JP3861646B2 - ワイパーブレードゴム - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のウインドシールドガラスを払拭するワイパー装置に用いて好適の、ワイパーブレードゴムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車のウインドシールドガラスを撥水処理することによって、降雨時にワイパーを用いずに走行できるようにする技術が普及している。
ところが、このような技術を用いると、ゴムと撥水ガラスとの間に水膜の介在が少なくなるため、従来のワイパーブレードゴムでは、ワイパーにビビリ振動が生じることがある。このビビリ振動により、ワイパーブレードゴムからウインドシールドガラスに不均一な力が加わって、ウインドシールドガラスに部分的に大きな力が加わることになるため、ワイパーブレードゴムによってウインドシールドガラス上の撥水膜が削れて撥水膜の寿命が短くなってしまうという課題があった。
【0003】
そこで、例えば、特開平10−95314号公報に開示されているように、ワイパーブレード本体のゴム基材を従来同様にゴム弾性体より構成し、このワイパーブレード本体の両側面に、分子内に反応性基を有するフッ素系樹脂と、反応性基と反応性を有する硬化剤と、四フッ化エチレン樹脂や有機ケイ素系弾性体や固体潤滑材(グラファイトなど)とを含む表面被覆層を設けることによって、摺動抵抗の低下を図り、どのようなガラス表面に対してもビビリ振動がなく拭き取り性能に優れていると共に、その性能を長期間維持できるようにする技術が開発されている(以上、第1従来技術)。
【0004】
また、特開2001−55119号公報に開示されているように、ワイパーブレード本体のゴム基材をシリコーン系ゴムにより構成し、ゴム基材の払拭部にシリコーン系ゴムと固体潤滑剤(グラファイトなど)を含む厚さ5〜30μmほどの層を形成して、ワイパーブレードゴムのゴム基材及び表面処理変更による摺動抵抗の低下を図り、撥水皮膜による撥水効果を長期間維持できるようにする技術も開発されている(以上、第2従来技術)。
【0005】
また、特開平10−1640号公報には、ワイパーブレードゴムに樹脂,シリコーンパウダー,固体潤滑剤,有機溶剤からなる塗料組成物を塗布することで、ワイパーブレードゴムの摺動性を向上させるとともにワイパーブレードゴムの耐久性を向上させようとする技術が開示されている(以上、第3従来技術)。
また、特開平10−35419号公報には、ワイパーブレードゴムのワイパーリップのウィンドウガラスと接触する部分を、炭化水素構造を有するジエンベースの天然ゴム及び/又は合成エラストマから構成する技術が開示されている(以上、第4従来技術)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、撥水処理を行ったガラス(撥水ガラス)は、撥水層に有機物を使用するため耐久性が悪く、いかに摺動抵抗を低下させたワイパーゴムを使用しても、耐候性などの影響で撥水層が劣化して剥離してしまうため撥水層の寿命は短くなってしまい、撥水効果を長期間にわたって維持するのは困難である。
【0007】
第4従来技術のように、ワイパーリップのウィンドウガラスと接触する部分に合成エラストマを用いれば、低温時に天然ゴムよりも硬化しにくく柔軟であるため、撥水ガラスの表面に過剰な力が加わるのを抑制でき、その分、撥水層が劣化を抑制できるものの、撥水層の寿命を十分に延ばせるものではない。
一方、第1〜3従来技術に用いられている固体潤滑剤は、ワイパーブレードゴムの磨耗を軽減できるため、固体潤滑剤を含有させることは、ワイパーブレードゴムの寿命を延ばす上で有効である。
【0008】
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、窓ガラスの撥水層の寿命を延ばして長期間にわたって撥水効果を維持することができるようにするとともにワイパーブレードゴムの寿命をも延ばすことができるようにした、ワイパーブレードゴムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の本発明のワイパーブレードゴムは、撥水ガラスを用いた窓ガラスの表面を払拭するリップ部を有するワイパーブレードゴムであって、少なくとも該リップ部の払拭部分が、ゴム弾性体,シリコーン系ゴムの何れかからなる第1材料と、フッ化シリコーン系ゴム,熱可塑性エラストマの何れか又はこれらの混合物からなる第2材料とで構成される基材層と、シリコーン系ゴム,フッ化シリコーン系ゴムの何れか又はこれらの混合物で構成される表層と、上記基材層と上記表層との間に設けられ、シリコーン系ゴム,フッ化シリコーン系ゴムの何れか又はこれらの混合物と固体潤滑材とで構成される中間層と、を有するように構成される。
【0010】
これによって、本ワイパーブレードゴムを使用していくと、使用の初期には、表層が撥水ガラスを用いた窓ガラスの表面に摺接しながら雨滴を払拭する。この表層は、シリコーン系ゴム,フッ化シリコーン系ゴムの何れか又はこれらの混合物で構成されるので、これに含まれるシリコーン及び/又はフッ化シリコーンが撥水ガラスの撥水層を修復する。
【0011】
そして、表層が磨耗して中間層が窓ガラスの表面に摺接するようになると、中間層に含まれる固体潤滑材がワイパーブレードゴムと窓ガラスとの間に介在し、この固体潤滑材が、撥水ガラスの撥水層を修復する上では妨げになるが、ワイパーブレードゴムを窓ガラスに対して円滑に摺動させるようにするため、ワイパーブレードゴムの磨耗を軽減し寿命を延ばす。
【0012】
さらに、中間層が磨耗して基材層が窓ガラスの表面に摺接するようになると、基材層の第1材料に含まれるシリコーン及び/又はフッ化シリコーンが撥水ガラスの撥水層を修復する。
また、熱可塑性エラストマは低温時に天然ゴムよりも硬化しにくく柔軟であるため、基材層の第2材料に熱可塑性エラストマが含まれていれば、撥水ガラスの表面に過剰な力が加わるのを抑制でき、撥水層の劣化を抑制できる。
特に、フッ化シリコーン中のフッ素は、撥水層の修復効果が高く耐磨耗性も高いので、ワイパーブレードゴムの寿命が延び、撥水層の修復も十分に行なわれ、より有効である。
【0013】
請求項2記載の本発明のワイパーブレードゴムは、撥水ガラスを用いた窓ガラスの表面を払拭するリップ部を有するワイパーブレードゴムであって、少なくとも該リップ部の払拭部分が、ゴム弾性体,熱可塑性エラストマ,シリコーン系ゴム,フッ化シリコーン系ゴムのうち少なくともシリコーン系ゴム,フッ化シリコーン系ゴムの何れかのゴム又は該何れかのゴムを含む混合物からなり固体潤滑材を含有しない第1層と、ゴム弾性体,熱可塑性エラストマ,シリコーン系ゴム,フッ化シリコーン系ゴムのうち少なくとも何れか又は該何れかを含む混合物からなり固体潤滑材を含有する第2層とが、交互に積層されてなる層状に形成されている。
【0014】
第1層と第2層とでは、第1層が固体潤滑材を含有しないが第2層が固体潤滑材を含有している点で異なっている。固体潤滑材が含有されると、この固体潤滑材がワイパーブレードゴムと窓ガラスとの間に介在し、ワイパーブレードゴムを窓ガラスに対して円滑に摺動させるようにするため、ワイパーブレードゴムの磨耗を軽減し寿命を延ばすが、この反面、ワイパーブレードゴムの材料に、撥水ガラスの撥水層を修復する成分が含まれている場合、ワイパーブレードゴムの磨耗軽減分だけ撥水層を修復する成分の撥水ガラスへの供給が減少し、撥水層修復効果は低下する。
【0015】
したがって、第1層が窓ガラスの表面に摺接すると、第1層には固体潤滑材が含まれないので、シリコーン系ゴム,フッ化シリコーン系ゴムの何れかのゴムが撥水ガラスの撥水層を効率よく修復する。一方、第2層が窓ガラスの表面に摺接すると、第2層には固体潤滑材が含まれているので、この固体潤滑材がワイパーブレードゴムと窓ガラスとの間に介在し、ワイパーブレードゴムを窓ガラスに対して円滑に摺動させるようにするため、ワイパーブレードゴムの磨耗を軽減し寿命を延ばす。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
まず、第1実施形態について説明すると、図1〜図3は本発明の第1実施形態としてのワイパーブレードゴムを説明するもので、図1(a)はその横断面図、図1(b)はそのリップ部表面付近の断面図、図2はワイパーブレードゴムの払拭対象である撥水ガラスを示す断面図である。
【0017】
まず、ワイパーブレードゴムの払拭対象である撥水ガラスを説明すると、図2に示すように、撥水ガラス20はガラス21の表面に、ガラス21側からシリカ層22,シリコーン層23,フッ素層24がこの順に被覆されている。シリカ層22にはシリカSiO2が含有され、シリコーン層23にはシリコーン類SiOXが含有され、フッ素層24にはCF2基又はCF3基からなるテフロン等が含有されている。
【0018】
そして、撥水は主としてフッ素層24のテフロン等によって行われ、シリカ層22,シリコーン層23は、主として、ガラス21とフッ素層24とを接合するための接合剤として機能する。つまり、ガラス21とフッ素層24とを直接接合させようとしても接合力が弱いため、ガラス21とシリコーン層23との接合性の高いシリカ層22と、シリカ層22とフッ素層24との接合性の高いシリコーン層23を、ガラス21とフッ素層24との間に介在させているのである。また、シリコーン類SiOXも撥水性をそなえている。
【0019】
したがって、撥水ガラス20の表面が磨耗すると、まず、フッ素層24が減っていき、このフッ素層24が欠落するとその部分の撥水性が大きく低下する。この場合、撥水ガラス20の表面から、フッ素層24を構成するテフロン等を供給すれば、欠落したフッ素層24を修復することができる。
また、フッ素層24が欠落した上に、さらにフッ素層24の下層のシリコーン層23が欠落した場合には、シリコーン層23を構成するシリコーン類SiOXを供給すれば、欠落したシリコーン層23を復元することができる。
【0020】
一方、本ワイパーブレードゴム1は、図1(a)の横断面図に示すように、図示しないワイパーブレード本体に係止される基部5と、この基部5からネック部3を介して突設されたリップ部2とをそなえており、リップ部2のエッジ部4近傍で、窓ガラスの表面を払拭するようになっている。
本ワイパーブレードゴム1のリップ部2は、ゴム弾性体及びシリコーン系ゴム(第1材料)をベースとしてこれにフッ化シリコーン系ゴムと熱可塑性エラストマとの混合物(第2材料)とを含有されてなるゴム基体(基材層)11と、このゴム基体11の表面に被覆される被覆層12とからなっている。
【0021】
また、被覆層12は、表層12aと中間層12bとからなり、最も外側に表層12aが装備され、表層12aとゴム基体11との間に中間層12bが装備されている。
そして、表層12aは、シリコーン系ゴムとフッ化シリコーン系ゴムとの混合物で構成され、中間層12bはシリコーン系ゴムとフッ化シリコーン系ゴムとの混合物と固体潤滑材とから構成されている。
【0022】
本発明の第1実施形態としてのワイパーブレードゴムは、上述のように構成されているので、本ワイパーブレードゴム1のリップ部2が、窓ガラス(撥水ガラス)20の表面を払拭すると、まずは、表層12aが窓ガラスの表面に摺接しながら窓ガラスの表面を払拭する。
ここで、窓ガラスである撥水ガラス20の表面が磨耗して、例えば図3(a)に示すように、フッ素層24やシリコーン層23が減っている場合、表層12aに含まれたシリコーン系ゴムのシリコーンやフッ化シリコーン系ゴムのフッ化シリコーン26が、図3(b)に示すように撥水ガラス20の表面のフッ素層24やシリコーン層23の欠落部25に転移し、図3(c)に示すようにフッ素層24やシリコーン層23を修復する。符号26は修復部を示す。
【0023】
また、表層12aが磨耗して中間層12bが現れると、中間層12bには、シリコーン系ゴムとフッ化シリコーン系ゴムの他に固体潤滑材が含有されるので、固体潤滑材がワイパーブレードゴム1と撥水ガラス20との間に介在してワイパーブレードゴム1を撥水ガラス20に対して滑らかに摺接する。このため、中間層12b内のシリコーン系ゴムのシリコーンやフッ化シリコーン系ゴムのフッ化シリコーンが撥水ガラス20の表面に転移しにくくなるため、フッ素層24やシリコーン層23の修復効果は低下するものの、中間層12bの磨耗が抑制され、ワイパーブレードゴム1の寿命が向上する。
【0024】
さらに、中間層12bが磨耗してゴム基体11が現れると、ゴム基体11には、シリコーン系ゴムとフッ化シリコーン系ゴムとが含有されるため、シリコーン系ゴムのシリコーンやフッ化シリコーン系ゴムのフッ化シリコーンが、撥水ガラス20の表面のフッ素層24やシリコーン層23の欠落部に転移し、フッ素層24やシリコーン層23を修復する。
【0025】
このように、本ワイパーブレードゴムによれば、主として表層12a及びゴム基体11によって、シリコーン系ゴムのシリコーンやフッ化シリコーン系ゴムのフッ化シリコーンを、撥水ガラス20の表面のフッ素層24やシリコーン層23の欠落部に転移させながら、フッ素層24やシリコーン層23を修復することができ、撥水ガラスの撥水性の寿命を大きく向上させることができると共に、中間層12bの固体潤滑材による磨耗低減効果によって、ワイパーブレードゴム1の寿命を向上させることができるのである。
【0026】
また、ゴム基体11を構成する熱可塑性エラストマは低温時に天然ゴムよりも硬化しにくく柔軟であるため、撥水ガラスの表面に過剰な力が加わるのを抑制でき、撥水層の劣化を抑制でき、この点からも撥水ガラスの撥水性をより長期間にわたって確保することができる。
【0027】
次に、第2実施形態について説明すると、図4は本発明の第2実施形態としてのワイパーブレードゴムのリップ部表面付近の断面図である。
本ワイパーブレードゴム1のリップ部2は、第1実施形態と同様にゴム基体11に被覆層12´が被覆されるが、本被覆層12´は、熱可塑性エラストマ,シリコーン系ゴム,フッ化シリコーン系ゴムの混合物であって固体潤滑材を含有しない第1層12cと、熱可塑性エラストマ,シリコーン系ゴム,フッ化シリコーン系ゴムの混合物に固体潤滑材を含有する第2層12dとが、交互に積層されてなる層状に形成されている。
【0028】
本発明の第2実施形態としてのワイパーブレードゴムは、上述のように構成されているので、本ワイパーブレードゴム1のリップ部2が、窓ガラス(撥水ガラス)20の表面を払拭して、第1層12cが窓ガラスの表面に摺接しながら窓ガラスの表面を払拭すると、フッ素層24やシリコーン層23を修復し、第2層12dが窓ガラスの表面に摺接しながら窓ガラスの表面を払拭すると、ワイパーブレードゴム1の寿命を向上させる。
【0029】
つまり、窓ガラスである撥水ガラス20の表面が磨耗して、フッ素層24やシリコーン層23が減っている場合に、第1層12cが窓ガラスの表面を払拭すると、第1層12cに含まれたシリコーン系ゴムのシリコーンやフッ化シリコーン系ゴムのフッ化シリコーンが、撥水ガラス20の表面のフッ素層24やシリコーン層23の欠落部25に転移し、フッ素層24やシリコーン層23を修復する。
【0030】
また、第2層12dが窓ガラスの表面を払拭すると、第2層12dには、シリコーン系ゴムとフッ化シリコーン系ゴムの他に固体潤滑材が含有されるので、固体潤滑材がワイパーブレードゴム1と撥水ガラス20との間に介在してワイパーブレードゴム1を撥水ガラス20に対して滑らかに摺接する。このため、中間層12b内のシリコーン系ゴムのシリコーンやフッ化シリコーン系ゴムのフッ化シリコーンが撥水ガラス20の表面に転移しにくくなって、フッ素層24やシリコーン層23の修復効果は低下するものの、第2層12dの磨耗が抑制され、ワイパーブレードゴム1の寿命が向上する。
【0031】
さらに、ゴム基体11が現れると、第1実施形態と同様に、ゴム基体11には、シリコーン系ゴムとフッ化シリコーン系ゴムとが含有されるため、シリコーン系ゴムのシリコーンやフッ化シリコーン系ゴムのフッ化シリコーンが、撥水ガラス20の表面のフッ素層24やシリコーン層23の欠落部に転移し、フッ素層24やシリコーン層23を修復する。
【0032】
このように、本ワイパーブレードゴムによれば、主として第1層12c及びゴム基体11によって、シリコーン系ゴムのシリコーンやフッ化シリコン系ゴムのフッ化シリコーンを、撥水ガラス20の表面のフッ素層24やシリコーン層23の欠落部に転移させながら、フッ素層24やシリコーン層23を修復することができ、撥水ガラスの撥水性の寿命を大きく向上させることができると共に、第2層12dの固体潤滑材による磨耗低減効果によって、ワイパーブレードゴム1の寿命を向上させることができる。
【0033】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、上記第1実施形態では、ゴム基体(基材層)11を、第1材料をゴム弾性体及びシリコーン系ゴムの両方としているが、第1材料をゴム弾性体及びシリコーン系ゴムの一方のみとしてもよく、また、第2材料をフッ化シリコーン系ゴムと熱可塑性エラストマとの混合物としているが、第2材料をフッ化シリコーン系ゴムと熱可塑性エラストマとの何れか一方のみとしてもよい。
【0034】
また、上記第2実施形態の構成に関し、第1層及び第2層は第2実施形態のものに限定されない。
つまり、第1層は、ゴム弾性体,熱可塑性エラストマ,シリコーン系ゴム,フッ化シリコーン系ゴムのうち少なくともシリコーン系ゴム,フッ化シリコーン系ゴムの何れかのゴムを含み且つ固体潤滑材を含有しなければよく、第2層は、ゴム弾性体,熱可塑性エラストマ,シリコーン系ゴム,フッ化シリコーン系ゴムのうち少なくとも何れかのゴムを含むと共に固体潤滑材が含有されていればよい。
【0035】
また、ゴム基体11は、単なるゴム弾性体(天然ゴムを含む)であってもかまわない。
つまり、ワイパーブレードゴムにシリコーン系ゴムを含有させれば、シリコーン系ゴムのシリコーンを、撥水ガラス20の表面のシリコーン層23の欠落部に転移させてシリコーン層23を修復することができ、ワイパーブレードゴムにフッ化シリコーン系を含有させれば、フッ化シリコーン系ゴムのフッ化シリコーンを、撥水ガラス20の表面のフッ素層24の欠落部に転移させてフッ素層24を修復することができ、ワイパーブレードゴムに熱可塑性エラストマを含有させれば、硬化しにくく柔軟になるため、撥水ガラス20の表面に過剰な力が加わるのを抑制でき、撥水層の劣化を抑制でき、要求に応じて適宜の材料を適宜の割合で含有させればよい。
【0036】
さらに、各実施形態の層構成は、少なくともワイパーブレードゴムにおける撥水ガラス20の表面に接触する部分に設けられればよく、リップ部2全域に設ける必要はない。
【0037】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の本発明のワイパーブレードゴムによれば、本ワイパーブレードゴムの使用の初期には、表層が撥水ガラスを用いた窓ガラスの表面に摺接しながら雨滴を払拭して、表層に含まれるシリコーン及び/又はフッ化シリコーンが撥水ガラスの撥水層を修復する。表層が磨耗して中間層が窓ガラスの表面に摺接するようになると、中間層に含まれる固体潤滑材がワイパーブレードゴムと窓ガラスとの間に介在し、この固体潤滑材が、ワイパーブレードゴムを窓ガラスに対して円滑に摺動させるようにするため、ワイパーブレードゴムの磨耗を軽減し寿命を延ばす。さらに、中間層が磨耗して基材層が窓ガラスの表面に摺接するようになると、基材層の第1材料に含まれるシリコーン及び/又はフッ化シリコーンが撥水ガラスの撥水層を修復する。
【0038】
これによって、ワイパーブレードゴムの磨耗を軽減し寿命を延ばしながら、撥水ガラスの撥水層の修復を行い撥水ガラスの撥水性を長期間にわたって確保することができるようになる。
また、熱可塑性エラストマは低温時に天然ゴムよりも硬化しにくく柔軟であるため、基材層の第2材料に熱可塑性エラストマが含まれていれば、撥水ガラスの表面に過剰な力が加わるのを抑制でき、撥水層の劣化を抑制でき、撥水ガラスの撥水性をより長期間にわたって確保することができるようになる。
また、フッ化シリコーン中のフッ素は、撥水層の修復効果が高く耐磨耗性も高いので、ワイパーブレードゴムの寿命が延び、撥水層の修復も十分に行なわれ、ワイパーブレードゴムの寿命向上と、撥水ガラスの撥水性確保により有効である。
【0039】
請求項2記載の本発明のワイパーブレードゴムによれば、第1層が窓ガラスの表面に摺接すると、第1層には固体潤滑材が含まれないので、シリコーン系ゴム,フッ化シリコーン系ゴムの何れかのゴムが撥水ガラスの撥水層を効率よく修復し、第2層が窓ガラスの表面に摺接すると、第2層には固体潤滑材が含まれているので、この固体潤滑材がワイパーブレードゴムと窓ガラスとの間に介在し、ワイパーブレードゴムを窓ガラスに対して円滑に摺動させ、ワイパーブレードゴムの磨耗を軽減し寿命を延ばす。ワイパーブレードゴムの磨耗に応じてこのような作用を繰り返しながら、窓ガラスの雨滴を払拭するので、ワイパーブレードゴムの寿命延長と、撥水ガラスの撥水性確保とを行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のワイパーブレードゴムを示すもので、(a)はその模式的横断面図、(b)はそのリップ部表面付近の模式的断面図である。
【図2】本発明の各実施形態のワイパーブレードゴムの払拭対象である撥水ガラスを示す模式的断面図である。
【図3】本発明の各実施形態のワイパーブレードゴムの作用を、(a)〜(c)の順に説明する撥水ガラスの模式的断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態のワイパーブレードゴムを示すリップ部表面付近の模式的断面図である。
【符号の説明】
1 ワイパーブレードゴム
2 リップ部
3 ネック部
4 エッジ部
5 基部
11 ゴム基体(基材層)
12 被覆層
12a 表層
12b 中間層
12c 第1層
12d 第2層
20 撥水ガラス
21 ガラス
22 シリカ層
23 シリコーン層
24 フッ素層
25 欠損部
26 修復部

Claims (2)

  1. 撥水ガラスを用いた窓ガラスの表面を払拭するリップ部を有するワイパーブレードゴムであって、
    少なくとも該リップ部の払拭部分が、
    ゴム弾性体,シリコーン系ゴムの何れかからなる第1材料と、フッ化シリコーン系ゴム,熱可塑性エラストマの何れか又はこれらの混合物からなる第2材料とで構成される基材層と、
    シリコーン系ゴム,フッ化シリコーン系ゴムの何れか又はこれらの混合物で構成される表層と、
    上記基材層と上記表層との間に設けられて、シリコーン系ゴム,フッ化シリコーン系ゴムの何れか又はこれらの混合物と固体潤滑材とで構成される中間層と、を有することを特徴とする、ワイパーブレードゴム。
  2. 撥水ガラスを用いた窓ガラスの表面を払拭するリップ部を有するワイパーブレードゴムであって、
    少なくとも該リップ部の払拭部分が、
    ゴム弾性体,熱可塑性エラストマ,シリコーン系ゴム,フッ化シリコーン系ゴムのうち少なくともシリコーン系ゴム,フッ化シリコーン系ゴムの何れかのゴム又は該何れかのゴムを含む混合物からなり固体潤滑材を含有しない第1層と、
    ゴム弾性体,熱可塑性エラストマ,シリコーン系ゴム,フッ化シリコーン系ゴムのうち少なくとも何れか又は該何れかを含む混合物からなり固体潤滑材を含有する第2層とが、
    交互に積層されてなる層状に形成されている
    ことを特徴とする、ワイパーブレードゴム。
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