JP6454198B2 - ワイパー - Google Patents

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Description

本発明は、往復移動する対象物の被清掃面に対して直立姿勢で押し付けながら、被清掃面に付着した異物を除去するワイパーに関する。
従来から、多軸制御式の複合加工機などマシニングセンタと称される自動運転方式の工作機械は、運転中に、開口部から、人や異物等が内部に侵入しないように、また、切削加工に伴う切削液や切粉等が外部へ飛散しないよう、防護扉(以下、「ドア」と称する。)が閉じられた状態で自動運転が開始される。このような工作機械には、スライド操作で往復移動させて開閉されるスライドドアが用いられることが多い。一方、工作機械では、運転中にドアが閉じられた状態でもドアと機械側ボディとの間には一定の隙間(クリアランス)があるため、その隙間を抜けて、内部へ虫や粉塵の侵入や、外部への切削液や切り粉の飛散を許してしまう。また、工作機械が内部に存在するドアの内側の面には、切削液や切り粉が付着し堆積していく。
したがって、工作機械の機械側ボディにワイパーを取り付けて、ドアと機械側ボディとの間にできる隙間をワイパーで塞ぐとともに、ドアの往復移動によりドアの内側の面に付着した異物をワイパーで拭き取っている(特許文献1、2参照)。ここで、ワイパーは、工作機械の機械側ボディに設けられ、ワイパー先端をドア面に対して略垂直に向けた状態でドア面に所定の押付量(例えば2mm)になるようにして固定される。すなわち、ワイパーにおける被清掃面は、ドアの機械側ボディに近接して対向する面であり、被取付体は機械側ボディ(その側面や上面、または、その両方(このときワイパーの往復移動方向に直交する断面の形状はL形))である。なお、押付量は、工作機械ごとの個別の設計値であるが、ドア面のうねり等起伏の有無や、拭き取り性と耐久性との両立、等を考慮して決定される。一般的には、押付量は、概ね2mm前後とされる。
ここで、このようなワイパーが取り付けられた工作機械のドアは、オペレータによる手動またはモータによる電動でスライドされるが、その際の往復移動するドア面とワイパーとの作動力が問題となる。即ち、オペレータによる手動またはモータによる電動で工作機械のドアがスライド開閉される場合、往復移動するドア面とワイパーとの摺動抵抗が過度に大きいと、ドアの引きが重くなり、ドアの開閉時(即ち、被清掃面の往復移動時)に大きな作動力を要してしまう。そして、ドアの開閉時に、作動力を余計に要する分、オペレータやモータの負荷が増してしまう。その一方で、ワイパーの押付量を下げたり、ワイパーの剛性を下げたりして、往復移動するドア面とワイパーとの摺動抵抗を小さくすると、ドアの引きを軽くできるが、グリスや切削油の付着によりワイパーが膨潤し易くなることや、工作機械から飛散した切り粉によるワイパーの裂け、欠け、めくれなどの損傷を受け易くなることがあり、ワイパーの拭き取り性や耐久性を損ねてしまう。
特開平04−013245号公報 特開2005−66376号公報
本発明は、上記のような課題を解決するものであり、対象物の被清掃面に対して直立姿勢で押し付けながら往復移動することにより、被清掃面に付着した異物を除去するワイパーであって、拭き取り性や耐久性を損なうことなく、対象物の往復移動時の作動力を抑制することができるワイパーを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく、対象物が往復移動する際のワイパーの挙動を誠意検討した結果、対象物の往復移動時の初期作動力を確実に抑制するためには、リップ部の先端部分にエッジ効果をもたせ、先端部分を主体としたリップ部分の剛性(以下、「先端剛性」と称する。)をさげることができればよいということを見いだして本発明を完成した。
すなわち、本発明に係るワイパーは、往復移動する工作機械の防護扉である対象物の被清掃面に対して直立姿勢で押し付けながら、被清掃面に付着した異物を除去するワイパーであって、前記被清掃面の直交方向に延在するように配置された取付部を有する本体部と、前記被清掃面に接触可能な端部を有するリップ部とが、長手方向の両面に互いに背向する溝として形成されるネック部を介して、直線状に前記被清掃面の直交方向に延在して一体化され、前記取付部以外の部分はゴム弾性体で形成されており、前記ゴム弾性体の硬さは、デュロメータA硬さで75〜85であり、前記リップ部は、前記ネック部から延在すると共に前記長手方向に直交する断面が前記ネック部から前記端部に向かって先細りする台形状に形成されるリップ基部と、前記リップ基部から突出して前記端部を形成すると共に前記長手方向に直交する断面が矩形状に形成されるリップ先端部とからなり、前記対象物が往復移動する際に、前記ネック部より端部側の前記リップ先端部を主体としたリップ部が弓なり状に弾性変形すると共に、前記ネック部から前記取付部の際までの前記本体部が弓なり状に弾性変形可能に構成されることを特徴とする。
本発明のワイパーによれば、本体部とリップ部は、ネック部を介して、直線状に被清掃面の直交方向に延在して一体化される。取付部は、本体部に被清掃面の直交方向に延在するように接合される。そして、ネック部より端部側のリップ先端部を主体にリップ部が大きく弓なり状に弾性変形することにより、ワイパーの取付部の際から端部にかかる押付量を吸収する。即ち、リップ先端部を主体としたリップ部の剛性の大小が、対象物の作動力(摺動抵抗)の大小に影響すると想定される。被清掃面に接触する端部を形成するリップ先端部の長手方向に直交する断面を矩形状の形状とすることにより、リップ部の端部にエッジ効果を付与して、被清掃面に即座にグリップできる。同時に、被清掃面の往復移動時の作動力と密接な関係にある押付初期の先端剛性を抑制して、しなやかに変形させて反転させうる。さらに、ネック部から取付部の際までの本体部も弓なり状に弾性変形可能に構成される。これにより、被清掃面が往復移動方向のいずれか一方の側へ移動中において、ワイパーは、リップ先端部より本体部の取付部の際までの部分について、取付部よりも一方の側に向かって弓なり状に弾性変形した形態になる。被清掃面の移動方向が変わり、被清掃面が往復移動方向の他方の側へ移動する際には、ワイパーは、リップ先端部より本体部の取付部の際までの部分について、取付部よりも他方の側に向かって弓なり状に弾性変形した形態になる。そして、ネック部より端部側の先端部を主体にリップ部が大きく弓なり変形しても押付量を吸収しきれない場合であっても、かかる押付量を吸収することができる。これにより、対象物の往復移動時の作動力を確実に抑制することができる。また、ワイパーを形成するゴム弾性体の硬さをデュロメータA硬さで75〜85とすることにより、ワイパーの拭き取り性や耐久性を確保できる。即ち、リップ部の先端部分(リップ先端部)の剛性を容易に下げるためにゴム弾性体の硬さを低くしすぎると、リップ先端部と被清掃面との摩擦係数が上昇してしまい、摺動抵抗の抑制に対する効果が相殺されるので、対象物の作動力を確実に抑制できなくなる。また、リップ先端部の耐摩耗性が悪化するほか、工作機械のドア用ワイパーの場合、飛散した切り粉によるリップ部の裂け、欠け、めくれなどの損傷を受け易くなることがあり、また、グリスや切削油の付着によりリップ部が膨潤し易くなり、拭き取り性や耐久性を損ねることがある。そこで、ワイパーを形成するゴム弾性体のゴム硬さをデュロメータA硬さで75〜85とすることにより、ワイパーに拭き取り性・耐摩耗性・耐損傷性等の耐久性を確実に併せ持つことができる。以上より、拭き取り性や耐久性を損なうことなく往復移動時の作動力を確実に抑制できるワイパーを提供できる。
ここで、硬さは、JIS K6253(2012)準拠のタイプAデュロメーター(ゴム硬さ計)により測定した値である。
また、往復移動する対象物が工作機械の防護扉である。これにより、動力を確実に抑制して、工作機械内部への異物の侵入及び工作機械から発生した切削液や切り粉等の飛散を防止するべく防護扉と工作機械の隙間を素早く塞ぐことができる。また、拭き取り性や耐久性を損なうことなく、防護扉に付着した異物を拭き取ることができる。
上記ワイパーにおいて、前記リップ先端部の延在方向の長さL1は、前記リップ先端部の往復移動方向の幅W1に対し、1≦L1/W1≦3の範囲を満たして良い。
L1/W1が1より小さいと、先端剛性が大きくなり作動力が高くなる。また、L1/W1が3より大きいと、先端剛性が低下して拭き取り性が低下する。従って、1≦L1/W1≦3の範囲を満たすことにより、ワイパーのリップ部がしなやかに変形して反転することができる。
上記ワイパーにおいて、前記リップ基部の前記台形状に先細りとなる長手方向の両面のなすリップ角度αは、10〜22度の範囲にあり、
前記リップ部の延在方向の長さL0は、前記リップ先端部の延在方向の長さL1に対し、6≦L0/L1≦8の範囲を満たして良い。
リップ角度αが22より大きいと、リップ部が弓なり状に変形しにくくなり、ビビリ音が発生する可能性がある。また、リップ角度αが10より小さいと、先端剛性が低下して拭き取り性が低下する。同様に、L0/L1が6より小さいと、リップ部が弓なり状に変形しにくくなり、ビビリ音が発生する可能性がある。また、L0/L1が8より大きいと、先端剛性が低下して拭き取り性が低下する。従って、リップ基部の長手方向の両面のなすリップ角度αが10〜22度の範囲であり、6≦L0/L1≦8の範囲を満たすことにより、リップ部が適度に弓なり状に弾性変形し、先端剛性を抑制すると共に、拭き取り性や耐久性を確保することができる。
上記ワイパーにおいて、前記対象物の往復移動の初期動作時又は往復移動の方向切り替わり時に、前記被清掃面に対して往復移動方向のいずれか一方に傾斜して接触する前記リップ先端部の傾斜の向きが反転して良い。
初期作動力と往復移動の方向切り替わり時のリップ先端部の傾斜の向きが反転する際は、往復移動の作動中と比較してより大きい作動力を要するため、初期作動力や往復移動の方向切り替わり時においても拭き取り性や耐久性を損なうことなく、往復移動の方向切り替わり時の作動力を確実に抑制できるワイパーを提供できる。
上記ワイパーにおいて、前記本体部は、前記取付部の近傍部分に補強部材を配合して形成され、前記ネック部および前記リップ部は、補強部材を配合しないで形成されて良い。
これにより、ネック部およびリップ部が、可撓性を備えることができる。
以上の説明に述べたように、本発明によれば、往復移動する対象物の被清掃面に対して直立姿勢で押し付けることにより、被清掃面に付着した異物を除去するワイパーであって、拭き取り性や耐久性を損なうことなく、対象物の往復移動時の作動力を抑制することができるワイパーを提供することができる。
本実施形態に係るワイパーを示す斜視図である。 本実施形態に係るワイパーの寸法を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は斜視図である。 本実施形態に係るワイパーの挙動を(a)〜(d)の順に連続的に示す断面図である。 本実施例に係るワイパーの先端剛性を測定するオートグラフを示す模式図である。 本実施例に係るワイパーの摺動抵抗を測定する測定器を示す模式図である。 本実施例に係るワイパーについて測定された押付量と先端剛性の関係を示すグラフである。
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施形態に係るワイパーは、多軸制御式の複合加工機などマシニングセンタと称される自動運転方式の工作機械の防護扉(以下、「ドア」と称する。)等に用いられる。
[ワイパーの構成]
まず、図1及び図2に基づいて、本実施形態に係るワイパーについて説明する。図1は、本実施形態に係るワイパーを示す斜視図である。図2は、本実施形態に係るワイパーの寸法を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は斜視図である。本実施形態に係るワイパー1は、往復移動する対象物の被清掃面(図示せず)に対して直立姿勢で押し付けることにより、被清掃面に付着した異物を除去するものである。
図1に示すように、ワイパー1は、取付部11を有する本体部10と、被清掃面に接触可能な端部24を有するリップ部20とが、長手方向の両面12に互いに背向する溝として形成されるネック部2を介して、直線状に延在して一体化されて形成されている。
ワイパー1の取付部11以外の部材(即ち、本体部10、ネック部2及びリップ部20)は、ゴム弾性体で形成される。ゴム弾性体は、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレン・プロピレンジエンモノマー(EPDM)等を主成分とするゴム組成物からなる。ゴム組成物は、通常、補強のためのカーボンブラック、老化防止剤、可塑剤、加硫促進剤、加硫剤等の配合剤が配合される。また、短繊維等の補強部材は、本体部10における取付部11近傍部分には配合してもよいが、ネック部2及びリップ部20には可撓性が求められるため配合しない。
ワイパー1を形成するゴム弾性体の硬さは、デュロメータA硬さで75〜85である。ゴム弾性体の硬さをデュロメータA硬さで75〜85とすることにより、摺動抵抗に直結する摩擦係数を確実に抑制でき、拭き取り性・耐摩耗性・耐損傷性等の耐久性を確実に併せ持つことができる。硬さは、JIS K6253(2012)準拠のタイプAデュロメーター(ゴム硬さ計)により測定した。
本体部10には、金属板からなる取付部11が、被清掃面の直交方向に延在するように、接着剤により接合されている。そして、ワイパー1は、この取付部11を介して、取付部11は図示しない工作機械、特には、ドアの被清掃面に近接して対向する機械側のボディに固定される。通常は、ワイパー1の取付部11に設けられた複数の取付孔部(図示なし)にボルトを通して締結される。尚、ワイパー1に金属製の取付部11が接合される必要は必ずしもなく、ワイパー1の取付部11が工作機械を構成する金属部品に取って代わる取付形態も可能である。
ネック部2は、図2(b)に示すように、本体部10及びリップ部20の長手方向(図1における紙面右上方向且つ手前から奥方向)の両面12に互いに背向する溝として形成される。即ち、ネック部2は、本体部10及びリップ部20の長手方向の両面12が適度にくびれた形状をしており、ワイパー1に適度な屈曲性と弾性を付与するものである。
リップ部20は、図1に示すように、リップ基部21とリップ先端部22とから構成される。リップ基部21は、ネック部2から延在して長手方向に直交する断面(図1における紙面)が、ネック部2から端部24に向かって先細りする台形状に形成される。また、リップ先端部22は、リップ基部21から突出して端部24を形成して、長手方向に直交する断面が矩形状に形成される。
ここで、図2(a)及び(b)に示すように、ワイパー1の寸法について定義する。即ち、ワイパー1の延在方向の全長をL、リップ部20の延在方向の長さをL0、リップ先端部22の延在方向の長さをL1、ネック部2の延在方向の長さをL2、本体部10の延在方向の長さをL3、本体部10の長手方向の長さをL4、取付部11の延在方向の長さをL5、背面部のゴムの厚みをL6とする。また、本体部10の往復移動方向の幅をW、端部24の往復移動方向の幅をW1、リップ基部21の往復移動方向の最大幅(ネック部2側の幅)をW2、ネック部2の往復移動方向の最小幅をW3、取付部11の往復移動方向の幅をTとする。更に、リップ基部21の台形状に先細りとなる長手方向の両面12のなすリップ角度をαとする。
本実施形態に係るワイパー1のリップ先端部22の延在方向の長さL1は、リップ先端部22の往復移動方向の幅W1に対し、1≦L1/W1≦3の範囲を満たすことが好ましい。L1/W1が1より小さいと、先端剛性が大きくなり作動力が高くなる。また、L1/W1が3より大きいと、先端剛性が低下して拭き取り性が低下する。従って、1≦L1/W1≦3の範囲を満たすことにより、ワイパーのリップ部がしなやかに変形して反転することができる。
また、本実施形態に係るワイパー1のリップ角度αは、10〜22度の範囲にあることが好ましい。リップ角度αが22より大きいと、リップ部が弓なり状に変形しにくくなり、ビビリ音が発生する可能性がある。また、リップ角度αが10より小さいと、先端剛性が低下して拭き取り性が低下する。また、本実施形態に係るワイパー1のリップ部20の延在方向の長さL0は、リップ先端部22の延在方向の長さL1に対し、6≦L0/L1≦8の範囲を満たすことが好ましい。L0/L1が6より小さいと、リップ部が弓なり状に変形しにくくなり、ビビリ音が発生する可能性がある。また、L0/L1が8より大きいと、先端剛性が低下して拭き取り性が低下する。従って、リップ基部21の長手方向の両面のなすリップ角度αが10°から22°の範囲であり、6≦L0/L1≦8の範囲を満たすことにより、リップ部20が適度に弓なり状に弾性変形し、先端剛性を抑制すると共に、拭き取り性や耐久性を確保することができる。
尚、本実施形態に係るワイパー1は、対象物の被清掃面に対してリップ部20を押し付けながら、対象物を往復移動させて被清掃面を拭き取るワイパー1である。従って、取付部11を含む本体部10と往復移動方向に対称なリップ部20とが、両面12がくびれたネック部2を介して直線状に延在した構成で、所定の押付量にて被清掃面に略直角に押し付けられる。即ち、往復移動する被清掃面に対して、直立姿勢を保つように、ワイパー1が設けられる。
[ワイパーの挙動]
次に、本実施形態に係るワイパー1の挙動について、図3に基づいて説明する。図3は、本実施形態に係るワイパー1の挙動を示す断面図であり、(a)〜(d)の順にワイパー1の挙動を連続的に示している。図3では、往復移動する対象物(例えばドア)の被清掃面5に対して、ワイパー1を押付量2mmで押し付けている。
図3(a)に示すように、被清掃面5が往復移動方向のいずれか一方の側(紙面右側)へ移動中において、ワイパーは、摺動抵抗により、リップ部20のリップ先端部22も被清掃面の移動方向側である一方の側に引きずられる。そして、ワイパー1の端部24は一方の側に露出すると共に、一方の側の最も遠い位置にずれて傾斜する。従って、ワイパー1は、リップ部20の先端部22より本体10の取付部11の際までの部分について、取付部11よりも一方の側に向かって弓なり状に弾性変形した形態を呈する。
次に、図3(b)に示すように、被清掃面5の移動方向が変わり、被清掃面5が往復移動方向の他方の側(紙面左側)へ移動する際には、ワイパー1のリップ部20は図3(a)と反対方向の摺動抵抗を受ける。そして、ワイパー1は、摺動抵抗により、被清掃面5に接触しているリップ部20の先端部22が、被清掃面の移動方向側である他方の側へ引きずられ始める。
次に、図3(c)に示すように、ワイパー1のリップ部20の端部24が被清掃面5に当接してグリップするやいなや、リップ部20の端部24が一瞬つま先立つような姿勢となる(端部24が支点となって踏ん張る格好)。この挙動は、本実施形態に係るワイパー1のように、往復移動する対象物の被清掃面5に直立姿勢で押し付けて、被清掃面5に付着した異物を拭き取る機能を備えるワイパー1にとっての特有の挙動である。尚、図3(c)に示す挙動は、ワイパー1の押付量が浅い(例えば押付量1mm)場合は、ワイパー1の長手方向においてほぼ同時に起こり得る。しかしながら、通常条件の押付量(例えば押付け量2mm)の場合は、押付量が浅い場合よりもワイパー2の端部24から取付部11際までの部分にかかる圧縮度合が大きいため、比較的拘束の緩いワイパー1の長手方向における端部(片方の端部または両端部)から始まり、比較的拘束が強いワイパー1の長手方向における中央部分は遅れて起こる。
そして、図3(d)に示すように、リップ部20の先端部22の位置が、本体10の取付部11の位置より被清掃面5の移動方向側である他方の側に侵入すると、ワイパー1は、摺動抵抗を受けて、リップ部20の端部24が他方の側に引きずられて、他方の側に反転する。そして、ワイパー1の端部24は他方の側に露出すると共に、他方の側の最も遠い位置にずれて傾斜する。従って、ワイパー1は、リップ部20の先端部22より本体10の取付部11の際までの部分について、取付部11よりも他方の側に向かって弓なり状に弾性変形した形態を呈する。即ち、図3(d)に示すワイパー1の他方の側へ移動中の挙動は、図3(a)に示すワイパー1の一方の側へ移動中の挙動と対称形の弓なり状となる。
図3に示すワイパー1の挙動から、次のことが分かる。対象物の作動力に直結する摺動抵抗が最大となるのは、先端部22が被清掃面5に当接してグリップした図3(c)の状態から、先端部22が反転した後の図3(d)の状態へ移る間、ちょうどリップ部20の端部24が固定端である取付部11の真下に差し掛かったとき、と推察される。なぜならば、被清掃面5に当接してグリップしたリップ部20の端部24が固定端である取付部11の真下に入ったときが、リップ部20の端部24と取付部11際までの距離が最小となり、ワイパー1の取付部11際から端部24にかかる圧縮が理論上最大となるからである。このとき、ネック部2より端部24側の先端部22を主体にリップ部20が大きく弓なり変形して、押付量2mmを吸収する(図示せず)。即ち、先端部22を主体としたリップ部20の剛性の大小が、対象物の作動力(摺動抵抗)の大小に影響すると想定される。尚、ネック部2より端部24側の先端部22を主体にリップ部20が大きく弓なり変形しても、吸収しきれない場合は、ネック部2から取付部11際までの本体部10も弓なり変形すると想定される(図示せず)。
以上から、対象物の往復移動時の作動力を確実に抑制するためには、対象物の進行方向が変わる際の図3(c)〜(d)おけるワイパーの挙動、即ち、「リップ部の先端部分が被清掃面に対しグリップするやいなや、つま先立ち、被清掃面の移動方向に反転する挙動」における作動力を抑える必要があることが分かる。
そして、図3(c)〜(d)に示す挙動における作動力を抑えるためには、ワイパー1は、リップ部20の先端部22が即座にグリップでき、かつ、リップ部20の先端部22がしなやかに変形して反転できることが望まれる。ここで、「リップ部20の先端部22が即座にグリップできる」ためには、リップ部20の先端部22の断面形状が備えるエッジ効果が影響する。また、「リップ部20の先端部22がしなやかに変形して反転できる」ためには、リップ部20の先端部22を主体としたリップ部20の剛性が影響する。従って、リップ部20の先端部22にエッジ効果をもたせると共に、リップ部20の先端部22を主体としたリップ部20の剛性を下げるべく、リップ部20の先端部22の断面を矩形形状とすればよいことが分かる。
尚、押付量と先端剛性との関係から、被清掃面に直立姿勢で各部位が直線状に延在するワイパー1を押し付けて、リップ部20の先端24のみが被清掃面に当接する状態である押付初期が、先端剛性が最大となることが分かっている。そこで、リップ部20の先端部22を主体としたリップ部20の剛性が下がり、対象物の往復移動時の作動力を確実に抑制できるか検証する際には、先端剛性が最大となる押付初期での先端剛性を測定すればよい。
以上のように、本実施形態に係るワイパー1によれば、被清掃面に接触する端部24を形成するリップ先端部22の長手方向に直交する断面を矩形状の形状とすることにより、リップ部20の端部24にエッジ効果を付与して、被清掃面に即座にグリップできる。同時に、被清掃面の往復移動時の作動力と密接な関係にある押付初期の先端剛性を確実に抑制して、しなやかに変形させて反転させうる。これにより、対象物の往復移動時の作動力を確実に抑制することができる。また、ワイパー1を形成するゴム弾性体の硬さをデュロメータA硬さで75〜85とすることにより、ワイパー1の拭き取り性や耐久性を確保できる。即ち、リップ部20の先端部22の剛性を容易に下げるためにゴム弾性体の硬さを低くしすぎると、リップ部20の先端部22と被清掃面との摩擦係数が上昇してしまい、摺動抵抗の抑制に対する効果が相殺されるので、対象物の作動力を確実に抑制できなくなる。また、リップ部20の先端部22の耐摩耗性が悪化するほか、工作機械のドア用ワイパーの場合、飛散した切り粉によるリップ部20の裂け、欠け、めくれなどの損傷を受け易くなることがあり、また、グリスや切削油の付着によりリップ部20が膨潤し易くなり、拭き取り性や耐久性を損ねることがある。そこで、ワイパー1を形成するゴム弾性体のゴム硬さをデュロメータA硬さで75〜85とすることにより、ワイパー1に拭き取り性・耐摩耗性・耐損傷性等の耐久性を確実に併せ持つことができる。以上より、拭き取り性や耐久性を損なうことなく往復移動時の作動力を確実に抑制できるワイパー1を提供できる。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態及び実施例に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態及び実施例の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
[ワイパーの材料及び寸法]
まず、本実施例で用いたワイパーの材料及び寸法について説明する。本実施例においては、実施例1〜3、比較例1〜3、及び参考例1〜6のワイパー1を作製した。
比較例1のワイパー1について、取付部11以外の本体部10、ネック部2、リップ部20のゴム配合は、NBR100質量部、FEFカーボンブラック40質量部、プロセスオイル10質量部、硫黄2.5質量部、加硫促進剤1.5質量部である。また、実施例1及び参考例6のワイパー1については、FEFカーボンブラックを50質量部とした以外は比較例1と同じゴム配合とした。実施例2、比較例2、3、及び参考例2〜5のワイパー1については、FEFカーボンブラックを60質量部とした以外は比較例1と同じゴム配合とした。実施例3及び参考例1のワイパー1については、FEFカーボンブラックを75質量部とした以外は比較例1と同じゴム配合とした。実施例1〜3、比較例1〜3、及び参考例1〜6のワイパー1について、これらをバンバリーミキサーで均一に混合した後、カレンダーロールによって6mm厚さのゴムシートを作製し、未加硫ゴムシートを作製した。また、実施例1〜3、比較例1〜3、及び参考例1〜6のワイパー1について、取付部11は、厚さ1.6mmの鉄板(冷間圧延鋼材(SPCC))である。
そして、下型に設けたキャビティ底面に取付部11となる鉄板をまず配置し、その上に作製した未加硫ゴムシートを配置する。尚、未加硫ゴムシートは、厚さ6mmで、シート長さは長手方向の面12の長さと略同じ、シート幅は投入量で調整した。その後、下型に設けたキャビティに対応するキャビティを有する上型を組み合わせて型閉めする。そして、所定時間、加熱加圧して未加硫ゴムシート部分を加硫して得られた成形体を脱型して実施例1〜3、比較例1〜3、及び参考例1〜6のワイパー1を成形した。
尚、ゴム配合が異なるため、ゴム弾性体の硬さ(デュロメータA硬さ)は、比較例1のワイパー1については約70、実施例1及び参考例6のワイパー1については約75、実施例2、比較例2、3、及び参考例2〜5のワイパー1については約80、実施例3及び参考例1のワイパー1については約85となった。尚、取付部11はゴムとの密着性を高めるため、加硫の前工程で加硫接着剤をゴム層と対向する面に公知の方法、条件にて塗布・乾燥させるとよい。また、ネック部2は、応力集中による引き裂きを防止するため、くびれた部分(溝の部分)の底面と各側面とを曲面(R0.1mm)で繋ぐ形態としている。
また、実施例1〜3、比較例1〜3、及び参考例1〜6のワイパー1について、寸法を、本体部10の往復移動方向の幅Wを2mm、リップ基部21の往復移動方向の最大幅W2を2.2mm前後、ネック部2の往復移動方向の最小幅W3を1mm、ネック部2の延在方向の長さL2を1mm、本体部10の延在方向の長さL3を28mm、本体部10の長手方向の長さL4を120mm、取付部11の延在方向の長さL5を20mm、背面部のゴムの厚みL6を0.5mmとした。
また、端部24の往復移動方向の幅W1については、実施例1は0.3mm、実施例2、比較例3、及び参考例2〜5は0.5mm、実施例3及び比較例1、2は0.8mm、参考例6は0.9mm、参考例1は0.2mmとした。また、リップ基部21の往復移動方向の最大幅W2については、実施例1〜3、比較例1〜3、参考例4、6は2.2mm、参考例1は1.8mm、参考例2は1.7mm、参考例3は2.1mm、参考例5は2.3mmとした。また、リップ部20の延在方向の長さL0は、実施例1は7.2mm、実施例2は7mm、実施例3は4.8mm、比較例1、2は5mm、比較例3は7mm、参考例1は4.8mm、参考例2は3.6mm、参考例3は5mm、参考例4は9mm、参考例5は12mm、参考例6は10.1mmとした。また、リップ先端部22の延在方向の長さL1は、実施例1は0.9mm、実施例2は1mm、実施例3は0.8mm、比較例1〜3は0mm、参考例1は0.6mm、参考例2は0.45mm、参考例3、4は1mm、参考例5は2mm、参考例6は2.7mmとした。
そして、リップ基部21の台形状に先細りとなる長手方向の両面12のなすリップ角度αを、実施例1は17.2°、実施例2は16.1°、実施例3は19.9°、比較例1、2は16°、比較例3は13.9°、参考例1〜3は22°、参考例4は12.1°、参考例5、6は10°とした。
以上から、実施例1〜3、比較例1〜3、及び参考例1〜6のワイパー1の形状について、それぞれ、下記の特徴が挙げられる。
実施例1は、リップ先端部22有、端部24の往復移動方向の幅W1を望ましい範囲の下限寸法とした(0.3mm)。
実施例2:リップ先端部22有、端部24の往復移動方向の幅W1を好適な寸法とした(0.5mm)。
実施例3:リップ先端部22有、端部24の往復移動方向の幅W1を望ましい範囲の上限寸法とした(0.8mm)。
比較例1:リップ先端部22無。リップ角度16°、ゴム弾性体の硬さは70として比較例の基準とした。
比較例2:リップ先端部22無、比較例1と寸法は同じである。比較例1との相違点は、ゴム弾性体の硬さが80であることである。
比較例3:リップ先端部22無、端部24の往復移動方向の幅W1およびリップ部20の延在方向の長さを、実施例で好適な寸法とした(各々0.5mm、7mm)。
参考例1:リップ先端部22有、端部24の往復移動方向の幅W1を極端に小さくした(0.2mm)。
参考例2:リップ先端部22有、端部24の往復移動方向の幅W1を実施例で好適な寸法としたうえで、リップ先端部22の延在方向の長さと端部24の往復移動方向の幅の比L1/W1を、極端に小さくした(比率0.9、リップ先端部22は太短)。
参考例3:リップ先端部22有、端部24の往復移動方向の幅W1を実施例で好適な寸法としたうえで、リップ部20の延在方向の長さとリップ先端部22の延在方向の長さの比L0/L1を、極端に小さくした(比率5)。
参考例4:リップ先端部22有、端部24の往復移動方向の幅W1を実施例で好適な寸法としたうえで、リップ部20の延在方向の長さとリップ先端部22の延在方向の長さの比L0/L1を、極端に大きくした(比率9)。
参考例5:リップ先端部22有、端部24の往復移動方向の幅W1を実施例で好適な寸法としたうえで、リップ先端部22の延在方向の長さと端部24の往復移動方向の幅の比L1/W1を、極端に大きくした(比率4、リップ先端部22は細長)。
参考例6:リップ先端部22有、端部24の往復移動方向の幅W1を極端に大きくした(0.9mm)。
[先端剛性の測定試験]
実施例、比較例、及び参考例のワイパー1について、それぞれ、先端剛性を測定した。先端剛性の測定試験では、図4に示すように、オートグラフ30にワイパー1を取り付け、テーブル31上にリップ部20を押付けて、押付量(mm)と先端剛性(N/cm)の関係を求める。測定条件は、圧縮速度10mm/min、直立姿勢、押付量(圧縮変位量)0.25mm、室温25±2℃である。なお、押付量(圧縮変位量)は、押付量(mm)と先端剛性(N/cm)との関係を把握するため、最大4.5mmまで範囲を広げて測定した。
そして、押付量0.25mmにおける比較例1の先端剛性の値(1.3N/cm)を基準として、先端剛性が1.1N/cm以下のものは優れるとして◎、1.1N/cmを超え1.5N/cm以下のものは同等として○、1.5N/cmを超え2.0N/cm以下のものは劣るとして△、2.0N/cmを超えるものは非常に劣るとして×と評価した。
先端剛性の測定試験の結果を、表2に示す。
尚、参考までに、実施例1〜3及び比較例1〜3について、押付量を変化させた場合の先端剛性を測定した。その結果を表1に示す。尚、表1では、実施例1〜3については先端剛性の値が近い値になるため、実施例2のみ全ての押付量に対する先端剛性を記載し、実施例1、3は押付量0.25mm及び2mmの場合のみ記載した。
表1に示す押付量と先端剛性との関係を図6に示す。図6から以下のことが分かる。
押付量が0.25mmの場合に、実施例1〜3及び比較例1〜3の先端剛性が最大になった。このことから、往復移動する対象物の被清掃面に直立姿勢で押し付けて、被清掃面に付着した異物を拭き取る機能を備えるワイパー1は、押付初期に先端剛性が最大になることが読み取れる。従って、この押付初期の先端剛性が低いほど、リップ部20の先端部22がしなやかに変形して反転させ得ることを示している。
また、押付量が0.5〜3.5mmの場合には、押付量が増加しても押付初期に比べて、先端剛性は低下した水準で推移していることが分かる。即ち、押付量が増加しても、ネック部2が屈曲変形し、且つ、リップ部20が弓なり状に弾性変形していることを示している。尚、先端剛性が低すぎると、拭き取り性に影響することがある。
[摺動抵抗の測定試験]
また、実施例、比較例、及び参考例のワイパー1について、それぞれ、摺動抵抗を測定した。摺動抵抗の測定試験では、ワイパー1を所定の押付量で一方の側へ被清掃面を移動させたあと、所定の押付量を維持したまま、正反対の他方の側へ被清掃面を移動させた際(リップ部反転時)の最大値を測定する。具体的には、図5に示すように、室温下(25℃)でガイド40により鉛直方向に案内されたワイパー1を、ステンレス板41に押付量2mmで押さえつけて、リップ部20の先端部22をステンレス板41に接触させた状態で、ステンレス板41を水平方向に速度50mm/分で一方の側へ移動させた後、停止させた。次に、そのまま押付量2mmを維持した状態で、正反対の他方の側へ、ステンレス板41を水平方向に速度50mm/分で移動させた。この正反対の他方の側へ被清掃面を移動させた際(リップ部反転時)の、ワイパー1に作用する水平方向の力の最大値をロードセル42で測定し、摺動抵抗(N/cm)とした。測定条件は、直立姿勢で、押付量2mm、室温25±2℃である。
そして、押付量2mmにおける、実体モデルでの官能評価(即ち、オペレータによる手動操作による工作機械用ドア開閉時の初期作動力に関する評価。詳細な説明は省略する。)で許容限界とされる比較例1の値(1.2N/cm)を基準として、摺動抵抗が0.6N/cm以下のものは非常に優れるとして◎、0.6N/cmを超え0.9N/cm以下のものは優れるとして○、0.9N/cmを超え1.2N/cm以下のものは同等として△、1.2N/cmを超えるものは×として評価した。即ち、摺動抵抗が0.6N/cm以下、及び0.6N/cmを超え0.9N/cm以下のものは、◎及び○と評価され、往復移動時の初期作動力を確実に抑制できているものである。
摺動抵抗の測定試験の結果を、表2に示す。
尚、以下の表2に示す摺動抵抗の測定値の結果から、摺動抵抗は、先端剛性と摩擦係数の兼ね合いで決まることが分かる。
[拭き取り性・耐久性の測定試験]
また、実施例、比較例、及び参考例のワイパー1について、それぞれ、拭き取り性・耐久性を測定した。拭き取り性・耐久性の測定試験では、ワイパー1を所定の押付量で被清掃面に対して、1往復250cmを40万回(総移動距離1000km)、往復移動させたあと(図示せず)、被清掃面の拭き取り状態、リップ部の状態(損傷の有無、異音の有無等)を測定した。測定条件は、直立姿勢、押付量2mm、長手方向の面の長さ120mm、往復移動速度50m/分、切削油有り、切り粉有り、室温25±2℃とした。ここで、切削油は、JIS K2241(2000)準拠の水溶性切削油剤A1種(シンセティックタイプ)とし、水道水で約20倍に希釈したものを、約20cc/分の割合で被清掃面上に滴下して被清掃面上に油膜が途切れないようにした。
そして、拭き取り性の評価として、被清掃面の拭き取り状態を目視により観察し、切り粉拭き残し無しのものは評価○、切り粉拭き残しが部分的に有るものは評価△、切り粉拭き残しが顕著なものは評価×として評価した。また、耐久性の評価として、リップ部の状態を目視により観察し、割れや欠け等の損傷が無いものは評価○、割れや欠け等兆候のみであって異音等軽微な不具合が有るものは評価△、割れや欠け等の損傷等重大な不具合が有るものは評価×として評価した。
拭き取り性・耐久性の測定試験の結果を、表2に示す。
[動摩擦係数の測定試験]
また、また、実施例、比較例、及び参考例のワイパー1について、それぞれ、動摩擦係数を測定した。動摩擦係数の測定試験では、動摩擦係数(μ)は、クーロンの経験則により、押付量2mmにおける(摺動抵抗/先端剛性)として算出した。測定条件は、押付け量2mmである。
動摩擦係数の測定試験の結果を、表2に示す。
[測定試験の結果]
以上に説明した通り、実施例、比較例、及び参考例のワイパー1について、先端剛性、摺動抵抗、拭き取り性・耐久性、動摩擦係数の測定試験の結果を、表2に示す。
表2に示す結果から、往復移動する対象物の被清掃面に直立姿勢で押し付けて、被清掃面に付着した異物を拭き取る機能を備えるワイパーにおいて、実施例1〜3については、先端剛性、摺動抵抗、拭き取り性・耐久性が全て優れており、動摩擦係数も抑えられ、拭き取り性・耐久性を損なうことなく対象物の往復移動時の作動力、特には往復移動時の初期作動力を確実に抑制できることがわかった。その一方、比較例1〜3については、先端剛性、摺動抵抗、拭き取り性・耐久性のいずれかが劣っており、また、動摩擦係数が上昇しており、拭き取り性・耐久性を損なうことなく対象物の往復移動時の作動力、特には往復移動時の初期作動力を確実に抑制できないことがわかった。また、参考例1〜6については、先端剛性、拭き取り性・耐久性のいずれかが劣る場合があったが、摺動抵抗が劣るものはなく、動摩擦係数は抑えられており、対象物の往復移動時の作動力、特には往復移動時の初期作動力を抑制できていることがわかった。
[考察]
表2に示す結果から、ワイパー1の各部について、下記の働きがあることが分かった。
リップ先端部22は、比較例1のワイパーの先端剛性の値を基準として、リップ先端部22がある実施例1〜3及び参考例1〜6のワイパー1が、リップ先端部22がない比較例2、3に比べて、先端剛性が抑制できている。以上から、リップ先端部22が長手方向に直交する断面形状を矩形状にすることにより、エッジ効果(グリップ)が付与でき、先端剛性を確実に抑制できていることが分かった。
端部24の往復移動方向の幅W1は、実施例1〜3のワイパー1の先端剛性の測定結果に基づくと、W1が狭いほど先端剛性は小さい。また、W1が0.2mmである参考例1のワイパー1ではリップ欠けの兆候があった。また、W1が0.9mmである参考例6のワイパー1は、先端剛性の評価が△であった。以上から、先端剛性の抑制と拭き取り性・耐久性を確保するためには、端部24の往復移動方向の幅W1が、0.3〜0.8mであり、0.5m程度が好適であることが分かった。
リップ先端部22の延在方向の長さと端部24の往復移動方向の幅の比L1/W1について、0.9である参考例2のワイパー1では先端剛性の評価が△であった。また、4である参考例5のワイパー1では、先端剛性が過度に低下し拭き取り性の評価が△(部分的に拭き残り有り)であった。以上から、リップ部20をしなやかに変形して反転させることにより、先端剛性を抑制するためには、リップ先端部22の延在方向の長さと端部24の往復移動方向の幅の比L1/W1が、1〜3であり、2程度が好適であることが分かった。
リップ部20の延在方向の長さとリップ先端部22の延在方向の長さの比L0/L1について、5である参考例3のワイパー1は、弓なり変形不足からビビリ音が有った。また、9である参考例4のワイパー1は、先端剛性が過度に低下し拭き取り性の評価が△(部分的に拭き残り有り)であった。以上から、ワイパー1が適度な弓なり状に弾性変形して、先端剛性の抑制と拭き取り性・耐久性の確保するためには、リップ部20の延在方向の長さとリップ先端部22の延在方向の長さの比L0/L1が、6〜8であり、7程度が好適であることが分かった。
リップ基部21の台形状に先細りとなる長手方向の両面12のなすリップ角度αについて、αが22度である比較例5のワイパー1は、先端剛性の評価が△である。また、αが10°である参考例5のワイパー1は、拭き残りが部分的にあった。また、αが22度である参考例3のワイパー1は、ビビリ音が生じた。そこで、ワイパー1が適度な弓なり状に弾性変形して、先端剛性の抑制と拭き取り性・耐久性を確保するためには、リップ角度αは、リップ先端部22の延在方向の長さと端部24の往復移動方向の幅の比L1/W1、リップ部20の延在方向の長さとリップ先端部22の延在方向の長さの比L0/L1との兼ね合いから10〜22度であり、16度程度が好適であることが分かった。
ゴムの硬さについて、デュロメータA硬さが70である比較例1のワイパー1は、80である比較例2のワイパー1に比べ、先端剛性の評価は〇であるが、先端剛性が低下して、摺動抵抗の評価が△となり、摩擦係数を確実に抑制できることにはならなかった。これは、デュロメータA硬さが70である比較例1のワイパー1は、80である比較例2のワイパー1に比べ、動摩擦係数が上昇したからであると推測される。また、デュロメータA硬さが70である比較例1のワイパー1は、拭き取り性・耐久性の測定試験において、拭き残りが部分的にあった。これは、切削油の付着により、デュロメータA硬さが70である比較例1のワイパー1は、80である比較例2のワイパー1に比べ、リップ部(特には、その端部)の膨潤が進行したからであると推測される。以上から、ワイパー1の摺動抵抗に直結する摩擦係数を抑制して、耐摩耗性・耐損傷性等、拭き取り性・耐久性を確保するためには、ゴムの硬さの範囲を、デュロメータA硬さで75〜85とすると良いことが分かった。
以上より、往復移動する対象物の被清掃面に対して直立姿勢で押し付けることにより、被清掃面に付着した異物を除去するワイパーであって、拭き取り性や耐久性を損なうことなく、対象物の往復移動時の作動力を抑制するためには、リップ先端部22が長手方向に直交する断面形状を矩形状にし、端部24の往復移動方向の幅W1を0.3〜0.8m(0.5m程度が好適)とし、リップ先端部22の延在方向の長さと端部24の往復移動方向の幅の比L1/W1を1〜3(2程度が好適)とし、リップ部20の延在方向の長さとリップ先端部22の延在方向の長さの比L0/L1を6〜8(7程度が好適)とし、リップ角度αを10〜22度(16度程度が好適)とし、ゴムの硬さの範囲を、デュロメータA硬さで75〜85とすると良いことが分かった。
本発明を利用すれば、往復移動する対象物の被清掃面に対して直立姿勢で押し付けることにより、被清掃面に付着した異物を除去するワイパーであって、拭き取り性や耐久性を損なうことなく、対象物の往復移動時の作動力を抑制するワイパーを提供することができる。
1 ワイパー
2 ネック部
5 被清掃面
10 本体部
12 両面
20 リップ部
21 リップ基部
22 リップ先端部
24 端部

Claims (5)

  1. 往復移動する工作機械の防護扉である対象物の被清掃面に対して直立姿勢で押し付けながら、被清掃面に付着した異物を除去するワイパーであって、
    前記被清掃面の直交方向に延在するように配置された取付部を有する本体部と、前記被清掃面に接触可能な端部を有するリップ部とが、長手方向の両面に互いに背向する溝として形成されるネック部を介して、直線状に前記被清掃面の直交方向に延在して一体化され、
    前記取付部以外の部分はゴム弾性体で形成されており、
    前記ゴム弾性体の硬さは、デュロメータA硬さで75〜85であり、
    前記リップ部は、前記ネック部から延在すると共に前記長手方向に直交する断面が前記ネック部から前記端部に向かって先細りする台形状に形成されるリップ基部と、前記リップ基部から突出して前記端部を形成すると共に前記長手方向に直交する断面が矩形状に形成されるリップ先端部とからなり、
    前記対象物が往復移動する際に、前記ネック部より端部側の前記リップ先端部を主体としたリップ部が弓なり状に弾性変形すると共に、前記ネック部から前記取付部の際までの前記本体部が弓なり状に弾性変形可能に構成されることを特徴とするワイパー。
  2. 前記リップ先端部の延在方向の長さL1は、前記リップ先端部の往復移動方向の幅W1に対し、1≦L1/W1≦3の範囲を満たす、ことを特徴とする請求項1に記載のワイパー。
  3. 前記リップ基部の前記台形状に先細りとなる長手方向の両面のなすリップ角度αは、10〜22度の範囲にあり、
    前記リップ部の延在方向の長さL0は、前記リップ先端部の延在方向の長さL1に対し、6≦L0/L1≦8の範囲を満たす、ことを特徴とする請求項2に記載のワイパー。
  4. 前記対象物の往復移動の初期動作時又は往復移動の方向切り替わり時に、前記被清掃面に対して往復移動方向のいずれか一方に傾斜して接触する前記リップ先端部の傾斜の向きが反転する、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のワイパー。
  5. 前記本体部は、ゴム組成物で形成されると共に、前記取付部の近傍部分に補強部材を配合して形成され、
    前記ネック部および前記リップ部は、補強部材を配合しないゴム組成物で形成される、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のワイパー。
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