JP2003166547A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JP2003166547A
JP2003166547A JP2001366692A JP2001366692A JP2003166547A JP 2003166547 A JP2003166547 A JP 2003166547A JP 2001366692 A JP2001366692 A JP 2001366692A JP 2001366692 A JP2001366692 A JP 2001366692A JP 2003166547 A JP2003166547 A JP 2003166547A
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Japan
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elastic member
rubber
outer ring
rolling bearing
inner ring
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JP2001366692A
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English (en)
Inventor
Takahiko Uchiyama
貴彦 内山
Keisuke Yokoyama
景介 横山
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 劣悪な環境でも良好な密封性を有するシール
装置を備えた、長寿命の転がり軸受を提供する。 【解決手段】 内周面に外輪軌道を有する外輪と、外周
面に内輪軌道を有する内輪と、前記外輪軌道と前記内輪
軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体と、
前記転動体を円周方向に亙って互いに間隔をあけた状態
で転動自在に保持する保持器と、前記外輪の内周面と前
記内輪の外周面との間で前記転動体を設けた空間の軸方
向開口部を塞ぐシール装置とを備えた転がり軸受におい
て、前記シール装置を構成する弾性部材の相手面との摺
接部及び前記弾性部材が摺接する相手面の少なくとも一
方が撥水性を有することを特徴とする転がり軸受。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、封入グリースの漏
洩を防止するとともに、外部からの塵埃、水、泥水等の
軸受内部への侵入を防止するためのシール装置を備えた
転がり軸受に関する。より詳細には、例えば自動車や鉄
道の車輪の支持に使用される車輪用転がり軸受や自動車
の電装機器用転がり軸受のように、水と頻繁に接触する
ような環境で使用される転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、自動車や鉄道の車輪を支持する
車輪用転がり軸受は、通常、雨水や風雪、塵埃に曝され
ながら屋外で使用される。また、自動車の車輪用転がり
軸受は、泥水等に水没した状態で使用される場合もあ
る。更に、洗車時には洗浄水に曝される。
【0003】このような環境で使用される転がり軸受で
は、従来、シール装置の弾性部材として、一般的なニト
リルゴムやアクリルゴム、フッ素ゴムに適宜添加剤を配
合したゴム組成物が使用されている。これらのゴム組成
物を弾性部材に用いたシール装置は、比較的水がかかる
こともなく、塵埃も少ない、所謂清浄な環境においては
十分なシール性能を有する。しかし、水没した場合に
は、水圧も付加されるため、シール性能が低下して軸受
内部に水とともに塵埃等が侵入しやすくなる。その結
果、封入グリース等の潤滑剤の劣化を来たし、転がり軸
受は長期にわたる性能維持が困難になり、早期に破損す
る恐れも出てくる。
【0004】このような不具合に対して、シール装置の
シール性能を高めるために緊迫力を高めることも行われ
ているが、シールトルクが大きくなり車両の燃費を低下
させるだけでなく、弾性部材からなるリップ部が摩耗し
て密封性を低下させる可能性が高く、更には、摩擦発熱
によるグリース劣化を招いて軸受寿命を低下させる恐れ
もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
のゴム組成物を弾性部材に用いたシール装置を備えた転
がり軸受は、水没等の劣悪環境で使用されると、十分な
軸受寿命が得られない恐れがある。特に、寒冷地では、
極低温下で水没状態で使用されると、弾性部材が破損す
ることがあり、軸受寿命が更に低下する可能性が高い。
【0006】そこで、本発明は、このような劣悪な環境
でも良好な密封性を有するシール装置を備えた、長寿命
の転がり軸受を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、内周面に外輪軌道を有する外輪と、外
周面に内輪軌道を有する内輪と、前記外輪軌道と前記内
輪軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体
と、前記転動体を円周方向に亙って互いに間隔をあけた
状態で転動自在に保持する保持器と、前記外輪の内周面
と前記内輪の外周面との間で前記転動体を設けた空間の
軸方向開口部を塞ぐシール装置とを備えた転がり軸受に
おいて、前記シール装置を構成する弾性部材の相手面と
の摺接部及び前記弾性部材が摺接する相手面の少なくと
も一方が撥水性を有することを特徴とする転がり軸受を
提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の転がり軸受に関し
て図面を参照して詳細に説明する。
【0009】本発明において、転がり軸受の構成自体は
特に制限されるものではないが、例えば図1に示される
ような自動車の車輪を支持する車両用転がり軸受を例示
することができる。図示される転がり軸受Oにおいて、
固定輪である外輪相当部材1は、その外周面に形成した
取付部2により、懸架装置(図示せず)に支持固定され
る。従ってこの外輪相当部材1は、使用時にも回転しな
い。この様な外輪相当部材1の内側には回転輪である内
輪相当部材3が、外輪相当部材1と同心に設けられ、使
用時にこの内輪相当部材3が回転する。この内輪相当部
材3は、ハブ4と内輪5とから成る。このうちのハブ4
の内周面にはスプライン溝6が、外端(車両への組み付
け時に幅方向外側になる端を言い、図1の左端)部外周
面には取付フランジ7が、それぞれ形成されている。車
両への組み付け時、上記スプライン溝6には等速ジョイ
ントを介して回転駆動される駆動軸が挿入され、上記取
付フランジ7には車輪が固定される。
【0010】上記外輪相当部材1の内周面には複列の外
輪軌道8、8が、上記ハブ4の中間部外周面と上記内輪
5の外周面とには内輪軌道9、9が、それぞれ形成され
ている。そして、これら各外輪軌道8、8と内輪軌道
9、9との間に転動体10、10を設けて、上記外輪相
当部材1の内側での内輪相当部材3の回転を自在として
いる。また、転動体10、10を転動自在に保持するた
めに、保持器11、11が設けられている。尚、図示の
例では転動体10、10として玉を使用しているが、重
量が嵩む車両用のハブユニットの場合には、転動体とし
てテーパころを使用する場合もある。更に、上記外輪相
当部材1の外端部と上記ハブ4の中間部外周面との間に
はシール装置12aと12bとが設けられ、上記外輪相
当部材1の内周面と上記内輪相当部材3の外周面との間
で、上記転動体10、10を設置した空間13部分の外
端開口を塞いでいる。
【0011】シール装置12aは、図2に拡大して示さ
れるように、芯金105と、スリンガ106と、弾性部
材107とから構成される。このうちの芯金105は、
低炭素鋼板等の金属板にプレス加工等の打ち抜き加工並
びに塑性加工を施す事により、一体成形されている。こ
の様な芯金105は、転がり軸受Oを構成する外輪相当
部材1の端部内周面に内嵌固定自在な外径側円筒部10
9と、この外径側円筒部109の軸方向内端縁(図2の
左端縁)から直径方向内方に折れ曲がった内側円輪部1
10を備えた、断面略L字形で円環状に形成されてい
る。また、上記スリンガ106は、ステンレス鋼板等、
優れた耐食性を有する金属板に、やはりプレス加工等の
打ち抜き加工並びに塑性加工を施す事により一体成形さ
れている。この様なスリンガ106は、上記転がり軸受
Oを構成する内輪5の外端部外周面に外嵌固定自在な内
径側円筒部112と、この内径側円筒部112の軸方向
外端縁(図2の右端縁)から直径方向外方に折れ曲がっ
た外側円輪部113とを備えた、断面L字形で円環状に
形成されている。
【0012】また、上記弾性部材107は、外側、中
間、内側の3本のシールリップ114、115、116
を備え、上記芯金105にその基端部が結合固定されて
いる。そして、最も外側に位置する外側シールリップ1
14の先端縁を上記スリンガ106を構成する外側円輪
部113の内側面に摺接させ、残り2本のシールリップ
である中間シールリップ115及び内側シールリップ1
16の先端縁を、上記スリンガ106を構成する内径側
円筒部112の外周面に摺接させることにより、封入グ
リースの漏洩を防止するとともに、外部からの塵埃、
水、泥水等の軸受内部への侵入を防止する。
【0013】シール装置12bは、図3に拡大して示さ
れるように、それぞれが円輪状に形成された芯金216
と弾性部材217とから構成される。このうちの芯金2
16は、金属板により造り、上記外輪相当部材1の外端
部に内嵌固定されている。また、上記弾性部材217
は、外径側、内径側、2本のサイドシールリップ21
8、219と、1本のラジアルシールリップ220とを
備え、上記芯金216に接着等により接合固定されてい
る。そして、上記2本のサイドシールリップ218、2
19を、先端縁(図3の左端縁)に向かう程直径方向外
方(図3の上方)に向かう方向に傾斜させる事により、
空間13内への異物進入防止機能を確保している。ま
た、上記ラジアルシールリップ220を、先端縁(図3
の右下縁)に向かう程上記空間13の内側(図3の右
側)に向かう方向に傾斜させる事により、グリースの漏
洩防止機能を確保している。
【0014】更に詳しく説明すると、シール装置12b
は、それぞれが円輪状に形成された芯金216と弾性部
材217とから構成されている。シール装置12bの芯
金216は、低炭素鋼板等の金属板にプレス加工等の打
ち抜き加工並びに塑性加工を施す事により、一体成形さ
れている。この芯金216は、転がり軸受Oを構成する
外輪相当部材1の端部内周面に内嵌固定自在な外径側円
筒部222と、この外径側円筒部222の外端縁(図3
の左端縁)から直径方向内方に折れ曲がった支持板部2
23とを備える。このうちの外径側円筒部222は、内
端寄り(図3の右寄り)の大径部224と弾性部材21
7とにより、芯金216を構成する支持板部223の外
側面(図3の左側面)全体を覆うと共に、この弾性部材
217の外周縁部を、上記嵌合筒部222から連続する
傾斜部227の外周面と外輪相当部材1の開口端部内周
面との間で挟持している。そして、この構成により、上
記芯金216と外輪相当部材1との嵌合部を密封してい
る。また、上記大径部224の自由状態に於ける外径
は、外輪相当部材1の外端開口部の内径よりも僅かに大
きく設定されており、この大径部224は、外輪相当部
材1の外端開口部に、締まり嵌めで内嵌固定自在とされ
ている。また、上記支持板部223は、略S字形の断面
形状を有し、直径方向内方(図3の下方)に向かう程空
間13内に設置した転動体10、10に近づく方向(図
3の右方向)に傾斜している。
【0015】一方、上記芯金216と共に上記シール装
置12bを構成する弾性部材217は、上記芯金216
に対してインサート成型し、接着等により接合固定され
ている。この様な弾性部材217の外周縁部は上記傾斜
部227の外周面を覆っている。また、この様な弾性部
材217の一部で傾斜部227の外周面を覆っている部
分の自由状態での外径は、上記外輪相当部材1の外端開
口部の内径よりも少し大きく設定されており、上記大径
部224をこの外端開口部に内嵌固定した状態では、上
記弾性部材217の一部で傾斜部227の外周面を覆っ
ている部分が、この傾斜部227の外周面と上記外端開
口部の内周面との間で弾性的に押圧され、当該部分のシ
ール性を確保する。
【0016】更に、上記弾性部材217の基部226
は、上記支持板部223の外側面(図3の左側面)を、
全周に亙り完全に覆っている。また、この基部226の
外側面及び内周縁には、外径側、内径側、2本のサイド
シールリップ218、219と、1本のラジアルシール
リップ220とが形成されていおり、2本のサイドシー
ルリップ218、219を、先端縁(図3の左端縁)に
向かう程直径方向外方(図3の上方)に向かう方向に傾
斜させる事により、空間13内への異物進入防止機能を
確保している。また、上記ラジアルシールリップ220
を、先端縁(図3の右下縁)に向かう程上記空間13の
内側(図3の右側)に向かう方向に傾斜させる事によ
り、グリースの漏洩防止機能を確保している。
【0017】また、転がり軸受として図4に示すような
鉄道車両の車輪を支持する車両用転がり軸受を例示する
こともできる。図4は車軸部400を示すものであり、
図中右側(車両側W´)に不図示の車輪が取り付けら
れ、回転する軸401と、軸401を支持する軸受40
2とを備えている。そして、軸受402の外輪403が
不図示の鉄道車両の車軸ハウジング等に固定される構成
である。
【0018】軸受402は、複列の円すいころ404
a,404bが外向きに配置された、所謂密封型複列円
すいころ軸受と呼称されるもので、上記車軸ハウジング
等に固定される外輪403と、各列別個に分割された内
輪405a,405b及び内輪間座406を備えてい
る。また、円すいころ404a,404bは保持器40
4cにより保持される。この軸受402を軸401の負
担荷重を受けるジャーナル部401aの所定位置に固定
するために、ジャーナル部401aの車輪側W´は太い
外径とした軸首401bを備え、軸首401bに当接す
る後蓋407及び油切りスリーブ408を介して内輪4
05bの車輪側端部が当接している。また、ジャーナル
部401aの自由端側F´は、軸401の自由端側F´
の端部401cにボルト409で固定される前蓋410
が取り付けられ、前蓋410の押え部410aに自由端
側F´の油切りスリーブ411を介して内輪405aの
自由端側端部が当接している。そして、ボルト409を
所定のトルクで締め付けることにより、軸受402は軸
首401bと前蓋410との間に挟まれて固定される。
尚、符号412で示される部材は、ボルト409が弛む
のを防止する廻り止め金具である。また、符号413で
示される部材は、外部より水や異物が軸受402の内部
に侵入すること、及び軸受402の内部に封入されてい
るグリース等の潤滑剤の漏れを防止するためのシール装
置であり、軸受402の車輪側W´と自由端側F´の両
方に同様の構成で設けられる。
【0019】シール装置413は、図5に拡大して示さ
れるように(但し、車両側W´を示す)、外輪403の
両端に嵌合固定されるシールケース413a、及びシー
ルケース413aの端部に取り付けられ油切りスリーブ
408の外周摺動面に密封当接するオイルシール413
bとを備える。オイルシール413bは、シールケース
413aの内径側に、スプリングカバー413c及びそ
の内径側に嵌着する補強環413dが嵌め込まれて固定
され、外部から矢印A401方向に侵入する水や異物を
弾性部材410のダストリップ413e及びメインリッ
プ413fにより封止するとともに、軸受402の内部
に封入されたグリース等の潤滑剤の漏れを防止してい
る。尚、符号414で示される部材は、メインリップ4
13fを付勢するスプリング環である。また、スプリン
グカバー413cには、油切りスリーブ408の外周摺
動面近傍まで延びる径方向部が設けられており、シール
装置413の内部を円すいころ側J´とオイルシール側
M´とに略分割している。そして、このように分割する
ことにより、オイルシール側M´で発生するリップの磨
耗粉が円すいころ側J´に侵入するのが予防されるとと
もに、円すいころ側J´で発生する金属磨耗粉がオイル
シール側M´に侵入するのが予防される。
【0020】本発明の転がり軸受では、図2に示したシ
ール装置12aの弾性部材107、図3に示したシール
装置12bの弾性部材217、図5に示したシール装置
413の弾性部材410に撥水性を付与する。あるい
は、これら弾性部材と摺接する相手面に撥水性を付与し
てもよい。更には、弾性部材と相手面との両者に撥水性
を付与してもよい。
【0021】弾性部材に撥水性を付与するには、これを
形成する成形用ゴム材料に撥水性物質を配合して所定形
状に成形する方法、あるいは弾性部材の表面に撥水性物
質を塗布する方法を採ることができる。
【0022】撥水性物質としてワックスやオイルを使用
できるが、中でもシリコーンオイル、含フッ素重合体が
好適である。シリコーンオイルの種類は、制限されるも
のではないが、ストレートシリコーンオイル、即ち、メ
チルシロキサンやジメチルシロキサン、メチルフェニル
シロキサン、トリメチルフルオロプロピルシロキサン等
のオルガノポリシロキサンの単独重合体または2種以上
からなる共重合体、あるいは変性シリコーンオイルの何
れも使用できる。尚、変性シリコーンオイルとしては、
ストレートシリコーンオイルのメチル基の一部を低級ア
ルキル、アラルキル、フッ素化アルキル等で置換した化
合物が含まれ、また、アミノ基、エポキシ基、水酸基、
メルカプト基、カルボン酸アルキル基及びこれらのハロ
ゲン置換炭化水素基等で置換して変性した化合物であっ
てもよい。これらは単独でも、複数種を混合して使用す
ることができる。
【0023】特に変性シリコーンオイルの使用が好まし
く、成形用ゴム原料に配合した場合、官能基がゴムの主
鎖や充填材、各種添加剤に反応もしくは吸着してシリコ
ーンオイルが成形体である弾性部材の表面に一度にブル
ームすることを防ぐと同時に、徐々に恒久的にブルーム
して撥水作用を長期にわたり維持できるようになる。ま
た、塗布した場合でも、弾性部材の表面に吸着して膜強
度が高くなる。
【0024】また、これらシリコーンオイルは、25℃
における粘度で20〜100,000センチストークス
(CS)のものが好ましい。この粘度が20CS未満の
ものは、十分な耐摩耗性及び摩擦特性を付与することが
できない。一方、この粘度が100,000CSを超え
るものは、成形用ゴム原料に配合した場合に加工性を低
下させる。
【0025】尚、成形用ゴム原料に配合する場合、シリ
コーンオイルの配合量は原料ゴム100重量部に対して
0.2重量部〜30重量部が適当であり、特に1〜20
重量部とすることが好ましい。配合量が0.2重量部未
満では十分な撥水性が発現せず、一方30重量部を超え
る場合には分散不良に加えて、シール装置を構成する芯
金との接着性が極端に低下する。
【0026】また、シリコーンオイルを塗布する場合の
塗布方法は制限されるものではなく、スプレー塗布、刷
毛塗り、浸漬等の通常の方法が採用でき、シランカップ
リング剤と共に焼き付けてもよい。尚、希釈用の溶剤や
塗布量については、特に制限はない。
【0027】一方、含フッ素重合体としては、制限され
るものではないが、「−Cn2n−O−(nは1〜4の
整数)」の主要構造単位を有するフルオロポリエーテル
やポリフルオロアルキル基含有化合物等を好適に使用す
ることができる。また、イソシアネート基、水酸基、メ
ルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル
基、アミノ基、アクリレート基及びスルホン基等の官能
基を含む含フッ素重合体も好ましく、成形用ゴム原料に
配合した場合、これらの官能基がゴムの主鎖や充填材、
添加剤に反応もしくは吸着して含フッ素重合体が弾性部
材の表面に一度にブルームすることを防ぐと同時に、徐
々に恒久的にブルームして撥水作用を長期に渡り維持で
きるようになる。また、塗布した場合でも、弾性部材の
表面に吸着して膜強度が高くなる。
【0028】尚、成形用ゴム原料に配合する場合、含フ
ッ素重合体の配合量は原料ゴム100重量部に対して
0.2重量部〜30重量部が適当であり、特に1〜20
重量部とすることが好ましい。配合量が0.2重量部未
満では十分な撥水性が発現せず、一方30重量部を超え
る場合には分散不良に加えて、シール装置を構成する芯
金との接着性が極端に低下する。
【0029】また、含フッ素重合体を塗布する場合の塗
布方法は制限されるものではなく、スプレー塗布、刷毛
塗り、浸漬等の通常の方法が採用できる。尚、希釈用の
溶剤や塗布量については、特に制限はない。
【0030】シリコーンオイルと含フッ素重合体とは併
用することもできるが、成形用ゴム原料に配合する場合
には、合計量で上記の配合量の範囲とする必要がある。
【0031】一方、シール装置の弾性部材と摺接する相
手面に撥水性を付与するには、上記のシリコーンオイル
や含フッ素重合体を塗布すればよい。また、その他に
も、フッ素樹脂(例えばテトラフルオロエチレン樹脂)
を配合した合成樹脂(例えばエポキシ樹脂)を焼き付け
塗布したり、カニゼンメッキ被膜中にフッ素樹脂(例え
ばテトラフルオロエチレン樹脂)の微粒子を均一に分散
共析させた被膜を成膜してもよい。尚、塗布方法は制限
されるものではなく、スプレー塗布、刷毛塗り、浸漬等
の通常の方法が採用できる。また、希釈用の溶剤や塗布
量についても特に制限はない。
【0032】以下に、成形用ゴム材料におけるシリコー
ンオイル、含フッ素重合体以外の配合成分について説明
する。
【0033】ベースとなるゴムは、特に限定されるもの
ではないが、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴ
ム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴ
ム、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴ
ム、エチレン・プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリ
エチレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴ
ム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等を例示でき、更に、
分子中の二重結合の一部が水素化された、例えば水素化
ニトリルゴム等のような水添化ゴムであってもよい。ま
た、カルボキシル基等で変性された、例えば、カルボキ
シル化アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル
化スチレンブタジエンゴムであってもよい。また、これ
らのゴムは単独でも、複数種を併用してもよい。中で
も、封入グリース等の潤滑剤に対する耐性を考慮する
と、耐油性ゴムであるアクリロニトリルブタジエンゴ
ム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、水素
化ニトリルゴム、カルボキシル化アクリロニトリルブタ
ジエンゴム等が好適である。
【0034】上記ゴムには、補強用充填材としてカーボ
ンブラック、シリカ、クレー、タルク、マイカ、珪藻
土、ウォラストナイト、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリ
ウム、硫酸カルシウム、炭化ケイ素、グラファイト、ガ
ラス粉末、カーボン粉末、ガラス繊維、カーボン繊維、
アラミド繊維、ボロン繊維、ベントナイト、シラス、セ
ルロースパウダ等を単独で、もしくは適宜組み合わせて
配合することができる。中でも、カーボンブラックは補
強効果が高いことに加えて、疎水性を有するため好まし
い。これら補強用充填材の配合量は特に限定されない
が、ゴム100重量部に対し5〜200重量部が好まし
い。配合量が5重量部未満であると十分な補強性が発現
されず、200重量部を超えて配合しても補強効果の更
なる向上が認められないだけでなく、成形加工性が極端
に低下して製造が困難になり、更には硬度が高くなりす
ぎて伸びが低くなり、本来有するゴム弾性が低下してし
まう。
【0035】また、上記ゴムには、加硫剤が配合され
る。加硫剤は特に限定されないが、硫黄、酸化亜鉛、酸
化マグネシウム、含硫黄有機化合物、ジチオカルバミン
酸塩、オキシム系加硫剤、キノイド系加硫剤、ニトロソ
化合物、過酸化物系加硫剤、アミン系加硫剤、アンモニ
ウムベンゾエート、イソシアヌル酸、金属石けん、樹脂
系加硫剤等を例示できる。加硫剤の配合量は、ゴム10
0重量部に対して0.1〜10重量部が適当である。
【0036】また、加硫助剤、活性剤、加硫促進剤を配
合することができる。加硫助剤及び活性剤としては、酸
化亜鉛、酸化マグネシウム、一酸化鉛、四三酸化鉛、炭
酸亜鉛、塩基性炭酸鉛、水酸化カルシウム、ステアリン
酸等の有機酸、ステアリン酸亜鉛、アミン類、グリコー
ル類を例示することができる。加硫助剤及び活性剤の配
合量は、ゴム100重量部対して0.1〜10重量部が
適当である。また、加硫促進剤としては、グアニジン系
化合物、アルデヒド−アンモニア系化合物、アルデヒド
−アミン系化合物、チアゾール系化合物、チオウレア系
化合物、スルフェンアミド系化合物、チウラム系化合
物、ジチオカルバメート系化合物、キサンテート系化合
物等を例示できる。加硫促進剤の配合量は、ゴム100
重量部対して0.1〜10重量部が適当である。
【0037】また、有機過酸化物系加硫剤とともに架橋
助剤(コエージェント)を用いることもできる。架橋助
剤の例としては、テトラヒドロフルフリルメタクリレー
ト、エチレンジメタクリレート、1,3−ブチレンジメ
タクリレート、1,4−メチレンジメタクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリエチ
レングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオ
ールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアク
リレート、2,2´−ビス(4−メタクリロキシジエト
キシフェニル)プロパン、2,2´−ビス(4−アクリ
ロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロール
プロパントリアクリレート、トリメチロールプロパント
リメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレ
ート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレ
ート、オリゴエステルアクリレート、アルミニウム(メ
タ)アクリレート、ジンク(メタ)アクリレート、マグ
ネシウム(メタ)アクリレート、カルシウム(メタ)ア
クリレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリル
シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルフ
タレート、ジアリルクロレンデート、ジビニルベンゼ
ン、2−ビニルピリジン、N,N´−メチレンビスアク
リルアミド、p−キノンジオキシム、p、p´−ジベン
ゾイルキノンジオキシム、1,2−ポリブタジエン、メ
タクリル酸金属塩等を例示できる。架橋助剤の配合量
は、ゴム100重量部に対して1〜10重量部が適当で
ある。
【0038】その他にも、各種ゴム用添加剤を配合する
ことができる。例えば、酸化劣化を防止する老化防止剤
を配合することができる。老化防止剤としては、アミン
・ケトン縮合生成物、芳香族第二級アミン類、モノフェ
ノール誘導体、ビス又はポリフェノール誘導体、ヒドロ
キノン誘導体、硫黄系老化防止剤、リン系老化防止剤等
を例示できる。このうち、アミン・ケトン縮合生成物系
の2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン
重合体、ジフェニルアミンとアセトンとの縮合反応物、
芳香族第二級アミン系のN,N’−ジ−β−ナフチル−
p−フェニレンジアミン、4,4’−ビス−(α,α−
ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N−フェニル−
N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプ
ロピル)−p−フェニレンジアミン等が好ましい。
【0039】また、熱分解を防止して耐熱性を向上する
ため、上記の老化防止剤とともに2次老化防止剤を併用
することがより好ましい。2次老化防止剤としては、硫
黄系の2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカ
プトメチルベンズイミダゾール及びこれらの亜鉛塩等が
挙げられる。更に、日光あるいはオゾンの作用による亀
裂を抑制させる日光亀裂防止剤として、融点が55〜7
0℃程度のワックス類をゴム100重量部に対して0.
5〜10重量部程度添加してもよい。
【0040】さらに成形加工性を向上させる必要がある
場合には、上記のような添加剤の他に、加工助剤として
可塑剤が適宜添加される。ただし、成形に特に支障がな
い場合は特に添加しなくてもよい。添加する場合は、ゴ
ム100重量部に対して3〜40重量部であり、必要以
上に添加すると、ゴム組成物が軟化すると同時に、完全
に混合されずにブリードアウトし、シール装置を構成す
る芯金と弾性部材との接着性が極端に低下する。可塑剤
の具体例としては、ジオクチルフタレート等のフタル酸
ジエステル、ポリエステル系可塑剤、ポリエーテル系可
塑剤、ポリエーテルエステル系可塑剤、液状ニトリルゴ
ム等を例示できる。
【0041】また、弾性部材の物性面に言及すると、そ
の硬度は、補強性充填材や各種添加剤の配合量等によっ
て影響を受けるが、自動車や鉄道車両等の車輪用転がり
軸受のシール装置に適用した際の密封性、追従性から、
JIS K6301に記載のスプリング硬さAスケール
で、50〜90の範囲が好ましい。前記硬さが50未満
の場合には、シール装置の摩擦抵抗が大きくなるととも
に耐摩耗性が低下する。また、前記硬さが90を超える
と、前述のようにゴム弾性が低下するので、シール装置
のリップ部の密封性、追従性が低下し、塵埃が多い環境
や泥水に曝される状況において使用すると、転がり軸受
の寿命が低下するおそれがある。
【0042】上記の成形用ゴム原料を用いて弾性部材を
得るための方法は特に限定されないが、未加硫の成形用
ゴム原料を金型の中で加圧しながら加熱すれば良く、圧
縮成形、トランスファー成形、射出成形等の公知のゴム
成形方法により製造することができる。例えば、圧縮成
形の場合、金型の中に予め接着剤を塗布した芯金(シー
ル装置の芯部を形成)を挿入し、その上に未加硫の成形
用ゴム材料のシートを載せ、通常120〜250℃で3
分〜2時間程度加圧加硫することで製造することができ
る。
【0043】尚、撥水性の尺度として水との接触角を用
いることができる。本発明においては、この水との接触
角は特に制限されるものではないが、70°以上が好ま
しく、特に75°以上であれば十分な撥水性が期待でき
る。
【0044】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に説明す
る。但し、本発明は実施例により何ら制限されるもので
はない。
【0045】(第1の実験)上記各材料を用い、表1及
び表2に示す配合にて加圧ニーダと混練りロールを用い
て混練りを行い、厚さ2.2mmの未加硫ゴムシートを
作製した。次に、未加硫ゴムシートを縦横150mm、
厚さ2mmの金型に挿入し、170℃、15分間、圧力
50kgf/cm2を負荷して加硫成形を行なった。更
に、実施例15、実施例16、実施例17、比較例5、
比較例6については、表3及び表4に記載の2次加硫条
件で後加硫を行った。また、実施例13、実施例14に
ついては、変性シリコーンオイルと含フッ素重合体をそ
れぞれスプレー塗布した。そして、得られた各加硫ゴム
シートを用いて以下に示す各種試験を行った。
【0046】常態物性試験 ・硬さ試験:加硫ゴムシートをJIS ダンベル状3号
形試験片の形状に打ち抜き、それを3枚重ねて、JIS
K6301に基づいて硬さ(スプリング硬さAスケー
ル)を測定した。測定結果を表3及び表4に示した。 ・引張試験:JIS ダンベル状3号形試験片につい
て、島津製作所製の万能型試験機オートグラフAG−1
0KNGによりJIS K6301に基づいて引張試験
を行い、引張破断強度及び伸びを測定した。測定結果を
表3及び表4に示した。 接触角測定 加硫ゴムシートに5μlの水を滴下し、協和界面科学社
製の接触角計を用いて接触角を測定した。測定結果を表
3及び表4の項目「接触角(ゴム)」に示した。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】尚、使用した原料ゴム、シリコーンオイ
ル、含フッ素重合体及び各種充填材、添加剤は以下の通
りである。 1)NBR:中高ニトリルゴム(JSR社製「JSR
NBR N230S」、アクリロニトリル単量体の比
率:35%) 2)H−NBR:水添中高ニトリルゴム(日本ゼオン社
製「Zetpol 2020」、アクリロニトリル単量
体の比率:36%) 3)ACM:アクリルゴム(日本ゼオン社製「Nipo
l AR−51」) 4)FKM:フッ素ゴム(ダイキン工業社製「ダイエル
G−801」) 5)HAFカーボン:HAF級カーボンブラック(旭カ
ーボン社製「旭70」) 6)MTカーボン:MT級カーボンブラック(Canc
arb社製「Thermax N−990」) 7)シリカ:含水シリカ(日本シリカ工業社製「ニップ
シールAQ」) 8)硫黄:325メッシュ品(鶴見化学工業社製) 9)有機過酸化物:2,5−ジメチル(t−ブチルパー
オキシイソプロピル)ベンゼン(日本油脂社製「ペロキ
シモン PF−40」) 10)アンモニウムベンゾエート:大内新興化学工業社製
「バルノックAB」 11)TT:テトラメチルチウラムジスルフィド(大内新
興化学工業社製「ノクセラーTT」) 12)CZ:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル・
スルフェンアミド(大内新興化学工業社製「ノクセラー
CZ」) 13)ステアリン酸:花王社製「Lunac S−3
5」) 14)亜鉛華:酸化亜鉛(堺化学社製「フランス法1
号」) 15)ジエチレングリコール:日本触媒社製 16)DOP:可塑剤、ジ−(2−エチルヘキシル)フタ
レート(大八化学社製) 17)CD:老化防止剤、4,4−ビス−(α,α−ジメ
チルベンジル)ジフェニルアミン(大内新興化学工業社
製「ノクラックCD」) 18)MB:老化防止剤、2−メルカプトベンズイミダゾ
ール(大内新興化学工業社製「ノクラックMB」) 19)特殊ワックス:大内新興化学工業社製「サンノッ
ク」 20)PAO:ポリ−α−オレフィン(モービル社製「S
HO629」) 21)パラフィンワックス:日本精蝋社製「NHP−9」 22)シリコーンオイル:ストレートシリコーンオイル
(信越シリコーン社製「KF86」) 23)変性シリコーンオイル:アミノ変性シリコーンオイ
ル(信越シリコーン社製「KF−860」) 24)含フッ素重合体A:ダイキン工業社製「デムナムS
−100」 25)含フッ素重合体B:旭硝子社製「サーフロンSC−
101」(固形分30%) 26)カップリング剤:γ−メルカプトプロピルトリメト
キシシラン(信越シリコーン社製「KBM803」) 27)TAIC:トリアリルイソシアヌレート(日本化成
社製)
【0050】(第2の実験)弾性部材が摺接する相手面
の撥水性を確認するため、厚さ0.5mmのSUS30
4製鋼板に、カニゼンメッキ被膜中に6〜8.5%のテ
トラフルオロエチレン樹脂の微粒子を均一に分散共析さ
せた被膜を成膜した。そして、第1の実験の接触角測
定と同様にして水との接触角を測定した。測定結果を、
表3の項目「接触角(金属)」の実施例18、実施例1
9の欄に示した。また、比較のために、SUS304製
鋼板の水との接触角を同様に測定し、結果を表3の項目
「接触角(金属)」の実施例17の欄に示した。
【0051】(第3の実験)図2に示した自動車の車輪
支持用転がり軸受のシール装置12aと同形状で、内径
60mmのシール装置を作製した。作製に際し、シール金
型内に、予め洗浄し、接着剤を塗布して焼付けた冷延鋼
板製の芯金105を挿入し、そこへ第1の実験で使用し
たものと同様の未加硫ゴムシートを載置し、170℃で
15分間、圧力30kgf/cm2を負荷して加硫成形
を行った。更に、実施例15、実施例16、実施例1
7、比較例5、比較例6については、表3及び表4に記
載の2次加硫条件で後加硫を行った。また、実施例1
3、実施例14については、変性シリコーンオイルと含
フッ素重合体をそれぞれスプレー塗布した。次いで、得
られたシールをSUS304鋼板製のスリンガ106を
装着してシール装置とし、下記に示す泥水耐久試験を行
った。尚、実施例18、実施例19では、スリンガにカ
ニゼンメッキ被膜に6〜8.5%のテトラフルオロエチ
レン樹脂の微粒子を均一に分散共析させた被膜を成膜し
た。
【0052】泥水耐久試験は、図6に示すシール回転試
験機100を用い、泥水中にシール装置が水没した状態
を想定して実施した。尚、図示されるシール回転試験機
100は、軸101に、スリンガ106(図2参照)を装
着したシール装置12aを組み込み、内部に貯留した泥
水102に浸漬させながら所定の回転速度で回転させる
構成となっている。また、泥水102の貯留部とは反対
側に漏電センサ103が設置されており、泥水102が
漏水した場合に検知する構成となっている。試験条件は
以下の通りであり、漏水が検知されるまでの時間を測定
し、測定結果を表3及び表4に泥水耐久時間として示し
た。 ・回転速度:1000rpm ・軸偏心:0.5mm TIR ・泥水組成:JIS 8種ダスト 20% ・グリース:リチウム石鹸、鉱油 ・グリース塗布量:外側シールリップと中間シールリッ
プとの間に0.3g、中間シールリップと内側シールリ
ップとの間に0.2g
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】表3及び表4に示すように、本発明に従
い、弾性部材及び/又は弾性部材と摺接する相手面に撥
水性を付与した実施例は何れも、泥水耐久時間が長くな
っていおり、本発明による効果が確認された。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の転がり軸
受は、シール装置を構成する弾性部材及び弾性部材と摺
接する相手面の少なくとも一方に撥水性を付与したこと
により、泥水に曝されるような環境下で使用されても、
所望の性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転がり軸受の一実施形態(自動車の車
輪支持用)を示す断面図である。
【図2】図1に示した転がり軸受の一方のシール装置
(12a)の拡大図である。
【図3】図1に示した転がり軸受の他方のシール装置
(12b)の拡大図である。
【図4】本発明の転がり軸受の他の実施形態(鉄道車両
の車輪支持用)を示す断面図である。
【図5】図4に示した転がり軸受のシール装置を示す拡
大図である。
【図6】第3の実験に用いたシール回転試験機を示す概
略断面図である。
【符号の説明】
O 転がり軸受 1 外輪相当部材 4 内輪相当部材 8 外輪軌道 9 内輪軌道 10 転動体 11 保持器 12a、12b シール装置 107 弾性部材 217 弾性部材 400 車両部 402 軸受 403 外輪 404a、404b 円すいころ 405a、405b 内輪 404c 保持器 410 弾性部材 413 シール装置 413e ダストリップ 413f メインリップ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内周面に外輪軌道を有する外輪と、外周
    面に内輪軌道を有する内輪と、前記外輪軌道と前記内輪
    軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体と、
    前記転動体を円周方向に亙って互いに間隔をあけた状態
    で転動自在に保持する保持器と、前記外輪の内周面と前
    記内輪の外周面との間で前記転動体を設けた空間の軸方
    向開口部を塞ぐシール装置とを備えた転がり軸受におい
    て、前記シール装置を構成する弾性部材の相手面との摺
    接部及び前記弾性部材が摺接する相手面の少なくとも一
    方が撥水性を有することを特徴とする転がり軸受。
  2. 【請求項2】 前記弾性部材が、シリコーンオイル及び
    含フッ素重合体の少なくとも一方を、ゴム100重量部
    に対して0.2〜30重量部の割合で含有するゴム組成
    物の成形体であることを特徴とする請求項1記載の転が
    り軸受。
  3. 【請求項3】 前記弾性部材及び前記相手面の少なくと
    も一方に、シリコーンオイル及び含フッ素重合体の少な
    くとも一方を含有する被膜が成膜されていることを特徴
    とする請求項1または2記載の転がり軸受。
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