JP6460056B2 - 窒化物蛍光体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、窒化物蛍光体の製造方法に関する。
光源と、この光源からの光で励起されて、光源の色相とは異なる色相の光を放出可能な蛍光体とを組み合わせることで、光の混色の原理により多様な色相の光を放出可能な発光装置が開発されている。特に、発光ダイオード(Light Emitting Diode:以下「LED」という。)と蛍光体とを組み合わせた発光装置は、照明装置、液晶表示装置のバックライト、小型ストロボ等へと盛んに応用されており、普及が進んでいる。このような発光装置から赤色を含む光を発光させるために、赤色を含む光を発する蛍光体として、570nm以上670nm以下の波長範囲に発光ピーク波長を有する蛍光体が求められている。
このような蛍光体として、窒化物蛍光体が知られており、例えば、特許文献1には、(Ba,Sr,Ca)Siを母体結晶とし、賦活元素として2価のユウロピウム(Eu2+)を用いた窒化物蛍光体が開示されている。
特表2003−515655号公報
本発明の一実施態様は、より高い発光強度を有する窒化物蛍光体の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りであり、本発明は、以下の態様を包含する。
本発明の一実施態様は、Ba、Sr、Ca及びMgからなる群から選択される少なくとも一種の第一元素と、Eu、Ce、Tb及びMnからなる群から選択される少なくとも一種の第二元素と、Siと、Nとを含む組成を有する焼成物を準備することと、−20℃以上150℃未満の温度で前記焼成物とフッ素含有物質とを接触させることを含む、窒化物蛍光体の製造方法である。
本発明の一実施態様によれば、より高い発光強度を有する窒化物蛍光体の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の各実施例と、各比較例の窒化物蛍光体の波長に対する相対発光強度を示す発光スペクトルの図である。 図2は、本発明の実施例1に係る窒化物蛍光体のSEM写真である。 図3は、比較例1に係る窒化物蛍光体のSEM写真である。 図4は、比較例2に係る窒化物蛍光体のSEM写真である。
以下、本開示に係る窒化物蛍光体の製造方法を一実施態様に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の一態様は、本発明の技術思想を具体化するための、窒化物蛍光体の製造方法を例示するものであって、本発明は、以下の窒化物蛍光体の製造方法に限定されない。なお、色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係等は、JIS Z8110に従う。また組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
〔窒化物蛍光体の製造方法〕
本発明の一実施態様に係る窒化物蛍光体の製造方法は、Ba、Sr、Ca及びMgからなる群から選択される少なくとも一種の第一元素と、Eu、Ce、Tb及びMnからなる群から選択される少なくとも一種の第二元素と、Siと、Nとを含む組成を有する焼成物を準備することと、−20℃以上150℃未満の温度で前記焼成物とフッ素含有物質とを接触させることとを含む。
(焼成物の準備)
焼成物は、結晶構造の安定化の観点から、Ba及びSrから選ばれる少なくとも一方の第一元素を含むことが好ましく、Baを含むことがより好ましい。Baを含むことにより、比較的短波側に発光ピーク波長を有する窒化物蛍光体を安定して得ることができるからである。前記第一元素は、一種単独の元素であってもよく、二種以上の元素を含んでいてもよい。
第一元素が二種以上の元素を含み、一方の第一元素がBaであり、他の第一元素がM12で表される場合には、Baと他の元素M12とのモル比(Ba:M12)は、好ましくは20:80以上100:0以下であり、より好ましくは30:70以上99:1以下である。
第二元素は、蛍光体の発光中心となる賦活元素であり、Eu、Ce及びTbからなる群か選択される少なくとも一種の元素を含むことが好ましく、Eu及びCeから選択される少なくとも一種の元素を含むことがより好ましく、Euを含むことがさらに好ましい。ユウロピウム(Eu)は、主に2価と3価のエネルギー準位を持つが、本実施態様に係る窒化物蛍光体に用いる焼成物は、少なくともEu2+を賦活剤として用いることが好ましい。
第二元素は、発光強度を高くし、励起光からの光を吸収して所望の色度の発光をするものであれば、一種単独の元素を用いてもよく、二種以上の元素を併用してもよい。第二元素として二種以上の元素を含む場合、例えば、一種の元素がEuであり、他の元素がCe、Tb及びMnからなる群より選択される少なくとも一種の元素である場合、Eu以外の元素は、共賦活剤として作用し、色調を変化させることが可能である。
焼成物は、以下式(I)で示される組成を有することが好ましい。
(M11−yM2Si (I)
(式(I)中、M1は、Ba、Sr、Ca及びMgからなる群から選択される少なくとも一種の元素であり、M2は、Eu、Ce、Tb及びMnからなる群から選択される少なくとも一種の元素であり、yは、0.001≦y<0.5を満たす数である。)
焼成物は、下記式(II)で示される組成を有することがより好ましい。
(Ba1−x−yM12M2Si (II)
(式(II)中、M12は、Sr、Ca及びMgからなる群から選択される少なくとも一種の元素であり、M2は、Eu、Ce、Tb及びMnからなる群から選択される少なくとも一種の元素であり、x及びyは、それぞれ0.0≦x<1.0、0.001≦y<0.5、0.001≦x+y<1.0を満たす数である。)
式(I)又は式(II)において、yは、Eu、Ce、Tb及びMnからなる群から選択される少なくとも一種の元素である賦活剤の量であり、所望の特性を達成できるように適宜選択することができる。yは、蛍光体の発光強度を高める観点から、0.005≦y≦0.4がより好ましく、0.007≦y≦0.3がさらに好ましく、0.01≦y≦0.2がよりさらに好ましい。
式(II)において、xは、Baとともに結晶構造を形成するSr、Ca及びMgからなる群から選択される少なくとも一種のアルカリ土類金属の量を表し、賦活剤等の種類にも影響されるが、0.0≦x≦0.75がより好ましく、0.01≦x≦0.60がさらに好ましく、0.05≦x≦0.50がさらにより好ましい。このような範囲とすることにより、窒化物蛍光体を含む発光装置とするときに、得たい発光特性の発光装置を安定して得ることができる。
本発明の一実施態様に係る焼成物は、焼成物を形成するための原料を混合し、原料混合物を得て、この原料混合物を熱処理して、焼成物を準備することができる。
焼成物を形成するための原料としては、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)及びマグネシウム(Mg)からなる群より選択される少なくとも一種の第一元素を含む化合物と、ユウロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、テルビウム(Tb)及びマンガン(Mn)からなる群より選択される少なくとも一種の第二元素を含む化合物と、ケイ素(Si)を含む化合物と、窒素(N)ガス又は窒素(N)を含む化合物が挙げられる。ケイ素を含む化合物と、窒素を含む化合物は、例えば窒化ケイ素(Si)のように同一の化合物であってもよい。
第一元素を含む化合物は、Ba、Sr、Ca及びMgからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む水素化物、窒化物、フッ化物、酸化物、炭酸塩、塩化物等が挙げられる。得られる焼成物中の不純物が少なく、発光強度を高くすることができることから、Ba、Sr、Ca及びMgからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む水素化物、窒化物又はフッ化物であることが好ましく、窒化物であることがより好ましい。原料として前記第一元素を含む窒化物を用いることにより、所望の組成以外の組成の焼成物の形成を抑制することが可能である。Ba、Sr、Ca及びMgからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む化合物は、微量のLi、Na、K、B及びAlからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含んでいてもよい。
第一元素を含む化合物は、具体的には、BaH、Ba、BaF、SrH、Sr、SrN、SrN、SrF、CaH、Ca、CaF、MgH、Mg、MgF等が挙げられる。
第二元素を含む化合物は、Eu、Ce、Tb及びMnからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む水素化物、窒化物、フッ化物、酸化物、炭酸塩、塩化物等が挙げられる。得られる焼成物中の不純物が少なく、発光強度を高くすることができることから、Eu、Ce、Tb及びMnからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む水素化物、窒化物又はフッ化物であることが好ましく、窒化物であることがより好ましい。原料として前記第二元素を含む窒化物を用いることにより、所望の組成以外の組成の焼成物の形成を抑制することが可能である。
第二元素を含む化合物は、具体的には、EuH、EuN、EuF、CeH、CeN、CeF、TbH、TbN、TbF、MnN、MnN、MnF等が挙げられる。
Siを含む化合物は、実質的にSiのみを含む金属であってもよく、Siの一部がGe、Sn、Ti、Zr、Hf、B、Al、Ga及びInからなる群から選択される少なくとも一種の金属で置換された合金であってもよい。また、Siを含む化合物は、酸化物、窒化物、フッ化物、イミド化合物、アミド化合物等が挙げられる。得られる焼成物中の不純物が少なく、発光強度を高くすることができることから、窒化物、イミド化合物、アミド化合物又はフッ化物であることが好ましく、窒化物であることがより好ましい。原料として窒化物を用いることにより、所望の組成以外の組成の焼成物の形成を抑制することが可能である。
Siを含む化合物は、具体的には、SiO、Si、SiF、Si(NH)、SiNH、Si(NH等が挙げられる。
また、各々の原料は、平均粒径が約0.1μm以上15μm以下、より好ましくは約0.1μmから10μmの範囲であることが、他の原料との反応性、焼成時及び焼成後の粒径制御等の観点から好ましく、上記範囲以上の粒径を有する場合は粉砕を行うことで達成できる。
また、原料は精製したものが好ましい。これにより、精製工程を必要としないため、製造工程を簡略化でき、安価な蛍光体を提供することができるからである。
原料混合物は、フラックスを含んでいてもよい。原料混合物がフラックスを含むことで、原料間の反応がより促進され、更には固相反応がより均一に進行するために粒径が大きく、発光特性により優れた蛍光体を得るために用いる焼成物を製造することができる。これは例えば、焼成物を得るための熱処理の温度が1300℃以上2100℃以下で行われ、この温度がフラックスであるハロゲン化物等の液相の生成温度とほぼ同じであるためと考えられる。ハロゲン化物としては、希土類金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属の塩化物、フッ化物等を利用できる。フラックスとしては、フラックスに含まれる陽イオンの元素比率を得たい焼成物の組成になるように調節して蛍光体の原料の一部としてフラックスを加えることもできるし、得たい焼成物の組成となるように各原料を加えた後に、更に添加する形でフラックスを加えることもできる。
原料混合物がフラックスを含む場合、フラックス成分は反応性を促進するが、多すぎると発光強度の低下につながるため、その含有量は原料混合物中に例えば10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下がより好ましい。
フラックスとしてフッ化物を用いた場合であっても、1300℃以上2100℃以下の熱処理によって、フッ素元素はほとんど焼成物中に残存せず、フッ素元素を含むフラックスを用いた場合であっても熱処理後に得られる焼成物中のフッ素元素は、通常0.1質量%以下、好ましくは0.08質量%以下である。
焼成物として、前記式(I)で示される組成を有する焼成物を得る場合には、具体的に、原料の混合物中のM1量、M2量、Si量、N量が、M1:M2:Si:N=(1.80〜1.995):(0.005〜0.20):5:8のモル比を満たすように各原料を計量することが好ましい。
計量した原料は、混合機を用いて湿式又は乾式で混合し、原料混合物を得る。混合機は工業的に通常用いられているボールミルの他、振動ミル、ロールミル、ジェットミル等の粉砕機を用いて粉砕して比表面積を大きくすることもできる。また、粉末の比表面積を一定範囲とするために、工業的に通常用いられている沈降槽、ハイドロサイクロン、遠心分離器等の湿式分離機、 サイクロン、エアセパレータ等の乾式分級機を用いて分級することもできる。
原料混合物は、黒鉛等の炭素、窒化ホウ素(BN)、アルミナ(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)等の材質の坩堝やボートに載置して、炉内で熱処理し焼成物を得ることができる。
本発明の一実施態様に係る蛍光体の製造方法において、還元性を有する窒素雰囲気中で原料混合物を焼成し、焼成物を得ることが好ましい。焼成雰囲気は還元性のある水素ガスを含む窒素雰囲気であることがより好ましい。還元性のある水素ガスを含む窒素雰囲気中、窒素ガスを好ましくは70体積%以上、より好ましくは80体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上含有する。また、還元性のある水素ガスを含む窒素雰囲気中、水素ガスを好ましくは1体積%以上、より好ましくは5体積%以上、さらに好ましくは10体積%以上含有する。焼成雰囲気は、大気雰囲気中で固体カーボンを用いた還元雰囲気等であってもよい。
焼成物は、水素及び窒素を含む還元雰囲気のように還元力の高い雰囲気中で焼成することで、高い発光強度を有する蛍光体を得るための焼成物を製造することができる。これは例えば賦活剤である第二元素がEuである場合、焼成物中で発光に寄与する2価のEuが占める割合が増大することに起因している。2価のEuは酸化されて3価のEuとなりやすいが、水素及び窒素を含む還元力の高い還元雰囲気で焼成することにより、3価のEuが2価のEuに還元されるため、焼成物中で2価のEuが占める割合が増大し、高い発光強度を有する蛍光体を形成するための焼成物が得られる。
本発明の一実施態様に係る窒化物蛍光体の製造方法において、焼成物を得るための熱処理温度は、好ましくは1300℃以上2100℃以下、より好ましくは1500℃以上2000℃以下、さらに好ましくは1600℃以上1950℃以下である。熱処理温度が1300℃以上2100℃以下であれば、熱による分解が抑制され、目的とする組成を有し、安定した結晶構造を有し、高い発光強度を有する蛍光体を得るための焼成物が得られる。
熱処理は二段階以上の複数回の熱処理を行なってもよい。例えば二段階の熱処理を行なう場合には、一回目の熱処理を1000℃以上1500℃未満で行い、二回目の焼成を1500℃以上2100℃以下の温度で行なうことが好ましい。一回目の熱処理温度が1000℃以上1500℃未満であると、目的とする組成を有する焼成物を得やすくなるためである。二回目の熱処理温度が1500℃以上2100℃以下であると、得られる焼成物の分解が抑制され、安定した結晶構造を有し、高い発光強度を有する蛍光体を得るための焼成物を得やすいためである。
熱処理雰囲気の圧力は、0.1MPa以上200MPa以下の加圧雰囲気で行なうことが好ましい。熱処理によって得られる焼成物は、熱処理温度が高温になるほど結晶構造が分解され易くなるが、加圧雰囲気にすることによって、結晶構造の分解が抑制され、発光強度の低下を抑制することができる。熱処理雰囲気の圧力は、ゲージ圧で、より好ましくは0.1MPa以上100MPa以下であり、さらに好ましくは0.5MPa以上10MPa以下であり、製造の容易さの点から、よりさらに好ましくは1.0MPa以下である。
熱処理時間は、熱処理温度、熱処理時の雰囲気の圧力によって適宜選択することができ、0.5時間以上20時間以下であることが好ましく、多段階の熱処理を行なう場合であっても、一回の熱処理時間は0.5時間以上20時間以下であることが好ましい。熱処理時間が0.5時間以上20時間以下であると、得られる焼成物の分解が抑制され、安定した結晶構造を有し、高い発光強度を有する蛍光体を得るための焼成物が得られるとともに、生産コストも低減でき、製造時間を比較的短くすることができる。熱処理時間は、より好ましくは1時間以上10時間以下であり、さらに好ましくは1.5時間以上9時間以下である。
本発明の一実施態様に係る蛍光体の製造方法において、熱処理をした後に、得られる焼成物は、粉砕、分散、固液分離、乾燥等の後処理を行ってもよい。固液分離は濾過、吸引濾過、加圧濾過、遠心分離、デカンテーションなどの工業的に通常用いられる方法により行うことができる。乾燥は、真空乾燥機、熱風加熱乾燥機、コニカルドライヤー、ロータリーエバポレーターなどの工業的に通常用いられる装置により行うことができる。
焼成物は、少なくとも一部に結晶性が高い構造を有していることが好ましい。例えばガラス体(非晶質)は構造が不規則であり結晶性が低いため、その生産工程における反応条件が厳密に一様になるよう管理できなければ、色度ムラ等を生じる傾向がある。本発明の一実施態様において用いる焼成物は、少なくとも一部に結晶性が高い構造を有していることが好ましい。少なくとも一部に結晶性が高い構造を有している焼成物は、製造及び加工が行い易くなる傾向がある。また、少なくとも一部に結晶性の高い構造を有している焼成物を用いて製造された蛍光体は、樹脂に均一に分散することが容易であるため、樹脂を含む蛍光部材を形成することが容易にできる。具体的に、蛍光体に用いる焼成物は、発光性を有する結晶相の割合が例えば50質量%以上、より好ましくは80質量%以上が結晶性を有する構造であることが好ましい。焼成物が50質量%以上の結晶相を有していれば、実用に耐え得る強度の発光が得られる焼成物又は蛍光体の結晶性の程度は、例えばX線回折スペクトル(XRD)から分析することができる。測定対象が、結晶質、すなわち結晶性が高い場合にはシャープな回折ピークが出現し、非晶質の場合にはブロードな回折ピークが出現する。このシャープな回折ピークとブロードな回折ピークの比率によって、結晶相の割合を分析することができる。また、目的とする組成以外の組成の相が形成できている場合には、目的とする組成以外の相を示す回折ピークとは異なるピークが出現する傾向にある。
(焼成物とフッ素含有物質との接触)
得られた焼成物は、−20℃以上150℃未満の温度でフッ素含有物質と接触させて、窒化物蛍光体を得る。
焼成物とフッ素含有物質とを所定の温度で接触させることによって、高い発光強度を有する窒化物蛍光体が得られる。
焼成物とフッ素含有物質とを接触させることによって得られる窒化物蛍光体の発光強度が高くなるメカニズムの詳細は明らかになってはいないが、次のように推測することができる。焼成物には、目的とする組成以外の組成を有する不純物相が存在する。このような不純物相としては、例えば(Sr、Ba)Si:Eu2+の組成を有する不純物相等が挙げられる。また、焼成物には、目的とする組成を有しているものの、欠陥が存在していたり結晶性が低かったりすることで発光強度が低い低輝度相が含まれる。焼成物とフッ素含有物質とを特定の温度で接触させることによって、例えば、焼成物に含まれる不純物相のケイ素又は低輝度相中のケイ素と、フッ素含有物質中のフッ素が反応しフッ化物を形成する。そのフッ化物が反応系から離脱し、結果として発光強度が低下する要因となる不純物相又は低輝度相が減少する。これにより、所望の組成を有し、結晶性が高い窒化物蛍光体が得られるため、発光強度が高くなると考えられる。
焼成物とフッ素含有物質と接触させる温度は、−20℃以上150℃未満であり、好ましくは−10℃以上145℃以下、より好ましくは0℃以上140℃以下、さらに好ましくは1℃以上130℃以下、さらにより好ましくは5℃以上120℃以下である。焼成物とフッ素含有物質とを接触させる温度は、室温であってもよく、室温は例えば10℃以上32℃以下である。
焼成物とフッ素含有物質とを接触させる温度が−20℃未満の場合は、焼成物とフッ素含有物質とを接触させても焼成物に含まれる不純物相又は低輝度相とフッ素含有物質との反応が起こり難くなる可能性がある。一方、前記温度が150℃を超えると、焼成物中に含まれる、得ようとする組成の窒化物蛍光体とフッ素含有物質との反応が進み、得ようとする組成の窒化物蛍光体とは別の組成が得られる虞がある。例えば、得ようとする組成の窒化物蛍光体2価のEuで賦活された窒化物蛍光体の場合、2価のEuがフッ素含有物質により酸化されて3価のEuとなり、発光に寄与する2価のEuの割合が相対的に減少するため発光強度が低下する場合がある。
フッ素含有物質は、−20℃以上150℃以下の温度範囲で反応しやすいように、この温度範囲で気体状態を維持するフッ素ガス(F)又は気体のフッ素化合物であることが好ましい。フッ素化合物としては、CF、CHF、SiF、NF、PF、PF、BF等が挙げられる。
フッ素含有物質は、F、CHF、CF、SiF及びNFからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましく、より好ましくはF(フッ素ガス)である。
焼成物とフッ素含有物質とを接触させる雰囲気は、不活性ガス雰囲気であることが好ましい。不活性ガス雰囲気は、フッ素ガス又は気体のフッ素化合物を含む雰囲気であることが好ましい。
本明細書において不活性ガス雰囲気とは、アルゴン、ヘリウム、窒素等を雰囲気中の主成分とする雰囲気を意味する。不活性ガス雰囲気は、不可避的不純物として酸素を含むことがあるが、本明細書において、雰囲気中に含まれる酸素の濃度が15体積%以下であれば不活性ガス雰囲気とする。不活性ガス雰囲気中の酸素の濃度は、好ましくは10体積%以下、より好ましくは5体積%以下、更に好ましくは1体積%以下である。酸素濃度が所定値以上であると、蛍光体の粒子が酸化され過ぎる虞があるからである。
不活性ガス雰囲気中のフッ素含有物質の濃度は、好ましくは2体積%以上25体積%以下であり、より好ましくは5体積%以上22体積%以下である。不活性ガス雰囲気中のフッ素含有物質の濃度が2体積%以上25体積%以下であると、焼成物に含まれる不純物相又は低輝度相とフッ素含有物質が反応しやすく、得られる窒化物蛍光体の発光強度を高くすることができる。
焼成物とフッ素含有物質とを接触させる時間は、好ましくは1時間以上10時間以下、より好ましくは2時間以上8時間以下である。焼成物とフッ素含有物質とを接触させる時間が1時間以上10時間以下であれば、焼成物とフッ素含有物質とを接触させることにより、焼成物に含まれる不純物相又は低輝度相中のケイ素がフッ素含有物質中のフッ素と反応しやすく、反応により生成したフッ化物が焼成物から取り除かれやすいので、発光強度の低下に繋がる不純物相又は低輝度相を低減し、得られる窒化物蛍光体の発光強度を高くすることができる。
(後処理)
焼成物とフッ素含有物質とを接触させた後、得られた窒化物蛍光体は、解砕処理、粉砕処理、分級処理等の後処理を行なってもよい。
[窒化物蛍光体]
本発明の一実施態様に係る方法によって製造された窒化物蛍光体は、Ba、Sr、Ca及びMgからなる群から選択される少なくとも一種の第一元素と、Eu、Ce、Tb及びMnからなる群から選択される少なくとも一種の第二元素と、Siと、Nとを含む組成を有する。本発明の一実施態様に係る方法によって製造された窒化物蛍光体は、フッ素元素を含有し、フッ素元素の含有量が1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。焼成物とフッ素含有物質とを特定の温度で接触させて得られた窒化物蛍光体中には、焼成物の表面に近い部分又は表面にフッ素元素が残存すると考えられる。窒化物蛍光体にフッ素元素が残存していても、得られた窒化物蛍光体の発光強度が低下することはなく、焼成物とフッ素含有物質と接触させて不純物相又は低輝度相が低減されたことによって、窒化物蛍光体の発光強度が高いまま維持される。
本発明の一実施態様に係る方法によって製造された窒化物蛍光体に含まれるフッ素元素の含有量は、より好ましくは1.1質量%以上、さらに好ましくは1.2質量%以上であり、より好ましくは8.0質量%以下、さらに好ましくは5.0質量%以下である。
本発明の一実施態様に係る方法によって製造された窒化物蛍光体は、前記式(I)又は前記式(II)に示される組成を有することが好ましい。
本発明の一実施態様の方法によって得られる窒化物蛍光体は、前記第二元素で賦活され、好ましくはユウロピウム(Eu)で賦活され、紫外線から可視光領域の発光ピーク波長を有する光を吸収して赤色に発光する。窒化物蛍光体は、紫外線から可視光の領域である400nm以上570nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する光を吸収して、570nm以上670nm以下の波長範囲に発光ピーク波長を有する光を発する。本発明の一実施態様の方法によって得られる窒化物蛍光体は、より好ましくは580nm以上650nm以下の波長範囲に発光ピーク波長を有することが好ましく、600nm以上630nm以下の波長範囲に発光ピーク波長を有することがより好ましい。窒化物蛍光体の発光スペクトルの半値幅は、例えば95nm以下であり、好ましくは92nm以下であり、より好ましくは90nm以下である。発光ピークの半値幅が小さい方が、色純度の高い窒化物蛍光体が得られる。
本発明の一実施態様の方法によって得られる窒化物蛍光体は、450nmにおける反射率が12.5%以下であることが好ましく、より好ましくは12.0%以下、さらに好ましくは11.9%以下である。
窒化物蛍光体の450nmにおける反射率が12.5%以下と比較的低いことによって、窒化物蛍光体と励起光源を備えた発光装置としたとき、励起光源から発せられた光の吸収が大きくなると考えられ、吸収した光を窒化物蛍光体で波長変換し、所望の波長範囲の発光強度を高くすることができる。
本発明の一実施態様の方法によって得られる窒化物蛍光体は、730nmにおける反射率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは反射率が91%以上、さらに好ましくは92%以上である。本発明の一実施態様の方法によって得られる窒化物蛍光体の730nmにおける反射率が90%以上であれば、570nm以上800nm以下の波長範囲の反射率が高く、前記窒化物蛍光体から効率よく所望の波長範囲の光を放出することができる。
本発明の一実施態様の方法によって得られる窒化物蛍光体の平均粒径は、好ましくは2.0μm以上であり、より好ましくは4.0μm以上であり、更に好ましくは5.0μm以上であり、好ましくは30.0μm以下、より好ましくは25.0μm以下、更に好ましくは20.0μm以下である。窒化物蛍光体の平均粒径が、2.0μm以30.0μm以下であると、励起光源からの光の吸収率を高くし、高い発光強度で所望の色度を有する赤色光を発光することができる。また、窒化物蛍光体の平均粒径が2.0μm以上30.0μm以下であると、後述する発光装置に窒化物蛍光体を含有させる場合に、発光装置の製造工程における作業性を向上させることができる。
本明細書において窒化物蛍光体の平均粒径は、体積平均粒径(メジアン径)であり、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置(MALVERN(マルバーン)社製、製品名:MASTER SIZER(マスターサイザー)2000、)により測定することができる。
本発明の一実施態様の方法によって得られる窒化物蛍光体は、発光装置に用いることができる。発光装置は、例えば本発明の一実施態様の方法によって得られる窒化物蛍光体と、励起光源とを備える。励起光源は、発光素子を用いることができ、350nm以上570nm以下の波長範囲の発光ピーク波長を有する光を発するものであることが好ましい。発光素子の発光ピーク波長の範囲は、より好ましくは390nm以上480nm以下であり、さらに好ましくは420nm以上470nm以下であり、さらに好ましくは440nm以上460nm以下であり、特に好ましくは445nm以上455nm以下である。このような発光素子としては、窒化物半導体(InAlGa1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)からなる発光素子を用いることが好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
(製造例1)
Ba、Sr、Euを含む組成を有する焼成物を製造した。具体的には、前記一般式(II)で表される組成を有する焼成物として、M12をSrとし、M2をEuとし、Ba、SrN(wが2/3相当)、EuN、Siを各原料として用い、それを仕込み量としてモル比がBa:Sr:Eu:Si=1.47:0.47:0.06:5の組成比となるように、不活性ガス雰囲気のグローブボックス内で計量し、混合して原料混合物を得た。得られた原料混合物を坩堝に充填し、窒素ガスを80体積%以上含有する不活性ガス雰囲気で、ガス圧力をゲージ圧で0.92MPa(絶対圧力1.02MPa)とし、1800℃で、5時間の熱処理を行ない、焼成物を得た。得られた焼成物は、粒子同士が焼結等しているので、分散、その後、粗大粒子や微粒子を取り除くふるい分級を行った後に粒径が整った、(Ba0.735Sr0.235Eu0.03Siの組成を有する焼成物を得た。
(実施例1)
製造例1で得られた焼成物をフッ素ガス(F)と不活性ガスとして窒素ガス(N)とを含み、フッ素ガス濃度が20体積%、窒素ガス濃度が80体積%である雰囲気中、ほぼ室温である30℃、接触時間8時間で、焼成物をフッ素ガス(F)と接触させ、窒化物蛍光体の粉末を得た。
(比較例1)
製造例1で得られた焼成物を、比較例1の窒化物蛍光体の粉末とした。
(実施例2)
製造例1で得られた焼成物とフッ素ガス(F)とを接触させる温度を100℃にする以外は、実施例1と同じ条件で窒化物蛍光体の粉末を得た。
(比較例2)
製造例1で得られた焼成物とフッ素ガス(F)とを接触させる温度を150℃にする以外は、実施例1と同じ条件で、窒化物蛍光体の粉末を得た。
<評価>
以下の方法により、各評価を行なった。
(発光特性)
各実施例及び比較例の窒化物蛍光体について、発光特性を測定した。窒化物蛍光体の発光特性は分光蛍光光度計(製品名:QE-2000、大塚電子株式会社製)で励起光の波長を450nmとして測定した。得られた発光スペクトルのエネルギー(相対発光強度:%)を求めた。その結果を表1及び図1に示す。なお、相対発光強度は、比較例1の窒化物蛍光体を100%として算出した。また、窒化物蛍光体の発光スペクトルの発光ピーク波長の半値幅を表1に記載した。
(反射率)
各実施例及び比較例の窒化物蛍光体について、分光蛍光光度計(製品名:F−4500、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、波長450nmと、波長730nmの反射率を測定した。
具体的には、反射率の基準にCaHPOを用いて、反射率を求めた。その結果を表1に示す。
(フッ素含有量の分析)
各実施例及び比較例の窒化物蛍光体について、誘導結合プラズマ発光分析装置(Perkin Elmer(パーキンエルマー)社製)を用いて、ICP発光分析法により、組成分析を行ない、窒化物蛍光体中のフッ素(F)元素の含有量を求めた。その結果を表1に示す。
(SEM画像)
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、実施例1の窒化物蛍光体と比較例1の窒化物蛍光体のSEM写真を得た。図2は、実施例1の窒化物蛍光体のSEM写真であり、図3は、比較例1の窒化物蛍光体のSEM写真であり、図4は、比較例2の窒化物蛍光体のSEM写真である。
(平均粒径)
各実施例及び比較例の窒化物蛍光体について、レーザー回折式粒度分布測定装置(製品名:MASTER SIZER(マスターサイザー)2000、MALVERN(マルバーン)社製)により平均粒径を測定した。その結果を表1に示す。平均粒径は、体積平均粒径(メジアン径)である。
表1に示すように、−20℃以上150℃未満の温度でフッ素含有物質と接触させた実施例1及び2の窒化物蛍光体は、フッ素含有物質と接触させない未処理の比較例1の窒化物蛍光体よりも相対発光強度が高くなった。実施例1及び2の窒化物蛍光体は、波長450nmにおける反射率が比較例1及び2の窒化物蛍光体よりも低く、これらの窒化物蛍光体を含む発光装置としたときに励起光源からの光の吸収が高いことが予想される。また、実施例1及び2の窒化物蛍光体は、波長730nmの反射率が92%以上と高く、実施例1及び2の窒化物蛍光体から、効率よく570nm以上800nm以下の波長範囲の光を放出することが確認できた。
比較例2の窒化物蛍光体は、波長730nmにおける反射率が実施例1,2及び比較例1よりも高いものの、波長450nmにおける反射率が実施例1,2及び比較例1よりも高くなっており、この窒化物蛍光体を含む発光装置としたときに励起光源からの光の吸収が実施例1,2及び比較例1よりも低いことが予想される。また、比較例2の窒化物蛍光体は、相対発光強度が実施例1,2及び比較例1の窒化物蛍光体よりも低下した。
図1に示すように、実施例1及び2の窒化物蛍光体は、比較例1の窒化物蛍光体よりも相対発光強度が高く、実施例1及び2の窒化物蛍光体の発光スペクトルの発光ピーク波長の形状は、比較例1の窒化物蛍光体の発光スペクトルの発光ピーク波長の形状とほぼ同じであり、比較例1とほぼ同等の色度の光を発光していることが確認できた。また、表1に示すように、実施例1及び2の窒化物蛍光体の発光ピーク波長の半値幅は、比較例1及び2の窒化物蛍光体の発光ピーク波長の半値幅とほぼ同じか、若干小さくなっており、発光の色純度が同程度以上であった。
図2に示すように、実施例1の窒化物蛍光体は、SEM写真から観察できるように粒子形状が比較的揃っていた。図2のSEM写真に示した実施例1の窒化物蛍光体と、図3のSEM写真に示したフッ素含有物質と接触させていない比較例1の窒化物蛍光体は、外観上ほとんど変化がなかった。
一方、図4に示すように比較例2の窒化物蛍光体は、SEM写真から観察できるように、窒化物蛍光体の粒子であるとみられる比較的大きな粒子に混じって微細な粒子も含まれており、得たい組成の窒化物蛍光体とは別の化合物が存在している可能性が考えられる。
本開示の製造方法により、より高い発光強度を有する窒化物蛍光体を得ることができる。本開示の方法により得られた窒化物蛍光体は、発光素子と組み合わせることで発光装置に利用できる。この発光装置は、発光ダイオードを励起光源とする照明用光源、LEDディスプレイ、液晶用バックライト光源、信号機、照明式スイッチ、各種インジケータ及び小型ストロボ等に好適に利用できる。

Claims (10)

  1. 下記式(I)で示される組成を有する焼成物を準備することと、
    −20℃以上150℃未満の温度で前記焼成物と、F 、CHF 、CF 、SiF 及びNF からなる群から選択される少なくとも一種のフッ素系ガスとを接触させることを含む、窒化物蛍光体の製造方法。
    (M1 1−y M2 Si (I)
    (式(I)中、M1は、Ba、Sr、Ca及びMgからなる群から選択される少なくとも一種の元素であり、M2は、Eu、Ce、Tb及びMnからなる群から選択される少なくとも一種の元素であり、yは、0.001≦y<0.5を満たす数である。)
  2. 前記焼成物と前記フッ素系ガスとを接触させる温度が0℃以上140℃未満である、請求項1に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
  3. 前記窒化物蛍光体のフッ素含有量が1質量%以上10質量%以下である、請求項1又は2に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
  4. 前記焼成物は、下記式(II)で示される組成を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
    (Ba1−x−yM12M2Si (II)
    (式(II)中、M12は、Sr、Ca及びMgからなる群から選択される少なくとも一種の元素であり、M2は、Eu、Ce、Tb及びMnからなる群から選択される少なくとも一種の元素であり、x及びyは、それぞれ0.0≦x<1.0、0.001≦y<0.5、0.001≦x+y<1.0を満たす数である。)
  5. 前記焼成物を不活性ガス雰囲気中で前記フッ素系ガスと接触させる、請求項1からのいずれか一項に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
  6. 前記不活性ガス雰囲気中の前記フッ素系ガスの濃度が、2体積%以上25体積%以下である、請求項5に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
  7. 前記焼成物と、前記フッ素系ガスとを接触させる時間が、1時間以上10時間以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
  8. 前記フッ素系ガスがフッ素ガスである、請求項1からのいずれか一項に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
  9. 前記窒化物蛍光体の450nmにおける反射率が12%以下である、請求項1からのいずれか一項に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
  10. 前記窒化物蛍光体の平均粒径が、2.0μm以上30.0μm以下である、請求項1から9のいずれか一項に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
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