JP6522054B2 - 高力価、高純度のウイルスストックの作製方法及びその使用方法 - Google Patents

高力価、高純度のウイルスストックの作製方法及びその使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、高力価、高純度のウイルスストックの作製方法及びその使用方法に関する。
関連出願の相互参照
本願は、2010年4月14日に出願された米国仮特許出願第61/324,220号明細書の利益を主張する。上記出願の教示全体が参照により本明細書に援用される。
バイオ医薬品、例えばモノクローナル抗体、組換えタンパク質、ワクチン、血液製剤及び畜産物などは、感染性ウイルスの伝染リスクを含む。これは、原料が本質的にウイルスに汚染されている可能性があることに起因する。加えて、バイオ医薬品の製造プロセスは外部的な汚染源からのウイルスに汚染され易い。結果としてバイオ医薬品の製造者は、その製造プロセスに、その製品が汚染ウイルスを含まないことを確実にするのに十分なウイルスクリアランス工程を組み込まなければならない。安全上及び規制上、バイオ医薬品の製造プロセスにこのようなウイルスクリアランス工程を組み込むことは不可避である。
製造プロセスにおけるウイルスクリアランス工程の有効性評価は必須である。ウイルスクリアランス評価の目的は、潜在的なウイルス性汚染物質を不活性化及び/又は除去する工業的生産プロセスの能力を判断することである。典型的には、生産規模プロセスのスケールダウンモデルでスパイク試験を用いてウイルスクリアランス工程の評価及びバリデーションが行われる。しかしながら、試験結果には、ウイルスクリアランス試験に使用されるウイルスストックの純度及び力価が大きく影響する。ウイルスストックの純度及び力価は、スケールダウンモデルが生産規模プロセスをどの程度反映しているかに影響を与える。
例えば、ウイルスストック中の不純物は、ウイルスクリアランス工程で使用される小型のウイルス保持性フィルタの試験に悪影響を与える。不純物は、バリデーション用のスパイク試験で不純なウイルスストックが使用される結果として取り込まれ、生産規模プロセスでの典型的な製造プロセスを反映するものではない。不純物がある結果として、試験ユニット(例えばフィルタ)は汚損が早まり、汚損状態の変化を呈し、及びウイルスフィルタの流体通過に悪影響が及ぶ。結果的に、フィルタの真のスループット能力が過小評価され、ひいては生産規模ユニットの不適切なサイジングを招く。結果として、バリデーション試験におけるユニットの見かけの低性能を補償するため、生産規模ユニットが過大となる。これにより生産コストが増加する。加えて、これは生産プロセスにおける試験ユニットの実際のウイルス浄化能力を過小評価する。これは、多くの場合にウイルスストックの力価が試験材料にスパイク可能な最大ウイルス濃度を決定し、全てのウイルスが試験ユニットによって有効に浄化されるときのこの最大濃度が、試験ユニットのウイルスクリアランス申告値の限界を定めるためである。
ウイルスストック(例えば、スパイク試験で使用されるもの)の現行の作製方法は、不純物含量が低いウイルスストックを作製する能力を欠いている。さらに、試験系に添加することのできるウイルススパイク量が規制ガイドラインによって制限されているため、可能な限り高力価のウイルスストックが望ましい。現行の方法は、高力価且つ高純度のウイルスストックを作製する能力を欠いている。従って、高純度で、さらに高力価でもあるウイルスストックの調製方法が必要とされている。
本明細書には、高純度ウイルスストックの作製方法、並びにそのような方法で作製されたウイルス及びウイルスストックが記載される。ウイルスは、哺乳動物ウイルス、又はバクテリオファージなど、必要に応じて任意の好適なウイルスであってよい。かかるウイルスストックは、例えば評価及び/又はバリデーション試験におけるウイルススパイクとしての使用に好適である。
従って、本発明の一実施形態は高純度ウイルスの調製方法である。この方法は、低タンパク質条件下で調製されたウイルスサンプルを得るステップと、ウイルスサンプルを好適な緩衝液中に濃縮するステップと、ウイルスサンプル中のウイルスを沈殿させるステップとの逐次ステップを含み、このようにして沈殿したウイルスは高純度ウイルスである。一実施形態では、高純度ウイルスは高純度ウイルスストック溶液である。
本発明の別の実施形態では、高純度ウイルスの調製方法はクロマトグラフィーポリッシングを含む。一実施形態では、高純度ウイルスの調製方法は、低タンパク質条件下で調製されたウイルスサンプルを得るステップと、ウイルスサンプルを好適な緩衝液中に濃縮するステップと、ウイルスサンプル中のウイルスを沈殿させるステップと、沈殿したウイルスをクロマトグラフィーポリッシングするステップとの逐次ステップを含み、それにより高純度ウイルスを作製する。一実施形態では、高純度ウイルスは高純度ウイルスストック溶液である。
一実施形態では、高純度ウイルス又は高純度ウイルスストック溶液は50ug/ml未満のタンパク質濃度を有する。別の実施形態では、高純度ウイルス又は高純度ウイルスストック溶液は、100fg/TCID50未満のタンパク質濃度を有する。一実施形態では、高純度ウイルス又は高純度ウイルスストック溶液は、60fg/TCID50未満のタンパク質濃度を有する。別の実施形態では、高純度ウイルス又は高純度ウイルスストック溶液は、50fg/TCID50未満のDNA濃度を有する。一実施形態では、高純度ウイルス又は高純度ウイルスストック溶液は、15fg/TCID50未満のDNA濃度を有する。
さらなる実施形態では、高純度ウイルス又は高純度ウイルスストック溶液は、100fg/TCID50未満のタンパク質濃度及び50fg/TCID50未満のDNA濃度を有する。一実施形態では、高純度ウイルス又は高純度ウイルスストック溶液は、60fg/TCID50未満のタンパク質濃度及び15fg/TCID50未満のDNA濃度を有する。
さらなる実施形態では、高純度ウイルス又は高純度ウイルスストック溶液は、少なくとも10TCID50/mlのウイルス濃度を有する。
本発明のさらなる実施形態は、ウイルスクリアランスプロセス及びそこで使用される材料を評価及び/又はバリデートする方法である。スケール化ウイルスクリアランスプロセスが試験サンプルを使用して試験され、そのウイルスクリアランスプロセスの結果が分析される。ウイルスクリアランスの量によりウイルスクリアランスプロセス及びそのウイルスクリアランスプロセスに使用される材料が評価され、及びそのバリデーションが決定される。試験サンプルからウイルスが十分に除去されて規制基準を満たす場合、そのウイルスクリアランスプロセス及びクリアランスに使用される材料がバリデートされる。
一実施形態では、ウイルスクリアランスプロセスを評価及び/又はバリデートする方法は、サンプルを高純度ウイルスストック溶液でスパイクして試験サンプルを作製するステップを含む。一実施形態では、高純度ウイルス溶液は、100fg/TCID50未満のタンパク質濃度、及び50fg/TCID50未満のDNA濃度を含む。
本発明の別の実施形態は、サンプルをウイルス溶液でスパイクするステップを含む方法におけるウイルスクリアランスプロセスの評価及び/又はバリデーション方法であり、ウイルス溶液は、フロースルークロマトグラフィー、ビーズベースのクロマトグラフィー、サイズ排除処理、又は疎水性に基づく処理を含む方法により調製される。一実施形態では、ウイルス溶液は陽イオン交換フロースルークロマトグラフィーにより調製される。別の実施形態では、ウイルス溶液は陰イオン交換フロースルークロマトグラフィーにより調製される。一実施形態では、フロースルークロマトグラフィーは、膜又はビーズベースのマトリックスでの陽イオン交換フロースルークロマトグラフィーを含む。
一実施形態では、ウイルスクリアランスプロセス及びそこで使用される材料を評価及び/又はバリデートする方法は、少なくとも10TCID50/mlのウイルスと、100fg/TCID50未満のタンパク質濃度と、50fg/TCID50未満のDNA濃度とを含む高純度ウイルスストック溶液でサンプルをスパイクするステップを含む。
即ち、本発明の要旨は、
[1]高純度マウスマイニュートウイルス(MMV)ストック溶液の調製方法であって、前記方法は、100fg/TCID50未満のタンパク質濃度を含むMMVストック溶液を一貫して生成し、前記方法は、
(a)低血清条件下で増殖されたウイルス感染細胞の培養上清を採取し、それによりウイルスサンプルを得る工程、ここで、前記培養上清は、ウイルス誘導性細胞溶解後に採取される、
(b)限外ろ過により前記ウイルスサンプルを濃縮する工程、
(c)超遠心により前記ウイルスサンプル中のウイルスを沈殿させる工程、ここで、前記沈殿したウイルスが100fg/TCID50未満のタンパク質濃度を含む、及び
(d)前記沈殿したウイルスをクロマトグラフィーポリッシングに供し、痕跡量の不純物を除去する工程
の逐次工程を含み、それにより高純度MMVストック溶液を一貫して調製する、方法、
[2]前記低血清条件が、無血清細胞培養又は限定培地細胞培養である、[1]に記載の方法、
[3]前記MMVストック溶液が、60fg/TCID50未満のタンパク質濃度を有する、[1]に記載の方法、
[4]前記MMVストック溶液が、60fg/TCID50未満のタンパク質濃度及び15fg/TCID50未満のDNA濃度を有する、[3]に記載の方法、
[5]前記クロマトグラフィーポリッシングが、フロースルークロマトグラフィー、膜吸着、ビーズベースのクロマトグラフィー、サイズ排除処理、又は疎水性に基づく処理を含む、[1]に記載の方法、
[6]前記クロマトグラフィーポリッシングが、陽イオン交換フロースルークロマトグラフィーを含む、[5]に記載の方法、
[7]マウスマイニュートウイルス(MMV)を精製する方法であって、前記方法は、少なくとも10TCID50/mlの濃度及び100fg/TCID50未満のタンパク質濃度を含むMMVストック溶液を一貫して生成し、前記方法は、
(a)低血清条件下で増殖されたウイルス感染細胞の培養上清を採取し、それによりウイルスサンプルを得る工程、ここで、前記培養上清は、ウイルス誘導性細胞溶解後に採取される、
(b)限外ろ過により前記ウイルスサンプルを濃縮する工程、
(c)超遠心により前記ウイルスサンプル中のウイルスを沈殿させる工程、ここで、前記沈殿したウイルスが、少なくとも10TCID50/mlのウイルス濃度及び100fg/TCID50未満のタンパク質濃度を有する、及び
(d)前記沈殿したウイルスをクロマトグラフィーポリッシングに供し、痕跡量の不純物を除去する工程
の逐次工程を含み、それによりMMVを少なくとも10TCID50/mlの濃度及び100fg/TCID50未満のタンパク質濃度に一貫して精製する、方法、
[8]前記低血清条件が、無血清細胞培養又は限定培地細胞培養である、[7]に記載の方法、
[9]前記精製されたMMVが、60fg/TCID50未満のタンパク質濃度を有する、[7]に記載の方法、
[10]前記精製されたMMVが、60fg/TCID50未満のタンパク質濃度及び15fg/TCID50未満のDNA濃度を有する、[9]に記載の方法、
[11]前記クロマトグラフィーポリッシングが、フロースルークロマトグラフィー、膜吸着、ビーズベースのクロマトグラフィー、サイズ排除処理、又は疎水性に基づく処理を含む、[7]に記載の方法、
[12]前記クロマトグラフィーポリッシングが、陽イオン交換フロースルークロマトグラフィーを含む、[11]に記載の方法、
[13]マウスマイニュートウイルス(MMV)クリアランスプロセスの評価方法であって、前記方法は、
(a)サンプルをMMV溶液でスパイクし、それにより試験サンプルを作製する工程、ここで、前記MMV溶液が[1]又は[7]に記載の方法により調製される、
(b)前記試験サンプルを使用してスケール化MMVクリアランスプロセスを試験する工程、及び
(c)前記MMVクリアランスプロセスの結果を分析する工程、
を含み、
MMVクリアランス量が前記MMVクリアランスプロセスのMMV除去能力を決定し、それにより前記MMVクリアランスプロセスを評価する、方法、
[14]前記試験サンプルが少なくとも10TCID50/mlのMMVを含む、[13]に記載の方法、
[15]前記MMVクリアランスプロセスが、MMV除去、MMV不活性化、又はそれらの組み合わせを含む、[13]に記載の方法、
[16]前記MMVクリアランスプロセスが、フィルタ及びクロマトグラフィー媒体を含み、前記MMV不活性化方法が、低pH、高pH、紫外線(UV)照射、γ線照射、又は温度不活性化を含む、[13]に記載の方法、
[17]マウスマイニュートウイルス(MMV)クリアランスプロセスの評価方法であって、前記方法は、
(a)サンプルをMMV溶液でスパイクし、それにより試験サンプルを作製する工程、ここで、前記溶液は、17fg/TCID50以下のタンパク質濃度を含み、前記MMV溶液がフロースルークロマトグラフィーを含む方法により調製され、前記フロースルークロマトグラフィーが、膜又はビーズベースのマトリックスでの陽イオン交換フロースルークロマトグラフィーを含む、
(b)前記試験サンプルを使用してスケール化MMVクリアランスプロセスを試験する工程、及び
(c)前記MMVクリアランスプロセスの結果を分析する工程
を含み、
MMVクリアランス量が前記MMVクリアランスプロセスのMMV除去能力を決定し、それにより前記MMVクリアランスプロセスを評価する、方法
に関する。
本発明により、高力価、高純度のウイルスストックの作製方法及びその使用方法が提供される。
一般的なウイルス産生プロトコルの概略及び特定のマウス微小ウイルス(MVM)産生プロセスの例である。 本発明の一実施形態を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態を示す。サンプルウイルス調製方法における種々の段階で採取したサンプルの銀染色SDS−PAGEゲルである。レーン1、14及び15は標準分子量マーカーである。レーン2は、培地を1%ウシ胎仔血清(FBS)含有ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)から無血清DMEMに交換する直前の3日目におけるMVM感染細胞培地のサンプルである。レーン3は、14日目の感染終了時におけるプールした細胞ライセートのサンプルである。レーン4は、清澄化したライセートのサンプルである。レーン5は、ウイルスを濃縮する限外ろ過(Centricon(登録商標))からのろ液のサンプルである。レーン6は、ウイルスを濃縮する限外ろ過からの希釈した保持液のサンプルである。レーン7は、超遠心によるウイルス沈殿後の上清のサンプルである。レーン8は、超遠心によるウイルス沈殿後のウイルスペレットのサンプルである。レーン9は、超遠心及び0.22ミクロンフィルタでのろ過によるウイルス沈殿後のウイルスペレットのサンプルである。レーン10及び12は、ポリエーテルスルホン(PES)マトリックス上にMBAm(N,N’−メチレンビスアクリルアミド)により架橋されたAMPS(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)を含む陽イオン交換(CEX)膜吸着体を使用したクロマトグラフィーポリッシングの初期画分のサンプルである。レーン11及び13は、CEX膜吸着体を使用したクロマトグラフィーポリッシングの後期画分である。出典Willwand et al.,J Virol(1993)67:5660によるもので、分子の大きさがMVMカプシドタンパク質VP1は83kDaであり、VP2は64kDaであることを示す。最終的な精製ウイルス産物における銀染色SDS−PAGE(図3A)により明らかな2つの主要タンパク質バンドは、既知のMVMウイルスカプシドタンパク質VP1及びVP2と同じサイズ、且つ同じ比率であり、主な残存タンパク質が不純物ではなくウイルスである極めて高純度のウイルスストックが示唆される。図3AのSDS−PAGEゲルに対応する表であり、レーン2〜13の各サンプルについてのMVMウイルス力価(log TCID50/ml)、タンパク質濃度(ug/ml及びfg/TCID50)、及びDNA濃度(ug/ml及びfg/TCID50)の計算値を含む。 本明細書に記載されるMVM作製プロセスの再現性を実証する表である。 本発明の一実施形態を示す。図5BのSDS−PAGEゲルに対応する表であり、レーン2〜11の各サンプルについてのMVMウイルス力価(log TCID50/ml)及びタンパク質濃度(ug/ml及びfg/TCID50)の計算値を含む。サンプルウイルス調製方法における種々の段階で採取したサンプルの銀染色SDS−PAGEゲルである。レーン1及び12は標準分子量マーカーである。レーン2は、1%FBS含有Advanced(商標)DMEMから無血清Advanced(商標)DMEMに交換する直前の3日目におけるMVM感染細胞培地のサンプルである。レーン3は、14日目の感染終了時におけるプールした細胞ライセートのサンプルである。レーン4及び5は、清澄化したライセートのサンプルである。レーン6は、ウイルスを濃縮する限外ろ過(Centricon(登録商標))からのろ液のサンプルである。レーン7は、ウイルスを濃縮する限外ろ過からの希釈した保持液のサンプルである。レーン8は、超遠心によるウイルス沈殿後の上清のサンプルである。レーン9は、超遠心によるウイルス沈殿後に再懸濁したウイルスペレットのサンプルである。レーン10は、CEX膜吸着体を使用したクロマトグラフィーポリッシングの3番目の画分のサンプルである。レーン11は、CEX膜吸着体を使用したクロマトグラフィーポリッシングの27番目の画分のサンプルである。 本明細書に記載されるとおりの方法を用いた高力価且つ高純度のウイルス作製についてのデータ表である。 試験フィルタ(Viresolve(登録商標)Pro(V−Pro))の水力学的性能を実証するグラフであり、本明細書に記載されるとおり調製したウイルスでスパイクしたサンプルを使用し、及び契約試験機関(CTO)により提供された、バリデーション試験で典型的に使用される標準的なウイルス調製物でスパイクしたサンプルと比較した。CTOによるウイルス調製物には超遠心法が用いられた。本明細書に記載されるとおり調製したMVMは、以前にウイルススパイクとの相互作用に起因するろ過上の課題を示したことがあるモノクローナル抗体供給液(9.1g/L)にスパイクした。CTOにより作製されたMVMは、2×10TCID50/mlの濃度にスパイクしたところ、スパイクしていない供給液ベースライン(ウイルスなし)と比較して、フィルタV−Proを通じたスループットが劇的に低下した。対照的に、本明細書に記載されるとおり調製したMVMは、5×10TCID50/mlのスパイクレベルでは、また6×10TCID50/mlに至る10倍高いスパイクでも、水力学的性能に何ら影響を及ぼさなかった。 異なる方法で調製した3つのCTO MVMスパイクストックについて、モノクローナル抗体(Mab)供給液にスパイクし、Viresolve Proに通して処理したときの、それらの水力学的性能を評価したグラフである。 3つの標準CTO MVM調製物及び本発明の方法によるMVM調製物のSDS−PAGEゲル分析の写真である。4〜15%勾配ゲルにおけるタンパク質を銀染色によって可視化した。各サンプルレーンには10μlのサンプルを負荷した。レーン1:分子量マーカー;レーン2:CTO粗MVM調製物(2.3×10TCID50/ml);レーン3:CTO超遠心精製MVM調製物(1.8×10TCID50/ml);レーン4(2.3×10TCID50/ml):CTO Q膜結合/溶出精製MVM調製物;レーン5:本発明のMVM調製物(6.5×10TCID50/ml);レーン6:分子量マーカー。
バイオ医薬品、例えば抗体、組換えタンパク質、ワクチン、血液製剤、血漿、及び畜産物等の、細菌、ウイルス、プリオンなどによる汚染は、十分な対処を要する深刻なリスクである。汚染は様々な形で発生し得る。例えば、原料(例えば、細胞培養物中の細胞、血液製剤等)が本質的にウイルスで汚染されているために汚染が起こり得る。バイオ医薬品の製造プロセスはまた、外因的な汚染源からもウイルスに汚染され易い(例えば、滅菌されていない、又は滅菌が不適切な材料の使用による不注意な導入)。製品の性質から、バイオ医薬品の製造者は高度に規制され、その製造プロセスに十分なウイルスクリアランス工程を組み込んで、その製品が汚染物質を含まないことを確実にするよう義務付けられている。製造プロセスには複数のウイルスクリアランス工程を組み込むことができる。バイオ医薬品製造プロセスの承認を受けるには、それらのウイルスクリアランス工程の各々をその有効性について評価し、ひいてはバリデートする必要がある。ウイルスクリアランス工程は、典型的にはウイルス除去工程又はウイルス不活性化工程のいずれかを含む。
ウイルス除去は、ウイルスをサンプルから物理的に除去する方法である。これは、多くの場合にナノろ過又はクロマトグラフィーのいずれかによって達成される。ナノろ過技法は、ウイルスをサイズ排除によって除去する。クロマトグラフ法がウイルスの除去に成功するかは、用いられるカラム組成及び試薬(例えば緩衝液)に依存する。
ウイルス不活性化は、ウイルスが最終製品に残り得るが、感染性を有しない(不活性な)形態で残る方法である。多くのウイルスが脂質又はタンパク質コートを含み、このコートを化学的に変化させて不活性化することができる。或いは、ウイルス不活性化方法によっては、ウイルスを完全に変性させる。ウイルス不活性化方法の例としては、溶媒及び/又は界面活性剤不活性化、パスツリゼーション(例えば、高温に加熱する)、pH不活性化(例えば、酸性pHを使用する)、及び放射線照射(例えば、紫外線(UV)照射又はγ線照射)が挙げられる。
製造プロセスにおける汚染ウイルスの濃縮、すなわちウイルス汚染のリスクは極めて低いが、しかしながらウイルスは本質的に感染性であるため、1個のウイルス粒子であっても、製造プロセスのラン全てを台無しにするのに十分であり得る。このような理由から、製造プロセスにおける適切な除去又は不活性化方法を判断するために特別な方策を講じなければならない。従って、かかるウイルスクリアランス方法の有効性を評価し、バリデートする必要がある。スパイク試験は、これを目的として特別に作成された。
スパイク試験は、生産規模プロセスのウイルスクリアランス工程のスケールダウンモデルを使用してウイルスクリアランス工程を評価及び/又はバリデートし、及びウイルスクリアランス方法に使用される機器を評価及び/又はバリデートする。ウイルスストックの純度及び力価は、スケールダウンモデルが生産規模プロセスをどの程度反映しているかに影響を与える。ウイルスストック中の不純物(例えば、DNA、RNA、タンパク質、脂質、非感染性粒子及びウイルス凝集体)は、スパイク試験の結果に悪影響を及ぼす。例えば不純物は、ウイルスを不活性化する化学物質の作用を阻害し、放射線の有効性を阻害し、標的因子のクロマトグラフ媒体との結合性を変化させる(例えば、クロマトグラフ媒体との結合が不適切に抑制される、又は結合が不適切に増加する)ことにより、又はフィルタを汚損する(例えば、塞ぐ又は目詰まりさせる)ことにより、ウイルスクリアランス速度を変化させ得る。試験ユニット(例えばフィルタ又はクロマトグラフィー媒体)の汚損が早まると、又はその汚損特性が変化を呈すると、最終的にウイルスフィルタを通過する流体が減少する。生産規模ユニットにはかかる不純物は通常存在しないため、結果としてフィルタの実際のスループット能力が過小評価される。そのため、バリデーション試験におけるユニットの見かけの低性能を補償して、生産規模ユニットが過大となる。現行の業界標準のウイルスストック(例えばスパイク試験で使用される)作製方法では、概して高不純物含量のウイルスストックが作製される。
加えて、また可能な限り高力価のウイルスストックが望ましい。これは一部には、試験系に添加することのできるウイルススパイク量が規制ガイドラインにより制限されているためである。従ってウイルスストックの力価が、試験材料にスパイクされるウイルスの最大可能濃度を決定する。結果として、生産プロセスでウイルスを浄化する試験ユニットの実際の能力が過小評価され得る。現行の方法は、高純度及び高力価のウイルスストックを作製する能力に欠けている。
本明細書に記載されるウイルス調製方法は、非常に高純度及び高力価のウイルスを作製する。これらの清浄なウイルスストックは、スケールダウンしたユニット運転の性能に影響を与えることなくウイルスクリアランス試験における高濃度スパイクが可能であるように設計される。これは小型のウイルス保持性フィルタの評価及びバリデーションに特に有用であり、このようなフィルタは、特に特定の供給材料と組み合わせたとき、ウイルスストック不純物に対して高感度であり得る。加えて、ウイルス力価が高いほど、より高いウイルス減少率を実証することができ、及びウイルスクリアランスユニット運転にとってより厳しい課題が可能となる。
ウイルスクリアランス試験に使用される例示的ウイルスであって、本明細書に記載される方法を用いて高力価且つ高純度で作製することができるウイルスとしては、哺乳動物ウイルス及びバクテリオファージ、例えば、及び限定なしに:RNAエンベロープ型ウイルス(例えば、ヒト免疫不全ウイルス−1(HIV−1)、ヒト免疫不全ウイルス−2(HIV−2)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ゼノトロピック、アンホトロピック、及びエコトロピック組換えマウスレトロウイルス、例えばゼノトロピックマウス白血病ウイルス(X−MuLV)、ビスナウイルスなどのレトロウイルス;ウシウイルス性下痢症ウイルス(BVDV)などのフラビウイルス;水疱性口内炎ウイルス(VSV)などのラブドウイルス;パラインフルエンザ3型(PIV3)などのパラミクソウイルス);RNA非エンベロープ型ウイルス(例えば、レオウイルス3型(reo−3)などのレオウイルス;ポリオウイルス1型(PV−1)などのピコルナウイルス;脳心筋炎(EMC)ウイルス及びA型肝炎ウイルス(HAV)などのピコルナウイルス);DNAエンベロープ型ウイルス(例えば、仮性狂犬病ウイルス(PRV)、ウシ伝染性鼻気管炎(IBR)ウイルス、及び単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)などのヘルペスウイルス;オルフウイルスなどのポックスウイルス);DNA非エンベロープ型ウイルス(例えば、ヒトアデノウイルスなどのアデノウイルス;シミアンウイルス40(SV40)などのポリオーマウイルス、並びにブタパルボウイルス(PPV)、イヌパルボウイルス(CPV)、パルボウイルスB19、及びマウス微小ウイルス(MVM)(マウスマイニュートウイルス(mice minute virus)、マウスマイニュートウイルス(murine minute virus)、MMVとしても知られる)などのパルボウイルス;及びPhi−X 174(又はPhi−X)、シュードモナスファージPP7、腸内細菌ファージPR772、及びシュードモナスファージPhi−6などのバクテリオファージが挙げられる。
記載される方法は、マウス微小ウイルス(MVM)に成功裏に適用された。最も小さく、且つウイルスの除去又は不活性化が最も難しいもののなかで、このパルボウイルスはウイルスクリアランス、特にバイオ医薬品のウイルスろ過の「ゴールドスタンダード」である。従って、この方法はまた他のウイルス、特に性質上MVMと同様のウイルス(例えば、細胞によって比較的高い力価で産生される非エンベロープ型ウイルス)にも適用可能である。例えば、血漿工業の重要なゴールドスタンダードウイルスであるブタパルボウイルス(PPV)は、構造的にMVMと極めて類似している。
実際上の理由から、評価及びバリデーションが行われるプロセス工程はスケールダウンされる。これは、ウイルススパイク試験に必要なウイルス量から、ウイルスクリアランス試験に実際の生産規模を用いることが現実的でないためである。さらに、直ちに明らかなとおり、試験のために感染性ウイルスを医薬品適正製造基準(current good manufacturing practice:cGMP)の製造設備そのものに導入することは不適切であり得る。ウイルスクリアランスは、スパイクした出発物質のウイルス負荷を、試験ユニットから得られた処理後の材料と比較してウイルスの減少率(本明細書では「ウイルス減少率」又は「VRF」とも称される)を求めることにより計算される。
高純度且つ高力価のウイルスの一般的な作製手順、並びにMVMに使用される具体的なウイルス精製技法を、図1に概略的に示す。
本発明の一実施形態は、高純度ウイルス又は高純度ウイルスストック溶液の調製方法である。本明細書で使用されるとき、「高純度ウイルス」は、不純物(例えば、タンパク質、DNA、脂質)の濃度が極めて低いウイルスである。一実施形態では、高純度ウイルスは、50ug/ml未満、45ug/ml未満、40ug/ml未満、35ug/ml未満、30ug/ml未満、25ug/ml未満、20ug/ml未満、15ug/ml未満、10ug/ml未満、5ug/ml未満、又はそれ以下のタンパク質濃度を有する。
別の実施形態では、高純度ウイルス又は高純度ウイルスストック溶液は、100fg/TCID50未満、90fg/TCID50未満、80fg/TCID50未満、70fg/TCID50未満、60fg/TCID50未満、50fg/TCID50未満、40fg/TCID50未満、30fg/TCID50未満、20fg/TCID50未満、10fg/TCID50未満、5fg/TCID50未満、又はそれ以下のタンパク質濃度を有する。
さらなる実施形態では、高純度ウイルス又は高純度ウイルスストック溶液は、50fg/TCID50未満、45fg/TCID50未満、40fg/TCID50未満、35fg/TCID50未満、30fg/TCID50未満、25fg/TCID50未満、20fg/TCID50未満、15fg/TCID50未満、10fg/TCID50未満、5fg/TCID50未満、1fg/TCID50未満、0.5fg/TCID50未満、又はそれ以下のDNA濃度を有する。
さらに別の実施形態では、高純度ウイルス又は高純度ウイルスストック溶液は、上記に定義するとおりのタンパク質濃度及び上記に定義するとおりのDNA濃度を有する。一実施形態では、高純度ウイルス又は高純度ウイルスストック溶液は、100fg/TCID50未満のタンパク質濃度及び50fg/TCID50未満のDNA濃度を有する。別の実施形態では、高純度ウイルス又は高純度ウイルスストック溶液は、60fg/TCID50未満のタンパク質濃度及び15fg/TCID50未満のDNA濃度を有する。さらなる実施形態では、高純度ウイルス又は高純度ウイルスストック溶液は、5fg/TCID50未満のタンパク質濃度及び0.5fg/TCID50未満のDNA濃度を有する。
当業者は理解するであろうとおり、TCID50/mlは、病原因子を接種した細胞培養物の50%に病理学的変化を生じさせる病原因子の量の計測値であり、「組織培養感染量50」(TCID50)と表現される。TCID50値の決定方法は当該技術分野において公知である。一般には、ウイルスストックの段階希釈物が調製され、同型細胞培養物に、例えば多ウェルフォーマット(例えば、96ウェルプラスチックプレート)で接種される。次に、細胞培養期間後に各ウイルス希釈物について、典型的には細胞変性効果(CPE)を調べることにより、感染した細胞培養物の数が決定される。典型的な試験では、ウイルスを高倍に段階希釈すると、粒子が存在しないために細胞培養物はいずれも感染しない。ウイルスを低倍に段階希釈すると、あらゆる細胞培養物が感染する。特定の段階希釈のウイルスで細胞培養物の半分が細胞変性効果を示すとき、それが、細胞培養物の50%が感染するウイルスの希釈率である。この数値はデータから計算することができ、ミリリットル当たりの50%組織培養感染量(TCID50)として表される。
一実施形態では、ウイルスストックは、少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、1010TCID50/ml、5×1010TCID50/ml、1011TCID50/ml、5×1011TCID50/ml、又はそれ以上のウイルス濃度を有する。
この方法は、低タンパク質条件下で調製されたウイルスサンプルを得るステップと、ウイルスサンプルを濃縮するステップと、好適な緩衝液に交換するステップと、ウイルスサンプル中のウイルスを沈殿させるステップとの逐次ステップを含み、このようにして沈殿したウイルスは高純度ウイルスである。一実施形態では、高純度ウイルスは上記に記載したとおりのウイルス力価を有する。
低タンパク質条件下で調製されるウイルスサンプルは、任意の好適な方法を用いて実現することができる。例えば、ウイルスサンプルは、低血清培地培養、無血清培地培養、限定培地培養、又はそれらの組み合わせで培養されたウイルス感染細胞から得ることができる。一実施形態では、細胞は低血清含有細胞培養培地(例えば、1%ウシ胎仔血清(FBS)含有ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM))で感染させた後、無血清細胞培養培地(例えば、FBS不含DMEM、又はFBS不含Advanced DMEM)か、又は限定無血清細胞培養培地で培養される。別の実施形態では、細胞は無血清細胞培養培地(例えば、FBS不含DMEM、又はFBS不含Advanced DMEM)、又は限定無血清細胞培養培地で感染させる。
ウイルスは濃縮され、細胞培地は好適な緩衝液と交換される。例えばウイルスは、好適な緩衝液、例えば、トリス−NaCl−EDTA(TNE)緩衝液(例えば、10mMのトリス、pH8.0、150mMのNaCl、1mMのEDTA);リン酸緩衝生理食塩水(PBS)緩衝液(例えば、137mMのNaCl、2.7mMのKCl、100mMのNaHPO、2mMのKHPO、pH7.4);トリス緩衝生理食塩水(TBS)(例えば、50mMのトリス、150mMのNaCl、pH pH7.6);トリス−EDTA(TE)緩衝液(例えば、10mMのトリス、1mMのEDTA);又は10mMのトリスに濃縮される。
一実施形態では、ウイルスサンプルは、限外ろ過(例えば、限外ろ過遠心装置)、タンジェンシャルフローろ過、透析、又はそれらの組み合わせにより濃縮される。限外ろ過では、サンプルは、流体及び小分子(例えば、直径が膜孔径より小さい塩、糖、及びタンパク質)を通過させるがウイルスは保持する膜に通して処理される。流体は、限定はされないが、遠心、蠕動ポンプ、真空及び空気圧を含む数多くの方法によって限外ろ過膜に押し通すことができる。次にウイルスは所望の量の新しい緩衝液に再懸濁される。タンジェンシャルフローろ過(クロスフローろ過としても知られる)では、供給溶液が限外ろ過膜の表面に対して垂直に流れる。ウイルスは通過しない一方で、流体及び小分子を膜に流し通す膜間差圧が作り出され、サンプル中の容量が低減される。次に、膜を通して流体を引き込み続けながら新しい緩衝液をタンジェンシャルフローろ過システムに供給することにより、緩衝液が交換され得る。透析では、サンプルが、流体及び小分子は自由に通過させるがウイルスは内部に保持する袋状の膜の中に入れられる。この「透析袋」を規定の容量オスモル濃度で多量の緩衝液中に入れることにより、サンプル中の細胞培養培地が新しい緩衝液中に希釈され、及び袋内の容量が減少して、緩衝液交換及びウイルス濃縮の双方が達成される。詳細な実施形態において、ウイルスサンプルは限外ろ過及びTNEへの緩衝液交換により濃縮される。
ウイルスサンプル中のウイルスの沈殿は、任意の好適な方法によって実現することができる。例えば、超遠心、化学誘導性沈殿、クロマトグラフィーによる結合、ポリマー誘導性凝集、又はそれらの組み合わせ。超遠心技法が当該技術分野では標準的である。例えばウイルスサンプルを、標準的な装置を使用して、約4℃、少なくとも約25,000RPM(112600×g)で少なくとも約4時間超遠心し、チューブの底にあるペレットとして収集することができる。チューブの底に高密度媒体の「クッション」(例えば、グリセロール)を入れてからサンプルを添加してもよく、それによりウイルスは、チューブの底のペレットに至るまでにこの高密度層を通過しなければならず、一方で不純物は通過しない。ウイルスはまた、塩化セシウム又はイオジキサノールなどの密度勾配媒体を通して遠心し、当該の密度勾配に沿った何らかの点における濃縮層としてウイルスを収集することもできる。化学剤を使用するウイルス沈殿は、ウイルスを結合し、且つ不溶性の凝集体を形成する任意の薬剤であってよい(例えば、任意の好適な分子量(MW)、例えば約MW6,000〜約MW10,000のポリエチレングリコール(PEG))。クロマトグラフィーによる結合は、ウイルスを結合するのに適したクロマトグラフ媒体を使用して実現することができる(例えば、アガロース、コントロールドポアグラス又は膜媒体でのQ型又はS型ケミストリー)。ウイルスサンプル中のウイルスを沈殿させるには、誘導的に凝集する可溶性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、及びポリビニルアルコールなどのスマートポリマー)もまた使用することができる。一実施形態では、ウイルスは超遠心法によって沈殿される。
一実施形態では、この方法は、沈殿したウイルスのクロマトグラフィーポリッシングをさらに含む。本明細書で使用されるとき、「クロマトグラフィーポリッシング」は、ウイルスの大部分を通過させる一方で、不純物をその静電荷又は疎水性に基づき保持する媒体にサンプルを通過させることにより、痕跡量の不純物を除去することを指す。クロマトグラフィーポリッシングは、典型的にはウイルス沈殿によって除去されない不純物を除去する。一実施形態では、ウイルスはフロースルークロマトグラフィーポリッシング(例えば、陽イオン交換(CEX)膜吸着体、又はChromaSorb(商標)などの陰イオン交換媒体を使用する)に供される。かかるクロマトグラフィーポリッシングは、タンパク質、核酸、脂質、及び糖などの不純物を、その静電荷に基づきウイルスサンプルから除去する。他のクロマトグラフィーポリッシング方法、例えば他の膜吸着体(例えば、Pall Mustang S);適切なケミストリー(ウイルス及び緩衝液条件に依存してS又はQ)によるビーズベースのクロマトグラフ媒体;サイズ排除媒体;疎水性に基づく媒体)を用いることができる。当業者は理解するであろうとおり、使用するクロマトグラフィーポリッシング装置の選択は、精製するウイルスの性質、除去すべき汚染物質、及び精製のスケールに依存する。
本明細書に記載される方法の一実施形態では、ウイルスは結合することなしにクロマトグラフィーポリッシング媒体を通って流れる一方、不純物は媒体に結合し、従ってサンプルから除去される。緩衝液条件は、ウイルスの通過及び不純物の除去を最大化するように(例えば、塩含有量及び/又はpH値を変えて)調整されてもよい。一実施形態では、TNE緩衝液、pH7中のMVMを陽イオン交換(CEX)膜吸着装置に通過させることにより、タンパク質及びDNA不純物を膜に吸着させて除去し、一方でウイルスの大部分は通過する。
別の実施形態では、クロマトグラフィーポリッシングは、ウイルスを精製して高純度ウイルスを作製するための任意のウイルス調製及び精製方法に適用される。例えば、本明細書に記載されるものに加え、クロマトグラフィーポリッシングによりさらに精製することができる他のウイルス調製及び精製方法は、超遠心ペレット形成、勾配精製、限外ろ過により調製されるウイルスを含む。クロマトグラフィーポリッシングはまた、細胞残屑を除去するため清澄化によってのみ処理された未精製のウイルス調製物からのウイルス精製にも用いることができる。かかるウイルス調製物は、例えば、用いられる具体的なウイルス、緩衝液条件、及び方法の規模に適切なクロマトグラフ媒体を使用して、フロースルー方式で精製されてもよい。一実施形態では、超遠心ペレット形成により濃縮したウイルス(例えば、MVM)を陽イオン交換(CEX)膜に通過させる。一実施形態では、CEX膜は、ポリエーテルスルホン(PES)マトリックス上にMBAm(N,N’−メチレンビスアクリルアミド)により架橋されたAMPS(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)を含む。ウイルス(例えば、MVM)は著しい結合なしに膜を通過する一方、タンパク質及びDNAなどの不純物は膜に結合して、ウイルスサンプルから除去される。
本明細書に記載される方法は、ウイルスストック中の不純物の存在を大幅に低減する。例えば、ウイルスストック中の不純物の総量が大幅に減少する。「不純物の総量」とは、不純物の分量が減少する(例えば、標準アッセイ、例えば、タンパク質定量用のビシンコニン酸(BCA)アッセイ、DNA定量用のPicoGreen(商標)などにより決定するとき、タンパク質、DNAなどの不純物のマイクログラム数又はフェムトグラム数が約90〜約99%だけ低下する)ことを意味する。加えて、不純物の数が大幅に減少する。例えば、タンパク質ゲル上で同定可能なタンパク質不純物は、タンパク質SDS−PAGEゲルの銀染色法などの方法により決定するときの数百、数千、又は数万種の異なるタンパク質とは対照的に、僅か数種(例えば、2、3、5、10、又は20種)の異なるタンパク質であり得る。不純物はウイルス調製物の汚染物質、例えば、DNA、RNA、タンパク質、脂質、非感染性粒子及びウイルス凝集体である。
一実施形態では、ウイルスストックは、少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、1010TCID50/ml、5×1010TCID50/ml、1011TCID50/ml、5×1011TCID50/ml、又はそれ以上のウイルス濃度、及び100ug/ml、90ug/ml、80ug/ml、70ug/ml、60ug/ml、50ug/ml、40ug/ml、30ug/ml、20ug/ml、10ug/ml又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いタンパク質濃度のタンパク質を有する。
一実施形態では、ウイルスストックは、少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、1010TCID50/ml、5×1010TCID50/ml、1011TCID50/ml、5×1011TCID50/ml、又はそれ以上のウイルス濃度、及び100fg/TCID50、90fg/TCID50、80fg/TCID50、70fg/TCID50、60fg/TCID50、50fg/TCID50、40fg/TCID50、30fg/TCID50、20fg/TCID50、15fg/TCID50、10fg/TCID50、5fg/TCID50、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いタンパク質濃度を有する。
一実施形態では、ウイルスストックは、少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、1010TCID50/ml、5×1010TCID50/ml、1011TCID50/ml、5×1011TCID50/ml、又はそれ以上のウイルス濃度、及び30fg/TCID50、25fg/TCID50、20fg/TCID50、15fg/TCID50、10fg/TCID50、5fg/TCID50、1fg/TCID50、0.5fg/TCID50、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いDNA濃度を有する。
一実施形態では、ウイルスストックは、少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、1010TCID50/ml、5×1010TCID50/ml、1011TCID50/ml、5×1011TCID50/ml、又はそれ以上のウイルス濃度;100fg/TCID50、90fg/TCID50、80fg/TCID50、70fg/TCID50、60fg/TCID50、50fg/TCID50、40fg/TCID50、30fg/TCID50、20fg/TCID50、15fg/TCID50、10fg/TCID50、5fg/TCID50、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いタンパク質濃度;及び30fg/TCID50、25fg/TCID50、20fg/TCID50、15fg/TCID50、10fg/TCID50、5fg/TCID50、1fg/TCID50、0.5fg/TCID50、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いDNA濃度を有する。
当業者は理解するであろうとおり、本明細書に記載される方法を適用することにより、多くのウイルスを、少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、10TCID50/ml、10TCID50/ml、10TCID50/ml、1010TCID50/ml、1011TCID50/ml、5×1011TCID50/ml、又はそれ以上の濃度に精製することができる。従って、一実施形態では、低タンパク質条件下で調製されたウイルスサンプルを得るステップと、ウイルスサンプルを好適な緩衝液中に濃縮するステップと、ウイルスサンプル中のウイルスを沈殿させるステップとの逐次ステップを含む、少なくとも10TCID50/mlの濃度にウイルスを精製する方法であり、ここで沈殿したウイルスは少なくとも10TCID50/mlのウイルス濃度を有し、従ってウイルスは少なくとも10TCID50/mlの濃度に精製される。
一実施形態では、この方法はウイルスを少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、1010TCID50/ml、5×1010TCID50/ml、1011TCID50/ml、5×1011TCID50/ml、又はそれ以上の濃度に精製する。
別の実施形態では、この方法はウイルスを少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、1010TCID50/ml、5×1010TCID50/ml、1011TCID50/ml、5×1011TCID50/ml、又はそれ以上の濃度、及び100ug/ml、90ug/ml、80ug/ml、70ug/ml、60ug/ml、50ug/ml、40ug/ml、30ug/ml、20ug/ml、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いタンパク質濃度のタンパク質に精製する。
一実施形態では、この方法はウイルスを少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、1010TCID50/ml、5×1010TCID50/ml、1011TCID50/ml、5×1011TCID50/ml、又はそれ以上の濃度、及び100fg/TCID50、90fg/TCID50、80fg/TCID50、70fg/TCID50、60fg/TCID50、50fg/TCID50、40fg/TCID50、30fg/TCID50、20fg/TCID50、15fg/TCID50、10fg/TCID50、5fg/TCID50、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いタンパク質濃度に精製する。
一実施形態では、この方法はウイルスを少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、1010TCID50/ml、5×1010TCID50/ml、1011TCID50/ml、5×1011TCID50/ml、又はそれ以上の濃度、及び30fg/TCID50、25fg/TCID50、20fg/TCID50、15fg/TCID50、10fg/TCID50、5fg/TCID50、1fg/TCID50、0.5fg/TCID50、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いDNA濃度に精製する。
一実施形態では、この方法はウイルスを少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、1010TCID50/ml、5×1010TCID50/ml、1011TCID50/ml、5×1011TCID50/ml、又はそれ以上の濃度;100fg/TCID50、90fg/TCID50、80fg/TCID50、70fg/TCID50、60fg/TCID50、50fg/TCID50、40fg/TCID50、30fg/TCID50、20fg/TCID50、15fg/TCID50、10fg/TCID50、5fg/TCID50、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いタンパク質濃度;及び30fg/TCID50、25fg/TCID50、20fg/TCID50、15fg/TCID50、10fg/TCID50、5fg/TCID50、1fg/TCID50、0.5fg/TCID50、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いDNA濃度に精製する。
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される方法によって作製される高純度ウイルス又は高純度ウイルスストックである。一実施形態では、本明細書に記載される方法によって作製される高純度ウイルス又は高純度ウイルスストックを含む、本質的にそれからなる、又はそれからなる組成物である。
本発明のさらなる実施形態は、ウイルスクリアランスプロセス及びそのクリアランスプロセスで使用されるウイルスクリアランスユニット運転(例えば、ダイレクトフロー若しくはタンジェンシャルフローのいずれかの方式の平膜型又は中空糸型ランのフィルタ;陽イオン交換、陰イオン交換、疎水性交換、混合方式クロマトグラフィー、プロテインAなどのアフィニティークロマトグラフィー又は他のリガンドベースの吸着を含むクロマトグラフィー工程;低pH、溶媒/界面活性剤、放射線照射(γ線又は紫外線)、熱処理などのウイルス不活性化方法)を評価及び/又はバリデートする方法である。
上記に考察したとおり、ウイルスクリアランスプロセスを評価及び/又はバリデートする一つの方法は、スケールダウンしたウイルスクリアランスプロセスモデル(本明細書では「スケール化ウイルスクリアランスプロセス」とも称される)におけるウイルススパイク試験である。このウイルススパイク試験の目的は、製品(バイオ医薬品など)の製造プロセスからのウイルス浄化におけるウイルスクリアランスユニットの有効性を評価することである。ウイルス力価が高いほど、より高いウイルス減少率を実証することができ、及びウイルスクリアランスユニット運転にとってより厳しい課題が可能となる。しかしながら、スパイク試験では、サンプル製品の組成が容認し難いほど変化することがないように、スパイク材料を少量、典型的には供試サンプルに対して10%以下(vol/vol)にとどめることが望ましい。従って、高ウイルス力価のウイルススパイクを使用することが望ましい。ウイルスクリアランスプロセス及び/又はウイルスクリアランスプロセスで使用されるウイルスクリアランスユニットのバリデーション又は評価において使用するサンプルは、任意の好適な製造プロセス供給液サンプルである。例えば、好適なサンプルは、バイオ医薬品の製造で作製される製品を代表するものである。例としては、抗体、組換えタンパク質、ワクチン、コンジュゲートタンパク質、血液製剤、血漿、及び畜産物等を含むサンプル溶液が挙げられる。
従って、一実施形態は、ウイルスクリアランスプロセスを評価及び/又はバリデートする方法であり、この方法は、サンプルを高純度ウイルス溶液でスパイクするステップを含む。一実施形態では、試験サンプルを作製する高純度ウイルス溶液は、100fg/TCID50未満のタンパク質濃度及び50fg/TCID50未満のDNA濃度を有する。一実施形態では、高純度ウイルスストック溶液は、少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml乃至少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、又はそれ以上のウイルス濃度の高純度ウイルスを有する。スケールダウンしたウイルスクリアランスプロセスモデルであるスケール化ウイルスクリアランスプロセスは試験サンプルを使用して試験され、ウイルスクリアランスプロセスの結果が分析され、このようにしてウイルスクリアランスの量によりウイルスクリアランスプロセスが評価され、及びそのバリデーションが決定される。
一実施形態では、ウイルスクリアランスプロセスを評価及び/又はバリデートする方法で使用される高純度ウイルス溶液は、100ug/ml、90ug/ml、80ug/ml、70ug/ml、60ug/ml、50ug/ml、40ug/ml、30ug/ml、20ug/ml、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いタンパク質濃度のタンパク質を含む。別の実施形態では、ウイルスクリアランスプロセスを評価及び/又はバリデートする方法で使用される高純度ウイルス溶液は、100fg/TCID50、90fg/TCID50、80fg/TCID50、70fg/TCID50、60fg/TCID50、50fg/TCID50、40fg/TCID50、30fg/TCID50、20fg/TCID50、15fg/TCID50、10fg/TCID50、5fg/TCID50、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いタンパク質濃度を含む。さらなる実施形態では、ウイルスクリアランスプロセスを評価及び/又はバリデートする方法で使用される高純度ウイルス溶液は、30fg/TCID50、25fg/TCID50、20fg/TCID50、15fg/TCID50、10fg/TCID50、5fg/TCID50、1fg/TCID50、0.5fg/TCID50、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いDNA濃度を含む。さらに別の実施形態では、ウイルスクリアランスプロセスを評価及び/又はバリデートする方法で使用される高純度ウイルス溶液は、少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、1010TCID50/ml、5×1010TCID50/ml、1011TCID50/ml、5×1011TCID50/ml、又はそれ以上のウイルスを含む。
別の実施形態では、ウイルスクリアランスプロセスを評価及び/又はバリデートする方法で使用される高純度ウイルス溶液は、少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、1010TCID50/ml、5×1010TCID50/ml、1011TCID50/ml、5×1011TCID50/ml、又はそれ以上のウイルス、及び100ug/ml、90ug/ml、80ug/ml、70ug/ml、60ug/ml、50ug/ml、40ug/ml、30ug/ml、20ug/ml、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いタンパク質濃度のタンパク質を含む。
一実施形態では、ウイルスクリアランスプロセスを評価及び/又はバリデートする方法で使用される高純度ウイルス溶液は、少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、1010TCID50/ml、5×1010TCID50/ml、1011TCID50/ml、5×1011TCID50/ml、又はそれ以上のウイルス、及び100fg/TCID50、90fg/TCID50、80fg/TCID50、70fg/TCID50、60fg/TCID50、50fg/TCID50、40fg/TCID50、30fg/TCID50、20fg/TCID50、15fg/TCID50、10fg/TCID50、5fg/TCID50、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いタンパク質濃度を含む。
一実施形態では、ウイルスクリアランスプロセスを評価及び/又はバリデートする方法で使用される高純度ウイルス溶液は、少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、1010TCID50/ml、5×1010TCID50/ml、1011TCID50/ml、5×1011TCID50/ml、又はそれ以上のウイルス、及び30fg/TCID50、25fg/TCID50、20fg/TCID50、15fg/TCID50、10fg/TCID50、5fg/TCID50、1fg/TCID50、0.5fg/TCID50、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いDNA濃度を含む。
一実施形態では、ウイルスクリアランスプロセスを評価及び/又はバリデートする方法で使用される高純度ウイルス溶液は、少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、1010TCID50/ml、5×1010TCID50/ml、1011TCID50/ml、5×1011TCID50/ml、又はそれ以上のウイルス;100fg/TCID50、90fg/TCID50、80fg/TCID50、70fg/TCID50、60fg/TCID50、50fg/TCID50、40fg/TCID50、30fg/TCID50、20fg/TCID50、15fg/TCID50、10fg/TCID50、5fg/TCID50、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いタンパク質濃度;及び30fg/TCID50、25fg/TCID50、20fg/TCID50、15fg/TCID50、10fg/TCID50、5fg/TCID50、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いDNA濃度を含む。
ウイルスクリアランスプロセスを評価及び/又はバリデートする方法の一実施形態では、試験サンプルは、少なくとも、又は少なくともほぼ10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.1%、0.01%、0.001%、0.0001%(vol/vol)の上記の高純度ウイルス溶液のいずれか一つでスパイクされる。ウイルスクリアランスプロセスを評価及び/又はバリデートする方法の別の実施形態では、試験サンプルは、上記の高純度ウイルス溶液のいずれか一つからの、少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、1010TCID50/ml、5×1010TCID50/ml、1011TCID50/ml、5×1011TCID50/ml、又はそれ以上のウイルスでスパイクされる。
試験サンプルからウイルスが十分に除去されて規制基準を満たす場合、それらのデータをウイルスクリアランスプロセスバリデーションに適用することができる。一実施形態では、スケール化ウイルスクリアランスプロセスはフィルタを含む。
さらなる実施形態は、ウイルスクリアランスユニットを評価及び/又はバリデートする方法である。この方法は、上記に記載したとおりの高純度ウイルス溶液でサンプルをスパイクするステップを含む。一実施形態では、試験サンプルを作製する高純度ウイルスは、100fg/TCID50未満のタンパク質濃度、及び50fg/TCID50未満のDNA濃度を含む。別の実施形態では、高純度ウイルス溶液は、少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/mlのウイルス乃至少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/mlのウイルス、又はそれ以上を含む。ウイルスクリアランスプロセスで使用されるウイルスクリアランスユニットのスケールダウンモデルであるウイルスクリアランスユニットは試験サンプルを使用して試験され、ウイルスクリアランスユニットの結果が分析され、このようにしてウイルスクリアランスユニットの有効性がウイルスクリアランスの量により決定される。
一実施形態では、ウイルスクリアランスユニットを評価及び/又はバリデートする方法で使用される高純度ウイルス溶液は、100ug/ml、90ug/ml、80ug/ml、70ug/ml、60ug/ml、50ug/ml、40ug/ml、30ug/ml、20ug/ml、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いタンパク質濃度のタンパク質を含む。別の実施形態では、ウイルスクリアランスユニットを評価及び/又はバリデートする方法で使用される高純度ウイルス溶液は、100fg/TCID50、90fg/TCID50、80fg/TCID50、70fg/TCID50、60fg/TCID50、50fg/TCID50、40fg/TCID50、30fg/TCID50、20fg/TCID50、15fg/TCID50、10fg/TCID50、5fg/TCID50、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いタンパク質濃度を含む。さらなる実施形態では、ウイルスクリアランスユニットを評価及び/又はバリデートする方法で使用される高純度ウイルス溶液は、30fg/TCID50、25fg/TCID50、20fg/TCID50、15fg/TCID50、10fg/TCID50、5fg/TCID50、1fg/TCID50、0.5fg/TCID50、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いDNA濃度を含む。さらに別の実施形態では、ウイルスクリアランスユニットを評価及び/又はバリデートする方法で使用される高純度ウイルス溶液は、少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、1010TCID50/ml、5×1010TCID50/ml、1011TCID50/ml、又はそれ以上のウイルスを含む。
別の実施形態では、ウイルスクリアランスユニットを評価及び/又はバリデートする方法で使用される高純度ウイルス溶液は、少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、1010TCID50/ml、5×1010TCID50/ml、1011TCID50/ml、5×1011TCID50/ml、又はそれ以上のウイルス、及び100ug/ml、90ug/ml、80ug/ml、70ug/ml、60ug/ml、50ug/ml、40ug/ml、30ug/ml、20ug/ml、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いタンパク質濃度のタンパク質を含む。
一実施形態では、ウイルスクリアランスユニットを評価及び/又はバリデートする方法で使用される高純度ウイルス溶液は、少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、1010TCID50/ml、5×1010TCID50/ml、1011TCID50/ml、5×1011TCID50/ml、又はそれ以上のウイルス、及び100fg/TCID50、90fg/TCID50、80fg/TCID50、70fg/TCID50、60fg/TCID50、50fg/TCID50、40fg/TCID50、30fg/TCID50、20fg/TCID50、15fg/TCID50、10fg/TCID50、5fg/TCID50、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いタンパク質濃度を含む。
一実施形態では、ウイルスクリアランスユニットを評価及び/又はバリデートする方法で使用される高純度ウイルス溶液は、少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、1010TCID50/ml、5×1010TCID50/ml、1011TCID50/ml、5×1011TCID50/ml、又はそれ以上のウイルス、及び30fg/TCID50、25fg/TCID50、20fg/TCID50、15fg/TCID50、10fg/TCID50、5fg/TCID50、1fg/TCID50、0.5fg/TCID50、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いDNA濃度を含む。
一実施形態では、ウイルスクリアランスユニットを評価及び/又はバリデートする方法で使用される高純度ウイルス溶液は、少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、1010TCID50/ml、5×1010TCID50/ml、1011TCID50/ml、5×1011TCID50/ml、又はそれ以上のウイルス;100fg/TCID50、90fg/TCID50、80fg/TCID50、70fg/TCID50、60fg/TCID50、50fg/TCID50、40fg/TCID50、30fg/TCID50、20fg/TCID50、15fg/TCID50、10fg/TCID50、5fg/TCID50、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いタンパク質濃度;及び30fg/TCID50、25fg/TCID50、20fg/TCID50、15fg/TCID50、10fg/TCID50、5fg/TCID50、1fg/TCID50、0.5fg/TCID50、又はそれ以下より低い、又はほぼそれより低いDNA濃度を含む。
ウイルスクリアランスユニットを評価及び/又はバリデートする方法の一実施形態では、試験サンプルは、少なくとも、又は少なくともほぼ10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%(vol/vol)の上記の高純度ウイルス溶液のいずれか一つでスパイクされる。ウイルスクリアランスユニットを評価及び/又はバリデートする方法の別の実施形態では、試験サンプルは、上記の高純度ウイルス溶液のいずれか一つからの、少なくとも、又は少なくともほぼ10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、10TCID50/ml、5×10TCID50/ml、1010TCID50/ml、5×1010TCID50/ml、1011TCID50/ml、5×1011TCID50/ml、又はそれ以上のウイルスでスパイクされる。
試験サンプルからウイルスが十分に除去されて規制基準を満たす場合、ウイルスクリアランスユニットがバリデートされる。一実施形態では、ウイルスクリアランスユニットはフィルタを含む。
包括的なスケールダウンウイルスクリアランス試験で達成されるウイルス除去は、医薬品申請の規制上の届出時に報告されるウイルスクリアランス申告に加えられ得る。
実施例1:324K細胞によるMVM増殖(図2〜図4を参照)
材料:
増殖細胞系:324K細胞(シミアンウイルス40で形質転換されたヒト線維芽細胞)、ストックから新しく解凍したもの。
感染:ATCC(カタログ番号VR−1346)ウイルスストックから得たマウスマイニュートウイルス(MVM)を使用して324K宿主細胞を感染させた。
培地:10%ウシ胎仔血清「FBS」含有DMEM、1%FBS含有DMEM、及びFBS不含DMEM。全て、0.1mMの非必須アミノ酸、2mLのL−グルタミン、0.2単位/mlのペニシリン/ストレプトマイシンを補充した。FBS不含DMEMは、0.1mMの非必須アミノ酸、2mLのL−グルタミン、0.1単位/mlのペニシリン/ストレプトマイシンを補充した。
再懸濁緩衝液:TNE(10mMのトリス[pH8.0]、150mMのNaCl、1mMのEDTA)。
装置:ポリエーテルスルホン(PES)マトリックス上にMBAm(N,N’−メチレンビスアクリルアミド)により架橋されたAMPS(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)を含むMillipore陽イオン交換(CEX)膜吸着体、Millipore Centricon(登録商標)−70 100kDa遠心限外ろ過装置、及びMillipore Millex(商標)Durapore 0.22μmフィルタ。
方法:
本明細書に記載されるウイルスストック調製方法のなかの複数の段階でアッセイを実施した。この例では、図2において赤色で示す点でアッセイを実施した。各サンプルについてのアッセイパネルは以下のとおりであった:ウイルス力価(下記参照)、BCAタンパク質含量(Centricon(登録商標)前のサンプルに対しては無し)、PicoGreen(商標)DNA含量、及びSDS−PAGE銀染色。各サンプル点で、アッセイのために1mlのサンプルを取った。
ウイルス力価測定:特に注記しない限り、各力価測定につき50μlのサンプルを10−2希釈物にした(すなわち、4.95mlの培地となるよう希釈した)。例外的にCentricon(登録商標)ろ液は、無希釈サンプルから出発してアッセイした。全てのサンプルは力価測定まで4℃で保存し、次に力価測定後に−80℃で保存した。
324K宿主細胞系成長:新しく解凍した作業用ストックバイアルからT150フラスコ30本の324K細胞をコンフルエントになるまで成長させた。成長培地:10%FBS含有DMEM。
成長及び感染スケジュール:0日目:324K感染−トリプシンを使用して324K細胞を剥がす。懸濁細胞をプールし、1500RPM10分間でペレット化する。デカントし、培地を廃棄する。50mlの1%FBS含有完全DMEMに再懸濁することにより、細胞を洗浄する。上記のとおり細胞をペレット化する。デカントし、培地を廃棄する。再懸濁細胞を単一の滅菌容器にプールし、細胞を計数する。得られた細胞カウントは2.02E+06細胞/mlで合計60.0mlであった。細胞の総数は1.2E+08細胞であった。従って、コンフルエントなT150当たりの細胞数は、9.2E+06細胞であった。1%FBS含有DMEM中2.0×10細胞/mlの密度の650mlの細胞容量を調製した。具体的には、60mlの細胞懸濁液を590mlの1%FBS含有DMEMに添加した(総容量=650ml)。細胞密度計数値:2.7E+05細胞/ml。MVMは、0.002TCID50/細胞のMOIで懸濁細胞に直接添加した。これは細胞1ml当たり500TCID50×650mlを添加することが必要である=合計3.3×10のTCID50を添加。MVMストック力価:1×10TCID50/ml。3.3×10TCID50÷ストック力価=650ml細胞に0.0033ml=3.3μlのMVMストックを添加した(33μlの1/10希釈ストックを添加してもよい)。細胞懸濁液を完全に混合した。20mlの細胞/ウイルス懸濁液を30本のT150フラスコに移した(フラスコ1〜30と名付けた)。目標の播種=4.0×10細胞/T150フラスコ。実際の播種5.4E6細胞/T150。細胞を37℃、10%COでインキュベートした。3〜4日目:無血清培地に交換する。3〜4日目の各々にフラスコの1/2ずつ培地を交換する:3日目、フラスコ1〜15の培地を交換する;4日目、フラスコ15〜30の培地を交換する。
培地交換手順:各フラスコ中の培地を共通のプールにデカントする。一日の収集ごとに一つのプールが作られる:フラスコ1〜15からの培地d3 m/c(3日目培地交換);フラスコ15〜30からの培地d4 m/c。デカントした各培地プールをアッセイする。各フラスコを20mlのDMEM[FBS不含]で洗浄する。洗浄培地を流し捨てて廃棄する。培地を20mlのDMEM[FBS不含]に取り換え、次に細胞インキュベーションを続行する。
約14日目:ライセートを回収する。細胞が完全なCPE(ウイルスにより誘導される溶解)を示すとき、フラスコを3つのプールにデカントすることによって細胞ライセートを回収する。ライセートd3 m/c;ライセートd4 m/c。各ライセートプールをアッセイする(ウイルス力価のみ)。ライセートを単一のプールに加え合わせる。加え合わせたライセートプールをアッセイする(ウイルス力価のみ)。ライセートは、さらなるステップにより処理するまで、4℃で保存する。
清澄化:2000×gで15分間スピンすることにより、ライセートを遠心する。デカントして上清を保存する(ペレットは廃棄する)。0.22μm GP Express Plus(PVDF)Stericupで上清をろ過する。清澄化したライセートの総容量:532.6ml(空のStericupと満杯のStericupとの重量を比較することにより決定される)。清澄化したライセートをアッセイする。
Centricon(登録商標)による濃縮:遠心機を4℃に予冷却する。4つのCentricon(登録商標)Plus 100kDa装置に各70mlの清澄化ライセートを負荷する=合計280ml。保持液容量=1〜2mlまでCentricon(登録商標)チューブをスピンする(Thermo Fisher卓上遠心機、ローター:228、温度:4℃、速度:2390×g、総スピン時間(スピン1):13分間)。ろ液を共通のろ液プールに保存する。Centricon(登録商標)チューブに装置当たり約70ml超のライセートを補給する(前の保持液の上に注入する)。Centricon(登録商標)チューブを再度上記のとおり保持液容量=1〜2mlまでスピンする。総スピン時間(スピン2):16.45分間。ろ液を、前のスピンからの前のろ液と加え合わせる。Centricon(登録商標)ろ液をアッセイする(それにより任意のウイルス漏出を検出し、及びCentricon(登録商標)プロセスにより除去されたタンパク質及びDNAを可視化/定量化する)。任意の残った清澄化ライセートを取りのける。約70mlのTNEを充填することにより、Centricon(登録商標)チューブを洗浄する。Centricon(登録商標)チューブを再度上記のとおり保持液容量=1〜2mlまでスピンする。総スピン時間(スピン3−洗浄):13分間)。洗浄ろ液を廃棄する。装置コアを反転させて保持液を遠心(ローター:228、温度:4℃、速度:1000×g、時間:2分間)により収集する。保持液を共通のプールに混ぜ合わせる(31mLになるようにする、従って1mLサンプルを取ることができる)。
超遠心:30mlの超遠心チューブをキャップと共に秤量する。空のチューブ重量:86.638g。TNEを使用して保持液プール容量を31mlにする(従って1mlをアッセイ用に取り除いた後にキャップを被せると、超遠心チューブは満杯になる)。希釈した保持液をアッセイする。この時点における予想ウイルス濃縮率は、清澄化ライセートから18Xである。希釈した保持液プールを30ml超遠心チューブに移す。チューブを完全に満たすのに必要であれば、TNEを添加する。キャップを被せた満杯の超遠心チューブを秤量する。満杯のチューブ重量:115.692g。希釈した保持液総容量(満杯−空の重量):29.054ml。超遠心機を4℃に予冷却する。ウイルスチューブと同じ重量のバランスチューブを作製する。ウイルスを超遠心する(超遠心ローター:SW28、温度:4℃、速度:25,000RPM(112600×g)、時間:4時間)。上清をチューブから慎重にデカントする。上清をアッセイする。ペレットを、上下にピペッティングすることにより15mlのTNEに再懸濁する。再懸濁したウイルスを新しいチューブに収集する。超遠心チューブを別の15mlのTNEで、上下にピペッティングすることによってリンスする。リンス液を最初のペレット再懸濁液と加え合わせて30mlのウイルスプールを形成する。再懸濁したペレットプールをアッセイする。
滅菌ろ過:0.22μm Durapore Millexシリンジフィルタを使用してフィルタを滅菌する。0.22μm後のろ液をアッセイする。
CEX膜吸着処理:30mlのウイルスプールをCEX膜吸着装置に通過させる。CEX手順:CEX装置を30psiで10分間、MilliQにより予め湿潤させる。装置の予備湿潤を緩衝液で繰り返す。予備湿潤後、装置を圧力源から取り外し、疎水性MillexをV−Shieldベントに取り付ける。滅菌シリンジを使用して、CEX装置内の残りの容量を徐々に追い出す。装置に全圧力を加えないよう注意し、膜層間にいくらかの液体は残さなければならない。シリンジポンプを使用して、シリンジ直径及び流量(2mL/分)を設定する。シリンジにウイルス調製物を負荷し、シリンジ中の空気を全て取り除く。予め湿潤させたCEXをシリンジに取り付け、シリンジポンプホルダに固定する。CEX装置の出口側に取り付けられたチュービングを使用して、シリンジポンプを始動させ、滅菌容器にろ液を収集する。全ての材料がCEXに押し通された後、ポンプを停止させ、シリンジを取り外し、及びチュービング内の容量を収集容器内に排出させる。CEXろ液を、2mlシロバイアル(cyrovial)に1〜14の番号を付した1mlアリコートとして収集する。CEX処理したウイルス画分2(初期画分)及び14(後期画分)をアッセイする。
ウイルス保存:バイアルをイソプロパノール/ドライアイス浴に浸漬することにより、スナップ凍結する。直ちにサンプルを−80℃の貯蔵室に移す。
ウイルスサンプルを解凍し、フィルタ分粒により凝集を調べる:ウイルスのアリコートを37℃の水浴で解凍する。解凍したウイルスをアッセイする。解凍した各アリコートを0.1μmシリンジフィルタに通過させる。0.1μmフィルタでろ過したウイルスをアッセイする。
結論
324K細胞は未処理のライセートで約7.7log TCID50/mlを産生した。血清を除去しても、これまでにFBS含有調製物で認められたものから力価は低下しなかった。Centricon(登録商標)によりウイルスのほとんどを回収することが可能であったが、夾雑タンパク質は除去されなかった。遠心により残りのウイルスのほとんどが回収され、著しく高純度となった。再懸濁したペレットをMillipore CEX膜吸着体に通過させると、残りの夾雑物のほとんどが除去された。全てこの方法を用いて実施した評価ラン1〜4について、一貫した結果が認められた。
実施例2:A9細胞によるMVM増殖(図5〜図7参照)
324K宿主細胞の代わりにA9細胞(ATCC)を、及びDMEMの代わりにAdvanced(商標)DMEM(Invitrogen製品番号12491−015)を用いて、実施例1の方法を繰り返した。CEX後の画分は、2ml画分ではなく1ml画分で収集した。その他の点ではプロトコルは同じであった。結果を図5A、図5B及び図6に示す。
結果
感染後細胞進行の観察:2日目:100%コンフルエント;4日目:90%コンフルエント−10%剥離;7日目:60%溶解;8日目:60〜70%溶解;9日目:8日目に同じ;10日目に回収。
結論
A9細胞は未処理の細胞ライセートで9.75log TCID50/mlを産生した。産物の力価が高いことで、最終ウイルスストックの濃度は10.5log TCID50/mlになった。SDS−PAGEから、A9増殖からのウイルス産物が324Kライセートより多いタンパク質を有することが示された。しかしながら、最終ウイルスストック中により多いタンパク質が現れたにもかかわらず(これはウイルスタンパク質であり得る)、タンパク質/感染性ウイルスにより計測するときの最終純度は、約2〜5fgタンパク質/TCID50であった。培地がなお無血清であり、且つ細胞タンパク質バックグラウンドは同等であると想定してよいことを考えると、これはウイルスタンパク質(従ってより高いウイルス力価の結果)であり得る。
実施例3:種々の標準CTOスパイクストック溶液の水力学的性能に関する評価(図8〜図9を参照のこと)
異なる方法で調製した3つのCTO MVMスパイクストックを、モノクローナル抗体(Mab)供給液にスパイクしてViresolve Proに通して処理したときのその水力学的性能について評価した。粗調製物を清澄化のみ行い細胞残屑を除去し、さらなる精製に供した。感染細胞培養ライセート中のウイルスを超遠心によりペレット化し、上清を廃棄し、次にウイルスをPBSに再懸濁することにより、超遠心調製物を精製した。清澄化した感染細胞培養ライセートを、正電荷Qケミストリーによる膜吸着体に通すことにより、膜結合/溶出精製した調製物を作製した。ウイルスが膜と結合し、次にそれを、400mMのNaClを含有するリン酸緩衝液で溶出した。超遠心及び膜結合/溶出精製方法により作製されたMVM調製物は、CTOからスパイク試験で使用する顧客向けに販売されている。
3つのいずれのストックも、目標スパイクレベルは1.4×10TCID50/mlであった。各条件はデュプリケートで実行した(ラン#1及びラン#2)。スパイク後の供給液で達成された実際の力価は、粗産物:2×10TCID50/ml;超遠心後:4×10TCID50/ml;及び膜結合/溶出精製後:6×10TCID50/mlであった。特に、膜結合/溶出精製調製物の水力学的性能は未精製の粗ウイルスの性能に等しいものであった。この比較では、3つのCTO調製物のなかで超遠心調製物が最良の性能で、スループットはスパイクしていない供給液と(4×10TCID50/mlのスパイクレベルで)同様であった。しかしながら、上記の例において説明したとおり、本発明のウイルス調製物はCTOウイルス調製物と比べて著しく良好な性能を示した(例えば、図7を参照のこと)。
タンパク質はMicro BCAアッセイにより定量した。*n.d.未検。粗ウイルスストック中に存在する培地成分はMicro BCAタンパク質アッセイを妨げる。DNAはPicoGreen(登録商標)アッセイにより定量した。表5から分かるとおり、CTOウイルス調製物は著しく高いタンパク質及びDNA含量を有する。
タンパク質/ウイルスの量は、ウイルス調製物がフィルタ汚損を引き起こす可能性と直接相関することが分かっている。上記で実施したアッセイに加え、3つの標準的なCTO MVM調製物及び本発明の方法によるMVM調製物を、SDS−PAGEゲル及び銀染色分析によって分析した。図9は、銀染色した4〜15%勾配SDS−PAGEゲルの写真である。各サンプルレーンには10μlのサンプルを負荷した。レーン1:分子量マーカー;レーン2:CTO粗MVM調製物(2.3×10TCID50/ml);レーン3:CTO超遠心精製MVM調製物(1.8×10TCID50/ml);レーン4:CTO Q膜結合/溶出精製MVM調製物(2.3×10TCID50/ml);レーン5:本発明の方法を使用したMVM調製物(6.5×10TCID50/ml);レーン6:分子量マーカー。
図9に示されるとおり、CTOウイルス調製物の各々は、存在するタンパク質の総数(各レーンのタンパク質のバンド数及びタンパク質のスミアを参照のこと)、並びにサンプル当たりのタンパク質の総量(総染色量として実証される)が著しく高かった。それに比べて本発明の方法は、本明細書に記載されるとおり、定量的にも定性的にも最小限のタンパク質含量のウイルス調製物を生じた。
実施例4:フロースルーMVMウイルスストック精製に使用される様々な陽イオン交換培地の比較
MVMウイルスストック(先にTNEへの緩衝液交換及び超遠心により精製したもの)を様々な陽イオン交換培地に通過させた。次にフロースルー材料をウイルス力価及びタンパク質含量について、MicroBCAアッセイによって製造者のプロトコルに従いアッセイした。表6に掲載する装置は全て、多量のタンパク質不純物を除去し、一方でウイルス調製物の力価は維持した。Millipore CEX(ポリエーテルスルホン(PES)マトリックス上にMBAm(N,N’−メチレンビスアクリルアミド)により架橋されたAMPS(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)を含む膜吸着体)及びSartobind S15(Sartorius)は、双方とも陽イオン交換膜吸着体である。Pro Res−S(Millipore)は単分散ポリメタクリレートの強力な陽イオン交換樹脂である。
表6に示されるとおり、本明細書に記載されるとおりの方法を用いて高純度ウイルス溶液を作製するために、フロースルー方式で様々な陽イオン交換培地を使用することができる。
実施例5:陽イオン交換(CEX)膜吸着体を使用して処理した様々な緩衝液中のMVMストック
様々な緩衝液中のMVMストックを、ポリエーテルスルホン(PES)マトリックス上にMBAm(N,N’−メチレンビスアクリルアミド)により架橋されたAMPS(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)を含む陽イオン交換(CEX)膜吸着体を使用して、フロースルー方式で処理した。表7に示されるとおり、これらの条件の各々において、ウイルス価の大きい損失なしにタンパク質不純物の除去が達成された。
本明細書に引用される全ての特許、公開出願及び参考文献の教示は、全体として参照により援用される。
本発明は、その例示的実施形態を参照して詳細に図示及び説明されているが、当業者は、添付の特許請求の範囲により包含される本発明の範囲から逸脱することなく、それらの実施形態において形態及び詳細の様々な変更が行われ得ることを理解するであろう。
本発明の態様として、以下のものが挙げられる。
〔1〕100fg/TCID50未満のタンパク質濃度を含む高純度ウイルスストック溶液の調製方法において、
(a)低タンパク質条件下で調製されたウイルスサンプルを得るステップと、
(b)前記ウイルスサンプルを好適な緩衝液中に濃縮するステップと、
(c)前記ウイルスサンプル中のウイルスを沈殿させるステップであって、前記沈殿したウイルスが100fg/TCID50未満のタンパク質濃度を含む、ステップと、
の逐次ステップを含み、それにより高純度ウイルスストック溶液を作製する、方法。
〔2〕痕跡量の不純物を除去するために前記沈殿したウイルスを処理するステップをさらに含む、〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記低タンパク質条件下で調製されるウイルスサンプルが、無血清細胞培養又は限定培地細胞培養ウイルス調製物である、〔1〕に記載の方法。
〔4〕前記ウイルスサンプルを好適な緩衝液中に濃縮するステップが、限外ろ過、タンジェンシャルフローろ過、透析、又はそれらの組み合わせを含む、〔1〕に記載の方法。
〔5〕前記好適な緩衝液がトリス−NaCl−EDTA(TNE)である、〔1〕に記載の方法。
〔6〕前記ウイルスサンプル中のウイルスを沈殿させるステップが、超遠心、化学誘導性沈殿、クロマトグラフィーによる結合、ポリマー誘導性凝集、又はそれらの組み合わせを含む、〔1〕に記載の方法。
〔7〕化学誘導性沈殿が、ポリエチレングリコール(PEG)誘導性沈殿である、〔6〕に記載の方法。
〔8〕前記ウイルスストック溶液が約60fg/TCID50未満のタンパク質濃度を有する、〔1〕に記載の方法。
〔9〕前記ウイルスストック溶液が、60fg/TCID50未満のタンパク質濃度及び15fg/TCID50未満のDNA濃度を有する、〔8〕に記載の方法。
〔10〕前記さらに処理するステップが、フロースルークロマトグラフィー、膜吸着、ビーズベースのクロマトグラフィー、サイズ排除処理、又は疎水性に基づく処理を含む、〔2〕に記載の方法。
〔11〕前記さらに処理するステップが、陽イオン交換フロースルークロマトグラフィーを含む、〔10〕に記載の方法。
〔12〕前記ウイルスが、哺乳動物ウイルス又はバクテリオファージ、又はそれらの組み合わせである、〔1〕に記載の方法。
〔13〕前記ウイルスが、パルボウイルス又はゼノトロピックマウス白血病ウイルス(X−MuLV)である、〔1〕に記載の方法。
〔14〕前記パルボウイルスがマウスマイニュートウイルス(MVM)である、〔13〕に記載の方法。
〔15〕〔1〕に記載の方法により作製されるウイルスストック溶液。
〔16〕少なくとも10TCID50/mlの濃度及び100fg/TCID50未満のタンパク質濃度にウイルスを精製する方法において、
(a)低タンパク質条件下で調製されたウイルスサンプルを得るステップと、
(b)前記ウイルスサンプルを好適な緩衝液中に濃縮するステップと、
(c)前記ウイルスサンプル中のウイルスを沈殿させるステップであって、前記沈殿したウイルスが少なくとも10TCID50/mlのウイルス濃度及び100fg/TCID50未満のタンパク質濃度を有する、ステップと、
の逐次ステップを含み、それによりウイルスを少なくとも10TCID50/mlの濃度及び100fg/TCID50未満のタンパク質濃度に精製する、方法。
〔17〕痕跡量の不純物を除去するために前記沈殿したウイルスを処理するステップをさらに含む、〔16〕に記載の方法。
〔18〕前記低タンパク質条件下で調製されるウイルスサンプルが、無血清細胞培養又は限定培地細胞培養ウイルス調製物である、〔16〕に記載の方法。
〔19〕前記ウイルスサンプルを好適な緩衝液中に濃縮するステップが、限外ろ過、タンジェンシャルフローろ過、透析、又はそれらの組み合わせを含む、〔16〕に記載の方法。
〔20〕前記好適な緩衝液がトリス−NaCl−EDTA(TNE)である、〔16〕に記載の方法。
〔21〕前記ウイルスサンプル中のウイルスを沈殿させるステップが、超遠心、化学誘導性沈殿、クロマトグラフィーによる結合、ポリマー誘導性凝集、又はそれらの組み合わせを含む、〔16〕に記載の方法。
〔22〕化学誘導性沈殿がポリエチレングリコール(PEG)誘導性沈殿である、〔21〕に記載の方法。
〔23〕前記ウイルスストック溶液が約60fg/TCID50未満のタンパク質濃度を有する、〔16〕に記載の方法。
〔24〕前記ウイルスストック溶液が、60fg/TCID50未満のタンパク質濃度及び15fg/TCID50未満のDNA濃度を有する、〔23〕に記載の方法。
〔25〕前記さらに処理するステップが、フロースルークロマトグラフィー、膜吸着、ビーズベースのクロマトグラフィー、サイズ排除処理、又は疎水性に基づく処理を含む、〔16〕に記載の方法。
〔26〕前記さらに処理するステップが、陽イオン交換フロースルークロマトグラフィーを含む、〔25〕に記載の方法。
〔27〕前記ウイルスが、哺乳動物ウイルス又はバクテリオファージ、又はそれらの組み合わせである、〔16〕に記載の方法。
〔28〕前記ウイルスが、パルボウイルス又はゼノトロピックマウス白血病ウイルス(X−MuLV)である、〔16〕に記載の方法。
〔29〕前記パルボウイルスがマウスマイニュートウイルス(MVM)である、〔28〕に記載の方法。
〔30〕〔16〕に記載の方法により精製されるウイルス。
〔31〕ウイルスクリアランスプロセスの評価方法において、
(a)サンプルをウイルス溶液でスパイクするステップであって、前記ウイルス溶液が:少なくとも10TCID50/mlのウイルス;100fg/TCID50未満のタンパク質濃度;及び50fg/TCID50未満のDNA濃度を含み、それにより試験サンプルを作製する、ステップと、
(b)前記試験サンプルを使用してスケール化ウイルスクリアランスプロセスを試験するステップと、
(c)前記ウイルスクリアランスプロセスの結果を分析するステップと、
を含み、
ウイルスクリアランス量が前記ウイルスクリアランスプロセスのウイルス除去能力を決定し、それにより前記ウイルスクリアランスプロセスを評価する、方法。
〔32〕前記試験サンプルが少なくとも10TCID50/mlのウイルスを含む、〔31〕に記載の方法。
〔33〕前記ウイルスクリアランスプロセスが、ウイルス除去、ウイルス不活性化、又はそれらの組み合わせを含む、〔31〕に記載の方法。
〔34〕前記ウイルス除去方法が、フィルタ、クロマトグラフィー媒体を含み、及び前記ウイルス不活性化方法が、低pH、高pH、紫外線(UV)照射、γ線照射、又は温度不活性化を含む、〔33〕に記載の方法。
〔35〕前記ウイルスが、哺乳動物ウイルス又はバクテリオファージ、又はそれらの組み合わせである、〔31〕に記載の方法。
〔36〕前記ウイルスが、パルボウイルス又はゼノトロピックマウス白血病ウイルス(X−MuLV)である、〔31〕に記載の方法。
〔37〕前記パルボウイルスがマウスマイニュートウイルス(MVM)である、〔36〕に記載の方法。
〔38〕ウイルスクリアランスプロセスの評価方法において、
(a)サンプルをウイルス溶液でスパイクするステップであって、前記ウイルス溶液がフロースルークロマトグラフィーを含む方法により調製され、それにより試験サンプルを作製するステップと、
(b)前記試験サンプルを使用してスケール化ウイルスクリアランスプロセスを試験するステップと、
(c)前記ウイルスクリアランスプロセスの結果を分析するステップと、
を含み、
ウイルスクリアランス量が前記ウイルスクリアランスプロセスのウイルス除去能力を決定し、それにより前記ウイルスクリアランスプロセスを評価する、方法。
〔39〕前記フロースルークロマトグラフィーが、膜又はビーズベースのマトリックスでの陽イオン交換フロースルークロマトグラフィーを含む、〔38〕に記載の方法。

Claims (16)

  1. 高純度マウスマイニュートウイルス(MMV)ストック溶液の調製方法であって、前記方法は、100fg/TCID50未満のタンパク質濃度を含むMMVストック溶液を一貫して生成し、前記方法は、
    (a)低血清条件下で増殖されたウイルス感染細胞の培養上清を採取し、それによりウイルスサンプルを得る工程、ここで、前記培養上清は、ウイルス誘導性細胞溶解後に採取される、
    (b)限外ろ過により前記ウイルスサンプルを濃縮する工程、
    (c)超遠心により前記ウイルスサンプル中のウイルスを沈殿させる工程、ここで、前記沈殿したウイルスが100fg/TCID50未満のタンパク質濃度を含む、及び
    (d)前記沈殿したウイルスをクロマトグラフィーポリッシングに供し、痕跡量の不純物を除去する工程
    の逐次工程を含み、それにより高純度MMVストック溶液を一貫して調製する、方法。
  2. 前記低血清条件が、無血清細胞培養又は限定培地細胞培養である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記MMVストック溶液が、60fg/TCID50未満のタンパク質濃度を有する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記MMVストック溶液が、60fg/TCID50未満のタンパク質濃度及び15fg/TCID50未満のDNA濃度を有する、請求項3に記載の方法。
  5. 前記クロマトグラフィーポリッシングが、フロースルークロマトグラフィー、膜吸着、ビーズベースのクロマトグラフィー、サイズ排除処理、又は疎水性に基づく処理を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記フロースルークロマトグラフィーが、陽イオン交換フロースルークロマトグラフィーを含む、請求項5に記載の方法。
  7. マウスマイニュートウイルス(MMV)を精製する方法であって、前記方法は、少なくとも10TCID50/mlの濃度及び100fg/TCID50未満のタンパク質濃度を含むMMVストック溶液を一貫して生成し、前記方法は、
    (a)低血清条件下で増殖されたウイルス感染細胞の培養上清を採取し、それによりウイルスサンプルを得る工程、ここで、前記培養上清は、ウイルス誘導性細胞溶解後に採取される、
    (b)限外ろ過により前記ウイルスサンプルを濃縮する工程、
    (c)超遠心により前記ウイルスサンプル中のウイルスを沈殿させる工程、ここで、前記沈殿したウイルスが、少なくとも10TCID50/mlのウイルス濃度及び100fg/TCID50未満のタンパク質濃度を有する、及び
    (d)前記沈殿したウイルスをクロマトグラフィーポリッシングに供し、痕跡量の不純物を除去する工程
    の逐次工程を含み、それによりMMVを少なくとも10TCID50/mlの濃度及び100fg/TCID50未満のタンパク質濃度に一貫して精製する、方法。
  8. 前記低血清条件が、無血清細胞培養又は限定培地細胞培養である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記精製されたMMVが、60fg/TCID50未満のタンパク質濃度を有する、請求項7に記載の方法。
  10. 前記精製されたMMVが、60fg/TCID50未満のタンパク質濃度及び15fg/TCID50未満のDNA濃度を有する、請求項9に記載の方法。
  11. 前記クロマトグラフィーポリッシングが、フロースルークロマトグラフィー、膜吸着、ビーズベースのクロマトグラフィー、サイズ排除処理、又は疎水性に基づく処理を含む、請求項7に記載の方法。
  12. 前記フロースルークロマトグラフィーが、陽イオン交換フロースルークロマトグラフィーを含む、請求項11に記載の方法。
  13. マウスマイニュートウイルス(MMV)クリアランスプロセスの評価方法であって、前記方法は、
    (a)サンプルをMMV溶液でスパイクし、それにより試験サンプルを作製する工程、ここで、前記MMV溶液が請求項1〜12いずれかに記載の方法により製される、
    (b)前記試験サンプルを使用してスケール化MMVクリアランスプロセスを試験する工程、及び
    (c)前記MMVクリアランスプロセスの結果を分析する工程、
    を含み、
    MMVクリアランス量が前記MMVクリアランスプロセスのMMV除去能力を決定し、それにより前記MMVクリアランスプロセスを評価する、方法。
  14. 前記試験サンプルが少なくとも10TCID50/mlのMMVを含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記MMVクリアランスプロセスが、MMV除去、MMV不活性化、又はそれらの組み合わせを含む、請求項13に記載の方法。
  16. 前記MMVクリアランスプロセスが、フィルタ及びクロマトグラフィー媒体を含み、前記MMV不活性化方法が、低pH、高pH、紫外線(UV)照射、γ線照射、又は温度不活性化を含む、請求項13に記載の方法。
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