JP6431784B2 - 印刷用紙 - Google Patents
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Description
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、塗工する澱粉量を最適化し、澱粉含有分布の略均一化を図ることにより、白色度、不透明度、及び引張強さが高く、且つパイリングを抑制し、印刷適性を高めた高品質な印刷用紙を提供することにある。
パルプにはバージンパルプ及び古紙パルプを使用することができる。バージンパルプには、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプや、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ、ケナフ、麻、葦等の非木材繊維から化学的又は機械的に製造されたパルプ等の公知の種々のパルプを使用することができる。白色度、強度、表面の平滑性等を良好にできることから、LBKPとNBKPを混合して使用することが好ましい。
パルプを叩解して形成されたパルプスラリーに、灰分としての填料を全パルプの固形分に対して15〜35質量%(より好ましくは20〜35質量%)添加して基紙の原料スラリーを形成する。填料には不純物が少なく白色度が高い軽質炭酸カルシウムを用いるのが好ましい。また、軽質炭酸カルシウムは、微粒、或いは凝集状(ロゼッタ型)の形状、好ましくは微細柱状結晶(針形状)の形状のものを単独或いは混合して使用することにより、印刷用紙の白色度(JIS P8148規定)を90%以上に調整し、加えて印刷用紙の不透明度(JIS P8149に規定)を67%以上に調整する。
原料スラリーは長網式抄紙機を用いて抄紙され、基紙が形成される。
図1に示すように、印刷用紙1の塗工前段階における基紙2にはF面(フェルト面、一表面)4と、F面4の反対面であるW面(ワイヤー面、他表面)6とが形成される。W面6は、長網式抄紙機のワイヤーパートにおいて原料スラリーがワイヤーに接することにより、原料スラリーが濃縮脱水されて形成される。F面4は、長網式抄紙機のプレスパートにおいて原料スラリーがフェルトに接することにより、原料スラリーからの吸水が行われて形成される。なお、本発明の効果を損なわないのであれば、丸網式抄紙機、短網式抄紙機、ツインワイヤ式抄紙機等を用いても良い。また、抄紙は酸性抄紙、中性抄紙、アルカリ性抄紙の何れかの方式で行われる。ツインワイヤ式抄紙機を用いた場合、表層付近に分布する填料が長網式抄紙機を用いた場合に比べて少なく、オフセット印刷時のインキ乾燥性が劣るため、長網式抄紙機を用いた方が好ましい。
図1に示すように、抄紙後に形成された基紙2に結着剤をサイズプレス処理等によりF面4及びW面6に合わせて固形分で1.0g/m2以上、好ましくは1.0以上3.0以下g/m2となるように塗工し、塗工層8を形成する。基紙2における結着剤の塗工量が1.0g/m2未満の場合は、印刷用紙1の十分な表面強度が得られない。一方、基紙2における結着剤の塗工量が3.0g/m2より多い場合は、印刷用紙1の表面にドライヤー汚れがして抄紙機の操業性に問題が生じ、印刷用紙1の安定生産が難しい。結着剤は基紙2に含有される填料の定着性を高め、印刷時のパイリングを抑制する。
前述したパルプ化工程、調成工程、抄紙工程、塗工工程、仕上・加工工程等を順次経て、辞書、能書用紙、約款用紙等に適した多色刷り用の薄葉印刷紙であって、坪量が45g/m2以下(より好ましくは28〜43g/m2)の高品質な印刷用紙1を得ることができる。
図1に示すように、印刷用紙1をその厚さ方向(Z方向)に第1表層部10、第2表層部12、中層部14に3分割し、第1表層部10:中層部14:第2表層部12の質量比が1:2:1となるように規定する。第1表層部10は印刷用紙1のF面4を含む領域であり、第2表層部12は印刷用紙1のW面6を含む領域であり、中層部14は印刷用紙1の第1表層部10と第2表層部12との間に位置する領域である。
1.紙パ技協誌1987年2月号の研究報文第159ページに記載されている「粘着テープによる紙層剥離法を応用した紙層Z方向の填料分布・道管分布の測定法」に準拠し、前述したように印刷用紙1を1:2:1の質量比となるように第1表層部10、中層部14、第2表層部12に3分割する。
3.得られたグルコース溶液のグルコース濃度をバイオセンサ(王子計測機器社製;BF−5i)により測定し、グルコース溶液中のグルコース量を定量することにより、各層部10、12、14に含有されている澱粉量を測定する。
(比較例1)
パルプの長さ加重平均繊維長が0.70mmとなるように叩解した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)70質量%と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)30質量%とを混合してなるパルプスラリーに、軽質炭酸カルシウムを添加して原料スラリーを形成し、長網式抄紙機で抄紙して基紙2を形成し、基紙2の両面4、6に合わせて固形分で0.8g/m2の酸化澱粉(商品名:SK−20、日本コーンスターチ社製、B型粘度(6質量%水溶液、35℃):70mPas)を塗工して塗工層8を形成し、坪量30.8g/m2、離解ろ水度55°SR、灰分9.5質量%、白色度90.2%、不透明度64.8%、引張強さ1.3kN/mの印刷用紙1を得た。また、前述した澱粉分布の測定方法に基づいて測定した第1表層部10及び第2表層部12に含まれる澱粉量は、第1表層部10及び第2表層部12の全質量に対して3.6質量%であった。
パルプの長さ加重平均繊維長が0.60mmとなるように叩解した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)70質量%と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)30質量%とを混合してなるパルプスラリーに、軽質炭酸カルシウムを添加して原料スラリーを形成し、長網式抄紙機で抄紙して基紙2を形成し、基紙2の両面4、6に合わせて固形分で0.8g/m2の酸化澱粉(商品名:SK−20、日本コーンスターチ社製、B型粘度(6質量%水溶液、35℃):70mPas)を塗工して塗工層8を形成し、坪量30.7g/m2、灰分9.5質量%、離解ろ水度68°SR、白色度90.5%、不透明度65.2%、引張強さ2.0kN/mの印刷用紙1を得た。また、前述した澱粉分布の測定方法に基づいて測定した第1表層部10及び第2表層部12に含まれる澱粉量は、第1表層部10及び第2表層部12の全質量に対して3.7質量%であった。
パルプの長さ加重平均繊維長が0.68mmとなるように叩解した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)70質量%と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)30質量%とを混合してなるパルプスラリーに、軽質炭酸カルシウムを添加して原料スラリーを形成し、長網式抄紙機で抄紙して基紙2を形成し、基紙2の両面4、6に合わせて固形分で0.8g/m2の酸化澱粉(商品名:SK−20、日本コーンスターチ社製、B型粘度(6質量%水溶液、35℃):70mPas)を塗工して塗工層8を形成し、坪量30.9g/m2、離解ろ水度68°SR、灰分14.5質量%、白色度91.2%、不透明度70.5%、引張強さ1.9kN/mの印刷用紙1を得た。また、前述した澱粉分布の測定方法に基づいて測定した第1表層部10及び第2表層部12に含まれる澱粉量は、第1表層部10及び第2表層部12の全質量に対して3.6質量%であった。
パルプの長さ加重平均繊維長が0.68mmとなるように叩解した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)70質量%と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)30質量%とを混合してなるパルプスラリーに、軽質炭酸カルシウムを添加して原料スラリーを形成し、長網式抄紙機で抄紙して基紙2を形成し、基紙2の両面4、6に合わせて固形分で1.2g/m2の酸化澱粉(商品名:SK−20、日本コーンスターチ社製、B型粘度(6質量%水溶液、35℃):70mPas)を塗工して塗工層8を形成し、坪量31.9g/m2、離解ろ水度69°SR、灰分12.9質量%、白色度91.5%、不透明度69.4%、引張強さ2.1kN/mの印刷用紙1を得た。また、前述した澱粉分布の測定方法に基づいて測定した第1表層部10及び第2表層部12に含まれる澱粉量は、第1表層部10及び第2表層部12の全質量に対して4.2質量%であった。
パルプの長さ加重平均繊維長が0.68mmとなるように叩解した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)70質量%と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)30質量%とを混合してなるパルプスラリーに、軽質炭酸カルシウムを添加して原料スラリーを形成し、長網式抄紙機で抄紙して基紙2を形成し、基紙2の両面4、6に合わせて固形分で1.2g/m2の酸化澱粉(商品名:SK−20、日本コーンスターチ社製、B型粘度(6質量%水溶液、35℃):70mPas)を塗工して塗工層8を形成し、坪量38.4g/m2、離解ろ水度64°SR、灰分14.1質量%、白色度91.5%、不透明度73.9%、引張強さ2.4kN/mの印刷用紙1を得た。また、前述した澱粉分布の測定方法に基づいて測定した第1表層部10及び第2表層部12に含まれる澱粉量は、第1表層部10及び第2表層部12の全質量に対して4.1質量%であった。
パルプの長さ加重平均繊維長が0.64mmとなるように叩解した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)70質量%と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)30質量%とを混合してなるパルプスラリーに、軽質炭酸カルシウムを添加して原料スラリーを形成し、長網式抄紙機で抄紙して基紙2を形成し、基紙2の両面4、6に合わせて固形分で1.2g/m2の酸化澱粉(商品名:SK−20、日本コーンスターチ社製、B型粘度(6質量%水溶液、35℃):70mPas)を塗工して塗工層8を形成し、坪量42.6g/m2、離解ろ水度61°SR、灰分14.8質量%、白色度91.5%、不透明度77.3%、引張強さ3.1kN/mの印刷用紙1を得た。また、前述した澱粉分布の測定方法に基づいて測定した第1表層部10及び第2表層部12に含まれる澱粉量は、第1表層部10及び第2表層部12の全質量に対して4.2質量%であった。
1.離解ろ水度
各例で得た印刷用紙1をJIS P8220−1に規定された方法で離解して、JIS P8121−1に規定されるショッパー・リーグラ法により印刷用紙1の離解ろ水度を測定した。
2.引張強さ
各例で得た印刷用紙1の引張強さをJIS P8113に規定された方法に基づいて測定した。
各例で得た印刷用紙1の不透明度をJIS P8149に規定された方法に基づいて測定した。
4.パイリング
各例で得た印刷用紙1を使用して、オフセット印刷機(東芝機械社製;OA−B2T−600)を使用して2色刷印刷を10000部行った後、ブランケットへの紙粉付着状態を目視で観察し、以下の段階で評価した。
△:若干付着有り
×:付着有り
5.印刷作業性
4.と同様の印刷で断紙の発生を観察し、断紙発生を×、断紙なしを○とした。
6.総合評価
各例で得た印刷用紙1の上記1〜3の測定値及び上記4及び5の評価に基づいて、印刷用紙1が要求品質をクリアしているか否か評価した。
○:合格
×:不合格
一方、比較例1の印刷用紙1は、各実施例の場合に比して離解ろ水度が低いことにより、オフセット印刷に耐えうる引張強さを得ることができず、印刷不可であり、また、灰分が低いため不透明度も低く、両面印刷した際には反対面の印刷が透けて見えやすく印刷の判別性が劣るため、総合評価は不合格となった。
また、比較例3の印刷用紙1は、各実施例の場合と同程度の灰分であるものの、結着剤としての澱粉が少ないため、印刷用紙1の表面強度不足により印刷時に灰分の抜け落ちが発生してパイリングが悪化し、総合評価は不合格となった。
2 基紙
4 F面(両面、一表面)
6 W面(両面、他表面)
8 塗工層
10 第1表層部
12 第2表層部
14 中層部
Claims (3)
- パルプに填料を含有させて基紙を形成し、該基紙の両面に結着剤を塗工して塗工層を形成した印刷用紙であって、
前記パルプの長さ加重平均繊維長が0.55〜0.75mm、坪量が45g/m2以下、JIS P8220−1に規定された方法で離解してJIS P8121−1に規定される方法でろ水度を測定した離解ろ水度が60°SR以上、JIS 8715に規定された白色度が90%以上、JIS P8149に規定された不透明度が67%以上、JIS P8113に規定された引張強さが縦方向で1.5kN/m以上であり、前記両面への前記結着剤の塗工量が合わせて固形分で1.0g/m2以上であり、
前記結着剤は35℃において6質量%となる澱粉を含む澱粉水溶液であって、前記澱粉水溶液はB型粘度が40〜100mPasであることを特徴とする印刷用紙。 - 前記印刷用紙をその厚さ方向に、前記両面のうちの一表面を含む第1表層部、前記両面のうちの他表面を含む第2表層部、前記第1表層部と前記第2表層部との間に位置する中層部に分割し、前記第1表層部:前記中層部:前記第2表層部の質量比が1:2:1となるように規定したとき、前記第1表層部及び前記第2表層部における前記結着剤の含有率が前記第1表層部及び前記第2表層部の全質量に対して4質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の印刷用紙。
- 前記填料は軽質炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷用紙。
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