JP4668677B2 - 伝動ベルト - Google Patents
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Description
この伝動ベルトは、プーリーなどへの優れた追従性が要求され、また、エンジンやモーターの近傍で用いられたり、プーリーなどとの摩擦により熱が発生したりすることから耐熱性も要求される。そのため、プーリーと接する伝動面となる圧縮ゴム層には、通常、ゴム組成物が用いられている。
さらに、伝動ベルトは、その用途などに応じて種々の形態に形成され、伝動面に配されるゴム組成物も種々のものが用いられている。例えば、ゴム組成物のベースとなるゴムの種類や、該ゴムに分散される無機粉体、カーボンブラック、短繊維の種類や配合量などによりその特性を用途に応じ変化させて用いられたりしている。
しかし、このような短繊維としては、通常、アラミド繊維やポリエステル繊維などゴムとは弾性率が大きく異なるものが用いられている。しかも短繊維は、ゴムに配合される無機フィラーやカーボンブラックなどのその他の充填剤に比べて、通常、そのサイズが大きく、長さ数mmのものが用いられている。したがって、伝動ベルトの圧縮ゴム層を形成するゴム組成物にこの短繊維をより多く配合させることによりプーリーとの実質接触面積をさらに低減させて騒音抑制効果を向上させようとすると、短繊維とゴムとの界面を起点とする亀裂が発生し易くなり、伝動ベルトの寿命を低下させるおそれを有する。
このように、従来の伝動ベルトにおいては、寿命低下を抑制しつつ、向上させた騒音抑制効果を長期にわたり維持させることが困難であるという問題を有している。
なお、このような問題は、自動車のエンジンルームに用いられる伝動ベルトのみならず騒音の抑制が求められる伝動ベルト全てに共通する問題である。
すなわち、本発明は、カーボンブラックが配合されているゴム組成物により圧縮ゴム層が形成された伝動ベルトであって、ゴム組成物のベースゴムにはエチレン−α−オレフィン共重合ゴムが用いられ、該ベースゴム100重量部に対してカーボンブラックが50重量部以上含まれており、且つ該カーボンブラックにはヨウ素吸着量40mg/g以下の大粒子カーボンブラックがゴム100重量部に対して30重量部以上含まれていることを特徴とする伝動ベルトを提供する。
なお、ベースゴムにエチレン−α−オレフィン共重合ゴムが用いられているとは、配合されるゴムの内、50質量%以上のゴムがエチレン−α−オレフィン共重合ゴムであることを意図している。
すなわち、伝動ベルトの寿命低下を抑制しつつ、騒音抑制効果を長期にわたり維持させ得る。
本実施形態のVリブドベルト1は、伝動面となる内面側にゴム組成物からなる圧縮ゴム層5が備えられた無端状ベルトに形成されている。このVリブドベルト1は、外面側が平坦に形成され内面側(伝動面)に幅方向に間隔を設けて複数のリブ6が周方向に形成されている。このVリブドベルト1には、圧縮ゴム層5の外面側に、圧縮ゴム層5と同幅の接着層3とカバー層2とが積層されて形成されている。最外層となる前記カバー層2は、ゴムコート帆布からなり、該カバー層2と前記圧縮ゴム層5との間に、ゴム組成物からなる前記接着層3が配されている。また、この接着層3には、Vリブドベルトの幅方向に一定の間隔を設けて複数本の抗張体4が周方向に埋設されている。
前記圧縮ゴム層を形成するゴム組成物には、ベースゴム100重量部に対してカーボンブラックが50重量部以上配合されている。また、このゴム組成物のベースゴムとしてエチレン−α−オレフィン共重合ゴムが用いられ、さらに、ヨウ素吸着量40mg/g以下の大粒子カーボンブラックが用いられている。また、このゴム組成物に配合されるカーボンブラックの内、30重量部以上は、大粒子カーボンを用いる。
さらに、この圧縮ゴム層のゴム組成物には、通常、短繊維などとともに加硫剤が配合されている。
また、このベースゴム以外のゴムとしては、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム、水素化ニトリル−ブタジエンゴム、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレン、イソプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、アクリルゴムなどを単独または複数混合して用いることができる。
なお、これらのカーボンブラックが、ベースゴム100重量部に対して50重量部以上配合されているのは、カーボンブラックの合計量が50重量部未満の場合には、ゴム組成物の騒音抑制効果が得られないためである。
また、これらのカーボンブラックの内、大粒子カーボンの配合量がゴム100重量部に対して30重量部以上とされるのは、カーボンブラックが50重量部以上配合された場合であってもその内に配合されている大粒子カーボンが30重量部未満では、ゴム組成物の騒音抑制効果が得られないためである。
なお、ゴム組成物の耐摩耗性を向上させ得る点において、この大粒子カーボンとそれ以外のカーボンブラックとの合計配合量は、ゴム100重量部に対し100重量部以下であることが好ましい。
なお、前記大粒子カーボンのヨウ素吸着量40mg/g以下であることならびにDBP吸油量100cm3/100g未満であることは、JIS K 6217に基づき測定することができる。
前記有機過酸化物としては、その種類が特に限定されるものではないが、例えば、ジクミルパーオキサイド(以下「DCP」ともいう)、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,5ジメチル−2,5ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシクメン、t−ブチルベンゾイルパーオキサイドなどを単独または組み合わせて用いることができる。この有機過酸化物は、ゴム100重量部に対して0.2〜10部の配合量であることが好ましい。
この、加硫剤あるいは加硫促進剤も前述のカーボンブラックの配合と同様の混練手段を用いて配合させることができる。
(圧縮ゴム層ゴム組成物未加硫シートの作成)
表1および表2に示す配合を、バンバリーミキサーを用いて混練し圧縮ゴム層用ゴム組成物を作成し、さらに作成したゴム組成物を、カレンダーロールによりシート成形した。
次の配合を、バンバリーミキサーを用いて混練し接着層用ゴム組成物を作成し、さらに作成したゴム組成物を、カレンダーロールによりシート成形した。
<接着層ゴムの配合::EPDM(三井化学社製、商品名「3085」、エチレン含量62質量%、プロピレン含量33.5質量%、ジエン含量4.5質量%):100重量部、カーボンブラック(昭和キャボット社製、商品名「IP600」):50重量部、シリカ(トクヤマ社製、商品名「トクシールGu」):20重量部、パラフィンオイル(日本サン社製、商品名「サンフレックス2280」):10重量部、加硫剤(日本油脂社製DCP、商品名「パークミルD」):2.5重量部、加硫助剤(花王社製ステアリン酸):1重量部、加硫助剤(堺化学工業社製 酸化亜鉛):5重量部、粘着付与剤(日本ゼオン社製石油樹脂、商品名「クイントンA−100」):5重量部、短繊維(綿粉):2重量部>
(抗張体(心線)の作成)
帝人社製のポリエステルコード(1000デニール/2×3、上撚り9.5T/10cm(Z)、下撚り2.19T/10cm)をイソシアネートのトルエン溶液(イソシアネート固形分20質量%)に浸漬後、240℃×40秒の熱風乾燥し、前処理を行った。
この前処理後の心線をRFL接着組成物(下記参照)に浸漬した後、200℃×80秒の熱風乾燥し、さらに、EPDM(三井化学社製、商品名「3085」、エチレン含量62質量%、プロピレン含量33.5質量%、ジエン含量4.5質量%)のトルエン溶液に浸漬し、60℃×40秒の熱風乾燥を行った。
(RFL接着組成物の調整)
レゾルシン7.31重量部とホルマリン(37質量%)10.77重量部とを混合し、水酸化ナトリウム水溶液(固形分0.33質量%)を加えて攪拌し、その後、水160.91重量部加え、5時間熟成して、レゾルシン−ホルマリン樹脂(レゾルシン−ホルマリン初期縮合物、以下「RF」という、レゾルシン/ホルマリン比=0.5)水溶液を作成した。
次いで、RF水溶液にクロロスルホン化ポリエチレンラテックス(固形分40%)をRF/ラテックス比=0.25(固形分量45.2重量部)となるよう混合し、さらに、水を加えて固形分濃度20%となるよう調整した後、12時間熟成しつつ攪拌を行いRFL接着組成物の調整を行った。
円筒形金型(周長約1000mm)に内側から順番にゴムコート帆布、接着層ゴム、抗張体、接着層ゴムの順に積層し、最後に圧縮ゴム層用ゴムシートを積層した。
なお、このとき圧縮ゴム層用ゴムシートは、配合された短繊維が伝動ベルトの幅方向に配向するよう積層した。
この積層体を内圧6kgf/cm2、外圧9kgf/cm2、温度165℃×35分、加硫缶中にて蒸気加硫し、予備成形体(筒状体)を作成した。
次いでこの筒状体の表面に、複数のリブを研削ホイールで作成した後、リブ数3ずつに切断し、Vリブドベルトを作成した。
(ベルト走行試験)
ベルトの走行試験を図2に示すごとく実施した。
径120mmの駆動プーリー11と従動プーリー12に掛け渡し、さらに、径70mmのアイドラープーリー13と径55mmのアイドラープーリー14とがともに90度の区間で伝動ベルトと接するように巻きかけ、従動プーリーにはリブ1山あたり負荷2.5kWとなるようセットし、径55mmアイドラープーリー14のリブ1山あたりセットウェイト277Nとして、駆動プーリーを4900rpmで回転させた。
この走行試験を室温で24時間実施し、走行試験前の初期重量を100%としたときの走行試験後の重量減少を測定し、その、減少分を摩耗量として測定した。結果を表3に示す。
(騒音抑制効果)
ベルト走行時に、アイドラープーリー13にベルトが接する位置から側方約10cmの位置に、騒音計(RION社製、型名「NA−40」)のマイクロホンを設置し、前述のベルト走行試験を実施したときに観測される騒音を測定した。
このとき観測された騒音が70dB未満を「無」、70dB以上80dB未満を「小」、80dB以上90dB未満を「中」、90dB以上を「大」として判定した。結果を表3に示す。
Claims (3)
- カーボンブラックが配合されているゴム組成物により圧縮ゴム層が形成された伝動ベルトであって、
ゴム組成物のベースゴムにはエチレン−α−オレフィン共重合ゴムが用いられ、該ベースゴム100重量部に対してカーボンブラックが50重量部以上含まれており、且つ該カーボンブラックにはヨウ素吸着量40mg/g以下の大粒子カーボンブラックがゴム100重量部に対して30重量部以上含まれていることを特徴とする伝動ベルト。 - 前記カーボンブラックの配合量がゴム100重量部に対して50〜100重量部である請求項1に記載の伝動ベルト。
- 前記伝動ベルトがVリブドベルトである請求項1または2に記載の伝動ベルト。
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