JP2020164681A - ワイパーラバー - Google Patents
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Abstract
【課題】滑性付与処理を行ったワイパーラバーにおいて、良好な払拭性を実現する。【解決手段】ワイパーラバー10は、ゴム成分としてクロロプレンゴムを含むゴム組成物からなる。クロロプレンゴムの全硫黄量が0.5質量%以下である。ワイパーラバーは、ハロゲン化処理が施されているため、滑性を付与され、且つ、クラックの発生が抑制されているので、払拭性及び耐久性に優れる。更に、ワイパーラバーのリップ部11aについて、表面にコーティング層14が形成されている。【選択図】図1
Description
本開示は、ワイパーラバーに関する。
車両のフロントガラス等を払拭するために、ワイパーラバーを備えるワイパーが使用される。ワイパーラバーは、天然ゴム、又は、天然ゴムとクロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム等のジエン系ゴムとのブレンド物により形成されることが多い。これにより、柔軟性を有する反面、摺動抵抗が大きい。そこで、表面に滑性を付与することが行われる。加硫されたジエン系ゴムの表面に滑性を付与する方法としては、例えば、ハロゲン化処理が知られている。
上記のような滑性を付与する処理を行ったワイパーラバーにおいて、拭きスジが発生する等、払拭性が劣化することがあった。
本開示の目的は、滑性を付与する処理を行ったワイパーラバーにおいて、良好な払拭性を実現することである。
本願発明者は、従来の滑性を付与する処理を行ったワイパーラバーにおいて、表面が硬化されて微細なクラック(割れ)が生じていること、当該クラックが拭きスジ発生の原因になることに着目し、様々な検討を行った。
その結果、本開示のワイパーラバーは、ゴム成分としてクロロプレンゴムを含むゴム組成物からなり、クロロプレンゴムの全硫黄量は0.5質量%以下である。また、ハロゲン化処理が施されている。
本開示のワイパーラバーによると、ハロゲン化処理により滑性を付与され、且つ、クラックの発生が抑制されているので、払拭性及び耐久性に優れる。
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態のコーティング剤を適用したワイパーラバー10の断面を模式的に示す図である。
ワイパーラバー10は、自動車のフロントガラス等を払拭するための払拭部11と、当該払拭部11にネック部12を介して接続される基部13とを備える。基部13には、その両側方に、ワイパーラバー10の長さ方向に亘って延びる固定溝が設けられている。固定溝には、例えば板バネ等からなるバーティブラがそれぞれ挿入される。払拭部11は、ネック部12と反対側に設けられてガラス等の被払拭面を払拭するためのリップ部11aを備える。
また、ワイパーラバー10について、ハロゲン化処理が施され、更に、ワイパーラバー10のリップ部11aについて、表面にコーティング層14が形成されている。
ワイパーラバー10を備えるワイパーブレードは、アーム取付部材を用いてワイパーアームに接続される(図示は省略)。
(ゴム組成物)
ワイパーラバー10は、ゴム成分及び配合剤を含むゴム組成物により構成されている。ゴム成分としては、CR(クロロプレンゴム)を用いる。但し、クロロプレンを主成分として、他のゴムをブレンドすることは可能である。他のゴムとしては非ジエン系のゴムが望ましく、例えばEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、ACM(アクリルゴム)、ウレタンゴム、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体ゴム)を用いることができる。ブレンド量は、0〜20質量%が望ましい。
ワイパーラバー10は、ゴム成分及び配合剤を含むゴム組成物により構成されている。ゴム成分としては、CR(クロロプレンゴム)を用いる。但し、クロロプレンを主成分として、他のゴムをブレンドすることは可能である。他のゴムとしては非ジエン系のゴムが望ましく、例えばEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、ACM(アクリルゴム)、ウレタンゴム、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体ゴム)を用いることができる。ブレンド量は、0〜20質量%が望ましい。
クロロプレンの全硫黄量は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましい。
このような全硫黄量のクロロプレンをゴム成分として用いたゴム組成物からなるワイパーラバーについて、ハロゲン化処理(詳しくは後に述べる)を行うことにより、クラックの発生を抑制することができる。クラックは拭きスジ等の払拭性低下の原因であるから、これを抑制することにより払拭性が向上する。また、クラックは、大気中のオゾンによるワイパーラバーの経時劣化を促進する原因ともなる。従って、クラックを抑制することにより耐久性を向上することができる。このような効果は、払拭対象が通常のガラス及び撥水性のガラスのいずれにおいても発揮される。
また、このようなクロロプレンは圧縮永久歪について優れるので、耐久時の拭き取り性能が劣化しにくく、また、ビビリ音が発生しにくい。尚、ビビリ音とは、ワイパーラバーがスティックアンドスリップを繰り返すことによる振動に伴う異音である。
ゴム組成物における配合剤は、補強材、加工助剤、加硫促進助剤、可塑剤、共架橋剤、架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤等が挙げられる。以下、それぞれ例示するが、これらに限られることはない。
補強材としては、カーボンブラックでは、例えば、チャネルブラック;SAF、ISAF、N−339、HAF、N−351、MAF、FEF、SRF、GPF、ECF、N−234などのファーネスブラック;FT、MTなどのサーマルブラック;アセチレンブラック等が挙げられる。補強材としてはシリカも挙げられる。補強材は、これらのうち1種又は2種以上であることが好ましい。補強材の配合量は、ゴム組成物100質量部に対して、例えばカーボンブラックであれば10〜80質量部である。
加工助剤としては、例えば、ステアリン酸、ポリエチレンワックス、脂肪酸の金属塩等
が挙げられる。加工助剤は、これらのうち1種又は2種以上であることが好ましい。加工助剤の配合量は、ゴム組成物100質量部に対して例えば0.5〜2質量部である。
が挙げられる。加工助剤は、これらのうち1種又は2種以上であることが好ましい。加工助剤の配合量は、ゴム組成物100質量部に対して例えば0.5〜2質量部である。
加硫促進助剤としては、例えば、酸化亜鉛(亜鉛華)や酸化マグネシウムなどの金属酸化物、金属炭酸塩、脂肪酸及びその誘導体等が挙げられる。加硫促進助剤は、これらのうち1種又は2種以上であることが好ましい。加硫促進剤の配合量は、ゴム組成物100質量部に対して例えば3〜7質量部である。
可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)などのジアルキルフタレート、ジオクチルアジペート(DOA)などのジアルキルアジペート、ジオクチルセバケート(DOS)などのジアルキルセバケート、又は、パラフィン系、ナフテン系、アロマチック系等のプロセスオイル等が挙げられる。可塑剤は、これらのうち1種又は2種以上であることが好ましい。可塑剤の配合量は、ゴム組成物100質量部に対して例えば0.1〜40質量部である。
架橋剤としては、金属酸化物が望ましい。例えば、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等を用いることができ、これらを単独又は複数を組み合わせて使用することができる。架橋剤の配合量は、ゴム組成物のゴム成分100質量部に対して例えば1〜5質量部である。尚、クロロプレンの全硫黄量を前記の範囲とすることに加えて、架橋剤として硫黄を用いることは避けるのが望ましい。これにより、本開示のワイパーラバーの効果がより確実に得られる。
加硫促進剤としては、例えば、チウラム系(例えばTETD、TT、TRAなど)、チアゾール系(例えばMBT、MBTSなど)、スルフェンアミド系(例えばCZなど)、ジチオカルバミン酸塩系(例えばBZ−Pなど)のもの等が挙げられる。加硫促進剤は、これらのうち1種又は2種以上であることが好ましい。加硫促進剤の含有量は、ゴム組成物のゴム成分100質量部に対して例えば1〜3質量部である。
老化防止剤としては、例えば、アミン−ケトン系老化防止剤、ジアミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤等が挙げられる。老化防止剤は、これらのうち1種又は2種以上であることが好ましい。老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば0.1〜5質量部である。
(表面処理)
上記のゴムにより形成されるワイパーラバーについて、滑性を与えるための表面処理として、ハロゲン化処理を行う。
上記のゴムにより形成されるワイパーラバーについて、滑性を与えるための表面処理として、ハロゲン化処理を行う。
これは、例えば、さらし粉を塩酸水溶液に溶解させた溶液中に、形成されたワイパーラバーを浸漬することにより行っても良い。また、トリクロロイソシアヌル酸を有機溶媒に溶解した溶液にワイパーラバーを浸漬することにより行っても良い。更に、水が入れられた容器の上方にてワイパーラバーに処理ガスを直接接触させた後、当該ワイパーラバーを水中に浸漬することにより行っても良い。その他、ハロゲン化処理の方法について、特に限定はされない。
ハロゲン化処理の深さは、ワイパーラバーの表面において1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。これにより、滑性及び密着性を付与する効果が明確に発揮される。また、ハロゲン化処理の深さは、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。これにより、クラックを抑制する効果が顕著になる。
(コーティング)
ハロゲン化処理を施した後、ワイパーラバーにコーティングを行い、コーティング層14を備えるワイパーラバー10を得る。
ハロゲン化処理を施した後、ワイパーラバーにコーティングを行い、コーティング層14を備えるワイパーラバー10を得る。
コーティングのためのコーティング剤は、固体潤滑剤と、当該固体潤滑剤をワイパーラバー10の表面に付着させるためのバインダーとを含む。固体潤滑剤は、例えばグラファイトであっても良い。バインダーは、例えばアクリル樹脂であっても良い。
表1に示す実施例1〜6及び比較例1〜4のワイパーラバーを作成した。これらのワイパーラバーは、下記に説明するように、ゴム組成物1〜6のいずれか1つからなり、且つ、処理1〜3のいずれか1つが施されている。具体的に、実施例1、2及び3はゴム組成物1からなり、順に、処理1、2、3が施されている。実施例4、5、6はゴム組成物2からなり、順に、処理1、2、3が施されている。比較例1、2、3、4は、順に、ゴム組成物3、4、5、6からなり、いずれも処理1が施されている。
――ゴム組成物――
ワイパーラバーを作成するためのゴム組成物1〜6について、以下に個々に説明する。尚、各ゴム組成物について、表2にも示している(単位はゴム成分100質量部に対する質量部)。
ワイパーラバーを作成するためのゴム組成物1〜6について、以下に個々に説明する。尚、各ゴム組成物について、表2にも示している(単位はゴム成分100質量部に対する質量部)。
(ゴム組成物1)
ゴム組成物1は、ゴム種として、クロロプレン(東ソー社製、商品名「スカイプレンB-30」)を用いた。これを表2ではクロロプレン1としている。当該クロロプレン100質量部に対し、配合剤として、カーボンブラック(東海カーボン社製、商品名「シーストSO」)を35質量部、亜鉛華(ハクスイテック社製、商品名「酸化亜鉛3種G」)を5質量部、酸化マグネシウム(協和化学工業社製、商品名「キョーワマグ150」)を4質量部、ステアリン酸(日本油脂社製、商品名「ビーズステアリン酸椿」)を2質量部、加硫促進剤(大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーTMU」)を1質量部、ナフテンオイル(出光興産社製、商品名「ダイアナプロセスNP-24」)を3質量部、老化防止剤(大内新興化学社製、商品名「ノクラック6C」)を1質量部を用いた。クロロプレン1の全硫黄量は、0.1質量%である。
ゴム組成物1は、ゴム種として、クロロプレン(東ソー社製、商品名「スカイプレンB-30」)を用いた。これを表2ではクロロプレン1としている。当該クロロプレン100質量部に対し、配合剤として、カーボンブラック(東海カーボン社製、商品名「シーストSO」)を35質量部、亜鉛華(ハクスイテック社製、商品名「酸化亜鉛3種G」)を5質量部、酸化マグネシウム(協和化学工業社製、商品名「キョーワマグ150」)を4質量部、ステアリン酸(日本油脂社製、商品名「ビーズステアリン酸椿」)を2質量部、加硫促進剤(大内新興化学工業社製、商品名「ノクセラーTMU」)を1質量部、ナフテンオイル(出光興産社製、商品名「ダイアナプロセスNP-24」)を3質量部、老化防止剤(大内新興化学社製、商品名「ノクラック6C」)を1質量部を用いた。クロロプレン1の全硫黄量は、0.1質量%である。
(ゴム組成物2)
ゴム組成物2は、ゴム種として、クロロプレン(東ソー社製、商品名「スカイプレンB5-A」)を用いた。これを表2ではクロロプレン2としている。配合剤としては、ゴム組成物1と同じ(物質、配合量共に)とした。クロロプレン2の全硫黄量は、0.1質量%である。
ゴム組成物2は、ゴム種として、クロロプレン(東ソー社製、商品名「スカイプレンB5-A」)を用いた。これを表2ではクロロプレン2としている。配合剤としては、ゴム組成物1と同じ(物質、配合量共に)とした。クロロプレン2の全硫黄量は、0.1質量%である。
(ゴム組成物3)
ゴム組成物3は、ゴム種として、クロロプレン(東ソー社製、商品名「スカイプレンR-22」)を用いた。表2ではクロロプレン3としている。配合剤としては、加硫促進剤(ノクセラーTMU)を配合しない他は、ゴム組成物1と同じとした。クロロプレン3の全硫黄量は、1質量%である。
ゴム組成物3は、ゴム種として、クロロプレン(東ソー社製、商品名「スカイプレンR-22」)を用いた。表2ではクロロプレン3としている。配合剤としては、加硫促進剤(ノクセラーTMU)を配合しない他は、ゴム組成物1と同じとした。クロロプレン3の全硫黄量は、1質量%である。
(ゴム組成物4)
ゴム組成物4は、ゴム種として、天然ゴム(商品名「SVR CV60」)を用いた。配合剤としては、酸化マグネシウムを配合しないこと、及び、加硫促進剤としてノクセラーTMUに代えてノクセラーTS(大内新興化学工業社製)を1質量部を用いることの他は、ゴム組成物1と同じとした。
ゴム組成物4は、ゴム種として、天然ゴム(商品名「SVR CV60」)を用いた。配合剤としては、酸化マグネシウムを配合しないこと、及び、加硫促進剤としてノクセラーTMUに代えてノクセラーTS(大内新興化学工業社製)を1質量部を用いることの他は、ゴム組成物1と同じとした。
(ゴム組成物5)
ゴム組成物5は、ゴム種として、スチレンブタジエンゴム(JSR社製 商品名「JSR 1500」)を用いた。配合剤は、ゴム組成物4と同じとした。
ゴム組成物5は、ゴム種として、スチレンブタジエンゴム(JSR社製 商品名「JSR 1500」)を用いた。配合剤は、ゴム組成物4と同じとした。
(ゴム組成物6)
ゴム組成物6は、ゴム種として、EPDM(JSR社製、商品名「EP21」)を用いた。当該EPDM100質量部に対し、カーボンブラック(シーストSO)を35質量部、亜鉛華(酸化亜鉛3種G)を5質量部、共架橋剤(精工化学株式会社、商品名「ハイクロスM」)を1質量部、有機過酸化物(日油社製、商品名「パークミルD」)を3質量部、ナフテンオイル(ダイアナプロセスNP-24)を3質量部、老化防止剤(大内新興化学社製、商品名「ノクラックMB」)を1質量部を用いた。
ゴム組成物6は、ゴム種として、EPDM(JSR社製、商品名「EP21」)を用いた。当該EPDM100質量部に対し、カーボンブラック(シーストSO)を35質量部、亜鉛華(酸化亜鉛3種G)を5質量部、共架橋剤(精工化学株式会社、商品名「ハイクロスM」)を1質量部、有機過酸化物(日油社製、商品名「パークミルD」)を3質量部、ナフテンオイル(ダイアナプロセスNP-24)を3質量部、老化防止剤(大内新興化学社製、商品名「ノクラックMB」)を1質量部を用いた。
―滑性付与処理―
上記のゴム組成物1〜6のいずれか1つを用いてワイパーラバーの作成した後、それぞれについて、滑性を付与するための処理として、ハロゲン化処理を行った。ハロゲン化処理は、次の処理1〜処理3のいずれかにより行った。
上記のゴム組成物1〜6のいずれか1つを用いてワイパーラバーの作成した後、それぞれについて、滑性を付与するための処理として、ハロゲン化処理を行った。ハロゲン化処理は、次の処理1〜処理3のいずれかにより行った。
(処理1)
さらし粉を塩酸水溶液に溶解させて、処理液を調整した。当該処理液にワイパーラバーを浸漬することによりハロゲン化処理を行った。より具体的に、塩酸水溶液は濃度3.5質量%、さらし粉の濃度は10質量%とし、塩酸水溶液とさらし粉液とを1:1に混合して処理液とした。浸漬時間は10分、処理の温度は常温とした。
さらし粉を塩酸水溶液に溶解させて、処理液を調整した。当該処理液にワイパーラバーを浸漬することによりハロゲン化処理を行った。より具体的に、塩酸水溶液は濃度3.5質量%、さらし粉の濃度は10質量%とし、塩酸水溶液とさらし粉液とを1:1に混合して処理液とした。浸漬時間は10分、処理の温度は常温とした。
(処理2)
トリクロロイソシアヌル酸を有機溶媒に溶解して処理液を調整した。当該処理液にワイパーラバーを浸漬することによりハロゲン化処理を行った。具体的に、酢酸エチルを有機溶媒として5質量%のトリクロロイソシアヌル酸溶液を調整し、常温で処理を行った。
トリクロロイソシアヌル酸を有機溶媒に溶解して処理液を調整した。当該処理液にワイパーラバーを浸漬することによりハロゲン化処理を行った。具体的に、酢酸エチルを有機溶媒として5質量%のトリクロロイソシアヌル酸溶液を調整し、常温で処理を行った。
(処理3)
水が入れられた容器を準備し、その上方において処理ガスにワイパーラバーを直接接触させた。その後、ワイパーラバーを水中に浸漬することによりハロゲン化処理を行った。具体的には、処理1と同様の処理液により処理ガスを生成し20分間の処理を行った。
水が入れられた容器を準備し、その上方において処理ガスにワイパーラバーを直接接触させた。その後、ワイパーラバーを水中に浸漬することによりハロゲン化処理を行った。具体的には、処理1と同様の処理液により処理ガスを生成し20分間の処理を行った。
―コーティング―
上記のハロゲン化処理を行った各ワイパーラバーについて、リップ部11aに対してコーティング剤を塗布してコーティング層14を形成した。
上記のハロゲン化処理を行った各ワイパーラバーについて、リップ部11aに対してコーティング剤を塗布してコーティング層14を形成した。
コーティング剤としては、固体潤滑剤としてのグラファイト(日本黒鉛工業社製、商品名「PAG-1500」)と、バインダーとしてのアクリル樹脂(日本触媒社製、商品名「ポリメントNK-350」)とを混合したものを用いた。
(試験評価)
実施例1〜6及び比較例1〜4のワイパーラバーについて、クラックの発生、拭き取り性能、ビビリ電圧に関して評価した。
実施例1〜6及び比較例1〜4のワイパーラバーについて、クラックの発生、拭き取り性能、ビビリ電圧に関して評価した。
(クラック)
クラックは、ワイパーが曲げられた際にコーティング層が割れる現象であり、払拭性が低下する原因となる。クラックの発生は、ブレードゴムを軽く折り曲げた時に生じる皺を目視確認することにより評価した。
クラックは、ワイパーが曲げられた際にコーティング層が割れる現象であり、払拭性が低下する原因となる。クラックの発生は、ブレードゴムを軽く折り曲げた時に生じる皺を目視確認することにより評価した。
(拭き取り性能)
拭き取り性能は、それぞれのワイパーラバーを備えるワイパーブレードを車のフロントガラスに取り付け、実際に拭き取りの動作を行うことにより、以下のように評価した。尚、3点以上を合格、2点以下を不合格とする。
5点:拭き残しが全くない。
4点:ライン状の拭き残しが生じるが、3秒以内に消滅する。
3点:拭き残しが部分的に生じるが、3秒以内に消滅する。
2点:明瞭な拭き残しが存在する。又は多数のスジが発生する。
1点:全面に拭き残しがある。
拭き取り性能は、それぞれのワイパーラバーを備えるワイパーブレードを車のフロントガラスに取り付け、実際に拭き取りの動作を行うことにより、以下のように評価した。尚、3点以上を合格、2点以下を不合格とする。
5点:拭き残しが全くない。
4点:ライン状の拭き残しが生じるが、3秒以内に消滅する。
3点:拭き残しが部分的に生じるが、3秒以内に消滅する。
2点:明瞭な拭き残しが存在する。又は多数のスジが発生する。
1点:全面に拭き残しがある。
尚、拭き取り性能は、初期(試験を始めた直後)、1万回の動作を行った時点、及び、3万回の動作を行った時点について評価した。
(ビビリ電圧)
それぞれのワイパーラバーを備えるワイパーブレードを車のフロントガラスに取り付け、通常のワイパー作動速度で作動させた。ワイパー作動時には常時散水を行い、一定回数作動後のビビリ電圧を評価した。
それぞれのワイパーラバーを備えるワイパーブレードを車のフロントガラスに取り付け、通常のワイパー作動速度で作動させた。ワイパー作動時には常時散水を行い、一定回数作動後のビビリ電圧を評価した。
ビビリ電圧は、ワイパーブレードを動作させるための電圧を通常電圧(12V)から徐々に下げて行き、ビビリ振動を起こしたときの電圧値を測定する。当該電圧値が小さいほどビビリ振動(及びそれに伴うビビリ音)が生じにくく、優れている。具体的には、
・6V以下:大変優れている
・6〜9V:優れている
・9.5V〜11.5V:良好
・12V以上:ビビリあり(不良)
と評価される。
・6V以下:大変優れている
・6〜9V:優れている
・9.5V〜11.5V:良好
・12V以上:ビビリあり(不良)
と評価される。
尚、ビビリ電圧についても、初期、1万回の動作を行った時点、及び、3万回の動作を行った時点について評価した。
(評価結果)
実施例1〜6について、いずれもクラックの発生が無い。拭き取り性能について、実施例2の3万回動作時点では3点になっているが、最も点数の低いこの場合でも合格と評価できる点数である。実施例において、他はいずれも4点又は5点であって優れている。また、ビビリ電圧について、実施例2の3万回動作時点では8.5Vであって、これが最も大きいが、「優れている」と評価できる値である。
実施例1〜6について、いずれもクラックの発生が無い。拭き取り性能について、実施例2の3万回動作時点では3点になっているが、最も点数の低いこの場合でも合格と評価できる点数である。実施例において、他はいずれも4点又は5点であって優れている。また、ビビリ電圧について、実施例2の3万回動作時点では8.5Vであって、これが最も大きいが、「優れている」と評価できる値である。
このように、全硫黄量が0.5質量%以下のクロロプレンをゴム組成物として用いるゴム組成物によりワイパーラバーを構成し、且つ、ハロゲン化処理を施すことにより、滑性が付与されると共にクラックの発生が抑制され、払拭性及び耐久性に優れたワイパーラバーが実現する。
比較例1の場合、クラックが発生している。また、拭き取り性能について、3万回動作時点で2点評価となり、不合格である。また、ビビリ電圧について、3万回動作時点で11.5Vであり、良好と評価される値であるが、各実施例に比べて高くなっている。これらのことは、比較例1に用いたゴム組成物3ではクロロプレンの全硫黄量が1質量%であって、実施例の場合よりも高いことから、ハロゲン化処理によりクラックが生じやすく、また、圧縮永久歪が悪いことが原因と考えられる。
天然ゴムを用いた比較例2について、ハロゲン化処理によりクラックが発生している。これにより、拭き取り性能について、初期は5点であるが劣化が大きく、1万回動作時点で1点(不合格)となっている。また、ビビリ電圧についても、3万回動作時点で10.5Vであって良好と評価される値であるが、各実施例に比べて高くなっている。
スチレンブラジエンゴムを用いた比較例3についても、比較例2と同様の結果である。つまり、ハロゲン化処理によりクラックが発生している。この結果、拭き取り性能、ビビリ電圧のいずれも、ワイパーの動作に伴って大きく劣化する。
比較例4については、拭き取り性能が初期から3点であって、合格と評価される点であるが他の実施例、比較例に比べて低い。更に、1万回動作時点で1点(不合格)となる。尚、3万回動作時点については測定を省略した(これを×印にて示す)。
また、ビビリ電圧についても、3万回動作時点では12Vとなり、不良となっている。これについて、比較例4において用いたゴム種はEPDMであることによると考えられる。EPDMは、非ジエン系のゴムであるから、ハロゲン化処理の効果が得らず(処理深さが0μmである)、コーティングの耐久性が低くなっている。
本開示のワイパーラバーは、良好な払拭性を維持できるので、自動車等のワイパーブレードに用いるワイパーラバーとして有用である。
10 ワイパーラバー
11 払拭部
11a リップ部
12 ネック部
13 基部
14 コーティング層
11 払拭部
11a リップ部
12 ネック部
13 基部
14 コーティング層
Claims (4)
- ワイパーラバーであって、
ゴム成分としてクロロプレンゴムを含むゴム組成物からなり、
前記クロロプレンゴムの全硫黄量は0.5質量%以下であり、
ハロゲン化処理が施されていることを特徴とするワイパーラバー。 - 請求項1のワイパーラバーにおいて、
前記ハロゲン化処理の深さは、前記ワイパーラバーの表面において1μm以上で且つ20μm以下であることを特徴とするワイパーラバー。 - 請求項1又は2のワイパーラバーにおいて、
前記ワイパーラバーの表面に、摩擦係数を低下させるコーティングが施されていることを特徴とするワイパーラバー。 - 請求項1〜3のいずれか1つのワイパーラバーにおいて、
架橋剤としての硫黄の使用を避けて前記ゴム組成物が構成されていることを特徴とするワイパーラバー。
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JP (1) | JP2020164681A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021193878A1 (ja) | 2020-03-27 | 2021-09-30 | セントラル硝子株式会社 | ノボラック樹脂、エポキシ樹脂、感光性樹脂組成物、硬化性樹脂組成物、硬化物、電子デバイス、ノボラック樹脂の製造方法およびエポキシ樹脂の製造方法 |
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2019
- 2019-03-29 JP JP2019067416A patent/JP2020164681A/ja active Pending
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WO2021193878A1 (ja) | 2020-03-27 | 2021-09-30 | セントラル硝子株式会社 | ノボラック樹脂、エポキシ樹脂、感光性樹脂組成物、硬化性樹脂組成物、硬化物、電子デバイス、ノボラック樹脂の製造方法およびエポキシ樹脂の製造方法 |
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