JP2012046626A - 蛍光体、およびそれを用いた発光装置 - Google Patents

蛍光体、およびそれを用いた発光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 視感度の高い短波長の赤色を発光する蛍光体を提供する。
【解決手段】 下記式[1]で表される化学組成を有し、かつ、波長250nm以上、500nm以下の範囲にピークを有する光で励起した際に、波長600nm以上、630nm以下の範囲に発光ピークを有することを特徴とする、蛍光体。
1−wEuAlSi ・・・ [1]
(但し、前記式[1]において、Mは、Ca、およびSrを必須とする2価の金属元素を表す。また、x、y、およびzは、それぞれ以下の範囲の数を表す。
0.0001≦w≦0.3
0.9≦x≦1.2
3.6≦y≦4.4
6.6≦z≦7.4)
【選択図】なし

Description

本発明は、複合窒化物、酸窒化物等の窒素含有化合物からなる蛍光体、蛍光体含有組成物、それを用いた発光装置、画像表示装置及び照明装置に関するものである。詳しくは、第1の発光体である半導体発光素子等の励起光源からの光の照射によって橙色ないし赤色光を発光する蛍光体、それを含んだ蛍光体含有組成物、それを用いた高効率の発光装置、画像表示装置及び照明装置、並びに、窒素含有化合物に関するものである。
蛍光体は、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極線管(CRT)、白色発光ダイオード(LED)などに用いられている。これらのいずれの用途においても、蛍光体を発光させるためには、蛍光体を励起するためのエネルギーを蛍光体に供給する必要があり、蛍光体は真空紫外線、紫外線、電子線、青色光などの高いエネルギーを有した励起源により励起されて、可視光線を発する。
近年、発光装置の演色性向上等が求められており、新規の蛍光体の開発が望まれている。従来のケイ酸塩蛍光体、リン酸塩蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、硫化物蛍光体などの蛍光体に代わり、窒化物蛍光体や酸窒化物蛍光体についても探索されている。
最近、蛍光体母体としてアルカリ土類金属元素、Si及びAlを含む多元系窒化物が広く検討されている。特許文献1及び2にはSrAlSi:Euが記載されている。しかしながら、これらの文献に例示された蛍光体の発光ピーク波長は夫々644nm及び634nmであった。
また、特許文献3に、630nm以下の発光ピークを持つ、視感度の高い、短波長の赤色蛍光体として、SrAlSi4.5ON等の蛍光体(SrAlSiにSrと同量の酸素を固溶させたもの)が提案されているが、実際には、通常の焼成条件による合成では、仕込み原料中に酸素が存在するために、緑色発光の蛍光体が副生してしまうという問題点がある。この特許文献3に記載の630nm以下に発光ピークを有する蛍光体を工業的に製造することは容易ではない。
特許4228012号 WO2008/96300国際公開パンフレット WO2006/93298国際公開パンフレット
半導体発光素子(LED)と、蛍光体とを組み合わせた発光装置において、使用目的に応じて、例えば、明るさを優先する、または演色性を優先するなどの設計の自由度が要求されている。このため、赤色発光蛍光体においても、視感度の高い短波長の赤色を発光する蛍光体の開発が求められている。
特許文献1、2、及び3では得られないような、製造上緑色蛍光体が副生しにくく、かつ、ピーク波長が630nm以下の短波長側に存在する単一色の赤色蛍光体が望まれていた。
本発明者等は、アルカリ土類金属元素、Si、およびAlを含む多元系窒化物を母体とする蛍光体を広く検討した結果、特定の組成比を有し、かつ、アルカリ土類金属元素としてSr及びCaを必須とする蛍光体が波長600nm〜630nmの範囲に発光ピークを有することを見出し、本発明を完成した。
本発明は以下の(1)〜(4)を要旨とするものである。
(1)下記式[1]で表される化学組成を有し、かつ、波長250nm以上、500nm以下の範囲にピークを有する光で励起した際に、波長600nm以上、630nm以下の範囲に発光ピークを有することを特徴とする、蛍光体。
1−wEuAlSi ・・・ [1]
(但し、前記式[1]において、Mは、Ca、およびSrを必須とする2価の金属元素を表す。また、x、y、およびzは、それぞれ以下の範囲の数を表す。
0.0001≦w≦0.3
0.9≦x≦1.2
3.6≦y≦4.4
6.6≦z≦7.4)
(2)前記式[1]において、2価の金属元素Mのうち、Srが占める割合(モル比)を[Sr]、Caが占める割合(モル比)を[Ca]としたときに、
0.01≦[Ca]/([Sr]+[Ca])≦0.8
であることを特徴とする、(1)に記載の蛍光体。
(3)蛍光体のCuKαを用いた粉末X線回折パターンにおいて、2θ値が24.8°以上、25.3°以下である範囲内に存在するピークの面積強度をI1147、2θ値が18.6°以上、19.1°以下である範囲内に存在するピークの面積強度をI258とするとき、I258/(I1147+I258)≦0.11であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の蛍光体。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の蛍光体を有することを特徴とする、発光装置。
本発明によれば、波長600nm〜630nmの範囲に発光ピークを有し、視感度の高い赤色蛍光体を提供することができる。また、目的の発光色以外の色に発光する相の副生を抑制することができるので、製造が容易となり、高輝度化も可能となる。
実施例1、および比較例1の蛍光体の発光スペクトルを示す。 実施例1〜3、および比較例1の粉末X線パターンを示す。
[蛍光体]
本発明の蛍光体は、下記式[1]で表される化学組成を有する。そして、後述するように、波長250nm以上、500nm以下の範囲にピークを有する光で励起した際に、波長600nm以上、630nm以下の範囲に発光ピークを有するものである。
1−wEuAlSi ・・・ [1]
(但し、前記式[1]において、Mは、Ca、およびSrを必須とする2価の金属元素を表す。また、x、y、およびzは、それぞれ以下の範囲の数を表す。
0.0001≦w≦0.3
0.9≦x≦1.2
3.6≦y≦4.4
6.6≦z≦7.4)
本発明の蛍光体は、付活元素としてEuを含み、高輝度の赤色発光を示す蛍光体を得ることができる。
また、蓄光性を付与するなど様々な機能を持たせるために、Eu以外に共付活剤を1種
又は複数種含有させることもできる。その例として、Ce、Mn、Pr、Yb、Sm、Dy等を挙げることができる。
本発明の蛍光体は、前記式[1]において、Mとして、CaおよびSrを必須とする。前記式[1]において、全M量のうち、CaおよびSrが占める割合が、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更により好ましくは95モル%以上であり、Mの100%がCaおよびSrであることが特に好ましい。Sr,Ca以外の微量の範囲内で添加しうる2価の元素としては、Mg、Zn,Sn,Sm,Yb等が挙げられる。
2価の金属元素MにおけるCaの含有量が1モル%を超え、80モル%以下となるように組成を調整すると発光特性の高い蛍光体が得られるので好ましい。中でも、Caの下限値としては、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上が更により好ましく、15モル%以上が最も好ましい。Caの上限値としては、60モル%以下がより好ましく、40モル%以下が更により好ましく、30モル%以下が最も好ましい。
前記式[1]において、2価の金属元素Mのうち、Srが占める割合(モル比)を[Sr]、Caが占める割合(モル比)を[Ca]としたときに、[Ca]/([Sr]+[Ca])が、通常0.01以上、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.2以上、特に好ましくは0.3以上、最も好ましくは0.4より大きく、また、通常0.8以下、好ましくは0.6以下、より好ましくは0.55以下、最も好ましくは0.5以下である。
また、Alについては、蛍光体の特性に悪影響を与えない範囲で他の3価の金属、例えばGaを微量含んでも差し支えないが、Alが95%以上であることが好ましく、100%であることが特に好ましい。
また、Siについては、蛍光体の特性に悪影響を与えない範囲で他の4価の金属、例えばGeを微量含んでも差し支えないが、Siが95%以上であることが好ましく、100%であることが特に好ましい。
また、Nについては、蛍光体の特性に悪影響を与えない範囲で、酸素等を含有していてもよい。酸素をOとして、O/(N+O)の値は、10モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましく、3モル%以下が更により好ましい。実際には、窒化物原料中の残存酸素、その他から蛍光体中に酸素がわずかに取り込まれてしまうので、工業的な観点から、O/(N+O)は、0.2モル%以上が好ましく、0.5モル%以上がより好ましい。
また、前記式[1]において、w(Euの含有量を示す。)は、通常0.0001以上、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.005以上であり、また、通常0.3以下、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.1以下である。
前記式[1]において、x(Alの含有量を示す。)は、通常0.9以上、好ましくは0.95以上、より好ましくは1.0以上であり、また、通常1.2以下、好ましくは1.1以下、より好ましくは1.0以下である。
前記式[1]において、y(Siの含有量を示す。)は、通常3.6以上、好ましくは3.7以上、より好ましくは3.8以上であり、また、通常4.4以下、好ましくは4.2以下、より好ましくは4.0以下である。微量酸素の残存のため、Si→Al、N→O同時置換がおこる場合があり、実質的にAlが1以上、Siが4以下で良好となる場合がある。また、上記の好ましい範囲は、カチオン欠損、アニオン欠損も少々起こりうることも考慮した範囲となっているが、カチオン欠損、アニオン欠損がおこらないものが最も好ましい。
前記式[1]において、z(Nの含有量を示す。)は、通常6.6以上、好ましくは6.7以上であり、また、通常7.4以下、好ましくは7.2以下、より好ましくは7.0以下である。アニオンのサイトが7モルあるときに、窒素以外に酸素が入ることを考慮した好ましい範囲となっている。また、カチオン欠損やアニオン欠損がわずかにおこりうることを考慮した範囲となっている。酸素がなるべく少ない方が、高輝度の観点から、好ましいが、現実には、微量の酸素混入が避けられないため、工業的な観点から、窒素が7以下である場合が良好となることがある。アニオン欠損が少々おこる場合があるが、欠損ゼ
ロが最も好ましい。
蛍光体の組成の具体例としては、Eu0.02Sr0.48Ca0.5AlSi、Eu0.02Sr0.88Ca0.1AlSi、Eu0.02Sr0.48Ca0.5AlSi6.860.24、Eu0.02Sr0.48Ca0.5Al1.24Si3.766.760.24等が挙げられる。後者二例は、原料を全て窒化物として合成した場合の推定組成である。例えば、宇部興産社製SN−E10には1モルにつき0.02モルの酸素が含まれており、原料中の酸素含有量から蛍光体中の酸素含有量が計算・推定できる。後者一例は、微量の酸素の分だけ、N→O、Si→Alの電荷補償された置換がおこって得られる組成であり、最後尾から二つ目の例は、微量の酸素の分だけ、電荷補償のためのカチオン欠損がおこって得られる組成の一例である。酸素が微量のため、どちらが起こるかは突き止められていないが、両方おこりえて、両方の現象が一つの蛍光体結晶の中に組み込まれている場合もありうる。輝度の観点からは、N→O、Si→Al置換型の方がより好ましいが、酸素微量の場合は、二者とも悪影響が非常に少ない。
[蛍光体の製造方法]
本発明の蛍光体の製造法については特に制限は無く、一般的な蛍光体の製造方法が適用できる。
[原料]
本発明の蛍光体の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と称する場合がある。)では、原料として蛍光体の構成元素を少なくとも一つを含んでいる化合物が使用できる。
所望の蛍光体組成となるように、必要な元素を窒化物又は合金等の形で添加するのが好ましい。窒化物としてはSr、Ca、Si、AlN、EuNなどが必要に応じて使用できる。
<ケイ素原料>
ケイ素原料としては、窒化ケイ素が挙げられ、例えば、宇部興産社製SN−E10が使用できる。
<アルミニウム原料>
アルミニウム原料としては、窒化アルミニウムが挙げられ、例えば、株式会社トクヤマ製Fグレード窒化アルミニウム粉末が使用できる。
<ストロンチウム原料>
ストロンチウム原料としては、SrN、(SrNH)等の窒化ストロンチウム、Sr金属等が使用できる。
<カルシウム原料>
カルシウム原料としては、窒化カルシウム、Ca金属が使用できる。
<ユウロピウム原料>
窒化ユウロピウム、EuN、EuF、Eu、Eu等が使用できる。
また、本発明に置いては、上述した原料に加えて、あるいは、上述した原料に代えて、原料として少なくともM、およびAlを必須とする化合物を用いることができる。
ここで、「化合物」とは、岩波理化学辞典における化合物の定義「化学変化によって2種
またはそれ以上の元素の単体に分けることが出来る純粋物質」と同義である。更に云えば、「M、およびAlを必須とする化合物」とは、MとAlがÅオーダーで混合している物質のこととして述べる。
「M、およびAlを必須とする化合物」としては、窒化物、合金などが挙げられる。
窒化物の具体例としては、MAlSiN,MAl,MAlNなどが挙げられる。
窒化物としては、重量メジアン径D50が、0.5μm以上、30μm以下のものを用いることが好ましい。10μm以下がより好ましい。
MとAlを含有する合金としては、両元素の固溶体、共晶、金属間化合物を適宜使用することができる。MとAlとがÅオーダーで充分に混合されていることにより、MSi
相の副生を抑制するという意味で、固溶体や金属間化合物が特に好ましい。金属間化合物の具体例として、AlSiSr、AlSr、SrAlなどが挙げられる。
なお、上記のような合金を得るための方法は公知の合金製造法が使用できる(特開2007−262574号公報参照)。また、蛍光体原料として合金を用いて蛍光体を製造する方法についても、特開2006−307182号公報、特開2008−7751号公報などに開示されている。
合金は製造工程上液相を経由するので、撹拌効果により微少成分を均一に分布させることができるので、特性の高い蛍光体が得られやすい。本発明の製造方法においては蛍光体の組成上、配合割合の少ない金属元素は金属単体で加えることも好ましい。金属単体としてはCa、Eu、Ceなどが例示できる。
合金は、所望の粒径の粉末状にして用いることが好ましい。粉末状の合金(合金粉末)を得るための粉砕方法については、特に制限はないが、例えば、特開2006−307182号公報等に記載の方法で粉砕することができる。
合金粉末は、当該合金粉末を構成する金属元素の活性度により粒径を調整する必要があり、その重量メジアン径D50は、通常の場合、100μm以下、好ましくは80μm 以下、特に好ましくは60μm以下であり、また、0.1μm 以上、好ましくは0.5μm以上、特に好ましくは1μm以上である。また、合金粉末がSrを含有する場合は、雰囲気ガスとの反応性が高いため、合金粉末の重量メジアン径D50は、通常5μm以上、好ましくは8μm以上、より好ましくは10μm以上、特に好ましくは13μm以上とすることが望ましい。前述の重量メジアン径D50の範囲よりも小さいと、窒化等の反応時の発熱速度が上昇する傾向にあるので、反応の制御が困難となる場合や、また、合金粉末が大気中で酸化されやすくなるので、得られる蛍光体に酸素が取り込まれやすくなる等、取り扱いが難しくなる場合がある。一方で、前述の重量メジアン径D50の範囲よりも大きいと、合金粒子内部での窒化等の反応が不十分となる場合がある。
また、合金粉末中に含まれる、粒径10μm以下の合金粒子の割合は80重量%以下であることが好ましく、粒径45μm以上の合金粒子の割合は40重量%以下であることが好ましい。QDの値は、特に制限はないが、通常0.59以下である。ここで、QDとは、積算値が25%及び75%の時の粒径値をそれぞれD25、D75と表記し、QD=(D75−D25)/(D75+D25)と定義する。QDの値が小さいことは粒度分布が狭いことを意味する。
合金は、その組成、または粒度によって非常に活性であり、空気中で自然発火する可能性もあり、また、蛍光体の性能を低下させるほど酸素が含有される可能性があるので、例えば、特開2008−7751号公報に記載の方法で、予め、合金を部分的に窒化して安定化した後、原料とすることも好ましい。部分的に窒化されている原料(部分窒化原料)とは、窒素を含有し、金属が残存している場合を言う。
上述したように、M、Al、およびSiを含む窒化物の製造法において、従来の固相法では局所的にMイオンが多数のSiイオンに包囲される状況が出現する。一旦、局所的にMSiが生成するとMAlSiへの変化が吸熱反応であり反応が進行しにくいことが熱力学計算からも支持される。そのため、Alイオンを含有しないMSiが生成する。これに対して本願のM及びAl元素を含有する化合物を原料として用いた場合には、Mイオンの周りに必ずAlイオンが存在するので、MSiが生成しにくくなる。
以上の観点、及び、SrSi5−xAl8−x相の生成がx≦0.2で起こる傾向にあるという観点から、原料化合物において、「M、およびAlを必須とする化合物」のMに対するAlのモル数が0.2を超えていることが好ましく、0.4以上であることがより好ましく、0.6以上であることがより好まし、0.8以上が更により好ましく、0.9以上が特に好ましい。xの値が0.2以下であるとAlイオンと結合もÅオーダー混合もしていないMイオンが存在する量が多くなり、MSi5−xAl8−x(x≦0.2)が生成する割合が増える傾向にある。また、1.2を超えると、不足
するMを添加しなければならず、工程上煩雑となるため、1.2以下が好ましく、1.1以下がより好ましい。Mの金属、及び窒化物には安全な取扱上、注意を要する場合があることからM:Al=1:1である化合物が最も好ましい。また、「M、およびAlを必須とする化合物」がSiを含有する合金を用いる場合は、M:Al:Si=1:1:1である化合物が最も好ましい。
また、Si源は、「M、およびAlを必須とする化合物」に含まれていても良いし、別の化合物として添加しても良い。Si源を別の化合物として添加する場合、前記M、およびAlを必須とする化合物と共に、Si金属、および/またはSiを用いることが好ましい。本発明の蛍光体を構成する元素に対応する原料は、それぞれ、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。すなわち、所望の蛍光体組成を得るために、上記「M、およびAlを必須とする化合物」のほかに必要な元素を窒化物の形で添加するとよい。。「M、およびAlを必須とする化合物」の、M源となる原料全体に占める割合は、M量(モル基準)に対し、50モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上が更により好ましく、100モル%が最も好ましい。
窒化物としてはSi、AlNなどが必要に応じて使用できる。窒化ケイ素原料としては、例えば宇部興産社製SN−E10が使用できる。窒化アルミニウム原料としては、例えば株式会社トクヤマ製窒化アルミニウム粉末が使用できる。
なお、「M、およびAlを必須とする化合物」が窒化物の場合は、目的とする蛍光体の組成と同じ組成(代表例 M:Al:Si=1:1:4)となるように各原料化合物を配合することが好ましい。
また、「M、およびAlを必須とする化合物」が合金である場合、合金中のSi量比が増えると、窒化反応による発熱量が増大して蛍光体の合成反応を損なう可能性があるので、適宜、合金組成を調整することが好ましい。
[混合工程]
原料となる金属やその合金および化合物を秤量した後、公知の粉体混合法を用いて十分混合することが好ましい。合金原料を使用する場合は必要に応じて不活性雰囲気下で混合操作を行ない、不要な酸化反応を防ぐことが好ましい。
[焼成工程]
焼成工程は、上述した蛍光体原料を、例えばルツボ、トレイ等の加熱容器に充填して窒素含有雰囲気下で加熱することにより行なう。具体的には、以下の手順により行なう。
即ち、まず、蛍光体原料を容器に充填する。ここで使用する容器の材質は本発明の製造方法の効果が得られる限り任意であるが、例えば、窒化ホウ素、モリブデン、窒化珪素、炭素、窒化アルミニウム、タングステン等が挙げられる。中でも、窒化ホウ素、及び、モリブデンが、それぞれ、耐食性に優れ、ガス雰囲気の還元力に優れることから好ましい。なお、前記の材質は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、ここで使用する容器の形状は本発明の製造方法の効果が得られる限り任意である。例えば、容器の底面が、円形、楕円形等の角のない形や、三角形、四角形等の多角形であってもよいし、容器の高さも加熱炉に入る限り任意であり、低いものでも高いものでもよい。中でも、放熱性のよい形状を選択することが好ましい。
この蛍光体原料を充填した容器を、加熱装置(「加熱炉」と称する場合もある。)に納める。ここで使用する加熱装置としては、本発明の製造方法の効果が得られる限り任意であるが、装置内の雰囲気を制御できる装置が好ましく、さらに圧力も制できる装置が好ましい。例えば、熱間等方加圧装置(HIP)、抵抗加熱式真空加圧雰囲気熱処理炉、常圧雰囲気炉等が好ましい。
また、加熱開始前に、加熱装置内に窒素を含むガスを流通して系内を十分にこの窒素含有ガスで置換することが好ましい。必要に応じて、系内を真空排気した後、窒素含有ガスを流通しても良い。
加熱処理の際に使用する窒素含有ガスとしては、窒素元素を含むガス、例えば窒素、アンモニア、或いは窒素と水素の混合気体等が挙げられる。なお、窒素含有ガスは、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。系内の酸素濃度は製造される蛍光体の酸素含有量に影響し、余り高い含有量となると高い発光が得られなくなるため、窒化処理雰囲気中の酸素濃度は、低いほど好ましく、通常1000ppm以下、好ましくは100ppm以下、より好ましくは10ppm以下とする。また、必要に応じて、炭素、モリブデン、窒化アルミニウム等の酸素ゲッターを系内加熱部分に入れて、酸素濃度を低下させても良い。なお、酸素ゲッターは、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
蛍光体原料の窒化処理は、窒素含有ガスを充填した状態或いは流通させた状態で蛍光体原料を加熱することにより行なうが、その際の圧力は大気圧よりも幾分減圧、大気圧或いは加圧の何れの状態でも良い。ただし、大気中の酸素の混入を防ぐためには大気圧以上とするのが好ましい。圧力を大気圧未満にすると加熱炉の密閉性が悪い場合には多量の酸素が混入して特性の高い蛍光体を得ることができない可能性がある。
1650℃以下の低温焼成の場合は、常圧付近、及び、0.92MPa以下程度の加圧とするのが、製造コスト低減の観点から、好ましく、常圧付近がより好ましい。1650℃以上の高温焼成の場合は、0.2MPa以上0.92MPa以下が通常の雰囲気ガスの圧力として好ましいが、0.92MPaを超えて、200MPa以下の高圧とするのも、蛍光体の窒素欠陥を無くして、量子効率を向上させる観点で、好ましい。
製造コスト低減の点で、常圧付近で焼成する場合、1450℃以上1650℃以下の低温焼成が好ましい。1500℃以上がより好ましく、1550℃以上がさらにより好ましい。短時間焼成で高輝度を得るやり方として、加圧で高温焼成する場合、1650℃を超えて、2100℃以下が好ましい。1750℃以上がより好ましく、1800℃以上が更により好ましい。上限値としては、2000℃以下がより好ましい。加熱温度が2100℃より高いと、生成する窒化物が揮発或いは分解し、得られる窒化物蛍光体の化学組成がずれて、特性の高い蛍光体が得られず、また、再現性も悪いものとなる可能性がある。
加熱処理時の加熱時間(最高温度での保持時間)は、合金粉末と窒素との反応に必要な時間で良いが、通常1分間以上、好ましくは10分間以上、より好ましくは30分間以上、更に好ましくは60分間以上とする。加熱時間が1分間より短いと窒化反応が完了せず特性の高い蛍光体が得られない可能性がある。また、加熱時間の上限は生産効率の面から決定され、通常24時間以下である。
(合金を用いる場合の昇温条件等)
加熱工程において、一度に大量の合金粉末について窒化処理を行なう場合には、窒化反応が急激に進行し、本発明の蛍光体の特性を低下させる可能性がある。
本発明の製造方法において、合金粉末に、窒化物を共存させると、急激な窒化反応の進行を抑えることができる。
また、急激な窒化反応の進行を抑えるため、900℃〜1200℃における昇温速度を、0.01℃/分以上、2℃/分以下とすることが好ましい。
(再加熱工程)
加熱処理工程により得られた蛍光体は、必要に応じて再加熱工程を行ない、再度、加熱処理(再加熱処理)をすることにより粒子成長させても良い。これにより、粒子が成長し、蛍光体が高い発光を得ることが可能となる等、蛍光体の特性が向上する場合がある。
この再加熱工程では、一度室温まで冷却してから、再度加熱を行なってもよい。再加熱
処理を行なう場合の加熱温度は、通常800℃以上、好ましくは900℃以上、より好ましくは1000℃以上、また、通常1600℃以下、好ましくは1500℃以下、より好ましくは1400℃以下である。800℃未満で加熱すると、蛍光体粒子を成長させる効果が小さくなる傾向にある。一方、1600℃を超える温度で加熱すると、無駄な加熱エネルギーを消費してしまうだけでなく、蛍光体が分解する場合がある。また、蛍光体の分解を防止するためには雰囲気ガスの一部となる窒素の圧力を非常に高くすることになるため、製造コストが高くなる傾向にある。
蛍光体の再加熱処理時の雰囲気は、基本的には窒素ガス雰囲気、不活性ガス雰囲気又は還元性雰囲気が好ましい。なお、不活性ガス及び還元性ガスは、それぞれ、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、雰囲気中の酸素濃度は、通常1000ppm以下、好ましくは100ppm以下、より好ましくは10ppm以下とする。酸素濃度が1000ppmを越えるような酸素含有ガス中や大気中など酸化雰囲気下で再加熱処理すると、蛍光体が酸化され、目的の蛍光体を得ることができない可能性がある。ただし、0.1ppm〜10ppmの微量酸素を含有する雰囲気とすることで比較的低温での蛍光体の合成が可能となるので好ましい。
再加熱処理時の圧力条件は、大気中の酸素の混入を防ぐためには大気圧以上の圧力とすることが好ましい。圧力が低すぎると、前述の窒化処理工程と同様に加熱炉の密閉性が悪い場合には多量の酸素が混入し、特性の高い蛍光体を得ることができない可能性がある。
再加熱処理時の加熱時間(最高温度での保持時間)は、通常1分間以上、好ましくは10分間以上、より好ましくは30分間以上であり、また、通常100時間以下、好ましくは24時間以下、より好ましくは12時間以下である。加熱時間が短すぎると粒子成長が不十分となる傾向にある。一方、加熱時間が長すぎると、無駄な加熱エネルギーが消費される傾向にあり、また、蛍光体の表面から窒素が脱離して発光特性が低下する場合もある。
(後処理工程)
得られた蛍光体は、必要に応じて、分散工程、分級工程、洗浄工程、乾燥工程等の後処理工程を行なってから各種用途に用いてもよい。
(分散工程)
分散工程では、窒化工程中の粒子成長、焼結などにより凝集している蛍光体に機械的な力を加え、解砕する。例えば、ジェットミルなどの気流による解砕や、ボールミル、ビーズミル等のメディアによる解砕などの方法が使用できる。
(分級工程)
上記の手法により分散された蛍光体の粉末は、分級工程を行なうことにより所望の粒度分布に調整できる。分級には、例えば、バイブレーティングスクリーン、シフター等の網目を使用した篩い分け装置、エアセパレータ、水簸装置等の慣性分級装置や、サイクロン等の遠心分級機を使用することができる。
(洗浄工程)
洗浄工程では、蛍光体を、例えばジョークラッシャー、スタンプミル、ハンマーミル等で粗粉砕した後、中性又は酸性の溶液(以下、「洗浄媒」と称する場合がある。)を用いて、公知の手法により洗浄する。
洗浄工程を行なうことにより、蛍光体の酸素含有量も減少することがある。これは、酸素を含む不純物相、例えば結晶性の悪い窒化物が加水分解して生じた水酸化物が除去されるためと推察される。
(乾燥工程)
上記洗浄後は、蛍光体を付着水分がなくなるまで乾燥させて、使用に供することができる。具体的な操作の例を挙げると、洗浄を終了した蛍光体スラリーを遠心分離機等で脱水し、得られた脱水ケーキを乾燥用トレイに充填すればよい。その後、100℃〜200℃
の温度範囲で含水量が0.1重量%以下となるまで乾燥する。得られた乾燥ケーキを篩等に通し、軽く解砕し、蛍光体を得る。
なお、蛍光体は多くの場合、粉体で使用され、他の分散媒中に分散した状態で使用される。従って、これらの分散操作を容易にするため、蛍光体に各種表面処理を行なうことが当業者の中では通常の手法として行われている。かかる表面処理が行われた蛍光体にあっては表面処理が行われる前の段階が本発明による蛍光体と理解するのが適切である。
[蛍光体の特性]
例えば、本発明の蛍光体は、以下のような特性を有する。
(発光色)
本発明の蛍光体の発光色は、化学組成等を調整することにより、橙色、赤色等、所望の発光色とすることができる。
(発光スペクトル)
本発明の蛍光体は、波長250nm以上、500nm以下の範囲にピークを有する光で励起した際に(例えば、ピーク波長455nmの光で励起した際に)、発光スペクトルにおけるピーク波長λp(nm)が、通常600nm以上、630nm以下の範囲である。この発光ピーク波長λpが短過ぎると黄味を帯びる傾向がある一方で、長過ぎると暗赤味を帯びる傾向があり、何れも橙色ないし赤色光としての特性が低下する傾向にある。本発明の蛍光体は、その発光ピーク波長が600nm〜630nmの範囲にあるので、視感度が高く、明るい赤色に発光することが特徴の一つである。
本発明の蛍光体の発光ピーク波長の下限値としては、604nm以上が好ましく、608nm以上がより好ましく、612nm以上が更に好ましく、616nm以上が最も好ましい。上限値としては、627nm以下が好ましい。
また、本発明の蛍光体は、上述の発光スペクトルにおける発光ピークの半値幅(full width at half maximum。以下適宜「FWHM」と略称する。)が、通常100nmより大きく、中でも105nm以上、また、通常135nm未満、中でも130nm以下の範囲であることが好ましい。この半値幅FWHMが狭過ぎると演色性が低下する傾向にあり、広過ぎると色純度が低下する傾向にある。
なお、本発明の蛍光体を波長455nmの光で励起するには、例えば、GaN系発光ダイオードを用いることができる。また、本発明の蛍光体の発光スペクトルの測定、並びにその発光ピーク波長、ピーク相対強度及びピーク半値幅の算出は、例えば、日本分光社製蛍光測定装置等の装置を用いて行なうことができる。
(温度特性)
本発明の蛍光体は、温度特性にも優れるものである。具体的には、波長455nmにピークを有する光を照射した場合における25℃での発光スペクトル図中の発光ピーク強度値に対する100℃での発光スペクトル図中の発光ピーク強度値の割合が、通常65%以上であり、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上である。
また、通常の蛍光体は温度上昇と共に発光強度が低下するので、該割合が100%を越えることは考えられにくいが、何らかの理由により100%を超えることがあっても良い。ただし、150%を超えるようであれば、温度変化により色ずれを起こす傾向となる。
尚、上記温度特性を測定する場合は、例えば、発光スペクトル装置として大塚電子製MCPD7000マルチチャンネルスペクトル測定装置、輝度測定装置として色彩輝度計BM5A、ペルチェ素子による冷却機構とヒーターによる加熱機構を備えたステージ及び光源として150Wキセノンランプを備える装置を用いて、以下のように測定することができる。ステージに蛍光体サンプルを入れたセルを載せ、温度を20℃から150℃の範囲で変化させる。蛍光体の表面温度が測定温度で一定となったことを確認する。次いで、光源から回折格子で分光して取り出したピーク波長455nmの光で蛍光体を励起して発光
スペクトル測定する。測定された発光スペクトルから発光ピーク強度を求める。ここで、蛍光体の励起光照射側の表面温度の測定値は、放射温度計と熱電対による温度測定値を利用して補正した値を用いる。
(重量メジアン径D50
本発明の蛍光体は、その重量メジアン径D50が、通常3μm以上、中でも5μm以上、また、通常30μm以下、中でも20μm以下の範囲であることが好ましい。重量メジアン径D50が小さすぎると、輝度が低下し、蛍光体粒子が凝集してしまう傾向にある。一方、重量メジアン径D50が大きすぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向がある。
なお、本発明における蛍光体の重量メジアン径D50は、例えばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置等の装置を用いて測定することができる。
(粉末X線回折測定)
粉末X線回折は、例えばPanalytical製粉末X線回折装置X’Pertにて精密測定できる。測定条件の一例を挙げると以下の通りである。
CuKα管球使用
X線出力=45KV,40mA
発散スリット=1/4°,X線ミラー
検出器=半導体アレイ検出器X’Celerator使用、Niフィルター使用
走査範囲 2θ=10〜65度
読み込み幅=0.05度
計数時間=33秒
得られたX線回折チャートより、不純物相SrSiのピーク面積強度(18.6〜19.1度)と目的相(Sr,Ca)AlSiのピーク面積強度(24.8〜25.3度)を比較することにより、それぞれの結晶相の相対的な割合を半定量的に求めることができる。本発明の蛍光体は、CuKαを用いた粉末X線回折パターンにおいて、2θ値が24.8°以上、25.3°以下である範囲内に存在するピークの面積強度をI1147、2θ値が18.6°以上、19.1°以下である範囲内に存在するピークの面積強度をI258とするとき、I258/(I1147+I258)≦0.11であることが好ましく、I258/(I1147+I258)≦0.05であることがより好ましく、I258/(I1147+I258)=0であることが最も好ましい。
(その他)
本発明の蛍光体は、その内部量子効率が高いほど好ましい。その値は、通常0.5以上、好ましくは0.6以上、更に好ましくは0.7以上である。内部量子効率が低いと発光効率が低下する傾向にあり、好ましくない。
[蛍光体の用途]
本発明の蛍光体は、上述したような特性をいかして、特に、LEDと組み合わせた発光装置として好適に用いることができる。
また、組み合わせるLEDとしては、510nm〜545nmの波長範囲に発光ピークを有するものが好ましい。
本発明の蛍光体と組み合わせる緑色蛍光体としては、(Mg,Ca,Sr,Ba)Si:Euで表されるユウロピウム付活アルカリ土類シリコンオキシナイトライド系蛍光体、SrAl1425:Eu、(Ba,Sr,Ca)Al:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ba)AlSi:Eu、(Ba,Sr)SiO:Eu、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:Eu、(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn)Si:Eu、(Ba,Ca,Sr,Mg)(Sc,Y,Lu,Gd)(Si,Ge)24:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、YSiO:Ce,Tb等のCe,Tb付活珪酸塩蛍光体、Sr−Sr:Eu等のE
u付活硼酸リン酸塩蛍光体、SrSi−2SrCl:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体、ZnSiO:Mn等のMn付活珪酸塩蛍光体、CeMgAl1119:Tb、YAl12:Tb等のTb付活アルミン酸塩蛍光体、Ca(SiO:Tb、LaGaSiO14:Tb等のTb付活珪酸塩蛍光体、(Sr,Ba,Ca)Ga:Eu,Tb,Sm等のEu,Tb,Sm付活チオガレート蛍光体、Y(Al,Ga)12:Ce、(Y,Ga,Tb,La,Sm,Pr,Lu)(Al,Ga)12:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、CaScSi12:Ce、Ca(Sc,Mg,Na,Li)Si12:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaSc:Ce等のCe付活酸化物蛍光体、Eu付活βサイアロン等のEu付活酸窒化物蛍光体、BaMgAl1017:Eu,Mn等のEu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体、SrAl:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(La,Gd,Y)S:Tb等のTb付活酸硫化物蛍光体、LaPO:Ce,Tb等のCe,Tb付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Cu,Al、ZnS:Cu,Au,Al等の硫化物蛍光体、(Y,Ga,Lu,Sc,La)BO:Ce,Tb、NaGd:Ce,Tb、(Ba,Sr)(Ca,Mg,Zn)B:K,Ce,Tb等のCe,Tb付活硼酸塩蛍光体、CaMg(SiOCl:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga,In):Eu等のEu付活チオアルミネート蛍光体やチオガレート蛍光体、(Ca,Sr)(Mg,Zn)(SiOCl:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体、MSi:Eu、M3Si6O12N2:Eu(但し、Mはアルカリ土類金属元素を表す。)等のEu付活酸窒化物蛍光体等を挙げることができる。
以下、実施例、比較例を示して本発明について更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。なお、実施例、比較例の蛍光体の発光特性等の測定は、次の方法で行った。
<測定方法>
[発光スペクトル]
発光スペクトルは、励起光源として150Wキセノンランプを、スペクトル測定装置
としてマルチチャンネルCCD検出器C7041(浜松フォトニクス社製)を備える蛍光測定装置(日本分光社製)を用いて測定した。励起光源からの光を焦点距離が10cmである回折格子分光器に通し、波長455nmの励起光のみを光ファイバーを通じて蛍光体に照射した。励起光の照射により蛍光体から発生した光を焦点距離が25cmである回折格子分光器により分光し、300nm以上800nm以下の波長範囲においてスペクトル測定装置により各波長の発光強度を測定し、パーソナルコンピュータによる感度補正等の信号処理を経て発光スペクトルを得た。なお、測定時には、受光側分光器のスリット幅を1nmに設定して測定を行なった。
[色度座標]
x、y表色系(CIE 1931表色系)の色度座標は、上述の方法で得られた発光スペクトルの521nm〜800nmの波長領域のデータから、JIS Z8724に準じた方法で、JIS Z8701で規定されるXYZ表色系における色度座標xとyとして算出した。
[粉末X線回折測定 一般同定用]
粉末X線回折はPANalytical製粉末X線回折装置X’Pertにて精密測定した。測定条件は以下の通りである。
CuKα管球使用
X線出力=45KV,40mA
発散スリット=1/4°,X線ミラー
検出器=半導体アレイ検出器X’Celerator使用、Niフィルター使用
走査範囲 2θ=10〜65度
読み込み幅=0.05度
計数時間=33秒
[実施例1]
(合金の合成)
金属元素組成比がAl:Si=1:1(モル比)となるように各金属を秤量し、黒鉛ルツボを用い、アルゴン雰囲気で高周波誘導式溶融炉を用いて原料金属を溶融した後、ルツボから金型へ注湯して凝固させ、元素比がAl:Si=1:1である合金(母合金)を得た。なお、合金の原料に用いた金属単体は、いずれも不純物濃度0.01モル%以下の高純度品である。また、原料金属の形状は、Srは塊状、その他は粒状である。
Eu:Sr:Ca:Al:Si=0.007:0.493:0.5:1:1(モル比)となるよう母合金、その他原料金属を秤量した。炉内を5×10-2Paまで真空排気し
た後、排気を中止し、炉内にアルゴンを所定圧まで充填した。この炉内でカルシアルツボ内の母合金を溶解し、次いでSr、Eu、Caを加えて、全成分が融解した溶湯が誘導電流により攪拌されるのを確認後、ルツボから水冷された銅製の金型へ溶湯を注湯して凝固させた。
(合金の粉末化)
得られた合金を粉砕し、D50が12μmのEu0.007Sr0.493Ca0.5AlSi合金粉末を得た。
(蛍光体の原料の焼成)
水分1ppm以下、酸素1ppm以下の窒素雰囲気を保持することができるグローブボックス内で、該Eu0.007Sr0.493Ca0.5AlSi合金粉末1.215gと窒化珪素粉末(宇部興産製SN−E10)1.391gをメノウ乳鉢で10分間混合し、得られた混合物のうちの0.3gを外径20mm、高さ20mmの窒化ホウ素製坩堝に充填し、黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。焼成の操作は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、室温から900℃まで加熱真空引きをしながら昇温し、900℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を0.92MPaとし、0.9℃/分で1200℃まで昇温し、900℃から1880℃まで15℃/分で昇温し、1880℃8時間保持した後、アルミナ乳鉢での粉砕、処理を経て、Eu0.007Sr0.493Ca0.5AlSi蛍光体粉末を得た。
(蛍光体の評価)
表1と図2に示すように、粉末X線回折より、得られた粉末は、(Sr,Ca)Si相が全くない、ほとんど(Sr,Ca)AlSi:Eu蛍光体単一相からなっていることがわかった。単一相であることは、緑色蛍光体も皆無であることを意味する。Caが充分結晶相内に置換した(Sr,Ca)AlSi:Eu蛍光体が初めて合成された。発光ピーク波長が624nmの視感度の高い赤色発光を呈することがわかった(図1と表1)。
[実施例2]
合成し、蛍光体原料として使用した合金の組成をEu0.007Sr0.763Ca0.23AlSiとし、蛍光体合成用原料として該合金粉末1.260gと窒化珪素(宇部興産製SN−E10)1.336gを使用したこと以外は、全て、実施例1と同様に実験を行って、Eu0.007Sr0.763Ca0.23AlSi蛍光体粉末を得た。
(蛍光体の評価)
表1と図2に示すように、粉末X線回折より、得られた粉末は、(Sr,Ca)Si相が全くない、ほとんど(Sr,Ca)AlSi:Eu蛍光体単一相からなっていることがわかった。Caが充分結晶相内に置換した(Sr,Ca)AlSi
:Eu蛍光体が初めて合成された。発光ピーク波長が623nmの視感度の高い赤色発光を呈することがわかった(図1と表1)。
[実施例3]
合成し、蛍光体原料として使用した合金の組成をEu0.007Sr0.893Ca0.1AlSiとし、蛍光体合成用原料として該合金粉末1.484gと窒化珪素(宇部興産製SN−E10)1.516gを使用したこと以外は、全て、実施例1と同様に実験を行って、Eu0.007Sr0.893Ca0.1AlSi蛍光体粉末を得た。
(蛍光体の評価)
表1と図2に示すように、粉末X線回折より、得られた粉末は、(Sr,Ca)Si相が全くない、(Sr,Ca)AlSi:Eu蛍光体単一相からなっていることがわかった。Caが充分結晶相内に置換した(Sr,Ca)AlSi:Eu蛍光体が初めて合成された。発光ピーク波長が623nmの視感度の高い赤色発光を呈することがわかった(図1、および表1)。
[比較例1]
原料として混合した各粉末及びその量を、窒化ストロンチウム粉末(Cerac製)0.871g、窒化アルミニウム粉末(トクヤマ製Fグレード)0.376g、窒化珪素粉末(宇部興産製SN−E10)1.715g、フッ化ユウロピウム粉末0.038gとしたこと以外は、全て、実施例1と同様に実験を行って、Eu0.007Sr0.993AlSi蛍光体粉末を得た。表1と図2に示すように、X線回折より、得られた粉末は、SrSi相が全くない、SrAlSi:Eu蛍光体単一相からなっていることがわかるが、図1と表1に示すように、SrAlSiN7:Eu蛍光体の場合、発光ピーク波長が641nmと、視感度の低い深い赤色発光を呈することがわかる。
実施例1〜3と比較例1の比較から、本願で初めて合成されたCa−Sr系(Sr,Ca)AlSi:Euは、従来のSrAlSi:Euでは得られなかった視感度の高い赤色発光を呈し、実際に、表1の相対輝度の値にみられるように、より高い輝度をもたらすことがわかった。
また、表1と図2にみられるように、(Sr,Ca)AlSi相の粉末X線パターンにおいて、Caが入るにつれて、例えば、2θが約29.1〜29.7°のピークが、29.39°、29.42°、29.45°、29.49°と高角側にシフトしているのがみられ、Ca置換により格子定数が変化していることがわかる。
Figure 2012046626
本発明の製造方法により製造された蛍光体は、光を用いる任意の分野において用いることができ、例えば屋内及び屋外用の照明などのほか、携帯電話、家庭用電化製品、屋外設置用ディスプレイ等の各種電子機器の画像表示装置などに好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 下記式[1]で表される化学組成を有し、かつ、
    波長250nm以上、500nm以下の範囲にピークを有する光で励起した際に、波長600nm以上、630nm以下の範囲に発光ピークを有する
    ことを特徴とする、蛍光体。
    1−wEuAlSi ・・・ [1]
    (但し、前記式[1]において、Mは、Ca、およびSrを必須とする2価の金属元素を表す。また、x、y、およびzは、それぞれ以下の範囲の数を表す。
    0.0001≦w≦0.3
    0.9≦x≦1.2
    3.6≦y≦4.4
    6.6≦z≦7.4)
  2. 前記式[1]において、2価の金属元素Mのうち、Srが占める割合(モル比)を[Sr]、Caが占める割合(モル比)を[Ca]としたときに、
    0.01≦[Ca]/([Sr]+[Ca])≦0.8
    であることを特徴とする、請求項1に記載の蛍光体。
  3. 蛍光体のCuKαを用いた粉末X線回折パターンにおいて、2θ値が24.8°以上、25.3°以下である範囲内に存在するピークの面積強度をI1147
    2θ値が18.6°以上、19.1°以下である範囲内に存在するピークの面積強度をI258とするとき、
    258/(I1147+I258)≦0.11であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の蛍光体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛍光体を有する
    ことを特徴とする、発光装置。
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