JPH0527723Y2 - - Google Patents

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JPH0527723Y2
JPH0527723Y2 JP5318589U JP5318589U JPH0527723Y2 JP H0527723 Y2 JPH0527723 Y2 JP H0527723Y2 JP 5318589 U JP5318589 U JP 5318589U JP 5318589 U JP5318589 U JP 5318589U JP H0527723 Y2 JPH0527723 Y2 JP H0527723Y2
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【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は耐油性歯付きベルトに関し、特にエン
ジン出力の動力伝達手段として用いるのに適した
耐熱性、機械的強度及び耐久性の良好な耐油性歯
付きベルトに関する。
〔従来の技術〕
従来から動力伝達手段として歯付きベルトが使
用されているが、近年エンジン等の高出力化に伴
なつて歯付きベルトの耐高負荷性が要求されるよ
うになつてきた。
歯付きベルトは一般に歯の形状の凹凸を有する
織布等からなる表面層と、歯の形状を保持するた
めのゴム層と補強用のコードとからなるが、プー
リの歯と係合して動力を伝達する際に各歯の根元
に最も大きな応力を受ける。この応力は実質的に
ゴム層により支持されるので、高負荷歯付きベル
トとするためにはゴム層のモジユラスを高くする
必要があると考えられる。
高モジユラスはウレタンゴムにより得ることが
できるが、ウレタンゴムは耐熱性及び耐油性に劣
る。歯付きベルトはエンジン出力の動力伝達手段
として用いられることが多いので、耐熱性及び耐
油性は非常に重要な特徴である。このため、ウレ
タンゴムは歯付きベルトに使用するのに適さな
い。
また一般にゴム組成物中のカーボン配合量を上
げればモジユラスが向上する傾向があるが、未加
硫物のムーニー粘度が高くなり、加工性が低下す
る。また圧縮永久歪が大きくなり(ゴム弾性が失
われ)、耐熱性及び耐油性の変化率も大きくなる。
以上の問題点に鑑み、耐油性のあるゴム母材と
して種々の提案がなされた。
特開昭57−12145号は抗張体より背面寄りの部
分をヒドリンゴムで形成し、その他のベルト背面
部及びベルト歯部をNBR,CR,SBR又は天然ゴ
ムで形成してなる耐熱・耐油性歯付ベルトを開示
している。
また特開昭57−12146号は抗張体より背面寄り
の部分をNBRで形成し、その他のベルト背面部
及びベルト歯部をCR,SBR又は天然ゴムで形成
してなる耐油性歯付ベルトを開示している。
しかしながら、これらの歯付ベルトの耐熱性及
び耐油性は最近の要求レベルを満たすには不十分
である。
特開昭57−76343号はゴム100重量部に対してシ
ランカツプリング剤0.2〜5.0重量部、シリカ10〜
60重量部、カーボンブラツク2〜60重量部を配合
したゴム組成物を歯付ベルトに使用することを開
示している。また特開昭57−2054352号はゴム100
重量部にシランカツプリング剤0.1〜5.0重量部、
含水珪酸10〜60重量部、カーボンブラツク2〜60
重量部、短繊維2〜40重量部を配合してなるゴム
−短繊維複合組成物を圧縮ゴム層として用いたこ
とを特徴とする動力伝動ベルトを開示している。
これらのゴム組成物において具体的なゴム成分は
クロロプレンゴムである。
また特開昭58−78904号及び58−79045号は
EPR又はEPDMを主成分とするゴム組成物を開
示している。これらのゴム組成物は紙送り用エン
ドレスベルトやコンベヤベルト等に使用される。
さらに特開昭58−91947号はゴム100重量部に対
し高結晶性低下不飽和性熱可塑性ポリマー5〜50
重量部を配合してなる高硬度高弾性ゴム組成物を
歯付ベルトに使用することを開示している。
一方、歯付ベルトの表面層、特にその歯部表面
としては、従来からナイロン繊維等の合成繊維か
らなる織布が用いられているが、これは耐油性向
上に対してはほとんど効果がない。そこで、ゴム
層の上に布層を介してポリテトラフルオロエチレ
ン層を被覆した動力伝達用歯付きベルトも提案さ
れた(特公昭57−28813号)。
〔考案が解決しようとする課題〕
しかしながら、上記の如き従来のゴム組成物を
ゴム母材として用い、表面にナイロン織布等の帆
布を被覆した歯付きボルトでは、例えば変速器の
ように油が存在する機器や、エンジン油等がかか
るおそれのある部位において使用するものとして
は、耐油性の要求レベルを十分には満たしていな
い。
また、表面保護層として使用する織布はゴム層
への油の浸入を防止することができず、ゴム層が
膨潤して歯元強度が低下し、耐久性が劣つたもの
となる。
また特公昭57−28813号に開示された歯付きベ
ルトのように、布層を介してポリテトラフルオロ
エチレン層が被着されたものでは、ゴム層との接
着力が十分でないので、表面層の剥離強度等が劣
るという問題がある。
従つて、本考案の目的は、耐熱性及び耐油性を
有し、機械的強度及び耐久性に優れた歯付きベル
トを提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
上記問題点に鑑み鋭意研究の結果、本考案者は
水素添加ニトリル−共役ジエン系ゴム母材の表面
に、塩化パラフイン配合水素添加ニトリルゴム系
接着剤により、フツ素樹脂フイルム保護層を接着
することにより、上記目的を達成し得る歯付きベ
ルトが得られることを発見し、本考案に想到し
た。
すなわち、本考案の耐油性歯付きベルトは、水
素添加ニトリルゴムをゴム母材とし、少なくとも
歯部表面をフツ素樹脂フイルム保護層で被覆した
もので、前記保護層が塩化パラフイン配合水素添
加ニトリルゴム系接着剤により、前記ゴム母材に
接着されていることを特徴とする。
このゴム母材として、不飽和結合の含有量が20
%以下の水素添加ニトリルゴム100重量部と、不
飽和カルボン酸金属塩1〜100重量部とを含有す
るゴム母材を用いるのが好ましい。
〔作用〕
本考案によれば、水素添加ニトリルゴム組成物
でゴム母材を形成し、かつ柔軟性のある塩化パラ
フイン配合水素添加ニトリルゴム系接着剤で、フ
ツ素樹脂フイルム保護層を接着することによつ
て、保護層の剥離強度が高く、かつ接着層の耐屈
曲疲労性の良好な耐油性歯付きベルトを得ること
ができる。
特にゴム組成物の共架橋剤として不飽和カルボ
ン酸金属塩を用いた場合、ゴム母材の耐熱性及び
耐油性は一層向上する。この理由は必ずしも明ら
かでないが、不飽和カルボン酸金属塩が架橋し、
網目構造を形成するためであると考えられる。さ
らに、この特定のゴム組成物からなるゴム層の表
面にフツ素樹脂フイルム保護層を設けることによ
り、耐油性が飛躍的に向上する。これは、もとも
と耐熱性、耐油性に優れたゴム層の表面を、さら
に耐油性に優れたフツ素樹脂で被覆して、油がゴ
ム層内に浸入するのをほぼ完全に防止するように
したことによるものである。
〔実施例〕
以下、本考案の実施例を第1図乃至第5図を参
照して説明する。
第1図は、本考案の一実施例の歯付きベルトを
示す断面図であり、1は歯形状に変形したゴム
層、2はその表面に設けたフツ素樹脂フイルム保
護層、3は補強用のコード、4は接着剤層であ
る。
本考案の耐油性歯付きベルトのゴム層1は、水
素添加ニトリルゴム母材からなり、特に、不飽和
結合の含有量が20%以下の水素添加ニトリルゴム
100重量部と、不飽和カルボン酸金属塩1〜100重
量部とを含有するゴム組成物で構成されたものが
好ましい。
水素添加ニトリルゴム中の不飽和結合の含有量
は20%以下である。不飽和結合が20重量%を越え
るとゴムの強度、耐油性、耐熱性等が低下する。
好ましくは不飽和結合の含有量は5〜10重量%で
ある。
また、ゴム組成物に添加する不飽和カルボン酸
金属塩は1つ又は2つ以上のカルボキシル基を有
する不飽和カルボン酸と金属とがイオン結合した
ものである。不飽和カルボン酸としてはアクリル
酸、メタクリル酸等のモノカルボン酸や、マレイ
ン酸、フマル酸、イタコン酸等のジカルボン酸等
が好ましい。また金属としてはBe,Mg,Ca,
Sr,Ba,Ti,Cr,Mo,Mn,Fe,Co,Ni,
Cu,Ag,Zn,Cd,Hg,Al,Sn,Pb又はSb等
を使用することができる。好ましい金属はMg,
Ca,Zn,Alである。特に好ましい不飽和カルボ
ン酸金属塩は下記一般式: (ただし、R及びR′はそれぞれ脂肪族又は芳
香族炭化水素基又は水素原子であつて同一でも異
なつていてもよく、Meは上記金属であり、nは
2〜4の整数である。)により表されるものであ
る。
本考案の歯付きベルトに用いるゴム組成物は加
硫剤(架橋剤)として有機過酸化物を含有する。
これには例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロ
イル、過酸化ジターシヤリーブチル、過酸化アセ
チル、ターシヤーリーブチルペルオキシ安息香
酸、過酸化ジクミル、ペルオキシ安息香酸、ペル
オキシ酢酸、ターシヤリーブチルペルオキシピバ
レート等の過酸化物類や、アゾビスイソブチロニ
トリル等のジアゾ化合物類等が好ましい。
本考案の耐油性歯付きベルトのゴム層1に用い
るゴム組成物においては、不飽和カルボン酸金属
塩の含有量はゴム成分100重量部当り1〜100重量
部(phr)である。不飽和カルボン酸金属塩が
1phr未満であると効果が小さく、また100phrを
越えると硬化が過大となる。好ましい含有量は5
〜40phrである。また有機過酸化物の含有量は1
〜20phrであり、1phr未満であると架橋が不十分
であり、20phrを越えると得られるゴム組成物の
ゴム弾性が不十分となる。好ましい有機過酸化物
の含有量は5〜10phrである。
ゴム組成物にはその他に必要に応じ、加硫助
剤、加硫調節剤、老化防止剤、酸化防止剤、補強
剤等を添加する。
加硫調節剤(リターダー)は望ましくない早期
加硫(加工中のスコーチや貯蔵中の前加硫等)を
防止する目的で使用するもので、メルカプトベン
ゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジス
ルフイド(MBTS)、2−メルカプトベンゾチア
ゾール亜鉛塩(ZnMBT)等のチアゾール類、N
−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフ
エンアミド(CBS)等のスルフエンアミド類、
テトラメチルチウラムモノスルフイド
(TMTM)、テトラメチルチウラムジスルフイド
(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフイド
(TETD)、テトラブチルチウラムジスルフイド
(TBTD)、ジペンタメチレンチウラムテトラス
ルフイド(DPTT)等のチウラム類等があり、
その他にアルデヒド・アミン類、グアニジン類等
を併用することができる。
加硫助剤は酸化亜鉛等の金属酸化物である。
老化防止剤は加硫後に硬化、軟化、亀裂発生、
弾性喪失等の老化現象が起るのを防止するための
もので、2−メルカプトベンゾイミダゾール亜鉛
塩(MBZ)、2,2,4−トリメチル−1.2−ジ
ヒドロキノリン重合物(TMDQ)、N,N′−ジフ
エニル−P−フエニレンジアミン(DPPD)、P
−フエニレンジアミン類等が有効である。
補強剤は加硫ゴムの力学的特性(引張強さ、硬
さ、引裂強さ等)を向上させるもので、ゴム配合
で一般的に使用されるカーボンブラツク等が好ま
しい。
本考案において、ゴム層1の表面に設けるフツ
素樹脂フイルム保護層2としては、ポリテトラフ
ルオロエチレン及びその共重合体等からなるフイ
ルムを挙げることができ、その厚さは50〜500μ
m程度が適当である。またフイルムの接着面は、
接着剤との接着力を向上するために、ナトリウム
処理しておくのが好ましい。
本考案の歯付きベルトにおいては、歯形状に変
形したゴム層1の表面に、塩化パラアフインを配
合した水素添加ニトリルゴム系接着剤層4を介し
て、フツ素樹脂フイルム保護層2が設けられてい
る。この接着剤層4を設けることにより、ゴム層
1とフツ素樹脂フイルム保護層2との接着力が向
上する。
接着剤としては、ゴム層1を構成するものと同
様の水素添加ニトリル系ゴムに、塩化パラフイン
約1〜100PHRと、塩化ゴム20〜100PHRと、シ
リカ20〜100PHRとを配合したものを使用する。
塩化パラフインはパラフインを塩素化したもの
で、塩素量は35〜75重量%程度であるのが好まし
い。
塩化ゴムが20PHR未満の場合、接着力が不足
し、100PHRを超えると、硬度上昇のため、耐屈
曲疲労性が悪化し、好ましくない。好ましい塩化
ゴムの含有量は30〜50PHRである。
またシリカ粉末が20PHR未満の場合、接着力
が不足し、100PHRを超えると、混練性が悪化す
るとともに耐屈曲疲労性が悪化し、好ましくな
い。好ましいシリカ粉末の含有量は30〜50PHR
である。
接着剤は、その他に硫黄系又は過酸化物系の加
硫剤や、加硫調整剤等を含有してもよい。
なお、第1図にはゴム層の背面にフツ素樹脂フ
イルム保護層を示していないが、良好な耐油性を
得るためには設けた方が好ましい。
本考案の耐油性歯付きベルトを製造するには、
例えば、第2図に示すような所定の形状及びサイ
ズの歯形を有する金型により、前記ゴム組成物を
成形加硫する。金型は歯形状の面を有する下型5
と平坦面を有する上型6とからなる。好ましくは
無端状の歯付ベルトを形成するために下型は円筒
状であり、上型はダイヤフラムからなる。歯型面
上にフツ素樹脂フイルム保護層2を設け、その上
に塩化パラフインを配合した水素添加ニトリルゴ
ム系接着剤層を介して、ゴム組成物のシートを設
置し、加熱しながら金型を締めると、第2図に示
すように歯形状に変形したゴム層1か形成され
る。この際フイルム保護層2も歯形面に沿つて変
形するが、あらかじめフイルム保護層2を変形し
ておいてもよい。次に得られたベルト歯部にスチ
ール、ガラス繊維、ナイロン等からなる抗張力性
のコード3を巻き付け、背ゴム層を設けた後で再
度上型6を締め、加硫を行う。必要に応じ、背ゴ
ム層上にさらに表面保護層を設ける。このように
して第1図に示す歯付ベルトが得られる。加硫温
度は一般に140〜180℃であり、加硫時間は15〜50
分間である。
〔実施例〕
本考案を以下の実施例によりさらに詳細に説明
する。
実施例 1 下記組成のゴム材25gを溶剤(メチルエチルケ
トン)225c.c.に溶解して、接着材組成物を調製し
た。
Zp2000(1) 100重量部 Zn(MAA)2 (2) 3重量部 MBZ(3) 1重量部 Naugard445(4) 1重量部 CR−20(5)(塩化ゴム) 40重量部 ClParaffin#70(6)(塩化パラフイン) 40重量部 Carplex#67(7)(シリカ) 40重量部 パークミルD−40(8) 10重量部 パーロキシモンF−40(9) 5重量部 コロイド硫黄(10) 0.3重量部 TMTD(11) 1重量部 MBT(12) 0.5重量部 注:(1) 日本ゼオン(株)製水素添加アクリロニトリ
ル−ブタジエンゴム(ブタジエン含有量65
%、飽和度98%)。
(2) 浅田化学(株)製メタクリル酸亜鉛 (3) 川口化学(株)製老化防止剤(2−メルカプト
ベンゾイミダゾール亜鉛塩)。
(4) ユニロイヤル化学社製老化防止剤(4,
4′−(α,α−ジメチルベンジル)ジフエニ
ルアミン)。
(5) 旭電化工業(株)製塩化ゴム(塩素64%以上) (6) 味の素(株)製塩化パラフイン(塩素74%) (7) 塩野義製薬(株)製シリカ粉末(平均粒径20m
μ) (8) 日本油脂(株)製有機過酸化物系加硫剤(有機
過酸化物(ジクミルパーオキサイド)40重量
%、CaCO360重量%)。
(9) 日本油脂(株)製有機過酸化物系加硫剤(有機
過酸化物(α−α′−ビス(t−ブチルパーオ
キシ−m−イソプロピル)ベンゼン)40重量
%、CaCO360重量%)。
(10) 細井化学工業(株)製加硫調整剤。
(11) 川口化学(株)製テトラメチルチウラムジスル
フイド加硫調整剤。
(12) 川口化学(株)製メルカプトベンゾチアゾール
加硫調整剤。
次に、水素添加アクリロニトリル−ブタジエン
ゴム(日本ゼオン(株)製、ブタジエン含有量65%、
水素添加により飽和した二重結合の割合(飽和
度)90%)100重量部に、不飽和カルボン酸金属
塩としてメタクリル酸亜鉛20重量部を配合したゴ
ム組成物でゴム層1を形成し、その表面に上記接
着剤組成物により、厚さ200μmのテトラフルオ
ロエチレンフイルム(日本バルカー(株)製、バルフ
ロン フイルム)の保護層2を接着して歯付きベ
ルトAを形成した。同様にして、前記テトラフル
オロエチレンフイルムのかわりにナイロン帆布を
使用した歯付きベルトBを作成した。また上記水
素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴムにメタ
クリル酸亜鉛を配合せずに作成したゴム組成物か
らなるゴム層1にナイロン帆布を被覆した歯付き
ベルトCも作成した。
各歯付きベルトについて、140℃のトランスミ
ツシヨンオイル(出光石油化学(株)製、MTF−30)
との接触条件下で負荷試験を行つた。負荷の測定
は、第3図に示す装置により行つた。ただし、同
図において、10はケーシング、11,12はプ
ーリ、13は歯付きベルト、14はテンシヨンロ
ール、15はトランスミツシヨンオイル(MTF
−30)である。一対のプーリ11,12が回転す
るにつれて、歯付きベルト13はトランスミツシ
ヨンオイル15に接触する。歯付きベルト13に
より伝達し得る負荷を測定し、耐久時間と負荷と
の関係を求めた。結果を第4図に示す。なお第4
図において、負荷はベルト幅24mm当りの馬力
(Ps)により表す。
第4図から明らかなように、本考案の歯付きベ
ルトAは、同じゴム母材にナイロン織布を被覆し
た歯付きベルトB及び従来の水素添加ニトリル−
ブタジエンゴムにナイロン織布を被覆した歯付き
ベルトCと比較して、著しく向上した負荷伝達能
力を有するとともに、良好な耐久性(耐油性)を
有することがわかる。
実施例 2 実施例1と同じ歯付きベルトA,B,Cに対し
て、歯元強度を測定した。歯元強度の測定は、
140℃のトランスミツシヨンオイル(MTF−30)
に種々の時間浸漬した後、第5図に示す装置によ
り行つた。
すなわち、基板21と、歯付きベルト20の歯
に係合する突起を有する押圧板22との間に、歯
付きホベル20を挟持し、矢印の方向に歯付きベ
ルト20を引張つて、歯が破壊したときの張力を
読み取ることによつて、所定の浸漬時間ごとに歯
元強度の測定を行つた。また、得られた歯元強度
のデータから、下記定義のり歯元強度維持率を求
めた。
歯元強度維持率=(各浸漬時間における歯元強
度/初期歯元強度)×100%。
結果は第6図に示す通りであり、本考案の歯付
きベルトAは耐油性に優れており、約1000時間経
過後も歯元強度がほとんど低下しないことがわか
る。
実施例 3 実施例2において、トランスミツシヨンオイル
の代わりに140℃のエンジンオイル(ウルトラU、
本田技研工業(株)製)を用いた以外、同一条件で所
定の浸漬時間ごとに歯元強度の測定を行い、実施
例2と同様に歯元強度維持率を求めた。結果を第
7図に示す。第7図から、本考案の歯付きベルト
Aはエンジンオイルとの接触条件下でも、長時間
にわたりほとんど歯元強度が低下しないことがわ
かる。
実施例 4 実施例1と同じ歯付きベルトAを、140℃のト
ランスミツシヨンオイル(MTF−30)に浸漬し、
引張り強度及び歯底部剥離強度を測定した。結果
をそれぞれ第8図及び第9図に示す。両図から明
らかなように、本考案の歯付きベルトは、良好な
耐油性を有するので、オイル中に浸漬しても引張
り強度及び剥離強度の低下がほとんどないことが
わかる。
〔考案の効果〕 以上に述べたように、本考案に係る耐油性歯付
きベルトは、水素添加ニトリルゴムに不飽和カル
ボン酸金属塩を配合したゴム組成物でゴム層を構
成し、その表面に塩化パラフイン配合水素添加ニ
トリル−ブタジエンゴム系接着剤層を介してフツ
素樹脂フイルム保護層を設けたので、優れた耐熱
性、耐油性を有し、油中での長時間の使用に耐え
ることができる。
このような特徴を有する本考案の耐油性歯付き
ベルトはエンジン動力伝達用の歯付きベルト等、
応力、温度、油等の厳しい条件下で使用するのに
特に好適である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本考案の耐油性歯付ベルトの例を示
す断面図であり、第2図は、本考案の耐油性歯付
きベルトの製造方法の例を示す断面図であり、第
3図は、負荷試験装置の概略図であり、第4図
は、歯付きベルトの耐久時間と負荷との関係を示
すグラフであり、第5図は、歯元強度の測定装置
を示す断面図であり、第6図及び第7図は、それ
ぞれオイル浸漬条件下での歯元強度の経時変化を
示すグラフであり、第8図は、本考案の歯付きベ
ルトについてのオイル浸漬時間と引張り強度との
関係を示すグラフであり、第9図は、本考案の歯
付きベルトについてのオイル浸漬時間と歯底部剥
離強度との関係を示すグラフである。 1……ゴム層、2……フツ素樹脂フイルム保護
層、3……コード、4……塩化パラフイン含有接
着剤層。

Claims (1)

  1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 水素添加ニトリルゴムをゴム母材とし、少な
    くとも歯部表面をフツ素樹脂フイルム保護層で
    被覆した耐油性歯付きベルトにおいて、前記保
    護層が塩化パラフイン配合水素添加ニトリルゴ
    ム系接着剤により、前記ゴム母材に接着されて
    いることを特徴とする耐油性歯付きベルト。 (2) 請求項1に記載の耐油性歯付きベルトにおい
    て、前記ゴム母材として、不飽和結合の含有量
    が20%以下の水素添加ニトリルゴム100重量部
    と、不飽和カルボン酸金属塩1〜100重量部と
    を含有するゴム母材を用いることを特徴とする
    耐油性歯付きベルト。 (3) 請求項1又は2に記載の耐油性歯付きベルト
    において、前記フツ素樹脂フイルム保護層の接
    着面がナトリウム処理されていることを特徴と
    する耐油性歯付きベルト。
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