JP7277768B2 - 窒化物蛍光体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
そこで、本発明の一実施態様は、発光スペクトルの半値幅が狭い窒化物蛍光体及びその製造方法を提供することを目的とする。
下記式で表される組成を有し、発光スペクトルにおける発光ピーク波長が575nm以上600nm以下の範囲内にあり、半値幅が64nm以上82nm以下である、窒化物蛍光体。
(BavSrwEux)2Si5N8-y
(式中、v、w、x、yは、0.800≦v≦0.995、0≦w≦0.120、0.005≦x≦0.02、0.9<v+w+x≦1.0、0≦y≦0.5を満たす数である。)
本発明の一実施形態に係る窒化物蛍光体を得るための製造方法は、少なくとも以下の(1)および(2)の工程を含む。(1)Ba及びSrを含む第一の化合物と、Euを含む化合物と、Siを含む化合物とを、窒素を含む雰囲気中で熱処理して原料焼成物を得る工程、(2)上記原料焼成物と、Baを含む化合物と、Siを含む化合物と、Euを含む化合物と、必要に応じてSrを含む第二の化合物を、窒素を含む雰囲気中で熱処理して窒化物蛍光体を得る工程。さらに、上記原料焼成物を得る工程において、上記原料焼成物に含有させるBa及びSrの合計の仕込みモル量に対するBaの仕込みモル量の比が、上記窒化物蛍光体を得る工程における上記窒化物蛍光体に含有させるBa及びSrの合計の仕込みモル量に対するBaの仕込みモル量の比よりも小さい。
原料焼成物を得る工程では、Ba及びSrを含む第一の化合物と、Euを含む化合物と、Siを含む化合物とを、窒素を含む雰囲気中で熱処理して原料焼成物を得る。
Baの仕込みモル量の比(B1)が、Baの仕込みモル量の比(B2)より小さいことにより、原料焼成物は、反応性高く、結晶成長が進んだ状態で得られており、粒径が大きく、粒子形状が良好である。
Baは、原料混合物中の他の元素よりも高温で飛散しやすい傾向がある。また、Baの反応性は、他の元素よりも反応性が低い傾向がある。このようなBaの特性のため、従来の製造方法で得られたBaを比較的多く含む窒化物蛍光体は、粒子サイズが不揃となる傾向がある。このような窒化物蛍光体は、分級等により粒子サイズをある程度揃えたとしても、粒子中には、微細粒子が凝集した二次粒子が含まれていたり、粒径が大きい粒子に微粒子が付着したりする粒子が含まれる場合がある。
本明細書において、窒化物蛍光体の粒子形状が良好であるとは、微細粒子が凝集した二次粒子の含有量が少なく、一次粒子の含有量が多いことをいう。また、本明細書において、窒化物蛍光体の粒子形状が良好であるとは、粒子の表面に微細粒子等が付着しておらず、粒子の表面が滑らかなことをいう。
また、窒化物蛍光体のBa及びSrの合計モル量、及び窒化物蛍光体のBaのモル量は、得られた窒化物蛍光体の組成比に示されるモル量ではなく、目的となる組成の窒化物蛍光体を得るために原料となる原料焼成物及びその他の化合物の仕込み組成におけるモル量をいう。
Baの仕込みモル量の比(B1)は、Baの仕込みモル量の比(B2)よりも小さく、Baの仕込みモル量の比(B1)が、原料焼成物に含有させるBa及びSrの合計の仕込みモル量に対して0.5以上0.7未満であると、原料焼成物の反応性が高くなり、結晶成長が進み、最終的に得られる窒化物蛍光体の粒径が大きくなり、粒子形状も良好となる傾向がみられる。
Baの仕込みモル量の比(B1)は、原料焼成物に含有させるBa及びSrの合計の仕込みモル量に対して、好ましくは0.50以上0.70未満であり、より好ましくは0.53以上0.67以下であり、さらに好ましくは0.55以上0.65以下である。
Baの仕込みモル量の比(B2)は、結晶構造の安定性の観点から、窒化物蛍光体に含有させるBa及びSrの合計のモル量に対して、好ましくは0.90以上、より好ましくは0.92以上、さらに好ましく0.94以上である。
本実施形態の製造方法において、Euを含む化合物は、十分な発光強度を有する窒化物蛍光体を得ることができ、励起光を吸収して所望の色度を発光するものであれば、得られる窒化物蛍光体がEuのみを含むものであっても、EuとEu以外の二種以上の賦活元素を含むものであってもよい。Eu以外の他の賦活元素として、例えば、Ce、Tb及びMnからなる群から選択される少なくとも一種の元素が挙げられる。
(BaqSrsEut)2Si5N8 (I)
ただし、式(I)中、q、s、tは、0.500≦q≦0.700、0.200≦s≦0.400、0.01≦t≦0.03、0.9<q+s+t≦1.0を満たす数である。
上記式(I)において、変数qは、より好ましくは0.530≦q≦0.670、さらに好ましくは0.550≦q≦0.650を満たす数である。また、上記式(I)において、変数sは、より好ましくは0.210≦s≦0.390であり、さらに好ましくは0.220≦s≦0.380であり、よりさらに好ましくは0.230≦s≦0.370である。
上記式(I)において、変数tは、より好ましくは0.012≦t≦0.028、さらに好ましくは0.014≦t≦0.026、さらにより好ましくは0.016≦t≦0.024を満たす数である。
第一の化合物は、Ba及びSrを含む窒化物、フッ化物、水素化物、酸化物、炭酸塩、塩化物等が挙げられる。原料焼成物中の不純物が少なく、十分な発光強度を有する窒化物蛍光体が得られることから、Ba及びSrを含む窒化物、フッ化物又は水素化物であることが好ましく、窒化物であることがより好ましい。第一の化合物として、窒化物を用いることにより、所望の組成以外の組成の原料焼成物の形成を抑制することが可能である。第一の化合物は、微量のLi、Na、K、B及びAlからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含んでいてもよい。第一の化合物は、具体的には、Ba3N2、BaF2、BaH2、Sr2N、SrN、Sr3N2、SrF2、SrH2等が挙げられる。
第一の化合物は、十分な発光強度を有する窒化物蛍光体を得ることができ、励起光を吸収して所望の色度を発光するものであれば、得られる窒化物蛍光体がBa及びSrのみを含むものであっても、Ba及びSr以外の二種以上の元素を含むものであってもよい。Ba及びSr以外の他の元素として、例えば、Ca及びMgからなる群から選択される少なくとも一種の元素が挙げられる。
Euを含む化合物は、Euを含む窒化物、フッ化物、水素化物、酸化物、炭酸塩、塩化物等が挙げられる。原料焼成物中の不純物が少なく、十分な発光強度を有する窒化物蛍光体が得られることから、Euを含む窒化物、フッ化物又は水素化物であることが好ましく、窒化物であることがより好ましい。Euを含む化合物として、窒化物を用いることにより、所望の組成以外の組成の原料焼成物の形成を抑制することができる。Euを含む化合物は、具体的には、EuN、EuF3、EuH3等が挙げられる。
Siを含む化合物は、実質的にSiのみを含む金属であってもよく、Siの一部がGe、Sn、Ti、Zr、Hf、B、Al、Ga及びInからなる群から選択される少なくとも一種の金属で置換された合金であってもよい。また、Siを含む化合物は、窒化物、酸化物、イミド化合物、アミド化合物等が挙げられる。原料焼成物中の不純物が少なく、十分な発光強度を有する窒化物蛍光体が得られることから、窒化物、イミド化合物又はアミド化合物であることが好ましく、窒化物であることがより好ましい。原料として窒化物を用いることにより、所望の組成以外の組成の原料焼成物の形成を抑制することができる。Siを含む化合物は、具体的には、Si3N4、SiO2、Si(NH)2、Si2N2NH、Si(NH2)4等が挙げられる。
原料を混合し、原料混合物を得る。原料混合物は、フラックスを含んでいてもよい。原料混合物がフラックスを含むことで、原料間の反応がより促進され、更には固相反応がより均一に進行するために粒径が大きく、発光特性により優れた蛍光体を得るために用いる原料焼成物を製造することができる。これは例えば、原料焼成物を得るための熱処理の温度が1300℃以上2100℃以下で行われ、この温度がフラックスであるハロゲン化物等の液相の生成温度とほぼ同じであるためと考えられる。ハロゲン化物としては、希土類金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属の塩化物、フッ化物等を利用できる。フラックスとしては、フラックスに含まれる陽イオンの元素比率を得たい原料焼成物の組成になるように調節して窒化物蛍光体の原料の一部としてフラックスを加えることもできるし、得たい原料焼成物の組成となるように各原料を加えた後に、更に添加する形でフラックスを加えることもできる。
フラックスとしてフッ化物を用いた場合であっても、1300℃以上2100℃以下の熱処理によって、フッ素元素はほとんど焼成物中に残存せず、フッ素元素を含むフラックスを用いた場合であっても熱処理後に得られる焼成物中のフッ素元素は、通常0.1質量%以下、好ましくは0.08質量%以下である。
計量した原料は、混合機を用いて湿式又は乾式で混合し、原料混合物を得る。混合機は工業的に通常用いられているボールミルの他、振動ミル、ロールミル、ジェットミル等の粉砕機を用いて粉砕して比表面積を大きくすることもできる。また、粉末の比表面積を一定範囲とするために、工業的に通常用いられている沈降槽、ハイドロサイクロン、遠心分離器等の湿式分離機、サイクロン、エアセパレータ等の乾式分級機を用いて分級することもできる。
本発明の一実施形態の窒化物蛍光体の製造方法は、窒素を含む雰囲気中で熱処理して原料焼成物を得る。熱処理する雰囲気は、窒素を含む雰囲気中であればよい。窒素を含む雰囲気は、窒素ガスを好ましくは70体積%以上、より好ましくは80体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上含有する。窒素を含む雰囲気は、還元性を有する雰囲気であることが好ましい。還元性を有する雰囲気は、還元性のある水素ガスを含む雰囲気であることがより好ましい。窒素と還元性のある水素ガスを含む雰囲気は、水素ガスを好ましくは1体積%以上、より好ましくは5体積%以上、さらに好ましくは10体積%以上含有する。
本実施形態の製造方法において、熱処理をした後に、得られる原料焼成物に対して、粉砕、湿式分散、固液分離、乾燥、分級等の後処理を行ってもよい。固液分離は濾過、吸引濾過、加圧濾過、遠心分離、デカンテーション等の工業的に通常用いられる方法により行うことができる。乾燥は、真空乾燥機、熱風加熱乾燥機、コニカルドライヤー、ロータリーエバポレーターなどの工業的に通常用いられる装置により行うことができる。分級は、沈降分級、機械的分級、水力分級、遠心分級等の湿式分級、ふるい分け分級等の工業的に通常用いられる方法により行うことができる。
本発明の一実施形態の窒化物蛍光体の製造方法は、上述した原料焼成物と、Baを含む化合物と、Siを含む化合物と、Euを含む化合物と、必要に応じてSrを含む第二の化合物とを、窒素を含む雰囲気中で熱処理して窒化物蛍光体を得る工程を含む。
本実施形態の製造方法において、原料焼成物と共に熱処理するBaを含む化合物は、原料焼成物を得る工程において用いたBaを含む化合物と同様に、Baを含む窒化物、フッ化物、水素化物、酸化物、炭酸塩、塩化物等が挙げられる。不純物が少なく、十分な発光強度を有する窒化物蛍光体が得られることから、Baを含む窒化物、フッ化物又は水素化物であることが好ましく、窒化物であることがより好ましい。Baを含む化合物として、窒化物を用いることにより、所望の組成以外の原料焼成物の形成を抑制することが可能である。Baを含む化合物としては、具体的には、Ba3N2、BaF2、BaH2等が挙げられる。
Siを含む化合物は、原料焼成物を得る工程において用いるSiを含む化合物と同様のものを用いることが好ましい。
原料焼成物と少なくともBaを含む化合物との混合は、原料焼成物を得る工程において用いた装置等を用いることが好ましい。
本実施形態の窒化物蛍光体の製造方法において、熱処理をした後に、得られる窒化物蛍光体に対して、湿式分散、固液分離、乾燥、分級等の後処理を行ってもよい。固液分離は濾過、吸引濾過、加圧濾過、遠心分離、デカンテーション等の工業的に通常用いられる方法により行うことができる。乾燥は、真空乾燥機、熱風加熱乾燥機、コニカルドライヤー、ロータリーエバポレーターなどの工業的に通常用いられる装置により行うことができる。分級は、沈降分級、機械的分級、水力分級、遠心分級等の湿式分級、ふるい分け分級等の工業的に通常用いられる方法により行うことができる。
本実施形態の窒化物蛍光体は、上記窒化物蛍光体を得る工程後における下記式(II)で表される組成を有する。
(BavSrwEux)2Si5N8-y (II)
ただし、式(II)中、v、w、x、yは、0.800≦v≦0.995、0≦w≦0.120、0.005≦x≦0.02、0.9<v+w+x≦1.0、0≦y≦0.5を満たす数である。
上記式(II)において変数vの2倍は、窒化物蛍光体(II)におけるBaのモル組成比である。結晶構造の安定性の観点から、変数vは、より好ましくは0.820≦v≦0.995を満たす数であり、さらに好ましくは0.840≦v≦0.995を満たす数である。
また、上記式(II)において、変数wの2倍は、窒化物蛍光体(II)おけるSrのモル組成比である。原料焼成物の結晶構造の安定性と、Baを含む化合物との反応性の観点から、変数wは、好ましくは0≦w≦0.115、より好ましくは0≦w≦0.110を満たす数である。
上記式(II)において、変数xは、より好ましくは0.005≦x≦0.015、さらに好ましくは0.005≦x≦0.010を満たす数である。
本実施形態の窒化物蛍光体は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法で測定した体積基準の粒度分布における標準偏差(σlog)が、好ましくは0.40以下、より好ましくは0.38以下である。
希土類アルミン酸塩蛍光体は、発光素子と組み合わせることによって、発光素子から発せられた光を変換し、発光素子からの光と希土類アルミン酸塩蛍光体で波長変換された混色光を発する発光装置を構成することが可能となる。発光素子の発光ピーク波長は、350nm以上500nm以下の範囲内であってもよく、380nm以上485nm以下の範囲内であり、390nm以上480nm以下の範囲内であることが好ましい。発光素子として、例えば、窒化物系半導体(InXAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を用いた半導体発光素子を用いることができる。励起光源として半導体発光素子を用いることによって、高効率で入力に対する出力のリニアリティが高く、機械的衝撃にも強い安定した発光装置を得ることができる。
原料焼成物の製造
Ba、Sr、Eu、Si及びNを含む組成を有する原料焼成物を製造した。具体的には、上記式(I)で表される組成を有する焼成物、Baを含む化合物としてBa3N2、Srを含む化合物としてSrNu(uが2/3相当、Sr2NとSrNの混合物)、Euを含む化合物としてEuN、Siを含む化合物として、Si3N4を用いた。
得られた原料焼成物1を用いて、さらにBaを含む化合物としてBa3N2を用い、Siを含む化合物としてSi3N4を用い、Euを含む化合物としてEuNを用いた。
仕込み組成として、Ba:Sr:Eu:Siのモル比が1.80:0.16:0.04:5.00となるように各化合物、10wt%の原料焼成物1、実質的に窒素100体積%を含む窒素雰囲気のグローブボックス内で計量し、混合して混合物を得た。上記仕込み組成におけるアルカリ土類金属元素(SrとBa)の仕込み合計モル量に対するBaの仕込みモル量の比(B2)を表1に記載した。なお、以下の実施例及び比較例においても同様に、目的とする組成の窒化物蛍光体を得るためのBaの仕込みモル量の比(B2)を表1に記載した。
得られた混合物について一回目の熱処理を行う。すなわち、得られた混合物を坩堝に充填し、実質的に窒素100体積%を含む窒素雰囲気で、ガス圧力をゲージ圧で0.92MPa(絶対圧力が1.02MPa)とし、1770℃で5時間熱処理し、窒化物蛍光体を得た。得られた窒化物蛍光体は、粒子同士が焼結している場合があるので、湿式分散し、沈降分級し、脱水、乾燥、目開き25μm程度のふるい分け分級によって、窒化物蛍光体粉末を得た。
仕込み組成として、Ba:Sr:Eu:Siのモル比が1.80:0.16:0.04:5.00となるように各化合物、8wt%の得られた蛍光体粉末、実質的に窒素100体積%を含む窒素雰囲気のグローブボックス内で計量し、混合して混合物を得た。上記仕込み組成におけるアルカリ土類金属元素(SrとBa)の仕込み合計モル量に対するBaの仕込みモル量の比(B2)を表1に記載した。なお、以下の実施例及び比較例においても同様に、目的とする組成の窒化物蛍光体を得るためのBaの仕込みモル量の比(B2)を表1に記載した。
得られた混合物について二回目の熱処理を行う。すなわち、得られた混合物を坩堝に充填し、実質的に窒素100体積%を含む窒素雰囲気で、ガス圧力をゲージ圧で0.92MPa(絶対圧力が1.02MPa)とし、1770℃で5時間熱処理し、窒化物蛍光体を得た。得られた窒化物蛍光体は、粒子同士が焼結している場合があるので、湿式分散し、沈降分級し、脱水、乾燥、目開き35μm程度のふるい分け分級によって、窒化物蛍光体粉末1を得た。
原料焼成物1を用いて、仕込み組成として、Ba:Eu:Siのモル比が1.96:0.04:5.00となるように、各化合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、窒化物蛍光体粉末2を得た。
原料焼成物1を用いて、仕込み組成として、Ba:Eu:Siのモル比が1.98:0.02:5.00となるように、各化合物を用い、窒化物蛍光体粉末3を得た。
原料焼成物1を用いて、仕込み組成として、Ba:Eu:Siのモル比が1.99:0.01:5.00となるように、各化合物を用い、窒化物蛍光体粉末4を得た。
原料焼成物1を用いて、Ba:Sr:Eu:Siのモル比が1.25:0.71:0.04:5.00となるように、各化合物を用い、窒化物蛍光体粉末5を得た。
原料焼成物1を用いて、Ba:Sr:Eu:Siのモル比が1.60:0.36:0.04:5.00となるように、各化合物を用い、窒化物蛍光体粉末6を得た。
以下の方法により、窒化物蛍光体について各評価を行なった。
原料焼成物、各実施例及び比較例の窒化物蛍光体について、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(製品名:MASTER SUZER(マスターサイザー)2000、MALVERN(マルバーン)社製)により、体積基準の累積頻度50%のメジアン径である粒径を測定した。各実施例及び比較例の結果を表1に示す。
実施例および比較例について以下のように発光特性を測定した。量子効率測定装置(大塚電子株式会社製、QE-2000)を用いて、波長450nmの励起光を各蛍光体に照射し、室温(25℃±5℃)における発光スペクトルを測定した。各蛍光体について、発光強度が最大となる波長を発光ピーク波長(nm)として求めた。結果を表1に示す。また、実施例4と比較例1の発光スペクトルを図1に示す。
各実施例及び比較例の窒化物蛍光体について、誘導結合プラズマ発光分析装置(Perkin Elmer(パーキンエルマー)社製)を用いて、ICP発光分析法により、組成分析を行ない、各元素の含有量(組成比)を求めた。結果を表2に示す。表2に示す組成の数値は、Siの組成比を5として分析結果から算出した値である。表2に、原料焼成物の仕込み組成(モル量)と、各実施例及び比較例の窒化物蛍光体の仕込み組成(モル量)を分析値と合わせて記載した。
Claims (7)
- 下記式で表される組成を有し、発光スペクトルにおける発光ピーク波長が575nm以上600nm以下の範囲内にあり、半値幅が64nm以上82nm以下である、窒化物蛍光体。
(BavSrwEux)2Si5N8-y
(式中、v、w、x、yは、0.800≦v≦0.995、0≦w≦0.120、0.005≦x≦0.02、0.9<v+w+x≦1.0、0≦y≦0.5を満たす数である。) - レーザー回折散乱式粒度分布測定法による窒化物蛍光体の体積平均粒径が、20.0μm以上35.0μm以下である、請求項1に記載の窒化物蛍光体。
- 請求項1または2に記載の窒化物蛍光体と、発光ピーク波長が、350nm以上500nm以下の範囲内にある発光素子とを有する発光装置。
- BaおよびSrを含む第一の化合物と、Euを含む化合物と、Siを含む化合物と、を、窒素を含む雰囲気中で熱処理して原料焼成物を得る工程と、
前記原料焼成物と、Baを含む化合物と、Siを含む化合物と、Euを含む化合物と、必要に応じてSrを含む第二の化合物と、を、窒素を含む雰囲気中で熱処理して窒化物蛍光体を得る工程とを含み、
前記原料焼成物を得る工程における前記原料焼成物に含有させる前記第一の化合物の合計の仕込みモル量に対するBaの仕込みモル量の比(B1)が、0.5以上0.7未満であり、
前記窒化物蛍光体を得る工程後における前記窒化物蛍光体に含有させる前記第一の化合物の合計の仕込みモル量中のBaのモル量の比(B2)が、0.9以上1.0未満である、窒化物蛍光体の製造方法。 - 前記原料焼成物を得る工程後における原料焼成物が、下記式(I)で表される仕込み組成を有する、請求項4に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
(BaqSrsEut)2Si5N8 (I)
(式(I)中、q、s、tは、0.500≦q≦0.700、0.200≦s≦0.400、0.01≦t≦0.03、0.9<q+s+t≦1.0を満たす数である。) - 前記窒化物蛍光体を得る工程後における窒化物蛍光体が、下記式(II)で表される組成を有する、請求項4または5に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
(BavSrwEux)2Si5N8-y (II)
(式(II)中、v、w、x、yは、0.800≦v≦0.995、0≦w≦0.120、0.005≦x≦0.02、0.9<v+w+x≦1.0、0≦y≦0.5を満たす数である。) - レーザー回折散乱式粒度分布測定法による前記原料焼成物の体積平均粒径が、5.0μm以上20.0μm以下である、請求項4から6のいずれか一項に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
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