JP6943823B2 - ワイパー - Google Patents

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Description

本発明は、対象物の摺動部材の表面(被清掃面)の金属屑等を除去するためのワイパーに関する。
従来から、工作機械等対象物の摺動部材間における、金属屑やゴミ等の異物の噛み込みを防止するために、摺動部材の表面(被清掃面)に付着した異物を拭き取るワイパーが知られている。この種のワイパーは、通常、基端側(被清掃面とは反対側)の取付部に補強用の金属板からなるフレームが埋設されて一体化されており、このフレームを介して工作機械に取り付けられる。ワイパーの作動時には、取付部以外の全体が屈曲しつつ、先端側の摺動部が、対象物の摺動部材の表面(被清掃面)に沿って摺動することができるように、ワイパーは、フレーム以外の部分が、ゴムや合成樹脂等の弾性体で一体に形成されている。
特許文献1に開示されているワイパーは、摺動部を被清掃面に沿って摺動させるのに必要な適度の屈曲性を備えるとともに、摺動部表面の摩耗が進行しても摩擦係数が低下した状態が維持されるように、摺動部内において繊維材料を含む摩擦低減材が所定方向に配向しつつ摺動部全体に分散されて配合されている。一方で、このワイパーは、摩擦低減材が配合されておらず被清掃面に接触しない本体部(特に屈曲部)が摺動部の摺動時に適度に屈曲して、摺動部が被清掃面に沿って移動するとともに被清掃面に対して適度な面圧をもって(即ち、被清掃面との間に隙間を生じさせず被清掃面への密着性を確保しながら)接触するように構成されることによって、被清掃面に付着した異物を確実に拭き取ることができるようにしている(特許文献1図1参照)。
この種のワイパーの取付部は、補強用の金属板からなるフレームと、このフレームの後面に対向接触し屈曲部と一体形成された背部(取付部における弾性体部分)とから構成されている。また、取付部には、孔部(特許文献1には不図示)が幅方向略等分に複数形成されており、ボルト(特許文献1には不図示)が孔部にフレームの前面側(露出面側)(特許文献1図1の左側)から挿通されて、ワイパー(取付部)を工作機械等対象物の被取付面に安定して固定できるようにしている。
特許第5531270号公報
しかしながら、この種のワイパー(取付部)が工作機械に取り付けられる際のボルトの締め付けトルクは、ワイパーの作動時にワイパーが被清掃面からの反力や振動等を繰り返し受けても、ボルトが緩まず、ワイパーが工作機械の被取付面に不動に固定されることを必須(最優先)とするため、現実的には、ワイパー(取付部)を工作機械に固定するために必要十分な基準トルク(例えば2N・m)よりも過大なトルク(例えば、基準トルクの数倍の5〜6N・m)でボルトを締め付けてしまう傾向にある。
この際、基準トルクよりも過大なトルクでボルトを締め付けてしまうと、特許文献1の図1に示すワイパー(以下、「従来のワイパー」ともいう)では、ワイパーの摺動部が被清掃面に所定量(例えば、3mm程度)押し付けられている状態であっても、摺動部(端的には、被清掃面側の先端に位置する接触部)と被清掃面との間に隙間が生じてしまい、摺動部と被清掃面との密着性が確保されず、摺動部が被清掃面に沿って移動する際に被清掃面に対して適度な面圧をもって被清掃面に付着した異物を確実に拭き取ることができなくなってしまうことがあった。尚、この「過大なトルクでボルトを締め付けた場合、摺動部と被清掃面との密着性を確保することができなくなる。」という不具合現象は、特許文献1等で公知では無かった。
本願の発明者は、上記不具合現象について詳細に観察した結果、特には、フレームの厚み(T1)が薄いほど、また、背部の厚み(T2)と取付部の厚み(T)との比率(T2/Tの百分率)が大きいほど(換言すれば、フレームの厚み(T1)と取付部の厚み(T)との比率(T1/Tの百分率)が小さいほど)、基準トルクよりも過大なトルクでボルトを締め付けてしまうと、摺動部と被清掃面との間に隙間が生じてしまい、摺動部と被清掃面との密着性を確保することができなくなることを見出した。
本発明の目的は、ワイパーの取付部が対象物の被取付面に取り付けられる際に、ボルトの締付トルクが過大であっても、摺動部と被清掃面との密着性を確保することができる、ワイパーを提供することである。
本発明の一つは、対象物の被清掃面に対して摺動することにより、前記被清掃面を拭き取るワイパーであって、
被取付面に取り付けられる取付部と、
該取付部から、前記被清掃面の直交方向に対して傾斜した方向に延びる屈曲部と、
前記取付部及び前記屈曲部と一体化されるとともに前記被清掃面に接触可能な摺動部と、を備え、
前記取付部は、ボルトが挿通される孔部が形成された、フレーム及び背部を有し、
前記フレームは、金属板からなり、
前記背部は、前記孔部の周囲を含め、前記フレームに対向接触し、前記屈曲部と一体形成されており、
前記背部は、JIS−A硬さで70°以上の弾性体で形成されており、
前記フレームは、ロックウェル硬さHRBが65以上又はビッカース硬さHVが115以上の鋼板で形成されており、
更に、前記フレームの厚みが2.3mm以上2.5mm以下であり、前記取付部の厚みに対する前記背部の厚みの比率が33%未満になるように構成されていることを特徴としている。
上記構成によれば、フレームに形成された孔部と背部に形成された孔部とに挿通されるボルトを介して、ワイパーの取付部を工作機械等の被取付面に取り付ける際に、ボルトの締付トルクが過大であっても、フレームの変形を抑制しつつ、弾性体で形成された背部の圧縮変形を抑制することができる。これにより、背部の圧縮変形に伴って生じる、摺動部と被清掃面との隙間の発生を抑制し、摺動部と被清掃面との密着性を確保することができる。
また、本発明の一つは、前記ワイパーにおいて、前記屈曲部が、JIS−A硬さで70°〜85°の弾性体で形成されていることを特徴としている。
上記構成によれば、取付部と摺動部とを連結する屈曲部に剛性と屈曲性とをバランスよく備えさせて、摺動部が被清掃面に沿って移動する際に被清掃面に対して適度な面圧をもって被清掃面に付着した異物を確実に拭き取ることができるといった、ワイパーの拭き取り性能の確保をより確実なものとすることができる。
また、本発明の一つは、前記ワイパーにおいて、前記背部及び前記屈曲部は、硬さが同一の弾性体で形成されていることを特徴としている。
上記構成によれば、背部及び屈曲部を同一配合の組成物からなる弾性体で形成させることができるので、より経済的にワイパーを製造することができる。
また、本発明の一つは、前記ワイパーにおいて、前記フレームが、ロックウェル硬さHRBが85以上又はビッカース硬さHVが170以上の鋼板で形成されていることを特徴としている。
上記構成によれば、フレームに、比較的硬質なロックウェル硬さHRBが85以上又はビッカース硬さHVが170以上の金属板(例えば硬質に調質された冷間圧延鋼板)を使用した場合、フレームに、比較的硬質ではないロックウェル硬さHRBが65以上85未満又はビッカース硬さHVが115以上170未満の鋼板を使用した場合に比べて、フレームの曲げ剛性を高めることができるので、ボルトの締付トルクが過大であったとしても、フレーム変形をより抑制し、摺動部と被清掃面との密着性の確保に係る安全率をより高めることができる。
ワイパーの取付部が対象物の被取付面に取り付けられる際に、ボルトの締付トルクが過大であっても、摺動部と被清掃面との密着性を確保することができる、ワイパーを提供することができる。
(A)本実施形態に係るワイパー単体の正面図である。(B)本実施形態に係るワイパーが被清掃面に押し付けられた状態の正面図である。 本実施形態に係るワイパーの側面図である。 本実施形態に係るワイパーが被清掃面に押し付けられた状態の正面斜視図である(ボルト不図示)。 (A)比較例1(従来のワイパー)に係るワイパー単体の正面図である。(B)比較例1に係るワイパーが被清掃面に押し付けられた状態の正面図である。 比較例1に係るワイパーの側面図である。 比較例1に係るワイパーが被清掃面に押し付けられた状態の正面斜視図である(ボルト不図示)。 比較例1に係るワイパーの取付部のボルト締付前後の変形を説明した図である。 比較例1に係るワイパーのA−A線図及びB−B線図である。 比較例2に係るワイパーのA−A線図である。 実施例1(実施例、比較例3)に係るワイパーのA−A線図及びB−B線図である。 実施例2に係るワイパーのA−A線図及び参考例1に係るA−A線図である。 実施例に係る摺動抵抗測定試験の説明図である。 実施例に係る破断荷重測定試験の説明図である。
(実施形態)
次に、本発明の実施形態について説明する。本実施形態は、工作機械における機械加工時に生じる金属屑等の異物を除去する、工作機械用のワイパー1に本発明を適用した一例である。
ワイパー1は、図1(B)に示すように、工作機械(図示省略)を構成する金属部品の表面(被清掃面10)に対してその先端部の摺動部4が摺動することにより、被清掃面10に付着した異物を拭き取るものである。
図1〜図3に示すように、ワイパー1は、工作機械の被取付面11に取り付けられる取付部2と、取付部2から、被清掃面10の直交方向に対して傾斜した方向に延びる屈曲部3と、取付部2及び屈曲部3と一体化されるとともに被清掃面10に接触可能な摺動部4とを備えている。そして、このワイパー1は、図1(B)に示すように、摺動部4が被清掃面10に押し付けられて、摺動部4が被清掃面10に接触した状態で、被清掃面10に沿って移動することにより、被清掃面10に付着した異物を拭き取るように構成されている。
取付部2は、屈曲部3と一体形成された背部6と、金属板からなるフレーム5とを有し、図2に示すように、フレーム5が背部6に対向接触するように接合されている。また、フレーム5及び背部6にはそれぞれ、ボルト12が挿通される孔部7が形成されている。
フレーム5は、例えば冷間圧延鋼板等の帯状金属板で形成され、背部6に埋設して一体化(具体的には、接着剤により接合)されることにより、背部6を補強する芯材の役割を果たす。また、フレーム5は、ロックウェル硬さHRBが65以上又はビッカース硬さHVが115以上の鋼板で形成されている。
なお、フレーム5は、ロックウェル硬さHRBが85以上又はビッカース硬さHVが170以上の鋼板で形成されていることが好ましい。例えば、JIS G 3141:2005に規定する硬質(調質記号:1)に調質された硬質な冷間圧延鋼板(SPCC)で形成されていることが好ましい。
このように、フレーム5に、比較的硬質なロックウェル硬さHRBが85以上又はビッカース硬さHVが170以上の金属板を使用した場合、フレーム5に、比較的硬質ではないロックウェル硬さHRBが65以上85未満又はビッカース硬さHVが115以上170未満の鋼板を使用した場合に比べて、フレーム5の曲げ剛性を高めることができるので、ボルト12の締付トルクが過大であったとしても、フレーム5の変形をより抑制し、摺動部4と被清掃面10との密着性の確保に係る安全率をより高めることができる。
また、図2に示すように、フレーム5の厚み(T1)は2.3mm以上2.5mm以下であり、フレーム5及び背部6からなる取付部2の厚み(T)に対する背部6の厚み(T2)の比率が33%未満になるように構成されている(T2/T<0.33)。本実施形態では、図2に示すように、取付部2の厚み(T)を3.4mm、フレーム5の厚み(T1)を2.3mm、背部6の厚み(T2)を1.1mmに設定して、取付部2の厚み(T)に対する背部6の厚み(T2)の比率が33%未満になるようにしている。
孔部7は、図1(A)に示すように、フレーム5の高さ方向(上下方向)略中心線上に、幅方向略等分間隔(例えばピッチ150mm)で複数個所に設けられている。そして、複数のボルト12が、取付部2の各孔部7を通じて、工作機械の被取付面11に設けられた複数の螺子孔13に螺合される。これにより、ワイパー1が工作機械の被取付面11に取り付けられる。
屈曲部3には、図2に示すように、ワイパー1が被清掃面10に押し付けられたときに、摺動部4が被清掃面10に密着するように屈曲部3を変形させるための、切欠部8が形成されている。
また、背部6及び屈曲部3は、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレン・プロピレンジエンモノマー(EPDM)等のゴム材料や、ポリウレタン等の合成樹脂材料といった弾性材料からなる。
また、背部6及び屈曲部3がゴム材料からなる場合、通常、補強のためのカーボンブラック、老化防止剤、可塑剤、加硫剤といった配合剤が配合される。ただし、背部6の硬度(JIS−A硬度)は、70°以上、屈曲部3の硬度(JIS−A硬度)は、70°〜85°であることが好ましい。また、背部6と屈曲部3とは一体形成されていることから、硬さも同一の弾性材料で形成されていることが好ましい。そこで、屈曲部3及び背部6の硬度を70°〜85°の硬度範囲内の値にするためには、ゴム100質量部に対してカーボンブラックを40〜75質量部、老化防止剤を1.5〜3.5質量部、酸化亜鉛を1〜10質量部、可塑剤を5〜20質量部、加硫剤を1〜3.5質量部といった程度の割合で配合する。
上記のように屈曲部3の硬度(JIS−A硬度)を70°〜85°にすることにより、取付部2と摺動部4とを連結する屈曲部3に剛性と屈曲性とをバランスよく備えさせて、摺動部4が被清掃面10に沿って移動する際に被清掃面10に対して適度な面圧をもって被清掃面10に付着した異物を確実に拭き取ることができる。また、背部6及び屈曲部3を同一配合の組成物からなる弾性体で形成させた場合には、より経済的にワイパー1を製造することができる。
摺動部4は、屈曲部3の先端からさらにその延在方向に沿って延びている。この摺動部4は、屈曲部3と溶着や一体プレス加硫等により一体化されている。また、摺動部4は、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレン・プロピレンジエンモノマー(EPDM)等のゴム材料や、ポリウレタン等の合成樹脂材料といった弾性材料からなる。さらに、この摺動部4を形成する弾性材料には、摺動部4が被清掃面10に対して摺動する際に生じる、被清掃面10との間の摩擦抵抗を低減させるための摩擦低減材が配合されている。この摩擦低減材としては、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、綿繊維等の繊維材料のみ、または、これらの繊維材料と、グラファイト、フッ素樹脂、超高分子量ポリエチレン等を組み合わせたものを使用できる。
さらに、摺動部4がゴム材料からなる場合、通常、補強のためのカーボンブラック、老化防止剤、可塑剤、加硫剤といった配合剤が配合される。尚、摺動部4に求められる低い摺動抵抗を実現するためには、ゴム100質量部に対してカーボンブラックを20〜55質量部、短繊維やグラファイト、超高分子量ポリエチレン等の摩擦低減材を10〜40質量部、老化防止剤を1.5〜3.5質量部、酸化亜鉛を1〜10質量部、可塑剤を5〜20質量部、加硫剤を1〜3.5質量部といった程度の割合で配合する。
このように、摺動部4を形成する弾性材料に摩擦低減材が配合されることで、摺動部4の表面摩擦係数が低下し、摺動時における被清掃面10との間の摩擦抵抗が低減される。また、摺動部4全体に摩擦低減材が分散されることで、ワイパー1の使用につれて摺動部4の摩耗が進行してもその摩擦係数が増加することはなく、長期間にわたって摩擦低減効果が維持される。尚、摺動部4の表面は、摩擦係数をさらに低下させて摩擦抵抗が一層小さくなるように、研磨により、成形時に形成されたゴムの表層を取り除き、摩擦低減材の露出面積を増大させることが好ましい。この摺動部4の研磨は、例えば、円筒研磨装置を用いて行うことができる。即ち、研磨装置の円筒状の砥石に摺動部4を軽く接触させた状態で、所定の周速(例えば、10〜30m/sec程度)で砥石を回転させることにより、摺動部4の表面を研磨して摩擦低減材を露出させる。
さらに、摺動部4が被清掃面10に付着した異物を確実に掻き取るためには、摺動部4はある程度の硬度(例えば、JIS−A硬度で70°〜85°程度)を有する必要がある。ここで、前述したように、摺動部4を形成する弾性材料に繊維材料やグラファイト等の摩擦低減材が配合されると、摺動部4中に含まれる弾性材料の割合が相対的に低下し、その結果、摺動部4の硬度が高くなる。従って、摺動部4に摩擦低減材を配合することは、拭き取り性能向上の点からも有益である。
また、摩擦低減材として繊維材料を用いる場合に、この繊維材料は、ゴム等からなる摺動部4内に配合されることになるが、繊維材料は、摺動部4内において、被清掃面10と交差する方向(図3のワイパー1の幅方向(左右方向)と直交する縦方向)に配向されていることが好ましい。摩擦低減材となる繊維材料が、配向性が無い場合、あるいは、被清掃面10と平行に配向されている場合(図3のワイパー1の幅方向(左右方向)に配向されている場合)には、成形後の摺動部4が波打ち形状になりやすく、外観形状が悪化する場合がある。さらに、摺動部4と被清掃面10との間に隙間が生じて密着性が悪くなる場合がある。これに比べて、繊維材料が縦方向に配向されている場合には、成形後に摺動部4が波打ち状になりにくく、外観形状の悪化といった問題が生じにくい。さらに、摺動部4の被清掃面10への密着性が高くなり、拭き取り性能が向上する。
一方、前述した背部6及び屈曲部3は、被清掃面10に接触する部分ではないことから、摺動部4とは違って、摩擦係数を下げるために摩擦低減材が配合される必要はそもそもない。逆に、屈曲部3にも摩擦低減材が配合されることによってその硬度が高くなりすぎると、屈曲部3の屈曲性が失われる。そのため、摺動部4が被清掃面10に沿って摺動しにくくなり、被清掃面10の異物を確実に拭き取ることができなくなる。
そこで、本実施形態においては、背部6及び屈曲部3には、繊維材料やグラファイト等の摩擦低減材が配合されていない。これにより、屈曲部3に適度な剛性と屈曲性を備えさせることが可能になり、被清掃面10に付着した異物を確実に拭き取ることができるようになる。尚、屈曲部3に剛性と屈曲性とをバランスよく備えさせて、摺動部4の掻き取り性能を向上させるには、前述したように屈曲部3の硬度はJIS−A硬度で70°〜85°であることが好ましい。
また、従来から知られている、ワイパーの全体に摩擦低減材が配合された構成では、金属製のフレームとの接着部分にも摩擦低減材が存在することから、この接着部分におけるゴム等の弾性部材の配合量が低下することに起因して、ワイパーとフレームとの接着力が低下する。さらに、工作機械の機械加工時に使用される切削油等の油成分が弾性部材に浸透すると、ワイパーとフレームの接着力は一層低下する。しかし、本実施形態では、金属製のフレーム5に接着される背部6に摩擦低減材が配合されていないことから、前述したような接着力低下という問題は生じない。
このように、本来、異なる機能が要求される背部6及び屈曲部3と摺動部4との材質(摩擦低減材の配合/非配合)を分けることにより、背部6及び屈曲部3と摺動部4の各々に対して、必要とされる機能を満足させるのに最適な材質を決定することができるようになる。つまり、背部6及び屈曲部3の材質決定において、摺動部4のみに要求される表面摩擦係数の低下という点を考慮する必要はなく、また、摺動部4の材質決定において、背部6及び屈曲部3のみに要求される適度な硬度範囲やフレーム5との接着性の確保という点を考慮する必要もない。
尚、先にも説明したように、被清掃面10の清掃時には、ワイパー1の摺動部4が被清掃面10に所定量押し付けられる(摺動部4の長さL1に応じ、例えば、0.5〜3.0mm程度)。このように、摺動部4が被清掃面10に押し付けられた後の状態においても、被清掃面10には、摩擦低減材が配合された摺動部4のみが接触し、摩擦低減材が配合されていない屈曲部3は接触しないようにする必要があり、摺動部4が、ある程度の長さを有することが必要である。その一方で、摩擦低減材が配合された摺動部4の長さが長すぎると、ワイパー1全体の屈曲性が小さくなってしまう。そこで、取付部2から傾斜して延びる部分の全長L0(屈曲部3及び摺動部4の長さ)に対して、摺動部4の長さL1が、L0/3〜L0/2の範囲にあることが好ましい。
(従来のワイパーとの比較)
本発明のワイパー1と従来のワイパー1´とを比較するために、図4〜図8に従来のワイパー1´(比較例1に相当)の構成を示す。
従来のワイパー1´において、ワイパー1´の取付部2´を工作機械等の対象物の被取付面11に取り付ける際に、基準トルクよりも過大なトルクでボルト12を締め付けてしまうと、図6に示すように、ワイパー1´の摺動部4´が被清掃面10に所定量(例えば、3mm程度)押し付けられている状態であっても、摺動部4´と被清掃面10との間に隙間C2が生じてしまう原因としては、下記(1)〜(5)の作用によるもの考えられる。
(1)フレーム5´及び背部6´からなる取付部2´の厚み(T)に対する背部6´の厚み(T2)の比率(T2/Tの値)が大きいほど(例えば、50%程度の場合)、ボルト12の締付トルクが同じであっても、背部6´の弾性体が過度に圧縮変形されてしまう。尚、取付部2´の厚み(T)に対する背部6´の厚み(T2)の比率(T2/Tの値)は、特に断りのない限り、被取付面11への取付前の状態(ボルト12の締付前の状態)における比率とする。
(2)上記場合、当然ながら、取付部2´において、ボルト12の頭部の後部分(頭部と被取付面11に挟まれた環状部分)に圧縮荷重が集中し、ワイパー1´の幅方向でボルト12が無い部分(ボルトピッチBPの間)には圧縮荷重は集中しない。
(3)そのため、フレーム5´の厚み(T1)が薄いほど、また、取付部2´の厚み(T)に対する背部6´の厚み(T2)の比率(T2/Tの値)が大きいほど、取付部2´は、ワイパー1´の幅方向でボルト12の無い部分(ボルトピッチBPの間の部分)が、図6及び図7に示すように、ボルト12の頭部の後部分よりも前方に湾曲するように、波打ち変形し、背部6´と被取付面11との間に隙間C1(前後方向)が生じ易くなる。
(4)上記のように、取付部2´においてボルトピッチBPの間で前方に湾曲する波打ち変形に伴い、背部6´と一体形成された屈曲部3´及び摺動部4´においても各ボルトピッチBPの間で前方に湾曲してしまう。
(5)ボルト12の頭部前方の屈曲部3´及び摺動部4´は、ボルトピッチBPの間の屈曲部3´及び摺動部4´が前方に湾曲する際の歪みと釣り合いを保つような変形作用を受け、ボルト12に拘束されて前方に湾曲できない代わりに、上方に浮きあがり変形し、図6に示すように、摺動部4´と被清掃面10との間に隙間C2(上下方向)が生じてしまう。
一方で、本実施形態のワイパー1は、取付部2の背部6がJIS−A硬さで70°以上の弾性体で形成されており、フレーム5がロックウェル硬さHRBで65以上又はビッカース硬さHVで115以上の鋼板で形成されており、フレーム5の厚み(T1)は2.3mm以上2.5mm以下であり、フレーム5及び背部6からなる取付部2の厚み(T)に対する背部6の厚み(T2)の比率が33%未満になるように構成されている(T2/T<0.33)ことから、ワイパー1の取付部2が工作機械等の対象物の被取付面11に取り付けられる際に、ワイパー1の取付部2を被取付面11に必要十分に固定し得る基準トルク(例えば2N・m)よりも過大なトルク(例えば5〜6N・m)でボルト12が締め付けられたとしても、さほど硬質ではない汎用な金属板(例えば、準硬質な冷間圧延鋼板)をフレーム5に使用したとしても、フレーム5の曲げ剛性をある程度確保しつつ、背部6の圧縮変形量を比較的小さくすることができる。
このため、ボルトピッチBPの間の背部6と被取付面11との間に隙間C1(前後方向)が生じる方向に前方に湾曲してしまう変形(波打ち変形)、並びに、ボルト12の頭部前方の屈曲部3及び摺動部4が、摺動部4と被清掃面10との間に隙間C2(上下方向)が生じる方向に浮き上がってしまう変形、を顕著に抑制することができる(図3参照)。
従って、本実施形態のワイパー1によれば、ワイパー1の摺動部4が被清掃面10に所定量(例えば3mm程度)押し付けられている状態であっても、従来のワイパー1´と比べて、摺動部4と被清掃面10との間に隙間C2が生じてしまうことを抑制し、被清掃面10への密着性を確保することができる。
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明を適用可能な形態はこれに限られるものではない。
屈曲部3は、JIS−A硬さで85°を超える弾性体で形成されていてもよい。また、背部6及び屈曲部3は、互いに硬さが異なる弾性体で形成されていてもよい。また、背部6、屈曲部3、及び、摺動部4は、硬さが互いに異なる弾性体で一体化されたものであってもよい。
また、ワイパー1自身は移動不能に固定されており、被清掃面10を有する金属部品がワイパー1に対して移動するように構成されていてもよい。
また、本発明の適用対象は、工作機械用の金属屑等を除去するためのワイパーに限られるものではなく、ゴミ等の異物が付着した被清掃面に対して摺動して異物を除去するものであれば、それ以外の分野で用いられるワイパーに本発明を適用することも可能である。
実施例1〜5、参考例1に係るワイパーの供試体、及び、比較例1〜3に係るワイパーの供試体に対して、ボルト締付け試験を行い、背部及び屈曲部の硬さ、及び、取付部の厚み比(T2/Tの百分率)が、摺動部の被清掃面10への密着性の確保に与える影響について検証した。また、一部の供試体に対し、ワイパーの掻き取り性能の確保に係る評価(摺動抵抗測定試験)、及び、ワイパーの破断強度の確保に係る評価(破断荷重測定試験)も実施した。
(実施例1〜5、参考例1、及び比較例1〜3のワイーの供試体)
各供試体間で変量した、背部及び屈曲部の硬さ(JIS−A)、フレームの硬さ(ロックウェル硬さHRB)、フレームの厚み(T1)、及び、取付部の厚み比(T2/Tの百分率)を表1に示す。
Figure 0006943823
ここで、背部の硬さは、JIS K6253:2012準拠のタイプAデュロメーター(ゴム硬さ計)により測定した値である。
※変量したフレーム以外の弾性体部分(背部及び屈曲部、ならびに摺動部)の硬さは、表2に示すように、ゴム組成物の配合剤のうち、カーボンブラックについて、ポリマー(NBR)の投入量を100としたときの投入量(phr)を調整することにより得た。
表2に示す背部及び屈曲部のゴム配合において、配合(1)は比較例3、配合(2)は実施例、配合(3)は実施例1、2、参考例1、及び比較例1、2、配合(4)は実施例、に対して適用させた。
Figure 0006943823
(実施例1〜5、参考例1
・基本寸法(各供試体間で共通)
ワイパー:取付部の厚み(T)3.4mm×長さ(上下方向)30mm×幅650mm ・取付部の寸法
フレーム:厚み(T1)変量(表1参照)×高さ(上下方向)18mm×幅650mm
フレームの厚み(T1)は、実施例1、4、5が2.3mm、実施例22.5mm、参考例1が3.2mmとした。
背部の厚み(T2):変量(表1参照)
取付部の厚み比(T2/Tの百分率)は、実施例1、4、5(図10)が32.4%、実施例2(図11)が26.5%、参考例1(図11)が5.9%になるように構成した。
実施例1〜5及び参考例1の取付部の厚み比は、従来のワイパーの水準(後述する比較例1(図8):52.9%)よりも小さい。
・背部の硬さ
JIS−A硬さ70°以上で、変量(表1参照)。
なお、背部及び屈曲部は、同一配合の組成物からなる弾性体で形成させた。よって、硬さも同じである。
・フレームの材質及び硬さ
実施例1〜4及び参考例1については、JIS G 3141:2005に規定する1/4硬質(調質記号:4)に調質された準硬質な冷間圧延鋼板(SPCC)を用いた。なお、この鋼板のロックウェル硬さHRBは65の水準であり、ビッカース硬さHVは115の水準であった。
実施例については、JIS G 3141:2005に規定する硬質(調質記号:1)に調質された硬質な冷間圧延鋼板(SPCC)を用いた。なお、この鋼板のロックウェル硬さHRBは85の水準であり、ビッカース硬さHVは170の水準であった。
・孔部(各供試体間で共通)
フレームの高さ方向(上下方向)略中心線上のワイパー(幅650mm)の幅方向等分5か所(ピッチ150mm)に、M6ボルト用の孔部(直径6.6mmの前後方向に貫通する孔)を形成させた。
(比較例1〜3)
・基本寸法、孔部(位置・構成)は実施例1〜5及び参考例1と同じ。
・取付部の寸法
フレームの厚み(T1)は、比較例1が1.6mm、比較例2が2.0mm、比較例3が2.3mmであり、取付部の厚み比(T2/Tの百分率)は、比較例1(図8)が52.9%、比較例2(図9)が41.2%、比較例3(図10)が32.4%である。
・背部及び屈曲部の硬さ(JIS−A硬さ)は、比較例1、2が80°、比較例3が65°である。
・フレームの材質及び硬さ
実施例1〜4及び参考例1と同じ。
(ボルト締付け試験)
試験機としては実機(対象物:工作機械)を用いて評価した。
試験方法(設定条件)
・被清掃面への押し付け量:3mm(各供試体間で共通)
・ボルト締付トルク:各供試体ごとに、1〜6N・mの範囲内で、1N・m刻みで実施した。
(ワイパーの取付)
被清掃面への押し付け量が上記設定量(3mm)になるように設けられた被取付面(対象物)の螺子孔(M6ボルト用、5ケ所)に、取付部(後面:背部側)の孔部(5ケ所)を対向接触させて、各々M6ボルトを軽めにねじ込み(このときの、ボルト締付トルク:1N・m未満)、仮止めさせた。
ここで、ボルトは、頭部の直径が10mmの、M6六角穴付きボルトである。なお、フレームが座金代わりとなるため、フランジ付きボルトは用いず、また、座金(ワッシャー)も使用していない。
各供試体ごとに、トルクレンチを用いて、1〜6N・mの範囲内で、1N・mから1N・m刻みで6N・mまでボルトに締付トルクを段階的に与え、ワイパー(取付部)を対象物の被取付面に取り付けた。
(被清掃面への密着性の確保に係る評価(ボルト締付け試験))
上記ボルト締付トルクの各段階において、下記項目について、下記評価方法および評価基準に基づき、測定ならびに評価を実施した。
・背部と被取付面との隙間C1(前後方向)
*ボルトピッチBPの間の隙間C1(4ケ所)を、シックネスゲージ(0.01mm単位)で測定し、それらのうちの最大値を上記隙間C1の測定値とした。
・摺動部と被清掃面との隙間C2(上下方向)
*ボルトの頭部前方の隙間C2(5ケ所)を、シックネスゲージ(0.01mm単位)で測定し、それらのうちの最大値を上記隙間C2の測定値とした。
・被清掃面への密着性
隙間C2の測定値が0(隙間無し)である場合、摺動部の被清掃面への密着性が確保できると判断し、評価「○」とした。
一方、隙間C2の測定値が0.01mm以上である場合、摺動部の被清掃面への密着性が確保できないと判断し、評価「×」とした。
(ワイパーの掻き取り性能の確保に係る評価(摺動抵抗測定試験))
前述したように、特許文献1[0034〜0037]によれば、取付部と摺動部とを連結する屈曲部に剛性と屈曲性とをバランスよく備えさせて、摺動部の掻き取り性能を向上させるには(つまり、摺動部が被清掃面に沿って移動する際に被清掃面に対して適度な面圧をもって被清掃面に付着した異物を確実に拭き取ることができるようにするには)、屈曲部の硬さはJIS−A硬さで70°〜85°であることが好ましいことが分かっている。これは、「屈曲部の硬さ(JIS−A硬さ)が70°未満になると摺動抵抗が20g/cmを下回ることになるので、摺動部が被清掃面を押さえつける面圧が小さくなり、ワイパーの掻き取り性能の低下につながることによる。一方、屈曲部の硬さが85°を超えると、摺動抵抗がかなり大きくなって(特許文献1の図5のグラフより、66g/cmを上回る摺動抵抗となって)、摺動部がスムーズに摺動することができなくなる。(特許文献1[0037])」ことによる。
そこで、屈曲部の硬さの好ましい範囲(JIS−A硬さで70°〜85°)の下限値及び上限値を含む構成の供試体(ワイパー)(実施例)、及び、屈曲部の硬さ(JIS−A硬さ)が70°未満になるように調整された供試体(ワイパー)(比較例3)について、摺動抵抗を測定し、ワイパーの掻き取り性能の確保に係る評価を実施した。
(供試体(ワイパー))
・屈曲部の硬さがJIS−A硬さで70°の供試体(ワイパー)(実施例
・屈曲部の硬さがJIS−A硬さで85°の供試体(ワイパー)(実施例
・屈曲部の硬さがJIS−A硬さで65°の供試体(ワイパー)(比較例3)
(評価項目)
評価項目としては、摺動抵抗(g/cm)を測定した。
(評価方法)
屈曲部の硬さの異なる、実施例及び比較例3のワイパーそれぞれについて、摺動部を被清掃面に対して摺動させたときの、摺動抵抗(摩擦抵抗)を測定した。具体的には、図12に示すように、ガイド31により鉛直方向に案内されたワイパーを、ステンレス板30に3mm押さえつけて、摺動部をステンレス板30に接触させた状態で、ステンレス板30を水平方向に移動させた。このときの、ワイパーに作用する水平方向の力をロードセル32で測定し、これを摺動抵抗とした。なお、本方法によれば、被取付面は存在せず、取付部の被取付面へのボルト締付は無い。従って、取付部の構成に依らず(例えば、比較例3のワイパーであっても)、摺動部と被清掃面との密着性は確保されている。
(評価基準)
上記理由根拠により、摺動抵抗が20g/cm以上66g/cm以下であれば、ワイパーの掻き取り性能が確保できると判断し、評価「○」とした。
一方、摺動抵抗が20g/cm未満、もしくは66g/cmを超えると、ワイパーの掻き取り性能が確保できないと判断し、評価「×」とした。
(ワイパーの破断強度の確保に係る評価(破断荷重測定試験))
背部の厚みが僅かな構成(図11、参考例1)になると、ワイパーが熱及び油浸漬により老化した際に、ワイパーの摺動部が被清掃面に所定量(例えば、3mm程度)押し付けられた状態において、背部と屈曲部との境界部分(特にその後面側)に作用する引裂き力により、ワイパーが破断する虞がある。
そこで、上記背部の厚みが最も薄い構成の供試体(ワイパー)(参考例1)、及び、背部の厚みが最も分厚い構成の供試体(即ち、従来のワイパー:比較例1)の、新品及び老化品について、引張試験機(オートグラフ)による破断荷重を測定し、ワイパーの破断強度の確保に係る評価を実施した。
(供試体(ワイパー))
・背部の厚みが最も薄い構成の供試体(ワイパー)(参考例1)の、新品及び老化品
・背部の厚みが最も分厚い構成の供試体(従来のワイパー)(比較例1)の、新品及び老化品
なお、老化条件としては、下記条件で希釈した浸漬油に供試体(ワイパー)を30日浸漬させた。
浸漬油:切削油(工作機械用)
希釈率:20(水):1(切削油)
浸漬温度:70℃(恒温槽内)
浸漬日数:30日
(評価項目)
評価項目としては、破断荷重(対象部位:背部と屈曲部との境界部分)を測定した。
(評価方法)
図13に示すような引張試験機(オートグラフ)を用いて、上記供試体(各々、新品及び老化品)について、下記条件下で破断試験を実施し、上記破断荷重を読み取った。なお、試験結果は、従来のワイパー(比較例1)の新品における、幅1cm当たりの破断荷重(N/cm)を100とした場合の指数で整理した。
(破断試験の条件)
引張荷重:10mm/分
雰囲気温度、湿度:25℃±2℃、50%±10%
(評価基準)
破断荷重(指数)が80以上の場合、ワイパーの背部と屈曲部との境界部分における破断強度が十分に確保できていると判断し、評価「○」とした。
一方、破断荷重(指数)が80未満の場合、ワイパーの背部と屈曲部との境界部分における破断強度が十分には確保できていないと判断し、評価「×」とした。
(上記試験結果により確認できた効果)
ボルト締付け試験、摺動抵抗測定試験、破断荷重測定試験の結果を表1に記載した。そして、各試験結果から下記効果を確認することができた。
(被清掃面への密着性の確保に係る評価から確認できた効果(ボルト締付け試験))
実施例1〜のワイパーの取付部は、背部がJIS−A硬さで70°以上の弾性体で形成されており、フレームが、ロックウェル硬さHRBが65以上又はビッカース硬さHVが115以上の鋼板で形成されており、フレームの厚み(T1)が2.3mm以上2.5mm以下であり、取付部の厚み(T)に対する背部の厚み(T2)の比率が従来(比較例1)の水準(例えば50%程度)よりも小さい33%未満になるように構成されているため、ワイパー(取付部)が工作機械等対象物の被取付面に取り付けられる際に、ワイパー(取付部)を被取付面に必要十分に固定し得る基準トルク(例えば2N・m)よりも過大なトルク(例えば5〜6N・m)でボルトが締め付けられたとしても、上記構成を有しない比較例1〜3と比べて、さほど硬質ではない汎用な金属板(例えばロックウェル硬さHRBが65程度の準硬質な冷間圧延鋼板)をフレーム材としても、フレームの曲げ剛性をある程度確保しつつ、背部(弾性体)の圧縮変形量が比較的小さく保つことができることがわかった(特には、比較例1と実施例の比較:表1備考「背部の圧縮量」参照)。
このため、ボルトピッチBPの間の背部(後面)と被取付面との隙間C1(前後方向)が生じる方向に前方に湾曲してしまう変形(波打ち変形)、並びに、ボルトの頭部前方の屈曲部及び摺動部が摺動部と被清掃面との隙間C2(上下方向)が生じる方向に上方に浮き上がってしまう変形、を顕著に抑制できることがわかった(特には、比較例1、2、実施例1〜間の対比による)。
また、実施例のように、フレームがロックウェル硬さHRBで85以上又はビッカース硬さHVで170以上の鋼板で形成されていれば、フレームを比較的硬質な金属板(例えば硬質に調質された冷間圧延鋼板)として、フレームがさほど硬質ではないロックウェル硬さHRBが65以上85未満又はビッカース硬さHVが115以上170未満の鋼板で形成されている場合(例えば実施例)と比べて、フレームの曲げ剛性を高めることができるので、ボルトの締付トルクが過大であった場合の被清掃面への密着性の確保に係る安全率をより高めることができることがわかった(背部及び屈曲部のJIS−A硬さが共に70°である、実施例と実施例の対比による)。
(ワイパーの掻き取り性能の確保に係る評価から確認できた効果(摺動抵抗測定試験))
屈曲部においてJIS−A硬さが70°〜85°の弾性体で形成されていれば、被清掃面との密着性及び摺動抵抗を適正に保つことができ、摺動部が被清掃面に沿って移動する際に被清掃面に対して適度な面圧をもって被清掃面に付着した異物を確実に拭き取ることができるといった、ワイパーの掻き取り性能の確保をより確実なものにすることができることがわかった(比較例3、実施例間の対比による)。
(ワイパーの破断強度の確保に係る評価から確認できた効果(破断荷重測定試験))
背部と金属板からなるフレームとが接着剤により強固に接合される構成とすれば、背部の厚みが僅かな構成(参考例1)であっても、ワイパーが熱及び油浸漬により老化した際の破断強度は、比較例1と同様に、十分に確保できており、ワイパーが熱及び油浸漬により老化した際に、ワイパーの摺動部が被清掃面に所定量(例えば、3mm程度)押し付けられた状態において、背部と屈曲部との境界部分に引裂き力が作用しても、この部分でワイパーが破断する虞がないことがわかった(比較例1と参考例1の対比による)。
1 ワイパー
2 取付部
3 屈曲部
4 摺動部
5 フレーム
6 背部
7 孔部
8 切欠部
10 被清掃面
11 被取付面
12 ボルト
13 螺子孔

Claims (3)

  1. 対象物の被清掃面に対して摺動することにより、前記被清掃面を拭き取るワイパーであって、
    被取付面に取り付けられる取付部と、
    該取付部から傾斜して延びるとともに、前記被清掃面の直交方向に対して傾斜した方向に延びる屈曲部と、
    前記屈曲部の先端からさらにその延在方向に沿って延びており、前記取付部及び前記屈曲部と一体化されるとともに前記被清掃面に接触可能な摺動部と、を備え、
    前記取付部は、ボルトが挿通される孔部が形成された、フレーム及び背部を有し、
    前記フレームは、金属板からなり、
    前記背部は、前記孔部の周囲を含め、前記フレームに対向接触し、前記屈曲部と一体形成されており、
    前記背部における前記フレーム側とは反対側の面は、前記被取付面に対向接触される面であり、
    前記背部及び前記屈曲部は、JIS−A硬さで70°以上85°以下の弾性体で形成されており、
    前記フレームは、ロックウェル硬さHRBが65以上又はビッカース硬さHVが115以上の鋼板で形成されており、
    更に、前記フレームの厚みが2.3mm以上2.5mm以下であり、前記取付部の厚みに対する前記背部の厚みの比率が5.9%以上33%未満になるように構成されていることを特徴とするワイパー。
  2. 前記背部及び前記屈曲部は、硬さが同一の弾性体で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のワイパー。
  3. 前記フレームは、ロックウェル硬さHRBが85以上又はビッカース硬さHVが170以上の鋼板で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のワイパー。
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