JP6018832B2 - ワイパーブレードゴム - Google Patents

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Description

本発明は、ワイパーブレードゴムに関する。
従来、自動車などの車両では、前方の視界を確保するため、フロントガラス面に付着した、雨滴、塵埃などを払拭するためにワイパー装置が利用されている。このワイパー装置は、フロントガラス面との接触位置にワイパーブレードゴムが装着されたワイパーブレードと、このワイパーブレードを往復運動させる駆動力を伝達するワイパーアームと、このワイパーアームを駆動する駆動用モータと、が接続されて構成される。
ワイパーブレードゴムに求められる性能として、ガラス面の拭き取り性能や、摩耗や亀裂が発生しないなどの耐久性や、払拭の際にいわゆるビビリ等による異音防止性能などが挙げられる。
従来、ワイパーブレードゴムは、天然ゴムなどを成形したものが用いられており(以下、熱可塑性エラストマーを含めてワイパーブレードゴムと称する場合がある。)、性能向上のため、ワイパーブレードゴム表面を塩素処理して改質し、硬化層を形成する方法が実施されていた。
また、ワイパーブレードゴム表面上に潤滑性のコーティング層を形成することで、摩擦係数を低下させる方法が実施されていた。
その他、特許文献1には、低摩擦性、ビビリ発生の抑制、拭き取り性、耐久性を向上させるべく、熱可塑性エラストマーに摺動性を有する充填剤を配合したワイパーブレードゴムが記載されている。
特開2002−79915号公報
しかしながら、上記塩素処理や、コーティング処理では、拭き取りを行っていくうちに硬化層やコーティング層が剥がれたり、摩耗したりして、下地のゴム層が露出し、急激な拭き性能の低下や摩擦係数の上昇によるビビリ・異音が生じる場合があった。
また、特許文献1に記載された熱可塑性エラストマー組成物または熱可塑性樹脂組成物を含むワイパーブレードゴムにおいては、乗用車におけるフロントガラス面とワイパーブレードゴムとの接触部位で、夏季には100℃近くにもなる環境をクリアし、さらにコスト的に実用となり得る組成物は限定されるため、拭き性能の維持や耐久性(特に、熱による変形)が十分ではなく、より優れた性能のワイパーブレードゴムが望まれている。
本発明の目的は、長期に亘り、ビビリ・異音の発生がなく、良好な拭き性能を維持することができるワイパーブレードゴムを提供することである。
本発明のワイパーブレードは、
熱硬化性エラストマーと、球状フィラーとを含み、
前記球状フィラーの平均粒子径が、0.1μm以上32μm以下であり、
前記球状フィラーの含有率が、1.0体積%以上40.2体積%以下であり、
少なくとも、払拭面について摩擦低減表面処理が施されており、
前記摩擦低減表面処理は、表皮除去処理および潤滑コーティング処理の少なくともいずれかである
ことを特徴とする。
本発明のワイパーブレードにおいて、
前記球状フィラーは、シリカ、グラファイト、ガラス、樹脂、および炭酸カルシウムからなる群から選択される少なくともいずれかである
ことが好ましい。
本発明のワイパーブレードゴムにおいて、
少なくとも、前記ワイパーブレードゴムの前記払拭面の動摩擦係数の初期値および耐久試験後の値が、1.8以下である
ことが好ましい。
なお、払拭面とは、ワイパーブレードゴムのリップ部において、ワイパーの払拭作動時に、払拭対象面(例えば、ガラス面)に接触する範囲であり、リップ部の側面に相当する。
本発明のワイパーブレードゴムにおいて、
前記摩擦低減表面処理として前記表皮除去処理が施され、前記球状フィラーの一部が、前記払拭面に露出している
ことが好ましい。
なお、表皮とは、ワイパーブレードゴム表面側に埋没している球状フィラーの表面を覆う部分である。
本発明のワイパーブレードゴムにおいて、
前記表皮除去処理は、レーザー照射によるものである
ことが好ましい。
本発明のワイパーブレードゴムにおいて、
前記摩擦低減表面処理として前記潤滑コーティング処理が施され、少なくとも前記払拭面に潤滑性コーティング層を備える
ことが好ましい。
本発明のワイパーブレードゴムにおいて、
前記摩擦低減表面処理として前記表皮除去処理が施され、
さらに、前記潤滑コーティング処理が施され、少なくとも前記払拭面に潤滑性コーティング層を備える
ことが好ましい。
本発明のワイパーブレードゴムによれば、化学表面処理および潤滑コーティング処理の少なくともいずれかの処理を施すこと無しに、長期に亘り、低い摩擦係数を実現し、ビビリ・異音の発生がなく、良好な拭き性能を維持できる。
また、さらに化学表面処理層の形成および潤滑コーティング層の形成の少なくともいずれかの処理を前記ワイパーブレードゴムに行った場合には、形成した層によって、より低い摩擦係数を実現して、ビビリ・異音の発生を防止し、良好な拭き性能を実現することができる。そして、形成した化学表面処理層や潤滑コーティング層が摩滅したとしても(両層を形成した場合には両層が摩滅したとしても)、下地のワイパーブレードゴムも上述のように、良好な拭き性能を発揮する。したがって、化学表面処理層および潤滑コーティング層の少なくともいずれかを前記ワイパーブレードゴムに形成した場合には、良好な拭き性能を発揮する期間をさらに延ばすことができる。また、長期に亘る使用により、前記化学表面処理層や潤滑コーティング層が摩滅した場合であっても(両層を形成した場合には両層が摩滅した場合であっても)、下地として低い摩擦係数を有するワイパーブレードゴムが露出するので、急激な摩擦係数の上昇を抑制し、ビビリ・異音の発生を抑えることができる。
また、前記表皮除去処理、および前記化学表面処理の少なくともいずれかが施された後のワイパーブレードゴムの払拭面に、潤滑コーティング層が形成されていてもよい。特に、表皮除去処理が施されたワイパーブレードゴムの払拭面に潤滑コーティング層が形成されていることが好ましい。このような構成のワイパーブレードゴムの場合、長期の使用により潤滑コーティング層が摩滅したとしても、すでに表皮が除去されて球状フィラーの一部が露出したワイパーブレードゴムが払拭面に現れて、払拭対象面を払拭するので、長期に亘り、低摩擦を維持することができる。
ゆえに、本発明によれば、長期に亘って、低い摩擦係数を維持することができるので、より小型、かつ省電力のワイパー駆動用モータを採用することができる。
本発明の本実施形態に係るワイパーブレードゴムの斜視図である。 図2は、前記実施形態に係るワイパーブレードゴムの一部を拡大した断面図であり、(A)は、ワイパーブレードゴムの成形後、摩擦低減表面処理前の状態を示し、(B)は、表皮除去処理を施した後の状態を示し、(C)は、化学処理を施した後の状態を示し、(D)は、コーティング処理を施した後の状態を示す。
次に、本発明の実施形態を説明する。
〔ワイパーブレードゴム〕
図1には、本実施形態に係るワイパーブレードゴム1の斜視図が示されている。
ワイパーブレードゴム1は、図1に示すように、例えば、自動車のフロントおよびリアのウィンドシールドガラスのガラス面払拭用に用いる長尺状のブレードに形成された構成になっている。
ワイパーブレードゴム1は、熱硬化性エラストマーと、特定の平均粒子径を有する球状フィラーとを含んで構成されたワイパーブレード用ゴム組成物を成形することで得られる。
〔熱硬化性エラストマー〕
ワイパーブレードゴム1に用いられる熱硬化性エラストマーとしては、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、ブチルゴム(IIR)、アクリルゴム(ACM)、エチレンアクリレ−トゴム(AEM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(ハイパロンゴム)(CMS)、フッ素ゴム(FKM)などが挙げられる。
これらの中でも、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴム、およびエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)が好ましい。
〔球状フィラー〕
球状フィラーは、熱硬化性エラストマー中に混合されている。本発明において、球状フィラーとしては、真球状のフィラーに限定されず、楕円球状等のフィラーも含まれる。また、球状フィラーの表面は、平滑であることが好ましいが、表面に凹凸を有する球状フィラーも用い得る。
ワイパーブレードゴム1に用いられる球状フィラーとしては、シリカ、グラファイト、ガラス、樹脂、および炭酸カルシウムからなる群から選択される少なくともいずれかであることが好ましい。樹脂製の球状フィラーとしては、ポリエチレン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等の球状フィラーが挙げられる。
球状フィラーとしては、中空状のものであっても、中実状のものであっても良い。例えば、シリカを主成分とし、中空状の独立気泡を有するシラスバルーンを用いることができる。
ワイパーブレードゴム1に用いられる球状フィラーの平均粒子径は、0.1μm以上32μm以下であり、0.1μm以上20μm以下であることが好ましい。球状フィラーの平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA-920)を用いて測定した。体積基準で算出されたメジアン径(d50)を、球状フィラーを代表する平均粒子径とした。
ワイパーブレードゴム1における球状フィラーの含有率は、1.0体積%以上40.2体積%以下であり、1.0体積%以上25.2体積%以下であることが好ましい。球状フィラーの含有率が1.0体積%未満だと、ワイパーブレードゴム1の払拭面に露出する球状フィラーが少なすぎて、ゴム基材の払拭対象面への接触割合が高くなり、摩擦係数が上昇してビビリ・異音を生じ易くなる。ゴム基材は、球状フィラーと比べて払拭対称面に対する摩擦係数が高いためである。また、球状フィラーの含有率が40.2体積%を超えると、ゴム基材の払拭対象面への接触割合が低すぎて、ゴム基材による十分な払拭が難しく、また、球状フィラーが脱落した場合、多数の脱落跡の存在によって払拭面が荒れて、払拭性が低下する。また、自動車用ガラス面は、曲面で構成される場合が多いが、ワイパーブレードゴムの球状フィラーの含有率が高いと、ガラス面の曲面への十分な追従性が得づらく、拭き残しを生じ易くなる。
そして、球状フィラーの平均粒子径が0.1μm以上20μm以下であって、含有率が1.0体積%以上25.2体積%以下であることがより好ましい。平均粒子径が20μm以下であると、長期に使用した場合でも払拭性能の低下が抑えられる。この理由としては、同等の充填量で考えれば、平均粒子径が0.1μm以上20μm以下の球状フィラーであれば、粒子径の大きいフィラーと比べて、ゴム基材からの突出量が小さく、ゴム基材との接触面積が大きいため、払拭対象面から受ける摩擦が分散されて、脱落が抑えられるためと考えられる。また、球状フィラー含有率を25.2体積%以下とすると、長期に使用した場合でも、動摩擦係数の上昇が抑えられてビビリ・異音が生じず、良好な払拭性能を維持することができる。この理由としては、球状フィラーの充填量を適度な割合に抑えることによって、払拭面のゴム基材と球状フィラーの割合を好適な範囲としたことによる。すなわち、長期に亘って使用した場合であっても、払拭面に適度な球状フィラーが存在するため、動摩擦係数の過度な上昇が抑えられ、更に、払拭対象面と接触するゴム基材の割合が適度な範囲であるため、良好な払拭性を維持することができると考えられる。また、球状フィラーが脱落しても、払拭面に占める割合が低いため、十分な払拭性能が維持されるものと考えられる。
〔摩擦低減表面処理〕
ワイパーブレードゴム1には、摩擦低減表面処理が施されていることが好ましい。摩擦低減表面処理としては、表皮除去処理、化学表面処理およびコーティング処理の少なくともいずれかが好ましい。
図2(A)には、ワイパーブレードゴムの拡大断面図が示されている。
一般に、熱硬化性エラストマーと、球状フィラーとを混練し、金型により成形した場合、球状フィラーは、基材となる熱硬化性エラストマー内に埋没している。図2(A)に示すように、球状フィラー3の表面を、熱硬化性エラストマー2が表皮として覆う状態であったり、熱硬化性エラストマー2内に埋没していたりする。
そのため、上記ワイパーブレードをそのまま自動車などの車両用ワイパー装置に取り付けて、使用した場合、払拭対象面(ガラス表面)とゴム基材とが直接接触するため、最初期時においては、動摩擦係数が高く、ビビリ・異音が発生するおそれがある。そのため、ワイパーブレードゴムを成形した後に、上記摩擦低減表面処理を施すことが好ましい。
摩擦低減表面処理は、図1に示すワイパーブレードゴム1の全体にわたって施しても良いし、払拭動作時にガラス面に接触するワイパーブレードゴムの払拭面1Bに選択的に施しても良い。例えば、図1に示すリップ部1Aにおいて、ワイパーの払拭作動時に、ガラス面に接触する範囲、すなわち払拭面1Bに帯状に摩擦低減表面処理を施す。払拭面1Bは、リップ部1Aの長手方向側面に相当する。
ワイパーブレードゴム1の払拭面1Bの動摩擦係数が、1.8以下であることが好ましい。払拭面1Bの動摩擦係数が、1.8以下であると、ビビリ・異音の発生を防止できる。
・表皮除去処理
摩擦低減表面処理の一つの方法として、表皮除去処理が挙げられ、表皮除去処理のうち、研磨処理やレーザー処理によって、球状フィラー3をワイパーブレードゴム1の表面に露出させることが好ましい。
図2(B)に示すように、成形後のワイパーブレードゴム1の表面を研磨して、球状フィラー3を覆う熱硬化性エラストマー2による表皮を削り、球状フィラー3を露出させる。このように研磨処理を施すことで、ワイパーブレードゴム1の使用初期からガラス表面と球状フィラー3とが接触し易くなり、払拭時の摩擦係数を低減させることができる。
ワイパーブレードゴム1の表面を研磨する方法としては、紙やすりやポリッシングパッド等による研磨、円筒研削盤、アンギュラ型円筒研磨盤、円形ディスク板研磨装置、およびスーパーフィニッシャー研磨装置を用いた研磨、ラップ研磨、ベルト研磨などによる方法が挙げられる。
また、成形後のワイパーブレードゴム1表面にレーザーを照射し、球状フィラー3を覆う熱硬化性エラストマー2による表皮を焼いて除去し、球状フィラー3を露出させる方法でもよい。このようにレーザー処理を施すことでも、ワイパーブレードゴム1の使用初期からガラス表面と球状フィラー3とが接触し易くなり、払拭時の摩擦係数を低減させることができる。
レーザーとしては、本実施形態では、炭酸ガス(CO)レーザーを用いた。図1に示すリップ部1Aの端部から、長手方向に払拭面1Bに沿って照射し、これを両面に対して行った。なお、炭酸ガスレーザー以外のレーザーを用いることもできる。
また、レーザー処理によれば、研磨処理に比べて表皮の除去厚みのコントロールが容易で、安定的に大量に処理することができ、さらに、ワイパーブレードゴム1表面側に埋没している球状フィラー3の表皮に対し、出力調整しながらレーザーを選択的に照射でき(例えば、パルス照射)、また、研磨処理に比べて、研磨体に接触した球状フィラー3を掻き出してしまうおそれがない。
・化学表面処理
摩擦低減表面処理の別の方法として、化学表面処理が挙げられる。化学表面処理によって、ワイパーブレードゴム1の表層を改質し、一般には、硬化させることにより低摩擦化される。
化学表面処理としては、成形後のワイパーブレードゴム1の表面に対してハロゲン処理を施すことが好ましい。ハロゲン処理としては、塩素化処理や臭素化処理が適用でき、中でも塩素化処理が好ましい。塩素化処理の方法としては、遊離塩素を含む水溶液または塩素水に浸漬させる方法が挙げられる。その他、ハロゲン処理の方法としては、ワイパーブレードゴム1を、フッ素、塩素、臭素等のハロゲンガス中に一定時間保持させる方法もある。
図2(C)に示すように、成形後のワイパーブレードゴム1の表面にハロゲン処理を施すと、ワイパーブレードゴム1の表面には、硬化したハロゲン化処理層4が形成される。そのため、ワイパーブレードゴム1の使用初期においては、硬化したハロゲン化処理層4とガラス表面との接触になるので、摩擦係数を低くすることができ、払拭によって球状フィラー3が露出するまでの間における良好な払拭を実現できる。
・コーティング処理
摩擦低減表面処理のさらに別の方法として、ワイパーブレードゴム1の表面にコーティング処理を施すことが好ましい。
コーティング処理としては、図2(D)に示すように、二硫化モリブデンやグラファイト等の固体潤滑剤を含む潤滑性コーティング層5をワイパーブレードゴム1の表面上に形成することが好ましい。また、グラファイト系、フッ素樹脂系、二硫化モリブデン系、シリコーン系等のコーティング剤をワイパーブレードゴム1表面に塗布し、潤滑性コーティング層5を形成しても良い。
このようなコーティング処理によって、ワイパーブレードゴム1の使用初期においては、潤滑性コーティング層5と払拭対象面(ガラス表面)との接触になるので、摩擦係数を低くすることができ、払拭によって球状フィラー3が露出するまでの間における摩擦係数の上昇を抑制できる。
なお、コーティング処理を施す場合には、潤滑性コーティング層5とワイパーブレードゴム1との密着性を向上させるため、事前に、ワイパーブレードゴム1の表面に対してUV処理やコロナ処理等の表面改質処理を施したり、プライマー層を設けておいてもよい。
なお、表皮除去処理が施された後のワイパーブレードゴム1の表面や、前記化学表面処理が施された後のワイパーブレードゴム1の表面に、潤滑コーティング層5が形成されていてもよい。
(その他の添加剤)
ワイパーブレードゴム1には、本発明の効果を阻害しない範囲で、通常のゴム組成物に使用される補強剤(カーボンブラック、無機充填剤)、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、加工助剤、滑剤、発泡剤、加硫剤、加硫促進剤等を併用してもよい。
補強剤としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、クレー、珪藻土、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、ホウ酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、タルク、マイカ、ベントナイト、活性白土、ガラス繊維、窒化アルミニウム、炭素繊維等を用いることができる。これらの補強材は、1種類だけでなく、2種類以上のものを併用することもできる。
軟化剤や可塑剤としては、特に制限されないが、例えば、公知のものを使用することができ、アロマティック油、ナフテニック油、パラフィン油等のプロセスオイルや、やし油、なたね油等の植物油や流動パラフィン、その他のパラフィン類、ワックス類や、フタル酸系やアジピン酸系、セバシン酸系、リン酸系のエステル系可塑剤類、ステアリン酸やそのエステル類、アルキルスルホン酸エステル類等を使用できる。
老化防止剤としては、特に制限されないが、例えば、公知のものを用いることができ、アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤等が挙げられる。
アミン系老化防止剤の具体例としては、p,p’-ジオクチルジフェニルアミン、p,p’-ジクミルジフェニルアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-1,3-ジメチルブチル-p-フェニレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンポリマー、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン等が挙げられる。
フェノール系老化防止剤の具体例としては、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ・フェニル)プロピオン酸ステアレート、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ・フェニル)フロピオネート)メタン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノン等が挙げられる。
イミダゾール系老化防止剤の具体例としては、2-メルカプトベンゾイミダゾール、トリブチルチオウレア、2-メルカプトベンゾイミダゾール亜鉛塩、2-メルカプトメチルベンゾイミダゾール亜鉛塩等が挙げられる。
加硫剤としては、例えば、硫黄、ポリスルフィド、塩化硫黄等の含硫黄化合物からなる硫黄系や、p-キノンジオキシム、p,p’-ジベンゾイルキノンオキシム等のオキシム系、t-ハイドロパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物系が挙げられる。これらの加硫剤は、1種類だけでなく、2種類以上のものを併用することもできる。
加硫反応の促進を目的に加硫促進剤を使用してもよい。加硫促進剤としては、例えば、チウラム系、チアゾール系、ジチオカルバミン酸塩系、アルデヒドアミン系、スルフェンアミド系、グアニジン系、チオウレア系等を挙げられる。
チウラム系の加硫促進剤の具体例としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等が挙げられる。
チアゾール系の加硫促進剤の具体例としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアゾールジスルフィド等が挙げられる。
ジチオカルバミン酸塩系の加硫促進剤の具体例としては、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛等が挙げられる。
アルデヒドアミン系の加硫促進剤の具体例としては、n-ブチルアルデヒドアニリン等が挙げられる。
スルフェンアミド系の加硫促進剤の具体例としては、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等が挙げられる。
グアニジン系の加硫促進剤の具体例としては、ジオルソトリルグアニジン、ジオルソニトリルグアニジン等が挙げられる。
チオウレア系の加硫促進剤の具体例としては、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレア、トリエチルチオウレア、N,N’ -ジフェニルチオウレア等が挙げられる。
これらの加硫促進剤は、1種類だけでなく、2種類以上のものを組み合わせて使用してもよい。
有機過酸化物には、必要に応じて架橋助剤を併用することもできる。この架橋助剤としては、硫黄、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等の硫黄化合物、エチレンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレンジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、メタフェニレンビスマレイミド、トルイレンビスマレイミド等の多官能性単量体類、p-キノンオキシム、p,p’-ベンゾイルキノンオキシム等のオキシム化合物などを使用することができる。これらの架橋助剤は、1種類だけでなく、2種類以上のものを併用することもできる。
さらに、ワイパーブレードゴム1には、球状フィラー3と熱硬化性エラストマー2との結合力、またシリカなどの無機補強剤と熱硬化性エラストマー2との結合力を高め、ワイパーブレードゴム1の引張強度の向上や耐摩耗性を高める目的でシランカップリング剤を用いることができる。
シランカップリング剤としては、特に制限されないが、例えば、公知のものを用いることができ、例えば、硫黄含有シラン、ビニルシラン、アミノシラン、メタクリルシラン、イソシアネートシラン、エポキシシラン等が挙げられる。
硫黄含有シランの具体例としては、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等が挙げられる。
ビニルシランの具体例としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
アミノシランの具体例としては、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
メタクリルシランの具体例としては、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
イソシアネートシランの具体例としては、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
エポキシシランの具体例としては、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
これらのシランカップリング剤は、1種類だけでなく、2種類以上のものを併用することもできる。
〔ワイパーブレードゴムの製造方法〕
ワイパーブレードゴム1は、例えば、次のような方法によって製造することができる。
熱硬化性エラストマーおよび球状フィラー、並びに必要に応じてその他添加剤を、バンバリーミキサー、インターミックス、ニーダー等の混練機又はオープンロールなどで混練し、球状フィラーを熱硬化性エラストマーに均一に分散させてワイパーブレード用ゴム組成物を作製する。このワイパーブレード用ゴム組成物を圧縮成形機、加硫プレス機、押出成形機、射出成形機等を用いて成形する。このようにして、ワイパーブレードゴム1を製造することができる。
〔実施形態の効果〕
上述した本実施形態に係るワイパーブレードゴム1によれば、熱硬化性エラストマーと、特定の平均粒子径範囲の球状フィラーとを含んで構成され、球状フィラーの含有率も特定範囲に規定されている。このような構成であるため、ワイパーブレードゴム1表面に露出した球状フィラーが摩擦係数の上昇を抑制し、払拭によって球状フィラーが脱落しても熱硬化性エラストマーの摩耗によって、内部に存在していた他の球状フィラーが露出するようになる。
ゆえに、ワイパーブレードゴム1によれば、長期に亘り、低い摩擦係数を実現し、ビビリ・異音の発生がなく、良好な拭き性能を維持できる。
また、ワイパーブレードゴム1において、摩擦低減表面処理が施されていることで、より低い摩擦係数を実現して、ビビリ・異音の発生を防止し、良好な拭き性能を実現できる。
さらに、ハロゲン化処理層4および潤滑コーティング層5の少なくともいずれかをワイパーブレードゴムに形成した場合には、この形成した層によって、より低い摩擦係数を実現して、ビビリ・異音の発生を防止し、良好な拭き性能を実現することができる。そして、形成したハロゲン化処理層4や潤滑コーティング層5が摩滅したとしても、下地のワイパーブレードゴムも上述のように、良好な拭き性能を発揮する。したがって、ハロゲン化処理層4および潤滑コーティング層5の少なくともいずれかをワイパーブレードゴムに形成した場合には、良好な拭き性能を発揮する期間をさらに延ばすことができる。ゆえに、このようなワイパーブレードゴム1によれば、より小型、かつ省電力のワイパー駆動用モータを採用することができる。
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
上記実施形態では、ワイパーブレードゴム1を自動車用に構成した場合を例に挙げて説明したが、本発明のワイパーブレードゴムの適用対象は、自動車用に限定されない。
例えば、自動車以外にも、船舶、飛行機、電車などの交通機関の窓などのウィンドシールドガラス面側のワイパー機構に装着され、ウィンドシールドガラス面に付着した、例えば、雨水、泥水、雪、みぞれ、埃などの窓面からの視界不良を生起する付着物質を払拭して取り除き、良好な運転視界を確保するためのワイパーブレードに適用することができる。さらには、上記交通機関以外でも、例えば、建築物の窓面の払拭用のブレードラバーとして使用してもよい。つまり、本発明のワイパーブレードゴムは、ウィンドシールドガラスのガラス面の付着物を除去する実質的機能を有するブレードラバーとして、その種類を問わず適用することができる。
上記実施形態では、ワイパーブレードゴム1に球状フィラーを用いた例を挙げて説明したが、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の形状のフィラーをさらに配合しても良い。
以下、本発明に係る実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されない。
本実施例では、所定配合に基づいて、ワイパーブレードゴムを成形し、成形後のワイパーブレードゴムに対して、摩擦低減表面処理を施した。作製したワイパーブレードゴムについては、耐久試験、および拭き性能試験を実施し、性能を評価した。詳細を以下において説明する。
実施例および比較例で用いた材料は、次の通りである。
〔熱硬化性エラストマー〕
・天然ゴム(NR)基準配合:
カーボンブラック、添加剤、および加硫系薬品を混合し、加硫後のゴム硬度が60度(JIS K 6253 タイプAデュロメーター)になるように調製した。
・クロロプレンゴム(CR)基準配合:
カーボンブラック、添加剤、および加硫系薬品を混合し、加硫後のゴム硬度が60度(JIS K 6253 タイプAデュロメーター)になるように調製した。
・エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)基準配合:
カーボンブラック、添加剤、および加硫系薬品を混合し、加硫後のゴム硬度が60度(JIS K 6253 タイプAデュロメーター)になるように調製した。
・シリコーンゴム(Q)基準配合:
シリカ、添加剤、および加硫系薬品を混合し、加硫後のゴム硬度が60度(JIS K 6253 タイプAデュロメーター)になるように調製した。
本実施例では、前記熱硬化性エラストマー基準配合に対し、混練時に下記球状フィラーを混合して実施例及び比較例のワイパーブレードゴムを得た。具体的には、後述のワイパーブレードゴムの製作方法に記述する。
下記球状フィラーの平均粒子径は、上述のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA-920)を用いて測定した。体積基準で算出されたメジアン径(d50)を、球状フィラーを代表する平均粒子径とした。
(球状フィラー)
・シリコーン樹脂1:平均粒子径12μm
・シリカ1 :平均粒子径0.1μm
・シリカ2 :平均粒子径3.0μm
・シリカ3 :平均粒子径20μm
・ガラス1 :平均粒子径40μm
・ガラス2 :平均粒子径32μm
・炭酸カルシウム1:平均粒子径10μm
・グラファイト1 :平均粒子径20μm
〔ワイパーブレードゴムの作製方法〕
バンバリーミキサーにて、天然ゴム(NR)基準配合、CR基準配合、EPDM基準配合またはシリコーンゴム基準配合の熱硬化性エラストマーと、上記球状フィラーとを混練りし、ワイパーブレード用ゴム組成物を作製した。このワイパーブレード用ゴム組成物を加硫成形機にて、加硫を行い、全長60cmのワイパーブレードを作製した。
このようにして作製したワイパーブレードゴムに対し、表皮除去処理(レーザー処理)、化学表面処理、およびコーティング処理のうちから少なくとも1つの表面処理を施し試験を行った。
実施した摩擦低減表面処理は、次の通りである。
〔レーザー処理〕
ワイパーブレードゴムの払拭面に二酸化炭素レーザーを照射して、厚み方向に5μm除去した。
〔化学処理〕
ワイパーブレードゴムを、塩素処理液中に浸漬させて塩素処理を行い、水洗後乾燥させた。塩素処理は、蛍光X線測定でワイパーブレードゴム表面の塩素濃度が1.0質量%以上2.5質量%以下となるように行った。
〔コーティング処理〕
ワイパーブレードゴムと、鱗片状のグラファイト(平均粒子径15μm)とを、ポリプロピレン製容器に入れて攪拌し、ワイパーブレードゴム表面に厚さ5〜6μmのグラファイトコーティング層を形成した。
実施例1〜17および比較例1〜6に係るワイパーブレードゴムは、上記材料を用いて下記表1に示す配合に基づいて作製し、上記表面処理を施した。配合については、熱硬化性エラストマー種100質量部に対し、球状フィラーを所定量添加し、組成物全体に対する球状フィラーの割合が、表1に示す体積%となるように調製した。
表2に示す実施例1〜17および比較例1〜6のワイパーブレードゴムについて、下記(1)〜(3)の評価試験および特性評価を実施した。
(1)拭き耐久試験
ワイパーブレードゴムを試験車(日本国産セダンタイプ乗用自動車)のフロントワイパー装置に組み付け、45回/分の速度で作動させ、0.5分間の散水作動後に、29.5分間の断水作動を行った。これを6回繰り返した。試験時間は、3時間とした。試験中にワイパー装置が停止しないかどうか目視での確認を行なった。
この耐久試験前後にJIS D5710に従い、目視で拭きスジの確認を行った。判定は、次の基準に基づいて行った。
・『初期拭き性能』
○:JIS D5710の初期拭きの拭き残しライン本数基準を満たす。
×:JIS D5710の初期拭きの拭き残しライン本数基準を満たさない。
・『耐久後拭き性能』
◎:JIS D5710の初期拭きの拭き残しライン本数基準を3時間の耐久試験後も維持する。
○:JIS D5710の耐久試験後の拭き残しライン本数基準を満たす。
×:JIS D5710の耐久試験後の拭き残しライン本数基準を満たさない。
なお、初期拭き性能基準は、耐久試験後拭き性能基準よりもより要求レベルが高い基準である。
(2)動摩擦係数
上記(1)の拭き耐久試験において、試験車のアームに歪ゲージを取り付け、断水時の摩擦係数の測定を行った。動摩擦係数は、29.5分間の断水作動中の最大値を記した。
(3)ビビリ・異音
上記(1)の拭き耐久試験において、1回目の作動中および6回目の作動中に異音やビビリが無いかを記録し、前者を“初期”とし、後者を“耐久後”とした。判定は、次の基準に基づいて行った。
・『ビビリ・異音』
○:異音やビビリが生じない。
×:異音やビビリが生じた。
上記(1)〜(3)の評価試験結果を表2に示す。
なお、総合評価の判定は、次の基準に基づいて行った。
○:耐久試験前後において、ビビリ・異音の発生がなく、耐久試験後においては、初期拭き性能基準は満たさないが、耐久後拭き性能基準を満たすことが確認された。
◎:耐久試験前後において、ビビリ・異音の発生がなく、耐久試験後も初期拭き性能基準を満たすことが確認された。
×:上記○、◎基準のいずれも満たさないことが確認された。
表2に示すように、実施例1〜17のワイパーブレードゴムは、熱硬化性エラストマーに対して本発明で規定する平均粒子径範囲の球状フィラーを、本発明で規定する含有量範囲で配合したことで、ビビリ・異音の発生のない低い摩擦係数および良好な拭き性能を実現し、さらに長期に亘り使用しても、ビビリ・異音の発生がなく、良好な拭き性能を維持することができることが分かった。
実施例1〜4,6〜8,12〜17のワイパーブレードゴムは、混合した球状フィラーの平均粒子径範囲を0.1μm以上20μm以下とし、さらに、球状フィラーの含有率を1.0体積%以上25.2体積%以下として作製した。
表2に示すように実施例1〜4,6〜8,12〜17のワイパーブレードゴムは、他の実施例や比較例と比べて、拭き性能は、初期および耐久試験後も良好であり、特に耐久試験後であるにもかかわらず、初期試験規格をも満たした。そして、動摩擦係数も初期において低く、耐久試験後も1.8以下となり、小さい値となった。さらに、ビビリや異音の発生も生じなかった。このように、球状フィラーの平均粒子径範囲および含有率をさらに特定の範囲で規定することで、低い動摩擦係数を維持し、拭き性能の低下の抑制効果がより高まることが分かった。
比較例1のワイパーブレードゴムは、球状フィラーとしてシリコーン樹脂1(平均粒子径:12μm)を配合したが、添加量が少量過ぎ、耐久試験後のビビリ・異音の発生が確認された。また、耐久試験後の動摩擦係数が1.9と大幅に上昇した。
比較例2のワイパーブレードゴムは、球状フィラーとしてシリコーン樹脂1(平均粒子径:12μm)を配合したが、添加量が多量過ぎて、JIS D5710の耐久試験後の拭き性能基準を満足しなかった。
比較例3のワイパーブレードゴムは、球状フィラーとしてガラス1(平均粒子径:40μm)を配合したが、球状フィラーの平均粒子径が大き過ぎて、JIS D5710の耐久試験後の拭き性能基準を満足しなかった。
比較例4のワイパーブレードゴムは、球状フィラーを配合せず、表面に化学処理も施さなかった。耐久試験開始直後の0.5分間の散水作動中は、ワイパーが作動したが、散水を停止すると直ぐに動作が遅くなると共にビビリ・異音が発生した。散水を停止して20秒後には、ワイパー動作が非常に鈍くなったため、耐久試験を中断した。中断時の動摩擦係数は、3.0であった。
比較例5のワイパーブレードゴムは、球状フィラーを配合せず、表面に化学処理(塩素処理)を施したが、試験前から動摩擦係数が高かった。そして、耐久試験初期からビビリ・異音が発生した。また、耐久試験後は、特に動摩擦係数が高くなり、ビビリ・異音の程度が悪化した。さらに、試験を続けたところ、塩素処理層が摩耗してゴムが完全に露出し、比較例4と同様となった。
比較例6のワイパーブレードゴムは、球状フィラーを配合しなかったが、表面にコーティング処理を施したため、耐久試験初期の動摩擦係数が比較例5と比べると低く、ビビリ・異音は発生しなかった。しかし、耐久試験後には、コーティング層が摩耗してゴムが露出し、動摩擦係数が大幅に上昇し、ビビリ・異音の程度が悪化した。さらに、試験を続けたところ、コーティング層が摩耗してゴムが完全に露出し、比較例4と同様となった。
1…ワイパーブレードゴム
1B…払拭面
2…熱硬化性エラストマー
3…球状フィラー
4…ハロゲン化処理層(化学表面処理層)
5…潤滑性コーティング層

Claims (7)

  1. 熱硬化性エラストマーと、球状フィラーとを含み、
    前記球状フィラーの平均粒子径が、0.1μm以上32μm以下であり、
    前記球状フィラーの含有率が、1.0体積%以上40.2体積%以下であり、
    少なくとも、払拭面について摩擦低減表面処理が施されており、
    前記摩擦低減表面処理は、表皮除去処理および潤滑コーティング処理の少なくともいずれかである
    ことを特徴とするワイパーブレードゴム。
  2. 請求項1に記載のワイパーブレードゴムにおいて、
    前記球状フィラーは、シリカ、グラファイト、ガラス、樹脂、および炭酸カルシウムからなる群から選択される少なくともいずれかである
    ことを特徴とするワイパーブレードゴム。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のワイパーブレードゴムであって、
    少なくとも、前記ワイパーブレードゴムの前記払拭面の動摩擦係数の初期値および耐久試験後の値が、1.8以下である
    ことを特徴とするワイパーブレードゴム。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のワイパーブレードゴムにおいて、
    前記摩擦低減表面処理として前記表皮除去処理が施され、前記球状フィラーの一部が、前記払拭面に露出している
    ことを特徴とするワイパーブレードゴム。
  5. 請求項乃至請求項のいずれか1項に記載のワイパーブレードゴムにおいて、
    前記摩擦低減表面処理として前記潤滑コーティング処理が施され、少なくとも前記払拭面に潤滑性コーティング層を備える
    ことを特徴とするワイパーブレードゴム。
  6. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のワイパーブレードゴムにおいて、
    前記摩擦低減表面処理として前記表皮除去処理が施され、
    さらに、前記潤滑コーティング処理が施され、少なくとも前記払拭面に潤滑性コーティング層を備える
    ことを特徴とするワイパーブレードゴム。
  7. 請求項4又は請求項6に記載のワイパーブレードゴムにおいて、
    前記表皮除去処理がレーザー照射によるものである
    ことを特徴とするワイパーブレードゴム。
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