JP6745534B2 - ゴム組成物、ゴム成形品及びその製造方法 - Google Patents

ゴム組成物、ゴム成形品及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ゴム組成物及びゴム成形品に関する。また、本発明は当該ゴム成形品の製造方法に関する。
自動車の車軸は転がり軸受によって支持されていて、この軸受にはグリースの漏出や泥水の浸入を防止するためにシールと呼ばれる部品が備わっている。シールは、リング状の芯金の表面がゴムで被覆されたものである。このとき、シールには、ラジオノイズ対策として導電性ゴム組成物が用いられる。シールに用いられる導電性ゴム組成物としては、例えば特許文献1〜3に記載のニトリルゴム組成物が挙げられる。
特許文献1には、ニトリルゴム100重量部に対して、カーボンブラック5〜50重量部、平均粒子径5μm以下のグラファイト5〜60重量部およびこれら以外の導電性カーボン5〜50重量部を含有してなり、カーボンブラック、グラファイトおよびこれら以外の導電性カーボンの合計量が、ニトリルゴム100重量部に対して10〜100重量部であるニトリルゴム組成物が記載されている。そして、特許文献1に記載のゴム組成物を用いたオイルシールは、耐泥水性、シール性、低トルク性を満たすものであるとされている。
特許文献2には、ニトリルゴム100重量部に対して、カーボンブラック5〜50重量部、平均粒子径5μm以下のグラファイト5〜60重量部、これら以外の他の導電性カーボン5〜50重量部、老化防止剤としてのジフェニルアミンのスチレンおよび2,4,4−トリメチルペンテンとの反応生成物からなるアルキル化ジフェニルアミン1〜5重量部、およびN,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンまたはチオジプロピオン酸ジラウリル0.5〜2.5重量部を含有してなるニトリルゴム組成物が記載されている。
特許文献3には、ニトリルゴム100重量部に対して、カーボンブラック5〜50重量部、平均粒子径5μm以下のグラファイト5〜60重量部、これら以外の他の導電性カーボン5〜50重量部および老化防止剤としての2,5−ジ第3ブチルハイドロキノンまたは2,5−ジ第3アミルハイドロキノン0.5〜3.5重量部を含有してなるニトリルゴム組成物が記載されている。
そして、特許文献2及び3に記載のニトリルゴム組成物を用いたオイルシールは、耐泥水性、シール性、低トルク性を満たすものであるとされている。また、水洗された場合においてもゴムの変形を低く抑えることができるとされている。
ところで、異なる種類の導電性材料を接触させて電解液に浸すと、材料間に電位差が生じ電池が形成されることが知られている。上述のとおりシールは芯金に導電性ゴムが被覆されたものであるため、電解液に浸すと芯金と導電性ゴムとの間に電位差が生じ電池が形成されることがある。このとき、電解液に塩化ナトリウムや塩化カルシウムなどが含まれている場合、電気分解により水酸化ナトリウムや水酸化カルシウムが生じることもある。
軸受は車外に搭載されるものであるため、泥水や雨水に曝される。また、道路には、凍結防止剤や融雪剤として塩化ナトリウムや塩化カルシウムが散布される。そのため塩化ナトリウムや塩化カルシウムを含む泥水や雨水がシールに付着することがあり、これが電気分解してアルカリを生じることが原因で導電性ゴムが膨潤し変形し芯金が腐食するという問題があった。
しかしながら、特許文献1では、導電性ゴムの変形や芯金の腐食を防ぐことについて何ら検討されていなかった。また、特許文献2及び3では、凍結防止剤に曝された後に水洗した場合のゴムの体積変化率について検討されているものの、耐候性は未だ不十分であり、改善が求められていた。
特開2012−97213号公報 国際公開第2015/5080号 国際公開第2015/5081号
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、導電性及び耐候性に優れたゴム成形品及びその製造方法を提供することを目的とする。また本発明は、このようなゴム成形品を得るためのゴム組成物を提供することを目的とする。
上記課題は、ニトリルゴム(A)100質量部、DBP吸油量が150mL/100g以上1000mL/100g以下の導電性カーボンブラック(B)1〜30質量部及びシリル化されたクレー(C)5〜60質量部を含有するゴム組成物を提供することによって解決される。
このとき、前記ゴム組成物が、DBP吸油量が30mL/100g以上150mL/100g未満のカーボンブラック(D)2〜50質量部をさらに含有することが好ましい。
また、シリル化されたクレー(C)の表面がアルコキシシランでシリル化されてなることが好ましい。前記アルコキシシランがシランカップリング剤であることも好ましい。
上記課題は、前記ゴム組成物を加硫してなるゴム成形品を提供することによっても解決される。このとき、体積抵抗値が1×10Ω・cm以下であることが好ましい。水滴滴下から40分後のゴム成形品表面の水接触角が40°以上であることも好ましい。
上記課題は、前記ゴム成形品の製造方法であって、ニトリルゴム(A)、導電性カーボンブラック(B)、シリル化されたクレー(C)及び加硫剤(E)を混練してゴム組成物を得る混練工程と、前記ゴム組成物を加硫する加硫工程とを備えるゴム成形品の製造方法を提供することによっても解決される。
また、上記課題は、前記ゴム成形品の製造方法であって、ニトリルゴム(A)、導電性カーボンブラック(B)、シリル化されていないクレー(F)、アルコキシシラン(G)及び加硫剤(E)を混練してゴム組成物を得る混練工程と、前記ゴム組成物を加硫する加硫工程とを備えるゴム成形品の製造方法を提供することによっても解決される。
上記の各製造方法の混練工程において、さらにカーボンブラック(D)を混練してゴム組成物を得ることが好ましい。
前記ゴム成形品と芯金とからなるシール部材が本発明の好適な実施態様である。
また、外側部材に対して内側部材が軸回転可能に支持される当該2部材間に装着される密封装置であって、前記内側部材に一体に取り付けられるスリンガを備えた第1部材と、前記外側部材に一体に取り付けられる芯金及び該芯金に固着される上記ゴム成形品を備えた第2部材とを含み、前記ゴム成形品が、前記スリンガに弾接又は近接するリップ部を有し、前記第1部材及び前記第2部材が、回転軸方向に対して平行に対向するラビリンス構造部(R1)を形成し、前記ゴム成形品が、前記第1部材と対向して前記ラビリンス構造部(R1)を形成することを特徴とする密封装置も本発明の好適な実施態様である。
このとき、前記第1部材及び前記第2部材が、回転軸方向に対して垂直に対向するラビリンス構造部(R2)をさらに形成するとともに、前記ゴム成形品が、前記第1部材と対向して前記ラビリンス構造(R2)を形成することが好ましい。
また、前記第1部材が、前記スリンガに固着される磁性ゴム成形品を有し、前記磁性ゴム成形品が、前記ゴム成形品と対向して前記ラビリンス構造部(R1)を形成することが好ましい。
本発明により、導電性及び耐候性に優れたゴム成形品及びその製造方法を提供することができる。また、このようなゴム成形品を得るためのゴム組成物を提供することができる。
本発明のシール部材を用いた軸受の例の一部を示す図(断面図)である。 比較例4のシール部材の一部を示す図(断面図)である。 比較例7の密封装置を示す図である。 比較例8の密封装置を示す図である。
本発明のゴム組成物は、ニトリルゴム(A)、DBP吸油量が150mL/100g以上1000mL/100g以下の導電性カーボンブラック(B)及びシリル化されたクレー(C)を含有するものである。そして、本発明のゴム成形品は、前記ゴム組成物を加硫してなるものである。
本発明においては、シリル化されたクレー(C)を用いることが重要である。本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、ニトリルゴム(A)及び導電性カーボンブラック(B)を含むゴム組成物に対して、シリル化されたクレー(C)を特定量配合し、得られたゴム組成物を加硫することで、導電性及び耐候性に優れたゴム成形品が得られることを見出した。以下、本発明のゴム組成物を説明する。
[ニトリルゴム(A)]
本発明で用いられるニトリルゴム(A)は特に限定されず、アクリロニトリルと1,3−ブタジエンの共重合体を用いることができる。重合後の1,3−ブタジエン単位に残存する二重結合への水素添加は任意である。水素添加されていないニトリルゴム(以下、NBRと略記することがある)と水素添加されたニトリルゴム(以下、HNBRと略記することがある)を目的に応じて使い分けることができる。
ニトリルゴム(A)中のアクリロニトリル単位の含有量は15〜50質量%であることが好ましい。また、1,3−ブタジエン単位の含有量は水素添加されたものも含めて、残りの全部又は大部分を占める。本発明で用いられるニトリルゴム(A)は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、他の共重合可能な単量体由来の構成単位を含んでいてもかまわない。例えば、カルボキシル基又はカルボン酸無水物基のような官能基を含むものであってもよい。
[導電性カーボンブラック(B)]
本発明で用いられる導電性カーボンブラック(B)は、ゴム成形品に対して導電性を付与するために配合されるものであり、これを用いることにより体積抵抗値の低いゴム成形品を得ることができる。導電性カーボンブラック(B)を含むゴム成形品を軸受のシールに用いることによって、ラジオノイズを効果的に抑制することができる。
導電性カーボンブラック(B)のDBP吸油量は、150mL/100g以上である。ここで、DBP吸油量とは、カーボンブラック100gが吸収可能なフタル酸ジブチル(DBP)の量(mL)を示すものである(JIS K6217−4に準拠)。この値は、アグリゲートやアグロメートの構造が発達しているほど大きくなる。そして、導電性に優れたカーボンブラックは、大きいDBP吸油量を有している。
DBP吸油量が150mL/100g以上の導電性カーボンブラック(B)を用いることによって、体積抵抗値の低いゴム成形品を得ることができる。より優れた導電性を得るためには、カーボンブラック(B)のDBP吸油量は200mL/100g以上であることが好ましく、300mL/100g以上であることがより好ましい。一方、カーボンブラック(B)のDBP吸油量は、通常1000mL/100g以下である。DBP吸油量が1000mL/100gを超えると、ゴム組成物の流動性が悪化するおそれがある。DBP吸油量は800mL/100g以下であることが好ましく、600mL/100g以下であることがより好ましい。より優れた導電性を得るためには、カーボンブラック(B)の平均一次粒子径が小さいことが好ましく、10〜50nmであることが好ましい。
カーボンブラック(B)の配合量は、ニトリルゴム(A)100質量部に対して1〜30質量部である。カーボンブラック(B)の配合量が1質量部未満の場合、得られる成形品の導電性が不十分となる。カーボンブラック(B)の配合量は、2質量部以上であることが好ましく、4質量部以上であることがより好ましい。一方、カーボンブラック(B)の配合量が30質量部を超えると、成形性が悪化する。カーボンブラック(B)の配合量は20質量部以下であることが好ましい。
本発明で用いるカーボンブラック(B)の種類は特に限定されず、DBP吸油量が上記の範囲のものであって、得られる成形品の体積抵抗値が一定以下の値になるものであればよい。具体的には、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、キャボット社製「Vulcan XC-72」、コロンビアン・インターナショナル社製「Conductex 7055 Ultra」、エボニック・デグッサ社製「Printex XE2 B」などが挙げられる。中でも、流動性を悪化させずに導電性を付与できる点からケッチェンブラックが好ましい。ケッチェンブラックは、ライオン株式会社から市販されている導電性カーボンブラックであり、アグリゲートやアグロメートの構造が高度に発達するとともに、一次粒子が中空構造になっており、少量の添加によって導電性を付与することができる。
[クレー(C)]
本発明で用いるクレー(C)は表面がシリル化されたクレーである。クレーとは、含水ケイ酸アルミニウムを主成分とする微細な鉱物粒子からなる粉末である。表面をシリル化することのできるクレーであればその種類は特に限定されず、カオリン、ろう石、セリサイト、タルク、モンモリロナイトなどが挙げられる。本発明で用いられるクレーは、湿式クレー、乾式クレー又はこれらを焼成した焼成クレーのいずれであってもよい。また、クレーは、一般的に、ゴムに配合した際の練り生地の硬さなどに応じて、ハードクレーとソフトクレーとに分類されることがあるが、そのいずれであってもよい。これらのクレーは、得られるゴム成形品の要求性能に応じて適宜使い分けることができる。
本発明においては、クレー(C)の表面がアルコキシシランでシリル化されてなることが好ましい。クレーとアルコキシシランとを反応させることで、クレー表面の水酸基と、アルコキシシランのアルコキシ基が反応して表面がシリル化されたクレー(C)を得ることができる。
このとき、ニトリルゴム(A)との混合性の観点から、上記アルコキシシランがシランカップリング剤であることが好ましい。シランカップリング剤は反応性官能基を有する有機基が結合したアルコキシシランである。当該反応性官能基としては、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、イソシアヌレート基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアネート基が挙げられる。引張強さの向上の観点から、メルカプト基を有するカップリング剤でシリル化されたクレーを用いることが好ましく、耐水性の観点から、アミノ基を有するカップリング剤でシリル化されたクレーを用いることが好ましい。
クレー(C)の配合量は、ニトリルゴム(A)100質量部に対して5〜60質量部である。クレー(C)の配合量が5質量部未満の場合、クレー(C)を添加する効果が不十分となる。クレー(C)の配合量は10質量部以上であることが好ましい。一方、クレー(C)の配合量が60質量部を超えると、成形性が悪化する。クレー(C)の配合量は50質量部以下であることが好ましい。また、クレー(C)の平均粒子径は、0.2〜8.0μmであることが好ましい。
[カーボンブラック(D)]
本発明において、ゴム成形品の引張強さを向上させる観点から、前記ゴム組成物が、DBP吸油量が30mL/100g以上150mL/100g未満のカーボンブラック(D)5〜50質量部をさらに含有することが好ましい。以下、カーボンブラック(D)について説明する。
本発明で用いるカーボンブラック(D)は、DBP吸油量が30mL/100g以上150mL/100g未満のものが好ましい。このカーボンブラック(D)は、導電性カーボンブラック(B)ほどアグリゲートやアグロメートの構造が発達していないものであり、一般的なゴム組成物に配合されるカーボンブラックの大半がこれに含まれる。
DBP吸油量が150mL/100g以上のカーボンブラック(D)を用いると、成形性が悪化する場合があるし、原料コストも上昇するおそれがある。カーボンブラック(D)のDBP吸油量は、130mL/100g以下であることがより好ましい。一方、カーボンブラック(D)のDBP吸油量は、50mL/100g以上であることがより好ましい。
本発明で用いるカーボンブラック(D)の種類は特に限定されず、DBP吸油量が上記の範囲のものであればよい。具体的には、FEF、SRF、SAF、ISAF、HAF、MAF、GPF、FT、MT等を用いることができ、性能とコストのバランスの点からFEF、SRFが好適である。カーボンブラック(D)として、2種類以上のものを組み合わせて用いても良い。
カーボンブラック(D)の配合量は、ニトリルゴム(A)100質量部に対して2〜50質量部であることが好ましい。カーボンブラック(D)の配合量が2質量部未満の場合、硬度が不十分になるおそれがある。カーボンブラック(D)の配合量は、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることよりが好ましい。一方、カーボンブラック(D)の配合量が50質量部を超えると、成形性が悪化するおそれがある。カーボンブラック(D)の配合量は40質量部以下であることが好ましい。カーボンブラック(D)の平均一次粒子径は、通常10〜200nmである。
上記ゴム組成物は、本発明の効果が阻害されない範囲において、ニトリルゴム(A)、導電性カーボンブラック(B)、表面がシリル化されたクレー(C)以外の他の成分を含んでいてもかまわない。他の成分としては、上記したカーボンブラック(D)の他に、加硫剤、加硫助剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、接着剤、受酸剤、着色剤、フィラー、可塑剤、加工助剤、老化防止剤など、各種の添加剤が挙げられる。
本発明のゴム成形品の製造方法は特に限定されないが、好適な製造方法として以下の方法(1)と方法(2)が挙げられる。まず、方法(1)について説明する。
[方法(1)]
方法(1)は、ニトリルゴム(A)、導電性カーボンブラック(B)、シリル化されたクレー(C)及び加硫剤(E)を混練してゴム組成物を得る混練工程と、上記ゴム組成物を加硫する加硫工程とを備える方法である。
ニトリルゴム(A)、導電性カーボンブラック(B)及び表面がシリル化されたクレー(C)は上記したものを用いることができ、これらの配合量も上記した量とすることができる。
上記混練工程において、本発明の効果が阻害されない範囲であれば、上記の通り、ニトリルゴム(A)、導電性カーボンブラック(B)、表面がシリル化されたクレー(C)以外のものを加えることができる。ゴム成形品の引張強さを向上させる観点から、さらにカーボンブラック(D)を混練してゴム組成物を得ることが好ましい。カーボンブラック(D)は上記したものを用いることができ、配合量も上記した量とすることができる。
混練工程において上記成分を混合する方法は特に限定されず、オープンロール、ニーダ、バンバリーミキサ、インターミキサ、押出機などを用いて混練することができる。中でも、オープンロール又はニーダを用いて混練することが好ましい。混練時の温度は20〜120℃とすることが好ましい。
こうして得られたゴム組成物を成形して、次の加硫工程で加硫することによって、本発明のゴム成形品が得られる。
ゴム組成物の成形方法としては、射出成形、押出成形、圧縮成形、ロール成形などが挙げられる。中でも射出成形と圧縮成形が好適である。このとき、予め成形した後に加硫させてもよいし、成形と同時に加硫させてもよい。また、成形と同時に加硫させ、その後さらに二次加硫させてもよい。加硫温度は、通常150〜200℃であることが好ましい。加硫時間は、通常5〜60分である。加硫させるための加熱方法としては、圧縮加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの加硫に用いられる一般的な方法が用いられる。
また、ゴム成形品の形状や寸法などによっては、表面が加硫していても内部まで十分に加硫していない場合があるので、さらに加熱して二次加硫を行ってもよい。
加硫の方法は特に限定されず、硫黄加硫、過酸化物加硫、アミン加硫などが挙げられる。硫黄加硫する際の加硫剤としては、硫黄や硫黄含有化合物が用いられる。また、過酸化物加硫する際の加硫剤としては有機過酸化物が用いられる。このとき用いられる加硫剤(E)の量はニトリルゴム(A)100質量部に対して通常0.1〜10質量部である。
次に方法(2)について説明する。
[方法(2)]
方法(2)は、ニトリルゴム(A)、導電性カーボンブラック(B)、シリル化されていないクレー(F)、アルコキシシラン(G)及び加硫剤(E)を混練してゴム組成物を得る混練工程と、上記ゴム組成物を加硫する加硫工程とを備える方法である。
方法(2)において、方法(1)と異なる点は、表面がシリル化されたクレー(C)を加えて混練するのではなく、シリル化されていないクレー(F)とアルコキシシラン(G)を加えて、混練工程において当該クレー(F)の表面をシリル化する点である。これにより、混練工程において、クレー(F)の表面にある水酸基とアルコキシシラン(G)のアルコキシ基が反応して、表面がシリル化されたクレーを得ることができる。このとき、アルコキシシラン(G)がシランカップリング剤であることが好ましい。シランカップリング剤は前述したものを用いることができる。また、このとき用いられるクレー(F)は特に限定されず、シリル化されたクレー(C)の原料として説明した各種のクレーを用いることができる。
アルコキシシラン(G)の量は、クレー(F)の表面をシリル化することのできる量であれば特に限定されない。しかしながら、アルコキシシラン(G)の量が多すぎるとゴム組成物の流動性が低下し、引張強さや伸び等のゴム物性が悪化するおそれがある。かかる観点から、アルコキシシラン(G)の量は、クレー(F)100質量部に対して50質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましい。一方、アルコキシシラン(F)の量が少なすぎるとクレー(F)の表面をシリル化することができないおそれがある。かかる観点から、アルコキシシラン(G)の量は、クレー(F)100質量部に対して0.5質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましい。クレー(F)の量は上記したクレー(C)の量と同じにすることができる。
また、方法(2)においてもゴム成形品の引張強さを向上させる観点から、さらにカーボンブラック(D)を混練してゴム組成物を得ることが好ましい。カーボンブラック(D)は上記したものを用いることができ、配合量も上記した量とすることができる。
こうして得られたゴム組成物を成形して、次の加硫工程で加硫することによって、本発明のゴム成形品が得られる。加硫工程は方法(1)で説明した工程と同様である。
方法(1)及び方法(2)のうち、得られるゴム成形品の性能を重視する場合には方法(1)が好適であり、製造コストを重視する場合には方法(2)が好適である。
こうして得られるゴム成形品の体積抵抗値は1×10Ω・cm以下であることが好ましい。体積抵抗値が1×10Ω・cmを超える場合、ゴム成形品をシールに用いたとき、ラジオノイズを効果的に抑制することができないおそれがある。体積抵抗値は1×10Ω・cm以下であることがより好ましい。一方、体積抵抗値は通常10Ω・cm以上である。体積抵抗値が10Ω・cmよりも小さい場合、泥水等が電気分解によってアルカリ性に変化する割合が大きくなるため、ゴム成形品が膨潤するおそれがある。ここでいう体積抵抗値とは、JIS C2139に準拠したホイートストンブリッジ法により測定して得られる値である。
水滴滴下から40分後のゴム成形品表面の水接触角は40°以上であることが好ましい。水接触角が大きいことによって、電気分解で生じたアルカリ性水溶液に濡れにくくなるので、ゴム成形品が膨潤したり変形したりするのを防止でき、耐侯性が良好になる。水接触角は50°以上であることがより好ましい。
本発明の好適な実施態様は、本発明のゴム成形品と金属部材とが接着している部品であり、より好適な実施態様は、本発明のゴム成形品と芯金とからなるシール部材である。本発明のゴム成形品は導電性を有しているため、ゴム成形品と芯金との間で電池を形成し、接触する水溶液を電気分解してアルカリ性水溶液を生じるおそれがある。本発明のゴム成形品は、このようなアルカリ性水溶液によってゴム成形品が膨潤したり変形したりするのを抑制することができるので、金属と接触する態様の際に特に有効である。
ここで、本発明のシール部材の一例を示す。図1は、本発明のシール部材2Aを用いた軸受1の例の一部を示す図(断面図)である。図1に示す軸受1は、シール部材2Aが備わっている。そして、このシール部材2Aは、芯金3Aと、当該芯金3Aに接着したゴム成形品4Aとを備えている。また、ゴム成形品4Aはリップ部5a〜cを有している。このような軸受1は、ゴム成形品4Aと外輪6との間(7で示した箇所)に泥水等が溜まりやすい。また、ゴム成形品4Aとハブ輪8との間(9で示した箇所)に泥水等が溜まることもある。その結果、ゴム成形品4Aと外輪6との間や、ゴム成形品4Aとハブ輪8との間に電位差が生じ泥水が電気分解されアルカリ性水溶液が生じる。そして、このことが原因で成形品4Aが膨潤し変形し芯金3Aが腐食する。しかしながら、本発明のゴム成形品4Aを用いればアルカリ性水溶液によってゴム成形品4Aが膨潤したり変形したりすることがなく、芯金3Aも腐食することがない。
本発明の特に好適な用途は、転がり軸受用のシールである。軸受は車外に搭載されるものであるため、泥水や雨水に曝される。また、道路には、凍結防止剤として塩化ナトリウムや融雪剤として塩化カルシウムが散布される。そのため塩化ナトリウムや塩化カルシウムを含む泥水や雨水がシールに付着することがあり、このことが原因で導電性ゴムが膨潤し変形し芯金が腐食するという問題を生じる。したがって、この問題を抑制できて耐侯性に優れる本発明のゴム成形品が特に好適に用いられる用途である。
シール部材の製造方法は特に限定されず、金型に芯金と本発明におけるゴム組成物とを充填してプレスする方法が挙げられる。これにより芯金の表面にゴム成形品が被覆されたシール部材を得ることができる。
このとき用いられる芯金としては、鉄、アルミニウム等からなる金属板又はこれらの合金板が挙げられる。これらの芯金は、めっきなどの表面処理が施されたものであってもかまわない。例えばJIS G3313で示されるSECC、JIS G4305で示されるSUS301、JIS G3141で示されるSPCCなどが挙げられる。ゴム成形品と芯金との密着性を向上させる観点から、芯金は、その表面に接着剤が塗布されたものであってもかまわない。接着剤としてはフェノール系接着剤、エポキシ系接着剤、シランカップリング剤などが挙げられる。
芯金の形状は特に限定されないが通常リング状である。また、芯金の厚さ及びゴム成形品の厚さは特に限定されず、転がり軸受けの大きさなどに応じて適宜設定することができる。
次に、本発明のゴム成形品を用いた密封装置の一例を示す。図3に示す密封装置(11)は、自動車等の車輪支持部の軸受に用いられる密封装置(11)の一例である。密封装置(11)は、外側部材(81)に対して内側部材(82)が軸回転可能に支持される当該2部材の間に装着されるものである。
密封装置(11)は、内側部材(82)に一体に取り付けられるスリンガ(11a)を備えた第1部材(1a)を含む。スリンガ(11a)は、外部からの泥水等の浸入を防ぎ軸受を保護するためのものである。スリンガ(11a)の素材としては、上述したシール部材において用いられる芯金と同じ素材を用いることができる。スリンガ(11a)の形状は特に限定されないが通常リング状である。また、スリンガ(11a)の寸法は特に限定されず、転がり軸受けの大きさなどに応じて適宜設定することができる。
このとき、スリンガ(11a)には磁性ゴム成形品(12a)が固着されていることが好ましい。磁性ゴム成形品(12a)は磁性粉を含む磁性ゴム組成物を加硫することで得ることができる。このとき、様々なゴムが用いられるが、耐油性や耐熱性、価格などのバランスからニトリルゴムが好適に用いられる。また磁性粉としては、フェライト磁性粉や希土類磁性粉などが挙げられるが、コストや耐久性の観点からフェライト磁性粉が好適に用いられる。スリンガ(11a)に磁性ゴム成形品(12a)を固着させる方法は特に限定されず、接着剤を予め塗布したスリンガ(11a)に磁性ゴム組成物を載置しプレスする方法や、金型に接着剤を予め塗布したスリンガ(11a)と磁性ゴム組成物とを充填してプレスする方法が挙げられる。
密封装置(11)は、外側部材に一体に取り付けられる芯金(21a)及び該芯金(21a)に固着されるゴム成形品(22a)を備えた第2部材(2a)を含む。また、ゴム成形品(22a)は、スリンガ(11a)に弾接するリップ部(23a〜25a)を有する。このとき、リップ部(23a〜25a)は、スリンガ(11a)に近接していてもかまわない。ここで、第2部材(2a)は、上述したシール部材の一例に相当するものである。すなわち、第2部材(2a)におけるゴム成形品(22a)は、上述した本発明のゴム成形品であり、ニトリルゴム100質量部、DBP吸油量が150mL/100g以上1000mL/100g以下の導電性カーボンブラック1〜30質量部及びシリル化されたクレー5〜60質量部を含有するゴム組成物を加硫してなるゴム成形品である。
図3に示す密封装置(11)においては、第1部材(1a)及び第2部材(2a)が、回転軸(L)方向に対して平行に対向するラビリンス構造部(R1)を形成する。ここで、ラビリンス構造部(R1)とは、第1部材(1a)及び第2部材(2a)との間に隙間を形成して、密封装置(11)における空間(S)に異物が浸入することを防止する構造部のことをいう。異物の浸入をより防止する観点から、水接触角の大きいゴム成形品(22a)が、第1部材(1a)と対向してラビリンス構造部(R1)を形成する。隙間の広さ(d1)は、通常、0.1〜1.0mmである。なお、ラビリンス構造部(R1)は、回転軸(L)方向に延びるものであるが、その回転軸(L)方向の長さは特に限定されないが、通常、0.5mm以上である。したがって、このラビリンス構造部(R1)の回転軸(L)方向の長さは、図3に示す例から、スリンガ(11a)及び磁性ゴム成形品(12a)の厚みを変更することによって、適宜、延長してもよいし、短縮してもよい。
このような密封装置(11)において、本発明のゴム成形品を用いれば、泥水等がラビリンス構造部(R1)に浸入しようとしても撥水作用によりはじき出されるため、ラビリンス構造部(R1)から空間(S)に泥水等が浸入し難くなる。
図4に密封装置(12)の別の例を示す。以下の説明においては、上述した密封装置(11)と異なる点についてのみ説明し、同様の構成要素は同じ参照符号を付してその説明は省略する。図3に示した密封装置(11)と異なる点は、第1部材(1b)のスリンガ(11b)が、第2部材(2a)側に折り返されるとともに回転軸(L)方向に延びる折り返し部Tを有している点である。そして、第1部材(1b)及び第2部材(2a)が、回転軸(L)方向に対して垂直に対向するラビリンス構造部(L2)をさらに形成するとともに、ゴム成形品(22a)が、第1部材(1b)と対向してラビリンス構造部(R2)を形成する点である。ラビリンス構造部(R2)は、ゴム成形品(22a)と折り返し部Tの先端部を被覆している磁性ゴム成形品(12b)の部分とが対向して形成されている。
図4に示した密封装置(12)では、第1部材及(1b)び第2部材(2a)が、回転軸(L)方向に対して垂直に対向するラビリンス構造部(R2)をさらに形成するので、図3で示した密封装置(11)に比べて空間(S)に泥水などの異物が浸入し難い。異物の浸入をより防止する観点から、ゴム成形品(22a)が、第1部材(1b)と対向してラビリンス構造(R2)を形成する。隙間の広さ(d2)は、通常、0.1〜1.0mmである。なお、ラビリンス構造部(R2)は、ラビリンス構造部(R1)が延びる方向に対して交差する方向に延びているが、その長さについては特に限定されないが、通常、0.5mm以上である。したがって、このラビリンス構造部(R2)の長さは、図4に示す例から、折り返し部Tの先端部を被覆している磁性ゴム成形品(12b)の部分の厚みを変更することで、延長してもよいし、短縮してもよい。
以下の実施例で使用した原料は以下の通りである。
・ニトリルゴム(NBR)
株式会社日本ゼオン社製「Nipol 1042」
(アクリロニトリル含有量33.5%、ムーニー粘度(ML1+10、100℃)77.5)
・導電性カーボンブラック
ライオン株式会社製「ケッチェンブラック EC−600JD」
DBP吸油量:495mL/100g
・カーボンブラック
東海カーボン株式会社製のFEF(Fast Extruding Furnace)カーボン「シーストSO」
DBP吸油量:115mL/100g
・クレーA
白石カルシウム株式会社製のメルカプトシラン処理カオリン「ST−309」
pH:5.0、平均粒子径:0.7(μm)
・クレーB
白石カルシウム株式会社製のアミノシラン処理焼成カオリン「ST−100」
pH:7.8、平均粒子径:3.5(μm)
・クレーC
バーゲス・ピグメント社製のシラン処理されていないクレー「オプチホワイトP」
pH:4.0、平均粒子径:1.4(μm)
・メルカプトシラン
信越化学工業株式会社製の3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン「KBM803」
・ステアリン酸(滑剤)
日油株式会社製「ステアリン酸 さくら」
・酸化亜鉛
ハクスイテック株式会社製「酸化亜鉛1種」
・可塑剤
株式会社ADEKA製のアジピン酸エーテルエステル系可塑剤「アデカサイザー RS−107」
・加硫促進剤(MBTS)
三新化学工業株式会社製の2,2’−ジベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)「サンセラーDM」
・加硫促進剤(TETD)
三新化学工業株式会社製のテトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)「サンセラーTET−G」
・硫黄
細井化学工業株式会社製「微粉硫黄500mesh」
比較例4
(加硫ゴムシートの作製)
以下に示す組成の混合物を、オープンロールを用いて温度40℃で60分間混練し、厚さ2.0〜3.0mmの未加硫ゴムシートを作製した。そして、得られた未加硫ゴムシートを150℃で10分間プレス加硫して縦(長辺)20mm×横(短辺)15mm×厚さ2mmの加硫ゴムシートを得た(以下、ゴムシートと略記することがある)。
・NBR:100質量部
・導電性カーボンブラック:8質量部
・FEFカーボンブラック:25質量部
・クレーA:30質量部
・ステアリン酸:1質量部
・酸化亜鉛:5質量部
・可塑剤:10質量部
・加硫促進剤(MBTS):2質量部
・加硫促進剤(TETD):1.5質量部
・硫黄1.5質量部
(シール部材の作製)
オープンロールを用いて、上記「加硫ゴムシートの作製」と同様にして、未加硫ゴムシートを得た。次に、リング状の金型を用意して、その中に芯金(冷間圧延鋼板)を入れた。そして、芯金の上に、得られた未加硫ゴムシートを載せ、150℃、10分、150kgf/cmでプレスして加硫成形を行った。このようにしてリング状の芯金の表面がゴム成形品で被覆されたシール部材を得た。得られたシール部材2Bは、図2に示すように、芯金3Aと、当該芯金3Bに接着したゴム成形品4Bとを備えている。また、芯金3Bの表面の一部は外部に露出していて、ゴム成形品4Bはリップ部5d〜fを有している。なお、このシール部材はその後、転がり軸受に装着可能である。
[評価]
(引張試験)
JIS K6251に準拠して引張試験を行った。得られた未架橋ゴムシートを用い180℃で3分間プレスして架橋させて厚さ2mmの架橋ゴムシートを得た。得られた架橋ゴムシートを打ち抜いて得られた、ダンベル状3号形の試験片を用い、23℃、相対湿度50%において、引張速度500mm/分の引張速度で、引張強さ(MPa)と伸び(%)を測定した。その結果、引張強さは16.8MPaであり、伸びは400%であった。これらの結果を表1に示す。
(体積抵抗値の測定)
JIS C2139に準拠したホイートストンブリッジ法により、得られたゴムシートの体積抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
(接触角の測定)
得られたゴムシートの表面に蒸留水を15μL滴下した後、室温にて40分間放置した。そして、メイワフォーシス社製接触角測定装置(CCDカメラ)「P−300」を用いて、液滴法による蒸留水に対する静的接触角を測定した。結果を表1に示す。
(塩水浸漬試験)
得られたシール部材を、0.5質量%の塩化ナトリウム水溶液に室温にて48時間浸漬した。そして、シール部材を塩化ナトリウム水溶液から取り出し、以下の方法で評価した。
・芯金の錆
芯金が露出している部分を目視にて観察して以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
A:芯金に錆は殆ど発生していなかった
B:芯金に錆が少し発生していた
C:芯金に錆が多く発生していた
・ゴム成形品の変形
芯金を被覆しているゴム成形品を目視にて観察して以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
A:変形は確認できなかった
B:わずかに変形していた
C:大きく変形していた
実施例2及び比較例1、5及び6
上記「加硫ゴムシートの作製」及び「シール部材の作製」において、成分の種類及び量を表1に示すように変更した以外は比較例4と同様にしてゴムシート及びシール部材を得た。そして、比較例4と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006745534
比較例7
(密封装置の作製)
金型を用意して、その中にリング状の芯金(冷間圧延鋼板)を入れた。そして、芯金の上に、比較例4の未加硫ゴムシートを載せ、150℃、10分、150kgf/cmでプレスして加硫成形を行った。このようにしてリング状の芯金21aの表面がゴム成形品(22a)で被覆された第2部材(2a)を得た。得られた第2部材(2a)は、図3に示すように、芯金(21a)と、当該芯金(21a)に接着したゴム成形品(22a)とを備えている。また、芯金(21a)の表面の一部は外部に露出していて、ゴム成形品(22a)はリップ部(23a)〜(25a)を有している。
次に、以下に示す原料を加圧型ニーダーにて混練した後、シート状に成形して未加硫磁性ゴムシートを得た。そして、得られた未加硫ゴムシートをドーナツ状に打ち抜いた。
・NBRポリマー(JSR N237H):100質量部
・ストロンチウム−フェライト(圧縮密度3.1g/cm):870質量部
・ステアリン酸:1質量部
・マイクロクリスタリンワックス(HIMIC1070):3質量部
・ポリエステル系可塑剤(ポリサイザーW320):3質量部
・メルカプトプロピルトリメトキシシラン:1質量部
・硫黄:0.5質量部
・活性亜鉛華:4質量部
・ジフェニルアミン:2質量部
・N−シクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド:1.5質量部
・テトラメチルチウラムジスルフィド:2質量部
SUS430からなる断面L字型でリング状のものをスリンガ(11a)として準備した。次に、リング状の金型を用意して、その中にスリンガ(11a)を入れた。そして、スリンガ(11a)の上に、得られた未加硫磁性ゴムシートを載せ、150℃、10分、150kgf/cmでプレスして加硫成形を行い、スリンガ(11a)に磁性ゴム成形品(12a)が接着された第1部材(1a)を得た。そして、第2部材(2a)と第1部材(1a)を用いて、図3に示す密封装置(11)を作製した。図3に示す密封装置(11)における隙間の広さ(d1)は、0.4mmである。
(泥水試験)
得られた密封装置(11)を用いて泥水試験を行った。このときの泥水試験とは、図示しない泥水試験装置に密封装置(11)を組み込み、泥水に密封装置(11)を半分浸漬させて、泥水試験装置を回転数1100r/minにて20時間回転させた後、4時間停止するという工程を1サイクルとして、この工程を繰り返し行う試験である。このとき、泥水試験装置には図示しない漏電センサーが設けられている。泥水がラビリンス構造部(R1)、リップ部(25a)、リップ部(24a)及びリップ部(23a)を通過すると、漏電センサーにより泥水が検知されるようになっている。泥水試験を開始してから、泥水が検知されるまでの時間は310時間であった。結果を表2に示す。
比較例8
図4に示すように、第1部材(1b)のスリンガ(11b)を、折り返し部(T)を有するものに変えた以外は比較例7と同様にして密封装置(12)を作製して、泥水試験を行った。結果を表2に示す。図4に示す密封装置(12)における隙間の広さ(d1)は、0.4mmであり、隙間の広さ(d2)は、0.4mmである。
比較例2
表1の比較例1に記載のゴム組成物を用いて第2部材を作製した以外は比較例7と同様にして密封装置を作製した。そして、比較例7と同様にして泥水試験を行った。結果を表2に示す。
比較例3
表1の比較例1に記載のゴム組成物を用いて第2部材を作製した以外は比較例8と同様にして密封装置を作製した。そして、比較例7と同様にして泥水試験を行った。結果を表2に示す
Figure 0006745534
1 軸受
2A、2B シール部材
3A、3B 芯金
4A、4B ゴム成形品
5a〜5f リップ部
6 外輪
8 ハブ輪
81 外側部材
82 内側部材
11、12 密封装置
1a、1b 第1部材
11a、11b スリンガ
12a、12b 磁性ゴム成形品
2a 第2部材
21a 芯金
22a ゴム成形品
23a〜25a リップ部
R1、R2 ラビリンス構造部
L 回転軸
S 空間

Claims (12)

  1. ニトリルゴム(A)100質量部、DBP吸油量が150mL/100g以上1000mL/100g以下の導電性カーボンブラック(B)1〜30質量部及びアミノ基を有するカップリング剤でシリル化されたクレー(C)5〜60質量部を含有するゴム組成物。
  2. DBP吸油量が30mL/100g以上150mL/100g未満のカーボンブラック(D)2〜50質量部をさらに含有する請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のゴム組成物を加硫してなるゴム成形品。
  4. 体積抵抗値が1×10Ω・cm以下である請求項に記載のゴム成形品。
  5. 水滴滴下から40分後のゴム成形品表面の水接触角が40°以上である請求項又はに記載のゴム成形品。
  6. 請求項のいずれかに記載のゴム成形品と芯金とからなるシール部材。
  7. 請求項のいずれかに記載のゴム成形品の製造方法であって;
    ニトリルゴム(A)、導電性カーボンブラック(B)、シリル化されたクレー(C)及び加硫剤(E)を混練してゴム組成物を得る混練工程と、
    前記ゴム組成物を加硫する加硫工程とを備えるゴム成形品の製造方法。
  8. 請求項のいずれかに記載のゴム成形品の製造方法であって;
    ニトリルゴム(A)、導電性カーボンブラック(B)、シリル化されていないクレー(F)、アルコキシシラン(G)及び加硫剤(E)を混練してゴム組成物を得る混練工程と、
    前記ゴム組成物を加硫する加硫工程とを備えるゴム成形品の製造方法。
  9. 前記混練工程において、さらにカーボンブラック(D)を混練してゴム組成物を得る請求項又はに記載の製造方法。
  10. 外側部材に対して内側部材が軸回転可能に支持される当該2部材間に装着される密封装置であって、
    前記内側部材に一体に取り付けられるスリンガを備えた第1部材と、前記外側部材に一体に取り付けられる芯金及び該芯金に固着される請求項のいずれかに記載のゴム成形品を備えた第2部材とを含み、
    前記ゴム成形品が、前記スリンガに弾接又は近接するリップ部を有し、
    前記第1部材及び前記第2部材が、回転軸方向に対して平行に対向するラビリンス構造部(R1)を形成し、前記ゴム成形品が、前記第1部材と対向して前記ラビリンス構造部(R1)を形成することを特徴とする密封装置。
  11. 前記第1部材及び前記第2部材が、回転軸方向に対して垂直に対向するラビリンス構造部(R2)をさらに形成するとともに、前記ゴム成形品が、前記第1部材と対向して前記ラビリンス構造(R2)を形成する請求項10に記載の密封装置。
  12. 前記第1部材が、前記スリンガに固着される磁性ゴム成形品を有し、
    前記磁性ゴム成形品が、前記ゴム成形品と対向して前記ラビリンス構造部(R1)を形成する請求項10又は11に記載の密封装置。
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