以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
まず図1を参照して、本発明の実施の形態に係る吸収式熱源機としての吸収冷凍機1を説明する。図1は、吸収冷凍機1の模式的系統図である。吸収冷凍機1は、二重効用吸収冷凍機であり、吸収冷凍サイクルを行う主要構成機器として、吸収器10と、蒸発器20と、凝縮器30と、低温再生器40と、高温再生器50とを備えていると共に、制御装置90を備えている。吸収冷凍機1は、吸収液に対して冷媒が相変化をしながら循環することで熱移動を行わせ、被冷却媒体である冷水pの温度を低下させる機器である。吸収冷凍機1では、再生器が高温再生器50及び低温再生器40の2つに分割されている。以下の説明において、吸収液に関し、吸収冷凍サイクル上における区別を容易にするために、性状や吸収冷凍サイクル上の位置に応じて、「希溶液Sw」、「高温濃溶液Sa」、「低温濃度溶液Sb」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「溶液S」ということとする。また、冷媒に関し、吸収冷凍サイクル上における区別を容易にするために、性状や吸収冷凍サイクル上の位置に応じて、「蒸発器冷媒蒸気Ve」、「高温冷媒蒸気Va」、「低温冷媒蒸気Vb」、「冷媒液Vf」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「冷媒V」ということとする。本実施の形態では、溶液S(吸収剤と冷媒との混合物)としてLiBr水溶液が用いられており、冷媒Vとして水(H2O)が用いられているが、これに限らず他の冷媒、溶液(吸収剤)の組み合わせで使用してもよい。
吸収器10は、蒸発器20から導入した蒸発器冷媒蒸気Veを混合濃溶液Scで吸収する部位である。混合濃溶液Scは、高温再生器50で生成された高温濃溶液Saに対して、低温再生器40で生成された低温濃溶液Sbの一部が混合した溶液Sである。吸収器10には、混合濃溶液Scで蒸発器冷媒蒸気Veを吸収した際に発生する吸収熱を奪う冷却水qを流す吸収器冷却水管11(以下、単に「冷却水管11」という。)が内部に配設されている。また、吸収器10には、混合濃溶液Scを冷却水管11に向けて散布する濃溶液散布ノズル12が冷却水管11の上方に配設されている。吸収器10は、冷却水管11の下方に、希溶液Swを貯留する吸収器貯留部13(以下、単に「貯留部13」という。)が形成されている。希溶液Swは、比較的濃度が高い溶液S(混合濃溶液Sc)が冷媒V(蒸発器冷媒蒸気Ve)を吸収して濃度が低下した溶液Sである。
蒸発器20は、被冷却媒体としての冷水pの熱で冷媒液Vfを蒸発させて蒸発器冷媒蒸気Veを発生させる部位である。蒸発器20では、冷媒液Vfが蒸発する際の潜熱を冷水pから奪うことにより、冷水pが冷却される。蒸発器20には、冷却する対象である冷水pを流す冷水管21が配設されている。冷水管21は、エアハンドリングユニット等の冷水利用機器(不図示)と配管86を介して接続されている。また、蒸発器20には、冷媒液Vfを冷水管21に向けて散布するための冷媒液散布ノズル22が冷水管21の上方に配設されている。また、蒸発器20には、凝縮器30で凝縮された冷媒液Vfを導入する冷媒液管82が接続されている。蒸発器20の下部には、導入した冷媒液Vfを貯留する蒸発器貯留部23(以下、単に「貯留部23」という。)が形成されている。また、蒸発器20には、貯留部23の貯留している冷媒液Vfを冷媒液散布ノズル22に導く循環冷媒管24が設けられている。循環冷媒管24には、冷媒液Vfを冷媒液散布ノズル22に圧送する冷媒ポンプ25が配設されている。また、蒸発器20には、発生した蒸発器冷媒蒸気Veの温度を検知する蒸発器温度計28が設けられている。蒸発器温度計28は、典型的には、蒸発器20内の気相部の温度を検知する位置に配設されている。この位置に配設されていると、飽和蒸気の蒸発器冷媒蒸気Ve温度を検出することができ(すなわち蒸発器冷媒蒸気Veの飽和温度を検出することができ)、蒸発器20の内部の圧力を推定することができる。
凝縮器30は、低温再生器40から導入した低温冷媒蒸気Vbを冷却して凝縮させる部位である。凝縮器30では、低温冷媒蒸気Vbが凝縮して、冷媒液Vfが生成される。凝縮器30には、導入した低温冷媒蒸気Vbを冷却するための冷却水qを流す凝縮器冷却水管31(以下、単に「冷却水管31」という。)が配設されている。冷却水管31は、一端が吸収器10内の冷却水管11と配管88を介して、他端が冷却塔(不図示)と配管89を介して、それぞれ接続されている。また、吸収器10内の冷却水管11と冷却塔(不図示)とは、配管87を介して接続されている。
低温再生器40は、本実施の形態では、吸収器10から希溶液Swを導入し、希溶液Swを加熱して、低温濃溶液Sbを生成する部位である。低温濃溶液Sbは、希溶液Sw中の冷媒Vを蒸発させて、希溶液Swから濃度が上昇した溶液Sである。低温再生器40では、希溶液Swの加熱に、外部から導入した排温水hの熱及び高温再生器50で生成された高温冷媒蒸気Vaを用いることができる。低温再生器40には、導入した希溶液Swを加熱するための加熱源となる排温水hを流す加熱排温水管45が内部に配設されている。また、低温再生器40には、希溶液Swを加熱するための加熱源となる高温冷媒蒸気Vaを流す加熱蒸気管41が内部に配設されている。排温水hは、吸収冷凍機1の外部で利用された機器の冷却に用いられたものであり、排温水hが保有する熱は「排熱」に相当する。他方、高温冷媒蒸気Vaが保有する熱は、溶液Sの加熱のために発生させた熱に由来するものであり、「発生熱」に相当する。低温再生器40は、外部から導入した排温水hの熱(排熱)で溶液Sを加熱して、溶液Sから冷媒Vを蒸発させることができる機器であり、排熱利用再生器に相当する。加熱蒸気管41は、一端が冷媒蒸気管81に接続されている。他端は、凝縮器30に開放されている。加熱排温水管45は、外部との間で排温水hを搬送する排温水搬送管46に接続されている。また、低温再生器40には、希溶液Swを加熱蒸気管41及び加熱排温水管45に向けて散布する低温再生器溶液散布ノズル42(以下、単に「溶液散布ノズル42」という。)が、加熱蒸気管41及び加熱排温水管45の上方に配設されている。低温再生器40は、加熱蒸気管41及び加熱排温水管45の下方に、低温濃溶液Sbを貯留する低温再生器貯留部43(以下、単に「貯留部43」という。)が形成されている。
高温再生器50は、本実施の形態では、低温再生器40から低温濃溶液Sbを導入し、低温濃溶液Sbを加熱して、高温濃溶液Saを生成する部位である。高温濃溶液Saは、低温濃溶液Sb中の冷媒Vを蒸発させて、低温濃溶液Sbから濃度が上昇した溶液Sである。高温再生器50は、本実施の形態では、煙管型の再生器となっている。高温再生器50には、内部に形成された燃焼室においてバーナー(不図示)で火炎を形成して燃焼ガスを生成する炉筒51が、缶胴53の内部に設けられている。また、高温再生器50には、炉筒51で生成された燃焼ガスを流して周囲の溶液Sを加熱する煙管52が、缶胴53の内部に複数設けられている。複数の煙管52は、炉筒51に平行に延びるようにして、適切な間隔をあけた状態で、炉筒51の上部に設けられている。缶胴53の内部には、堰54が設けられている。堰54は、缶胴53内の空間を、炉筒51及び複数の煙管52が存在する空間と、高温濃溶液Saを貯留する空間とを区切るように設けられている。高温濃溶液Saを貯留する空間を、高温再生器貯留部55(以下、単に「貯留部55」という。)ということとする。堰54は、その上端が、複数の煙管52の最高点よりも高くなるように配設されている。堰54は、炉筒51及び複数の煙管52を流動する燃焼ガスに加熱されることによって生成された高温濃溶液Saが、堰54を乗り越えて貯留部55に流入するように設けられている。炉筒51及び複数の煙管52を流動する燃焼ガスは、溶液Sを加熱するために発生させたものであるので、燃焼ガスが保有する熱は「発生熱」に相当する。
貯留部55には、高温濃溶液Saの液位を検知する高温再生器液位検知器としての電極棒56が配設されている。電極棒56は、貯留部55内の高温濃溶液Saの高液位Ltを検知する高液位電極棒56tと、貯留部55内の高温濃溶液Saの低液位Lsを検知する低液位電極棒56sとを含んでいる。また、貯留部55には、内部に貯留されている高温濃溶液Saの温度を検知する高温再生器吸収液温度検知器としての高温濃溶液温度計57が配設されている。
吸収器10と蒸発器20とは共に1つの缶胴内にシェルアンドチューブ型に形成され、両者の間には仕切壁19が設けられている。吸収器10と蒸発器20とは仕切壁19の上部で連通しており、蒸発器20で発生した蒸発器冷媒蒸気Veを吸収器10に移動させることができるように構成されている。凝縮器30と低温再生器40とは共に1つの缶胴内にシェルアンドチューブ型に形成され、両者の間には仕切壁39が設けられている。凝縮器30と低温再生器40とは仕切壁39の上部で連通しており、低温再生器40で発生した低温冷媒蒸気Vbを凝縮器30に移動させることができるように構成されている。
吸収器10の底部と、低温再生器40の溶液散布ノズル42とは、希溶液管71で接続されている。希溶液管71は、貯留部13の希溶液Swを溶液散布ノズル42に導く流路である。希溶液管71には、希溶液Swを低温再生器40に圧送する第1溶液ポンプ72が配設されている。本実施の形態では、第1溶液ポンプ72が、低温再生器吸収液導入装置として機能する。低温再生器40の底部と、高温再生器50の缶胴53とは、低温濃溶液管73で接続されている。低温濃溶液管73は、典型的には缶胴53の底部に接続されている。低温濃溶液管73は、貯留部43の低温濃溶液Sbを缶胴53内に導く流路である。低温濃溶液管73には、低温濃溶液Sbを高温再生器50の缶胴53内に圧送する第2溶液ポンプ74が配設されている。第2溶液ポンプ74は、インバータ74vにより、電動機の回転速度を調節することが可能なように構成されている。すなわち、第2溶液ポンプ74は、吐出流量が調節可能に構成されている。本実施の形態では、第2溶液ポンプ74が、高温再生器吸収液導入装置に相当する。
高温再生器50の貯留部55の底部と、吸収器10の濃溶液散布ノズル12とは、高温濃溶液管75で接続されている。高温濃溶液管75は、貯留部55の高温濃溶液Saを濃溶液散布ノズル12に導く流路である。高温濃溶液管75と、第2溶液ポンプ74よりも下流側の低温濃溶液管73とには、高温溶液熱交換器76が配設されている。高温溶液熱交換器76は、高温濃溶液管75を流れる高温濃溶液Saと、低温濃溶液管73を流れる低温濃溶液Sbとの間で熱交換を行わせる機器である。高温溶液熱交換器76は、典型的にはプレート型熱交換器が用いられるがシェルアンドチューブ型やその他の熱交換器であってもよい。高温溶液熱交換器76よりも下流側の高温濃溶液管75と、第2溶液ポンプ74よりも上流側の低温濃溶液管73とは、溶液バイパス管77で接続されている。溶液バイパス管77は、低温濃溶液管73を流れる低温濃溶液Sbの一部を、高温濃溶液管75に流入させる流路である。前述したように、高温濃溶液Saに低温濃溶液Sbの一部を混合した溶液Sは、混合濃溶液Scである。
バイパス管77の接続点よりも下流側の高温濃溶液管75には、溶液スプレーポンプ78が配設されている。溶液スプレーポンプ78は、濃溶液散布ノズル75から散布される溶液Sに圧力を与えるものである。溶液スプレーポンプ78よりも下流側の高温濃溶液管75と、第1溶液ポンプ72よりも下流側の希溶液管71とには、低温溶液熱交換器79が配設されている。低温溶液熱交換器79は、高温濃溶液管75を流れる溶液Sと、希溶液管71を流れる希溶液Swとの間で熱交換を行わせる機器である。低温溶液熱交換器79は、典型的にはプレート型熱交換器が用いられるがシェルアンドチューブ型やその他の熱交換器であってもよい。
高温再生器50の缶胴53の上部と、低温再生器40の加熱蒸気管41とは、冷媒蒸気管81で接続されている。冷媒蒸気管81は、高温再生器50で発生した高温冷媒蒸気Vaを加熱蒸気管41に導く流路である。冷媒蒸気管81には、高温冷媒蒸気Vaの温度を検知する冷媒蒸気温度計58が配設されている。冷媒蒸気温度計58は、高温再生器冷媒蒸気温度検知器に相当する。冷媒蒸気温度計58は、典型的には、缶胴53の近傍に配設されている。この位置に配設されていると、飽和蒸気の高温冷媒蒸気Va温度を検出することができ(すなわち高温冷媒蒸気Vaの飽和温度を検出することができ)、高温再生器50の内部の圧力を推定することができる。凝縮器30の底部と蒸発器20とは、冷媒液管82で接続されている。冷媒液管82は、凝縮器30の内部で凝縮した冷媒液Vfを蒸発器20に導く流路である。
制御装置90は、受信部91と、差圧検知部92と、溶液濃度演算部93と、記憶判断部94と、制御部95とを含んでいる。受信部91は、蒸発器温度計28、高温濃溶液温度計57、冷媒蒸気温度計58と、それぞれ信号ケーブルで接続されており、各温度計で検知された値を信号として受信することができるように構成されている。また、受信部91は、電極棒56と信号ケーブルで接続されており、電極棒56が高液位Ltあるいは低液位Lsを検知したことを信号として受信することができるように構成されている。
差圧検知部92は、高温再生器50の内部の圧力と吸収器10の内部の圧力との差を検知する部位である。差圧検知部92には、冷媒Vの飽和蒸気の温度と圧力との関係がテーブル(以下、「飽和蒸気テーブル」という。)として記憶されている。差圧検知部92は、受信部91から、蒸発器温度計28で検知された値及び冷媒蒸気温度計58で検知された値を受け取り、これらの値を飽和蒸気テーブルに照らして、高温再生器50の内部圧力と吸収器10の内部圧力との差(差圧)を把握することができるように構成されている。なお、蒸発器温度計28で検知された値に基づいて推定できるのは蒸発器20の内部圧力であるが、蒸発器20と吸収器10とは同じ缶胴内に設けられていて仕切壁19の上部で連通しているので、蒸発器20と吸収器10のとは内部圧力が同じと見て差し支えない。つまり、蒸発器温度計28で検知された値から吸収器10の内部圧力を推定することができる。このように、本実施の形態では、蒸発器温度計28と、冷媒蒸気温度計58と、差圧検知部92とで、差圧検知器を構成している。
溶液濃度演算部93は、高温再生器50の貯留部55から流出する溶液Sの濃度を算出する部位である。溶液濃度演算部93には、溶液Sの温度と、溶液Sが貯留されている空間の圧力と、溶液Sの濃度との関係がテーブル(以下、「溶液濃度テーブル」という。)として記憶されている。溶液濃度演算部93は、受信部91から、高温濃溶液温度計57で検知された値及び冷媒蒸気温度計58で検知された値を受け取り、これらの値を溶液濃度テーブルに照らして、貯留部55に貯留されている高温濃溶液Saの濃度を算出することができるように構成されている。なお、上述のように、冷媒蒸気温度計58で検知された値から高温再生器50の内部圧力を推定することができるので、高温濃溶液温度計57で検知された値及び冷媒蒸気温度計58で検知された値から、高温濃溶液Saの濃度を算出することができる。
記憶判断部94は、差圧検知部92で検知された値(差圧)と第2溶液ポンプ74の回転速度との関係が記憶されている。
図2に、差圧検知部92で検知された差圧ΔPと、第2溶液ポンプ74の回転速度R2との関係の一例を示す。差圧ΔPと回転速度R2との関係は、本実施の形態では、図2に示すように、差圧ΔPが増加するほど回転速度R2が増加する比例関係になっている。図2中の直線Gnは、基準となるグラフである。グラフは、貯留部55内の高温濃溶液Saの液位に応じて、段階的に移動させることができるようになっている(図2中に破線で示す)。つまり、貯留部55内の高温濃溶液Saの液位が低ければ差圧ΔPに対する回転速度R2を増加させ(図2中の直線Gを上方に移動させ)、貯留部55内の高温濃溶液Saの液位が高ければ差圧ΔPに対する回転速度R2を減少させ(図2中の直線Gを下方に移動させ)ることができるようになっている。なお、貯留部55内の高温濃溶液Saの液位の変動に伴う図2中の直線Gの移動は、上限Gtと下限Gsとの範囲内で行われるようになっている。このように、記憶判断部94は、差圧ΔPと回転速度R2との関係が記憶されていると共に、図2中の直線Gの移動の有無及び方向を判断することができるように構成されている。また、記憶判断部94は、受信部91による電極棒56からの信号の受信によって、高温再生器50が高液位Ltを検知したか否か及び低液位Lsを検知したか否かを判断することができるように構成されている。
制御部95は、吸収冷凍機1を構成する各機器を制御する。制御部95は、第2溶液ポンプ74のインバータ74vと信号ケーブルで接続されており、第2溶液ポンプ74の発停の制御及び回転速度R2の調節をすることができるように構成されている。また、制御部95は、冷媒ポンプ25、第1溶液ポンプ72、溶液スプレーポンプ78のそれぞれと信号ケーブルで接続されており、各ポンプ25、72、78の発停を制御することができるように構成されている。また、制御部95は、冷水管21に供給される冷水pを流動させる冷水ポンプ(不図示)、冷却水管11、31に供給される冷却水qを流動させる冷却水ポンプ(不図示)のそれぞれに、発停を制御する信号を送信することができるように構成されている。
引き続き図1を参照して吸収冷凍機1の作用を説明する。吸収冷凍機1が起動される際、冷水ポンプ(不図示)の起動によって、蒸発器20内の冷水管21に冷水pが供給される。また、冷却水ポンプ(不図示)の起動によって、吸収器10内の冷却水管11及び凝縮器30内の冷却水管31に冷却水qが供給される。また、高温再生器50内の炉筒51で燃焼ガス(発生熱)が生成される。また、低温再生器40内の加熱排温水管45に排温水h(排熱)が供給される。吸収冷凍機1は、定常運転が行われる際は、発生熱及び排熱が投入される。
吸収冷凍機1内部における、冷媒Vと溶液Sとによる吸収冷凍サイクルについて、まず吸収冷凍機1の冷媒V側のサイクルを説明する。凝縮器30では、低温再生器40で蒸発した低温冷媒蒸気Vbを受け入れて、冷却水管31を流れる冷却水qで冷却して凝縮し、冷媒液Vfとする。凝縮した冷媒液Vfは、冷媒液管82を介して蒸発器20へと送られ、貯留部23に貯留される。貯留部23に貯留された冷媒液Vfは、冷媒ポンプ25により冷媒液散布ノズル22に送液される。蒸発器20の冷媒液Vfが冷媒液散布ノズル22から冷水管21に散布されると、冷媒液Vfは冷水管21内の冷水pから熱を受けて蒸発する一方、冷水pは冷やされる。冷やされた冷水pは冷熱を利用する場所(不図示)に送られて使われる。他方、蒸発器20で蒸発した冷媒液Vfは蒸発器冷媒蒸気Veとなって、連通している吸収器10へと移動する。
次に吸収冷凍機1の溶液S側のサイクルを説明する。吸収器10では、高濃度の混合濃溶液Scが濃溶液散布ノズル12から散布され、蒸発器20で発生した蒸発器冷媒蒸気Veを混合濃溶液Scが吸収して希溶液Swとなる。希溶液Swは、貯留部13に貯留される。混合濃溶液Scが蒸発器冷媒蒸気Veを吸収する際に発生する吸収熱は、冷却水管11を流れる冷却水qによって除去される。貯留部13の希溶液Swは、第1溶液ポンプ72で低温再生器40へ圧送される。第1溶液ポンプ72で圧送されて希溶液管71を流れる希溶液Swは、低温溶液熱交換器79で混合濃溶液Scと熱交換して温度が上昇した後に低温再生器40へ導入される。
低温再生器40に搬送された希溶液Swは、溶液散布ノズル42から、加熱排温水管45及び加熱蒸気管41に向けて散布される。溶液散布ノズル42から散布された希溶液Swは、加熱排温水管45を流れる排温水h及び加熱蒸気管41を流れる高温冷媒蒸気Vaによって加熱され、低温再生器40内の希溶液Sw中の冷媒Vが蒸発して低温濃溶液Sbとなる。他方、希溶液Swから蒸発した冷媒Vは低温冷媒蒸気Vbとして凝縮器30へと送られる。排温水h及び高温冷媒蒸気Vaからの受熱により温度が上昇した低温濃溶液Sbは、貯留部43に貯留される。なお、加熱蒸気管41を流れる高温冷媒蒸気Vaは、希溶液Swに熱を奪われ凝縮し、冷媒液Vfとして凝縮器30に導入される。
貯留部43に貯留されている低温濃溶液Sbは、低温再生器40を出て低温濃溶液管73に入り、高温再生器50に向けて低温濃溶液管73を流れる。低温濃溶液管73を流れる低温濃溶液Sbは、途中で一部が溶液バイパス管77に入る。溶液バイパス管77に入らなかった残りの低温濃溶液Sbは、第2溶液ポンプ74で高温再生器50へ圧送される。第2溶液ポンプ74で圧送されて低温濃溶液管73を流れる低温濃溶液Sbは、高温溶液熱交換器76で高温濃溶液Saと熱交換して温度が上昇した後に高温再生器50へ導入される。
高温再生器50に搬送された低温濃溶液Sbは、缶胴53の底部から缶胴53内に流入する。缶胴53内に流入した低温濃溶液Sbは、第2溶液ポンプ74の圧力で上昇する。缶胴53内を上昇する低温濃溶液Sbは、炉筒51及び複数の煙管52内を流動する燃焼ガスによって加熱され、低温濃溶液Sb中の冷媒Vが蒸発して高温濃溶液Saとなる。他方、低温濃溶液Sbから蒸発した冷媒Vは、高温冷媒蒸気Vaとして、冷媒蒸気管81を介して低温再生器40の加熱蒸気管41に導かれる。缶胴53内を上昇する高温濃溶液Saは、堰54を越えた分が貯留部55に流入し、ここに貯留される。
貯留部55に貯留されている高温濃溶液Saは、高温再生器50を出て高温濃溶液管75に入り、吸収器10に向けて高温濃溶液管75を流れる。高温濃溶液管75を流れる高温濃溶液管75は、高温溶液熱交換器76で低温濃溶液Sbと熱交換して温度が低下する。高温溶液熱交換器76で温度が低下した高温濃溶液Saは、バイパス管77を流れてきた低温濃溶液Sbが合流し、混合濃溶液Scとなる。混合濃溶液Scは、溶液スプレーポンプ78に圧送されて、高温濃溶液管75を流れる。溶液スプレーポンプ78で圧送されて高温濃溶液管75を流れる混合濃溶液Scは、低温溶液熱交換器79で希溶液Swと熱交換して温度が低下した後に吸収器10へ導入される。吸収器10に搬送された混合濃溶液Scは、濃溶液散布ノズル12から、冷却水管11に向けて散布される。以降、上述の作用を繰り返す。
上述のような運転を行う吸収冷凍機1は、その運転中、冷水pが供給される冷水利用機器(不図示)の熱負荷に応じて、高温再生器50における発生熱の熱量が調節される。そして、熱負荷が、高温再生器50に発生熱を入れなくても低温再生器40に投入する排熱で運転可能な程度に低くなったとき(所定の低熱負荷になったとき)は、高温再生器50への発生熱の投入及び溶液Sの導入を停止すると、炉筒51における燃焼量がなくなると共に第2溶液ポンプ74の動力を削減できるため、省エネルギーに資する。しかし、所定の低熱負荷になってすぐに高温再生器50への発生熱の投入及び第2溶液ポンプ74の作動を停止すると、以下の不都合が生じる。
まず、吸収冷凍機1の定常運転時は、高温再生器50の内部圧力が最も高く、低温再生器40、吸収器10の順に内部圧力が低くなっている。したがって、これらの圧力差から、高温再生器50内の高温濃溶液Saが吸収器10及び/又は低温再生器40に逆流することがあり、さらに吸収器10に隣接する蒸発器20及び/又は低温再生器40に隣接する凝縮器30に高温濃溶液Saが流入して冷媒Vを汚してしまうおそれがある。冷媒Vが溶液Sで汚れると、吸収冷凍機1の能力が低下することになる。また、高温再生器50内の高温濃溶液Saが、高濃度のまま温度が低下すると、結晶してしまうおそれがある。従来は、高温再生器への入熱を停止する場合は吸収冷凍機を停止することが前提となっていたため、高温再生器への入熱を停止した際に、高濃度の溶液に冷媒を混入させることで、溶液の結晶を防ぐことができた。しかし、本実施の形態に係る吸収冷凍機1では、高温再生器50への入熱を停止しても排熱で運転を継続するため、溶液Sに冷媒Vを混入させてしまうと能力が低下してしまう。また、高温再生器50に残留している高温濃溶液Saが自己蒸発してしまうおそれがあり、これによって缶胴53内の溶液Sの液位が低下して、次回高温再生器50に入熱した際に空焚きとなってしまうおそれがある。本実施の形態では、上述のような不都合を回避するため、所定の低熱負荷になって排熱で運転を継続する場合に、以下のような制御を行う。
図3は、低熱負荷運転時の高温再生器50まわりの制御の第1の例を示すフローチャートである。吸収冷凍機1は、排温水hの熱で運転可能な程度の低熱負荷となったときに、高温再生器50への入熱を停止して、低熱負荷運転の制御に入る。このとき、第2溶液ポンプ74は、溶液Sの結晶防止の観点及び高温再生器50と吸収器10との内部圧力の差を低下させる観点から、運転を継続している。そして、差圧検知部92は、高温再生器50の内部の圧力と吸収器10の内部の圧力との差を検知する(S1)。次に、制御部95は、第2溶液ポンプ74の回転速度R2を調節する(S2)。この回転速度R2の調節は、差圧検知部92で検知した差圧ΔPを、記憶判断部94に記憶されている図2に示す直線Gnにおける関係に照らして決定される。第2溶液ポンプ74の回転速度R2を調節する工程(S2)においては、差圧ΔPが大きければ第2溶液ポンプ74の回転速度R2が上昇して高温再生器50に導入される溶液Sの流量が増加し、差圧ΔPが小さければ第2溶液ポンプ74の回転速度R2が低下して高温再生器50に導入される溶液Sの流量が減少する。
そして、記憶判断部94は、電極棒56が高液位Ltを検知したか否かを判断する(S3)。高液位Ltを検知した場合は、回転速度R2の調節の根拠としている直線Gが、下限Gsか否かを判断する(S4)。下限Gsでない場合は、回転速度R2の調節の根拠としている直線Gを、一段下の直線Gに移行する(S5)。例えば、回転速度R2の調節の根拠としている直線Gが、直線Gnだった場合は、直線Gaに移行することとなる。一段下の直線Gに移行したら(S5)、高温再生器50の内部圧力と吸収器10の内部圧力との差を検知する工程(S1)に戻る。他方、回転速度R2の調節の根拠としている直線Gが下限Gsか否かを判断する工程(S4)において、下限Gsである場合は、第2溶液ポンプ74を停止する(S6)。回転速度R2の調節の根拠としている直線Gが下限Gsのときに、電極棒56が高液位Ltを検知したということは、ある差圧ΔPのときの高温再生器50に搬送される溶液Sの流量が減少しているにもかかわらず、高温再生器50に多くの溶液Sが導入されていることになる。このことは、高温再生器50の内部圧力と吸収器10の内部圧力との差が小さくなっていることを示しており、高温再生器50内の溶液Sが逆流して冷媒Vに混入する可能性が低くなっている。また、このような状態では、経験上、高温再生器50内の溶液Sが、常温になっても結晶しない濃度になっていることが推定される。これらの事情を勘案して、回転速度R2の調節の根拠としている直線Gが下限Gsである場合に、第2溶液ポンプ74を停止する(S6)こととしている。本実施の形態では、下限Gsを根拠として回転速度R2を調節している際に高液位Ltを検知したときの高温再生器50に導入される溶液Sの流量が、高温再生器50への溶液Sの導入を停止する契機となる所定の流量に相当する。
電極棒56が高液位Ltを検知したか否かを判断する工程(S3)において、高液位Ltを検知しない場合、記憶判断部94は、電極棒56が低液位Lsを検知したか否かを判断する(S7)。低液位Lsを検知しない場合は、高温再生器50の内部圧力と吸収器10の内部圧力との差を検知する工程(S1)に戻る。他方、低液位Lsを検知した場合は、回転速度R2の調節の根拠としている直線Gが、上限Gtか否かを判断する(S8)。上限Gtでない場合は、回転速度R2の調節の根拠としている直線Gを、一段上の直線Gに移行する(S9)。例えば、回転速度R2の調節の根拠としている直線Gが、直線Gnだった場合は、直線Gbに移行することとなる。一段上の直線Gに移行したら(S9)、高温再生器50の内部圧力と吸収器10の内部圧力との差を検知する工程(S1)に戻る。他方、回転速度R2の調節の根拠としている直線Gが上限Gtか否かを判断する工程(S8)において、上限Gtである場合は、エラーを発報する(S10)。回転速度R2の調節の根拠としている直線Gが上限Gtのときに、電極棒56が低液位Lsを検知したということは、ある差圧ΔPのときの高温再生器50に搬送される溶液Sの流量が増加しているにもかかわらず、高温再生器50に十分な溶液Sが導入されていないことになる。この場合、何らかの異常が生じている可能性があり、エラーを発報する(S10)こととしている。
次に図4を参照して、低熱負荷運転時の高温再生器50まわりの制御の第2の例を説明する。図4に示す第2の例は、高温再生器50内の溶液Sの濃度を算出し、算出した溶液Sの濃度に基づいて第2溶液ポンプ74を停止するか判断するものである。吸収冷凍機1は、排温水hの熱で運転可能な程度の低熱負荷となったときに、高温再生器50への入熱を停止して低熱負荷運転の制御に入り、このとき、第2溶液ポンプ74の運転を継続している点は、図3に示す第1の例と同様である。そして、記憶判断部94は、溶液濃度演算部93で算出された高温再生器50の溶液Sの濃度が、所定の濃度以下か否かを判断する(S21)。所定の濃度は、溶液Sが常温になっても結晶しない濃度に設定される。高温再生器50の溶液Sの濃度が所定の濃度以下の場合は、第2溶液ポンプ74を停止する(S26)。しかし、高温再生器50への入熱を停止した直後は、通常、高温再生器50の溶液Sの濃度が所定の濃度を超えている。
高温再生器50の溶液Sの濃度が所定の濃度以下か否かを判断する工程(S21)において、所定の濃度以下になっていない場合、差圧検知部92は、高温再生器50の内部の圧力と吸収器10の内部の圧力との差を検知する(S31)。次に、制御部95は、第2溶液ポンプ74の回転速度R2を調節する(S32)。第2溶液ポンプ74の回転速度R2の調節(S32)は、図3に示す第1の例における第2溶液ポンプ74の回転速度R2を調節する工程(S2)と同じ要領で行われる。
そして、記憶判断部94は、電極棒56が高液位Ltを検知したか否かを判断する(S33)。高液位Ltを検知した場合は、回転速度R2の調節の根拠としている直線Gを、一段下の直線Gに移行する(S35)。一段下の直線Gに移行したら(S35)、高温再生器50の溶液Sの濃度が所定の濃度以下か否かを判断する工程(S21)に戻る。他方、電極棒56が高液位Ltを検知したか否かを判断する工程(S33)において、高液位Ltを検知しない場合、記憶判断部94は、電極棒56が低液位Lsを検知したか否かを判断する(S37)。低液位Lsを検知しない場合は、高温再生器50の溶液Sの濃度が所定の濃度以下か否かを判断する工程(S21)に戻る。他方、低液位Lsを検知した場合は、回転速度R2の調節の根拠としている直線Gを、一段上の直線Gに移行する(S39)。一段上の直線Gに移行したら(S39)、高温再生器50の溶液Sの濃度が所定の濃度以下か否かを判断する工程(S21)に戻る。
以上で説明したように、本実施の形態に係る吸収冷凍機1によれば、排温水hの熱で運転可能な程度の低熱負荷となり、高温再生器50への発生熱の投入を停止して低熱負荷運転の制御に入ったときに差圧検知部92で検知した差圧に応じて高温再生器50に導入する溶液Sの流量を調節するので、溶液Sが冷媒Vの系統へ逆流することを回避して吸収冷凍機1の能力の低下を抑制することができる。また、回転速度R2の調節の根拠としている直線Gが下限Gsの状態で電極棒56が高液位Ltを検知してから、又は溶液濃度演算部93で算出された高温再生器50の溶液Sの濃度が所定の濃度以下になってから、第2溶液ポンプ74を停止するので、溶液Sの結晶を回避することができる。なお、以上の説明では、低熱負荷運転時の高温再生器50まわりの制御に関し、第1の例及び第2の例を示したが、典型的には一方の例の制御が行われる。図4に示す第2の例の制御を行わない場合は、高温濃溶液温度計57及び溶液濃度演算部93を設けなくてもよい。
以上の説明では、高温再生器50が炉筒煙管式であるとしたが、貫流ボイラ式や液管型の高温再生器でもよく、熱源として蒸気を使用した高温再生器であってもよい。
以上の説明では、高温再生器液位検知器が電極棒56であるとしたが、フロートスイッチ等、電極棒以外の液位を検知できるもので構成されていてもよい。
以上の説明では、吸収冷凍機1の吸収サイクルがいわゆる二重効用であるとしたが、三重効用以上の多重効用の吸収サイクルとしてもよい。また、以上の説明では、溶液Sのフローがリバースフローであるとしたが、以下に示すようなフローであってもよい。
図5は、吸収冷凍機の溶液Sの系統のサイクルを示す部分系統図である。図5(A)に示すのが、これまでに説明した、本実施の形態に係る吸収冷凍機1が採用しているリバースフローである。リバースフローでは、上述のように、吸収器10の希溶液Swが低温再生器40に送られ濃縮されて低温濃溶液Sbとなる。低温再生器40の低温濃溶液Sbは、大部分が高温再生器50に送られ濃縮されて高温濃溶液Saとなる。高温再生器50の高温濃溶液Saは、低温濃溶液Sbの一部が合流して混合濃溶液Scとなり、吸収器10に送られる。つまり、リバースフローでは、溶液Sが、主に、吸収器10、低温再生器40、高温再生器50の順に流れた後に再び吸収器10に戻るように循環する。
図5(B)に、第1の変形例に係る吸収冷凍機1Bのサイクルであるパラレルフローを示す。パラレルフローは、吸収器10の希溶液Swを、低温再生器40及び高温再生器50に並列に送り、低温再生器40の低温濃溶液Sb及び高温再生器50の高温濃溶液Saを直接(他の再生器を経由せずに)吸収器10へ導くように構成される。パラレルフローとするために、吸収冷凍機1Bは、以下のように構成されている。吸収器10と低温再生器40とは、吸収器10内の希溶液Swを低温再生器40に導く希溶液管71で接続されている。希溶液管71には、第1溶液ポンプ72が配設されている。吸収器10と高温再生器50とは、吸収器10内の希溶液Swを高温再生器50に導く第2希溶液管173で接続されている。第2希溶液管173には、希溶液Swを圧送する第2希溶液ポンプ174が配設されている。第2希溶液ポンプ174は、インバータにより、回転速度を変えることができるように構成されている。第2希溶液ポンプ174は、高温再生器50に溶液Sを導入させる装置であり、高温再生器吸収液導入装置に相当する。高温再生器50と吸収器10とは、高温再生器50内の高温濃溶液Saを吸収器10に導く高温濃溶液管75で接続されている。低温再生器40には、低温濃溶液Sbを搬送する低温濃溶液管177の一端が接続されている。低温濃溶液管177の他端は、高温濃溶液管75に接続されている。低温濃溶液管177の接続部よりも下流側の高温濃溶液管75には、高温濃溶液Saと低温濃溶液Sbとが混合した混合濃溶液Scが流れることとなる。上述のように構成された吸収冷凍機1Bにおいて、定常運転時は、高温再生器50に外部から発生熱が投入されると共に、低温再生器40に外部から排熱が投入され、第1溶液ポンプ72及び第2希溶液ポンプ174が共に作動している。そして、吸収冷凍機1Bが、排熱で運転可能な程度の低熱負荷となったときに、高温再生器50への発生熱の投入を停止して、低熱負荷運転の制御に入る。低熱負荷運転の制御は、図3又は図4のフローチャートを適用することができる。したがって、第2希溶液ポンプ174は、図3又は図4のフローチャートにおいて条件を満たしたとき(S6、S26)に停止される。
図5(C)に、第2の変形例に係る吸収冷凍機1Cのサイクルであるシリーズフローを示す。シリーズフローは、吸収器10内の希溶液Swが高温再生器50に送られ濃縮されて高温濃溶液Saとなる。高温再生器50内の高温濃溶液Saは、低温再生器40に送られさらに濃縮されて低温濃溶液Sbとなる。低温再生器40内の低温濃溶液Sbは、吸収器10に送られる。つまり、シリーズフローでは、溶液Sが、吸収器10、高温再生器50、低温再生器40の順に流れた後に再び吸収器10に戻るように循環する。シリーズフローでは、希溶液Sw、高温濃溶液Sa、低温濃溶液Sbの順に濃度が高くなる。シリーズフローとするために、吸収冷凍機1Cは、以下のように構成されている。吸収器10と高温再生器50とは、吸収器10内の希溶液Swを高温再生器50に導く第3希溶液管273で接続されている。第3希溶液管273には、希溶液Swを圧送する第3希溶液ポンプ274が配設されている。第3希溶液ポンプ274は、インバータにより、回転速度を変えることができるように構成されている。高温再生器50と低温再生器40とは、高温再生器50内の高温濃溶液Saを低温再生器40に導く高温濃溶液管275で接続されている。第3希容器ポンプ274よりも下流側の第3希溶液管273と高温濃溶液管275とは、希溶液バイパス管277で接続されている。第3希容器ポンプ274よりも下流側の第3希溶液管273には、流路を遮断可能な開閉弁273vが配設されている。希溶液バイパス管277には、流路を遮断可能な開閉弁277vが配設されている。吸収冷凍機1Cでは、2つの開閉弁273v、277vの開閉を切り替えることにより、第3希溶液ポンプ274で圧送された希溶液Swを、高温再生器50に導入させるか、低温再生器40に直接導入させるかを切り替えることができように構成されている。吸収冷凍機1Cでは、第3希溶液ポンプ274及び開閉弁273v、277vで高温再生器吸収液導入装置を構成している。低温再生器40と吸収器10とは、低温再生器40内の低温濃溶液Sbを吸収器10に導く低温濃溶液管271で接続されている。上述のように構成された吸収冷凍機1Cにおいて、定常運転時は、高温再生器50に外部から発生熱が投入されると共に、低温再生器40に外部から排熱が投入され、開閉弁273vが開、開閉弁277vが閉の状態で、第3希溶液ポンプ274が作動している。そして、吸収冷凍機1Cが、排熱で運転可能な程度の低熱負荷となったときに、高温再生器50への発生熱の投入を停止して、低熱負荷運転の制御に入る。低熱負荷運転の制御は、主として、図3又は図4のフローチャートにしたがって行われる。ただし、吸収冷凍機1Cでは、高温再生器50への溶液Sの導入の停止が、2つの開閉弁273v、277vの切り替えによって行われるので、図3のフローチャートにおける工程(S6)、図4のフローチャートにおける工程(S26)においては、「第2溶液ポンプ74を停止する」ことに代えて、「開閉弁273vを閉、開閉弁277vを開に切り替える」ことが行われる。
以上の説明では、吸収式熱源機が吸収冷凍機であるとしたが、吸収冷温水発生機や吸収ヒートポンプであってもよい。