JP6507640B2 - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
[I]以下の(1)から(3)の要件を満たす、少なくとも2層からなる積層ポリエステルフィルム。
(1)少なくとも一方の表面が、フーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)にて測定したとき、1452cm−1に観察されるスペクトル強度r1と、1332cm−1に観察されるスペクトル強度r2と、1602cm−1に観察されるスペクトル強度rから求められるR1、R2が以下の関係を満たすこと。
(i)0.2≦R1≦0.4
(ii)1.25≦R2≦1.50
ここで、R1=r1/r、R2=r2/r
(2)(1)を満たす表面が、フーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)にて測定したとき、1018cm−1に観察されるスペクトル強度r3と、1602cm−1に観察されるスペクトル強度rから求められるR3が以下の関係を満たすこと。
(iii) 1.20≦R3≦2.00
ここで、R3=r3/r
(3)(1)(2)を満たす表面を有する層(該層をA層とする)を構成する樹脂の融点が260℃以上280℃以下であること。
[II]以下の(4)を満たす、[I]に記載の積層ポリエステルフィルム。
(4)フィルムの総厚みTが120μm以上500μm以下であること。
[III]上記A層を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg1)℃と、上記A面を有する層に隣接する層(該層をB層とする)を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg2)℃との差が以下の関係を満たす[I]または[II]に記載の積層ポリエステルフィルム。
(iv)30℃≦Tg1−Tg2≦40℃
[IV]上記B層が、フーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)にて測定したとき、1388cm−1に観察されるスペクトル強度r4と1372cm−1に観察されるスペクトル強度r5から求められるR4が以下の関係を満たす[I]から[III]のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
(v)0.95≦R4≦1.05
ここで、R4=r4/r5
[V]フィルムの両側表層がA層からなる、少なくとも3層からなる[I]から[IV]のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
[VI]上記B層を構成する樹脂の融点が253℃以上258℃以下である[I]から[V]のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
[VII]積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量が15eq./t以下である[I]から[VI]のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
[VIII]モーターの電気絶縁部材として用いられる請求項[I]から[VII]のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
[IX][I]から[VIII]のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルムを含み、積層ポリエステルフィルムの(1)(2)を満たす表面を少なくとも片側の最表層に有する積層フィルム。
(1)少なくとも一方の表面が、フーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)にて測定したとき、1452cm−1に観察されるスペクトル強度r1と、1332cm−1に観察されるスペクトル強度r2と、1602cm−1に観察されるスペクトル強度rから求められるR1、R2が以下の関係を満たす。
(i)0.2≦R1≦0.4
(ii) 1.25≦R2≦1.50
ここで、R1=r1/r、R2=r2/r。
(2)(1)を満たす表面が、フーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)にて測定したとき、1018cm−1に観察されるスペクトル強度r3と、1602cm−1に観察されるスペクトル強度rから求められるR3が以下の関係を満たすこと。
(iii) 1.20≦R3≦2.00
ここで、R3=r3/r。
(3)(1)(2)を満たす表面を有する層(該層をA層とする)を構成する樹脂の融点が260℃以上280℃以下である。なお、本発明において、融点は、後述する測定方法により示差走査型熱量測定(DSC)の1stRUNから求められるものであり、2以上の結晶融解ピークが観測される場合は、最も温度が高いピークトップの温度を融点とする。
(4)積層ポリエステルフィルム全体の厚みが120μm以上500μm以下であること。
式(a)FE=logN
FEが小さいと、折り曲げ加工時に破断して好ましくない。FEが大きいと、折り曲げによって形状をつけることが難しい。好ましい範囲としては、4.1≦FE≦4.5である。また、(iii)の条件を満足することも、フィルムの折り曲げ性を向上させるための好ましい実施形態である。
上記条件を満たす場合、後述する方法で積層ポリエステルフィルムを二軸延伸せしめた場合、上記A層に対してはA層を構成する樹脂のガラス転移温度以下で、上記B層に対してはB層を構成する樹脂のガラス転移温度以上の温度で延伸することが可能となる。該条件では、通常ではB層を構成する樹脂を延伸することは出来るが、上記A層を構成する樹脂を延伸することは出来ない。しかしながら、本発明のフィルムをA層とB層が隣接している積層ポリエステルフィルムとすることで、A層を構成する樹脂が、B層を構成する樹脂が延伸されるのに追随して延伸されることにより、A層を構成する樹脂のガラス転移温度以下で延伸が可能となる。A層を構成する樹脂のガラス転移温度以下で延伸を行うことにより、A層を構成する樹脂により配向を付与せしめやすくなる結果、上記(i)(ii)の条件を満たし、耐熱性、耐湿熱性に優れた積層ポリエステルフィルムとすることができる。
(v)0.95≦R4≦1.05
ここで、R4=r4/r5。
(5)下記(vi)式を満たす温度T1nにて、フィルムの長手方向(MD)とフィルムの幅方向(TD)に面積倍率12倍以上に二軸延伸する。
(vi)Tg2≦T1n≦Tg2+30℃
Tg2:積層ポリエステルフィルムのB層を構成する樹脂のガラス転移温度(℃)
二軸延伸する方法としては、フィルムの長手方向(MD)とフィルムの幅方向(フィルムの長手方向に垂直な方向、TD)の延伸とを分離して行う逐次二軸延伸方法の他に、長手方向と幅方向の延伸を同時に行う同時二軸延伸方法が挙げられる。
[特性の評価方法]
A.末端カルボキシル基量
Mauliceの方法に準じて以下の条件よって測定する(文献M.J.Maulice, F. Huizinga, Anal.Chim.Acta,22 363(1960))。ポリエステル組成物2gをo−クレゾール/クロロホルム(重量比7/3)50mLに温度150℃にて溶解し、0.05NのKOH/メタノール溶液によって滴定し、末端カルボキシル基量を測定し、eq./ポリエステル1tの値で示す(表中では、eq./tと記載する)。なお、滴定時の指示薬はフェノールレッドを用いて、黄緑色から淡紅色に変化したところを滴定の終点とする。
試料を、JIS K−7121(1999)に基づいた方法により、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置“ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション“SSC/5200”を用いて、下記の要領にて、測定を実施した。
サンプルパンに試料を5mgずつ秤量し、試料を25℃から300℃まで20℃/分の昇温速度で加熱した(1stRUN)。1stRUNの示差走査熱量測定チャート(縦軸を熱エネルギー、横軸を温度とする)を得る。当該1stRunの示差走査熱量測定チャートの、吸熱ピークである結晶融解ピークにおけるピークトップの温度を求め、これを融点(℃)とする。2以上の結晶融解ピークが観測される場合は、最も温度が高いピークトップの温度を融点とする。
JIS K7121(1999)に準じて、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量測定装置”ロボットDSC−RDC220”を、データ解析にはディスクセッション”SSC/5200”を用いて、下記の要領にて、測定を実施する。
(株)パーキンエルマー製のFrontier FT−IR(Spectrum One 400)を用い、UATR IRユニットを使用して、媒質結晶をダイヤモンド/ZnSeとして、減衰全反射法(ATR法)によってスペクトル強度を測定する。分光器の分解能は1cm−1、スペクトルの積算回数は16回として測定する。スペクトル強度は、各波長での吸光度(arb.unit)とする。
積層ポリエステルフィルムを1cm×20cmの大きさに、長辺がフィルムの長手方向・幅方向に平行となるようにそれぞれ切り出し、ASTM−D882(1997)に基づいて、チャック間5cm、引っ張り速度300mm/分にて引っ張ったときの破断伸度を測定する。なお、サンプル数はn=5とし、また、フィルムの長手方向、幅方向のそれぞれについて測定した後、それらの平均値を求め、これをフィルムの破断伸度E0とする。
(a) 伸度保持率(%)=E1/E0×100
得られた伸度半減期から、フィルムの耐湿熱性を以下のように判定した。
伸度半減期が70時間以上の場合:A
伸度半減期が60時間以上70時間未満の場合:B
伸度半減期が51時間以上60時間未満の場合:C
伸度半減期が51時間未満の場合:D
A、B、Cが良好であり、その中でもAが最も優れている。
積層ポリエステルフィルムを1cm×20cmの大きさに、長辺がフィルムの長手方向・幅方向に平行となるようにそれぞれ切り出し、ASTM−D882(1997)に基づいて、チャック間5cm、引っ張り速度300mm/分にて引っ張ったときの破断強度を測定する。なお、サンプル数はn=5とし、また、フィルムの長手方向、幅方向のそれぞれについて測定した後、それらの平均値を求め、これをフィルムの破断強度S0とする。
(b) 強度保持率(%)=S1/S0×100
得られた伸度半減期から、フィルムの耐熱性を以下のように判定した。
強度半減期が60時間以上の場合:A
強度半減期が48時間以上60時間未満の場合:B
強度半減期が36時間以上48時間未満の場合:C
強度半減期が36時間未満の場合:D
A、B、Cが良好であり、その中でもAが最も優れている。
フィルム厚みは、ダイヤルゲージを用い、JIS K7130(1992年)A−2法に準じて、フィルムを10枚重ねた状態で任意の5ヶ所について厚さを測定した。その平均値を10で除してフィルム厚みとした。
フィルム断面を、フィルム幅方向に平行な方向に、かつ、フィルムの厚み方向に垂直な方向に、ミクロトームで切り出す。該断面を走査型電子顕微鏡で5000倍の倍率で観察し、積層各層の厚み比率を求める。求めた積層比率と上記したフィルム厚みから、各層の厚みを算出する。
JIS P−8115(1994)に基づき試験を行う。積層ポリエステルフィルムを、測定したい方向が長辺となるように5mm×100mmに切り出し、東洋精機(株)製耐折試験機を用い、張力9.8N/mm2、クランプのR0.38mm、耐折角度135°、回転速度175cpmにて試験を行う。積層ポリエステルフィルムの幅方向、長手方向それぞれにn=5で試験を行い、フィルムが破壊するまでの回数を計測する。それらの平均値Nから下記式(c)で耐折強さFEを算出し、折り曲げ性を評価する。
(c)FE=logN
FE<4.1:折り曲げ性不良 (表中poorと記載)
4.1≦FE≦4.5:折り曲げ性良好 (表中fineと記載)
4.5<FE:折り曲げ性不良 (表中poorと記載)
J.打ち抜き性
高分子計器(株)製試験片打抜機を用い、JIS K−6251に記載の5号型ダンベル形状に積層ポリエステルフィルムを打ち抜く。フィルムを1枚ずつ打ち抜き、10枚打ち抜いた際に端面の割れ、剥がれが起きている枚数Mを数え、打ち抜き性を評価する。
0≦M≦2:打ち抜き性A
3≦M≦5:打ち抜き性B
6≦N≦10:打ち抜き性C
Aが最も優れ、Cが最も劣っている。
オルトクロロフェノール100mlにポリエステル組成物を溶解させ(溶液濃度C=1.2g/dl)、その溶液の25℃での粘度を、オストワルド粘度計を用いて測定する。また、同様に溶媒の粘度を測定する。得られた溶液粘度、溶媒粘度を用いて、下記(c)式により、[η](dl/g)を算出し、得られた値でもって固有粘度(IV)とする。
(c)ηsp/C=[η]+K[η]2・C
(ここで、ηsp=(溶液粘度(dl/g)/溶媒粘度(dl/g))―1、Kはハギンス定数(0.343とする)である。)。
表層を構成する樹脂として、PEN−A95質量部、PET−A5質量部をブレンドし、160℃で2時間真空乾燥した後押出機1に投入した。また、表層に接する層を構成する樹脂としてPET−A100質量部を160℃で2時間真空乾燥した後、押出機2に投入した。押出機内でそれぞれの原料を溶融させ、合流装置で押出機1に投入した樹脂がフィルムの両表層となるように合流させ、キャスティングドラム状に押し出し、3層構造をもつ積層シートを作製した。続いて該シートを加熱したロール群で予熱した後、95℃の温度で長手方向(MD方向)に3.3倍延伸を行った後、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の110℃の温度の加熱ゾーンで長手方向に直角な幅方向(TD方向)に3.7倍延伸した。さらに引き続いて、テンター内の熱処理ゾーンで220℃の温度で10秒間の熱処理を施し、さらに220℃の温度で4%幅方向に弛緩処理を行った。次いで、冷却ゾーンで均一に徐冷後、巻き取って、厚さ125μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各特性を表に示す。耐熱性、耐湿熱性、加工性に優れたフィルムであることが分かった。
表層を構成する樹脂に用いるPEN−AとPET−Aの混合比率、および積層ポリエステルフィルムの厚み、各層の厚みを表に記載の通りに変えた以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各特性を表に示す。耐熱性、耐湿熱性、加工性に優れたフィルムであることが分かった。
表層を構成する樹脂に用いるPEN−AとPET−Aの混合比率、および積層ポリエステルフィルムの延伸工程を表に記載の通りに変えた以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各特性を表に示す。延伸倍率を上げることによってR1、R2がより好ましい範囲となり、耐熱性、耐湿熱性に優れたフィルムが得られた。
実施例17は、フィルムの積層構成を2層とし、積層ポリエステルフィルムの各層の厚みを表に記載の通りに変えた以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。また、実施例18〜20は、A層を構成する樹脂を表に記載のとおりに変えた以外は、実施例17と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各特性を表に示す。耐熱性、耐湿熱性、加工性に優れたフィルムであることが分かった。
表層の厚み、および積層ポリエステルフィルムの厚みを変えた以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各特性を表に示す。耐熱性、耐湿熱性、加工性に優れたフィルムであることが分かった。
B層に用いる原料をPET/I−Aとし、延伸条件を表に記載の通りに変えた以外は、実施例4と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各特性を表に示す。耐熱性、耐湿熱性、加工性に優れたフィルムであることが分かった。
B層に用いる原料をPET−Bとした以外は、実施例4と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各特性を表に示す。耐熱性、耐湿熱性、加工性に優れたフィルムであることが分かった。
表層を構成する樹脂に用いるPEN−AとPET−Aの混合比率、および積層ポリエステルフィルムの厚み、各層の厚み、および積層ポリエステルフィルムの延伸工程を表に記載の通りに変えた以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。比較例1では表層を構成する樹脂がPENのみであるため、延伸により配向がつきにくく、R1,R2の値が(i)(ii)を満たさず、耐熱性、耐湿熱性、加工性に劣る。また、比較例2では、表層を構成する樹脂がPENのみであるため延伸性が悪く、高倍率延伸とすると製膜中に破れが多発し、フィルムを得ることができなかった。
表層を構成する樹脂に用いる原料を、PET/N−A、PET/N−Bとした以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。積層ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。共重合体を用いているため、延伸による配向を付与することが難しく、R1、R2の値が(i)(ii)を満たさず、また、表層を構成する樹脂の融点が260℃に満たないため耐熱性、耐湿熱性に劣ることが分かった。
表層を構成する樹脂の押出温度を300℃とし、表層を構成する樹脂に用いるPEN−AとPET−Aの混合比率、および積層ポリエステルフィルムの厚み、各層の厚み、および積層ポリエステルフィルムの延伸工程を表に記載の通りとした以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。表層を構成する樹脂の押出温度が高く、表層を構成する樹脂同士のエステル交換により共重合化が進み、延伸による配向を付与することが難しく、R1、R2の値が(i)(ii)を満たさず、また、表層を構成する樹脂の融点が260℃に満たないため耐熱性、耐湿熱性に劣ることが分かった。
表層を構成する樹脂に用いるPEN−AとPET−Aの混合比率、および積層ポリエステルフィルムの厚み、各層の厚み、および積層ポリエステルフィルムの延伸工程を表に記載の通りに変えた以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。フィルムの厚みが120μm以下であるものの、B層に対するA層の厚みの比率を低くすることで、A層を構成する樹脂の配向がつきやすく、耐湿熱性、耐熱性に優れることがわかった。一方で、フィルム厚みが薄いため実施例1に比べて加工性(打ちぬき性)にやや劣るものの、問題ないレベルであった。
実施例35の積層ポリエステルフィルムを用いて、実施例35のA層が最表層となるように、東レ(株)製トレリナ(登録商標)3000を、B層側に、接着剤層を介して貼り合わせた。構成は、実施例35のフィルム/接着剤層/トレリナとした。接着剤層は、東レファインケミカル製エポキシ系接着剤ケミットTE2301を乾燥後の厚みで3μmとなるようにグラビアコーターで調整した。東レ(株)製トレリナの厚みは、実施例37では100μm、実施例38では15μmのものを用いた。得られたフィルムの特性を表に示す。耐熱性、耐湿熱性、加工性に優れることがわかった。
実施例35のフィルムを用いて、実施例35のA層が最表層となるように、東レ(株)製トレリナ(登録商標)3000(厚み100μm)の両面に、接着剤層を介して貼り合わせた。構成は、実施例35のフィルム/接着剤層/トレリナ/接着剤層/実施例35のフィルムとした。得られたフィルムの特性を表に示す。耐熱性、耐湿熱性、加工性に優れることがわかった。
フィルム長手方向に一軸延伸した後、易滑性を付与する目的でバーコートを用いて、フィルムの片側表面に、塗布厚み約8μmで下記の塗剤を塗布した以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。塗剤としては、塗液としては水を用い、DIC(株)製バーノック(登録商標)310Eを100重量部に対し、日産化学工業(株)製コロイダルシリカスノーテックス(登録商標)ST−50を5重量部の濃度となるように調整し、固形分重量として5重量%としたものを用いた。得られたフィルムの特性を表に示す。実施例1と同様、耐熱性、耐湿熱性、加工性に優れることがわかった。
表層を構成する樹脂としてPEN−BおよびPET−Cを用い、表層に接する層を構成する樹脂としてPET−Cを用いた以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各特性を表に示す。耐熱性、耐湿熱性、加工性に優れたフィルムであることが分かった。PEN−Aに代えてPEN−B、PET−Aに代えてPET−Cを用いたため、耐湿熱性に優れることがわかる。
表層を構成する樹脂としてPEN−AおよびPET−Dを用い、表層に接する層を構成する樹脂としてPET−Aを用いた以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各特性を表に示す。耐熱性、耐湿熱性、加工性に優れたフィルムであることが分かった。
表層を構成する樹脂に用いるPEN−AとPET−Aの混合比率、および積層ポリエステルフィルムの厚み、各層の厚み、および積層ポリエステルフィルムの延伸工程を表に記載の通りに変えた以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの各特性を表に示す。延伸時の面積倍率が17倍を超えるため、表層を構成する樹脂の分子鎖が規則正しく配列し、結晶部分が多くなるためR1,R2の値が(i)(ii)を満たさず、加工性に劣る。
Claims (10)
- 以下(1)〜(3)を満たす、少なくとも2層からなる積層ポリエステルフィルム。
(1)少なくとも一方の表面が、フーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)にて測定したとき、1452cm−1に観察されるスペクトル強度r1と、1332cm−1に観察されるスペクトル強度r2と、1602cm−1に観察されるスペクトル強度rから求められるR1、R2が以下の関係を満たすこと。
(i)0.2≦R1≦0.4
(ii)1.25≦R2≦1.50
ここで、R1=r1/r、R2=r2/r
(2)(1)を満たす表面が、フーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)にて測定したとき、1018cm−1に観察されるスペクトル強度r3と、1602cm−1に観察されるスペクトル強度rから求められるR3が以下の関係を満たすこと。
(iii) 1.20≦R3≦2.00
ここで、R3=r3/r
(3)(1)(2)を満たす表面を有する層(該層をA層とする)を構成する樹脂の融点が260℃以上280℃以下であること。 - 以下(4)を満たす、請求項1記載の積層ポリエステルフィルム。
(4)フィルムの総厚みTが120μm以上500μm以下。 - 上記A層を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg1)℃と、上記A層に隣接する層(該層をB層とする)を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg2)℃との差が以下の関係を満たす請求項1または2に記載の積層ポリエステルフィルム。
30℃≦Tg1−Tg2≦40℃ - 上記A層を構成する樹脂が、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレートを含有し、ポリエチレンテレフタレートの含有量がポリエチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレートに対して5質量%以上35質量%以下である請求項1から3のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
- 上記B層が、フーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)にて測定したとき、1388cm−1に観察されるスペクトル強度r4と1372cm−1に観察されるスペクトル強度r5から求められるR4が以下の関係を満たす請求項3に記載の積層ポリエステルフィルム。
(iv)0.95≦R4≦1.05
ここで、R4=r4/r5 - フィルムの両側の表層がA層からなる、少なくとも3層からなる請求項1から5のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
- 上記B層を構成する樹脂の融点が253℃以上258℃以下である請求項3に記載の積層ポリエステルフィルム。
- 積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量が15eq./t以下である請求項1から7のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
- モーターの電気絶縁部材として用いられる請求項1から8のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルム。
- 請求項1から9のいずれかに記載の積層ポリエステルフィルムを含み、積層ポリエステルフィルムの(1)(2)を満たす表面を少なくとも片側の最表層に有する積層フィルム。
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