JP3757055B2 - 潤滑性ゴム組成物およびシール部材 - Google Patents

潤滑性ゴム組成物およびシール部材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は潤滑性ゴム組成物に関し、特にシール性および摺動性を必要とする分野に使用することのできる潤滑性ゴム組成物およびこの潤滑性ゴム組成物を成形したOリングなどのシール部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般工業用、軍事用、宇宙用、民生用および医療用等にて潤滑性ゴム組成物からなるゴム成形品はシール用途および振動吸収用途に用いられている。一方、このようなゴム成形品は摺動性を要求される場合があり、この場合、ほとんどがオイル・グリースとの併用にて用いられている。
しかし、潤滑性ゴム組成物は、シール性および使用温度条件だけに注目されてゴム組成物が従来選定されてきたため、シール兼摺動部に発生するせん断力により、発熱がおこり、オイル・グリースが排出され、スティクスリップが発生し正常な作動が安定してされなかったり、異音が発生する問題があった。さらに、最悪な結果になると、摩耗が進行し破れ・破損が発生し、短期間でシール部材を交換しなければならない場合があった。
【0003】
従来、優れた潤滑性ゴム組成物として、有機合成ゴムと、表面にカーボン材が突き刺さったテトラフルオロエチレン樹脂粉末と、球状黒鉛とからなるゴム組成物が知られている(特開平 7-188470 号公報)。
また、テトラフルオロエチレン樹脂とカーボン材とを乾式混合して、表面にカーボン材が突出したテトラフルオロエチレン樹脂粉末を配合して得られる樹脂組成物が知られている(特開平 8-190270 号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、潤滑性ゴム組成物は優れたシール性および摺動性と共に、その特性を維持する耐久性にも優れることが要求されるようになってきた。
【0005】
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、摩擦特性や耐摩耗特性などの摺動性に優れ、かつ耐久性に優れ、長期間信頼して使用できる潤滑性ゴム組成物およびシール部材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の潤滑性ゴム組成物は、合成ゴムと、熱硬化性樹脂粉末と、テトラフルオロエチレン樹脂粉末とからなり、上記熱硬化性樹脂粉末は、該粉末を酸またはアルカリ処理することにより PH 調整された粉末であり、純水中に 5 重量%の上記熱硬化性樹脂粉末を分散させ、 100 ℃で 0.5 時間加熱した後、室温に放冷したときの処理水の PH 値が PH 6 〜 PH 8 で、かつ平均粒径が 50 μm 以下であり、上記テトラフルオロエチレン樹脂粉末は、平均粒径が 50 μm 以下であり、上記合成ゴム 100 重量部に対して、上記熱硬化性樹脂粉末が 5 80 重量部、上記テトラフルオロエチレン樹脂粉末が 10 重量部以上、 100 重量部未満であることを特徴とする。
【0007】
また、上記合成ゴムが加硫可能な合成ゴム、熱可塑性エラストマーおよび液状エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも 1種であることを特徴とする。
【0008】
また、上記熱硬化性樹脂粉末が球状粉末であることを特徴とする。
【0009】
また、上記テトラフルオロエチレン樹脂粉末が放射線処理された樹脂粉末であることを特徴とする。さらに、その表面にカーボン材を付着させてなるテトラフルオロエチレン樹脂粉末であることを特徴とする。
ここで、放射線とは、全ての電磁波および粒子線をいい、例えば、α線、β線、X線を含むγ線、電子線等をいう。
【0011】
本発明のシール部材は、上述の潤滑性ゴム組成物にて成形されたシール部材であることを特徴とする。ここで、シール部材とは、ガスケットなどの静的シールおよびパッキンなどの動的シールに分類される密封装置(シール)のすべてを含む。
【0012】
本発明は、熱硬化性樹脂粉末の PH 値を PH 6 〜 PH 8 とし、また熱硬化性樹脂粉末およびテトラフルオロエチレン樹脂粉末の平均粒径を 50 μm 以下とすることにより、合成ゴムの加硫度、あるいは硬度を最適化することができる。その結果、静・動摩擦特性や耐摩耗特性などの摺動性を維持したまま、永久歪み率などを向上することができ、耐久性に優れた潤滑性ゴム組成物およびその成形品としてのシール部材を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に係る合成ゴムとは、各種有機合成法にて合成され、加硫により、あるいはそれ自身が室温においてゴム状弾性を有するものであれば使用することができる。例えば、加硫可能な合成ゴム、熱可塑性エラストマー、または液状エラストマーを挙げることができる。なお、これらは単独で使用することが潤滑性ゴム組成物の最適な物性を設計する上で好ましいが、必要に応じて混合物として使用することもできる。
未加硫合成ゴムあるいは熱可塑性エラストマーの分子量としては、通常 5万以上のものが好ましく、高分子量のものが良好な結果を得ることから、より好ましくは 7万以上、特に好ましくは 10 〜 50 万程度である。
【0014】
加硫可能な合成ゴムとしては、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、アクリロニトリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム等を例示することができる。
加硫可能な合成ゴムは耐圧縮歪性に優れるために、Oリングなどのシール部材に特に好ましい。
【0015】
熱可塑性エラストマーとしては、熱可塑性ポリウレタン、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、軟質ナイロン系エラストマー等を例示することができる。熱可塑性エラストマーは低価格あるいは成形性に優れるために、ブレードなどの用途などに特に好ましい。
【0016】
液状エラストマーとしては、液状ポリブタジエン、液状ポリウレタン、液状ポリクロロプレン、液状シリコーン等を例示することができる。
液状エラストマーは機械的強度に優れるために、バタフライバルブなどの用途などに特に好ましい。
【0017】
摺動性を維持して、耐久性に優れた潤滑性ゴム組成物を得るために、好ましい加硫可能な合成ゴムとしてはアクリロニトリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴムまたはフッ素ゴムを、好ましい熱可塑性エラストマーとしては熱可塑性ポリウレタンを、好ましい液状エラストマーとしては液状ポリブタジエンおよび/または液状ポリウレタンを挙げることができる。
【0018】
本発明に係る熱硬化性樹脂粉末は、熱硬化性樹脂または重合後に不溶不融となる樹脂を粉砕した粉末である。例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂などの粉末を挙げることができる。粉末の平均粒径は 50 μm 以下、好ましくは 25 μm 以下である。下限値は、配合する場合において凝集などを起こさず粉末状態を維持できる平均粒径であればよく、具体的には 5μm 以上が好ましい。平均粒径がこの範囲であると分散性に優れ、ゴム成形品が優れた摺動性を維持できる。
粉末の粒子形状は球状が好ましい。球状であると混練の容易さ、および低摩擦特性が付与できる。
市販されている球状熱硬化性樹脂粉末の例としては、ベルパール(鐘紡社製)を挙げることができる。ベルパール(鐘紡社製)は分子内にメチロール基と、適度な架橋度とを有し、1 〜 20 μm の平均粒径を有する球状樹脂粉末であるので好ましい。
【0019】
熱硬化性樹脂粉末の PH 値は PH 6 〜 PH 8 である。 PH 値が PH 8 を越えると、加硫度が十分でなくなり、潤滑性ゴム組成物としての所定の物性が得られない。特に、アクリロニトリルブタジエンゴムなどのイオウ加硫系では熱硬化性樹脂粉末の PH 値が PH 8 を越えると加硫度が不十分となる。また、 PH 値が PH 6 未満では、充填剤自身が加水分解されるおそれがある。なお、本発明において熱硬化性樹脂粉末の PH 値とは、純水中に 5重量%の熱硬化性樹脂粉末を分散させ、 100℃で 0.5時間加熱した後、室温に放冷したときの処理水の PH 値をいう。この PH 値は、熱硬化性樹脂粉末を酸またはアルカリ処理することにより調整できる。
【0020】
本発明に係るテトラフルオロエチレン樹脂粉末は、乳化重合、あるいはけん濁重合にて得られたテトラフルオロエチレン樹脂を平均粒径が 50 μm 以下、好ましくは 25 μm 以下となるように粉砕した粉末である。下限値は、配合する場合において凝集などを起こさず粉末状態を維持できる平均粒径であればよく、具体的には 1μm 以上が好ましい。平均粒径がこの範囲であると分散性に優れ、ゴム成形品が優れた摺動性を維持できる。
特に好ましいテトラフルオロエチレン樹脂粉末は、重合後あるいは熱処理後に粉砕し、さらに放射線処理を行なった樹脂粉末が好ましい。放射線処理を行なうことにより、テトラフルオロエチレン樹脂粉末がゴム材との混練時のせん断力で繊維化されることを抑えることができる。
最も好ましいテトラフルオロエチレン樹脂粉末は、重合後のテトラフルオロエチレン樹脂を一般的な成形方法を用いて成形し、成形品、あるいはスクラップ品を粉砕し、さらに放射線処理を行ない、数平均分子量を 10 万、好ましくは 5万以下とした樹脂粉末である。このテトラフルオロエチレン樹脂粉末は、ゴム混練時のせん断力に対して繊維化しない。
【0021】
さらに、上記テトラフルオロエチレン樹脂粉末の表面にカーボン材を付着させることが好ましい。カーボン材の付着は、テトラフルオロエチレン樹脂粉末にカーボン材を乾式混合にて混合することにより得ることができる。なお、このカーボン材とは一般的な炭素粉から黒鉛までの粉末状のものであり、特に黒鉛が良く、また、ゴム材に汎用的に用いられるストラクチュアの大きいHAFカーボン、SAFカーボン、MTカーボン等との併用も好ましい。
【0022】
潤滑性ゴム組成物の配合割合は、上記合成ゴム 100重量部に対して、上記熱硬化性樹脂粉末が 5〜 80 重量部、上記テトラフルオロエチレン樹脂粉末が 10 重量部以上、 100 重量部未満である。
熱硬化性樹脂粉末が 5重量部未満であるとゴム成形体に十分な耐摩耗性を付与できず、 80 重量部を越えるとゴム硬度が高くなりゴム弾性が得られ難くなる。
また、機械的強度が極端に低下し潤滑性ゴム材としての実際の使用に耐えられなくなる。
テトラフルオロエチレン樹脂粉末が 10 重量部未満であるとゴム成形体に十分な摩擦特性を付与できず、100 重量部以上であるとゴム硬度が高くなりゴム弾性が得られ難くなる。また、機械的強度が極端に低下し潤滑性ゴム材としての実際の使用に耐えられなくなる。
【0023】
さらに、上記合成ゴム 100重量部に対して、酸化亜鉛を 10 〜 50 重量部配合することが好ましい。この範囲の酸化亜鉛を配合することにより、優れた摺動性および耐久性を安定的に維持できる。
また、混練性、成形離形性、耐オゾン性、非粘着性などの改質材として、融点が 40 〜120 ℃程度のワックス類を配合することが好ましい。
【0024】
なお、優れた摺動性および耐久性を損なわない範囲で以下の配合剤を配合することができる。
例えば、カーボンブラック、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、タルク、マイカ、カオリン、ベントナイト、シラス、ウォラストナイト、炭化ケイ素、ガラス粉末、カーボン粉末、ボロン繊維、アラミド繊維等の補強材または充填材、亜鉛華、脂肪酸等の加硫助剤、グアニジン類、イオウ類、アルデヒド−アミン類、亜鉛塩類等の加硫剤または加硫促進剤、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート等の可塑剤、アミン類、フェノール類等の老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤等を挙げることができる。
【0025】
以上の各種原材料を混練する方法は特に限定するものではなく、通常広く用いられている方法、例えば、主原料となる合成ゴムやエラストマー、その他充填剤を個別に順次あるいは同時にロール混合機、プロペラ混合機、ニーダ混合機、バンバリー混合機、二軸溶融混合機、その他混合機にて混練することができる。また、このとき摩擦による発熱を制御する目的で温度調整器を混合機に設置することが好ましい。
【0026】
得られた潤滑性ゴム組成物はプレス成形等により加硫あるいは成形することでゴム成形品とすることができる。
特に、優れた摺動性および耐久性を有しているので、Oリングなどのシール部材として好適である。好適なシール部材としては、JIS B2401のP番、G番、V番のリング、JASO Oリング、およびその他の特殊形状のシール部材は、グリースレス等を可能とし、長期にわたり安定性・信頼性に優れている。
【0027】
また、本発明の潤滑性ゴム組成物により得られるゴム成形品は、優れた摺動性および耐久性を有しているので、自動車・二輪車のオイル周辺一般オイルシール、ガソリン供給系オイルシール、吸排気系シール、エアコン系冷媒用シール、ワイパーブレード、グラスラン、事務機器の電子式複写機のトナー周辺のシール、トナーブレード、カップジュース自動販売機の切り替えバルブ用シール、家庭用浄水器・混合栓用シール、一般製造ラインの切り替えバルブ用シール、パン・餅等混練機用シール、上水・下水用バタフライバルブ用シール、医療用注射器ピストンシール等に好適に用いることができる。
【0028】
【実施例】
まず、実施例および比較例に用いた合成ゴム基本配合を基礎配合Aから基礎配合Dとして表1に示す。なお、各成分の配合割合は重量部である。
【表1】
Figure 0003757055
【0029】
上記基礎配合にさらに配合される熱硬化性樹脂粉末と、テトラフルオロエチレン樹脂粉末とを以下に示す。
(1)熱硬化性樹脂粉末
(イ)球状の熱硬化型樹脂粉末(PH 5)
ベルパールR600(鐘紡社製)を酸洗浄して PH 5 に調整した。
(ロ)球状の熱硬化型樹脂粉末(PH 6)
ベルパールR600(鐘紡社製)を酸洗浄して PH 6 に調整した。
(ハ)球状の熱硬化型樹脂粉末(PH 7)
ベルパールR600(鐘紡社製)を酸・アルカリ洗浄して PH 7 に調整した。
(ニ)球状の熱硬化型樹脂粉末(PH 8)
ベルパールR600(鐘紡社製)をアルカリ洗浄して PH 8 に調整した。
(ホ)球状の熱硬化型樹脂粉末(PH 9)
ベルパールR600(鐘紡社製)をアルカリ洗浄して PH 9 に調整した。
PH 調整しないベルパールR600の PH 値はロットにより異なり 7〜9 である。
【0030】
(2)テトラフルオロエチレン樹脂粉末
(イ)PTFE−1
重合後のテトラフルオロエチレンを一般的な成形方法を用いて成形し、成形品、あるいはスクラップ品を粉砕し、さらに放射線処理を行ない、平均粒径を約 20 μm とした。
(ロ)PTFE−2
乳化重合にて重合完了後、凝析、洗浄して得られたファインパウダーをさらに放射線処理を行ない、平均粒径を約 10 μm とした。
(ハ)PTFE−3
乳化重合にて重合完了後、凝析、洗浄して得られたファインパウダーを放射線処理を行ない、さらに平均粒径 6μm の黒鉛とヘンシェルミキサーにてドライブレンドした。
【0031】
実施例1〜実施例8
まず、ロール間隔 5〜10 mm 程度に調整したロール混合機にアクリロニトリルブタジエンゴムを巻き付け、基礎配合Aに示した割合で無機充填剤、老化防止剤、カーボン、イオウ、加硫促進剤を順次混合し、最後に表2で示す割合にて熱硬化性樹脂粉末およびテトラフルオロエチレン樹脂粉末を加えて混練した。その後、ロール間隔を約 1 mm に調整し、薄通しを行なった。このときの摩擦熱を防止する目的で、常時、ロール内に冷却水を通し、ロール温度を 60 ℃以下に保ち、それぞれ 10kg のコンパウンドを得た。
【0032】
得られた各コンパウンドに対して、摩擦摩耗試験用に縦 150mm×横150mm ×厚さ 1 mm の金型を用い、非粘着性試験用におよび一般物性試験用に縦 150mm×横150mm ×厚さ 2 mm の金型を用い、永久歪み試験には直径φ 25 mm×厚さ 12.5mm の金型を用い、プレス成形にて、 1次加硫( 170℃、 10 分間、プレス圧 30kgf/cm2)を行ない、加硫が終わった各シートについて摩擦・摩耗特性、一般物性を求めた。各試験方法は以下のとおりである。
【0033】
(1)摩擦、摩耗試験
得られたシートを内径φ 17 mm×外径φ 21mm のリングに打ち抜き、内径φ 17 mm×外径φ 21mm ×厚さ 10mm のアルミ合金製リングに接着し摩擦試験片とした。相手材は軸受鋼(SUJ2)研磨品としスラスト型摩擦摩耗試験にて評価した。試験条件は周速 32m/min、面圧 3.0kgf/cm2、時間 100h である。結果を表4に示す。
(2)非粘着性試験
得られた試験片において、水に対する接触角をゴニオメータ式接触角度測定器で測定し、接触角度の大きいものほど非粘着性はよいと判断した。結果を表4に示す。
(3)一般物性試験
得られた試験片に対してJIS K 6251、JIS K 6252、JIS K 6255に準拠し、引張り強さ・伸び・硬度(JIS A)、永久圧縮歪み率を測定した。なお、永久歪み率は 25 %圧縮の 100℃× 22 時間後の歪み率とした。結果を表4に示す。
(4)Oリング試験
JIS P番のP10サイズのOリングを成形して試験片とし図1に示す試験機を用いて評価した。図1はOリング試験機を示す図である。試験は、軸2の軸径φ 10.0mm 、ハウジング3のハウジング径φ 13.0mm 、しめしろ 0.4mmの設定とし、空気圧 3kgf/cm2、ストローク±2mm、加振器4の周波数 5KHzで 100h、Oリング1を設けた軸2の往復摺動試験を実施した。なお、図1において、5はロードセルを、6はアンプを、7はプリンターをそれぞれ示す。試験終了までに摩耗による空気圧の低下のなかった場合を○、低下があった場合を×として評価した。結果を表4に示す。
【0034】
実施例9および実施例10
ゴムの基礎配合を基礎配合Aから基礎配合Bに変更して、表2に示す割合にて実施例1と同一の方法にて配合剤を混合してシート成形を行ない、 2次加硫はフリー加硫で 190℃× 6h にて行なった。また、試験片の調整および試験方法も実施例1と同一の方法を用いた。結果を表4に示す。
【0035】
実施例11および実施例12
ゴムの基礎配合を基礎配合Aから基礎配合Cに変更して、表2に示す割合にて実施例1と同一の方法にて配合剤を混合してシート成形を行ない、 2次加硫はフリー加硫で 230℃×16h にて行なった。また、試験片の調整および試験方法も実施例1と同一の方法を用いた。結果を表4に示す。
【0036】
実施例13および実施例14
ゴムの基礎配合を基礎配合Aから基礎配合Dに変更して、表2に示す割合にて実施例1と同一の高温加熱装置付きロールを用い、ロール温度 150℃で配合剤を混合し、シート成形を行なった。また、試験片の調整および試験方法も実施例1と同様の方法を用いた。結果を表4に示す。
【0037】
実施例15および実施例16
ゴムの基礎配合を基礎配合Aから硬化剤を除いた基礎配合Eに変更して、表2に示す割合にて配合剤を加え、加熱減圧脱泡後、硬化剤( 4,4'-メチレン -ビス- 2 クロロアニリン)を加熱融解したものを加え撹拌機にて混合後、金型に注入、脱泡し、加熱硬化により試験片を得た。試験片の調整および試験方法も実施例1と同様の方法を用いた。結果を表4に示す。
【0038】
実施例17
テトラフルオロエチレン樹脂粉末としてPTFE−3を用いる以外は、実施例4と同一の方法でシート成形を行なった。また、試験片の調整および試験方法は実施例1と同様の方法を用いた。結果を表4に示す。
【0039】
【表2】
Figure 0003757055
【0040】
比較例1〜比較例15
表3に示す割合にて、上記各実施例に示すゴムの基礎配合に対応する方法を用いてそれぞれ、混合、シート成形、加硫を行なった。また、試験片の調整および試験方法も実施例と同様な方法を用いた。結果を表4に示す。
【0041】
【表3】
Figure 0003757055
【0042】
【表4】
Figure 0003757055
【0043】
表4に示すように、 PH 値が PH 9 である熱硬化性樹脂粉末を配合した比較例7は加硫度が十分でなく、引っ張り強度は PH 値が PH 6 〜 PH 8 である実施例1、2、3に比較して約 1/2しかない。また、逆に PH 値が PH 5 である熱硬化性樹脂粉末を配合した比較例6は摩擦摩耗特性が悪くなる。
【0044】
【発明の効果】
本発明の潤滑性ゴム組成物は、合成ゴムと、 PH 値が PH 6 〜 PH 8 で、かつ平均粒径が 50 μm 以下の熱硬化性樹脂粉末と、平均粒径が 50 μm 以下のテトラフルオロエチレン樹脂粉末とからなるので、十分なゴム特性を有しながら摩擦係数、耐摩耗特性などの摺動性に優れ、さらに耐久性に優れている。そのため、本発明の潤滑性ゴム組成物から得られるゴム成形体は長期間信頼して使用できる。
【0045】
また、合成ゴムが加硫可能な合成ゴム、熱可塑性エラストマーおよび液状エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも 1種であるので、それぞれ用途に応じた潤滑性ゴム組成物が得られる。
【0046】
熱硬化性樹脂粉末が球状粉末であるので、テトラフルオロエチレン樹脂粉末が放射線処理されているので、さらにはその表面にカーボン材を付着させてなるので、本発明の潤滑性ゴム組成物は、摺動性により優れ、さらに耐久性により優れたゴム成形体を得ることができる。
【0047】
配合割合を請求項6記載の範囲とするので、合成ゴムの加硫度、あるいは硬度をより最適化できる。その結果、摺動性を維持したまま、耐久性に優れたゴム成形体が得られる潤滑性ゴム組成物を得ることができる。特にOリングなどのシール部材として優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】Oリング試験機を示す図である。
【符号の説明】
1 Oリング
2 軸
3 ハウジング
4 加振器
5 ロードセル
6 アンプ
7 プリンター

Claims (7)

  1. 合成ゴムと、熱硬化性樹脂粉末と、テトラフルオロエチレン樹脂粉末とからなる潤滑性ゴム組成物であって、
    前記熱硬化性樹脂粉末は、該粉末を酸またはアルカリ処理することにより PH 調整された粉末であり、純水中に 5 重量%の前記熱硬化性樹脂粉末を分散させ、 100 ℃で 0.5 時間加熱した後、室温に放冷したときの処理水の PH 値が PH 6 〜 PH 8 で、かつ平均粒径が 50 μm 以下であり、
    前記テトラフルオロエチレン樹脂粉末は、平均粒径が 50 μm 以下であり、前記合成ゴム 100 重量部に対して、前記熱硬化性樹脂粉末が 5 80 重量部、前記テトラフルオロエチレン樹脂粉末が 10 重量部以上、 100 重量部未満であることを特徴とする潤滑性ゴム組成物。
  2. 前記合成ゴムは、加硫可能な合成ゴム、熱可塑性エラストマーおよび液状エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも 1 種であることを特徴とする請求項1記載の潤滑性ゴム組成物。
  3. 前記熱硬化性樹脂粉末が球状粉末であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の潤滑性ゴム組成物。
  4. 前記テトラフルオロエチレン樹脂粉末が放射線処理された樹脂粉末であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の潤滑性ゴム組成物。
  5. 前記テトラフルオロエチレン樹脂粉末が、その表面にカーボン材を付着させてなる樹脂粉末であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の潤滑性ゴム組成物。
  6. 前記球状粉末がフェノール樹脂粉末であることを特徴とする請求項3記載の潤滑性ゴム組成物。
  7. 潤滑性ゴム組成物にて成形されたシール部材であって、前記潤滑性ゴム組成物が請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の潤滑性ゴム組成物であることを特徴とするシール部材。
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