JP2009156362A - クリープ防止型転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸受外輪外周または内輪内周の円周方向の位置によって油膜の厚さが均一に保持して、確実にスクイーズ効果が奏されてクリープ防止性が発揮され、またシールの一部の損傷にも耐えてクリープ防止効果を発揮できるクリープ防止型転がり軸受とすることである。
【解決手段】転がり軸受の外輪1の外周面1aに2筋の周溝2を形成すると共に、これら周溝2同士を連絡する3本以上の連絡溝3を形成し、これら周溝2および連絡溝3からなる環状の梯子型溝に嵌めた状態の無端環状の梯子型潤滑性ゴム製シール4を設けたクリープ防止型転がり軸受とする。合成ゴム中に分散して存在するテトラフルオロエチレン樹脂粉末および熱硬化性樹脂粉末が、固体潤滑剤としての作用を発揮し、耐熱性の用途でも摩耗や損傷を充分に防止できる。
【選択図】図1
【解決手段】転がり軸受の外輪1の外周面1aに2筋の周溝2を形成すると共に、これら周溝2同士を連絡する3本以上の連絡溝3を形成し、これら周溝2および連絡溝3からなる環状の梯子型溝に嵌めた状態の無端環状の梯子型潤滑性ゴム製シール4を設けたクリープ防止型転がり軸受とする。合成ゴム中に分散して存在するテトラフルオロエチレン樹脂粉末および熱硬化性樹脂粉末が、固体潤滑剤としての作用を発揮し、耐熱性の用途でも摩耗や損傷を充分に防止できる。
【選択図】図1
Description
この発明は、外輪を軸穴に、軸を内輪にそれぞれ圧入して予圧で固定することができ、しかもクリープ防止性を有するクリープ防止型転がり軸受に関する。
一般に、ハウジングに対し、転がり軸受の外輪の外周面または内輪の内周面に、潤滑性ゴム製シールリングを介して隙間嵌めによって取り付けることのできるクリープ防止型転がり軸受が知られている。
図4に示すように、軸受外輪10がハウジング(軸受箱)11に正の隙間で嵌め合わされているときに起こるクリープ現象について説明すると、軸受外輪10に回転荷重(図中、白抜きの太い矢印)が加わると、外輪外周面10aはハウジング内周面11aに内接しながら転がり運動する。
図4では、外輪上の点A1とハウジング上の点A2は接しているが、所定時間後には点B1と点B2が接するようになり、1回転後には点A1と点A2は重ならず、外輪外周の長さとハウジング内周の長さの差だけ点A1は点A2より荷重の回転方向(図中、黒線の矢印)に対して遅れることになる。この現象は「クリープ」と称され、回転荷重1回転につきクリープする量は、外輪外径とハウジング内径の差をδとすれば−πδで表される。
このようなクリープ現象は、転がり現象とも解されるが、外輪とハウジングの弾性変形を考慮すると、局部的な滑りも生じており、その際に外輪外周面10aおよびハウジング内周面11aを摩耗させて損傷が起こるばかりでなく、摩耗粉が軸受内へ侵入して軌道面も摩耗損傷する恐れがある。
このような不利の多いクリープ現象を防止するために、軸受外輪の外周面または内輪内周面に少なくとも2筋の周溝を設け、その周溝にそれぞれリング状環を嵌め合わせ、2筋の周溝の間に粘性潤滑剤を付着させて軸受外輪または内輪を、ハウジングが流体薄膜を介したスクイーズ(squeeze)効果によって支えるようにし、クリープおよび摩耗損傷を防止する手段が知られている(特許文献1)。
因みに、スクイーズ(squeeze)効果によれば、上記の軸受が図4に示す状態でハウジングに組込まれているとき、外輪10はハウジング11に対して荷重の方向に偏心する。
因みに、スクイーズ(squeeze)効果によれば、上記の軸受が図4に示す状態でハウジングに組込まれているとき、外輪10はハウジング11に対して荷重の方向に偏心する。
しかし、外輪外周面10aとハウジング内周面11aおよびリング状弾性体で囲まれた部分に粘性潤滑剤が封入されていると、外輪外周面がハウジング内周面に急速に接近し始めても薄いフィルム状の粘性潤滑剤は速やかに流動できないため、大きな圧力を生じてスクイーズ(squeeze)効果が奏される。この圧力が、軸受荷重とつりあえる条件であれば、外輪10はハウジング11と接触することなく、油膜によって支えられることになる。
しかし、上記した従来技術のように、軸受外輪または内輪の2筋の周溝の間に粘性潤滑剤を付着させて、ハウジングが流体薄膜を介して支える状態になった場合、例えばラジアル方向(半径方向)に振動するときに、軸受外輪外周または内輪内周の円周方向の位置によって油膜の厚さが不均一になり、確実にスクイーズ(squeeze)効果が奏されずクリープ防止性が発揮され難くなり、最悪の場合には金属接触が起こり、クリープ現象が起こるという問題点がある。
また、軸受外輪または内輪の2筋の周溝に通常のシール用にOリングを嵌めた状態では、Oリングの1箇所が損傷するとそこから潤滑剤が全て外部に漏れ出し、油膜のスクイーズ効果によるクリープ防止効果が全く損なわれるという問題点もある。
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、例えば軸受がラジアル方向(半径方向)に振動するときにも、軸受外輪外周または内輪内周の円周方向の位置に関係なく、すなわち、どの位置でも油膜の厚さが均一に保持されるようになり、スクイーズ効果が確実に奏されてクリープ防止性が発揮されるようにし、またシールの一部が損傷してもクリープ防止効果を充分に発揮できるクリープ防止型転がり軸受にすることである。
上記の課題を解決するために、この発明においては、転がり軸受の外輪の外周面または内輪の内周面に複数の周溝を形成すると共に、これら周溝同士を連絡する3以上の連絡溝を形成し、これら周溝および連絡溝からなる環状の梯子型溝に嵌めた状態の無端環状の梯子型潤滑性ゴム製シールを設けてなるクリープ防止型転がり軸受としたのである。
上記したように構成されるこの発明のクリープ防止型転がり軸受は、クリープ現象が生じて、局部的な滑りが生じても、その際に外輪外周面とハウジング内周面とが潤滑性ゴム製シールを介して滑るため、摩耗や損傷が起こり難い。特に、合成ゴム中に分散して存在するテトラフルオロエチレン樹脂粉末および熱硬化性樹脂粉末が、固体潤滑剤としての作用を発揮し、摩耗や損傷を充分に防止できる。
テトラフルオロエチレン樹脂粉末が、その粒子表面にカーボン材を付着させてなるものであれば、合成ゴム中から抜け落ち難く、またカーボン材の固体潤滑作用も発揮されて、耐摩耗性の使用時間を長く発揮できる長期耐久性の摩耗防止性を発揮するクリープ防止型転がり軸受になる。
テトラフルオロエチレン樹脂粉末が、その粒子表面にカーボン材を付着させてなるものであれば、合成ゴム中から抜け落ち難く、またカーボン材の固体潤滑作用も発揮されて、耐摩耗性の使用時間を長く発揮できる長期耐久性の摩耗防止性を発揮するクリープ防止型転がり軸受になる。
上記したように構成されるこの発明のクリープ防止型転がり軸受は、梯子型溝に嵌めた状態で設けた梯子型の潤滑性ゴム製シールにより、転がり軸受の外輪の外周面または内輪の内周面が周方向に仕切られた区画ごとに粘性(粘液状)潤滑剤を保持することができる。
そのため、ハウジングが流体薄膜を介して転がり軸受を支える状態で使用される場合、例えば転がり軸受がラジアル方向(半径方向)に振動する場合でも、軸受の外輪外周または、内輪内周が円周方向に梯子型の潤滑性ゴム製シールによって仕切られており、区画内での粘性潤滑剤の移動量が少ないので、そのような仕切られた区画内で油膜の厚さが比較的均一になり、クリープ防止性が発揮される。
2筋の周溝に通常のシールとしてOリングを嵌めた状態を想定すると、この発明の実施形態では、たとえOリングの1箇所が破損し、その部分のシールはなくなっても、その区画以外の油膜のスクイーズ効果もあるから、クリープ防止効果は損なわれず、金属接触が起こらず、クリープ現象も起こらない。
また、無端環状の梯子型の潤滑性ゴム製シールは、複数の環状部およびこれらを連結する3以上の棒状連結部を弾性樹脂で一体に成形されたものを採用できる。3以上の棒状連結部を有する無端環状の梯子型の潤滑性ゴム製シールは、転がり軸受の外輪の外周面または内輪の内周面における周方向を3以上に区画して、それぞれに粘性潤滑剤を保持できるので、転がり軸受は3点以上でハウジングに支持されて安定して保持される。
無端環状の梯子型の潤滑性ゴム製シールは、複数の環状部およびこれらを連結する3以上の棒状連結部を潤滑性ゴムで一体に成形されたものを採用することができる。
潤滑性ゴムは、合成ゴム、テトラフルオロエチレン樹脂粉末および熱硬化性樹脂粉末を必須成分とする潤滑性ゴム組成物が好ましく、その組成は、潤滑性ゴムが、合成ゴム100重量部に対して、テトラフルオロエチレン樹脂粉末10〜100重量部および熱硬化性樹脂粉末5〜80重量部を必須成分とする潤滑性ゴム組成物が好ましい。
そして、前記したテトラフルオロエチレン樹脂粉末は、その粒子表面にカーボン材を付着させてなるテトラフルオロエチレン樹脂粉末であることが好ましい。
潤滑性ゴムは、合成ゴム、テトラフルオロエチレン樹脂粉末および熱硬化性樹脂粉末を必須成分とする潤滑性ゴム組成物が好ましく、その組成は、潤滑性ゴムが、合成ゴム100重量部に対して、テトラフルオロエチレン樹脂粉末10〜100重量部および熱硬化性樹脂粉末5〜80重量部を必須成分とする潤滑性ゴム組成物が好ましい。
そして、前記したテトラフルオロエチレン樹脂粉末は、その粒子表面にカーボン材を付着させてなるテトラフルオロエチレン樹脂粉末であることが好ましい。
このようなクリープ防止型転がり軸受は、ハウジングへの隙間嵌めの直前に外輪の外周面または内輪の内周面における周溝および連絡溝で囲まれた面に粘性潤滑剤を塗布した状態にし、次いでハウジングへ組込めばよい。
この発明は、クリープ防止型転がり軸受の外輪の外周面または内輪の内周面に、複数の周溝を形成すると共に、これら周溝同士を3以上の連絡溝で連結した環状の梯子型溝に、潤滑性ゴムからなる無端環状の梯子型潤滑性ゴム製シールを嵌めた状態に設けたので、外輪の外周面または内輪の内周面は周方向に仕切られた部分ごとに粘性(粘液状)潤滑剤を保持することができ、仕切られた区域内での粘性潤滑剤の移動量が少ないので、そのような仕切られた部分内では油膜の厚さが比較的均一になり、クリープ防止性が発揮される利点がある。
すなわち、軸受外輪外周または内輪内周の円周方向の位置によって油膜の厚さが均一に保持され、スクイーズ効果が充分に奏されてクリープ防止性が発揮され、またシールの一部の損傷にも耐えてクリープ防止効果を発揮できるクリープ防止型転がり軸受となる利点がある。
また、合成ゴム中に分散して存在するテトラフルオロエチレン樹脂粉末および熱硬化性樹脂粉末が、固体潤滑剤としての作用を発揮し、耐熱性の用途でも摩耗や損傷を充分に防止できる。
また、合成ゴム中に分散して存在するテトラフルオロエチレン樹脂粉末および熱硬化性樹脂粉末が、固体潤滑剤としての作用を発揮し、耐熱性の用途でも摩耗や損傷を充分に防止できる。
この発明の実施形態を以下に添付図面に基づいて説明する。
図1〜3に示すように、実施形態は、転がり軸受の外輪1の外周面1aに2筋の周溝2を形成すると共に、これら周溝2同士を連絡する6本の連絡溝3を形成し、これら周溝2および連絡溝3からなる環状の梯子型溝に嵌めた状態の潤滑性ゴムからなる無端環状の梯子型潤滑性ゴム製シール4を設けたクリープ防止型転がり軸受である。
なお、図中の符号5は内輪、6は保持器、7は球状の転動体(ボール)、8は非接触シールを示している。
図1〜3に示すように、実施形態は、転がり軸受の外輪1の外周面1aに2筋の周溝2を形成すると共に、これら周溝2同士を連絡する6本の連絡溝3を形成し、これら周溝2および連絡溝3からなる環状の梯子型溝に嵌めた状態の潤滑性ゴムからなる無端環状の梯子型潤滑性ゴム製シール4を設けたクリープ防止型転がり軸受である。
なお、図中の符号5は内輪、6は保持器、7は球状の転動体(ボール)、8は非接触シールを示している。
図1に示すように、潤滑性ゴムからなる無端環状の梯子型潤滑性ゴム製シール4は、2本の環状部4aおよびこれらを等間隔で連結する6本の棒状連結部4bを円柱状の弾性樹脂で一体に成形したものである。
図3に示すように、転がり軸受の外輪の外周面1aにおける周溝2および連絡溝3(図1参照)で囲まれた面には、粘性潤滑剤9を層状に塗布してハウジング12との間に密閉されるように取り付けている。
この発明において転がり軸受の外輪1の外周面1aまたは内輪5の内周面5aに形成する周溝2は、2筋のものを図示したが、3本以上であってもよいが、軸方向にできるだけ広い間隔をとるように軸方向の両端部付近を含めて複数配置することが好ましい。具体例としては、大径の軸受では2〜5筋程度の周溝を形成する場合も想定される。
連絡溝3は、周溝2同士を最短距離で連絡する直線状のものを示したが、曲線または斜線状のものであってもよく、要するに軸受の内輪または外輪を3点以上の区域で粘性潤滑剤の油膜を介して支持できるようにすればよい。
このような周溝2と連絡溝3の溝形状は、円溝などの周知形状の溝で形成され、それらの形状と大きさに合わせて嵌るように、無端環状の梯子型潤滑性ゴム製シール4は、2本以上の環状部4aおよびこれらを連結する3本以上の棒状連結部4bを弾性樹脂で一体に成形する。
すなわち、環状部4aおよび棒状連結部4bの断面形状は、円形のものを示したが、円、楕円、多角形、これらの組合せその他の周知形状であってよい。
すなわち、環状部4aおよび棒状連結部4bの断面形状は、円形のものを示したが、円、楕円、多角形、これらの組合せその他の周知形状であってよい。
このような形態の無端環状の梯子型潤滑性ゴム製シール4を、予め外輪1の外周面1aまたは内輪5の内周面5aに形成した周溝2および連絡溝3に嵌め合わせた状態に設けるには、通常、別途成型した梯子型潤滑性ゴム製シール4を各溝に嵌め入れる。また、各溝を成型用の金型の一部に利用して、溝の開口部に上金型を被せ、この上金型に設けた1箇所または複数箇所のゲートから、溶融流動性を有する未硬化樹脂やゴム材料を注入し、好ましくは射出成型法その他の溶融成型法により梯子型潤滑性ゴム製シール4を設けることもできる。
この発明に用いる梯子型潤滑性ゴム製シール4の成形材料は、潤滑性のあるゴムを採用する。
潤滑性ゴムは、ゴム系の組成物中に潤滑成分を有するゴムであり、具体例として合成ゴム、テトラフルオロエチレン樹脂粉末および熱硬化性樹脂粉末を必須成分とする潤滑性ゴム組成物が挙げられる。
潤滑性ゴムは、ゴム系の組成物中に潤滑成分を有するゴムであり、具体例として合成ゴム、テトラフルオロエチレン樹脂粉末および熱硬化性樹脂粉末を必須成分とする潤滑性ゴム組成物が挙げられる。
合成ゴムは、各種有機合成法にて合成され、加硫によりまたはそれ自身が室温においてゴム状弾性を有するものであれば使用することができる。例えば、加硫可能な合成ゴム、熱可塑性エラストマー、または液状エラストマーを挙げることができる。
なお、これらは単独で使用することが潤滑性ゴム組成物の最適な物性を設計する上で好ましいが、必要に応じて混合物として使用することもできる。
なお、これらは単独で使用することが潤滑性ゴム組成物の最適な物性を設計する上で好ましいが、必要に応じて混合物として使用することもできる。
未加硫合成ゴムあるいは熱可塑性エラストマーの分子量としては、通常5万以上のものが好ましく、高分子量のものが良好な結果を得ることから、より好ましくは7万以上、特に好ましくは10〜50万程度である。
加硫可能な合成ゴムとしては、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、アクリロニトリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム等を例示することができる。加硫可能な合成ゴムは耐圧縮歪性に優れるために、Oリングなどのシール部材に特に好ましい。
熱可塑性エラストマーとしては、熱可塑性ポリウレタン、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、軟質ナイロン系エラストマー等を例示することができる。熱可塑性エラストマーは低価格あるいは成形性に優れる。
液状エラストマーとしては、液状ポリブタジエン、液状ポリウレタン、液状ポリクロロプレン、液状シリコーン等を例示することができる。液状エラストマーは機械的強度に優れる。
摺動性を維持して、耐久性に優れた潤滑性ゴム組成物を得るために、好ましい加硫可能な合成ゴムとしては、アクリロニトリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴムまたはフッ素ゴムを、好ましい熱可塑性エラストマーとしては熱可塑性ポリウレタンを、好ましい液状エラストマーとしては液状ポリブタジエンもしくは液状ポリウレタンまたはこれらの混合物を挙げることができる。
この発明に用いる熱硬化性樹脂粉末は、熱硬化性樹脂または重合後に不溶不融となる樹脂を粉砕した粉末である。例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂などの粉末を挙げることができる。
粉末の平均粒径は50μm以下、好ましくは25μm以下である。下限値は、配合する場合において凝集などを起こさず粉末状態を維持できる平均粒径であればよく、具体的には5μm以上が好ましい。平均粒径がこの範囲であると分散性に優れ、ゴム成形品が優れた摺動性を維持できる。粉末の粒子形状は球状が好ましい。球状であると混練の容易さ、および低摩擦特性が付与できる。
市販されている球状熱硬化性樹脂粉末の例としては、メソカーボンビーズ(大阪ガスケミカル社製)、ベルパール(鐘紡社製)、ユニベックス(ユニチカ社製)、マイクロカーボンビーズ(日本カーボン社製)等を挙げることができる。これらの中でベルパール(鐘紡社製)は分子内にメチロール基と、適度な架橋度とを有し、1〜20μmの平均粒径を有する球状樹脂粉末であるので好ましい。
この発明に係るテトラフルオロエチレン樹脂粉末は、乳化重合、またはけん濁重合にて得られたテトラフルオロエチレン樹脂を平均粒径が50μm以下、好ましくは25μm以下となるように粉砕した粉末である。粒径の下限値は、配合する場合において凝集などを起こさず粉末状態を維持できる平均粒径であればよく、具体的には1μm以上が好ましい。平均粒径がこの範囲であると分散性に優れ、ゴム成形品が優れた摺動性を維持できる。
特に好ましいテトラフルオロエチレン樹脂粉末は、重合後または熱処理後に粉砕し、さらに放射線処理を行なった樹脂粉末が好ましい。放射線処理を行なうことにより、テトラフルオロエチレン樹脂粉末がゴム材との混練時のせん断力で繊維化されることを抑えることができる。最も好ましいテトラフルオロエチレン樹脂粉末は、重合後のテトラフルオロエチレン樹脂を一般的な成形方法を用いて成形し、成形品、あるいはスクラップ品を粉砕し、さらに放射線処理を行ない、数平均分子量を10万、好ましくは5万以下とした樹脂粉末である。このテトラフルオロエチレン樹脂粉末は、ゴム混練時のせん断力に対して繊維化しない。
さらに、上記テトラフルオロエチレン樹脂粉末の表面にカーボン材を付着させることが好ましい。
さらに、上記テトラフルオロエチレン樹脂粉末の表面にカーボン材を付着させることが好ましい。
カーボン材の付着は、テトラフルオロエチレン樹脂粉末にカーボン材を乾式混合にて混合することにより得ることができる。なお、このカーボン材とは一般的な炭素粉から黒鉛までの粉末状のものであり、特に黒鉛が良く、また、ゴム材に汎用的に用いられるストラクチュアの大きいHAFカーボン、SAFカーボン、MTカーボン等との併用も好ましい。
潤滑性ゴム組成物の配合割合は、上記合成ゴム100重量部に対して、上記熱硬化性樹脂粉末が5〜80重量部、上記テトラフルオロエチレン樹脂粉末が10〜100重量部である。
熱硬化性樹脂粉末が5重量部未満であるとゴム成形体に十分な耐摩耗性を付与できず、80重量部を越えるとゴム硬度が高くなりゴム弾性が得られ難くなる。また、機械的強度が極端に低下し潤滑性ゴム材としての実際の使用に耐えられなくなる。
熱硬化性樹脂粉末が5重量部未満であるとゴム成形体に十分な耐摩耗性を付与できず、80重量部を越えるとゴム硬度が高くなりゴム弾性が得られ難くなる。また、機械的強度が極端に低下し潤滑性ゴム材としての実際の使用に耐えられなくなる。
テトラフルオロエチレン樹脂粉末が10重量部未満であるとゴム成形体に十分な摩擦特性を付与できず、100重量部を越えるとゴム硬度が高くなりゴム弾性が得られ難くなる。また、機械的強度が極端に低下し潤滑性ゴム材としての実際の使用に耐えられなくなる。
さらに、上記合成ゴム100重量部に対して、酸化亜鉛を10〜50重量部配合することが好ましい。この範囲の酸化亜鉛を配合することにより、優れた摺動性および耐久性を安定的に維持できる。また、混練性、成形離形性、耐オゾン性、非粘着性などの改質材として、融点が40〜120℃程度のワックス類を配合することが好ましい。
なお、優れた摺動性および耐久性を損なわない範囲で以下の配合剤を配合することができる。例えば、カーボンブラック、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、タルク、マイカ、カオリン、ベントナイト、シラス、ウォラストナイト、炭化ケイ素、ガラス粉末、カーボン粉末、ボロン繊維、アラミド繊維等の補強材または充填材、亜鉛華、脂肪酸等の加硫助剤、グアニジン類、イオウ類、アルデヒド−アミン類、亜鉛塩類等の加硫剤または加硫促進剤、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート等の可塑剤、アミン類、フェノール類等の老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤等を挙げることができる。
以上の各種の原材料を混練する方法は、特に限定するものではなく、通常広く用いられている方法として、例えば主原料となる合成ゴムやエラストマー、その他充填剤を個別に順次または同時にロール混合機、プロペラ混合機、ニーダ混合機、バンバリー混合機、二軸溶融混合機、その他混合機にて混練することができる。また、このとき摩擦による発熱を制御する目的で、温度調整器を混合機に設置することが好ましい。
得られた潤滑性ゴム組成物はプレス成形等により加硫または成形することでゴム成形品とすることができる。また、転がり軸受の外輪に形成された周溝および連絡溝からなる環状の梯子型溝に嵌めた後、または嵌める前に加硫することでゴム状弾性を有する無端環状の梯子型潤滑性ゴム製シールとする。
このようにして得られるクリープ防止型転がり軸受は、ハウジングまたは装置の軸穴に圧入して取り付ける際に、梯子型潤滑性ゴム製シールが軸穴やハウジングとの摩擦を軽減し、転がり軸受の取り付け作業を容易にする。
そして、図3に示すように、クリープ防止型転がり軸受の外輪1の外周面における周溝2の間には、潤滑グリースなどの所要粘性の粘性潤滑剤9を塗布して層状に付着させる。
このような粘性潤滑剤としては、防錆油などの粘性油や潤滑グリース等のように粘度を高めてスクイーズ効果のある厚みで油膜を形成できるように調製したものを採用することが好ましい。なかでも潤滑油に増ちょう剤を添加し、所要の粘度に高めた潤滑グリースは好適なものである。
上記したように構成される実施形態のクリープ防止型転がり軸受は、梯子型溝に嵌めた状態で設けた梯子型の潤滑性ゴム製シールにより、転がり軸受の外輪の外周面または内輪の内周面は周方向に仕切られた部分ごとに粘性(粘液状)潤滑剤を保持することができる。
そのため、ハウジングが流体薄膜を介して転がり軸受を支える状態で使用される場合、例えばラジアル方向(半径方向)に振動していても、軸受外輪外周または内輪内周の円周方向が梯子型の潤滑性ゴム製シールによって仕切られた区域内での粘性潤滑剤の移動量が少ないので、そのような仕切られた部分内では油膜の厚さが比較的均一になり、クリープ防止性が発揮される。
1 外輪
1a 外周面
2 周溝
3 連絡溝
4 梯子型潤滑性ゴム製シール
4a 環状部
4b 棒状連結部
5 内輪
5a 内周面
6 保持器
7 転動体
8 非接触シール
9 粘性潤滑剤
10 軸受外輪
10a 外輪外周面
11、12 ハウジング
11a ハウジング内周面
1a 外周面
2 周溝
3 連絡溝
4 梯子型潤滑性ゴム製シール
4a 環状部
4b 棒状連結部
5 内輪
5a 内周面
6 保持器
7 転動体
8 非接触シール
9 粘性潤滑剤
10 軸受外輪
10a 外輪外周面
11、12 ハウジング
11a ハウジング内周面
Claims (7)
- 転がり軸受の外輪の外周面または内輪の内周面に複数の周溝を形成すると共に、これら周溝同士を連絡する3以上の連絡溝を形成し、これら周溝および連絡溝からなる環状の梯子型溝に嵌められた無端環状の梯子型潤滑性ゴム製シールを設けてなるクリープ防止型転がり軸受。
- 無端環状の梯子型潤滑性ゴム製シールが、複数の環状部およびこれらを連結する3以上の棒状連結部を一体に成形されたものである請求項1に記載のクリープ防止型転がり軸受。
- 転がり軸受の外輪の外周面または内輪の内周面における周溝および連絡溝で囲まれた面に粘性潤滑剤を塗布してなる請求項1または2に記載のクリープ防止型転がり軸受。
- 粘性潤滑剤が、防錆油または潤滑グリースである請求項3に記載のクリープ防止型転がり軸受。
- 潤滑性ゴムが、合成ゴム、テトラフルオロエチレン樹脂粉末および熱硬化性樹脂粉末を必須成分とする潤滑性ゴム組成物である請求項1に記載のクリープ防止型転がり軸受。
- 潤滑性ゴムが、合成ゴム100重量部に対して、テトラフルオロエチレン樹脂粉末10〜100重量部および熱硬化性樹脂粉末5〜80重量部を必須成分とする潤滑性ゴム組成物である請求項1に記載のクリープ防止型転がり軸受。
- テトラフルオロエチレン樹脂粉末が、その粒子表面にカーボン材を付着させてなるテトラフルオロエチレン樹脂粉末である請求項6に記載のクリープ防止型転がり軸受。
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JP2007336059A JP2009156362A (ja) | 2007-12-27 | 2007-12-27 | クリープ防止型転がり軸受 |
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Publication Number | Publication Date |
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ID=40960603
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---|---|---|---|
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JP (1) | JP2009156362A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011047425A (ja) * | 2009-08-25 | 2011-03-10 | Isuzu Motors Ltd | クランクシャフト用ローラーベアリング |
JP2013007454A (ja) * | 2011-06-24 | 2013-01-10 | Nsk Ltd | 転がり軸受 |
-
2007
- 2007-12-27 JP JP2007336059A patent/JP2009156362A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011047425A (ja) * | 2009-08-25 | 2011-03-10 | Isuzu Motors Ltd | クランクシャフト用ローラーベアリング |
JP2013007454A (ja) * | 2011-06-24 | 2013-01-10 | Nsk Ltd | 転がり軸受 |
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