JP7249008B2 - 密封装置 - Google Patents

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Description

本発明は、外側部材と、該外側部材に対して回転する内側部材との間の被シール空間を密封する密封装置に関する。
前記のような密封装置は、泥水や塵埃等のアタックに直接晒される環境に装着され、高い密封性が要求される。下記特許文献1には、泥水等が浸入しやすい外側部材及び内側部材の密封部材との接触部分に撥水処理層を設けたものが開示されており、撥水処理層はフッ素コーティングであることが記載されている。
特開2009-298367号公報
しかしながら、上述のようなコーティングによって設けられた撥水処理層は、軸受装置の回転により、接触部分の摩耗に伴い、撥水処理層も一緒に剥がれ落ち、密封性能が低下することが問題となる。
本発明は、上記実情に鑑みなされたもので、撥水性を維持し、密封性能の向上を図ることができる密封装置を提供することを目的としている。
本発明にかかる密封装置は、外側部材と、該外側部材に対して回転する内側部材との間の被シール空間を密封する密封装置において、前記外側部材及び前記内側部材のうち一方の部材に嵌合される円筒部を有した芯体と、前記芯体に固着された弾性体製のシール体と、を備え、前記シール体は、他方の部材に摺接又は近接するシールリップ部を複数備え、前記複数のシールリップ部は、シリル化されたクレーが配合されている撥水性のゴム材により形成され、径方向において最も外側に設けられた第1シールリップと、該第1シールリップよりも径方向内側に設けられた第2シールリップと、を含み、前記第1シールリップ及び前記第2シールリップはいずれも、軸方向に延びるにつれ拡径するとともに前記他方の部材に摺接するアキシャルリップ部とされ、前記アキシャルリップ部は、その先端面が、前記他方の部材の被摺接面となす接触角度が前記ゴム材の水接触角よりも小さくなるように形成されており、前記第2シールリップは、前記第1シールリップよりも小さな締め代で前記他方の部材に摺接するとともに、前記第2シールリップの前記接触角度は、前記第1シールリップの前記接触角度よりも小さいことを特徴とする。
以上によれば、シールリップ部自体が撥水性のゴム材により形成されているので、他方の部材に摺接するシールリップ部が他方の部材との摺接により摩耗しても撥水性が衰えることがない。また軸方向に延びるにつれ拡径するとともに他方の部材に摺接するアキシャルリップ部の先端面が、前記他方の部材の被摺接面となす接触角度が前記ゴム材の水接触角よりも小さくなるように形成されている。よって、シールリップ部の先端面は他方の部材に対してゴム材の水接触角よりも小さい接触角度になっているため、撥水された泥水の粒が、シールリップ部の先端縁と他方の部材との間に浸入することは抑制される。したがって、泥水の粒がシールリップ部の先端縁と他方の部材との間にまで到達することを抑制し、密封装置による密封性能の向上を図ることができる。また、第2シールリップは、撥水された粒状の泥水が第2シールリップの先端に近づくことをより抑制でき、第2シールリップによる密封性能を向上させることができる。
本発明において、前記水接触角は、水滴滴下から5分後に70°以上であり、かつ、前記クレーは、アルコキシシランで表面がシリル化された含水ケイ酸アルミニウムを主成分とする鉱物粒子からなる粉末であるものとしてもよい。
以上によれば、他方の部材に摺接するシールリップ部の先端面に晒された泥水は、シールリップ部の撥水性により、シールリップ部の先端面に対して水接触角が70°以上の粒となる。そして、シールリップ部の先端面は他方の部材に対してゴム材の水接触角70°よりも小さい接触角度になっているため、撥水された泥水の粒が、シールリップ部の先端縁と他方の部材との間に浸入することをより確実に抑制でき、上記効果をより一層発揮する
本発明に係る密封装置によれば、撥水性を維持し、密封性能の向上を図ることができる。
本発明に係る密封装置が適用される軸受装置の一例を示す概略的縦断面図である。 本発明に係る密封装置の一実施形態を示す図であり、該密封装置を模式的に示す部分縦断面図である(図1のX部・部分拡大図)。 (a)は図2のX1部・部分拡大図であり、(b)は図2のX2部・部分拡大図である。(c)は水滴滴下から5分後の水接触角を説明するための説明図である。 本発明に係る密封装置の一実施形態を示す図であり、該密封装置を模式的に示す部分縦断面図である(図1のY部・部分拡大図)。 (a)は図4のY1部・部分拡大図であり、(b)は図4のY2部・部分拡大図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、自動車の車輪(不図示)を軸回転可能に支持する軸受装置1を示す。この軸受装置1は、駆動輪用のハブベアリングであって、大略的に、外側部材としての外輪2と、ハブ輪3と、ハブ輪3の車体側に嵌合一体とされる内輪部材4と、外輪2とハブ輪3及び内輪部材4との間に介装される2列の転動体(ボール)6…とを含んで構成される。この例では、ハブ輪3及び内輪部材4が内側部材としての内輪5を構成し、外輪2は、自動車の車体(不図示)に固定される。また、ハブ輪3にはドライブシャフト7が同軸的にスプライン嵌合され、ドライブシャフト7は等速ジョイント8を介して不図示の駆動源(駆動伝達部)に連結される。ドライブシャフト7はナット9によって、ハブ輪3と一体化され、ハブ輪3のドライブシャフト7からの抜脱が防止されている。回転側部材としての内輪5(ハブ輪3及び内輪部材4)は固定側部材としての外輪2に対して、軸L回りに回転(同軸回転)可能とされ、外輪2と、内輪5との間に環状の被シール空間(軸受空間)Sが形成される。被シール空間としての軸受空間S内には、2列の転動体6…が、リテーナ6aに保持された状態で、外輪2の軌道輪2a、ハブ輪3の軌道輪3a及び内輪部材4の軌道輪4aを転動可能に介装されている。ハブ輪3は、円筒形状のハブ輪本体30と、ハブ輪本体30より立上基部31を介して径方向外側に延出されたハブフランジ32を有し、ハブフランジ32にボルト33及び不図示のナットによって車輪が取付固定される。本明細書において、軸L方向に沿って車輪に向く側(図1において左側を向く側)を車輪側、車体に向く側(同右側を向く側)を車体側と言う。
軸受空間Sの軸L方向に沿った両端部であって、外輪2と内輪部材4との間には密封装置10が装着され、外輪2とハブ輪3との間には密封装置11が装着される。そして、密封装置10、11によって、軸受空間Sの軸L方向に沿った両端部が密封される。これら密封装置10,11によって、軸受空間S内への泥水等の浸入を防止するとともに、軸受空間S内に充填される潤滑剤(グリース等)の外部への漏出が防止される。
密封装置10,11のうち、まず図2に示す車体側の密封装置10に適用した実施形態について説明する。
図2は、本発明に係る密封装置の実施形態を示し、車体側の密封装置10は、外輪2と内輪5とを有する軸受装置1に装着される。密封装置10は、内輪(内側部材)5に外嵌される第1部材50と、外輪(外側部材)2に内嵌される第2部材60とが組み合わさって構成される。
本実施形態の密封装置10において、第1部材50は、断面形状が略L字形状をなす金属製のスリンガ51と、内輪5(車輪)の回転(回転速度等)を検出するための磁性ゴム製の磁気エンコーダ52とを備える。スリンガ51は、内輪5に外嵌される円筒部511と、円筒部511の軸受空間Sとは反対側の端部511aから外径側に延びる鍔部512を含む。さらに、スリンガ51における鍔部512の軸L方向に沿った軸受空間Sとは反対側の面512cには、磁性ゴムからなる磁気エンコーダ52が固着一体に設けられている。磁気エンコーダ52は、その表面に周方向に沿って多数のN極及びS極が交互に着磁形成されている。そして、車体側には、この磁気エンコーダ52に対峙するように磁気センサ12が設置され、ドライブシャフト7の軸回転に伴う磁気エンコーダ52の磁気変化を検出して、ドライブシャフト7(車輪)の回転検出機構が構成される。また磁気エンコーダ52の外周縁部521は、スリンガ51の外径側端部512aを覆い、第2部材60の外輪2に対する内嵌部の内周面620aとの間にラビリンス構造部rを形成する。
本実施形態の密封装置10において、第2部材60は、外輪2に内嵌される金属製の芯金61と、芯金61に固着されたゴム製のシール体62とを備える。さらに具体的には、芯金61は、外輪2の内径面2bに内嵌される芯金円筒部611と、芯金円筒部611の軸受空間S側の端部611aから内径側に延びる内向鍔部612とを備えてなり、断面形状が略L字形状をなす。また、シール体62は、芯金61に加硫成型により固着一体とされるシール体基部620と、シール体基部620から延出されたシールリップ部621,622,623を備える。
本実施形態のシール体62を形成するゴム材としては、撥水性のゴム材を用いる。具体的には、例えば撥水性のゴム材は、水滴滴下から5分後の水接触角θcが70°以上になるものが望ましい。ゴム材としては、特に限定されず、エチレンプロピレンゴムでもよいし、ニトリルゴムでもよい。中でも本発明者らは、シール体62を形成するゴム材として、ニトリルゴムにシリル化させたクレーを配合したものを用い、さらに後記する接触角度となるようにシールリップ部621,622を配することで、上記課題を解決できることを見出した。
シール体62を形成する撥水性のゴム材として、さらに具体的には、アクリロニトリルと1,3-ブタジエンとの共重合体であるニトリルゴムと、アルコキシシランで表面がシリル化された含水ケイ酸アルミニウムを主成分とする微細な鉱物粒子からなる粉末であるクレーとを含有するゴム組成物を、加硫剤により加硫して得たゴム成形体が、好適であることを見出した。配合量は、ニトリルゴム100質量部に対して、クレーは5~60質量部、加硫剤は0.1~10質量部であることが望ましい。
本実施形態で用いられるニトリルゴムは特に限定されず、例えばアクリロニトリルと1,3-ブタジエンの共重合体を用いることができる。重合後の1,3-ブタジエン単位に残存する二重結合への水素添加は任意である。
本実施形態で用いられるクレーは表面がシリル化されたクレーである。クレーとは、含水ケイ酸アルミニウムを主成分とする微細な鉱物粒子からなる粉末である。表面をシリル化することのできるクレーであればその種類は特に限定されず、カオリン、ろう石、セリサイト、タルク、モンモリロナイトなどが挙げられる。またここで用いられるクレーは、湿式クレー、乾式クレー又はこれらを焼成した焼成クレーのいずれであってもよい。また、クレーは、一般的に、ゴムに配合した際の練り生地の硬さなどに応じて、ハードクレーとソフトクレーとに分類されることがあるが、そのいずれであってもよい。これらのクレーは、得られるゴム成形品の要求性能に応じて適宜使い分けることができる。
またここで用いられるクレーは、その表面がアルコキシシランでシリル化されてなることが好ましい。クレーとアルコキシシランとを反応させることで、クレー表面の水酸基と、アルコキシシランのアルコキシ基が反応して表面がシリル化されたクレーを得ることができる。
このとき、ニトリルゴムとの混合性の観点から、上記アルコキシシランがシランカップリング剤であることが好ましい。シランカップリング剤は反応性官能基を有する有機基が結合したアルコキシシランである。当該反応性官能基としては、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、イソシアヌレート基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアネート基が挙げられる。引張強さの向上の観点から、メルカプト基を有するカップリング剤でシリル化されたクレーを用いることが好ましく、耐水性の観点から、アミノ基を有するカップリング剤でシリル化されたクレーを用いることが好ましい。
クレーの配合量は、ニトリルゴム100質量部に対して5~60質量部である。クレーの配合量が5質量部未満の場合、クレーを添加する効果が不十分となる。クレーの配合量は10質量部以上であることが好ましい。一方、クレーの配合量が60質量部を超えると、成形性が悪化する。クレーの配合量は50質量部以下であることが好ましい。また、クレーの平均粒子径は、0.2~8.0μmであることが好ましい。
本実施形態で用いられる上記のゴム材に、導電性を付与するため導電性カーボンブラックを配合させてもよい。導電性カーボンブラックを含むゴム材とすることで、ラジオノイズを効果的に抑制することができる。またこれを用いることにより体積抵抗値の低いゴム成形品を得ることができる。この場合、DBP吸油量が150mL/100g以上1000mL/100g以下の導電性カーボンブラックが望ましい。
より優れた導電性を得るためには、導電性カーボンブラックの平均一次粒子径が小さいことが好ましく、10~50nmであることが好ましい。
導電性カーボンブラックを配合させる場合、その配合量は、ニトリルゴム100質量部に対して1~30質量部である。
導電性カーボンブラックの種類は特に限定されず、DBP吸油量が上記の範囲のものであって、得られる成形品の体積抵抗値が一定以下の値になるものであればよい。具体的には、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、キャボット社製「Vulcan XC-72」、コロンビアン・インターナショナル社製「Conductex 7055 Ultra」、エボニック・デグッサ社製「Printex XE2 B」などが挙げられる。中でも、流動性を悪化させずに導電性を付与できる点からケッチェンブラックが好ましい。
さらに本実施形態において、ゴム成形品の引張強さを向上させる観点から、ゴム組成物は、DBP吸油量が30mL/100g以上150mL/100g未満のカーボンブラック5~50質量部をさらに含有することが好ましい。
ここで用いるカーボンブラックの種類は特に限定されず、DBP吸油量が上記の範囲のものであればよい。具体的には、FEF、SRF、SAF、ISAF、HAF、MAF、GPF、FT、MT等を用いることができ、性能とコストのバランスの点からFEF、SRFが好適である。カーボンブラックとして、2種類以上のものを組み合わせて用いても良い。
カーボンブラックの配合量は、ニトリルゴム100質量部に対して2~50質量部であることが好ましい。カーボンブラックの配合量が2質量部未満の場合、硬度が不十分になるおそれがある。一方、カーボンブラックの配合量が50質量部を超えると、成形性が悪化するおそれがある。カーボンブラックの平均一次粒子径は、通常10~200nmである。
本実施形態のシール体62を形成するゴム材は、水滴滴下から5分後の水接触角θcが70°以上になる撥水性を有したものであれば、ニトリルゴム、表面がシリル化されたクレー以外の他の成分を含んでいてもかまわない。他の成分としては、上記した種々のカーボンブラックの他に、加硫剤、加硫助剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、接着剤、受酸剤、着色剤、フィラー、可塑剤、加工助剤、老化防止剤など、各種の添加剤が挙げられる。
ここで、本実施形態における水接触角θcは、得られたゴム材の表面に蒸留水を15μL滴下し、室温にて5分間放置した後、液適法による蒸留水に対する静的接触角を測定して得た角度をいい、この測定により、水接触角θcが70°以上のゴム材を用いている。なお、水接触角θcが70°以上になるゴム材としては、例えば、ニトリルゴム(株式会社日本ゼオン社製、「Nipol 1042」)100質量部に対して、表面がシリル化されたクレー(白石カルシウム株式会社製、「ST-309」)を30質量部、硫黄(細井化学工業株式会社製、「微粉硫黄500mesh」)を1.5質量部、配合したゴム材を用いればよい。測定には、メイワフォーシス社製接触角測定装置(CCDカメラ)「P-300」を用いた。
このような撥水性を有したゴム材で形成されたシール体基部620は、芯金61における内向鍔部612の軸受空間S側の面612aの一部から内周縁部612bを回り込み、内向鍔部612の軸受空間Sとは反対側の面612cの全面を覆うように形成されている。さらに、シール体基部620は、芯金円筒部611の内径面611bの全面を覆い、軸受空間Sとは反対側の端部611cを回り込んで芯金円筒部611の外径面611dに至るように形成されている。シール体基部620の芯金円筒部611の外径面611dに至る部分は、外径面に隆起する環状突部624とされ、この環状突部624は、芯金61が外輪2に内嵌された際、外輪2の内径面2bと芯金円筒部611の外径面611dとの間に圧縮状態で介在するように形成されている。環状突部624が、外輪2と芯金円筒部611との間に圧縮状態で介在することによって、外輪2及び芯金円筒部611の嵌合部への泥水等の浸入が防止される。図2の環状突部624の2点鎖線部は圧縮前の原形状を示している。
第2部材60のシールリップ部621,622,623は、いずれもシール体基部620と一体に形成され、これらも上述の撥水性を有したゴム材で形成されていることはいうまでもない。シールリップ部621,622は、軸方向に延びるにつれ拡径するとともに、スリンガ51における鍔部512の軸受空間S側の被摺接面512bに摺接するアキシャルリップ部である。また、シールリップ部623は、スリンガ51における円筒部511の外径面511bに摺接するラジアルリップ部である。以下では、シールリップ部621,622のうち、径方向において最も外側に設けられたシールリップ部621を第1シールリップ621といい、第1シールリップ621より径方向内側に設けられたシールリップ部622を第2シールリップ622という。
本実施形態では、図3(a)及び図3(b)に示すように、第1シールリップ621及び第2シールリップ622の外径側の先端面621a,622aと、鍔部512の被摺接面512bとがなす接触角度θa,θbは、水接触角θcよりも小さくなるように構成されている。また、第2シールリップ622は、第1シールリップ621よりも小さな締め代でスリンガ51の鍔部512の軸受空間S側の被摺接面512bに摺接する。第2シールリップ622の接触角度θbは、第1シールリップ621の接触角度θaよりも小さくなるように構成されている。なお、第1シールリップ621及び第2シールリップ622には、第1シールリップ621及び第2シールリップ622の内周面621b,622bと第1シールリップ621及び第2シールリップ622の先端面621a,622aとが接続される先端縁621c,622cが存在する。第1シールリップ621及び第2シールリップ622は、この先端縁621c,622cよりも軸受空間S側に泥水等が侵入することを防止するように機能する。
前記のように構成される密封装置10が組み込まれた軸受装置1において、ドライブシャフト7が軸Lの回りに回転すると、内輪5は外輪2に対してドライブシャフト7と一体に同軸回転する。この時、第1シールリップ621及び第2シールリップ622は、スリンガ51の鍔部512に、シールリップ部623は、円筒部511に、それぞれ弾接した状態で相対して摺接する。すると、泥水等が外部から密封装置10を通過して軸受空間S内に浸入することが防止されるとともに、軸受空間S内に充填されている潤滑剤(グリース等)が軸受装置1外に漏出することが防止される。そして、軸L方向に沿ったラビリンス構造部rと、内輪5の軸回転に伴う遠心作用とが相俟って、密封装置10の外部から密封装置10内への塵埃を含む泥水等の進入が抑制される。しかし、ラビリンス構造部rは隙間であるから、泥水等の浸入を完全に防止し得るものではなく、若干の泥水等は密封装置10へ浸入することは不可避である。そして、密封装置10へ浸入した泥水等は、スリンガ51の鍔部512、第1シールリップ621及びシール体基部620で囲まれた第1空間部110に至る。
密封装置10の第1空間部110内に浸入した泥水等は、シール体62の有する撥水性により、図3(c)に示すような、水接触角θcが70°以上の粒となる。ここで第1シールリップ621の先端面621aとスリンガ51の被摺接面512bとがなす接触角度θaは、水接触角θcよりも小さい。泥水等が第1シールリップ621の先端面621aに付着すると、泥水等には、70°以上の粒にしようとする力が作用する。その結果、
第1シールリップ621の先端面621aを伝って第1シールリップ621の先端縁621cに向う泥水等は、第1シールリップ621に非撥水性のゴム材が使用されている場合に比べて、大きな液滴になり易い。したがって、泥水等は、第1シールリップ621の先端縁621cと鍔部512の被摺接面512bの間S1に侵入し難くなり、泥水等が第1シールリップ621の先端縁621cと鍔部512の被摺接面512bの間S1にまで到達することを抑制できる。そして、第1空間部110まで浸入した泥水等は、内輪5の軸回転に伴い働くポンピング作用によって、ラビリンス構造部r側に押し戻され、密封装置10内から排出される。
本実施形態の密封装置10は、スリンガ51の鍔部512、第1シールリップ621の内周面621b、シール体基部620及び第2シールリップ622で囲まれた第2空間部120を有する。そして、第2シールリップ622の外径側の先端面622aとスリンガ51の被摺接面512bとがなす接触角度θbは、第1シールリップ621の接触角度θaより小さい。そのため、仮に、泥水等が第1シールリップ621とスリンガ51の鍔部512との間S1を通過し、第2空間部120内に浸入した場合であっても、第2シールリップ622の接触角度θbは、第1シールリップ621の接触角度θaより小さいので、泥水等が第2シールリップ622とスリンガ51の鍔部512との間S2(図3(b)参照)に浸入することは抑制される。したがって、密封装置10の密封性能の向上を図ることができる。
さらに本実施形態のシール体62は、コーティングによって撥水処理層を設けたものではなく、撥水性を有するゴム材によって形成されている。そのため、スリンガ51の被摺接面512bに摺接する第1シールリップ621及び第2シールリップ622が摺動により磨耗しても、撥水性が低下することはないので、密封性も維持できる。
次に密封装置10,11のうち、図4に示す車輪側の密封装置11に適用した実施形態について説明する。なお、密封装置10と共通する部分の説明は省略する。密封装置11は、外輪2の内径面2cに内嵌される芯金70と、芯金70に固着されハブ輪3に接触するシールリップ部711,712,713を有したシール体71とを備えている。密封装置11は、密封装置10とは、スリンガを備えていない点で異なる。具体的には、シールリップ部711,712,713が回転する内側部材、すなわちハブ輪3を構成するハブ輪本体30、立上基部31、ハブフランジ32に直接摺接している点で異なる。
金属製の芯金70は、外輪2の内径面2cに内嵌される円筒部700と、円筒部700の車輪側の端部700aから内径側に延びる内向鍔部701とを有している。シール体71は、密封装置10のシール体62と同様の上述した撥水性を有するゴム材からなり、芯金70に加硫成型により固着一体とされる。シール体71は、シール体基部710と、シール体基部710から延出された複数のシールリップ部711,712,713とを備える。シールリップ部の個数や形状は図例に限定されないが、図4に示す密封装置11は、シールリップ部が3個形成された例を示している。
シール体基部710は、芯金70における内向鍔部701の軸受空間S側の面701aの一部から内周縁部701bを回り込み、内向鍔部701の軸受空間Sとは反対側の面701cの全面を覆い、芯金70に固着一体とされている。シール体基部710は、円筒部700より外径側に突出する環状突部720を備えている。この環状突部720は、芯金70が外輪2に内嵌された際、外輪2の内径面2cと内向鍔部701の外径側の面701dとの間に圧縮状態で介在するように形成されている。図4の環状突部720の2点鎖線部は圧縮前の原形状を示している。
シール体基部710から、軸方向に延びるにつれ拡径するとともに、ハブフランジ32の被摺接面32aに摺接するアキシャルリップ部であるシールリップ部711,712と、ハブ輪本体30に向けて、ハブ輪本体30の被摺接面30aに摺接するラジアルリップ部であるシールリップ部713とが、それぞれ延出して形成されている。
ここでは、シールリップ部711,712のうち、径方向において最も外側に設けられたシールリップ部711を第1シールリップ711といい、第1シールリップ711より径方向内側に設けられたシールリップ部712を第2シールリップ712という。第2シールリップ712は、第1シールリップ711よりも小さな締め代でハブフランジ32の被摺接面32aに摺接する。第2シールリップ712の接触角度θeは、第1シールリップ621の接触角度θdよりも小さくなるように構成されている。
本実施形態の密封装置11においては、第1シールリップ711の先端面711aとハブフランジ32の被摺接面32aとがなす接触角度θdは、水接触角θcよりも小さくなるように構成されている。また、第2シールリップ712の先端面712aとハブフランジ32の被摺接面32aとがなす接触角度θeは、第1シールリップ711の接触角度θdよりも小さくなるように構成されている。なお、第1シールリップ711及び第2シールリップ712には、第1シールリップ711及び第2シールリップ712の内周面711b,712bと第1シールリップ711及び第2シールリップ712の先端面711a,712aとが接続される先端縁711c,712cが存在する。第1シールリップ711及び第2シールリップ722は、この先端縁711c,722cよりも軸受空間S側に泥水等が侵入することを防止するように機能する。
密封装置11内に浸入した泥水等は、シール体71の有する撥水性により、図3(c)に示すような水接触角θcが70°以上の粒にしようとする力が作用する。そのため、泥水等の粒は、第1シールリップ711の先端縁711cとハブフランジ32との間S3(図5(a)参照)に浸入することは抑制される。したがって、密封装置11の密封性能の向上を図ることができる。また、たとえ、泥水等が第1シールリップ711の先端縁711cとハブフランジ32との間S3を通過し、第1シールリップ711の内周面711b、シール体基部710、第2シールリップ712及びハブフランジ32に囲まれた空間部130に浸入したとしても、第2シールリップの接触角度θeは、第1シールリップの接触角度θdより小さいので、泥水等が第2シールリップ712の先端縁711cとハブフランジ32との間S4(図5(b)参照)に浸入することは抑制される。
上述した各実施形態では、第2シールリップ622の外径側の先端面622aと鍔部512の被摺接面512bとがなす接触角度θbが、第1シールリップ621の外径側の先端面621aと鍔部512の被摺接面512bとがなす接触角度θaよりも小さい例を述べたが、接触角度θa、θbのそれぞれが第1シールリップ621、第2シールリップ622を構成するゴム材の水接触角よりも小さくなるのであれば、第2シールリップ622の接触角度θbが第1シールリップ621の接触角度θaより大きくてもよい。
また、ゴム材は、撥水性ゴム材であればよく、特に水滴滴下から5分後の水接触角が70°以上になる撥水性のゴム材が望ましい。よって、必ずしもシリル化されたクレーを用いなくともよい。例えば、ニトリルゴムに、シリル化されたシリカを配合することで、撥水性のゴム材を実現してもよい。
また、各実施形態では密封装置として、自動車用の軸受装置に適用される例について示したが、これに限らず、他の産業分野の軸受装置にも適用される。また、自動車用の軸受装置であっても、図1に示す軸受装置に限らず他の形態の軸受装置であってもよい。また、実施形態では、磁気エンコーダを備えた密封装置について述べたが、磁気エンコーダを備えない密封装置にも適用可能である。そして、芯金及びこれに固着されるシール体の形状も図例のものに限定されない。さらに、芯金と外輪との嵌合形態等も図例に限定されることはなく、シールリップ部の形状等も要求される仕様等に応じて適宜変更可能である。また、上述した各実施形態では、芯体として、金属製の芯金61、70とした例を説明したが、これに限定されることはなく、樹脂製の芯体に変更してもよい。
1 軸受装置
S 軸受空間(被シール空間)
2 外輪(外側部材)
3 ハブ輪
4 内輪部材
5 内輪(内側部材)
10,11 密封装置(密封装置)
30 ハブ輪本体
30a (ハブ輪本体の)被摺接面
31 立上基部
32 ハブフランジ
32a (ハブフランジの)被摺接面
50 第1部材
51 スリンガ
511 (スリンガの)円筒部
512 鍔部
512b (鍔部の)被摺接面
60 第2部材
61,70 芯金(芯体)
62,71 シール体
611,700 (芯金の)円筒部
621,711 シールリップ部(第1シールリップ,アキシャルリップ部)
622,712 シールリップ部(第2シールリップ,アキシャルリップ部)
623,713 シールリップ部(ラジアルリップ部)
621a,711a (第1シールリップの)先端面
622a,712a (第2シールリップの)先端面
θa,θd (第1シールリップの)接触角度
θb,θe (第2シールリップの)接触角度
θc 水接触角

Claims (2)

  1. 外側部材と、該外側部材に対して回転する内側部材との間の被シール空間を密封する密封装置において、
    前記外側部材及び前記内側部材のうち一方の部材に嵌合される円筒部を有した芯体と、前記芯体に固着され、前記他方の部材に摺接又は近接する複数のシールリップ部を有した弾性体製のシール体とを備え、
    前記複数のシールリップ部は、シリル化されたクレーが配合されている撥水性のゴム材により形成され、径方向において最も外側に設けられた第1シールリップと、該第1シールリップよりも径方向内側に設けられた第2シールリップと、を含み、前記第1シールリップ及び前記第2シールリップはいずれも、軸方向に延びるにつれ拡径するとともに前記他方の部材に摺接するアキシャルリップ部とされ、
    前記アキシャルリップ部は、その先端面が、前記他方の部材の被摺接面となす接触角度が前記ゴム材の水接触角よりも小さくなるように形成されており、
    前記第2シールリップは、前記第1シールリップよりも小さな締め代で前記他方の部材に摺接するとともに、前記第2シールリップの前記接触角度は、前記第1シールリップの前記接触角度よりも小さいことを特徴とする密封装置。
  2. 請求項1に記載の密封装置において、
    前記水接触角は、水滴滴下から5分後に70°以上であり、かつ、前記クレーは、アルコキシシランで表面がシリル化された含水ケイ酸アルミニウムを主成分とする鉱物粒子からなる粉末であることを特徴とする密封装置。
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