等で取り除くことでシリカ中空粒子、マイクロカプセルを作製する方法が多く報告されている(非特許文献2,3)。この手法を応用することで、シリコーンオイルを内包した殻がシリカである微粒子の例がある(特許文献11)。一方、芯物質を用いずにシリカ中空粒子・マイクロカプセルを合成する方法も報告されている(非特許文献4、特許文献12,13)。この方法では、マイクロカプセル材料作製時に同時にカプセル内部に他の物質を取り込むことも可能であり、タンパク質等の生体高分子材料を内包させた例がある(特許文献14、非特許文献5)。しかしながら、この方法では内包させる物質を水ガラス水溶液に混合させるため、水に溶けない、あるいは水に分配されない疎水性材料を内包させることは困難である。
粘着剤をカプセル化する素材としては、上述の様に、ポリマー等の有機系材料のみが用いられているが、一般文具へ利用する場合は、製造時に残留するモノマーの人体への影響が懸念される。カプセルやマイクロカプセルの素材として、人体への悪影響が少なく、環境適合性も高いシリカを用いることは、当該材料の粘着文具への利用・普及という観点では、特に重要である。しかしながら、このようなシリカの実際上の利点にもかかわらず、粘着剤や接着剤等を内包したシリカのカプセル・マイクロカプセルはこれまで知られていなかった。
特開2009-221346 特開2008-248065 特開2005-232390 特開2005-22023 特開平07-011211 特開平06-172725 特開2008-292873 特開平09-095650 特開平09-111203 特開平09-099673 特開2013-000683 特許4997395号 特開2010-053200 特許第5051490号
Y. Li, J. Shi, Adv. Mater., 26, 3176-3205 (2014) W. Leng, M. Chen, S. Zhou, L. Wu, Langmuir, 26, 14271-14275 (2010) M. Chen, L. Wu, S. Zhou, B. You, Adv. Mater., 18, 801-806 (2006) M. Fujiwara, K. Shiokawa, Y. Tanaka, Y. Nakahara, Chem. Mater., 16, 5420-5426 (2004) J. Biomed. Mater. Res. A, 81, 103-112 (2007)
本発明は、粘着剤を微粒子内部に包含し、その殻がシリカから成る複合微粒子の合成技術、当該微粒子を破壊することによって粘着性能が発現される技術を提供することを目的とする。
本発明者は、界面重合法等で粘着性ポリマーの水中エマルジョンを作製し、シリカの原料であるアルコキシシラン化合物をアルカリ性触媒で加水分解と縮合反応を起こし、粘着剤ポリマーのエマルジョン上にシリカを析出させることで、粘着剤内包シリカ複合粒子を合成することに成功した。アルコキシシラン化合物をアルカリ性触媒で加水分解と縮合反応を起こす反応はストーバー法として知られ(W. Stober, A. Fink, J. Colloid Interface Sci., 26, 62-69 (1968))、粒径100nm以下のシリカのナノ粒子が析出することが知られている。このシリカのナノ粒子は粘着剤ポリマーのエマルジョンを稠密に被覆できるため、そのままの状態では粘着剤がマイクロカプセル外部へ露出しておらず粘着性能を持たないが、マイクロカプセルを加圧により押しつぶし粘着剤をマイクロカプセル外部へ露出させることで粘着性能を発現させることに成功し、本発明に至った(図1、図2)。
本発明は、以下の粘着剤内包シリカマイクロカプセルとその製造方法、接着材料および接着材料塗布具を提供するものである。
項1. 外力により破壊可能なシリカマイクロカプセルにより粘着剤を内包してなる粘着剤内包シリカマイクロカプセル。
項2. シリカマイクロカプセルの膜厚が0.5〜50μmである、項1に記載の粘着剤内包シリカマイクロカプセル。
項3. シリカマイクロカプセルの全粒径に対するシリカマイクロカプセルの厚さの割合が1〜30%である、項1又は2に記載の粘着剤内包シリカマイクロカプセル。
項4. 項1〜3のいずれか1項に記載の粘着剤内包シリカマイクロカプセルをエタノールに分散してなる接着材料。
項5. 項4記載の接着材料を収容する収容室を備えた本体と、この収容室内の接着材料を少量ずつ外部に導出させるためのノズルとを備えた接着材料塗布具。
項6. 粘着剤ポリマーの水性エマルジョンに界面活性剤及びアルコキシシランを添加し、アルカリ性触媒の存在下にアルコキシシランの加水分解と縮合反応を起こし、粘着剤ポリマーのエマルジョン上にシリカを析出させることを特徴とする、外力により破壊可能なシリカマイクロカプセルにより粘着剤を内包してなる粘着剤内包シリカマイクロカプセルの製造方法。
項7. 前記水性エマルジョンに界面活性剤をさらに添加する、項6に記載の粘着剤内包シリカマイクロカプセルの製造方法。
本発明の粘着剤内包シリカマイクロカプセルは、シリカマイクロカプセルを破壊することで初めて粘着性を発現するため、接着材料として好適である。この接着材料は、接着材料塗布具により封筒などに塗布し、紙を重ねて押圧することでシリカマイクロカプセルが壊れて粘着性能を発現するので手指を汚すことなく接着することができる。
シリカ被覆粘着剤ポリマー作製の概念図 シリカ被覆粘着剤ポリマーの加圧による粘着性発現の概念図 粘着剤エマルジョン表面に被覆されたシリカナノ粒子の例 粘着剤内包シリカマイクロカプセルの赤外線スペクトル 粘着剤内包シリカマイクロカプセルの電子顕微鏡像 粘着剤内包シリカマイクロカプセルの赤外線スペクトル
粘着剤ポリマーの水との水性エマルジョンは、通常の懸濁重合法等で作製すれば良い。この水性エマルジョン中の粘着剤ポリマーは、水に溶解せず、かつ十分な粘着性能を持つものならば特に限定されず、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルエーテル系粘着剤が挙げられ、アクリル系粘着剤が好ましい。アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸エステル、より具体的には(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソミリスチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。これらは単独または2種以上併用して用いることができる。また、これらのベースポリマーに水酸基を有するアクリル酸エステルなどを共重合させ、粘着特性や親水性を調整してもよい。ベースポリマーに共重合させる水酸基を有するエステルの一例としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどが挙げられ、これらは単独または2種以上併用して用いることができる。特に粘着性能と調達の容易性から、アクリル酸2−エチルヘキシルとアクリル酸2−ヒドロキシプロピルの共重合体を用いる事が好ましい。その際のエマルジョンのサイズも特に限定されないが、粘着剤を内包したカプセル材料で加圧による粘着の発現がコントロールし易く、かつ紙などの被接着物の接着に十分な粘着力を発現させるには、1〜100μmが好ましく、より好ましくは20〜80μmが良い。このエマルジョンは、ろ別等により水から一度分離してから使用しても良いが、そのまま用いても良く、エマルジョン状態が維持されるならば、使用形態は特に限定されない。
この粘着剤エマルジョンを、界面活性剤と混合する。懸濁重合時に界面活性剤は通常添加しており、追加の界面活性剤は必須ではないが、シリカ被覆反応中でのエマルジョンの安定性を向上させるため、さらに添加することが好ましい。この際の界面活性剤としては、エマルジョンを十分に安定化するものならば特に限定されないが、SpanやTweenと言われるソルビタン系界面活性剤が良い。種類としては特に限定されないが、界面活性剤のHLB値が中程度のもの、値としては2〜10程度のものが好ましく、より好ましくは2.5〜8、さらに好ましくは3〜7のものである。しかしながら、用いる界面活性剤は粘着剤ポリマーのエマルジョンを安定化させるため、粘着剤ポリマーの種類等により適宜選択することが良い。粘着剤ポリマーがアクリル酸2−エチルヘキシルとアクリル酸2−ヒドロキシプロピルの共重合体の場合に良好な結果を示す界面活性剤としては、Span80(HLB値:4.3)を例示することができる。添加量も、エマルジョンを安定化させるならば特に限定されないが、エマルジョン中の粘着剤ポリマーに対して2〜20質量%、より好ましくは5〜15質量%が良い。このエマルジョンを撹拌して十分に馴染ませた後、さらにイオン交換水を加える。水量はエマルジョンを安定化させるならば特に限定されないが、粘着剤エマルジョンに対して、50〜200質量%程度、より好ましくは75〜150質量%程度が良い。その後、シラン化合物の縮合の触媒となるアルカリ性触媒を加える。本触媒としては特に限定されないがアンモニア水を例示できる。添加量も特に限定されないが、良好にシラン化合物が加水分解と縮合を起こす条件であれば良く、アンモニア水の場合は試薬濃度も特に限定されない。アンモニア水添加段階における全反応液中のアンモニア量は、1〜10質量%程度が好ましく、より好ましくは2〜8質量%程度である。
その後、十分に撹拌した後、シリカ源となるアルコキシシランを加える。アルコキシシランとしては、良好にシリカ被覆ができるものならば特に限定されないが、テトラメトシキシラン、テトラエトシキシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトシキシラン、テトラフェノキシシシラン等を例示でき、それらを単独、あるいは混合物で使用することができる。また、良好にシリカ粒子が析出し被覆できるならば、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等の有機アルコキシシランをさらに添加してもよい。アルコキシシランの添加量は、良好にシリカ被覆ができるならば特に限定されないが、粘着剤ポリマー1gに対して0.5〜10mmol程度が良く、より好ましくは1〜5mmol程度が良い。このアルコキシシランの量が多い場合、十分にシリカ被覆はできるが、粘着剤内包カプセル中の粘着剤量が減少し粘着性能が低下することがあるため、被覆する粘着剤の粘着強度により調節することが必要である。粘着剤ポリマーエマルジョン液に添加する界面活性剤、触媒、アルコキシシランの加える順番は特に限定されないが、シリカのナノ粒子として析出させるため、アルコキシシランは最後が好ましい。こうして得られた混合物を、加熱してシリカを析出させる。反応条件としては、20〜90℃が良く、より好ましくは40〜80℃が良い。反応時間はシリカ析出が起きれば特に限定されないが、1〜20時間が良く、より好ましくは2〜10時間である。こうして作製したシリカ被覆粘着剤の懸濁液を、エタノールなどの低級アルコールに加えて接着材料とすることができる。粘着剤は低級アルコールに実質的に溶解しないので、低級アルコールの分散液はさらさらした性状を有し、紙などの被接着物に適用すると低級アルコールは速やかに蒸発し、粘着剤内包シリカマイクロカプセルが被接着物上に残される。このシリカマイクロカプセルを紙などの被接着物の上から圧力をかけて壊すことにより、粘着剤が放出されて被接着物は接着される。低級アルコールとしてはエタノールが特に好ましい。エタノールの代わりにメタノールやイソプロパノール、あるいはそれらの混合物を用いても良いが、溶媒の選択は実際に使用する際の規制等を考えて行えば良い。こうして合成できるシリカ被覆微粒子の電子顕微鏡像を図3に示すが、サイズが100nm程度のシリカナノ粒子が形成されていることがわかる。エタノールの量は、懸濁液に対して過剰量がよく、通常は質量で2〜20倍、より好ましくは5〜15倍である。その際、このエタノールに添加剤を加えても良く、例えばポリビニルピロリドンを添加したエタノールを用いても良く、粒子の性能を向上させるには、ポリビニルピロリドンをエタノールに対して0.1〜5質量%、より好ましくは0.2〜2質量%加えることが良い。このエタノール溶液は、1〜5時間程度撹拌して十分に馴染ませる。こうして得られた粘着剤のカプセル粒子は、ろ別や遠心分離等で溶液から分離しても良いが、紙等への展開・塗布を考えた場合、エタノール溶液の上澄みを除去した濃厚な懸濁液を用いても良い。
こうして得られるシリカ被覆粘着剤エマルジョンの平均粒径は30〜800μm程度、好ましくは50〜600μm程度、より好ましくは70〜400μm程度、特に100〜300μm程度である。シリカマイクロカプセルのシリカ層の厚さは、0.5〜50μm程度、好ましくは1〜30μm、より好ましくは1〜20μmである。シリカマイクロカプセルの全粒径に対する被覆したシリカの厚さの割合は、約1〜30%程度、好ましくは2〜20%程度である。例えば、図3のシリカマイクロカプセルの平均粒径は約150μmであり、被覆されたシリカ層の厚さは2〜10μmである。このシリカ被覆粘着剤エマルジョンの全粒径に対する被覆したシリカの厚さの割合は、約2.5〜12%である。
こうして得られた粘着剤エマルジョン被覆シリカマイクロカプセルは、紙類等の被接着物に展開し上部より荷重することによって、粘着性を発現する。展開する紙類等の被接着物は特に限定されないが、通常のコピー用紙、コート紙、上質紙、ケント紙、マットコート紙、光沢紙やポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等のビニル系フィルム素材、紙とポリマーフィルムとを複合させた合成紙等を例示することができる。粘着性を発現するための上部からの荷重は特に限定されないが、20kPa〜200kPaがよく、より好ましくは50〜150kPaである。こうして粘着された粘着物の引き剥がし抵抗力は、約1〜5N/cmとなる。この粘着性能は、製品の目的、例えば付箋紙のような一時的な粘着性能や封書の糊止めのような強い粘着性能によって異なるため、特に限定されないが、それらは、内包された粘着剤そのものの粘着性やシリカの被覆度で調節することができる。
シリカマイクロカプセルの低級アルコール、特にエタノールの懸濁液からなる接着材料を塗布具本体の収容室に収容し、塗布具本体に備えたノズルから接着材料を少量ずつ外部に導出させて紙などの被接着物に塗布し、上部から荷重をかけてシリカマイクロカプセルを壊すことで、被接着物を接着することができる。
本発明の接着材料塗布具は、接着材料の収容室を備えた本体と、この収容室内の接着材料を少量ずつ外部に導出させるためのノズルとを備えた、例えば筒状の形状を有し、ノズルの先端を紙などの被接着物に押しあてると収容室内の接着材料がノズルを通って被接着物に少量ずつ供給されるようになっている。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
実施例1 粘着剤エマルジョン表面に被覆されたシリカナノ粒子の作成−1
アクリル酸2−エチルヘキシル100g(0.542mol)とアクリル酸2−ヒドロキシプロピル25g(0.192mol)、75%過酸化ベンゾイル1g(0.003mol)を十分に混合し、界面活性剤としてドデシル硫酸アンモニウム5.21g(0.044mol)をイオン交換水374gに混合した溶液を、窒素雰囲気下、400回転で30分間撹拌した。その後、オイルバスを用いてバス温68℃にして、反応液が65℃になった後に5時間撹拌しながら重合反応を行った。反応終了後、反応液は放冷した。こうして得られる粘着剤エマルジョンの粒径は数十〜数百μmであり、平均粒径は約150μmであった。この粒径は撹拌速度を変えることで、100〜300μmの範囲で平均粒径を一定程度制御することが可能で、例えば、撹拌速度を上げることで粒径を小さくすることができる。
こうして得られた粘着剤エマルジョン40mL(粘着剤量、約10g)を、1gの界面活性剤であるSpan80と混合し数分撹拌の後、50mLのイオン交換水を入れて、さらに5分間撹拌した。その後、25%アンモニア水30mLを添加し5分間撹拌、テトラメトキシシラン(TMOS)3.00g(19.71mmol)を添加し、このエマルジョンを75℃のウォーターバス中で6時間撹拌した。その後、このエマルジョンをエタノール1.2Lに加え、1時間撹拌した後に静置した。この際、エタノールに対し0.5〜1.5重量%のポリビニルピロリドンはあらかじめ加えておいた。十分に静置後、透明な上澄み液を除去して、シリカマイクロカプセル内包粘着剤を得た。こうして得られたマイクロカプセル中の粘着剤の量は、熱分析での200〜600℃の重量減少の結果より、89.90%であった。図4に示す赤外線スペクトルより、この微粒子は粘着剤ポリマー由来の1736cm-1のカルボニルの吸収とシリカ由来の473cm-1の吸収が観測でき両者の複合体であることがわかった。また、図5に示すように、この粒子は約50ミクロンの粘着剤エマルジョン(左)の周りを、シリカのナノ粒子で被覆している(右)。
実施例2 粘着剤エマルジョン表面に被覆されたシリカナノ粒子の粘着特性の評価
実施例1で得られたシリカナノ粒子によって被覆された粘着剤エマルジョンを、下記の方法により性能を測定した。
第一に、各サンプルのタックの発現性について評価を実施した。
(1)コピー用紙短冊(KB39N:コクヨ製、297mm×50mm、約1g)に実施例1で作製したサンプルを3mgセットした。このサンプルは短冊状で、直径約2mm程度の塊状になった。
(2)こうしてセットしたサンプルの上から同様のコピー用紙に短冊を被せ、さらに接触面積が1cm2の試験冶具(約200g)を3秒間置いて19.6k Paで加圧し、被せた短冊を持ち上げることにより、低加重時のタックの発現を確認した。この際、下の短冊が同時に持ち上がれば「タック有」とみなすこととした。
(3)(2)と同様の試験体にて、錘(約1000g)を、接触面積1cm2の上に3秒間置いて98.0 kPaで加圧し、被せた短冊を持ち上げることにより、高加重時のタックの発現を確認した。
上記手順で測定を実施した結果、19.6 kPaでの加圧時はタックが発現しなかったが、98.0 kPaでの加圧時にはタックの発現が確認された。
第二に、粘着力の測定を実施した。この試験は、JIS Z 0237-8に準拠し、試験条件等を適宜変更した方法で行った。
(1)実施例1で作製したサンプル0.1gを、規定のコピー用紙短冊(KB39N:コクヨ製、297mm×50mm、約1g)に塗布面積10mm幅×100cmとなる様に塗り広げた。
(2)こうしてセットしたサンプルの上から同様のコピー用紙短冊を被せ、その上から重量1kgのゴムローラー(直径Φ90mm、厚み50mm、鉄製芯の上に厚さ約2mmのブタジエンスチレンゴムをまき付けたもの)を50mm/secの速度で2往復転がして加圧した。
(3)加圧後、常態(温度23℃、湿度50%)で、実験により最適とされた時間である40分間養生し、オートグラフ(AGS-X、島津製)を用いて、300mm/minの速度にて引き剥がし抵抗力を測定した。測定回数は5回にて実施し、測定チャートの最大凸点5点の平均値を測定値とした。
上記手順で測定を実施した結果、サンプルの引き剥がし抵抗力は約1.7N/cmであった。この粘着性能は、同様の方法でコクヨS&T社製小型テープのり(タ−D470-07)を評価した場合とほぼ同等であった。
以上の結果によって、このシリカナノ粒子で被覆された粘着剤エマルジョンは、低荷重では粘着性を持たないが、98.0 kPaの加圧によって潰されて内部の粘着剤がはみ出すことで粘着性が発現されるマイクロカプセルであることが確認された。
実施例3 粘着剤エマルジョン表面に被覆されたシリカナノ粒子の作成−2
実施例1と同様の方法で、テトラメトキシシランの代わりにテトラエトキシシラン(TEOS)4.11g(19.71mmol)を用いて、同様の方法で粘着剤内包シリカマイクロカプセルを合成した。粘着性能は、実施例1と同じ方法で行った。こうして得られたマイクロカプセル中の粘着剤の量は、熱分析での200〜600℃の重量減少の結果より、88.33%であった。図6より、この微粒子は粘着剤ポリマーとシリカが含まれており(図6左)、電子顕微鏡像より50ミクロン程度のエマルジョンがシリカに被覆されていることがわかった(図6右)。
このシリカナノ粒子によって被覆された粘着剤エマルジョンを、実施例1と同様の方法で性能を測定したところ、19.6 kPa加圧時はタックが発現しなかったが、98.0 kPa加圧時にはタックの発現が確認された。また、1kgのゴムローラーを用いて加圧した時の粘着力は、1.5N/cmであり、TEOSを用いて製造したサンプルについても、低荷重では粘着性を持たないが、98.0 kPaの加圧によって潰されて内部の粘着剤がはみ出すことで粘着性が発現された。
本発明は、粘着剤の粘着性能発現を、加圧という物理的作用をトリガーとして発現させる材料を提供するものであり、例えば糊付け工程と組立工程が別で行われる作業への応用が想定できる。具体的には、大量の封書を糊止めする際に、まずは第一作業者が封筒の一面に当該材料を展開するが、この際には粘着性はなく、手や衣服等を汚すことはない。続いて第二作業者が封筒に書類を内封する際には、封筒に展開された当該材料によって内包物を汚すことはなく、さらに加圧という単純な動作により糊止めを行う事ができるので、作業効率を向上することができる。

Claims (7)

  1. 外力により破壊可能なシリカマイクロカプセルの殻により粘着剤を内包してなる粘着剤内包シリカマイクロカプセルであって、前記シリカマイクロカプセルの殻がシリカナノ粒子から構成され、前記殻は前記粘着剤がマイクロカプセル外部へ露出しないように粘着剤を稠密に被覆してなる、粘着剤内包シリカマイクロカプセル
  2. シリカマイクロカプセルの殻の膜厚が0.5〜50μmである、請求項1に記載のシリカマイクロカプセル。
  3. シリカナノ粒子の粒径が100nm以下である、請求項1又は2に記載のシリカマイクロカプセル。
  4. 外力により破壊可能なシリカマイクロカプセルにより粘着剤を内包してなる粘着剤内包シリカマイクロカプセルをエタノールに分散してなる接着材料。
  5. 請求項4記載の接着材料を収容する収容室を備えた本体と、この収容室内の接着材料を少量ずつ外部に導出させるためのノズルとを備えた接着材料塗布具。
  6. 粘着剤ポリマーの水性エマルジョンに界面活性剤及びアルコキシシランを添加し、アルカリ性触媒の存在下にアルコキシシランの加水分解と縮合反応を起こし、粘着剤ポリマーのエマルジョン上にシリカを析出させることを特徴とする、外力により破壊可能なシリカマイクロカプセルにより粘着剤を内包してなる粘着剤内包シリカマイクロカプセルの製造方法。
  7. 前記水性エマルジョンに界面活性剤をさらに添加する、請求項6に記載の粘着剤内包シリカマイクロカプセルの製造方法。
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