JP2019064281A - ワイパーブレードゴム - Google Patents
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Abstract
【課題】研磨工程の追加や表面処理を阻害することなく、長期にわたって良好な視界を確保し、ビビリ・異音を防止・抑制することが可能なワイパーブレードゴムを提供する。【解決手段】熱硬化性エラストマー(a)100重量部と、ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)4重量部以上19重量部以下とを含み、(a)中に(b)が平均粒子径20μm以上400μm以下の粒子状で分散していることを特徴とするワイパーブレードゴムとする。【選択図】図1
Description
本発明は、ワイパーブレードゴムに関する。
従来、自動車などの車両では、前方の視界を確保するため、フロントガラス面に付着した、雨滴、塵埃などを払拭するためにワイパー装置が利用されている。このワイパー装置は、フロントガラス面との接触位置にワイパーブレードゴムが装着されたワイパーブレードと、このワイパーブレードを往復運動させる駆動力を伝達するワイパーアームと、このワイパーアームを駆動する駆動用モータとが接続されて構成される。
ワイパーブレードゴムに求められる性能として、ガラス面の拭き取り性能や、摩耗や亀裂が発生しないなどの耐久性や、払拭の際にいわゆるビビリ等による異音防止性能などが挙げられる。
従来、ワイパーブレードゴムは、天然ゴムなどを成形したものが用いられており(以下、熱可塑性エラストマーを含めてワイパーブレードゴムと称する場合がある。)、性能向上のため、ワイパーブレードゴム表面を塩素処理して改質し、硬化層を形成する方法が実施されていた。
また、ワイパーブレードゴム表面上に潤滑性のコーティング層を形成することで、摩擦係数を低下させる方法が実施されていた。
また、ワイパーブレードゴム表面上に潤滑性のコーティング層を形成することで、摩擦係数を低下させる方法が実施されていた。
特許文献1には、低摩擦性、ビビリ発生の抑制、拭き取り性、耐久性を向上させるべく、熱可塑性エラストマーに摺動性を有する充填剤を配合したワイパーブレードゴムが記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載されているように、ワイパーブレードゴムにシリコーンオイル等の撥水性のある物質を添加した場合、そのような撥水性物質がガラス面に転写され、斑に撥水してしまうことで視界が非常に悪くなる上、ゴム表面にブリードするため、化学表面処理・潤滑コーティング処理の密着性が悪化し、耐摩耗性・摺動性が損なわれる、といった問題が生じる。
また、上記塩素処理や、コーティング処理では、拭き取りを行っていくうちに硬化層やコーティング層が剥がれたり、摩耗したりして、下地のゴム層が露出し、急激な拭き性能の低下や摩擦係数の上昇によるビビリ・異音が生じる場合があった。
また、特許文献2に記載された熱可塑性エラストマー組成物または熱可塑性樹脂組成物を含むワイパーブレードゴムにおいては、乗用車におけるフロントガラス面とワイパーブレードゴムとの接触部位で、夏季には100℃近くにもなる環境をクリアし、さらにコスト的に実用となり得る組成物は限定されるため、拭き性能の維持や耐久性(特に、熱による変形)が十分ではなく、より優れた性能のワイパーブレードゴムが望まれていた。
さらに、特許文献3に記載されているように、ワイパーブレードゴムにフィラーを添加することで接触面積を小さくし、摺動性を付与する方法もあるが、フィラー自体に摺動性があるわけではないため、添加量に対して摺動性付与の効果が小さく、フィラーを表面に多く露出させる必要があり、研磨工程が必須となる、という問題がある。
本発明の目的は、上記課題を解決し、長期に亘り、ビビリ・異音の発生がなく、良好な拭き性能を維持することができるワイパーブレードゴムを提供することである。
本発明は以下を包含する。
[1] 熱硬化性エラストマー(a)100重量部と、ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)4重量部以上19重量部以下とを含み、共重合体(b)の平均分子量が180,000以上であり、熱硬化性エラストマー(a)中に共重合体(b)が平均粒子径20μm以上400μm以下の粒子状で分散していることを特徴とするワイパーブレードゴム。
[2] 共重合体(b)の融点または分解開始温度が200℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のワイパーブレードゴム。
[3] 摩擦低減表面処理が施された払拭面を有することを特徴とする[1]又は[2]に記載のワイパーブレードゴム。
[4] 前記摩擦低減表面処理が化学表面処理であることを特徴とする[3]記載のワイパーブレードゴム。
[5] 前記ワイパーブレードゴムの払拭面の初期の静摩擦係数が1.0以下、ワイパーブレードの往復作動回数10万回後の静摩擦係数が4.0以下であることを特徴とする[4]に記載のワイパーブレードゴム。
[6] 前記摩擦低減表面処理が、化学表面処理が施された後に潤滑コーティング処理が施されたものであることを特徴とする[3]記載のワイパーブレードゴム。
[7] 前記ワイパーブレードゴムの払拭面の初期の静摩擦係数が0.9以下、ワイパーブレードの往復作動回数50万回後の静摩擦係数が2.8以下であることを特徴とする[6]に記載のワイパーブレードゴム。
[8] シリコーンオイルを含有しないことを特徴とする[1]乃至[7]のいずれか一項に記載のワイパーブレードゴム。
[1] 熱硬化性エラストマー(a)100重量部と、ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)4重量部以上19重量部以下とを含み、共重合体(b)の平均分子量が180,000以上であり、熱硬化性エラストマー(a)中に共重合体(b)が平均粒子径20μm以上400μm以下の粒子状で分散していることを特徴とするワイパーブレードゴム。
[2] 共重合体(b)の融点または分解開始温度が200℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のワイパーブレードゴム。
[3] 摩擦低減表面処理が施された払拭面を有することを特徴とする[1]又は[2]に記載のワイパーブレードゴム。
[4] 前記摩擦低減表面処理が化学表面処理であることを特徴とする[3]記載のワイパーブレードゴム。
[5] 前記ワイパーブレードゴムの払拭面の初期の静摩擦係数が1.0以下、ワイパーブレードの往復作動回数10万回後の静摩擦係数が4.0以下であることを特徴とする[4]に記載のワイパーブレードゴム。
[6] 前記摩擦低減表面処理が、化学表面処理が施された後に潤滑コーティング処理が施されたものであることを特徴とする[3]記載のワイパーブレードゴム。
[7] 前記ワイパーブレードゴムの払拭面の初期の静摩擦係数が0.9以下、ワイパーブレードの往復作動回数50万回後の静摩擦係数が2.8以下であることを特徴とする[6]に記載のワイパーブレードゴム。
[8] シリコーンオイルを含有しないことを特徴とする[1]乃至[7]のいずれか一項に記載のワイパーブレードゴム。
本発明のワイパーブレードゴムは、熱硬化性エラストマー(a)中に、特定の平均分子量を有するポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)を特定の平均粒子径の粒子状で分散せしめたワイパーブレード用ゴム組成物を成形することによって得ることができる。このような構成であるため、ワイパーブレードゴム表面に露出したポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の粒子が摩擦係数の上昇を抑制し、払拭によって表面に露出していた共重合体(b)の粒子が脱落しても熱硬化性エラストマー(a)の摩耗によって、内部に存在していた他のポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の粒子が露出するようになる。ゆえに、本発明のワイパーブレードゴムによれば、長期に亘り、低い摩擦係数を実現し、ビビリ・異音の発生がなく、良好な拭き性能を維持できる。
また、本発明のワイパーブレードゴムにおいて、摩擦低減表面処理が施されている場合には、より低い摩擦係数を実現して、ビビリ・異音の発生を防止し、良好な拭き性能を実現できる。
更に、化学表面処理、又は化学表面処理及び潤滑コーティング処理をワイパーブレードゴムに施した場合には、これらの処理により形成された層によって、より低い摩擦係数を実現して、ビビリ・異音の発生を防止し、良好な拭き性能を実現することができる。そして、形成された層が摩滅したとしても、下地のワイパーブレードゴムも上述のように、良好な拭き性能を発揮する。したがって、化学表面処理、又は化学表面処理及び潤滑コーティング処理をワイパーブレードゴムに施した場合には、良好な拭き性能を発揮する期間をさらに延ばすことができる。ゆえに、このようなワイパーブレードゴムによれば、より小型、かつ省電力のワイパー駆動用モータを採用することができる。
本発明の実施形態を順に説明する。
〔ワイパーブレードゴム〕
図1は、本発明のワイパーブレードゴムの一実施態様を示す部分斜視図である。
ワイパーブレードゴムは、図1に示すように、例えば、自動車のフロントおよびリアのウィンドシールドガラスのガラス面払拭用に用いる長尺状のブレードに形成された構成になっている。図1において、11はワイパーブレードゴムであり、このワイパーブレードゴム11は、ガラス面に接触し摺動するリップ摺動部を有するリップ部4と、図示せぬワイパーブレード保持具に図示せぬバーテブラとともに組み付けられ保持される保持部5と、上記リップ部4と上記保持部5を接続するネック部6からなっている。12は表面処理部であり、この表面処理部12はワイパーブレードゴム11のリップ部4のリップ側面部4aに形成されている。そして、上記ワイパーブレードゴム11をワイパー装置に組み付けることによって、好適なワイパー装置とすることが出来る。
〔ワイパーブレードゴム〕
図1は、本発明のワイパーブレードゴムの一実施態様を示す部分斜視図である。
ワイパーブレードゴムは、図1に示すように、例えば、自動車のフロントおよびリアのウィンドシールドガラスのガラス面払拭用に用いる長尺状のブレードに形成された構成になっている。図1において、11はワイパーブレードゴムであり、このワイパーブレードゴム11は、ガラス面に接触し摺動するリップ摺動部を有するリップ部4と、図示せぬワイパーブレード保持具に図示せぬバーテブラとともに組み付けられ保持される保持部5と、上記リップ部4と上記保持部5を接続するネック部6からなっている。12は表面処理部であり、この表面処理部12はワイパーブレードゴム11のリップ部4のリップ側面部4aに形成されている。そして、上記ワイパーブレードゴム11をワイパー装置に組み付けることによって、好適なワイパー装置とすることが出来る。
ワイパーブレードゴムは、熱硬化性エラストマー(a)中に、特定の平均分子量を有するポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)を特定の平均粒子径の粒子状で分散せしめたワイパーブレード用ゴム組成物を成形することによって得ることができる。
〔熱硬化性エラストマー(a)〕
ワイパーブレードゴムに用いられる熱硬化性エラストマー(a)としては、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、ブチルゴム(IIR)、アクリルゴム(ACM)、エチレンアクリレ−トゴム(AEM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(ハイパロンゴム)(CMS)、フッ素ゴム(FKM)などが挙げられる。
これらの中でも、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、及びこれらの任意の重量比のブレンドが好ましい。
天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、及びこれらの任意の重量比のブレンドが更に好ましい。ブレンドの重量比は特に限定されないが、好ましくは天然ゴム(NR)とクロロプレンゴム(CR)の重量比は6:4〜8:2の範囲である。この範囲であれば、低温時のワイパーブレードゴムの柔軟性、及び高周波(1000Hz)での損失係数(tanδ)が優れているためである。
ワイパーブレードゴムに用いられる熱硬化性エラストマー(a)としては、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、ブチルゴム(IIR)、アクリルゴム(ACM)、エチレンアクリレ−トゴム(AEM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(ハイパロンゴム)(CMS)、フッ素ゴム(FKM)などが挙げられる。
これらの中でも、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、及びこれらの任意の重量比のブレンドが好ましい。
天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、及びこれらの任意の重量比のブレンドが更に好ましい。ブレンドの重量比は特に限定されないが、好ましくは天然ゴム(NR)とクロロプレンゴム(CR)の重量比は6:4〜8:2の範囲である。この範囲であれば、低温時のワイパーブレードゴムの柔軟性、及び高周波(1000Hz)での損失係数(tanδ)が優れているためである。
ゴム基材の形状に特に制限があるわけではないが、上記したようにタンデム形状の断面を有することが好ましい。これによって、リップ部先端をきれいに切断することが容易になり、また、リップ部に固体潤滑剤を分散したコーティング層が設けられたワイパーブレードゴムを経済的に製造することが可能になる。
〔ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)〕
ワイパーブレードゴムに用いられるポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)としては、直鎖状ポリオルガノシロキサン主鎖の側鎖にアクリル化合物をグラフト化させたアクリル変性ポリオルガノシロキサンを用いることができ、例えば、ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルの単量体とを乳化重合させることにより製造することができる。市販品としては、日信化学工業株式会社製「シャリーヌ(登録商標)R−170」、「シャリーヌ(登録商標)R−175」、「シャリーヌ(登録商標)R−175S」などがある。
ワイパーブレードゴムに用いられるポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)としては、直鎖状ポリオルガノシロキサン主鎖の側鎖にアクリル化合物をグラフト化させたアクリル変性ポリオルガノシロキサンを用いることができ、例えば、ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルの単量体とを乳化重合させることにより製造することができる。市販品としては、日信化学工業株式会社製「シャリーヌ(登録商標)R−170」、「シャリーヌ(登録商標)R−175」、「シャリーヌ(登録商標)R−175S」などがある。
共重合体(b)の融点または分解開始温度は200℃以上であることが好ましい。これは、ワイパーブレードゴム製造工程における最高温度が200℃未満であるため、製造工程中の熱より共重合体(b)が溶解せず粒子形状を維持してゆくことが必要であるためである。
ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)は、熱硬化性エラストマー(a)中に粒子状で分散するように混合される。
ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の粒子の形状は真球状に限定されず、楕円球状等であってもよい。また、粒子の表面は平滑であることが好ましいが、表面に凹凸を有していてもよい。粒子はまた、中空状であっても中実状のものであってもよい。例えば、上記共重合体(b)を主成分とし、中空状の独立気泡を有するバルーンを用いることもできる。
ワイパーブレードゴムに用いられるポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の粒子の平均粒子径は、20μm以上400μm以下である。好ましくは25μm以上、より好ましくは30μm以上である。また、好ましくは380μm以下、より好ましくは360μm以下である。なお、粒子の粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−920)を用いて測定し、体積基準で算出されたメジアン径(d50)を平均粒子径とする。
平均粒子径が400μm以下であると、長期に使用した場合でも払拭性能の低下が抑えられる。この理由としては、同等の充填量で考えれば、平均粒子径が20μm以上400μm以下の粒子であれば、粒子径のより大きい場合と比べて、ゴム基材からの突出量が小さく、ゴム基材との接触面積が大きいため、払拭対象面から受ける摩擦が分散されて、脱落が抑えられるためと考えられる。
ワイパーブレードゴムにおけるポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の含有率は、熱硬化性エラストマー(a)100重量部に対し、4重量部以上19重量部以下である。好ましくは5質量部以上である。また、好ましくは15質量部以下である。
共重合体(b)の粒子の含有率を、熱硬化性エラストマー(a)100重量部に対して19重量部以下とすると、長期に使用した場合でも、摩擦係数の上昇が抑えられてビビリ・異音が生じず、良好な払拭性能を維持することができる。この理由としては、共重合体(b)の粒子の充填量を適度な割合に抑えることによって、払拭面のゴム基材と共重合体(b)の粒子の割合を好適な範囲としたことによる。すなわち、長期に亘って使用した場合であっても、払拭面に適度な共重合体(b)の粒子が存在するため、摩擦係数の過度な上昇が抑えられ、更に、払拭対象面と接触するゴム基材の割合が適度な範囲であるため、良好な払拭性を維持することができると考えられる。また、共重合体(b)の粒子が脱落しても、払拭面に占める割合が低いため、十分な払拭性能が維持されるものと考えられる。
しかし、共重合体(b)の含有率が4重量部未満であると、ワイパーブレードゴムの払拭面に露出する粒子が少なすぎて、ゴム基材の払拭対象面への接触割合が高くなり、摩擦係数が上昇してビビリ・異音を生じ易くなる。ゴム基材は、共重合体(b)の粒子と比べて払拭対象面に対する摩擦係数が高いためである。
一方、共重合体(b)の粒子の含有率が19重量部を超えると、ゴム基材の払拭対象面への接触割合が低すぎて、ゴム基材による十分な払拭が難しく、また、共重合体(b)の粒子が脱落した場合、多数の脱落跡の存在によって払拭面が荒れて、払拭性が低下する。また、自動車用ガラス面は、曲面で構成される場合が多いが、共重合体(b)の粒子の含有率が高いと、ガラス面の曲面への十分な追従性が得づらく、拭き残しを生じ易くなる。
一般に、熱硬化性エラストマー(a)と、ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の粒子とを混練し、金型により成形した場合、共重合体(b)の粒子の一部はその表面の一部を熱硬化性エラストマー(a)の表層に露出させているが、多くは粒子全体が熱硬化性エラストマー(a)内に埋没している。そのため、上記ワイパーブレードをそのまま自動車などの車両用ワイパー装置に取り付けて、使用した場合、払拭対象面(ガラス表面)とゴム基材とが直接接触するため、最初期においては、摩擦係数が高く、ビビリ・異音が発生するおそれがある。そのため、ワイパーブレードゴムを成形した後に、後記する摩擦低減表面処理を施すことが好ましい。
〔摩擦低減表面処理〕
ワイパーブレードゴムには、摩擦低減表面処理が施されていることが好ましい。摩擦低減表面処理としては、表皮除去処理、化学表面処理、潤滑コーティング処理などがあるが、化学表面処理が好ましい。また、化学表面処理が施された後のワイパーブレードゴムの払拭面に、更に潤滑コーティング層が形成されていてもよい。このような構成のワイパーブレードゴムの場合、長期の使用により潤滑コーティング層が摩滅したとしても、熱硬化性エラストマー(a)中に共重合体(b)が粒子状で分散しているワイパーブレードゴムが払拭面に現れて、払拭対象面を払拭するので、長期に亘り、低摩擦を維持することができる。
ワイパーブレードゴムには、摩擦低減表面処理が施されていることが好ましい。摩擦低減表面処理としては、表皮除去処理、化学表面処理、潤滑コーティング処理などがあるが、化学表面処理が好ましい。また、化学表面処理が施された後のワイパーブレードゴムの払拭面に、更に潤滑コーティング層が形成されていてもよい。このような構成のワイパーブレードゴムの場合、長期の使用により潤滑コーティング層が摩滅したとしても、熱硬化性エラストマー(a)中に共重合体(b)が粒子状で分散しているワイパーブレードゴムが払拭面に現れて、払拭対象面を払拭するので、長期に亘り、低摩擦を維持することができる。
摩擦低減表面処理は、ワイパーブレードゴムの全体にわたって施しても良いし、払拭動作時にガラス面に接触するワイパーブレードゴムの払拭面に選択的に施しても良い。例えば、図1に示すリップ部4において、ワイパーの払拭作動時に、ガラス面に接触する範囲、すなわち払拭面12に帯状に摩擦低減表面処理を施す。払拭面12は、リップ部4の長手方向側面に相当する。ワイパーブレードゴムの払拭面12の静摩擦係数は、初期において好ましくは1.0以下、より好ましくは0.9以下、更に好ましくは0.8以下、最も好ましくは0.7以下である。払拭面12の静摩擦係数が上記の値以下であると、ワイパーの払拭作動時におけるビビリ・異音の発生の防止に有効である。
本発明のワイパーブレードゴムには容易に化学表面処理層の形成処理や潤滑コーティング層の形成処理を行うことができ、その場合には、形成された層によって、より低い摩擦係数を実現して、ビビリ・異音の発生を防止し、良好な拭き性能を実現できる。
更に、形成した化学表面処理層や潤滑コーティング層が長期に亘る使用により摩滅した場合にも、下地として低い摩擦係数を有するワイパーブレードゴムが露出するため、急激な摩擦係数の上昇、ビビリ・異音の発生が抑制され、良好な拭き性能を維持することができる。したがって、化学表面処理層や潤滑コーティング層を形成した本発明のワイパーブレードゴムによれば、良好な拭き性能を発揮する期間をさらに延ばすことができる。
ゆえに、本発明によれば、長期に亘って、低い摩擦係数を維持することができるので、より小型、かつ省電力のワイパー駆動用モータを採用することができる。
更に、形成した化学表面処理層や潤滑コーティング層が長期に亘る使用により摩滅した場合にも、下地として低い摩擦係数を有するワイパーブレードゴムが露出するため、急激な摩擦係数の上昇、ビビリ・異音の発生が抑制され、良好な拭き性能を維持することができる。したがって、化学表面処理層や潤滑コーティング層を形成した本発明のワイパーブレードゴムによれば、良好な拭き性能を発揮する期間をさらに延ばすことができる。
ゆえに、本発明によれば、長期に亘って、低い摩擦係数を維持することができるので、より小型、かつ省電力のワイパー駆動用モータを採用することができる。
・化学表面処理
摩擦低減表面処理の一つの方法として、化学表面処理が挙げられる。化学表面処理によって、ワイパーブレードゴムの表層を改質し、一般には、硬化させることにより低摩擦化される。化学表面処理としては、成形後のワイパーブレードゴムの表面に対してハロゲン処理を施すことが好ましい。ハロゲン処理としては、塩素化処理や臭素化処理が適用でき、中でも塩素化処理が好ましい。塩素化処理の方法としては、遊離塩素を含む水溶液または塩素水に浸漬させる方法が挙げられる。その他、ハロゲン処理の方法としては、ワイパーブレードゴムを、フッ素、塩素、臭素等のハロゲンガス中に一定時間保持させる方法もある。成形後のワイパーブレードゴムの表面にハロゲン処理を施すと、ワイパーブレードゴムの表面には、硬化したハロゲン化処理層が形成される。そのため、ワイパーブレードゴムの使用初期においては、硬化したハロゲン化処理層とガラス表面との接触になるので、摩擦係数を低くすることができ、払拭によって熱硬化性エラストマー(a)中に共重合体(b)が粒子状で分散しているワイパーブレードゴムが露出するまでの間における良好な払拭を実現できる。
摩擦低減表面処理の一つの方法として、化学表面処理が挙げられる。化学表面処理によって、ワイパーブレードゴムの表層を改質し、一般には、硬化させることにより低摩擦化される。化学表面処理としては、成形後のワイパーブレードゴムの表面に対してハロゲン処理を施すことが好ましい。ハロゲン処理としては、塩素化処理や臭素化処理が適用でき、中でも塩素化処理が好ましい。塩素化処理の方法としては、遊離塩素を含む水溶液または塩素水に浸漬させる方法が挙げられる。その他、ハロゲン処理の方法としては、ワイパーブレードゴムを、フッ素、塩素、臭素等のハロゲンガス中に一定時間保持させる方法もある。成形後のワイパーブレードゴムの表面にハロゲン処理を施すと、ワイパーブレードゴムの表面には、硬化したハロゲン化処理層が形成される。そのため、ワイパーブレードゴムの使用初期においては、硬化したハロゲン化処理層とガラス表面との接触になるので、摩擦係数を低くすることができ、払拭によって熱硬化性エラストマー(a)中に共重合体(b)が粒子状で分散しているワイパーブレードゴムが露出するまでの間における良好な払拭を実現できる。
・潤滑コーティング処理
摩擦低減表面処理のさらに別の方法として、ワイパーブレードゴムの表面に潤滑コーティング処理を施すことが好ましい。
摩擦低減表面処理のさらに別の方法として、ワイパーブレードゴムの表面に潤滑コーティング処理を施すことが好ましい。
コーティング剤は、所定のバインダーを、水系媒体に分散させた分散体又は有機溶剤に溶解させた溶液とし、これに固体潤滑剤を分散、混合することにより調製することができる。固体潤滑剤をバインダーに分散、混合する場合、その方法としては、公知の方法を用いることができ、例えばビーズミル、ボールミル、ディゾルバー等を使用して分散、混合することができる。
コーティング剤に含まれるバインダーとしては、例えば以下が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「ニッポラン3016」(商標;日本ポリウレタン工業株式会社製)のようなポリオールポリエーテル系ウレタン/芳香族イソシアネート
住友スリーエム(株)製;商品名「THV200P」のようなテトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン及びビニリデンフロライドの共重合体
「タケラックTE−520」(商標;武田薬品工業(株)製)のようなシリコン変性ウレタンポリオール/イソホロンジイソシアネート
「アデカレジンEP−4100」(商標;旭電化工業(株)製)のようなBPA型液状エポキシ/芳香族ポリアミド
「HPC−5000−37」(商標;日立化成工業(株)製)のようなポリアミドイミド
「ニッポラン179P」(商標;日本ポリウレタン工業株式会社製)のようなポリオールポリエーテル系ウレタン/ブロックイソシアネート
「アクリディック56−1155」(商標;大日本インキ化学工業(株)製)のようなアクリル系ポリマー
「ETERNACOLL(登録商標)UW−1501−F」(宇部興産株式会社製)、「ETERNACOLL(登録商標)UW−1005−E」(宇部興産株式会社製)、及びこれらの混合物のような水性ポリウレタンディスパージョン
「デュラネートE402−B80B」(商標;旭化成株式会社)
「デュラネート 17B−60P」(商標;旭化成株式会社)
のようなヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート
「ニッポラン3016」(商標;日本ポリウレタン工業株式会社製)のようなポリオールポリエーテル系ウレタン/芳香族イソシアネート
住友スリーエム(株)製;商品名「THV200P」のようなテトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン及びビニリデンフロライドの共重合体
「タケラックTE−520」(商標;武田薬品工業(株)製)のようなシリコン変性ウレタンポリオール/イソホロンジイソシアネート
「アデカレジンEP−4100」(商標;旭電化工業(株)製)のようなBPA型液状エポキシ/芳香族ポリアミド
「HPC−5000−37」(商標;日立化成工業(株)製)のようなポリアミドイミド
「ニッポラン179P」(商標;日本ポリウレタン工業株式会社製)のようなポリオールポリエーテル系ウレタン/ブロックイソシアネート
「アクリディック56−1155」(商標;大日本インキ化学工業(株)製)のようなアクリル系ポリマー
「ETERNACOLL(登録商標)UW−1501−F」(宇部興産株式会社製)、「ETERNACOLL(登録商標)UW−1005−E」(宇部興産株式会社製)、及びこれらの混合物のような水性ポリウレタンディスパージョン
「デュラネートE402−B80B」(商標;旭化成株式会社)
「デュラネート 17B−60P」(商標;旭化成株式会社)
のようなヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート
コーティング剤には二種類以上のバインダーを配合することもできる。その場合の両者の混合比率は特に限定されないが、そのようなバインダーを硬化することで、所望の物性を満たすように両者の混合比率を適宜設定することが望ましい。
一般にポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を含むバインダーを使用すると、ポリオールポリエーテル系ポリウレタン樹脂を含むバインダーを使用した場合や、クロロプレンゴム系もしくクロロスルホン化ポリエチレンとフェノール樹脂を含むバインダーを使用した場合と比較して、固体潤滑剤の量を増量することができ、成形されたコーティング層の摩擦係数を小さくすることができやすい。また、コーティング剤中の固体潤滑剤を増量した場合であっても、コーティング層と基材の密着性が良好であり、かつ長時間のワイパーブレードの使用においても、コーティング層の摩耗を抑制しやすい。
バインダーを分散させる分散媒体として、水系媒体が挙げられる。バインダーを溶解させる溶剤としては有機溶剤が挙げられる。VOC(揮発性有機化合物)の排出規制等を考慮すると、バインダーには水系媒体を使用することが好ましい。水系媒体としては、水、又は水と親水性有機溶媒との混合媒体等が挙げられる。
水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、超純水等が挙げられるが、分散体の安定性等を考慮してイオン交換水を使用することが好ましい。
親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級1価アルコール、エチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N-エチルピロリドン等の非プロトン性の親水性有機溶媒が挙げられる。
水系媒体中の親水性有機溶媒の量としては、水系媒体を100質量%としたときに、好ましくは0〜20質量%、より好ましくは0〜10質量%である。
有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸ブチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等を使用することができる。
コーティング剤中における固形分に対する水系媒体又は有機溶剤の使用量は、調製されるコーティング剤の使用方法により異なるものであり、特に限定されるものではないが、通常は固形分100質量部に対して、水系媒体又は有機溶剤150〜1,200質量部の範囲が選択される。
20℃におけるコーティング剤の粘度は、好ましくは10〜200mPa・s、より好ましくは20〜100mPa・sである。コーティング剤の粘度は、例えば音叉型振動式粘度計装置を用いて測定することができる。
また、本発明の課題及び効果を損なわない限り、充填剤、界面活性剤、分散剤、増粘剤、防腐剤等を配合してもよい。
なお、硬化剤を用いる場合は、ワイパーブレードへ塗布直前に、コーティング剤に所定量の硬化剤を加えて、よく混合して調製する。
固体潤滑剤は、自己潤滑性のある固体材料であり、従来公知の固体潤滑剤を使用することができる。例えば、黒鉛(グラファイト)、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化ホウ素、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が挙げられる。好ましくは、鱗片状グラファイト、鱗片状二硫化モリブデン、鱗片状窒化ホウ素、鱗片状ポリテトラフルオロエチレンのような鱗片状固体潤滑剤である。中でも鱗片状グラファイトが好ましい。
固体潤滑剤の粒子径としては、レーザー回折散乱法により計測した体積基準の平均粒子径(D50)が好ましくは1〜20μm、より好ましくは1〜10μm、最も好ましくは3〜5μmである。レーザー回折散乱法による測定には、例えば、マイクロトラック粒度分布測定装置MT3300(日機装社製)等を使用することができる。固体状潤滑剤が鱗片状の場合は、平均粒子径は長径を意味する。固体状潤滑剤が球形の場合は、平均粒子径は直径を意味する。また、グラファイト系、フッ素樹脂系、二硫化モリブデン系、シリコーン系等のコーティング剤をワイパーブレードゴム表面に塗布し、潤滑性コーティング層を形成しても良い。特に、特許第3821634号に記載のワイパーブレード用コーティング剤を用いることが推奨される。
コーティング剤を適用する手段としては、スプレーコーティング、ナイフコーティング、ローラーコート、ディッピング等、公知の方法を用いることができる。
ゴム基材の断面がタンデム形状であり、そのタンデム形状のくびれ部にコーティング剤を適用する場合には、コーティング剤を図2に示すタンデム形状のゴム基材のリップ部の両面にスプレー塗付等の適当な手段によって適用し、硬化して、コーティング層を形成することができる。
ゴム基材の断面がタンデム形状であり、そのタンデム形状のくびれ部にコーティング剤を適用する場合には、コーティング剤を図2に示すタンデム形状のゴム基材のリップ部の両面にスプレー塗付等の適当な手段によって適用し、硬化して、コーティング層を形成することができる。
潤滑性コーティング層の厚さは通常2〜10μm、好ましくは3〜9μmである。2μm未満では得られるワイパーブレードゴムのガラスに対する摩擦係数が大き過ぎる場合がある。10μmを超えると拭きが不良となる場合がある。
コーティング剤は乾燥又は硬化させて、コーティング層とする。
コーティング剤を硬化させるための加熱温度は特に限定されないが、例えば50〜200℃の温度で架橋することが可能である。架橋型のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を用いる場合には、80〜200℃の温度で加熱されてウレタン架橋構造を形成する熱架橋型のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂であることが好ましい。
加熱を行う手段は慣用の手段で足り、特に制限はなく、例えば焼成炉で焼成することにより行うことができる。
コーティング剤を硬化させるための加熱温度は特に限定されないが、例えば50〜200℃の温度で架橋することが可能である。架橋型のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を用いる場合には、80〜200℃の温度で加熱されてウレタン架橋構造を形成する熱架橋型のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂であることが好ましい。
加熱を行う手段は慣用の手段で足り、特に制限はなく、例えば焼成炉で焼成することにより行うことができる。
このようなコーティング処理によって、ワイパーブレードゴムの使用初期においては、潤滑性コーティング層と払拭対象面(ガラス表面)との接触になるので、摩擦係数を低くすることができ、払拭によって熱硬化性エラストマー(a)中に共重合体(b)が粒子状で分散しているワイパーブレードゴムが露出するまでの間における摩擦係数の上昇を抑制できる。
なお、コーティング処理を施す場合には、潤滑性コーティング層とワイパーブレードゴムとの密着性を向上させるため、事前に、ワイパーブレードゴムの表面に対してUV処理やコロナ処理等の表面改質処理を施したり、プライマー層を設けたりしておいてもよい。
また、化学表面処理が施された後のワイパーブレードゴムの表面に、潤滑コーティング層が形成されていてもよい。
また、化学表面処理が施された後のワイパーブレードゴムの表面に、潤滑コーティング層が形成されていてもよい。
・表皮除去処理
摩擦低減表面処理の別の方法として、表皮除去処理が挙げられる。
研磨処理やレーザー処理によって、ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の粒子をワイパーブレードゴムの表面に露出させることができる。
摩擦低減表面処理の別の方法として、表皮除去処理が挙げられる。
研磨処理やレーザー処理によって、ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の粒子をワイパーブレードゴムの表面に露出させることができる。
例えば、成形後のワイパーブレードゴムの表面を研磨して、ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の粒子を覆う熱硬化性エラストマー(a)による表皮を削り、共重合体(b)の粒子を露出させることもできる。ワイパーブレードゴムの表面を研磨する方法としては、紙やすりやポリッシングパッド等による研磨、円筒研削盤、アンギュラ型円筒研磨盤、円形ディスク板研磨装置、およびスーパーフィニッシャー研磨装置を用いた研磨、ラップ研磨、ベルト研磨などによる方法が挙げられる。このような処理を施すことで、ワイパーブレードゴムの使用初期からガラス表面と共重合体(b)の粒子とが接触し易くなり、払拭時の摩擦係数を低減させることができる。
或いは、成形後のワイパーブレードゴム表面にレーザーを照射し、ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の粒子を覆う熱硬化性エラストマー(a)による表皮を焼いて除去し、共重合体(b)の粒子を露出させる方法を採用することもできる。このようにレーザー処理を施すことでも、ワイパーブレードゴムの使用初期からガラス表面と共重合体(b)の粒子とが接触し易くなり、払拭時の摩擦係数を低減させることができる。
レーザーとしては、炭酸ガス(CO2)レーザーその他の公知の手段を用いることができる。レーザー処理によれば、研磨処理に比べて表皮の除去厚みのコントロールが容易で、安定的に大量に処理することができ、さらに、共重合体(b)の粒子が埋没しているワイパーブレードゴムの表面側に対し、出力調整しながらレーザーを選択的に照射でき(例えば、パルス照射)、また、研磨処理に比べて、研磨体に接触した共重合体(b)の粒子を過度に掻き出してしまうおそれもない。
(その他の添加剤)
ワイパーブレードゴムには、本発明の効果を阻害しない範囲で、通常のゴム組成物に使用される補強剤(カーボンブラック、無機充填剤)、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、加工助剤、滑剤、発泡剤、加硫剤、加硫促進剤等を併用してもよい。
ワイパーブレードゴムには、本発明の効果を阻害しない範囲で、通常のゴム組成物に使用される補強剤(カーボンブラック、無機充填剤)、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、加工助剤、滑剤、発泡剤、加硫剤、加硫促進剤等を併用してもよい。
補強剤としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、クレー、珪藻土、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、ホウ酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、タルク、マイカ、ベントナイト、活性白土、ガラス繊維、窒化アルミニウム、炭素繊維等を用いることができる。これらの補強材は、1種類だけでなく、2種類以上のものを併用することもできる。
軟化剤や可塑剤としては、特に制限されないが、例えば、公知のものを使用することができ、アロマティック油、ナフテニック油、パラフィン油等のプロセスオイルや、やし油、なたね油等の植物油や流動パラフィン、その他のパラフィン類、ワックス類や、フタル酸系やアジピン酸系、セバシン酸系、リン酸系のエステル系可塑剤類、ステアリン酸やそのエステル類、アルキルスルホン酸エステル類等を使用できる。
老化防止剤としては、特に制限されないが、例えば、公知のものを用いることができ、アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤等が挙げられる。
アミン系老化防止剤の具体例としては、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン、p,p’−ジクミルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンポリマー、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン等が挙げられる。
フェノール系老化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ・フェニル)プロピオン酸ステアレート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ・フェニル)フロピオネート)メタン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン等が挙げられる。
イミダゾール系老化防止剤の具体例としては、2−メルカプトベンゾイミダゾール、トリブチルチオウレア、2−メルカプトベンゾイミダゾール亜鉛塩、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール亜鉛塩等が挙げられる。
アミン系老化防止剤の具体例としては、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン、p,p’−ジクミルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンポリマー、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン等が挙げられる。
フェノール系老化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ・フェニル)プロピオン酸ステアレート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ・フェニル)フロピオネート)メタン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン等が挙げられる。
イミダゾール系老化防止剤の具体例としては、2−メルカプトベンゾイミダゾール、トリブチルチオウレア、2−メルカプトベンゾイミダゾール亜鉛塩、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール亜鉛塩等が挙げられる。
加硫剤としては、例えば、硫黄、ポリスルフィド、塩化硫黄等の含硫黄化合物からなる硫黄系や、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンオキシム等のオキシム系、t−ハイドロパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物系が挙げられる。これらの加硫剤は、1種類だけでなく、2種類以上のものを併用することもできる。
加硫反応の促進を目的に加硫促進剤を使用してもよい。加硫促進剤としては、例えば、チウラム系、チアゾール系、ジチオカルバミン酸塩系、アルデヒドアミン系、スルフェンアミド系、グアニジン系、チオウレア系等を挙げられる。
チウラム系の加硫促進剤の具体例としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等が挙げられる。
チアゾール系の加硫促進剤の具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアゾールジスルフィド等が挙げられる。
ジチオカルバミン酸塩系の加硫促進剤の具体例としては、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛等が挙げられる。
アルデヒドアミン系の加硫促進剤の具体例としては、n−ブチルアルデヒドアニリン等が挙げられる。
スルフェンアミド系の加硫促進剤の具体例としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等が挙げられる。
グアニジン系の加硫促進剤の具体例としては、ジオルソトリルグアニジン、ジオルソニトリルグアニジン等が挙げられる。
チオウレア系の加硫促進剤の具体例としては、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレア、トリエチルチオウレア、N,N’ −ジフェニルチオウレア等が挙げられる。
これらの加硫促進剤は、1種類だけでなく、2種類以上のものを組み合わせて使用してもよい。
チウラム系の加硫促進剤の具体例としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等が挙げられる。
チアゾール系の加硫促進剤の具体例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアゾールジスルフィド等が挙げられる。
ジチオカルバミン酸塩系の加硫促進剤の具体例としては、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛等が挙げられる。
アルデヒドアミン系の加硫促進剤の具体例としては、n−ブチルアルデヒドアニリン等が挙げられる。
スルフェンアミド系の加硫促進剤の具体例としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等が挙げられる。
グアニジン系の加硫促進剤の具体例としては、ジオルソトリルグアニジン、ジオルソニトリルグアニジン等が挙げられる。
チオウレア系の加硫促進剤の具体例としては、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレア、トリエチルチオウレア、N,N’ −ジフェニルチオウレア等が挙げられる。
これらの加硫促進剤は、1種類だけでなく、2種類以上のものを組み合わせて使用してもよい。
有機過酸化物には、必要に応じて架橋助剤を併用することもできる。この架橋助剤としては、硫黄、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等の硫黄化合物、エチレンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレンジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、メタフェニレンビスマレイミド、トルイレンビスマレイミド等の多官能性単量体類、p−キノンオキシム、p,p’−ベンゾイルキノンオキシム等のオキシム化合物などを使用することができる。これらの架橋助剤は、1種類だけでなく、2種類以上のものを併用することもできる。
さらに、ワイパーブレードゴムには、ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の粒子と熱硬化性エラストマー(a)との結合力、またシリカなどの無機補強剤と熱硬化性エラストマー(a)との結合力を高め、ワイパーブレードゴムの引張強度の向上や耐摩耗性を高める目的でシランカップリング剤を用いることができる。
シランカップリング剤としては、特に制限されないが、例えば、公知のものを用いることができ、例えば、硫黄含有シラン、ビニルシラン、アミノシラン、メタクリルシラン、イソシアネートシラン、エポキシシラン等が挙げられる。
硫黄含有シランの具体例としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等が挙げられる。
ビニルシランの具体例としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
アミノシランの具体例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
メタクリルシランの具体例としては、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
イソシアネートシランの具体例としては、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
エポキシシランの具体例としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
これらのシランカップリング剤は、1種類だけでなく、2種類以上のものを併用することもできる。
硫黄含有シランの具体例としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等が挙げられる。
ビニルシランの具体例としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
アミノシランの具体例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
メタクリルシランの具体例としては、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
イソシアネートシランの具体例としては、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
エポキシシランの具体例としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
これらのシランカップリング剤は、1種類だけでなく、2種類以上のものを併用することもできる。
〔ワイパーブレードゴムの製造方法〕
ワイパーブレードゴムは、例えば、次のような方法によって製造することができる。
熱硬化性エラストマー(a)及びポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)、並びに必要に応じてその他添加剤を、バンバリーミキサー、インターミックス、ニーダー等の混練機又はオープンロールなどで混練し、共重合体(b)の粒子を熱硬化性エラストマー(a)に均一に分散させてワイパーブレード用ゴム組成物を作製する。
ワイパーブレードゴムは、例えば、次のような方法によって製造することができる。
熱硬化性エラストマー(a)及びポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)、並びに必要に応じてその他添加剤を、バンバリーミキサー、インターミックス、ニーダー等の混練機又はオープンロールなどで混練し、共重合体(b)の粒子を熱硬化性エラストマー(a)に均一に分散させてワイパーブレード用ゴム組成物を作製する。
このワイパーブレード用ゴム組成物を圧縮成形機、加硫プレス機、押出成形機、射出成形機等を用いて成形する。ワイパーブレードゴムは典型的には、図2のように、2つのワイパーブレードゴム基材1の先端部同士が当接しているタンデム形状で成形される。このワイパーブレードゴム基材1のくびれ部にあるリップ部2の両面に、所定のコーティング剤を適用し、硬化又は乾燥して、コーティング層3を形成する。その後、リップ部2の中央(図2の符号4で図示する切断部)で切断し、リップ部2の両面に層3を有し、リップ部の端面にゴム基材が露出したワイパーブレードゴムを形成する。こうして、ワイパーブレードゴムを製造することができる。
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
上記実施形態では、ワイパーブレードゴムを自動車用に構成した場合を例に挙げて説明したが、本発明のワイパーブレードゴムの適用対象は、自動車用に限定されない。
例えば、自動車以外にも、船舶、飛行機、電車などの交通機関の窓などのウィンドシールドガラス面側のワイパー機構に装着され、ウィンドシールドガラス面に付着した、例えば、雨水、泥水、雪、みぞれ、埃などの窓面からの視界不良を生起する付着物質を払拭して取り除き、良好な運転視界を確保するためのワイパーブレードに適用することができる。さらには、上記交通機関以外でも、例えば、建築物の窓面の払拭用のブレードラバーとして使用してもよい。つまり、本発明のワイパーブレードゴムは、ウィンドシールドガラスのガラス面の付着物を除去する実質的機能を有するブレードラバーとして、その種類を問わず適用することができる。
例えば、自動車以外にも、船舶、飛行機、電車などの交通機関の窓などのウィンドシールドガラス面側のワイパー機構に装着され、ウィンドシールドガラス面に付着した、例えば、雨水、泥水、雪、みぞれ、埃などの窓面からの視界不良を生起する付着物質を払拭して取り除き、良好な運転視界を確保するためのワイパーブレードに適用することができる。さらには、上記交通機関以外でも、例えば、建築物の窓面の払拭用のブレードラバーとして使用してもよい。つまり、本発明のワイパーブレードゴムは、ウィンドシールドガラスのガラス面の付着物を除去する実質的機能を有するブレードラバーとして、その種類を問わず適用することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により詳細に説明する。本発明は、以下の実施例及び比較例に限定されない。実施例及び比較例中、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を示す。
〔各種物性の測定方法〕
(拭き性能試験)
拭き性能に関する官能評価は、ワイパーブレードゴムを普通自動車のワイパー装置に取り付け、当該普通自動車のウインドシールドガラス面に毎分約100〜500mlの水を払拭面全体に万遍なく散布した状態で、ワイパー装置を45回/分の速度で作動させて払拭動作を行い、拭き下げ時に残ったスジの状態をウインドシールドガラス面の室内側から観察し、後述する評価点の基準に従い、拭き評価を行った。なお、払拭試験前に、ウインドシールドガラス面を清掃して、ワックスやコーティング剤を除去したガラス面にて拭き評価を行った。図3は、官能評価の点数の基準を模式的に表した図である。
評価点:5 スジが全く発生しない。
評価点:4 瞬間的にスジが発生し直ぐに消える。
評価点:3 部分的にスジが発生し直ぐに消える。
評価点:2 部分的にスジが発生し直ぐに消えない。
評価点:1 全面にスジが発生し直ぐに消えない。
(拭き性能試験)
拭き性能に関する官能評価は、ワイパーブレードゴムを普通自動車のワイパー装置に取り付け、当該普通自動車のウインドシールドガラス面に毎分約100〜500mlの水を払拭面全体に万遍なく散布した状態で、ワイパー装置を45回/分の速度で作動させて払拭動作を行い、拭き下げ時に残ったスジの状態をウインドシールドガラス面の室内側から観察し、後述する評価点の基準に従い、拭き評価を行った。なお、払拭試験前に、ウインドシールドガラス面を清掃して、ワックスやコーティング剤を除去したガラス面にて拭き評価を行った。図3は、官能評価の点数の基準を模式的に表した図である。
評価点:5 スジが全く発生しない。
評価点:4 瞬間的にスジが発生し直ぐに消える。
評価点:3 部分的にスジが発生し直ぐに消える。
評価点:2 部分的にスジが発生し直ぐに消えない。
評価点:1 全面にスジが発生し直ぐに消えない。
(摩擦係数)
押し圧17g/cmで作動開始したときにアームにかかる負荷をひずみゲージで測定する。その負荷Fと押し圧Pから静摩擦係数μ=P/Fを算出する。なお、摩擦係数測定前に、ウインドシールドガラス面を清掃して、ワックスやコーティング剤を除去し、断水作動で測定を行った。
押し圧17g/cmで作動開始したときにアームにかかる負荷をひずみゲージで測定する。その負荷Fと押し圧Pから静摩擦係数μ=P/Fを算出する。なお、摩擦係数測定前に、ウインドシールドガラス面を清掃して、ワックスやコーティング剤を除去し、断水作動で測定を行った。
(耐久試験)
押し圧17g/cmの負荷をかけるアームとワイパーブレードゴムを普通自動車のワイパー装置に取り付け、5分30秒散水作動、30秒断水作動、30秒停止のサイクルを繰り返し実施する。散水条件は、当該普通自動車のウインドシールドガラス面に毎分約100〜500mlの水を払拭面全体に万遍なく散布する。ワイパーブレードの往復作動回数は、化学表面処理のみのサンプルでは10万回、化学表面処理+潤滑コーティングのサンプルでは50万回とした。耐久試験実施後にワイパー装置にて払拭動作を行い、拭き下げ時に残ったスジの状態をウインドシールドガラス面の室内側から観察し、後述する評価点の基準に従い、拭き評価と摩擦係数測定を行った。
押し圧17g/cmの負荷をかけるアームとワイパーブレードゴムを普通自動車のワイパー装置に取り付け、5分30秒散水作動、30秒断水作動、30秒停止のサイクルを繰り返し実施する。散水条件は、当該普通自動車のウインドシールドガラス面に毎分約100〜500mlの水を払拭面全体に万遍なく散布する。ワイパーブレードの往復作動回数は、化学表面処理のみのサンプルでは10万回、化学表面処理+潤滑コーティングのサンプルでは50万回とした。耐久試験実施後にワイパー装置にて払拭動作を行い、拭き下げ時に残ったスジの状態をウインドシールドガラス面の室内側から観察し、後述する評価点の基準に従い、拭き評価と摩擦係数測定を行った。
(ビビリ防止性)
環境条件は、上記拭き性能試験に順ずる。ワイパー装置にて払拭動作を行い、作動中のワイパーブレードのビビリ性をウインドシールドガラス面の室内側から観察し、後述する評価点の基準に従い、ビビリ防止性の評価を行った。
評価点:○ ビビリが発生しない、もしくは部分的にビビリが発生する。
評価点:× 全体的にビビリが発生する。
環境条件は、上記拭き性能試験に順ずる。ワイパー装置にて払拭動作を行い、作動中のワイパーブレードのビビリ性をウインドシールドガラス面の室内側から観察し、後述する評価点の基準に従い、ビビリ防止性の評価を行った。
評価点:○ ビビリが発生しない、もしくは部分的にビビリが発生する。
評価点:× 全体的にビビリが発生する。
(変形性)
ワイパーブレードゴムに50mmの標線を押印する。ワイパーブレードゴムを100%伸張に固定する治具にセットした状態で、80℃の恒温槽で7245時間熱老化する。恒温槽からワイパー取り出し後、室温で30分放置冷却後、100%伸張の固定を解除して1時間放置させ標線間の寸法を計測する。変形性は、下記の計算式によって算出する。
ワイパーブレードゴムに50mmの標線を押印する。ワイパーブレードゴムを100%伸張に固定する治具にセットした状態で、80℃の恒温槽で7245時間熱老化する。恒温槽からワイパー取り出し後、室温で30分放置冷却後、100%伸張の固定を解除して1時間放置させ標線間の寸法を計測する。変形性は、下記の計算式によって算出する。
(撥水付与性)
通常ガラス面上で、散水しながらワイパーブレードを3分間作動する。その後、試験ベンチの払拭面に霧吹きで水を吹きかける。水のハジキが無いか、目視で確認する。
評価点:○ 水のはじきが全く発生しない。もしくは、部分的に水のはじきが発生する。
評価点:× 全体的に水のはじきが発生する。
通常ガラス面上で、散水しながらワイパーブレードを3分間作動する。その後、試験ベンチの払拭面に霧吹きで水を吹きかける。水のハジキが無いか、目視で確認する。
評価点:○ 水のはじきが全く発生しない。もしくは、部分的に水のはじきが発生する。
評価点:× 全体的に水のはじきが発生する。
(化学表面処理性)
ワイパーブレードゴムの表面に化学表面処理を施す。具体的には、ワイパーブレードゴムを、塩素処理液中に浸漬させて塩素処理を行い、水洗後、乾燥させた。塩素処理は、蛍光X線測定でワイパーブレードゴム表面の塩素濃度が1.0質量%以上2.5質量%以下となるように行った。得られたサンプル表面を指でなぞり、下記の判断基準にて評価を行う。
評価点:○ 部分的な摩擦抵抗がない。
評価点:× 部分的、もしくは全体的な摩擦抵抗がある。
ワイパーブレードゴムの表面に化学表面処理を施す。具体的には、ワイパーブレードゴムを、塩素処理液中に浸漬させて塩素処理を行い、水洗後、乾燥させた。塩素処理は、蛍光X線測定でワイパーブレードゴム表面の塩素濃度が1.0質量%以上2.5質量%以下となるように行った。得られたサンプル表面を指でなぞり、下記の判断基準にて評価を行う。
評価点:○ 部分的な摩擦抵抗がない。
評価点:× 部分的、もしくは全体的な摩擦抵抗がある。
(潤滑コーティング処理性)
ワイパーブレードゴムーの表面に化学表面処理を施した後、潤滑コーティングを塗装する。コーティングが塗装された部分にセロテープ(登録商標)を荷重1kg〜1.5kgで貼り付けた後、セロテープをはがして下記の判断基準にて評価を行う。
評価点:○ コーティングの剥がれが全く発生しない。もしくは、部分的に発生する。
評価点:× コーティングの剥がれが全体的に発生する。
ワイパーブレードゴムーの表面に化学表面処理を施した後、潤滑コーティングを塗装する。コーティングが塗装された部分にセロテープ(登録商標)を荷重1kg〜1.5kgで貼り付けた後、セロテープをはがして下記の判断基準にて評価を行う。
評価点:○ コーティングの剥がれが全く発生しない。もしくは、部分的に発生する。
評価点:× コーティングの剥がれが全体的に発生する。
(ワイパーブレードゴムの作製)
固体潤滑剤として粒径3.5μmの鱗片状グラファイト、バインダーとしてETERNACOLL UW−1501−F(商標;宇部興産株式会社製)を用い、これらを適当な水系分散媒体又は有機溶剤中に慣用の手段により均一に混合し、コーティング剤を得た。
図2に示す、2本のワイパーブレードゴム(材料:天然ゴム/クロロプレンのブレンド)がくっついたタンデム形状体を成形加工した。このタンデム形状体を処理液に浸漬して表面を塩素化処理し、煮沸洗浄した。次いで、スプレーガンで片側のリップ部に上記コーティング剤を塗装面積が50%となるように塗布した。このワイパーブレードゴムを反転させて反対側にも上記コーティング剤を同様に塗布した。その後、焼成炉で焼成し、コーティング層を形成した。リップ部中央でカットしてワイパーブレードゴムを2本に分離した。
固体潤滑剤として粒径3.5μmの鱗片状グラファイト、バインダーとしてETERNACOLL UW−1501−F(商標;宇部興産株式会社製)を用い、これらを適当な水系分散媒体又は有機溶剤中に慣用の手段により均一に混合し、コーティング剤を得た。
図2に示す、2本のワイパーブレードゴム(材料:天然ゴム/クロロプレンのブレンド)がくっついたタンデム形状体を成形加工した。このタンデム形状体を処理液に浸漬して表面を塩素化処理し、煮沸洗浄した。次いで、スプレーガンで片側のリップ部に上記コーティング剤を塗装面積が50%となるように塗布した。このワイパーブレードゴムを反転させて反対側にも上記コーティング剤を同様に塗布した。その後、焼成炉で焼成し、コーティング層を形成した。リップ部中央でカットしてワイパーブレードゴムを2本に分離した。
コーティング層の厚みは6μmとした。なお、コーティング層の厚みは、ワイパーブレードゴムのリップ部に、5mm間隔を空けて、マスキングテープを2枚貼り、そのサンプルにコーティング剤を塗装後、マスキングテープをはがし、ゴム基材表面とコーティング膜の段差をレーザー変位計で測定して得た。
作製したワイパーブレードゴムについて、拭き性能、摩擦係数、耐久性、ビビリ防止性、変形性、撥水付与性、化学表面処理性、潤滑コーティング処理性の試験を実施し、性能を評価した。実施例および比較例で用いた材料、サンプルの作製方法は以下のとおりである。
〔熱硬化性エラストマー(a)〕
・天然ゴム(NR)基準配合:
カーボンブラック、添加剤、および加硫系薬品を混合し、加硫後のゴム硬度が60度(JIS K 6253 タイプAデュロメーター)になるように調製した。
・クロロプレンゴム(CR)基準配合:
カーボンブラック、添加剤、および加硫系薬品を混合し、加硫後のゴム硬度が60度(JIS K6253 タイプAデュロメーター)になるように調製した。
・天然ゴム(NR)/クロロプレンゴム(CR)ブレンド:
上記天然ゴム(NR)基準配合とクロロプレンゴム(CR)基準配合とを6:4の重量比で混合した。
・天然ゴム(NR)基準配合:
カーボンブラック、添加剤、および加硫系薬品を混合し、加硫後のゴム硬度が60度(JIS K 6253 タイプAデュロメーター)になるように調製した。
・クロロプレンゴム(CR)基準配合:
カーボンブラック、添加剤、および加硫系薬品を混合し、加硫後のゴム硬度が60度(JIS K6253 タイプAデュロメーター)になるように調製した。
・天然ゴム(NR)/クロロプレンゴム(CR)ブレンド:
上記天然ゴム(NR)基準配合とクロロプレンゴム(CR)基準配合とを6:4の重量比で混合した。
〔ワイパーブレードゴムの作製方法〕
バンバリーミキサーにて、天然ゴム(NR)基準配合、CR基準配合、又は天然ゴム(NR)/クロロプレンゴム(CR)ブレンドの熱硬化性エラストマーを混練りし、ワイパーブレード用ゴム組成物を作製した。このワイパーブレード用ゴム組成物を加硫成形機にて、加硫を行い、全長60cmのワイパーブレードを作製した。
バンバリーミキサーにて、天然ゴム(NR)基準配合、CR基準配合、又は天然ゴム(NR)/クロロプレンゴム(CR)ブレンドの熱硬化性エラストマーを混練りし、ワイパーブレード用ゴム組成物を作製した。このワイパーブレード用ゴム組成物を加硫成形機にて、加硫を行い、全長60cmのワイパーブレードを作製した。
このようにして作製したワイパーブレードゴムに対し表面処理を施し、試験に供した。表面処理は、化学表面処理のみ、又は化学表面処理と潤滑コーティング処理の両方とした。
実施例1〜8及び比較例1〜7に係るワイパーブレードゴムは、上記材料を用いて下記表1及び2に示す配合に基づいて作製し、所定の表面処理を施した後、試験に供した。
(実施例1)
熱硬化性エラストマー(a)としては天然ゴム(NR)/クロロプレンゴム(CR)ブレンドを用い、ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)としては日信化学工業株式会社製「シャリーヌ(登録商標)R−175S(平均粒子径:30μm、平均分子量:200,000、融点又は分解開始温度:200℃超」を用いた。熱硬化性エラストマー(a)対ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の重量比は100:5とした。ワイパーブレードゴムに対して化学表面処理のみを施し、試験に供した。
熱硬化性エラストマー(a)としては天然ゴム(NR)/クロロプレンゴム(CR)ブレンドを用い、ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)としては日信化学工業株式会社製「シャリーヌ(登録商標)R−175S(平均粒子径:30μm、平均分子量:200,000、融点又は分解開始温度:200℃超」を用いた。熱硬化性エラストマー(a)対ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の重量比は100:5とした。ワイパーブレードゴムに対して化学表面処理のみを施し、試験に供した。
(実施例2)
熱硬化性エラストマー(a)対ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の重量比を100:10とした以外は実施例1と同様に行った。
熱硬化性エラストマー(a)対ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の重量比を100:10とした以外は実施例1と同様に行った。
(実施例3)
熱硬化性エラストマー(a)対ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の重量比を100:15とした以外は実施例1と同様に行った。
熱硬化性エラストマー(a)対ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の重量比を100:15とした以外は実施例1と同様に行った。
(実施例4)
ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)として「シャリーヌR−175の平均粒子径調整品(平均粒子径:178μm、平均分子量:200,000、融点又は分解開始温度:200℃超」を用いた以外は実施例2と同様に行った。
ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)として「シャリーヌR−175の平均粒子径調整品(平均粒子径:178μm、平均分子量:200,000、融点又は分解開始温度:200℃超」を用いた以外は実施例2と同様に行った。
(実施例5)
ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)として日信化学工業株式会社製「シャリーヌ(登録商標)R−175(平均粒子径:352μm、平均分子量:200,000、融点又は分解開始温度:200℃超」を用いた以外は実施例2と同様に行った。
ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)として日信化学工業株式会社製「シャリーヌ(登録商標)R−175(平均粒子径:352μm、平均分子量:200,000、融点又は分解開始温度:200℃超」を用いた以外は実施例2と同様に行った。
(実施例6)
ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)として日信化学工業株式会社製「シャリーヌ(登録商標)R−170(平均粒子径:352μm、平均分子量:400,000、融点又は分解開始温度:200℃超」を用いた以外は実施例2と同様に行った。
ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)として日信化学工業株式会社製「シャリーヌ(登録商標)R−170(平均粒子径:352μm、平均分子量:400,000、融点又は分解開始温度:200℃超」を用いた以外は実施例2と同様に行った。
(実施例7)
熱硬化性エラストマー(a)として天然ゴム(NR)基準配合を用いた以外は実施例2と同様に行った。
熱硬化性エラストマー(a)として天然ゴム(NR)基準配合を用いた以外は実施例2と同様に行った。
(実施例8)
熱硬化性エラストマー(a)としてクロロプレンゴム(CR)基準配合を用いた以外は実施例2と同様に行った。
熱硬化性エラストマー(a)としてクロロプレンゴム(CR)基準配合を用いた以外は実施例2と同様に行った。
(比較例1)
ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)を配合しなかった以外は実施例1と同様に行った。
ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)を配合しなかった以外は実施例1と同様に行った。
(比較例2)
熱硬化性エラストマー(a)対ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の重量比を100:3とした以外は実施例1と同様に行った。
熱硬化性エラストマー(a)対ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の重量比を100:3とした以外は実施例1と同様に行った。
(比較例3)
熱硬化性エラストマー(a)対ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の重量比を100:20とした以外は実施例1と同様に行った。
熱硬化性エラストマー(a)対ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の重量比を100:20とした以外は実施例1と同様に行った。
(比較例4)
ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の代わりに「シャリーヌR−175Sの平均粒子径調整品(平均粒子径:16μm、平均分子量:200,000、融点又は分解開始温度:200℃超」を用いた以外は実施例2と同様に行った。
ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の代わりに「シャリーヌR−175Sの平均粒子径調整品(平均粒子径:16μm、平均分子量:200,000、融点又は分解開始温度:200℃超」を用いた以外は実施例2と同様に行った。
(比較例5)
ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の代わりに「シャリーヌR−175の平均粒子径調整品(平均粒子径:404μm、平均分子量:200,000、融点又は分解開始温度:200℃超」を用いた以外は実施例2と同様に行った。
ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の代わりに「シャリーヌR−175の平均粒子径調整品(平均粒子径:404μm、平均分子量:200,000、融点又は分解開始温度:200℃超」を用いた以外は実施例2と同様に行った。
(比較例6)
ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の代わりに「シャリーヌR−175Sの平均粒子径調整品(平均粒子径:38μm、平均分子量:170,000、融点又は分解開始温度:200℃超」を用いた以外は実施例2と同様に行った。
ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)の代わりに「シャリーヌR−175Sの平均粒子径調整品(平均粒子径:38μm、平均分子量:170,000、融点又は分解開始温度:200℃超」を用いた以外は実施例2と同様に行った。
(比較例7)
ポリエーテル変性シリコーンオイルを配合した以外は実施例6と同様に行った。
ポリエーテル変性シリコーンオイルを配合した以外は実施例6と同様に行った。
サンプルの詳細と評価試験結果を表1及び表2に示す。
なお、総合評価の判定は、次の基準に基づいて行った。
○:試験項目すべてにおいて満足すべき結果が得られた。
×:試験項目のいずれかにおいて結果に不満がある。
○:試験項目すべてにおいて満足すべき結果が得られた。
×:試験項目のいずれかにおいて結果に不満がある。
表1、2に示すように、実施例1乃至8のワイパーブレードゴムは、拭き性能、摩擦係数、耐久性、ビビリ防止性、変形性、撥水付与性、化学表面処理性、潤滑コーティング処理性の試験項目すべてにおいて満足すべき結果を得た。
これに対し、ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)を配合しなかった比較例1、共重合体(b)を配合してもその量が不適切な比較例2及び3、ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体を用いて、共重合体の粒径等を変えた場合の比較例4乃至6では、粒子径が適切でないため、耐久性の改善は満足のいくものではなく、重合体の種類によってはビビリ防止性、撥水付与性、潤滑コーティング処理性にも劣っていた。また、シリコーンオイルを配合した比較例7では、撥水付与性、潤滑コーティング処理性に問題を生じた。
本発明によれば、清浄なガラス面、撥水処理されたガラス面のいずれに対しても低摩擦且つ払拭性に優れ、その効果が長期間にわたって持続するワイパーブレードゴムを提供することができ、産業上有用である。
Claims (8)
- 熱硬化性エラストマー(a)100重量部と、ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体(b)4重量部以上19重量部以下とを含み、共重合体(b)の平均分子量が180,000以上であり、(a)中に(b)が平均粒子径20μm以上400μm以下の粒子状で分散していることを特徴とするワイパーブレードゴム。
- 共重合体(b)の融点または分解開始温度が200℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のワイパーブレードゴム。
- 摩擦低減表面処理が施された払拭面を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のワイパーブレードゴム。
- 前記摩擦低減表面処理が化学表面処理であることを特徴とする請求項3記載のワイパーブレードゴム。
- 前記ワイパーブレードゴムの払拭面の初期の静摩擦係数が1.0以下、ワイパーブレードの往復作動回数10万回後の静摩擦係数が4.0以下であることを特徴とする請求項4に記載のワイパーブレードゴム。
- 前記摩擦低減表面処理が、化学表面処理が施された後に潤滑コーティング処理が施されたものであることを特徴とする請求項3記載のワイパーブレードゴム。
- 前記ワイパーブレードゴムの払拭面の初期の静摩擦係数が0.9以下、ワイパーブレードの往復作動回数50万回後の静摩擦係数が2.8以下であることを特徴とする請求項6に記載のワイパーブレードゴム。
- シリコーンオイルを含有しないことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のワイパーブレードゴム。
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Cited By (1)
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---|---|---|---|---|
WO2022131340A1 (ja) | 2020-12-18 | 2022-06-23 | 東洋紡株式会社 | 熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物、及び成形体 |
-
2017
- 2017-09-28 JP JP2017188117A patent/JP2019064281A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2022131340A1 (ja) | 2020-12-18 | 2022-06-23 | 東洋紡株式会社 | 熱可塑性ポリエステルエラストマー樹脂組成物、及び成形体 |
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