JP4516793B2 - プラズマディスプレイパネル - Google Patents

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Description

本発明は、テレビやコンピュータ等の画像表示に用いられるプラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)およびその製造方法、ならびに蛍光体を被覆するのに適する薄膜に関するものである。
PDPは、一般的に知られているように、一対の基板間に封入されたガスを放電させることによって生じた紫外線が蛍光物質に当たって発光する自発光型ディスプレイである。例えば3電極構造の面放電型PDPを図11に示す(特許文献1を参照のこと)。このPDP80において、前面板60と背面板70とが対向配置される。前面板60は、前面基板61の内側面上に、互いに平行に隣接配置された一対の表示電極X、Yからなる電極対63と、電極対63を覆う誘電体層67および保護膜68とを備える。前面基板61の外側面は表示面65である。他方、背面板70は背面基板71の内側面上に、電極対63と直交するように配置されたアドレス電極Aと、アドレス電極Aを挟んで前面板60に向かって突出する複数のリブ74と、リブ74の間にて背面基板71の表面およびその上のアドレス電極Aを被覆する蛍光体層75(75R、75G、75B)とを備える。これら前面板60と背面板70との間に放電空間が形成され、放電用ガスが封入されている。3つの電極X、YおよびAのうち、表示電極X、Yによって面放電セル(表示の主放電セル)が画定され、表示電極Yとアドレス電極Aとによって単位発光領域EUの点灯または非点灯を選択するためのアドレス放電セルが画定される。表示電極X、Y間の面放電で生じた紫外線によって蛍光体層75中の蛍光物質、より詳細には蛍光体粒子(図示せず)が励起されて発光する。
フルカラー表示を行う場合には、赤、緑、および青の加法混色の3原色の蛍光体層75R、75G、75Bが適用されて、赤、緑および青色の単位発光領域EUが1つの画素EGを構成する。各蛍光体層75R、75G、75Bは、通常、スクリーン印刷法を用いて、蛍光体粒子を主成分とするペーストを各色毎に順に背面基板71のリブ間に塗布し、その後、得られた背面基板71を焼成することにより形成される。
赤色の蛍光体層75Rのための赤色蛍光物質として、例えば平均粒径が3μm程度のY:Euから成る粒状物が用いられる。緑色の蛍光体層75Gのための緑色蛍光物質として、例えば平均粒径が3μm程度のBaO・Al:Mnから成る粒状物が用いられる。青色の蛍光体層75Bのための青色蛍光物質として、例えば平均粒径が5μm程度の3(Ba,Mg)O・8Al:Euから成る粒状物が用いられる。
このようなPDPについて、種々の目的のために個々の蛍光体粒子をフッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウムまたはシリコン酸化物などの膜で被覆することが知られている。このような膜の形成方法は気相法(物理蒸着法、化学的気相成長法など)および液相法(溶液法、融液法など)に大別される。
例えば、PDPの高輝度化を実現し、視認性の向上および色再現性の改善を指向して、蛍光体粒子を、それよりも屈折率の小さい透光性物質、具体的にはフッ化マグネシウム、二酸化ケイ素およびアルミナなどの薄膜で被覆することが提案されている(例えば、特許文献1を参照のこと)。この薄膜は蒸着法、ディップ法、スパッタ法およびスプレー法などのマイクロカプセル化手法により形成される。
また、発光効率の高いPDPを実現するため、蛍光体粒子表面での反射により失われる紫外線の量を減少させるように、蛍光体粒子を反射防止膜、具体的にはフッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウムおよび酸化ケイ素などの膜で被覆することも提案されている(例えば特許文献2を参照のこと)。この反射防止膜はCVD法(化学的気相成長法)、PVD法(物理蒸着法)、および、溶融誘電体中に蛍光体粒子を懸濁させたサスペンションを形成し、その後、そのようなサスペンションを基板などの表面に静かに注ぐ方法により形成される。
また、蛍光体の酸化に起因する輝度劣化を低減するため、蛍光体粒子をフッ化マグネシウム層またはフッ化カルシウム層で被覆して蛍光体粒子に耐酸化性を付与することも提案されている(例えば特許文献3を参照のこと)。この被覆膜は、蛍光体粒子を溶液中に懸濁させ、フッ化マグネシウムまたはフッ化カルシウムを蛍光体粒子表面に化学的に析出させることによって形成される。
また、高輝度化および長寿命化を図って、紫外線吸収損失の低い誘電体、例えばフッ化マグネシウムなどのアルカリ土類金属またはアルカリ金属のフッ化物の膜で蛍光体粒子を被覆すること、および、この膜の上に二次電子放出割合の高い誘電体、例えば酸化マグネシウムなどの膜を設けることが提案されている(例えば特許文献4を参照のこと)。この膜の形成方法については特に言及されていない。
特開平7−320645号公報 特開平10−228868号公報 特開2001−200249号公報 特開平5−314912号公報
PDPを使用するうちに起こり得る輝度劣化を低減するには、蛍光体粒子がプラズマに曝されて変質することに起因する蛍光体の劣化(駆動劣化)を防止することが重要であり、PDPの高輝度(または高発光効率)化のためには、PDP使用の際に蛍光体粒子内により多くの紫外線を供給することが重要である。また、PDPの高輝度化のためには、PDP製造プロセスで前面板と背面板とを封着する際に蛍光体粒子が湿気および酸素などを含むガスに高温下で曝されることによって変質すること(例えば青色蛍光体中のEu2+が湿気の存在下にてEu3+へ酸化されること)に起因する蛍光体の劣化(プロセス劣化)を低減することが重要である。即ち、蛍光体粒子を被覆する膜には、高い紫外線透過性と、湿気、酸素およびプラズマなど、特に湿気に対する高い耐性(または保護性能)とを併せ持つことが求められる。
上述のような従来の技術において、フッ化マグネシウムなどのフッ化物から成る膜を液相法により形成することは技術的に困難であり、また、高コストである。
他方、フッ化物から成る膜を一般的な気相法により形成すると、膜の紫外線透過性が悪く、高輝度化の目的に反してかえって輝度が低くなるという問題があることを本発明者らは認識した。本発明者らの試験の結果、真空蒸着法およびスパッタ法などの物理蒸着法、特にスパッタ法によりフッ化物から成る膜を形成した場合、得られるコーティングは茶色く、その紫外線透過率も低いことが判明した。本発明者らの見解によれば、実際には、フッ化マグネシウムなどのフッ化物から成る透明なコーティングを気相法により形成することはこれまで実現されていない。
加えて、フッ化物は吸湿性があるため、蛍光体粒子をコーティングする材料として必ずしも十分とは言えない。
本発明の目的は、蛍光体をコーティングするのに適する高い紫外線透過率および耐水性を有する高品質な薄膜材料を模索し、新規なPDPおよびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記のような気相法による従来のフッ化物膜について十分な紫外線透過率が得られないのは、蒸着源またはスパッタ源としてほぼ化学量論組成のフッ化物(例えばMgF)を用いても、得られる膜のフッ素含有量が化学量論組成よりも低いためであるという知見を得た。そして、フッ素を供給する追加の工程により、上記のようなフッ化物膜の紫外線透過性を向上させることができ、十分な紫外線透過性および耐水性を有するコーティングを実現できることを見出した。
更に、本発明者らは、このフッ素を供給する工程はフッ化物膜に対してのみならず、蛍光体粒子に対して直接的に行ってもよく、後者の場合にも十分な紫外線透過性および耐水性を有するコーティングを実現できるという知見を得た。
加えて、本発明者らは、十分な紫外線透過性および耐水性を有する他の材料系について検討し、シリコン系材料が利用可能であるという知見を得た。
本発明者らはこのような知見の下、更なる鋭意検討の結果、本発明を完成するに至った。
本発明の1つの要旨によれば、蛍光体粒子を含む蛍光体層を基板上に備えるPDPの製造方法であって、蛍光体粒子に対してフッ素を供給することにより、蛍光体粒子の表面の少なくとも一部を被覆するフッ素含有コーティング(本発明において単にコーティングとも言う)を形成する工程を含んで成る製造方法が提供される。
このような本発明のPDPの製造方法によれば、湿気、酸素、プラズマなどの周囲環境に対する高い耐性、特に耐水性と、高い紫外線透過性とを有するフッ素含有コーティングを実現することができる。本発明に従って製造されるPDPにおいては、このようなコーティングにより蛍光体粒子が少なくとも部分的に被覆されているので、被覆されていない蛍光体粒子を用いる場合に比べて高輝度で輝度劣化の小さいPDPが得られる。
本発明においてフッ素の供給は気相中で行われ、具体的には、フッ素ガスを含む気相中で蛍光体粒子を加熱すること、またはフッ素ラジカルを含むプラズマを蛍光体粒子に照射することのいずれかにより実施することができる。(このとき、蛍光体粒子には後述するプレコーティングが形成されていても、いなくてもよく、また、蛍光体粒子は粒子群のみの形態であっても、基板に塗布された形態であってもよい。)
また、このような本発明の方法によれば、蛍光体粒子に対してフッ素を供給することにより、コーティング中のフッ素含有率をコーティングの表面から蛍光体粒子内部に向かうにつれて減少させることができる。
コーティングの蛍光体粒子本体に近い部分にフッ素が多く存在すると、PDPの製造プロセスにおいて、および場合によりPDPの使用により経時的に、フッ素原子が蛍光体粒子中に拡散し、蛍光体を変質させ得る。この結果、輝度が低下し、および蛍光波長がシフトし得る。これに対し、本発明により得られるコーティングでは、コーティングの蛍光体粒子本体に近い部分には、コーティング表面部におけるよりもフッ素原子が少なく、蛍光体粒子中へのフッ素原子の拡散が効果的に低減されるので、より高い輝度を得ることができ、輝度低下および蛍光波長のシフトを小さくすることができる。尚、本発明者らは、少なくともコーティングの表面において高いフッ素含有率が得られれば、十分な紫外線透過性および耐水性が得られることを確認している。
本発明の別の要旨においては、蛍光体粒子を含む蛍光体層を基板上に備えるPDPであって、蛍光体粒子の表面の少なくとも一部がフッ素を含有するコーティングで被覆され、このコーティング中のフッ素含有率が、コーティングの表面から蛍光体粒子内部に向かうにつれて減少し、フッ素含有率曲線を、コーティングの表面から蛍光体粒子内部に向かう深さを横軸とし、前記フッ素含有率を縦軸として、深さ8nmおよびフッ素含有率100原子%の各軸上の点が原点から等しい距離に位置するようにスケーリングして描画した場合に、フッ素含有率曲線のコーティングの表面位置における接線と前記横軸とのなす角度が20°〜50°であるPDPが提供され20°未満であることはコーティングの表面近傍に対するフッ素補填が不十分であり、望ましい紫外線透過率が得られない。また、50°より大きいと、コーティングの表面部におけるフッ素含有率が化学量論組成における値を超え、PDP駆動時により多くのフッ素が放電空間に放出および存在し得、放電の安定性を損ない得る。
本発明のPDPにおいて、コーティングの膜厚は1〜100nmであることが好ましい。1nmより薄いコーティングを再現性よく形成するのは困難であり、また、そのような膜厚では十分な保護性能が得られない。他方、100nmより厚いコーティングは紫外線透過率が低くなる
本発明の上記PDPの製造方法の1つの態様において、上記コーティングの形成工程は、蛍光体粒子の表面の少なくとも一部を被覆するフッ素含有プレコーティング(単にプレコーティングとも言う)を予め形成し、およびこのプレコーティングにフッ素を供給することによって実施する。プレコーティングにフッ素を供給して得られるコーティングはプレコーティングより高い紫外線透過率を有する。
プレコーティングは物理蒸着法(PVD法)、例えば真空蒸着法およびスパッタ法などにより、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウムおよびフッ化リチウムからなる群から選択されるフッ化物を蛍光体粒子の表面の少なくとも一部に堆積することによって形成してよい。プレコーティングのフッ素含有率は、蒸着源またはスパッタ源に用いたフッ化物におけるフッ素含有率よりも低いが、プレコーティングにフッ素を供給することにより、物理蒸着の際に減少したフッ素を補填することができる。例えば、コーティングの表面におけるフッ素含有率は50〜80原子%であり得る。フッ素含有率が50原子%未満であると十分な透明性および紫外線透過性が得られず、また、80原子%を超えるとPDP駆動時に放電空間中により多くのフッ素が放出され、PDPの放電開始電圧が上昇し得る。好ましくはコーティング表面部におけるフッ素含有率をフッ化物の化学量論組成におけるフッ素含有率と同程度にできる。よって、このようにして得られるコーティングは、単に物理蒸着法により形成した従来の膜(これは本願発明におけるプレコーティングに相当する)に比べて紫外線透過性が向上し、より高い輝度が得られる。
本発明の別の要旨においては、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウムおよびフッ化リチウムからなる群から選択されるフッ化物から成る薄膜であって、薄膜中のフッ素含有率が、一方の膜表面から他方の膜表面に向かうにつれて減少する薄膜もまた提供される。この場合にも、コーティング表面部におけるフッ素含有率はフッ化物の化学量論組成におけるフッ素含有率と同程度であることが好ましい。このような薄膜は、PDPのみならず、蛍光体を用いる発光デバイスにおいて蛍光体を被覆するために好適に用いられる。本発明の薄膜は、例えば蛍光体を基材としてその上に形成した場合、フッ素含有率がより低い方の膜表面が蛍光体と接触し、蛍光体を湿気、酸素、プラズマなどから保護しつつ、紫外線を十分に透過させ、また、フッ素原子の蛍光体中への拡散が少ないので、高い輝度を得ることができ、ならびに輝度劣化および蛍光波長のシフトを低減することができる。
本発明の上記PDPの製造方法のもう1つの態様において、上記コーティングの形成工程は、蛍光体粒子の表面部の少なくとも一部にフッ素を供給することによって実施する。このように蛍光体粒子に直接的にフッ素を供給することによって、フッ素含有蛍光体材料から成るコーティングを形成することができる。このコーティングのフッ素含有率を適切に設定することにより、PDP特性に対し許容可能な紫外線透過性が得られる。本発明はいずれの理論によっても拘束されるものではないが、供給したフッ素原子は、蛍光体粒子を構成する蛍光体材料における結晶欠陥としての空孔に入り、または結晶中の酸素原子などの適当な原子と置換すると考えられる。
尚、この場合、フッ素供給前の未処理の蛍光体粒子の表面部(より詳細にはその少なくとも一部)は、フッ素供給によりコーティングへと変質している。よって、厳密には、フッ素供給後の蛍光体粒子は未処理の蛍光体粒子と相違する。しかし、未処理の蛍光体粒子の表面部の変質により得られるコーティングは、処理後の蛍光体粒子の表面を被覆するものとして理解することができよう。
一般に、赤、緑および青色蛍光体のうち青色蛍光体の輝度が比較的低いので、青色の蛍光体粒子をコーティングすることが好ましい。青色蛍光体粒子に直接的にフッ素を供給して得られるコーティングとしてのフッ素添加蛍光体材料は、フッ素、ユーロピウム、バリウム、アルミニウム、マグネシウムおよび酸素の原子を含む。しかし、本発明はこれに限定されず、フッ素含有蛍光体材料は、一般的に蛍光物質として用いられている材料に加えてフッ素を含むものであってよい。
本発明のもう1つの要旨によれば、蛍光体粒子を含む蛍光体層を基板上に備えるPDPの製造方法であって、蛍光体粒子の表面の少なくとも一部にフッ素添加シリコン酸化物およびシリコン酸化物を順次堆積させることにより、フッ素添加シリコン酸化物層およびその上のシリコン酸化物層を含み、および蛍光体粒子の表面の少なくとも一部を被覆するフッ素含有コーティングを形成する工程を含んで成る製造方法が提供される。フッ素添加シリコン酸化物層およびシリコン酸化物層は、例えば化学的気相成長法(CVD法)により形成できる。
このような本発明のPDPの製造方法によれば、湿気、酸素、プラズマなどに対する高い耐性、特に耐水性と、高い紫外線透過性とを有するフッ素含有コーティングを実現することができる。本発明により製造されるPDPにおいては、このようなコーティングにより蛍光体粒子が少なくとも部分的に被覆されているので、被覆されていない蛍光体粒子を用いる場合に比べて高輝度で輝度劣化の小さいPDPが得られる。
この場合、コーティングはフッ素添加シリコン酸化物層中にフッ素を含有し、シリコン酸化物層中にはフッ素を有さない。このフッ素添加シリコン酸化物層は、そのフッ素含有率を適切に設定することにより、PDP特性に対し許容可能な紫外線透過性が得られるが、フッ素を含んでいるため十分な耐水性を有さない。しかし、これをより耐水性の高いシリコン酸化物層で覆っているので、コーティングの耐水性が顕著に向上し、単にフッ化物コーティングのみで蛍光体粒子を被覆する場合よりも輝度劣化を低減することができる。
本発明の別の要旨によれば、蛍光体粒子を含む蛍光体層を基板上に備えるPDPであって、フッ素添加シリコン酸化物層とその上に位置するシリコン酸化物層とを含んで成るフッ素含有コーティングで蛍光体粒子の表面の少なくとも一部が被覆されているPDPが提供され、上記と同様の効果を得ることができる。
本発明において蛍光体粒子のコーティングは、各蛍光体粒子の全表面を被覆していても、あるいは、蛍光体粒子の表面の一部分であって、蛍光体層の表面を形成する部分を被覆していてもよい。前者の場合、まず上述のいずれかのコーティングを各蛍光体粒子の全表面を被覆するように形成し、その後、得られた蛍光体粒子を含むペーストを調製し、基板上に位置する隣接するリブ間の領域に塗布することにより、蛍光体粒子を含む蛍光体層を形成してよい。後者の場合、コーティングを形成するに先だって蛍光体粒子を含むペーストを調製し、基板上に位置する隣接するリブ間の領域に塗布することにより、蛍光体粒子を含む蛍光体層を形成し、その後、コーティングが、蛍光体層の表面を形成する部分にあたる蛍光体粒子の表面の一部分を被覆するように、蛍光体層に対してコーティングを形成してよい。
以上、本発明のPDPの製造方法およびそれによって得られるPDPについて、その特徴部を中心に説明してきたが、その他については任意の適当なPDPの製造工程または構成を適用してよい。上述した本発明の特徴的なコーティング形成工程は、蛍光体粒子を含む蛍光体層を備える基板を準備する工程の一部として理解することができる。よって、本発明のPDPの製造方法は、このような基板を準備する工程に加えて、上記により得られた基板(例えば背面板)を適当なもう1つの基板(例えば前面板)と対向配置させてそれらの間に放電空間を形成する工程、および放電空間内に放電用ガスを封入する工程などを更に含み得る。また、本発明のPDPは、上述した本発明の特徴的なコーティング付き蛍光体粒子を含む蛍光体層を有する基板(例えば背面板)に加えて、適当なもう1つの基板(例えば前面板)を更に備え、これら基板は放電用ガスが充填される放電空間が間に形成されるように配置され得る。
本発明によれば、湿気、酸素、プラズマなどに対する高い耐性、特に耐水性と、高い紫外線透過性とを有するフッ素含有コーティングまたは薄膜を実現することができ、そのようなコーティングで蛍光体粒子の表面が少なくとも部分的に被覆されている新規なPDPおよびその製造方法が提供される。本発明のPDPおよびその製造方法によれば、高輝度で輝度劣化の小さいPDPが得られる。また、本発明により実現される薄膜は蛍光体を被覆するのに好適に用いられる。
以下、本発明の種々の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。尚、本発明の特徴的部分を中心に説明するものとし、特に断りのない限り、蛍光体層に関する点以外については、図11を参照して上述したものを含む任意の適当なPDPの構造および製造方法を適用し得るものである。
(実施形態1)
本実施形態は、フッ化マグネシウムなどのフッ化物から成るコーティングが各蛍光体粒子の全表面を被覆するタイプのPDPおよびその製造方法に関する。
本実施形態におけるPDPは、図1に示すような背面板10が蛍光体層6を挟んで前面板(図示せず)と対向配置され、それらの間の放電空間に放電用ガスが封入されて構成される。背面板10において、一般的にガラス基板から成る背面基板1の上にアドレス電極2が設けられ、その上を誘電体層3が覆っている。誘電体層3の上には複数のリブ4が設けられ、隣接するリブ4間にアドレス電極2が挟まれている。そして、背面基板1を覆う誘電体層3の表面における隣接するリブ4間に、蛍光体層5が設けられている。尚、誘電体層3は本発明の実施に必ずしも要さず、図11に示すPDPのように省略してもよい。他方、前面板は、図11に示す前面板60と同様の構造であってよく、一般的にガラス基板から成る前面基板の上に、表示電極、誘電体層および保護層などを備え得る。
蛍光体層5は、図2に示すようにコーティング8で全表面が被覆された蛍光体粒子7を含み、ペーストのバインダ残渣など(図示せず)を更に含み得る。コーティング8はフッ素を含み、本実施形態においてはフッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウムおよびフッ化リチウムからなる群から選択されるフッ化物により構成される。コーティング8中のフッ素含有量は、後述するように、コーティング8の表面から蛍光体粒子7の内部に向かうにつれて減少する。
蛍光体粒子7には、特に限定されるものではないが、例えば平均粒径が約100〜10000nmの適当な蛍光体材料から成る粒子を用い得る。蛍光体材料は、図11を参照して上述したような蛍光体物質であってよい。例えば青色の蛍光体粒子は3(Ba,Mg)O・8Al:Euから成っていてよい。
コーティング8の膜厚t(図3を参照のこと)は約1〜100nmであることが好ましい。1nmより薄いコーティングを再現性よく形成するのは困難であり、また、そのような膜厚では十分な保護性能が得られない。他方、100nmより厚いコーティングは紫外線透過率が低くなる。膜厚は約5〜20nmであることがより好ましい。
次に、このような本実施形態のPDPを製造する方法について説明する。
まず、蛍光体粒子7を準備し、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウムおよびフッ化リチウムからなる群から選択されるフッ化物を蒸着源として用い、これを加熱して蒸発させ、真空蒸着法により、フッ化物から成るプレコーティングを各蛍光体粒子7の表面全体を被覆するように形成する。このプレコーティングの形成は当該技術分野において既知の蒸着法を適用でき、一般的な条件で実施してよい。得られるプレコーティング中のフッ素含有率は、蒸着源に用いたフッ化物におけるフッ素含有率よりも低く、ほぼ化学量論組成から成るフッ化マグネシウムを蒸着源に用いた場合には約50〜60原子%である。
次に、これにより得られた蛍光体粒子7をフッ素(F)ガスを含む気相中で加熱する。例えば、加熱温度は約100〜400℃、圧力は約0.1〜1000Paとすることができる。100℃より低い温度では、蛍光体のHOおよびCO吸着に起因するパネル駆動時における蛍光体の酸化劣化を招き得る。他方、400℃より高い温度では、処理後に室温付近まで温度低下すると、コーティングと蛍光体粒子との熱膨張率の差のためにコーティングが蛍光体粒子から剥がれたり、コーティングに亀裂が生じる場合がある。圧力が0.1Paより低いとフッ素供給速度が遅いためにコーティング形成に長時間を要し、また、1000Paより高いと処理装置内へのフッ素ガス供給に長時間を要し、およびより多量のフッ素ガスを要するので生産性が低くなる。具体的には、例えばフッ素ガス雰囲気下にて温度を約150℃、圧力を約50Paとする条件で約20分処理することにより、フッ素の供給を行うことができる。
このようなフッ素雰囲気下での加熱によりプレコーティング付きの蛍光体粒子7に向かってフッ素が供給され、この結果、プレコーティング中にフッ素が供給される。本実施形態におけるフッ素の供給は、物理蒸着の際に失われたフッ素を補填するものと認識でき、特にコーティング8の表面およびその近傍においてフッ素が補填される。
上記プレコーティングの形成およびフッ素の供給を、蛍光体粒子7の表面に対して均一に実施し得るように、これらの工程は、例えば蛍光体粒子7を撹拌しながら実施することが好ましい。
以上のようにして、個々の蛍光体粒子7の表面全体を被覆するコーティング8が形成される。
次に、コーティング8で被覆された蛍光体粒子7を適当なバインダなどと混合してペースト状にする。そして、アドレス電極2、誘電体層3およびリブ4を形成して準備した背面基板1における隣接するリブ4間の領域にペーストを塗布する。
カラーPDPを作製する場合、以上の操作を各色毎に繰り返す。
その後、得られる背面板10を焼成することにより、塗布したペーストを蛍光体層5とする。そして、この背面板10と、別途作製した前面板(図示せず)とを適当に位置合せし、放電空間を規定するように対向配置し、接着剤を用いて加熱により互いに封着し、および放電用ガスをこれらの間の放電空間に封入して、本実施形態のPDP(図示せず)が製造される。
以上のようにして得られる本実施形態のPDPによれば、蛍光体粒子がフッ素を含有するコーティングで被覆されているので、被覆されていない蛍光体粒子を用いたPDPに比べて、酸素、プラズマなどから効果的に保護でき、よって、高輝度で輝度劣化の小さいPDPが得られる。
また、本実施形態によれば、フッ素含有コーティングで蛍光体粒子が被覆され、このフッ素含有コーティングは被覆されていない蛍光体粒子に比べて高い耐水性を有する。よって、蛍光体粒子を湿気から効果的に保護できるので、より高い輝度を有するPDPが得られる。
フッ素含有コーティングによる耐水性向上の効果を確認するため、蛍光体の変質(酸化劣化)をもたらすOH基に着目し、PDP製造プロセスにおける一般的な封着工程を経た後の蛍光体粒子のOH基の昇温脱離特性をTDS(Thermal Desorption Spectroscopy)法によって測定した。結果を図4に示す。図4(a)は被覆されていない蛍光体粒子のOH基の昇温脱離特性であり、図4(b)は、本実施形態に従ってフッ化マグネシウムから成なるコーティングで被覆した蛍光体粒子のOH基の昇温脱離特性である。図4からわかるように、コーティング無しではOH基が大量に放出されたのに対し(図4(a))、本実施形態にてコーティングで被覆した蛍光体粒子からはOH基は殆ど放出されなかった(図4(b))。このことは、前者では蛍光体粒子中に多くの湿分が吸収されていたのに対し、後者では湿分の吸収が極めて少なく、コーティングにより蛍光体粒子が湿気から保護されていることを示してしる。
また、本実施形態によれば、物理蒸着の際に失われたフッ素が補填されたコーティングで蛍光体粒子が被覆され、このコーティングは透明で紫外線透過率が非常に高い。よって、PDP駆動時により多くの紫外線を蛍光体粒子に供給できるので、より高い輝度を有するPDPが得られる。
1個の蛍光体粒子7に着目し、コーティング8の表面を基準として蛍光体粒子7の内部方向にz軸をとると(図3を参照のこと、zはコーティング表面からの深さを意味する)、コーティング8中のフッ素含有率は、例えば図5のようになる。尚、図5では例示的にコーティング8が約10nmの膜厚を有する場合について示している。このようなコーティングおよび蛍光体粒子におけるフッ素含有率の深さ方向プロファイルは、XPS(X線光電子分光:X-ray Photoelectron Spectrometer)分析法によって、加速電圧を約1〜3kVとして調べることができる。3kV以上ではフッ素の検出感度が低く、また、1kV以下では十分なスパッタ速度が得られない。上記深さ方向プロファイルは、その他にもSIMS分析(2次イオン質量分析:Secondary Ion Mass Spectrometry)、AES(オージェ電子分光:Auger Electron Spectroscopy)分析、またはTEM(透過電子顕微鏡:Transmission Electron Microscope)分析によっても調べることができる。
本実施形態においては、コーティング8はフッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウムおよびフッ化リチウムからなる群から選択されるフッ化物から成る。この場合、コーティング8の表面におけるフッ素含有率(図5中、z=0のときのフッ素含有率)は、例えば約50〜80原子%である。フッ素含有率が50原子%未満であると十分な透明性および紫外線透過性が得られず、また、80原子%を超えるとPDP駆動時に放電空間中により多くのフッ素が放出され、PDPの放電開始電圧が上昇し得る。化学量論組成におけるフッ素含有率、即ち約67原子%に近いことが最も好ましい。一般にフッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウムおよびフッ化リチウムは透明で、真空紫外線の透過性が高く、本実施形態におけるコーティングにおいても十分な透明度および紫外線透過率が得られることを確認している。
また、本実施形態によれば、コーティング中のフッ素含有率はコーティング表面で高く、蛍光体粒子の内部に向かうにつれて減少する(図5を参照のこと)。よって、蛍光体の変質をもたらす蛍光体粒子中へのフッ素原子の拡散が少なく、より高輝度で輝度劣化および蛍光波長のシフトの小さいPDPが得られる。
より詳細には、フッ素含有率は、コーティング8から蛍光体粒子7の内部に向かう方向に沿って、コーティング8と蛍光体粒子7との界面近傍において急峻に低下する(図5中、記号Aにて示す部分)。この部分では、蛍光体粒子7の構成元素(青色蛍光物資の場合、マグネシウム、バリウム、アルミニウムおよび酸素の各原子)がコーティング8中に拡散し、蛍光体粒子7およびコーティング8の構成元素(マグネシウム、バリウム、アルミニウム、酸素およびフッ素)の混合物となっている。
図5に示すフッ素含有率のグラフを、z=8nm、およびフッ素含有率=100原子%の各軸上の点が原点から等しい距離に位置するようにスケーリングして描画した場合、コーティング8の表面(z=0)におけるフッ素含有率の勾配を表すθ(図5を参照のこと)が、約20°〜50°となるように膜組成および処理条件を設計することが好ましい。20°未満であることはコーティング8の表面近傍に対するフッ素補填が不十分であり、望ましい紫外線透過率が得られない。また、50°より大きいと、コーティング8の表面部におけるフッ素含有率が化学量論組成における値を超え、PDP駆動時により多くのフッ素が放電空間に放出および存在し得、放電の安定性を損ない得る。ここで、θはフッ素含有率曲線のz=0を通る直線とz軸とのなす角度であり、この直線はz=0における曲線の接線である。
以上、本発明の第1の実施形態について説明したが、本発明の範囲において種々の改変が可能である。
本実施形態においてはプレコーティングを形成するために真空蒸着法を用いたが、他の物理蒸着法、例えばスパッタ法を用いてもよい。スパッタ法により形成されるプレコーティング中のフッ素含有率は、スパッタ源に用いたフッ化物におけるフッ素含有率よりも低く、ほぼ化学量論組成から成るフッ化マグネシウムをスパッタ源に用いた場合、約30〜55原子%である。スパッタリングでは蒸着よりもフッ素が損なわれ易いため、フッ素の補填による特性向上が顕著である。
また、本実施形態においてはプレコーティングにフッ素を供給するためにフッ素を含む気相中での加熱を用いたが、これに代えて、プレコーティングを形成した蛍光体粒子7にフッ素ラジカルを含むプラズマを照射してもよい。例えば、C(x、yは自然数)およびSFなどのフッ素含有ガスを用いて発生させたプラズマを用いるとよい。
フッ素ラジカルを含むプラズマの照射は、一般的な真空プラズマ処理装置を用いて約10〜1000Paの圧力下で実施できる。圧力が10Pa未満だと、イオン衝撃によってコーティングが損傷を受けることがある。他方、圧力が1000Paより大きいと一般的な真空プラズマ処理装置ではプラズマが発生し難い。この場合、フッ素含有ガスの流量は約50〜1000sccmが好ましい(尚、本明細書を通じて単位「sccm」は0℃、1atmの標準状態における1分間あたりの流量(cc)を意味する)。50sccm未満だと、処理速度が非常に低く、生産性が悪い。他方、1000sccmより大きいと、ガス使用量の増加が処理速度の向上に寄与する割合が低く、経済的でない。高周波電力は約0.2〜10W/cmが好ましい。高周波電力が0.2W/cm未満だと、処理速度が極めて低い。高周波電力が10W/cmより大きいと、処理後に室温付近まで温度低下すると、コーティングが蛍光体粒子から剥がれたり、コーティングに亀裂が生じる場合がある。具体的には、例えばフッ素含有ガスとしてSFを用いる場合、SFガス流量を約200sccm、圧力を約50Pa、高周波電力を約1.0W/cm、高周波電力の周波数を約13.56MHzとする条件で平行平板型プラズマ処理装置内で約1分間処理することにより、フッ素の供給を行うことができる。
あるいは、フッ素ラジカルを含むプラズマの照射は、一般的な大気圧プラズマ処理装置を用いて約50000〜150000Paの圧力下で実施することもできる。この場合、真空プラズマ処理装置を用いる場合に比べて低コストで所望のコーティングを形成することができる。大気圧プラズマ処理装置を用いる場合には、フッ素含有ガスの流量は約200〜10000sccmが好ましい。200sccm未満だと、処理速度が非常に低く、生産性が悪い。他方、10000sccmより大きいと、ガス使用量の増加が処理速度の向上に寄与する割合が低く、経済的でない。その他の条件については、上記の真空プラズマ処理装置を用いる場合と同様である。
また、本実施形態においてはフッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウムおよびフッ化リチウムからなる群から選択されるフッ化物から成るコーティングを形成したが、コーティングの耐水性を更に向上させるために、このようなフッ化物層の上に、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウムおよび酸化リチウムからなる群から選択される酸化物の層を形成してもよい。
(実施形態2)
本実施形態は、フッ素含有蛍光体材料から成るコーティングが各蛍光体粒子の全表面を被覆するタイプのPDPおよびその製造方法に関する。
本実施形態のPDPは、コーティングの材料を除いて、図1〜3を参照して上述した実施形態1のPDPと同様の構造を有し得る。本実施形態において、コーティングはフッ素含有蛍光体材料から成り、例えば青色の蛍光体粒子については、コーティングはフッ素、ユーロピウム、バリウム、アルミニウム、マグネシウムおよび酸素の原子を含む。赤色の蛍光体粒子については、コーティングはフッ素、ユーロピウム、イットリウムおよび酸素の原子を含む。緑色の蛍光体粒子については、コーティングはフッ素、マンガン、バリウム、アルミニウムおよび酸素の原子を含む。
コーティングの膜厚は好ましくは約1〜5nmである。1nmより薄いコーティングを再現性よく形成するのは困難であり、また、そのような膜厚では十分な保護性能が得られない。他方、5nmより厚いコーティングは紫外線透過率が低くなる。尚、本実施形態における膜厚の定義については後述する。
このような本実施形態のPDPは、実施形態1にて説明した製造方法において、プレコーティングの形成を省略し、蛍光体粒子中にフッ素を直接的に供給することによって製造できる。すなわち、未処理の蛍光体粒子の表面部(または外周部または外殻部)の全体中にフッ素を供給し、この表面部をコーティングに変質させる。これにより、個々の蛍光体粒子の表面全体を被覆するコーティングが形成される。フッ素供給のための処理条件は実施形態1と同様としてよい。
以上のようにして得られる本実施形態のPDPについて、コーティング中のフッ素含有率は、例えば図6のようになる。本実施形態の場合、コーティングの表面におけるフッ素含有率(図6中、z=0のときのフッ素含有率)は、例えば約10〜30原子%であることが好ましい。フッ素含有率が10原子%未満であるとコーティング無しの蛍光体粒子と比較して湿気に対する保護が十分でなく、また、30原子%を超えると発光強度の低下が著しい。
本実施形態においては、未処理の蛍光体粒子の表面からフッ素が供給された部分までがコーティングに変質するので、蛍光体粒子とコーティングとの境界は定め難いが、図6に示すように、コーティングの表面(z=0)におけるフッ素含有率をB(原子%)としたとき、フッ素含有率がその半分、即ち0.5×B(原子%)となるzの値をコーティングの膜厚と定義する(図6中、記号Cにて示す部分をコーティングと考える)。
本実施形態によっても、蛍光体粒子がフッ素を含有するコーティングで被覆されているので、被覆されていない蛍光体粒子を用いたPDPに比べて、酸素、プラズマなどから効果的に保護でき、よって、高輝度で輝度劣化の小さいPDPが得られる。加えて、このコーティングはPDP特性において許容可能な程度に高い紫外線透過率および耐水性を有し、また、蛍光体の変質をもたらす蛍光体粒子中へのフッ素原子の拡散が少なく、よって、より高輝度で輝度劣化がより小さく、および蛍光波長のシフトの小さいPDPが得られる。
以上、本発明の第2の実施形態について説明したが、本実施形態においても、実施形態1と同様に種々の改変がなされ得ることに留意されたい。
(実施形態3)
本実施形態は、フッ素添加シリコン酸化物層およびシリコン酸化物層から成るコーティングが各蛍光体粒子の全表面を被覆するタイプのPDPおよびその製造方法に関する。
本実施形態のPDPは、コーティングの材料および構造を除いて、図1を参照して上述した実施形態1のPDPと同様の構造を有し得る。図7および図8に示すように、本実施形態におけるコーティング8’は、フッ素添加シリコン酸化物(SiOF)層11およびその上のシリコン酸化物(SiO)層12から成る。
コーティング8’を構成するフッ素添加シリコン酸化物層11の膜厚は、好ましくは約1〜20nm、より好ましくは約1〜15nmである。また、シリコン酸化物層12の膜厚は、好ましくは約1〜10nm、より好ましくは1〜5nmである。いずれの層についても、1nmより薄いコーティングを再現性よく形成するのは困難であり、また、そのような膜厚では十分な保護性能が得られない。他方、膜厚が厚くなり、フッ素添加シリコン酸化物層では20nm、シリコン酸化物層では10nmを超えると、紫外線透過率が低くなるため好ましくない。特に、シリコン酸化物層はフッ素添加シリコン酸化物層に比べて紫外線透過率が低いため、より薄くすることが好ましい。
このような本実施形態のPDPは、フッ素添加シリコン酸化物(SiOF)およびシリコン酸化物(SiO)をいずれもCVD法により、各蛍光体粒子7の表面全体を被覆するように順次堆積させることによってフッ素添加シリコン酸化物層11およびシリコン酸化物層12で構成されるコーティング8’を形成する点を除き、実施形態1と同様にして製造できる。
プラズマCVD法によるフッ素添加シリコン酸化物層11の形成は、原料ガスとしてテトラエトキシシラン(tetra-ethoxy-silane)および酸素に加えて、炭化フッ素、水素化炭化フッ素およびフッ化硫黄の少なくとも1種を含むフッ素含有ガスを更に含む混合ガスを用いて実施できる。テトラエトキシシラン(これはテトラエチルオルトシリケート(tetra-ethyl-ortho-silicate)とも呼ばれ、以下、単に「TEOS」とも言う)は安全性が高く、取扱いが容易であるという利点がある。
プラズマCVD法によるフッ素添加シリコン酸化物の堆積は、一般的な真空プラズマ処理装置を用いて約50〜1000Paの圧力下で実施できる。圧力が50Pa未満だと、イオン衝撃によって堆積層が損傷を受けることがある。他方、圧力が1000Paより大きいと一般的な真空プラズマ処理装置ではプラズマが発生し難い。この場合、TEOSガス流量は約50〜300sccmが好ましい。50sccm未満だと、処理速度が非常に低く、生産性が悪い。他方、300sccmより大きいと、膜の緻密性が低下する。酸素ガス流量は、TEOSガス流量の約1.5〜5倍が好ましい。1.5倍未満だと、シリコンリッチの膜となり、化学的安定性が低下する。他方、5倍より大きいと、処理速度が低下する。炭化フッ素、水素化炭化フッ素およびフッ化硫黄のいずれかを含むガスの流量は、TEOSガス流量の約0.1〜2倍が好ましい。0.1倍未満だと、膜中のフッ素含有量が10原子%未満となり易く、十分な紫外線透過性が得られない。他方、2倍より大きいと、膜中のフッ素含量が50原子%を超えやすく、膜強度が不十分となる上、膜形成中にエッチング反応が進行するため、処理速度が低下する。高周波電力は約0.2〜10W/cmが好ましい。高周波電力が0.2W/cm未満だと、処理速度が極めて低い。高周波電力が10W/cmより大きいと、処理後に室温付近まで温度低下すると、堆積膜が蛍光体粒子から剥がれたり、堆積膜に亀裂が生じる場合がある。具体的には、TEOSガス:酸素ガス:Cガスの流量比を100:200:50sccm、圧力を約150Pa、高周波電力を約1.0W/cm、高周波電力の周波数を約13.56MHzとする条件で平行平板型プラズマ処理装置内で約5秒間処理することにより、フッ素添加シリコン酸化物層を形成することができる。
また、プラズマCVD法によるシリコン酸化物層12の形成は、原料ガスとしてテトラエトキシシランおよび酸素を含むガスを用いて実施できる。プラズマCVD法によりシリコン酸化物を堆積させる場合、一般的な真空プラズマ処理装置を用い、炭化フッ素、水素化炭化フッ素およびフッ化硫黄のいずれかを含むガスを省略する(即ち、流量をゼロとする)こと以外は、上記のフッ素添加シリコン酸化物を堆積させる場合の処理条件と同様にして実施できる。
あるいは、プラズマCVD法によるフッ素添加シリコン酸化物層11および/またはシリコン酸化物層12の形成は、一般的な大気圧プラズマ処理装置を用いて約50000〜150000Paの圧力下で実施することもできる。この場合、真空プラズマ処理装置を用いる場合に比べて低コストで所望の堆積層(フッ素添加シリコン酸化物層および/またはシリコン酸化物層)を形成することができる。大気圧プラズマ処理装置を用いる場合には、TEOSガスの流量は約100〜1000sccmが好ましい。100sccm未満だと、処理速度が非常に低く、生産性が悪い。他方、1000sccmより大きいと、膜の緻密性が低下する。その他の条件については、上記の真空プラズマ処理装置を用いる場合と同様である。
これにより、個々の蛍光体粒子7の全表面を被覆するコーティング8’が形成される。コーティングの形成を蛍光体粒子7の表面に対して均一に実施し得るように、フッ素添加シリコン酸化物層およびシリコン酸化物層の各形成工程は、例えば蛍光体粒子7を撹拌しながら実施することが好ましい。
以上のようにして得られる本実施形態のPDPにおいて、コーティング8’はフッ素添加シリコン酸化物層11中にフッ素を含有し、シリコン酸化物層12中にフッ素を含有しない(但し、フッ素添加シリコン酸化物層11からシリコン酸化物層12へフッ素原子が拡散し得ることに留意されたい)。フッ素添加シリコン酸化物層11中のフッ素含有率は、層断面内においてほぼ均一であり、本実施形態の場合、例えば約10〜50原子%であることが好ましい。フッ素含有率が10原子%未満であると十分な紫外線透過性が得られず、また、50原子%を超えると膜強度が不十分となる。
フッ素添加シリコン酸化物層はシリコン酸化物層に比べ、紫外線透過率に優れるが、耐水性に劣る。シリコン酸化物層を単層とすると、湿気のみならず、プラズマなどに対する保護性能を確保するにはある程度の厚さを要し、十分な紫外線透過性が得られない。しかし、これらを積層させることによって、紫外線透過率の高いフッ素添加シリコン酸化物層11により蛍光体粒子7を酸素、プラズマなどから保護し、極めて耐水性の高いシリコン酸化物層12により蛍光体粒子7を湿気から十分に保護することができる。
以上のように、本実施形態によっても、蛍光体粒子がフッ素を含有するコーティングで被覆されているので、被覆されていない蛍光体粒子を用いたPDPに比べて、酸素、プラズマなどから効果的に保護でき、よって、高輝度で輝度劣化の小さいPDPが得られる。加えて、このコーティングはPDP特性において許容可能な程度に高い紫外線透過率および極めて高い耐水性を有し、よって、より高輝度で輝度劣化のより小さいPDPが得られる。
尚、本実施形態においてはコーティングをフッ素添加シリコン酸化物層およびシリコン酸化物層の二層から構成するものとしたが、シリコン酸化物層を省略し、蛍光体粒子の表面にフッ素添加シリコン酸化物のみをプラズマCVD法により堆積してもよい。フッ素添加シリコン酸化物層は、ほぼ化学量論組成のフッ化マグネシウム層と比較すると紫外線透過率は小さいが、耐水性に優れているという利点がある。
(実施形態4)
本実施形態は、フッ化マグネシウムなどのフッ化物から成るコーティングが、蛍光体粒子の表面の一部(より詳細には蛍光体粒子の表面の一部分であって、蛍光体層の表面を形成する部分)を被覆するタイプのPDPおよびその製造方法に関する。
本実施形態におけるPDP(図示せず)は、蛍光体層の材料を除いて、図1を参照して上述した実施形態1のPDPと同様の構造を有し得る。本実施形態において、図1に示す実施形態1における蛍光体層5の表面6およびその近傍は図9に示すようになっている。即ち、蛍光体層5の表面6(より詳細には蛍光体粒子7の表面の一部分であって、蛍光体層5の表面6を形成している部分)が、コーティング9で被覆されている。コーティング9は、実施形態1におけるコーティング8と実質的に同じ材料および膜厚であってよい。
次に、このような本実施形態のPDPを製造する方法について説明する。
まず、被覆されていない蛍光体粒子7を適当なバインダなどと混合してペースト状にし、背面基板1の上に位置する隣接するリブ4間の領域に塗布する。
カラーPDPを作製する場合、以上の操作を各色毎に繰り返す。
その後、得られる背面板10を焼成することにより、塗布したペーストを蛍光体層5とする。
次に、蛍光体層5に対し、実施形態1にて上述したのと同様にして、真空蒸着法によりプレコーティングを形成する。そして、フッ素雰囲気下での加熱により蛍光体粒子7に向かってフッ素を供給し、この結果、プレコーティング中にフッ素が供給される。
上記プレコーティングの形成およびフッ素の供給は、蛍光体層5の表面に対して均一に実施し得るように、これらの工程は、例えば背面板10を回転および/または移動させながら実施することが好ましい。特に、蛍光体層5の表面は個々の蛍光体粒子7が集合することにより凹凸状となっているので、一般に段差被覆性の悪い物理蒸着法を用いるプレコーティングの形成工程はこのように実施することが望ましい。
以上のようにして、蛍光体層5の表面(または蛍光体粒子7の表面の一部)を被覆するコーティング9が形成される。得られるコーティング9の特性は実施形態1におけるコーティング8と同様である。
その後、得られる背面板10と、別途作製した前面板(図示せず)とを対向配置し、接着剤を用いて加熱により互いに封着し、および放電のためのガスをこれらの間に封入して、本実施形態のPDP(図示せず)が製造される。
以上のようにして得られる本実施形態のPDPによれば、蛍光体層の表面(より詳細には蛍光体粒子の表面の一部分であって、蛍光体層の表面を形成している部分)がフッ素を含有するコーティングで被覆されているので、被覆されていない蛍光体粒子(または蛍光体層)を用いたPDPに比べて、酸素、プラズマなどから効果的に保護でき、よって、高輝度で輝度劣化の小さいPDPが得られる。加えて、このコーティングは十分に高い紫外線透過率および耐水性を有し、また、蛍光体の変質をもたらす蛍光体粒子中へのフッ素原子の拡散が少なく、よって、より高輝度で輝度劣化がより小さく、および蛍光波長のシフトの小さいPDPが得られる。
以上、本発明の第4の実施形態について説明したが、本発明の範囲において種々の改変が可能である。
本実施形態においても実施形態1と同様の改変が可能である。具体的には、真空蒸着法に代えて、他の物理蒸着法、例えばスパッタ法によりプレコーティングを形成してもよい。また、フッ素を含む気相中での加熱に代えて、プレコーティングを形成した蛍光体層5(より詳細には蛍光体粒子7)にフッ素ラジカルを含むプラズマを照射して、プレコーティングにフッ素を供給してもよい。また、コーティングの耐水性を更に向上させるために、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウムおよびフッ化リチウムからなる群から選択されるフッ化物から成るフッ化物層の上に、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウムおよび酸化リチウムからなる群から選択される酸化物の層を形成してコーティングを形成してもよい。
また、本実施形態においてはコーティング9を、実施形態1にてコーティング8について上述した方法と同様にして形成したが、これに代えて、実施形態2にて上述した方法と同様にして形成してもよい。この場合、蛍光体粒子の表面部の一部(より詳細には蛍光体粒子の表面部の一部分であって、蛍光体層の表面を形成する部分)にフッ素が供給される。この場合においても実施形態2と同様の効果を奏し得る。
また、このコーティング9は、実施形態3にてコーティング8’について上述した方法と同様にして、フッ素添加シリコン酸化物層およびその上のシリコン酸化物層を含んで成る二層構造のコーティング9’としてもよい(図10を参照のこと)。この場合、これらの層は、蛍光体粒子の表面の一部(より詳細には蛍光体粒子の表面の一部分であって、蛍光体層の表面を形成する部分)に堆積される。この場合においても実施形態3と同様の効果を奏し得る。これらの層は実施形態3にて説明したようにプラズマCVD法により形成されるが、プラズマCVD法は段差被覆性に優れ、凹凸状の蛍光体層5の表面を被覆するのに適する。尚、シリコン酸化物層を省略し、蛍光体粒子の表面にフッ素添加シリコン酸化物のみを形成してもよい。
(実施形態5)
本実施形態は、蛍光体を被覆するのに適する薄膜およびその製造方法に関する。
本実施形態の薄膜は、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウムおよびフッ化リチウムからなる群から選択されるフッ化物から成り、この薄膜中のフッ素含有率は、一方の膜表面から他方の膜表面に向かうにつれて減少する。このような薄膜は、実施形態1にてコーティング8について上述したのと同様の方法により、適当な基材の上に形成できる。
このような本実施形態の薄膜は、酸素、プラズマなどから効果的に遮断できる上、透明で高い紫外線透過性を有し、および高い耐水性を有する。このような薄膜を任意の形状の蛍光体を基材として用いてその上に形成した場合、フッ素含有率がより低い方の膜表面が蛍光体と接触するので、実施形態1における説明から理解されるように、高い輝度を得ることができ、ならびに輝度劣化および蛍光波長のシフトを低減することができる。本実施形態の薄膜は、PDPのみならず、例えば蛍光灯、キセノンランプ、FED(Field Emission Display)などにおいて蛍光体を被覆するために好適に用いられる。
加えて、本実施形態の薄膜は、蛍光体を被覆する以外にも、高い透明性および紫外線透過性ならびに耐水性を有する保護膜が求められる様々な用途に利用可能である。例えば、本実施形態の薄膜は光学レンズを基材として用いてその上に形成することにより反射防止膜として利用できる。
実施形態1に用いたコーティングと本実施形態の薄膜との関係と同様に、上述の実施形態2および3にて上述したコーティングについても、蛍光体を被覆するのに適する薄膜として利用することができよう。
本発明の第1の実施形態におけるPDPに用いられる背面基板近傍の構造を示す概略部分断面図である。 図1の実施形態における蛍光体層の模式的な部分拡大断面図である。 図2のコーティング付き蛍光体粒子の模式的な部分拡大断面図である。 OH基の昇温脱離特性を示すグラフであり、図4(a)はコーティング無しの蛍光体粒子について、図4(b)は図2のコーティング付きの蛍光体粒子についてのグラフである。 図3のコーティング付き蛍光体粒子のフッ素含有率を示すグラフである。 本発明の第2の実施形態におけるコーティング付き蛍光体粒子のフッ素含有率を示すグラフである。 本発明の第3の実施形態における蛍光体層の模式的な部分拡大断面図である。 図7のコーティング付き蛍光体粒子の模式的な部分拡大断面図である。 本発明の第4の実施形態における蛍光体層の模式的な部分拡大断面図である。 図9の実施形態の改変例における蛍光体層の模式的な部分拡大断面図である。 従来のPDPの構造を示す概略斜視図である。
符号の説明
1 背面基板
2 アドレス電極
3 誘電体層
4 リブ
5 蛍光体層
6 蛍光体層の表面
7 蛍光体粒子
8、8’、9、9’ フッ素含有コーティング
10 背面板
11 フッ素添加シリコン酸化物層
12 シリコン酸化物層

Claims (5)

  1. 蛍光体粒子を含む蛍光体層を基板上に備えるプラズマディスプレイパネルであって、蛍光体粒子の表面の少なくとも一部がフッ素を含有するコーティングで被覆され、該コーティング中のフッ素含有率は、コーティングの表面から蛍光体粒子内部に向かうにつれて減少し、フッ素含有率曲線を、コーティングの表面から蛍光体粒子内部に向かう深さを横軸とし、前記フッ素含有率を縦軸として、深さ8nmおよびフッ素含有率100原子%の各軸上の点が原点から等しい距離に位置するようにスケーリングして描画した場合に、フッ素含有率曲線のコーティングの表面位置における接線と前記横軸とのなす角度が20°〜50°である、プラズマディスプレイパネル。
  2. コーティングの膜厚は1〜100nmである、請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 前記コーティングはフッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウムおよびフッ化リチウムからなる群から選択されるフッ化物から成り、前記コーティングの表面におけるフッ素含有率が50〜80原子%である、請求項1または2に記載のプラズマディスプレイパネル。
  4. 前記コーティングは各蛍光体粒子の全表面を被覆している、請求項1〜のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル。
  5. 前記コーティングは蛍光体粒子の表面の一部分であって、該蛍光体層の表面を形成する部分を被覆している、請求項1〜のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル。
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